当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」から重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当中間連結会計期間(以下、当中間期)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が継続しております。一方で、資源・原材料価格の高止まりや、米国新政権の通商政策、各国の金融政策の動向等、世界経済の先行きには引き続き不透明感が残る状況となっております。
当社グループが属する情報サービス産業においては、生成AI、ソフトウェア・ハードウェア技術の進展、企業のDX化(デジタルトランスフォーメーション)への対応やデータ活用に対する取組み等により、データセンター市場、クラウド市場等は今後も中長期的に拡大していくと見込んでおります。
このような環境の下、当社グループは、当社グループが展開するコンピュータプラットフォーム事業とメディアソリューション事業について、事業の変化に対応しながら事業運営をおこなっております。
当中間期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度の第1四半期より、メディアソリューション事業におけるインフォメーションプラットフォームの重要性が増したため、当該事業の売上高を「コンテンツプラットフォーム」及び「インフォメーションプラットフォーム」等に区分変更しております。以下の前年同期比較については、変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
(コンピュータプラットフォーム事業)
コンピュータプラットフォーム事業においては、①データセンター、②クラウド・ソリューション、③データ・ソリューション、④その他に分け、サービスを展開しております。
①データセンターでは、低遅延かつ優れた接続性を特長とする都市型データセンターの需要は堅調であり、利益は確保したものの、前年同期では、ネットワーク関連サービスにおいてスポット案件の寄与があり、一時的に売上が伸長しておりましたが、当期は同様の案件がなく、通常水準での着地となりました。現況では、各サイト・各サービスの販売促進活動をおこなっており、特に基幹サイトである新大手町サイトの契約率・稼働率は引き続き高水準を維持しております。今後の事業領域の拡大に関しては、2026年開業を予定している石狩再エネデータセンターについて事業化に係るコンサルティング業務に基づくサービスを提供しております。この石狩再エネデータセンターでの実績を基に、SPC(Special Purpose Company)を用いたストラクチャーやパートナー企業との協業モデルを積極的に活用し、これまでよりも更にアセットライトな事業モデルにシフトすることによって、ハイパースケールデータセンター等、大規模なデータセンター開発プロジェクトの立ち上げを目指しております。
この結果、データセンターの売上高は2,463百万円(前年同期比9.1%減)となりました。
②クラウド・ソリューションでは、自社クラウド「c9 Flexサービス」シリーズ、AWS・Azure等のパブリッククラウド、MSP監視運用サービス、SaaS型セキュリティソリューションを提供し、ITインフラ環境に最適化された高付加価値なクラウド構成・運用提案を行っております。当中間期では、クラウド市場の拡大を背景に、マルチクラウド運用支援のニーズが高まり、売り上げは増加しました。また、各サービスの収益性が向上しております。
この結果、クラウド・ソリューションの売上高は992百万円(前年同期比7.7%増)となりました。
③データ・ソリューションでは、大容量化への対応、安定運用等、お客様のニーズに即したストレージの活用方法を提案しております。当社では、主力としてDell Technologies社製の「Dell PowerScale/Isilon」、ランサムウェア対策としてカナダSuperna社が開発した「Eyeglass」ソフトウェア製品群の日本国内での提供・サポートを行っております。これらのプロダクト販売に加え、保守サービス等を通じた継続的な収益も一部含む事業構造となっております。当中間期では、大規模環境で活用されるペタバイト規模の拡張性をもつ「Scality RING」の大型案件を獲得し、売り上げは増加しました。
この結果、データ・ソリューションの売上高は1,132百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
④その他、株式会社ティエスエスリンクが情報漏洩対策ソフトウェア製品の開発、販売等を行っております。売り上げは減少し、その他の売上高は72百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
以上の結果、コンピュータプラットフォーム事業の売上高の合計は、クラウド・ソリューション、データ・ソリューションの売り上げ増加があったものの、前年同期のデータセンターにおけるスポット案件の反動により4,675百万円(前年同期比1.8%減)となりました。営業利益は、前年同期のデータセンターにおけるスポット案件の反動により158百万円(前年同期比59.6%減)となりました。
(メディアソリューション事業)
メディアソリューション事業では、ジャパンケーブルキャスト株式会社が、①コンテンツプラットフォーム、②インフォメーションプラットフォームに分け、サービスを展開しております。
①コンテンツプラットフォームは、ケーブルテレビ事業者向けの多チャンネル配信サービス「JC-HITS」などを提供しておりますが、ケーブルテレビ局の多チャンネル放送サービスのユーザー数の減少が影響し、売上高は1,385百万円(前年同期比7.5%減)となりました。
②インフォメーションプラットフォームは、「JC-data」や「地域・防災DXサービス」を中心にサービスを提供しております。地方自治体による新しい地方経済・生活環境創生交付金利用の活発化を背景に、自治体向けデータ放送サービスおよび地域・防災DXサービスの受注が増加し、売上高は344百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
この結果、メディアソリューション事業の売上高の合計は、コンテンツプラットフォームの売り上げ減少により1,730百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益はインフォメーションプラットフォームの売り上げ増加に加え、コンテンツプラットフォームにおける配信プラットフォーム関連の原価削減が寄与し234百万円(同124.5%増)となりました。なお、同事業を取り巻く環境下では、引き続き地方自治体による新しい地方経済・生活環境創生交付金利用が活発であり、現況においては、インフォメーションプラットフォーム関連サービスの販売促進活動を強化し、さらなる売り上げの拡大を目指してまいります。
以上の活動により、当中間期における当社グループの売上高は6,435百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益はコンピュータプラットフォーム事業の減益により307百万円(前年同期比31.9%減)となりました。経常利益は、投資事業組合運用益等の営業外収益は増加したものの、営業利益の減少により475百万円(前年同期比19.4%減)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は242百万円(前年同期比40.1%減)となりました。
(2) 財政状態の分析
当中間連結会計期間末における総資産は、有価証券の増加等はあったものの、減価償却による有形固定資産及び無形固定資産の減少、商品及び製品、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ28百万円減少し19,763百万円となりました。
負債合計は、買掛金および長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ298百万円減少し7,492百万円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加、非支配株主持分の増加等により、前連結会計年度末に比べ269百万円増加し12,270百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の43.7%から0.9ポイント増加し44.6%となりました。
なお、当社は、大手町に開設した新データセンターの投資に伴う資金需要に対し、機動的な資金調達を行うため、2018年3月に取引銀行等5社と総額40億円のコミット型シンジケートローン契約を締結しており、当中間連結会計期間末の本契約に基づく借入金残高は16億25百万円であります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して122百万円増加し、7,708百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益の計上、非現金支出費用である減価償却費の計上等により691百万円の収入(前年同期は1,958百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、定期預金の預入による支出等により388百万円の支出(前年同期は308百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入、非支配株主からの払込みによる収入があったものの、長期借入金の返済による支出、配当金および非支配株主への分配金の支払額等により180百万円の支出(前年同期は560百万円の支出)となりました。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境と経営戦略」の記載を一部更新しております。なお、更新後の全文は、以下の通りです。
(更新後の全文)
生成AIやソフトウェア・ハードウェア技術の進化、企業のDX推進やデータ活用に対する取り組みに関連する市場の拡大等、情報通信業界は急速に変化しております。このような業界環境の中、当社グループに関連するデータセンター市場、クラウド市場は拡大傾向が続くと見込まれ、ケーブルテレビ市場も一定の規模があります。市場規模が拡大する中で、当社グループは成長機会を逃さないためにも事業環境の変化に対応し、コンピュータプラットフォーム事業とメディアソリューション事業の2つのセグメントで事業運営を行っております。
コンピュータプラットフォーム事業においては、当社は、データセンター、クラウド・ソリューション、デー タ・ソリューションを提供してまいりました。これまでの姿勢は、ITサービスを従来型のITベンダー企業の供給者側論理に基づく取組姿勢でした。しかし、世界は、DX(デジタルトランスフォーメーション)という一大転換点を迎えております。当社としては、このDXという転換点を、過去の供給者側論理によるITシステムの利用ではなく、需要者側論理に基づく、ユーザー企業主導のITシステムの利用であると位置づけ、 DXビジョンの起点といたします。また、日本の社会課題として、首都圏と大企業への一極集中があります。
当社は、今後、ユーザー視点に立脚し、社会課題を解決し、地方創生と中小企業の活性化に貢献するDX(デジタルトランスフォーメーション)センターカンパニーとしての役割を果たすべく、当社グループにわたる取り組みを進めてまいります。とりわけ、DX推進の中核を担うコンピュータプラットフォーム事業を基盤に、以下の3つの重点テーマに注力してまいります。
① 事業の変革 データセンター、クラウド、ストレージ(コンピュータプラットフォーム事業)/地域DX(メディアソリューション事業)
② ITシステムの変革
③ DX人材戦略の推進
① 事業の変革では、ユーザーが最適なデータセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューションを享受できる環境を整備し、ユーザー企業が自由に当社のサービスとソリューションを選択可能とする取り組みを行ってまいります。
まず、データセンター事業の刷新を図ります。具体的には、RTT (Round-Trip Time、ラウンドトリップタイム、信号やデータを発信してから、応答が返ってくるまでにかかる時間)で分類し、全国からデータが集中する全国型 DC(National Data Center)(RTT:20~100ms)をコアデータセンターとして位置づけます。次に、新たに政令指定都市などの地域の中心都市に地域型データセンター(Regional DC)(RTT: 5~20ms)、さらに、新世代モバイル通信網である5GおよびBeyond5Gの低遅延特性を活用するエッジ型データセンター(RTT:1~5ms)の三階層データセンターを整備し、ユーザー企業や政府・自治体へのニーズに応えてまいります。これらの施策の一環として、データセンター事業におけるアセットライト事業モデルの推進、ハイパースケールデータセンター事業への進出に取り組んでまいります。
次に、クラウド事業の刷新を図ります。当社では、保有するデータセンターを基盤とし、自社オリジナルのクラウドサービスの性能、機能、信頼性をユーザーの利用促進に向けた接続環境の強化に取り組んでまいりました。今後は、マルチクラウド/AIサービスとの技術連携、データ・ソリューション領域におけるストレージサービスとの連携を通じて、次世代基盤の整備を推進し、ユーザーにとってのサービス拡張性・信頼性のさらなる向上を目指してまいります。
さらに、ストレージ事業の刷新を図ります。従来のスケールアウト(台数による大型化可能な)NAS(Network Attached Storage、アプライアンス〔専用〕ストレージ)、SDS(Software Defined Storage)に加え、ハードディスク型・半導体型を含む多様なストレージ構成に柔軟に対応できる基盤整備を進めてまいります。また、クラウド・ソリューション領域との連携を視野に、MSPサービスによる運用支援体制の強化を通じて、AIを活用したデータ分析や運用最適化を含む、統合的なデータマネジメントソリューションの開発を推進し、ユーザーにとっての運用性・拡張性・信頼性のさらなる向上を目指してまいります。
当社事業に関わるこれら3つの刷新によって、ユーザー企業が、特定のクラウドベンダーやITベンダーにロックインされず、柔軟性のある情報システムを構築できるようユーザー企業のDXを支援するために、DataセンターカンパニーからDXセンターカンパニーへの転換を図ってまいります。
最後に、地域DXでは、メディアソリューション事業におけるジャパンケーブルキャスト株式会社(以下、JCC)が、日本全国のケーブルテレビ事業者向けのコンテンツプラットフォーム、日本全国のケーブルテレビ事業者及び地方自治体向けに展開しているインフォメーションプラットフォームを提供してまいりました。現在、JCCの属するケーブルテレビ業界が、放送の高画質化(SD標準から4K8K超高精細)、限定受信方式(CAS)の効率化・高セキュリティ化(C-CASから ACAS)等、大きな変化を迎えております。そういった状況に対処するべく、次世代放送サービスへのスムーズな移行を進め、トータルオペレーションの効率化を図ります。なお、地方自治体のデジタル化推進により、防災や地域情報配信に関するニーズが高まっており、これに伴い、ケーブルテレビ業界が持つ地域密着型の特性を活かし、ケーブルテレビ事業者を通じて自治体との連携を強化し、防災や地域情報発信に関わる事業の拡大を進めてまいります。これらを通じて、地域におけるDX基盤としての機能を強化し、地方創生に貢献してまいります。
② ITシステムの変革では、「社内・営業関連システム」と「事業関連システム」の横断的な連携を通じて、中長期的に統合オペレーションの推進を図っています。業務のデジタル化や自動化、AIの積極活用を通じてデータ管理の高度化を進めるとともに、業務プロセスの効率化を実現し、プロセスイノベーションに取り組んでいます。これにより、柔軟で拡張性のあるIT基盤を整備し、ユーザーのニーズに迅速に対応することで顧客満足度の向上を図ります。あわせて、業務における管理工数の削減や生産性向上の実現にも取り組んでいます。
③ DX人材戦略では、デジタルスキル標準(DSS)に基づき、部門別にDX人材の定義・可視化を進めています。今後はデジタルリテラシーの底上げと、人的資本の観点から持続的成長に向けた人材ポートフォリオの構築を目指します。
以上の重点テーマをもとに注力していくと共に、DXセンターカンパニーとしての提供価値を最大化するため、当社グループ内における連携だけでなく、グループ外の他企業との連携も図り、新たなサービスの創出に努めてまいります。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は35百万円であります。
(8)生産、受注及び販売の実績
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当中間連結会計期間において、資本の財源及び資金の流動性に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、「経営上の重要な契約等」の決定又は締結等はありません。