第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「新たな価値を創造し、世の中の標準に進化させる取り組みを通じて社会に貢献する」ことをミッションとしております。

 そのうえで中長期的な経営の基本方針として、企業価値向上のため、当社グループは事業規模の拡大を推進するとともに、それを支える人材の強化及び次世代人材の育成を推進することとしております。

 また、加速する経営環境の変化に対処し、長期的な展望に立って、グループ全体の収益構造の変革に取り組んでいくこととしております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、2028年6月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)を策定し、2025年8月に公表いたしました。本計画の最終年度である2028年6月期における経営数値目標は以下のとおりであります。

 

 

2025年6月期 実績

2028年6月期 目標

 売上高

8,695百万円

10,000百万円以上

 営業利益

742百万円

1,000百万円以上

 営業利益率

8.5%

10.0%以上

 ROE(自己資本利益率)

3.0%

10.0%以上

 DOE(株主資本配当率)

4.9%

5.0%以上

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

①中長期のビジョン

 

 

NEXT STANDARD

~ アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする ~

 

積極的な事業投資と収益構造の変革による継続的な成長を果たすとともに、

利益還元とガバナンスの向上によりステークホルダーからの厚い信頼を獲得し、

アウトソーシング事業者としてさらなる進化発展を目指します。

 

 

 

②中期経営計画の位置づけ

今般新たに中期経営計画として策定した今後の3ヵ年におきましては、

 

・コロナ禍以前のストック売上高成長率と営業利益率に「回復」させること

・基盤システムの再構築、M&Aも含めた新たな事業創出に「投資」を行うこと

 

に重点を置き、その先の中長期に向けた成長のステップとして取り組んでまいります。

そのうえで、改めて時価総額250億円を超える企業集団を目指してまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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③中期経営計画の骨子

 当社グループは、2026年6月期を初年度とする3ヵ年中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)を策定し、基本方針に沿った以下の経営戦略を実行していくことで、本中計の目的達成と中長期ビジョンの実現を目指してまいります。

 

<経営戦略>

1)基盤事業の成長ストックビジネスの維持・拡大

「社宅マネジメント事業」「マンションマネジメント事業」という2つの基盤事業において、ストックビジネスの維持・拡大を通じて、コロナ禍前のストック売上高「年5%成長」に「回復」させます。

 

 

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2)収益構造の変革:アウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展

 

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■アウトソーシング領域の拡大

アウトソーシング領域の拡大にあたっては、クラウド型サービス等の非労働集約型ビジネスモデルの拡大を推進することで、「売上構成の変革」を実現し、売上の伸長と利益率の向上に取り組みます。

 

■オペレーションの変革

オペレーションの変革にあたっては、デジタル化の推進等によって、原価人件費率を逓減(ていげん)させることで「原価構造の変革」を実現し、労働生産性向上と原価率低減を目指します。

 

 

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3)将来に向けた投資

中期経営計画期間においては、デジタル化の推進、人材確保と育成、新たな事業の研究・開発等への「投資」を行うことで、中長期の成長シナリオ実現の基礎作りに取り組みます。

 

 その結果を成長の源泉とするとともに、ステークホルダーに対して、十分な利益還元を行うことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

(4)会社の対処すべき課題

 当社グループは、アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする企業集団として、顧客の声に学び、発想力と創造力に加えてグループシナジーを結集することにより、次の時代の標準となるようなニーズを先取りした製品やサービスを提供し、唯一無二の企業集団への成長を目指してまいります。

 当社グループでは以下の3点を企業集団共通の対処すべき課題と認識し、取り組んでおります。

   ① 基盤事業の成長:ストックビジネスの維持・拡大

   ② 収益構造の変革:アウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展

   ③ 将来に向けた投資:デジタル化の推進、人材確保と育成、新たな事業の研究・開発等への投資

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)サステナビリティ共通

①ガバナンス及びリスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ(ESG要素を含む、中長期的な持続可能性)を経営上の重要課題と認識しています。

 サステナビリティに関するマネジメント体制構築のため、グループ全体に及ぶリスク管理に関する規程を定め、必要な管理機構を整備し、サステナビリティ(気候変動を含む。以下同じ。)への対応に関わるリスクの抽出と評価、その対応について統合的に管理・推進しています。

 サステナビリティに関するリスクは、原則として年に1回以上、当社及びグループ各事業会社の経営会議において抽出・評価及び対策を協議した後、グループ経営会議(注1)の付属機関であるサステナビリティ分科会(注2)がグループ各社や各部門のリスク・機会を取りまとめ、確認後、グループ全体のリスク管理を行うグループ経営会議において報告を受け進捗管理・審議し、サンネクスタグループ社取締役会に報告します。

 サンネクスタグループ社取締役会は原則として年に1回以上、上記報告を受け、審議するとともに、毎年、期末・期初において年に1回以上、グループ全体におけるリスク評価や対策等を踏まえ、内外の環境変化等も考慮の上、サステナビリティに関する新年度におけるすべての重要リスクを確認・確定のうえ、その中から「事業等のリスク」を抽出・特定し、有価証券報告書に開示します。

 そして毎四半期、取締役会は「事業等のリスク」を中心に管理状況等の報告を受け審議します。

 この一連のリスク管理プロセスの有効性は、サンネクスタグループ社監査等委員会及びグループ内部監査室にてモニタリングされ、サンネクスタグループ社取締役会等にフィードバックされます。

 

(注1)グループ経営会議の構成メンバー

グループ全社の代表取締役及び取締役代表執行役員、並びに当社の常勤取締役(代表取締役社長、取締役常勤監査等委員)及び執行役員(管理部門担当)

(注2)サステナビリティ分科会の構成メンバー

当社代表取締役社長及び執行役員(管理部門担当)

 

 サステナビリティに関するマネジメント体制

 

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 リスク管理プロセス図

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②戦略/サステナビリティ基本方針及び取り組み

 当社グループは、企業理念(基本精神、存在理念、経営理念、ネットワーク理念)に基づき、サステナビリティ基本方針(注1)及びグループ行動規範を策定し、企業活動を通じて経済的な役割を果たすと共に、環境及び社会に対しての役割もまた同様に担い、その責任が果たせる統治体制の整備・運用・強化により、持続的な企業価値の向上並びに持続可能な社会の実現に取り組んでおります。

 サステナビリティ基本方針に則り、中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)のもと、当社グループの事業展開にかかわる全ての「人」と「住まい」を視野に入れ、「働く人の健康・活躍」、「安全・安心・快適な住まい環境の整備」をキーコンセプトに、サステナビリティへの取り組みを以下のとおり実施しています。

 

ⅰ.当社グループの従業員を中心として、「デジタル化による高付加価値業務へのシフト」、「クラウドワーカーの活用」等により、「多様な人による多様な働き方、個々人の能力・専門性を最大限に活かせる職場と人材育成、待遇向上」を進めてまいります。

ⅱ.パートナー企業と、デジタル技術を活用した新たな管理モデルの構築等の共同開発や各種業務提携を通じて、住まいと暮らしの安全・安心・快適を推進するとともに、働く人々の様々な制限を自由化するBPOサービスを展開してまいります。

ⅲ.顧客企業の総務・人事部門を中心とした皆様が、当社グループの社宅管理事務代行業務をはじめとする各種「アウトソーシング(=BPO)」サービスをご利用いただくことにより、より高付加価値な業務に集中できるよう、サービスを拡充してまいります。

ⅳ.住環境の最適化と建物の資産価値の維持保全や入居者(高齢者)の安全をサポートするサービス・事業展開を通じて、「安全・安心・快適な住まい環境の整備」に貢献してまいります。

ⅴ.環境への取り組みとして、デジタル化推進により、ペーパーレス化を進めてまいります。

 ペーパーレス化推進等、集団への啓発と行動変容を通じて環境にやさしい活動を推進します。

ⅵ.これらを支える基盤として、以下により、透明・公正・迅速・果断な意思決定と適切な対応を行う経営を行ってまいります。

・独立社外取締役を過半数とする取締役会

・監査等委員会設置会社として、グループ全体の事業ポートフォリオ、投資等の重要意思決定及び監督機能への比重増大

・持株会社によるグループガバナンス、事業会社へのシェアードサービス

・各事業会社の事業へのさらなる集中及び新事業展開

 

 持株会社体制のもと、グループ経営会議においては、グループ全体に関わる重要なテーマ・課題について審議のうえ、当社の取締役会に付議・報告をしています。

 サステナビリティへの取り組みについても、グループ経営会議にて、各取り組みの執行状況の確認を行い、定期的に取締役会に付議・報告します。

 また、サステナビリティへの取り組みについては、当社ウェブサイト「サステナビリティサイト」(注2)等を通じて開示し、ステークホルダーの皆様との対話及び関係の強化を図ってまいります。

(注1)<サステナビリティ基本方針>

 SUNNEXTAグループは、企業理念に基づき、企業活動を通じて経済的な役割を果たすと共に、環境及び社会に対しての役割もまた同様に担い、その責任が果たせる統治体制の整備・運用・強化により、持続的な企業価値の向上並びに持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

■事業

パートナーとともに、環境問題にも配慮し、社会課題の解決につながる商品やサービスの創造を行います。

■環境

集団への啓発と行動変容を通じて環境に優しい活動を推進します。

また、人の住まいと暮らしの安全安心快適を推進する事業者として住環境へ潤いの提供を行います。

■社会

社会の繁栄に向けて、集う人々の幸福の創造と拡大と共に、絆の向上も図り、また将来の繁栄を築く人材の育成を推進します。

多様な働き方を叶えるオペレーションの実現を図り、価値の高い労働機会の提供を拡大してまいります。

■ガバナンス

持株会社体制のもと、集団経営を推進するとともに、監督と執行の分離を図り、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定と適切な対応を行う経営(ガバナンス)に努めてまいります。

 

(注2)<ウェブサイト サステナビリティサイトのトップメッセージ>

 私たちサンネクスタグループは、独立系アウトソーシング事業者として創業以来、サステナビリティ(持続可能な社会の実現)に真正面から向き合ってきました。

 グループの「基本精神/存在理念」のもと、3つの事業、「アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする」ことで、サステナビリティを成し遂げ、社会全体から必要とされる会社であり続けたい。

 私たちは、常に未来に向かって、未来の誰かの幸せのために活動し続けていきたい。

 私たちは、日々、一瞬一瞬が未来の誰かの幸せのためにつながっていることを感じながら、これからも事業すなわちサステナビリティに取り組んでまいります。

 

③指標及び目標

 気候変動対応(TCFDへの賛同)及び人的資本に関して、指標(又は目標)を設定しています。

(以下ⅰ及びⅱ参照)

 

ⅰ.気候変動対応

(TCFD提言への賛同)

 当社は、2022年8月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しました。引き続き当社は、グループ全社において気候変動に真摯に向き合い、事業に影響する機会・リスクへの理解を深化させ、TCFD提言に基づく気候変動関連の積極的な情報開示に努めてまいります。

(TCFD提言が推奨する情報開示項目)

 TCFD提言は、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することを推奨しています。

 当社は、TCFD提言が求める4つの情報開示項目に基づいた情報開示のさらなる拡充に取り組んでまいります。

 

 TCFDへの対応の開示は、当社ウェブサイトに掲載しております。

 https://www.sunnexta.co.jp/sustainability/download/

 

 

ⅱ.人的資本(人材の多様性含む)/戦略及び指標、目標

 当社グループにおいて、人材はかけがえのない人的資本であり、将来の成長と成功のためには、有能な人材の確保と育成、そのための環境整備が欠かせないものと考えています。

 自己実現の夢をもった従業員を支援し、個々人の能力・専門性を最大限に活かせる職場づくりを目指すことで、企業集団として持続的な成長を果たしてまいります。

 中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)においては、既存事業をベースに「デジタル技術や外部提携先との協働を通じて、新たな高付加価値サービスに転じてゆく取り組み」を事業成長戦略の中心としていることから、これらを担う人材、すなわち「①経営人材」「②マネジメント人材(管理職)」「③改革・重要課題推進人材(リーダー)」及び「④専門人材(具体的には当社グループの『事業継続に不可欠な資格・スキルを有する人材』や『IT等、専門性の高い就業経験を有する人材』)」の確保を最重要テーマとしています。

 これらの必要人材の獲得に向けては、内部人材の育成を中心に、必要に応じて外部採用を行うこととしており、外部採用の方策としては、市場競争力のある報酬水準に段階的に高めてゆくことを計画しています。また、育成に向けては、必要な資格・スキルの習得に向けた支援制度の導入を進めるほか、役割に応じた研修の充実とタフアサインメントによる実践育成を中心に展開する方針としています。

 また、報酬以外が獲得の鍵となる人材に向けては、生産性向上・省力化を叶えるデジタル化やライフスタイルの変化に応じて多様な働き方が選択できる制度等の整備を中心に、長く活き活きと働ける職場づくりを行うこととしています。

 また、グループ行動規範の遵守を意図した各種研修(ハラスメント、コンプライアンス、情報セキュリティ等)のほか、内部通報制度等を整えることで、全員が常に高い倫理観と社会的良識をもって行動し、社会から信頼される会社として評価され、持続的に発展できるよう取り組んでいます。

 

a. 中核人材の登用等における多様性確保

 当社グループは、様々な価値観を持った多様な人々が、共通の目標に向け自立しながらもお互いを尊重し、価値を高め合いながら活躍し続けられる「好きで続けられる集合体」であることをグループ共通のスローガンとして掲げております。

 企業価値向上の中核人材となる管理職の確保においても、年齢、国籍、性別等にかかわらず、企業理念への共感をベースに、必要な能力の保有・発揮状況、集団に対するリーダーシップの質と量により登用する制度としております。

 当社グループでは、アウトソーシング事業者としてさらなる進化・発展を目指すにあたり、次の中核人材の確保は重要な経営課題の一つであることから、その候補者として女性従業員の活躍支援を一層強化することとしています。活躍の方向性として、担当職務の専門性を一層高めるキャリアのほか、管理職へのキャリアも推奨し、女性がチャレンジしやすい雰囲気づくりや、制度・環境整備を推進しています。

 

 当社グループの中核事業を担う日本社宅サービス社においては、2025年4月1日より3ヵ年を計画期間とした女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、2028年3月末までに女性管理職比率を20%とすることを目標に掲げて取り組んでいます。また、その他の会社においても、育児や介護を行う中心世代の柔軟な働き方を実現するための両立支援制度の拡充などを通じて、キャリア形成を後押しする取り組みを推進しています。

 (2025年6月期末の女性管理職比率)

  ・日本社宅サービス株式会社  15.9%

  ・グループ会社全体  13.9%

b. 人材育成方針

 当社グループにおける人材育成は、考え方・熱意・能力という3つの要素の掛け算で人生や仕事の結果が決まる「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という価値観を核に展開しております。

 また、当社グループが求める人材像は、“当社企業理念への共感と、当社グループの事業に関心を抱き、仕事に真摯に向き合いながら誠実に自己研鑽を続けてゆける人材”とし、その資質を持つ人が、バックグラウンドの違いなどを理由に必要な教育を受ける機会を喪失することがないように配慮しています。

 そのうえで、基本的な教育としては、従業員が高い倫理感と社会的良識を備えることを目的とし、当社理念・グループ行動規範をベースとした教育を正社員全員に、ハラスメント、コンプライアンス、情報セキュリティ等の定期研修を全従業員に、毎年実施しております。

 各社の業務推進に必要な専門知識や能力開発については、それぞれの職場の状態と業務特性から必要な研修内容を考え、OJTとOff-JTを組み合わせて指導にあたることで、より実践的な育成を行っていくことを基本としているほか、業務に必要な資格取得支援などを合わせて行っております。

 なお、管理職を目指す人材や管理職に対しては、会社の枠を超えた研修や方針発表会等の機会を活用して、グループ共通の価値観の醸成を図るとともに、シナジーを生み出す人的ネットワークづくりの場としても活用しております。

c. 環境整備方針

 環境整備に関しては、従業員の多様な働き方を実現し、ライフステージごとの就労制限の解消に向けた制度を導入することで、長く働ける職場環境づくりを推進していく方針です。

 「社員の成長があって、会社の成長がある」という考えのもと、一人ひとりが自分自身の付加価値を継続的に高めてゆく企業文化の醸成に重点を置き、これらを支える取り組みとして、まずは従業員の健康維持・増進対策を進めることに加え、従業員の能力開発を行うことで自己進化の継続に重きを置いた企業文化の中で会社と従業員が互いに選び合い、「好きで続けられる会社」を実感できる環境づくりを進めています。

 そのために、有給休暇の取得推進や残業時間の低減の取り組みや人事制度・報酬制度の拡充、人材個々に求める役割や適性を充分に考慮した適材適所の配置などを進めております。

 なお、多様性の確保に向けては、当社グループは女性活躍推進と次世代育成の取り組みを推進しております。

 特に、キャリア形成の過程で、ライフイベントの影響を受けやすいとされる女性が活躍しやすい職場環境を作ることは、男性にとっても好環境につながるものと考えており、階層別の集合研修やOJTを通じたチャレンジ機会の創出、出産・育児にかかる諸制度の充実、多様な働き方の受け入れを可能にする労働環境の整備等に取り組んでいます。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクを記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)政策や法的規制等の変更に関するリスク

 社宅マネジメント事業は、企業等の福利厚生制度や転勤制度に深く関連しており、企業の人事制度及び国内の不動産管理・取引に纏わる法令や税制の影響を受けております。今後、前述の制度に関する枠組みの見直し、及び関連する法令や税制が大きく変更されることにより、当社グループの提供するサービスの形態に変更が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、マンションマネジメント事業は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、区分所有法、下請法・建設業法等各種法令を厳守しつつ事業を行っております。今後、関連法令や制度の変更により、事業展開に新たな制限を受ける可能性があります。

 さらに、インキュベーション事業は、新規事業創出に向けて複数のサービスを展開する中で業際型のビジネスも含まれており、現時点では保険業法などの影響下にあります。今後、関連法令や制度の変更により、事業展開に新たな制限を受ける可能性があります。

 当社グループでは、これらすべての法的規制を遵守すべく、コンプライアンス重視の徹底を図っておりますが、その取り組みの範囲を越えた事象が発生した場合、また、予期せぬ法的規制の導入や強化・変更により法的規制遵守等に係るコスト負担が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、ITを活用して事業や業務のデジタル化を進めるとともに、データを活用したビジネスを展開しており、個人番号(マイナンバー)を含む多数のお客様の個人情報や機密情報をお預かりしております。そのため、停電、自然災害、機器やソフトウエアの欠陥等によるシステム及びネットワーク障害、あるいはサイバー攻撃等の予測できない障害の発生、個人情報を含む機密情報についての紛失や漏洩、改ざん等、また当社グループが提供するシステムサービスの業務の不履行等が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が生じるとともに、社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、万が一の場合に備えて最大限の保守・保全の対策を講じるとともに、社内規程の整備や社員教育の徹底、ウイルス対策ソフト導入やソフトウエア更新による脆弱性解消などセキュリティシステムの強化による様々な対策と情報管理体制の強化に努めております。

 

(3)人材の確保に関するリスク

 当社グループの競争力の源泉は人材であり、本格的な人口減少社会を迎え、一層の経済規模の縮小が懸念される中、将来の成長と成功のためには、有能な人材の確保と育成が欠かせないものと考えております。

 そのため、適正な人材の採用・育成・維持・確保が計画どおりに進捗しない、または有能な人材が社外に流出するリスクが顕在化した場合、あるいは、人材不足の対策として技術革新を活用した省力化の取り組み等が遅れた場合には、事業の進化や継続性に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、人材の獲得や定着の阻害事項となる要素の把握と改善を図る取り組みを継続的に行うことに加え、多様な人材が活躍できる環境や制度の整備により、雇用の維持・拡大をはかる取り組みを進めております。

 

(4)M&Aや資本業務提携等に関するリスク

 当社グループは、新規事業やサービスの拡大のため、M&Aや資本業務提携等をその有効な手段のひとつとして位置付けております。対象となる企業については、取締役会等において事業の収益性や投資回収の実現性等を十分に検討した上で意思決定し、実行してまいりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、当初期待した効果が十分に得られなかった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)保有有価証券の価格変動に関するリスク

 当社グループは、今後の持続的な成長の実現のため、取引先との事業上の関係等を総合的に判断し、政策的に株式を保有することがあります。今後、株式相場の下落や、投資先企業の財政状態の急激な悪化等により、保有する株式の時価又は実質価額が帳簿価額を著しく下回ることとなった場合には、当該株式の評価損を計上することにより、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 保有する投資有価証券については継続保有に資するかを毎年検討しており、保有の合理性が認められない株式については縮減を進めることとしております。

 

(6)関係会社株式の評価に関するリスク

 当社グループは、関係会社株式について、関係会社の財政状態等を勘案し評価を行っております。関係会社各社の株式の実質価額が取得原価よりも著しく下落し、かつ、実質価額が取得原価まで回復する見込みがない場合には、減損処理により評価損を計上する可能性があります。関係会社については、取締役会への定期的な報告を求め、共通の経営理念の下で事業遂行し、適切な運営を行える体制を構築しております。

 

(7)固定資産の減損処理に関するリスク

 当社グループは、有形固定資産、ソフトウエアなどの固定資産を保有しております。有形固定資産及びソフトウエア等のうち、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、減損した当該金額を減損損失として計上することとしております。このため、当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)繰延税金資産に関するリスク

 当社グループでは、将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。しかしながら、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは会計基準の改正等があり、繰延税金資産の計上に何らかの制限が課された場合には、取り崩しが発生し、多額の税金費用(法人税等調整額)が発生することになり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)自然災害に関するリスク

 気候変動リスクのうち、特に大規模な地震、風水害等の自然災害に関するリスクは年々高まっており、これらの大規模災害が想定を超える規模で発生した場合には、事務所施設の損壊、システム障害、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、社会インフラの寸断等により、当社グループも事業活動の停滞あるいは停止を余儀なくされ、その結果、事業活動の復旧に長期間を要した場合や多額の費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、事業継続に大きな影響を及ぼすあらゆるリスクを想定し、従業員の安否を確認する仕組みとして安否確認システムを導入するとともに、リスク管理規程や危機管理規程により、緊急対策が直ちに発動される体制を整えております。また、これらの災害・事故等の事象を網羅的に考慮した「事業継続計画」を策定し、発生した事象の復旧に対してはバックアップセンターを活用して、速やかに対処できるよう対策を講じております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や堅調なインバウンド需要に支えられ、緩やかな回復基調で推移しました。一方、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響、海外景気の下振れ懸念等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く事業環境においては、社宅管理事務を含む人事・総務関連業務において、恒常的な人材不足が顕在化していることや、テレワークの普及等による働き方の多様化により、アウトソーシングサービスの活用を検討する企業が増加しております。また、分譲マンション管理業では、新築分譲マンションの供給戸数の先細りが見込まれるものの、マンションストック数は年々増加しており、経年劣化に伴う共用部の修繕工事も増加傾向にあります。

 このような状況のもと、当社グループは5ヵ年中期経営計画の最終年度を迎え、2つの基盤事業におけるストックの積み上げによる事業拡大に注力するとともに、「アウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展」を目指し、重点テーマである「アウトソーシング領域の拡大」と「オペレーションの変革」に取り組んでまいりました。

 「アウトソーシング領域の拡大」に向けては、社宅のアウトソーシングにおける中堅・中小企業向け専用サービスや人事総務向けBPOサービス、分譲マンションのアウトソーシングにおける専有部サービス、システム提供を中心とした中小の管理会社向け支援サービス等、新たな領域のサービス拡大を進めており、また、「オペレーションの変革」に向けては、事業を取り巻く環境変化に対応し、継続的に安定的なサービスを提供するため、デジタル技術等を使い、サービスの提供体制の変革に取り組んでまいりました。

 

2024年6月期

(百万円)

2025年6月期

(百万円)

増減額

(百万円)

前期比

(%)

売上高

8,371

8,695

324

103.9%

売上総利益

1,989

2,048

58

102.9%

営業利益

653

742

89

113.6%

経常利益

653

758

105

116.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,775

229

△1,545

12.9%

その結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高86億95百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益7億42百万円(同13.6%増)、経常利益7億58百万円(同16.1%増)となりました。他方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に発生した投資有価証券売却益22億13百万円がなくなったことに加え、社宅アウトソーシングサービスの社内基幹システム開発において、昨今のITテクノロジーの進化を踏まえ、開発方針の再検証を行った結果、より有効な他の開発方法を選択し、現行の開発プランの継続中止を決定したことから、システム開発に係るソフトウエア仮勘定の除却損等3億77百万円を計上したため、2億29百万円(同87.1%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

<社宅マネジメント事業>

 

2024年6月期

(百万円)

2025年6月期

(百万円)

前期比

(%)

売上高

4,279

4,371

102.1%

営業利益

1,200

1,183

98.6%

社宅マネジメント事業においては、企業における住宅制度・運用の見直しや高い外部委託ニーズを背景に、大手企業を中心に制度改定コンサルテーションの引き合いが引き続き高い状態にあり、大手企業向けの新規受注獲得が堅調に推移しております。当連結会計年度は、前期に発生したインボイス制度導入支援のスポット収入が減少しましたが、受託収入やコスト削減サービス等のストック収入が堅調に推移したことから、売上高は43億71百万円(前年同期比2.1%増)となりました。一方、利益面では、スポット収入の減少に加え、業務工数の増加やサービスの安定化に向けた体制強化により人件費が増加したことから、営業利益は11億83百万円(同1.4%減)となりました。

 

過去5年間の決算日現在の社宅のアウトソーシング受託件数の推移は、次のとおりであります。

決算年月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

2024年6月

2025年6月

受託件数(件)

287,369

270,915

284,162

292,990

313,126

(注)2024年6月期より「社宅関連業務のアウトソーシング受託件数」にしゃたくさんLiteの受託件数を加えております。

 

<マンションマネジメント事業>

 

2024年6月期

(百万円)

2025年6月期

(百万円)

前期比

(%)

売上高

3,808

4,132

108.5%

営業利益

249

350

140.9%

マンションマネジメント事業においては、マンション管理の新規受託における引合いは引き続き堅調であり、管理戸数は増加しております。当連結会計年度は、専有部のリフォーム工事や元請による計画修繕工事、販売用不動産の売却が増加したことにより、売上高は41億32百万円(前年同期比8.5%増)となりました。利益面では、管理員等の人件費上昇等はあるものの、売上の増加により、営業利益は3億50百万円(同40.9%増)となりました。

 

過去5年間の決算日現在のマンション等管理棟数及び管理戸数は、次のとおりであります。

決算年月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

2024年6月

2025年6月

管理棟数(棟)

マンション

673

673

686

698

706

 

その他

333

348

372

335

311

管理戸数(戸)

マンション

24,207

24,096

24,405

24,512

24,767

 

<インキュベーション事業>

 

2024年6月期

(百万円)

2025年6月期

(百万円)

前期比

(%)

売上高

283

191

67.7%

営業損失(△)

△5

△21

インキュベーション事業においては、住まいを管理する事業者に向けたサービスプラットフォームを提供するマネジメントサポート事業の育成に注力しておりますが、前期に主要顧客の解約が発生したコールセンターサービスにおいて、自社運営のコールセンターを持たない成長シナリオの再構築に着手していることから取引が減少し、売上高は1億91百万円(前年同期比32.3%減)、営業損失は21百万円(前年同期は5百万円の営業損失)となりました。

 

過去5年間の決算日現在のコールセンターユーザー数は、次のとおりであります。

決算年月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

2024年6月

2025年6月

ユーザー数(件)

93,333

99,016

101,276

41,228

(注)コールセンターサービスは2025年6月期から運営体制を外部委託に切り替えております。

 

②財政状態の状況

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ2億36百万円減少し、94億94百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少3億70百万円、その他に含まれる未収還付法人税等の増加3億20百万円、販売用不動産の減少2億36百万円によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億98百万円減少し、9億64百万円となりました。これは主に、基幹システム開発の計画見直しに伴うソフトウエア仮勘定の除却等による減少3億34百万円、政策保有株式取得による投資有価証券の増加1億60百万円によるものであります。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ5億47百万円減少し、22億46百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少7億39百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加1億4百万円によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ2億91百万円増加し、4億84百万円となりました。これは主に、長期借入金の増加2億61百万円によるものであります。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ1億78百万円減少し、77億29百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使や従業員持株ESOP信託口に自己株式を譲渡したことによる資本剰余金の増加1億36百万円、配当金の支払い等による利益剰余金の減少1億44百万円、自己株式の取得等による減少1億60百万円によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ23億70百万円減少し、49億46百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果減少した資金は68百万円(前連結会計年度は9億57百万円の資金の増加)となりました。これは主として、法人税等の支払額11億36百万円、税金等調整前当期純利益3億82百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果減少した資金は22億56百万円(前連結会計年度は19億69百万円の資金の増加)となりました。これは主として、定期預金の預入による支出20億円、投資有価証券の取得による支出1億79百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果支出した資金は45百万円(前連結会計年度は3億48百万円の資金の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額3億73百万円、長期借入れによる収入4億18百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日)

金額(千円)

前期比(%)

 

社宅管理事務代行

4,319,917

101.8

社宅マネジメント事業

システム導入

51,445

134.8

 

小計

4,371,362

102.1

 

マンション等施設管理

2,561,307

100.0

マンションマネジメント事業

修繕工事

1,034,379

111.9

その他

537,218

166.9

 

小計

4,132,905

108.5

インキュベーション事業

191,637

67.7

合計

8,695,906

103.9

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

 「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(財政状態の分析)

 「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社宅マネジメント事業において、転勤手続きにともなう社宅の賃貸借契約の契約金を顧客企業に代わって当社が一時的に立替払いを行っており、転勤者が集中する異動期等には多額の営業立替金が発生することとなるため、金融機関と当座借越枠を設定し、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。また、その他の事業遂行上の必要な資金や中期経営計画上の事業拡大と生産性向上を目的とした戦略的投資に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローから安定的に確保し、内部留保の蓄積を基本とした自己資金を中心に賄うこととしております。

一方、今後の事業展開に伴う新たな資金需要が発生した場合には、自己資金に加え、金融機関からの借入も選択の範囲においております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りに関しては、過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的な判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

④経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況

当社グループは、2025年6月期を最終年度とする中期経営計画において、時価総額250億円を超える企業集団を目指し、「アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする」企業として、その貢献度を高めるべく事業領域の拡大に取り組み、そして、働き方の多様化や労働人口の減少等の変化にいち早く応えながら、サービスの価値をより一層高めるため、オペレーションの変革に挑んでまいりました。

しかしながら、社会情勢や市場環境変化が激しかった前中計期間においては事業全体がその変化にうまく対応しきれず、様々な取り組みにおいて遅れが生じた結果、経営目標には届かず、未達に終わっております。

 

 

2025年6月期

2025年6月期

目標数値

実績

売上高

10,000百万円

8,695百万円

営業利益

1,000百万円

742百万円

営業利益率

10%以上

8.5%

1株当たり当期純利益

70円以上

25.07円

ROE(自己資本利益率)

9%以上

3.0%

DOE(株主資本配当率)

5%以上

4.9%

TSR(株主総利回り)

120%以上

108.0%

 (注)目標数値は、2023年8月10日に公表した見直し後の数値目標です。

 

上記の結果を踏まえ、当社グループは、2025年8月に2028年6月期を最終年度とする中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)を発表し、今後3ヵ年におきましては「回復」と「投資」に重点を置き、その先の中長期に向けた成長のステップとして取り組んでまいります。

 

 

5【重要な契約等】

フランチャイズ契約について

当社連結子会社の日本社宅サービス株式会社(以下「同社」という。)は、社宅の管理事務業務及び採用・転勤に伴う社宅の手配・提供業務とその周辺事務手続を一括して受託しております(社宅アウトソーシング)。そのため、各地に赴任する転勤者及び採用者向けの社宅手配・提供に対応する加盟店ネットワーク(以下「日本社宅ネット」という。)を全国規模で展開しており、各地の不動産会社との間でフランチャイズ契約を締結しております。

フランチャイズ契約の当事者は、フランチャイザーである同社とフランチャイジーとなる加盟店であり、契約の要旨は以下のとおりであります。

 

当事者間(同社及び加盟会社)で締結する契約

①契約の名称

「日本社宅ネット」フランチャイズ加盟契約

②加盟金及びライセンス使用料の対価

フランチャイズ加盟契約の締結により、社宅斡旋管理業務を中心とした法人対応ノウハウ及び社宅アウトソーシング営業ノウハウ、商標、サービスマークの継続的な使用を認めており、対価として加盟金等を受領しております。

6【研究開発活動】

 当社グループは、トータル・アウトソーシング・サービスのリーディングカンパニーとして、次のスタンダードとなる新たな価値・サービスを創造していくとともに、重要課題として、将来の中核事業となるような第3、第4のビジネスの創出と育成を掲げ、新規事業の創出に取り組んでおります。

 当社グループにおける研究開発活動は、顧客に潜在する問題やニーズを把握し、問題解決の手法を提供するサービスの改善や従来にはない新たなサービスの構築など、経常的な活動に起因するものであることから、明確な区分計上は行っておりません。