第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「個人を豊かに、社会を元気に。」をミッションとして掲げ、ESG/SDGsの観点からも、世の中の人々が多様な価値観やライフスタイルを発見、実現することを支援し、一人ひとりが豊かに人生を楽しめる社会の実現に貢献したいと考え、企業活動を行っております。こうした企業活動を行う上で大切にする考え方として「システムではなく、人間。」という言葉を掲げており、最新のテクノロジーを取り入れながらも、それだけではできない、人間ならではの創造性や人間にしか発揮できない価値に目を向け、さまざまな人や企業と共創し、新たな価値を生み出し続けていきます。

 

(2) 経営戦略等

当社グループでは、「テクノロジーと人の力で『不安なく、賢く、自分らしく』を支えるプラットフォームになる。」というビジョンのもと、総合情報サイト「All About」を中心としたインターネットメディアビジネスやデジタルマーケティング・DXビジネスで構成されるマーケティングソリューションセグメント、「サンプル百貨店」や「dショッピング」などeコマース系の事業で構成されるコンシューマサービスセグメントという2つの事業セグメントにおいて事業を推進しております。

今後は、これら2つの事業領域に加え、当社グループが一貫して携わってきた「ライフアセットマネジメント※」領域において、生活者が「不安なく、賢く、そして自分らしく生きる」ための意思決定や行動をより具体的にサポートできるようなサービスへの開発・投資を進めております。また、各事業のグローバル展開も積極的に模索してまいります。

さらに、独自の強みをもつベンチャー企業へ投資を進めており、キャピタルゲインはもとより、マーケティング支援など当社グループのアセットを活かして当該ベンチャー企業の成長に貢献し、ひいては当社グループの事業拡大の加速に向けてベンチャー企業とのシナジー効果を狙うなど、多面的な効果を期待しております。

※ ライフアセットマネジメント: お金、健康、キャリア、ホーム(恋愛・結婚・家族・コミュニティ)といった生活者の人生基盤を「ライフアセット(人生資産)」とし、一人一人がライフアセットを最適化し「不安なく、賢く、そして自分らしく生きる」ための営み

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、景気の先行きが不透明な経営環境を鑑み、着実に営業利益を創出し、そのうえで、中長期的な事業計画に基づいた戦略投資を行い、競争優位を確立できるよう努めてまいります。

当社グループにおいては、高い成長性を確保・継続し「個人を豊かに、社会を元気に。」というミッションを実現していくにあたり「売上高」「営業利益(営業利益率)」「経常利益」を重要な指標として位置づけ、事業基盤の強化による企業価値の継続的拡大を目指しております。

 

 

(4) 経営環境

当社グループの事業運営の主要な市場であるインターネット業界は、テクノロジーの進化を背景に、引き続き高い成長が予測されます。目まぐるしく変化する市場環境において、新しい技術やサービスを導入することで、顧客に対してより付加価値の高いサービスを提供できるよう努めてまいります。

① インターネット広告・デジタルマーケティング領域

当社グループの重要な事業ドメインである日本のインターネット広告市場(※1)は3.6兆円を超え、日本の広告市場全体の約半数を占める現在もなお拡大を続ける成長市場です。また、CRMやMA(※2)による国内デジタルマーケティング市場(※3)は、2023年に3,000億円を超え、2027年には5,000億円を超えるとの予測もあります。

また最近では、生成AIの著しい進化が、生成コンテンツの品質・信頼性、オリジナルコンテンツへのアクセス低下、AIを活用した業務効率化、メディアや広告とユーザーとの接点・体験の変化など、ポジティブ、ネガティブ合わせた様々な影響を与えると予想されています。

※1 電通「2024年 日本の広告費」

※2 CRM: Customer Relationship Management  MA: Marketing Automation

※3 矢野経済研究所「デジタルマーケティング市場に関する調査を実施(2024年)」

② コマース領域

コマース領域では、経済産業省が発表している国内eコマース市場調査(物販系分野市場規模)においては、2023年のBtoC-EC市場規模は前年比4.83%増の14.6兆円、物販系分野におけるEC化率は、9.38%となりました。日本のEC化率は年々右肩上がりに上昇しており、さらなる上昇余地があると考えられます。これに対し、「サンプル百貨店」や「dショッピング」など、当社グループの手がけるコマース領域の成長機会は更に大きくなると考えております。

 

景気は緩やかに回復しておりますが、物価上昇の継続など様々な影響を受け、企業のマーケティング活動は業界によりまだら模様となり、全体としては不透明な状況にあります。SDGsに対する関心の高まりと広がりの影響は、デジタルビジネスの環境にも及んでおります。いずれにしましても、インターネット広告・デジタルマーケティング領域、コマース領域共に、多くの業種、業態、企業のデジタルトランスフォーメーションが大きく進み、中長期的にはオンラインとオフラインの融合が進むことが予想され、大きなチャンスが待っているという前提で当社グループの各事業を推進してまいります。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① メディアの強化について

当社グループにおきましては、専門の知識や経験を持った“ガイド”が分野別に情報発信するメディア「All About」が国内最大級の総合情報サイトに成長しておりますが、それにとどまらず、世の中に必要とされる新しい価値を生み出すために、様々なメディアの開発を進めております。国内外在住の外国人ライターが外国人目線で日本の情報を発信する、外国人向けの日本総合情報サイト「All About Japan」の運営、また、株式会社オールアバウトナビにおいては、ソーシャルメディアでの拡散力をベースにした「Facebook navi」や「ツイナビ」等のSNSアカウント運営をしております。

今後も、最新のインターネット利用の潮流を的確に捉え、新たな手法でのコンテンツプランニングに取り組むことで、メディア基盤の強化を図ってまいります。

② メディア&デジタルマーケティング事業について

当社グループにおいては、「All About」などのコンテンツを生み続けてきた編集ノウハウを最大限に活かした独自性の高い記事風の広告「編集型広告」に加え、当社のコンテンツ生成スキルとメディア集客力を活用したコンテンツマーケティング領域におけるオウンドメディア構築支援、最新のアドテクノロジーや、カスタマーの行動データ等の活用及びSNSマーケティング、広告運用支援等のサービス展開をしております。当社グループとしましては、インターネット広告の黎明期より当社グループが培ってきたノウハウをベースに最新の動向を見据えた多彩なマーケティングソリューションを提供し、広告主のニーズに対して新たな価値を創造・提供し、総合的に応えてまいります。

③ トライアルマーケティング&コマース事業について

当社連結子会社である株式会社オールアバウトライフマーケティングが運営する累計利用者数420万人・日本最大級のお試しサービス「サンプル百貨店」では利用者の増加が継続し、それに伴う商品やCRM施策、物流の拡充が必要となっております。コマース領域においては株式会社NTTドコモと「dショッピング」や「d払いネットショッピング」、「ふるさと納税百選」を共同運営するなど、EC・キャッシュレス決済の伸長を背景にドコモ経済圏との連携強化を重視しております。また、事業全体を通じてイベントや販促支援などマーケティングソリューションを組み合わせ、クライアント・パートナー企業への貢献を追求してまいります。

④ その他の新規事業について

当社グループは、中長期的な経営戦略に基づき、当社グループの経営資源を活かした新規事業を創出し、収益源の多様化を進めてまいります。メディア&デジタルマーケティング事業では、自社メディア「All About」を主としたビジネスの枠を越え、広告主・広告代理店といったディマンドサイドとメディアやインフルエンサーといったサプライサイド双方がメリットを得られるような広告業界のDXにチャレンジするプラットフォームビジネス「PrimeAd」を推進するなど、新たな収益機会の獲得に取り組んでまいります。
また、独自の強みをもつベンチャー企業への投資を積極的に進めており、キャピタルゲインはもとより、マーケティング支援など当社グループの強みを活かしてベンチャー企業の成長に貢献し、ひいては当社グループの事業拡大の加速に向けたベンチャー企業とのシナジーなど多面的な効果を目論んでいます。

⑤ 管理体制等の強化について

当社グループは、企業価値の最大化のために、コーポレート・ガバナンスを重視し、リスクマネジメントの強化、並びに内部統制の継続的な改善及び強化を推進してまいります。また、当社グループの事業に関連する法規制や社会的要請等の環境変化にも対応すべく、コンプライアンス体制の整備及び改善に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは「個人を豊かに、社会を元気に。」というミッションのもと、「テクノロジーと人の力で『不安なく、賢く、自分らしく』を支えるプラットフォームになる。」をビジョンとし、お客様、株主の皆様及び取引先の期待に応え、より豊かな社会の実現に貢献したいと考えております。

また、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方として、サステナビリティに関する取り組みを、社会貢献にとどまらず中長期的な企業価値の向上のための重要課題と位置づけております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社では、中長期的な企業価値の向上のため、サステナビリティに関連するリスク及び機会に対処するためのガバナンス体制の構築は重要な課題と認識しており、引き続き、サステナビリティをめぐる課題に適切に対応していくための体制整備や基本方針の策定に努めてまいります。

なお、現段階においてサステナビリティ関連とその他のコーポレート・ガバナンス体制の区別はしておりません。現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(2)戦略

当社グループは、「個人を豊かに、社会を元気に。」というミッションを掲げ、「人のチカラ」に着目し、それを活かすことで、質の高い情報・学習体験の広範な提供、不平等・不公平の撤廃、働きがいの向上、イノベーションの創出、持続的な消費・生産パターンの確保などといったサステナビリティをめぐる課題につき、事業活動を通じて取り組んでおり、中長期的な企業価値の向上とサステナビリティをめぐる課題への対応が合致していることを認識しています。そのうえで、多様な人材がお互いの違いを認め合い、その能力を最大限に発揮し、活躍し続ける会社風土を醸成すると共に、従業員の心身の健康と生産性の向上を実現する社内環境の整備を進めております。

取締役会におきましては、当社事業の提供価値に関する検討や、中長期的な事業戦略の検討のほか、価値提供の主体たる従業員や協力パートナーに対する配慮など、広範な観点からサステナビリティをめぐる課題に積極的に検討し、リスク低減、収益機会双方への取り組みを進めております。

 

(3) リスク管理

当社グループは法務管掌部門を事務局として、コンプライアンス委員会、リスクマネジメント委員会、及び情報セキュリティ委員会において、リスクの重要性を各管掌領域の観点からモニタリングしております。その中でも経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクに関しては、対策検討及び実行をしております。各事業部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。これらの活動は、内部監査部門において監査され、監査等委員会及び取締役会に報告されております。事業活動に関する一般的なリスク及び当社グループ特有のリスクなどを把握し、継続的にモニタリングできる体制を構築しております。

詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

(4) 人材の多様性の確保を含む人材育成方針および社内環境方針

「個人を豊かに、社会を元気に。」というミッションを掲げる当社グループは、多様な人の交わりから生まれる新しい価値の創出を基本前提として持っております。

性別・国籍・年齢・障がいの有無・雇用形態・文化や慣習・ライフスタイル・価値観・性的指向・性自認等を問わず、多様な人材がお互いの違いを認め合い、その能力を最大限に発揮し、活躍し続ける会社風土づくりを目指すとともに、健康経営の推進による従業員の心身の健康と持続的な成長を両立してまいります。そのような職場環境づくりを積極的に推進することで、個人の成長を、組織ひいては当社グループの持続的な成長の原動力とし、新たな事業創出につなげてまいります。

 

①多様な人材がお互いの違いを認め合い、その能力を最大限に発揮し、活躍し続ける会社風土の醸成

a.多様性の確保に向けた取り組み

当社グループは、変化の激しい市場環境に対応し、常にスピード感をもって事業創造できる組織を構築するため、性別・国籍・年齢・障がいの有無・雇用形態・文化や慣習・ライフスタイル・価値観・性的指向・性自認等を問わず、多様な人材の採用・起用を積極的に行っております。また、「成長意欲や能力発揮を高める取り組み」や「バイアスに気づき取り除く取り組み」に関する施策検討も行っております。

女性の活躍推進を含む多様性の確保を経営上の重要課題と認識しており、「えるぼし」3段階目(最高位)の認定を取得しております。今後も現在の多様性の確保状況を維持するよう取り組んでまいります。また、性別、国籍、年齢等に囚われずその能力・成果に応じた人事評価を行うことを基本方針としており、実績に応じた積極的な登用を推進してまいります。

b.会社風土の醸成

多様な人材がお互いの違いを認め合い、その能力を最大限に発揮し、活躍し続ける会社風土の醸成を目的に、当社グループが大切にする仕事のやり方を「All About Way」として言語化し明確に定めることで、人・組織・カルチャーの力を高め、事業・プロダクトの力に変換するための行動推進を実施しております。具体的には評価制度に行動評価を取り入れることに加え、「All About Way」を体現した従業員・チームを従業員が投票し、投票内容を全体に共有して認め合うとともに、「All About Way」の体現が特に優れていた従業員・チームを定期的に表彰しております。

c.後継者の育成およびエンゲージメントの向上

会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を見据え、事業戦略や状況の変化に対応し、事業活動に貢献しうる多様な人材の登用に注力しております。後継者候補に対しては子会社経営を委嘱する等、経営者としての経験を積ませることにより後継者の育成に努めております。また、そのような人材が積極的に能力を発揮する為のエンゲージメントの向上を促す方策の一環として、子会社を含む取締役及び一部従業員に対し、譲渡制限付株式を付与しております。

 

②従業員の心身の健康と生産性の向上を実現する社内環境の整備

a.働き方の多様化をサポートする取り組み

育児・介護に関する制度などの働き方の多様化をサポートする取り組みを率先して行っており、「くるみん」の認定を取得しております。継続して働きやすい職場づくりが実現できております。

b.健康維持に関する取り組み

プレゼンティズムやアブセンティズムへの対処のため、健康診断、ストレスチェック、産業医面談の実施はもちろんのこと、従業員の勤務状況を定期的にチェックするとともにオンライン医療相談サービスを導入しております。また、性別ゆえの負担が大きい女性従業員の活用の点においては、性別に関係なく働きやすい環境を目指して、ピルのオンライン処方金額補助サービスを導入しております。

c.フレキシブルワークの推進による生産性向上

従業員の自主性を重んじたワークポリシーの提示や、それをサポートするフレックスタイム制や裁量労働制及び時短勤務制、リモートワーク制度等の制度的な枠組みにより、これらの利用度が高いことからも、従業員の闊達な働きが促進されております。また、オフィスに関しても、リモートワーカーとオフィスワーカー双方の生産性向上とイノベーションの創造を目指して、個室ブースや1on1ミーティング専用ブース、多彩なコミュニケーションを誘発するキッチンスペース等を配置しております。今後もリモートワークとオフィスワークをフレキシブルに活用できる社内環境を維持し、生産性の向上を実現してまいります。

 d.事業、組織、従業員の理解を深め、コミットメントやエンゲージメントに繋げる取り組み

第1四半期と第3四半期当初に、各事業の方針や戦略の理解を目的としたグループ全体のキックオフを実施するとともに、各四半期終了時には各事業の成果や取り組みに対する振り返りを目的としたグループ全体会を実施しております。その他、事業や組織の単位で戦略や取り組みに対する説明会を定期的に実施するなど、従業員が経営状況や各事業の進捗状況を確認できる場を意識的に設けております。更に、当社グループが独自に運用するオウンドメディア「About All About」や、MVPや新人賞を受賞した成績優秀者や「All About Way」を体現した従業員による成果発表会における、従業員の業務に対する取り組み姿勢や仕事に対する価値観、各組織の方針や業務内容、新入社員の紹介などの定期的な発信や、業務外の部活動による社員同士の交流によって、組織や従業員を知り理解するきっかけを作り、コミットメントやエンゲージメントに繋げるための取り組みも行っております。

 

(目標および実績)

指標

目標

2024年度実績

全社員に占める女性社員の割合

50%±5 %の範囲内

51.4

管理職に占める女性社員の割合

30以上

33.3

育児休業からの復帰率

100

100

フレキシブルワーク環境の整備率

95%

100

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、特段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループ株式の投資に関するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1) メディア&デジタルマーケティング事業に関するリスク

① メディア&デジタルマーケティング事業への景気変動の影響について

一般的に企業の広告費は、景気による影響を受けやすく、当社グループが運営するインターネット広告市場においても伸張は継続しているものの、同様の傾向があります。特に、不景気及び不安定な社会情勢下においては、管理可能である広告費が削減される可能性があります。当社グループにおいては、景気変動の影響を受けながらも安定的な収益をあげるべく、費用構造の改善に取り組んでおります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、想定以上に大きな社会経済情勢の変動が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② インターネット広告における価値基準について

当社グループが行っているインターネット広告は、新たな広告手法の登場等、変化し続けている状況にあり、その出稿においても、業種等の偏り及び変遷があります。このような状況の中、インターネット広告の出稿目的及び求める効果等の価値基準についても、変化し続けているといえます。そのため、当社グループは、広告主のニーズに対して新たな価値を創造・提供し、総合的に応えるために、当社グループが運営するインターネット総合情報サイト「All About」を中心に、インターネットそのものが持つ価値を活用したインターネット広告商品を取り揃え販売するとともに、自社メディアにとどまらず、広告主、広告代理店といったディマンドサイドとメディアやインフルエンサーといったサプライサイド双方がメリットを得られるような広告業界のDXにチャレンジするなど、新たな収益機会の獲得に取り組んでおります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、今後、広告手法の変化並びに広告主の変遷等により、その価値基準が当社グループの想定と異なるものとなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 検索エンジンからの集客について

当社グループが運営する「All About」のユーザーの多くは、検索エンジン(「Yahoo! Japan」、「Google」等)からの集客であり、集客機能を検索エンジンに依存しております。今後につきましても、検索エンジンからの集客をより強化すべくSEO(検索エンジンへの最適化:Search Engine Optimization)対策を実施しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、検索エンジンが検索結果を表出するロジックを変更する等の要因により、「All About」への来訪ユーザー数の減少という事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 「ガイド」が制作する制作物について

当社グループの運営する「All About」において、構成するコンテンツの多くは、主に「ガイド」と呼ばれる社外の第三者に委託しております。当社グループと「ガイド」との契約において、そのコンテンツが第三者の権利を侵害していないことについて「ガイド」が保証しており、また、著作権等について当社からの学習機会の提供、当社グループにおけるコンテンツの確認等の「ガイド」が制作するコンテンツが第三者の権利を侵害することに対する防止策を講じております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、何らかの理由により、そのコンテンツが第三者の権利を侵害していた場合には、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

⑤ コンテンツの信頼性について

当社グループのメディアに掲載するコンテンツは、ガイドや外部ライターとの間の契約において、法令遵守を義務付けるとともに、各編集者において所定のルールに従い掲載前のコンテンツのチェックを入念に実施するなどして編集業務を行うよう努めております。また、特に医療・健康、金融領域においては、関連法令に抵触することがないよう、領域独自の審査基準を設け、又は二次的に外部専門家への確認を実施する等の方策をとることにより、メディアとして更なる信頼性強化に取り組んでおります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、何らかの理由により正確性、公平性に欠けたコンテンツが掲載された場合、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

⑥ 制作ノウハウの流出について

当社グループは、インターネット広告事業の開始以来、エディトリアル広告を注力商品として制作、販売しており、当社グループ内及び外注先の制作会社には、クライアントの訴求したい内容を分かりやすい情報として伝え、ユーザーの情報収集又は行動を喚起する広告制作に関する制作ノウハウが蓄積しております。当社グループが保有する取引先の重要な情報及び個人情報の管理については、情報管理規程、プライバシーポリシー及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を行っております。さらに、役職員に対し通達や研修等を通じて情報管理に関する意識の涵養に努めております。また、外注先等取引先との間で機密保持契約を締結する等、徹底した情報管理を行っております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、その制作ノウハウが当社内から流出する、外注先の制作会社が他社により買収される等の事象が生じた場合、当社グループの制作に関する優位性が失われ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑦ 広告代理店との取引について

当社グループは、効率的な販売チャネル、コスト構造を構築しながら、当社グループ広告商品の広告主への販売を拡大するため、広告代理店との間のパートナー関係の構築を積極的に行い、インターネット広告事業における多くの取引が広告代理店を販売先とした取引となっております。

現時点においては、広告代理店各社からその販売手数料を一定の料率で支払うことについて同意を得ておりますが、当社グループにおいては代替となる販売チャネルを有するわけではなく、今後、その料率について変動を求められる可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、このような事象が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。ただし、自社メディアにとどまらず、他社の優良メディアや広告主、広告代理店がそれぞれメリットを得られるようなビジネスマッチングの仕組み作りにチャレンジするなど、新たな収益機会の獲得に取り組んでおります。

⑧ インターネット広告の審査について

当社グループが運営する「All About」においては、インターネット広告内容に関して、独自の掲載基準である「広告審査基準」を設定し、自主的な規制を行い、事前に不適切な広告を排除するよう努めております。また、広告主との間で規約により、広告内容に関する責任の所在が広告主にあることを確認するとともに、削除の権利を当社で有し、規約に違反した情報を発見した場合には当社の判断による削除が可能となっております。このように、「All About」では自主的な規制によって違法又は有害な情報の流通排除に配慮しており、「All About」の閲覧や利用に伴う損害に関して、当社は責任を負わない旨を掲示していますが、これらの対応が十分であるとの保証はありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、「All About」で掲載された広告等に関し、ユーザーもしくはその他の関係者、行政機関等から、クレームや勧告を受けたり、損害賠償を請求されたりした場合、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

 

(2) トライアルマーケティング&コマース事業に関するリスク

① 商品の提供又は販売について

当社グループの事業においては、商品を仕入れた上で、ユーザーへ販売又は提供する場合があります。当社グループは、仕入先における品質管理体制等の確認又は当社グループとしての検品体制を整備する等、ユーザーへ提供される商品の品質管理を徹底しております。しかしながら、ユーザーに対し不良品又は瑕疵ある商品を提供してしまう可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、そうした場合においてユーザーが損害を被ったときは、その損害の賠償請求等によって当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

② 物流業務について

当社グループの事業においては、仕入先から納品される商品の梱包、発送等に関する業務、ユーザーへの商品受け渡し、商品代金回収業務等の物流関連業務を外部に業務委託している場合があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、業務委託先のサービスの遅延及び障害等が発生した場合には、業務委託先との契約に基づき、直接的な損害は賠償請求できるものの、当社に対するユーザーの信用低下が発生した場合等においては、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

③ 在庫の過不足について

当社グループの事業においては、商品を仕入れて、注文の都度出荷する場合が多く、取扱商品の在庫の過不足を生じるリスクが常に存在しております。当社グループにおいては、ユーザーニーズ及び売れ筋商品情報等を分析し、戦略的な販売計画を策定し、常に適正在庫を継続できるように努めており、また、過剰在庫を抱えない、受発注型取引の拡大を推進しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、販売分析又は需要予測が実際と大きく異なった場合、当社サイトにおける広告効果が十分でなかった場合等、在庫管理上の不備が発生した場合は、過剰在庫又は在庫不足の発生により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 第三者による情報発信について

当社グループの事業においては、第三者が自由に発信する情報をコンテンツとしてユーザーに提供しております。ガイドに対しては、著作権等について当社グループによるコンテンツ確認等を行っておりますが、トライアルマーケティング&コマース事業等において情報発信を行う第三者に対しては、同様の確認等を行っておりません。ユーザーに対しては、利用規約等で当社グループが運営するウェブサイトを通じて被った損害、ウェブサイトに掲載された情報によって生じた損害に対する責任は負わない旨掲示しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社のこれらの措置に対し、ユーザーの理解を得ることができず、ユーザー又は関係者等からクレームを受け、損害賠償を請求される等の事象が発生した場合、当社グループに相応の費用が発生し、ブランドイメージが損なわれる等、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(3) 銀行代理事業に関するリスク

当社グループは、メディア&デジタルマーケティング事業及びトライアルマーケティング&コマース事業を中核事業としておりますが、顧客へのサービス拡充と新たな収益源の確立を目的として、2025年5月26日付で、㈱みらいバンクの全株式を取得する方法により、銀行代理業に参入いたしました。本事業の立ち上げと安定的な運営にあたり、以下の課題に真摯に対処してまいります。
① 金融規制への適合と内部管理体制の確立

銀行代理業は、銀行法をはじめとする金融に関する厳格な法規制の対象となります。金融商品の勧誘ルール、顧客情報の管理、反社会的勢力との取引排除など、高度なコンプライアンス体制と内部管理体制の構築が喫緊の課題です。これらに不備があった場合、行政処分や顧客からの損害賠償請求に繋がる可能性があります。銀行代理業に関する専門知識を有する人材を登用するとともに、外部の弁護士やコンサルタントと連携し、社内規程の整備、従業員への定期的な研修、内部監査部門による定期的なモニタリングを通じて、高いレベルでの法令遵守体制を確立し、維持してまいります。

② 金融事業におけるブランド確立と信頼性醸成

当社グループは、金融サービス領域においては新規参入者であり、顧客からの信頼を短期間で獲得し、ブランドを確立することが大きな課題です。特に、銀行代理業は顧客の資産形成に関わる重要なサービスであり、安心・安全な取引環境を提供できるという信頼感が不可欠です。提携する金融機関のブランド力を最大限に活用するとともに、当社の既存顧客基盤に対して、銀行代理業の付加価値やメリットを分かりやすく訴求してまいります。また、顧客からの問い合わせや苦情に迅速かつ誠実に対応することで、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を構築します。

③ 提携銀行との関係性構築と連携強化

銀行代理業は、提携する金融機関との密接な連携が不可欠です。提携金融機関の商品提供体制、システム連携、顧客情報の共有方法、手数料体系など、多岐にわたる事項について円滑な協議と合意形成が必要となります。提携金融機関との関係性が十分に構築できない場合、提供できるサービスの範囲が限定されたり、顧客ニーズへの迅速な対応が困難となる可能性があります。提携金融機関との連携を強化し、経営層から実務担当者レベルまで緊密なコミュニケーションを図ってまいります。

 

(4) その他の事業に関するリスク

① 第三者サービスとの連携について

当社グループの事業においては、Facebookをはじめとした第三者のサービスとの連携を前提にしたものがあります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、これらの第三者サービスの利用者の減少又は利用形態等の変化が起きた場合、第三者サービスの内容に関する方針変更があった場合、又は当社グループと第三者サービスとの連携に関して変更がなされた場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 技術革新等について

ICT市場では、技術革新のスピードが非常に早く、事業者はその変化に柔軟に対応する必要があります。当社グループにおいても、最新の技術動向や環境変化を常に把握し、これらの変化に即座に対応できるよう努めております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループが技術革新に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のために既存システム等を改良するための投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 生成AIを利活用したコンテンツの普及について

近年生成AIが普及し、利活用の場面が広がっております。当社グループが取り組む事業分野では、生成AIを用いてインターネットメディアに掲載するコンテンツを作成する動きがありますが、生成AIは過去の創作物やデータを参考にして文章等を生成する仕組みであるため、国内外で適切なルールが整備されない場合には、著作者等の利益が不当に害される恐れがあります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、このような事象が生じた場合、当社グループのメディアに掲載するコンテンツの価値が毀損され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 経営に関するリスク

① 新規事業展開について

当社グループは、その事業基盤をより強固なものとするため、収益源の多様化を進めており、今後につきましても様々な新規事業を展開する予定であります。これらの新規事業を軌道に乗せ、継続的な事業として確立させるため、想定外に費用を負担しなければならなくなる可能性があり、また、市場環境等の変化により、計画通りに利益を確保できない可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、このような事態が発生し、新規事業を計画通りに展開できなかった場合には、新規事業に対する投資の回収が困難になり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 他社との合弁事業について

当社グループの子会社・関連会社の中には、第三者との間で合弁事業として設立・運営しているものがあり、その業務運営を合弁パートナーである当該第三者に依存している場合があります。現時点においては、各合弁パートナーとの関係は良好であり、パートナーとの協力関係は各社の業務運営上効果的に機能しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、将来的にこれらパートナーとの間で何らかの理由により協業・提携関係に支障をきたすような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があり、最悪の場合、その事業運営の継続が不可能になる可能性があります。

③ ベンチャー投資について

当社グループは、キャピタルゲインはもとより、マーケティング支援など当社グループのアセットを活かしてベンチャー企業の成長に貢献し、ひいては当社グループの事業拡大の加速に向けてベンチャー企業とのシナジー効果を狙うなど、多面的な効果を期待し、独自の強みをもつベンチャー企業への投資を積極的に進めておりますが、投資先企業の業績如何によっては、これらの出資金等が回収できなくなる可能性があります。当社グループにおいては、保有投資有価証券の減損処理等を行うことで、投資先企業の経営成績が当社グループの業績に適切に反映されるようにしています。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、投資先企業の業績の変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 競合による業績への影響について

当社グループの運営するインターネットメディア「All About」の模倣、特に「ガイド」を組織し、ユーザーに対して役に立つ情報を提供していくという当社グループの事業モデルを模倣するには時間的、資金的な参入障壁があります。さらに、現時点において当社グループと同様のサービスを提供する日本のウェブサイトは存在していないと考えております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、インターネットの特性上、表面的にサイトのデザイン及び構造を模倣すること自体は短期間で可能であり、一時的な競争の激化又は競合対策のためのコスト負担等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 主要株主について

日本テレビ放送網株式会社及び株式会社NTTドコモは、当社の「主要株主」に該当しております。当社の経営方針に対する上記2社の姿勢及び議決権行使等は、当社の事業運営及びコーポレート・ガバナンスに影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、これら主要株主の方針の転換又は株主構成に変更があった場合、当社の株価、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 事業拡大に対する組織的な対応について

当社グループは、比較的小規模な組織であり、内部の管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。今後の急速な事業拡大に備え、既存従業員の育成等の施策を講じるとともに管理業務の効率化を図り、組織的効率を維持・向上させることが重要な課題となっております。これらの施策が計画どおりに進行しない場合、事業機会の逸失、業務品質の低下等を招き、当社グループの事業拡大及び事業運営に影響を与える可能性があります。

また、小規模な組織であるため、業務プロセスを特定の個人に依存している場合があります。引き続き、内部統制の整備・構築により業務プロセスの見直しを推進し、業務の定型化、形式化、必要に応じた人員の確保等を進める予定でありますが、特定の役職員の社外流出等が発生する可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。

⑦ 内部管理体制について

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性を確保し、財務報告の信頼性を高め、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底することを目的に、代表取締役直轄の独立した組織として内部監査室、コンプライアンス推進委員会を設置する等、内部管理体制の整備に努めております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、事業の急速な拡大・体制変化等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度への対応等に支障が生じる可能性があり、当社グループの業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。

⑧ 個人情報の管理について

当社グループでは、ユーザーに対するアンケートの実施、商品・サービスの販売及び提供等を通じて個人情報を取得いたしますが、取得の際には、その利用目的を明示し、その範囲内でのみ利用しております。また、管理につきましても、規程の整備、社内でのアクセス権限設定、アクセスログの保存、外部データセンターでの情報管理、社員教育の実施等、細心の注意を払った体制構築を図っております。さらに、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が付与するプライバシーマークを取得する等、個人情報管理体制の強化を図っておりますが、これらの対策が万全であるという保証はありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、外部からの不正なアクセス、業務委託先等の故意又は過失、及びその他の事象の発生により個人情報が社外に流出した場合、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

⑨ 法的規制等について

当社グループの事業においては、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」、「特定商取引法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「製造物責任法」、「健康増進法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「酒税法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」及びその他の法令の適用を受けるものがあります。当社グループは、個々の事業においてこれら法令等を遵守するよう努めておりますが、法令の改正又は行政庁等との規制の解釈に対する意見の相違又は規制の強化等により、新たな対応の必要又は規制に抵触する等の不測の事態が生じる可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、そのような事象が生じた場合、当社グループの業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。

⑩ ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、役職員に対して、業績に対する意欲や士気を高め、長期的な企業価値向上に寄与することを目的としてストック・オプションを付与しております。なお、本有価証券報告書提出日の属する月の前月末(2025年5月31日)におけるストック・オプションの目的となる潜在株式の数は613,000株であり、発行済株式総数の4.3%に相当しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度を正確に予測することはできませんが、行使期間内にこれらが行使された場合には、保有株式の1株当たりの価値が希薄化する可能性があります。

 

 

(6) その他のリスク

① システムトラブルによる影響について

当社グループは、インターネット上での情報提供を行うために、コンテンツ制作、配信等のためのシステムを構築しております。これらのシステムは、サイトの安定運用を行うため、外部のデータセンターによる厳重な管理体制の構築及び外部からの不正なアクセスに対するセキュリティ強化等を行っております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、システムの不具合等の想定外の要因によって、当社グループの管理するシステムに問題が発生した場合、安定的にユーザー及び広告主に対して、情報及びサービスの提供ができなくなる可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

② 新型ウイルス感染症等の影響について

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、治療方法の確立されていない新型感染症の拡大等による異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

なお、当社グループは、テレワーク等の効率的な事業運営を実施しておりますが、有事の際には感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤、従業員の行動基準の策定等、事業リスクの最小化に向けた施策を推進します。

③ 災害等による影響について

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、地震・暴風雨・洪水等の自然災害、火災・テロ・暴動・戦争等の人災が発生し、事業活動の停止並びに社会インフラの損壊及び機能低下等につながるような事態にまで発展した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績等の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、通商政策などアメリカの政策動向による影響や中国経済の先行き懸念、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響懸念など、依然として先行きは不透明な状況が続いています。当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、進展するデジタル技術や長引く人手不足などを背景に、デジタル技術を活用し、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるサービスに対する需要が、引き続き高まっている状況にあります。

このような経営環境下で当社グループは、トライアルマーケティング&コマース事業とメディア&デジタルマーケティング事業を中心に、「個人を豊かに、社会を元気に。」というミッションのもと、総合情報サイト「All About」における「ガイド」に代表されるような個人のチカラを活かし、ユーザーやクライアントの皆様にとって最適なソリューション及びサービスを提供すべく、グループ経営を推進してまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ235百万円増加し、8,410百万円となりました。

流動資産は5,999百万円となり、前連結会計年度末に比べ222百万円増加いたしました。これは主に未収入金が406百万円、商品及び製品が89百万円増加した一方で、現金及び預金が241百万円減少したことによるものであります。

固定資産は2,411百万円となり、前連結会計年度末に比べ13百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が89百万円、ソフトウエア仮勘定が47百万円増加した一方で、ソフトウエアが79百万円、破産更生債権等が14百万円、繰延税金資産が28百万円減少したことによるものであります。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ258百万円増加し、3,963百万円となりました。

流動負債は3,877百万円となり、前連結会計年度末に比べ322百万円増加いたしました。これは主に未払金が439百万円増加した一方で、未払費用が82百万円減少したことによるものであります。

固定負債は85百万円となり、前連結会計年度末に比べ63百万円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債が48百万円、資産除去債務が4百万円減少したことによるものであります。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23百万円減少し、4,447百万円となりました。

これは主に親会社株主に帰属する当期純損失を39百万円計上したことで、利益剰余金が39百万円減少したことによるものであります。

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、15,954百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。マーケティングソリューションセグメントにおいて、検索エンジンのロジック変更等によるメディアセッション数の減少が見られたものの、インターネット広告単価は堅調に推移しました。加えて、デジタルマーケティングのけん引等もあり売上が増加、コンシューマサービスセグメントにおいて、事業撤退した生涯学習事業の減収影響があるものの、サンプル百貨店の復調などで売上が増加いたしました。

(売上総利益)

売上原価は、トライアルマーケティング&コマース事業における粗利率の向上や生涯学習事業の撤退に伴う損失が縮小低下したため、6,342百万円(前連結会計年度比2.4%減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は、9,611百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費は、サンプル百貨店の売上高増加により物流費が増加したものの、販売促進費が減少したことにより、9,600百万円(同0.6%減)と微減となりました。

以上の結果、当連結会計年度における営業利益は、10百万円(前連結会計年度は営業損失461百万円)となりました。

(経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度に比べ8百万円減少し、18百万円(前連結会計年度比30.2%減)となりました。

営業外費用は、前連結会計年度に比べ14百万円増加し、19百万円(前連結会計年度比329.5%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度における経常利益は、10百万円(前連結会計年度は経常損失438百万円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は、倉庫移転費用戻入益や事業譲渡益により、9百万円(前連結会計年度は41百万円)となりました。

特別損失は、投資有価証券評価損により、2百万円(前連結会計年度は258百万円)となりました。

以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は39百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失456百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

 

(マーケティングソリューションセグメント)

マーケティングソリューションセグメントにおきましては、検索エンジンのロジック変更等によるメディアセッション数の減少が見られたものの、インターネット広告単価は堅調に推移しました。加えて、デジタルマーケティングのけん引等もあり、売上が増加いたしました。また、費用面に関しては一般管理費の減少もあり、前年同連結会計年度比で増収増益となりました。

以上の結果、マーケティングソリューションセグメントの外部顧客に対する売上高は2,101百万円(前連結会計年度比2.4%増)、セグメント損失は85百万円(前連結会計年度はセグメント損失263百万円)となりました。

 

(コンシューマサービスセグメント)

コンシューマサービスセグメントにおきましては、事業撤退した生涯学習事業の減収影響があるものの、サンプル百貨店の復調などで売上が増加しました。費用面ではトライアルマーケティング&コマース事業における粗利率の向上や生涯学習事業の撤退に伴う損失縮小等がありました。

以上の結果、コンシューマサービスセグメントの外部顧客に対する売上高は13,853百万円(前連結会計年度比1.5%増)、セグメント利益は507百万円(前連結会計年度比102.6%増)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ241百万円減少し、当連結会計年度末には1,632百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、249百万円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益が17百万円、減価償却費が375百万円、売上債権の減少額が62百万円、その他流動負債の増加額が355百万円発生した一方、棚卸資産の増加額が92百万円、その他流動資産の増加額が447百万円発生したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、448百万円の減少となりました。これは、投資有価証券の取得による支出が100百万円、有形固定資産の取得による支出が30百万円、無形固定資産の取得による支出が318百万円発生したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、42百万円の減少となりました。これは、配当金の支払額が41百万円発生したことによるものです。

 

② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループの生産活動は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比
(%)

コンシューマサービス

5,847,517

△1.5

 

(注) 1.マーケティングソリューションにおける商品仕入実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

c.受注実績

当社グループは受注から納品までの期間が短期間のため記載を省略しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比
(%)

マーケティングソリューション

2,101,320

2.4

コンシューマサービス

13,853,050

1.5

合計

15,954,371

1.6

 

(注) 1.セグメント間の取引高は相殺消去しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、物流費や人件費を中心とした販売費及び一般管理費等の費用であります。また、継続的なソフトウエアの開発、事業拡大のための株式や事業の取得に関する投資を目的とした資金需要があります。

当該資金については、内部留保による手元資金で十分賄えている状況です。今後、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針としております。

 

(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、高い成長性を確保・継続し、事業基盤の強化による企業価値の継続的拡大を目指しており、売上高、営業利益(営業利益率)、経常利益を重要な指標と位置付けております。

当連結会計年度における各指標は以下のとおりであります。

 

指標名

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前連結会計年度比

売上高(千円)

15,954,371

1.6

営業利益(千円)

10,800

営業利益率(%)

0.1%

経常利益(千円)

10,475

 

引き続き、当該指標について改善するよう取り組むとともに、株主資本効率も重視した経営を進めてまいります。

 

5 【重要な契約等】

(1) 資本業務提携契約

 

契約会社名

株式会社オールアバウト

契約の名称

資本・業務提携契約

相手先名称

日本テレビ放送網株式会社

締結年月日

2017年3月30日

契約の主な内容

1.当社の主要株主である株式会社リクルートホールディングス(以下「リクルート」)及びヤフー株式会社(以下「ヤフー」)から、それぞれが所有する当社株式の一部を市場外の相対取引により日本テレビ放送網株式会社に譲渡(リクルートから 1,695,000株、ヤフーから 1,690,000株、合計 3,385,000株。当社発行済株式総数に対する割合:25.01%)。

2.以下に関する提携強化

① ソーシャルメディア事業

② EC事業

契約期間

期間の定めなし

 

 

(2) 資本業務提携契約

 

契約会社名

株式会社オールアバウト

契約の名称

資本・業務提携契約

相手先名称

株式会社NTTドコモ

締結年月日

2018年5月10日

契約の主な内容

1.当社の主要株主である大日本印刷株式会社が所有する当社株式の一部を市場外の相対取引により株式会社NTTドコモに譲渡(2,093,100株。当社発行済株式総数に対する割合:15.47%)。

2.以下に関する提携強化

生活者向けメディア事業の拡大

契約期間

期間の定めなし

 

 

(3) 業務提携契約

 

契約会社名

株式会社オールアバウト

契約の名称

業務提携契約

相手先名称

株式会社NTTドコモ、株式会社D2C

締結年月日

2018年5月10日

契約の主な内容

以下に関する提携強化

新たなマーケティングソリューション(データを活用した広告商品)の開発

契約期間

期間の定めなし

 

 

 

(4) 協業契約

 

契約会社名

株式会社オールアバウトライフマーケティング

契約の名称

dショッピング運営に関する協業契約

相手先名称

株式会社NTTドコモ

締結年月日

2020年5月8日

契約の主な内容

以下に関する提携強化

NTTドコモが運営する総合通販サイト「dショッピング」全体の運営

契約期間

2023年6月30日(以降、特段の意思表示がなければ1年間の自動更新)

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。