文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、下記のとおり、グループミッション及び経営理念を掲げております。
① グループミッション
当社グループのグループミッションは、いろいろな個性を持った仲間と、わくわくしながら、予想もつかない、驚くような未来を創ろうという想いであります。各事業会社の個性を活かしつつ、他のグループ事業会社をリスペクトし、ともに未来を創っていく。時には自分たちだけで、またある時はグループの仲間たちとともに頑張る。これが、外食産業の中で我々が持つ大きな特徴であると考えております。当社グループは、このグループミッションのもと、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。
② 当社の経営理念
このような経営理念のもと、グループとしての社会的責任を果たしながら、企業価値向上に向け、努力してまいります。また、お客様、株主の皆様をはじめとする多くのステークホルダーに対して、魅力あふれる店舗を創造し続けていくことが、企業としての使命であると考えております。そして、株主の皆様に当社グループのバラエティ豊かな店舗を利用していただくことが、企業としての持続的成長につながっていくという考えのもと株主優待制度を実施しており、今後も引き続き実施してまいります。
(2)重視する経営指標
当社グループでは、経営効率を高め安定した財務体質を維持しつつ、持続的成長を達成するために、収益性の重要な経営指標(KPI)として調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン、財務の安定性を図る指標として調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)を重視しております。当社グループは、これらの指標を向上させることで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における調整後EBITDAは25,583百万円(前連結会計年度比8.1%)、調整後EBITDAマージンは17.6%(前連結会計年度は20.0%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は41.1%(前連結会計年度は33.5%)となりました。
(注)1.調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。
・調整後EBITDA=営業利益 + その他の営業費用 - その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)
・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100
2.調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率):親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)からIFRS第16号の影響を除外した比率
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 中期経営計画
外食業界・当社事業に多大な影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症が、感染症法上の分類で5類に引き下げられて以降、経済活動の正常化が進み、個人消費には持ち直しの動きがみられました。当社は、アフターコロナを見据えて、お客様のライフスタイルの変化により消費行動は元には戻らないことを前提として、2021年7月14日に3か年の中期経営計画を発表しております。この中期経営計画においては、お客様のニーズが急速に変化し、選択的消費の傾向がますます強まるなかで、円安に伴う原材料価格の更なる上昇や深刻な人財不足が表面化している外部環境を踏まえ、当社グループの強みである「変化対応力」を最大限発揮し、サステナブルな利益成長を図ってまいります。
具体的には、中期経営計画における成長戦略の3本の柱として、「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」、「グループ連邦経営の更なる進化」、「DXの推進による生産性の向上と人財不足への対応」に重点的に取り組むことで、『食を通じて、ステークホルダーに対し、「豊かさ」を提供し続ける企業グループ』を目指してまいります。ここでいうステークホルダーとは、お客様・社会、お取引先、従業員、株主を指し、お客様・社会には安心・安全で地域に愛される店舗・料理・サービスを提供し、お取引先とは長期的な互恵関係を構築、従業員へは安定的な雇用と多様な働き方を提供し、株主にはサステナブルな利益成長を提供することを掲げております。
成長戦略の一つ目の柱は、「アフターコロナを見据えたポートフォリオ見直し」です。お客様の新たな需要の変化を見極め、当社グループの特徴である変化対応力を駆使して、適合する効率的なポートフォリオを再構築することで、外食業界における「勝ち組」として、サステナブルな成長を目指します。コロナ禍の影響により、一部の同業他社においては、業績不振による撤退・廃業等が増加する傾向が見込まれる一方、当社グループにとっては潜在的な出店余力、M&A機会は増加するものと見込まれます。このような環境の中、当社グループは外食業界における「勝ち組」として、サステナブルに成長する企業グループを目指して、新たな需要の変化を的確に見極め、適合する効率的なポートフォリオを再構築いたします。具体的には、アフターコロナの需要に対応すべく、「日常」、「定番」、「地域密着」、「低投資」をキーワードに、投資効率を意識しつつ、年間30店舗の新規出店及び迅速な業態変更を進めてまいります。また、M&Aについても、店舗戦略同様のキーワードを踏まえ、自力での出店や開発が難しい立地や業態を中心に、投資効率の高い案件の検討を進めてまいります。ターゲットとしては、国内においては、地方の地域密着型ブランドや、他業種のカーブアウト案件を、海外では北米を中心に安定優良企業の獲得を目指してまいります。また、グループ内で投資効率基準に満たないポートフォリオがあれば、将来的なカーブアウトやグループ内再編も検討してまいります。
成長戦略の二つ目の柱は、「グループ連邦経営の更なる進化」です。従来のグループ事業会社の個性を尊重し、連携し合うことで成長を図る「グループ連邦経営」の基本スタンスに変更はありませんが、持株会社である当社の求心力を強化し、経営人財のグループ横断的な人財配置、本社業務・機能の統合(SFPホールディングス社との合弁による、経理・人事事務を担うクリエイティブ・サービス社及び購買企画機能を担うCMD社の設立や、立地情報の集約による投資・撤退判断の一本化、店舗設計・修繕業務の一本化等)、グループ事業会社の再編やJA全農との業務提携を通じたコントラクト事業の強化、グループ内業態変更・グループ内FCの推進、店舗サービスの付加価値向上を図るためのメニューの相互活用等に取り組んでおります。
成長戦略の三つ目の柱は、「DX推進による生産性の向上・人財不足への対応」です。DXミッションとして、「当社グループのビジネスの基本は「人(お客様・従業員)」であり、アフターコロナで時代が変化しようとしても変わらない」との考え方を定め、DX推進により、効率化・自動化できる業務は省人化し、従業員の接客サービスに関わる時間を最大化し、お客様満足度の向上を目指します。また、デジタル技術の導入により、お客様の利便性の向上を目指します。具体的には、バックオフィス業務の効率化(ワークフロー、経費精算システム、RPAの導入検討、ペーパレス化のプラン策定等)や、人財不足への対応として、店舗業務の省人化、モバイルオーダーシステムの導入や配膳ロボットのテスト導入のほか、売上収益拡大項目としてデジタルマーケティングの推進等を行っております。
この中期経営計画の進捗状況として、再成長期1年目として位置付けた2023年2月期においては、成長戦略の3本の柱の地盤固めとし、コロナ禍における変化対応で培った筋肉質なコスト構造を維持強化したことで、営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金を差し引いても黒字を達成いたしました。2年目の2024年2月期においては、コロナ禍を契機とした集客立地の変化への対応として、既存店の更なる質の向上を図るべく、コンセプト・専門性・適正価格の強化に取り組んだほか、コアブランドの新規出店や戦略的な改装・改修、DX投資の拡大等、「守り」から「攻め」への転換を図るべく、「質も、そして量も」に向けた投資を再開いたしました。再成長期3年目の2025年2月期においては、既存店のお客様数を増やすべく、リピーターの来店頻度と予約率の向上を図ってまいります。さらに、人的資本への投資として、2024年2月期に引き続き、社員昇給ファンドの拡大や外国人採用の強化に取り組むとともに、「働きやすい職場」「働き甲斐のある職場」を創出すべく、多様な人財が多様な働き方を実現できる環境と制度を整えてまいります。また、グループ内人財交流を促進するべく、グループ横断的な組織再編にも取り組む等、HX(ヒューマントランスフォーメーション)を活用しながら、組織としての持続的な成長を目指してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社は、昨今の緊迫した国際情勢の不透明さからも見てとれる厳しい外部環境の中、当社グループの強みである変化対応力を駆使して、以下の課題に適切に対処してまいります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 「食の安全・安心」への取り組み
お客様に「安全」なメニューをご提供し、「安心」して召し上がっていただけるようにすることは、外食企業にとって最重要事項であると認識しております。当社グループは、「食の安全・安心」に対する全役職員の意識浸透及びレベルアップに全力で取り組んでまいります。
具体的には、お客様の目線から見た「食の安全・安心」に関するモラルについて、従業員に対するメッセージを繰り返し発信するとともに、経営理念の中核にあるのが「お客様からの信頼」であることを広く浸透させる取り組みを実施しております。また、「食の安全安心推進室」を中心に、料理や食材の取り扱いに関するマニュアルを随時見直し、これに基づく従業員教育の徹底、店舗オペレーションの強化に加え、定期的に外部の衛生検査会社による点検を取り入れているほか、グループ内における衛生点検基準を統一しております。また、必要に応じて点検項目の改良を加えていき、常に一定の衛生レベルを保てる仕組みにしております。さらに、店舗と本社の情報共有につきましても、「食の安全安心推進委員会」を定期的に開催し、各事業会社が取り組み内容や課題を共有することで、迅速なグループ間の報告・連絡体制を構築しているとともに、店舗内のコミュニケーション及びチームワークの強化に取り組んでおります。
なお、「食の安全・安心」につきましては、当社が優先して取り組むべき課題としてマテリアリティ(重要課題)に選定しており、その内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
② 多様な人財の活躍促進、人財育成の強化
外食企業である当社グループにおいて、人財を確保しその活躍を促進することは、大変重要な課題となっております。当社グループは、人財に関する基本方針を定めており、人財こそが「持続的な成長を創出する極めて重要な源泉」であると認識し、人財を確保し成長させるため、重点項目に沿った取り組みや投資を積極的に行い、多様な従業員が安心して活き活きと仕事ができる働きやすい環境を整えてまいります。
また、当社グループは、現在、国内外の複数のグループ事業会社で構成されており、店舗の運営人財やグループ事業会社経営人財に加え、M&A、マーケティング、システム、経理・財務等、高い専門性を持ち、様々な課題に対処し、進化させ、経営することができる人財の育成強化が必須と認識しております。
そのため、人財の育成に関しましては、「スピード、クリエイティブ、チャレンジ」という当社グループの経営理念を牽引することを期待される幹部人財の育成強化を計画的に実施できるよう、教育・研修システムの整備を進めるとともに、グループ内人財交流の促進やグループ横断的な組織再編にも取り組むなど、HX(ヒューマントランスフォーメーション)の実現を目指してまいります。
なお、「多様な人財の活躍推進」につきましては、当社が優先して取り組むべき課題としてマテリアリティ(重要課題)に選定しており、その内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による業務効率化・顧客満足度の向上
当社グループは、一部店舗においてお客様をお待たせすることによる機会損失を減少させるべく、タブレット端末やモバイルオーダー等の導入及び拡充を行い、待ち時間の短縮等を通じてお客様の満足度向上を図っております。加えて、店舗運営における省人化を進展させ、お客様サービスに向ける時間を最大化するべく、人工知能(AI)や配膳ロボットを始めとする機械等を取り入れており、引き続き業務の効率化・高度化を進めてまいります。
また、本社におきましても、DXを推進することで業務プロセスを高度化し、一層の経営の効率化を図るとともに、各種リスクの低減に取り組んでまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
① お客様から支持される商品及び業態開発の推進
お客様の食に対するニーズは、近年のスマートフォンやSNS等の普及による情報収集力の向上やライフスタイルの変化等により多様化が進んでおり、加えてニーズの変化のスピードも速まっている中、業態(ブランド)及び立地の陳腐化も早まる傾向にあります。
当社グループでは、このようなニーズの変化に機敏に対応していくために、お客様ニーズを汲み取った戦略的な業態転換や店舗改装のほか、2023年10月には「わくわく」するような新業態・コンセプト開発を担う専門組織「クリエイト・ブランド・ラボ」を新設し、当社グループならではの大型投資や高いデザイン性をもったコンセプトの創出に取り組んでおります。
② 競争力強化に向けた各グループ事業会社の育成
当社は、各事業会社の独自性を尊重しながらグループとしての成長を目指す『グループ連邦経営』を推進しており、各グループ事業会社の競争力の強化は当社グループの持続的な経営にとって重要であり、各社の競争状況、役割、ステージに応じた効果的な経営指導及び機動的かつ最適な経営資源の配分を行っていくことが必要であると認識しております。そのために、当社が各社の経営状態を的確に把握できる管理体制の強化に努めるとともに、複数の専門的かつ特徴的な企業文化、戦略を持つ各社の経営陣が、グループ内にてそれぞれのノウハウや情報交換等を密に行い、個々の経営力を拡充することができ、加えて、各グループ事業会社が成長に向け、迅速かつ最適な意思決定が可能となる組織体制及び環境を整えてまいります。また、各グループ事業会社の内部統制に係る体制につきましてもより一層の整備に努めることで、企業体質の強化を図ってまいります。
③ 本社機能の更なる強化
『グループ連邦経営』における当社の役割として、グループ全体の経営戦略を策定、実行することのほかに、各グループ事業会社が持続的な経営戦略の実行に集中できる環境(プラットフォーム)を提供することも必要であると認識しております。具体的には、各社の間接部門業務の集約化、標準化による効率性の向上と多様な立地・業態に対する開発機能の強化、原材料・設備等の集約化によるコスト面でのシナジーの最大化、食の安全・安心やコンプライアンスに関連する情報の提供等において一層の強化に取り組み、各社の収益性の最大化に資する支援体制強化に努めるとともに、グループガバナンスの更なる強化に取り組んでまいります。
④ グローバル展開
現在、当社グループは直営にてアジア2か国、北米1か国に拠点を有しておりますが、継続的な海外への展開は重要な課題の一つととらえております。それぞれの拠点が自律的に経営を行うこと、M&A及び出店により、ポートフォリオを多様化すること、経営を支えるグローバルな人財ネットワークを獲得すること等を通じて、グローバル市場において、基盤を固め『グローバル連邦経営』を目指してまいります。
⑤ サステナビリティへの取り組み
当社グループは、食の様々なシーンを通じてステークホルダーに対し「豊かさ」を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的なグループ企業価値向上を目指しております。食に携わる企業として、従来から食の安全・安心、生産地との連携、食品ロスの削減等、様々な活動を行っており、持続可能な社会の実現に取り組むための体制を強化すべく、「サステナビリティ委員会」及び「サステナビリティ推進室」を設置しております。また、当社が優先して取り組む課題として、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社事業にとっての重要性」の双方が高いと考えられる5項目をマテリアリティ(重要課題)として選定しており、その土台となる「コーポレートガバナンスの強化」とともに、関連する各部署がグループ事業会社と連携しながら具体的に取り組んでまいります。その内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、代表取締役社長を委員長とし、グループの事業会社社長も含んだ「サステナビリティ委員会」、及び同委員会の事務局として「サステナビリティ推進室」を設け、組織的にサステナビリティへの取り組みを推進しております。
サステナビリティ推進室は、各種取り組みの進捗状況を定期的に取締役会に報告し、取締役会において、進捗状況の妥当性等を議論・監督し、その内容を各種取り組みの推進に反映しております。

(2)戦略
当社グループは、食の様々なシーンを通じてステークホルダーに対し「豊かさ」を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的なグループ企業価値向上を目指しております。食に携わる企業として、従来から食の安全・安心、生産地との連携、食品ロスの削減等、様々な活動を行っており、持続可能な社会の実現に取り組むための体制を強化すべく、2021年11月に、「サステナビリティに関する基本方針」を定めました。
また、当社が優先して取り組む課題として、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社事業にとっての重要性」の双方が高いと考えられる5項目をマテリアリティ(重要課題)として選定しており、その土台となる「コーポレートガバナンスの強化」とともに、関連する各部署がグループ事業会社と連携しながら具体的に取り組んでまいります。

また、各マテリアリティは、当社グループの事業活動に対して様々なリスクと機会を及ぼすものであり、当社グループは、これらに対応していくことが重要であると考え、想定されるリスクと機会を抽出し、対応方針を定めております。
〈各マテリアリティのリスクと機会・対応方針〉
※〇:影響中、◎:影響大
また、気候変動に関しては、「脱炭素社会への貢献」をマテリアリティに位置付けております。気候変動は、当社グループの事業活動に対して様々な「リスク」と「機会」を及ぼすものであり、これらに対応していくことが重要であると考え、事業活動に与える気候変動のリスク(移行リスクと物理的リスク)と機会を抽出し、それぞれの対応方針を定めております。
〈気候変動のリスクと機会・対応方針〉
※短期:10年以内、中期:30年以内、長期:30年超
※△:影響小、〇:影響中、◎:影響大
また、人的資本経営に関しては「多様な人財の活躍推進」をマテリアリティに位置付けているほか、以下の方針のもと、取り組みを進めております。
〈人的資本経営について〉
クリエイト・レストランツグループは、人的資本経営に関する基本方針として「人財に関する基本方針」を定め、経営戦略に連動した人財戦略を推進しています。
これらの重点項目は、それぞれが、社内環境整備方針、D&I方針、人財尊重方針、人財育成方針として位置付けられ、相互に連動して、具体的な人的資本経営の取り組みに反映されています。各重点項目の考え方及び項目毎の取り組みは以下のとおりです。
〈社内環境整備方針〉
① 人財が、わくわく仕事に取り組める環境や仕組みを整えます(Motivation)
私たちは、人財が「働きがい」をもってわくわく仕事に取り組めることが、人財の活躍と成長に最も重要であると考えます。そのために、「働きやすい」職場環境・制度を整備するとともに、「やりがい」を感じられる職場作りを推進し、人財が心身ともに健康でわくわく仕事に取り組めるようにしていきます。
〈D&I方針〉
② 多様な人財の活躍を促進します(Diversity & Inclusion)
私たちは、性別、人種、国籍、年齢、障がいの有無、宗教、価値観、性的指向・性自認等が異なる多様な人財が集い、その人財が多様性を活かしてそれぞれの能力を最大限発揮することが、私たち自身の成長のために極めて重要であると考えています。そのためには、多様性を尊重し、人権やワークライフ・バランスを大切にする意識をより高めるとともに、採用方法、人事制度、研修、勤務形態等を整備していきます。
〈人財尊重方針〉
③ 人財一人一人を、働く仲間として尊重します(Respect)
私たちは、職場で働く仲間を「お客様に彩り豊かな食のシーンを提供するための」最重要のパートナーであると考えています。そのために人財一人一人が、人権を守り、その役割や職位を超えて相互に尊重し合い、感謝の意を表すことで、笑顔に溢れるサステナブルな職場を創っていきます。
〈人財育成方針〉
④ 教育・研修を通じ、人財の成長を助けます(Development)
私たちは、「常にスピードをもってクリエイティブにチャレンジする」人財こそが、変化対応力に優れ、お客様をはじめとするステークホルダーの多様な期待に応えられる有意な人財であると考えています。こうした人財を育てるため、私たちは、チャレンジを尊重する社風を大切にするとともに、人財一人一人の専門性を磨き、自律的に知識や能力を伸ばすことができる教育・研修を提供していきます。
〈人的資本経営に関する取り組み〉
その他、当社グループのESGへの各種取り組みは、ホームページに開示しております。
https://www.createrestaurants.com/sustainability/
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティに関するリスクの管理を経営上の重要課題として位置付け、サステナビリティ委員会の各所管部が、サステナビリティに関するリスクの情報を収集・認識した上で、その評価や対応策の検討を行い、定期的に取締役会に報告することとしております。
サステナビリティ推進室は、リスクの最小化に向け、「サステナビリティへの取り組み推進」の枠組みの中で計画的に対応策を実施してまいります。
(4)指標及び目標
当社グループは、気候変動のリスク・機会を管理するための指標として、CO2排出量の削減目標を設定しております。
〈CO2排出量に関する目標〉
スコープ1及び2における原単位当たりのCO2排出量について、2030年までに50%削減(2013年度比)を目指してまいります。
また、多様な人財の活躍推進のため、2025年2月期に向けた各種目標を設定しております。
〈多様な人財の活躍推進に関する目標〉
(女性の活躍について)
当社グループ従業員のうち、22.8%(2024年2月29日現在)は女性が占めており、多くの女性が活躍しています。店舗責任者を務めるケースも多く、今後も多様な勤務形態や男性の育児休暇取得促進等、ワークライフバランスをとりながら安心して長く働くことが出来る環境整備を推進してまいります。女性の管理職の比率は現在12.5%(2024年2月29日現在)であり、2025年2月期に13.0%を目指してまいります。また、男性の育児休暇取得率は現在32.8%(2024年2月29日現在)であり、2025年2月期に50.0%を目指してまいります。
(外国籍従業員の活躍について)
当社グループ従業員のうち、10.9%(2024年2月29日現在)は外国籍従業員が働いており、その国籍の内訳は、中国、韓国、ベトナム、フランス、アメリカ等30ヶ国以上と多岐にわたっております。今後も多言語のマニュアルやツールの整備、国内で働くための手続き支援等の社内サポート体制構築を推進し、2025年2月期に12.0%とすることを目標に掲げ、外国籍の方々の採用をより積極的に実施してまいります。なお、外国籍の管理職の比率は0.4%(2024年2月29日現在)であり、2025年2月期に1.0%を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループの事業においてはこれら以外にも様々なリスクを伴っており、ここに記載されたものがリスクの全てではありません。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外食業界の動向について
① 食材調達について
食材調達につきましては、原油高、円安、ロシアのウクライナ侵攻、天候要因等の複合的な要因により、価格の高騰の可能性及び供給が不安定となる可能性があります。
当社グループにおきましては、様々な業態を運営しているため、特定の食材には依存していませんが、安全かつ安定した食材の確保及び仕入価格高騰抑制については、グループのシナジーを発揮し、情報を集約しつつ、仕入先との交渉を行うことで、その影響を最小限に止めるべく取り組んでおります。また、高騰した食材価格を吸収する手段としては、メニューを見直すことで、販売価格への転嫁や高騰した食材の使用割合を減らすこと等で対応しております。
② 人財の確保について
人財の確保につきましては、足許の消費の活発化による堅調な外食需要の中で、必要な人財を確保できない可能性並びに人件費及び募集費の高騰の可能性があります。
引き続き、募集方法の工夫や外国人採用の拡大、働きやすい職場作り等を進めながら必要な人財を確保していくほか、配膳ロボットやモバイルオーダー、その他DXの活用により、省人化を進めていく方針です。
(2)当社グループのビジネスモデルに係るリスクについて
① 出店政策について
当社グループは、予め一定以上の集客を見込めるショッピングセンター、地下鉄を含む駅構内、百貨店等の商業施設、駅前、繁華街及び郊外ロードサイド等に出店しており、立地条件、賃貸条件、店舗の採算性等の観点から、好立地を選別した上で、出店候補地を決定してまいりました。コロナ禍以降、好立地の条件に一部変化が生じたことやインフレによる投資金額の増加傾向を踏まえ、投資基準の見直しを図っております。
また、当社グループは、賃貸による出店形態を基本としており、賃貸借契約のうち、特に、定期賃貸借契約は、契約終了後再契約されない可能性があります。このような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 敷金・保証金について
当社グループは、賃借による出店形態を基本としており、出店等に際しては、賃貸人へ敷金・保証金を差し入れております。契約に際しては、賃貸人の信用状況の確認等を行い、十分検討しておりますが、今後、契約期間満了による撤退等が発生した際に、賃貸人の財政状況によっては、当該敷金・保証金の全部若しくは一部回収不能となる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 業態開発について
当社グループは、商業施設の価値向上といった商業デベロッパーのニーズに対して、新規に開発した業態を継続的に提案することに加え、駅前や繁華街においては、ドミナント戦略等により好調な業態の出店を加速させ、事業の拡大を図っております。ただし、お客様に受け入れられる業態を開発できなかった場合には、売上収益が減少し、また、これにより商業デベロッパーとの関係が損なわれた場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 出退店時に発生する費用及び損失について
当社グループでは、新規出店時に什器、備品等の消耗品や、販売促進にかかる費用が一時的に発生するため、大量の新規出店や、期末に近い新規出店は、利益を押し下げる要因となります。また、店舗閉鎖時においては、固定資産除却損、賃貸借契約解約及びリース契約解約による違約金等が発生するため、大量に店舗を閉鎖した場合には、一時的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 商標権の管理について
当社グループは、多業態による店舗展開を行っており、多数の店舗ブランドを保有しているため、同一ブランドをチェーン展開する飲食企業と比較して、商標権侵害等による係争・訴訟のリスクが相対的に高いものと認識しております。そのため、新たな業態の店舗を出店する際には、商標の出願、登録を行うか、若しくは商標登録には馴染まない一般的な名称を用いた店舗名を使用する等、第三者の商標権を侵害しないように常に留意しております。
ただし、出店時における当社グループの調査内容が十分である保証はなく、当社グループの見解が法的に常に正当性があるとは保証できません。万が一、当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害していると認定され、その結果、損害賠償請求、差止請求等がなされた場合、若しくは、当該事項により当社グループの信用力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、現在商標権に関する重大な係争・訴訟はありません。
⑥ 人財の育成について
当社グループは、各社員の創意工夫がサービス力の強化、競争力の向上に寄与すると考えているため、店舗の運営、サービス提供方法等については、画一的な運用を行わず、現場における創意工夫を活かす仕組みとしております。その結果、各業態、各店舗によって、お客様に提供する料理、サービス内容及び店舗運営方法等が異なっており、また、各店舗における顧客満足度は、各店舗で提供するサービスの水準に影響を受けることとなります。そのため、当社グループは人財の育成及び確保を経営上の重要課題であると認識しております。
人財育成については、お客様へのより一層のサービス向上と店舗運営に焦点をあてたオペレーション教育、店舗マネジメント教育を計画的に実施できるよう教育・研修システムの整備を進めております。
ただし、今後においても当社グループは業態開発及び店舗網の拡大を図っていく方針であるため、業容に見合った人財の育成が出来ない場合には、サービスの質の低下による信用力の低下が生じ、または、出店計画どおりの出店が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 食品の安全管理について
当社グループは、お客様に安心・安全でおいしい商品を提供するため、衛生管理マニュアル等に基づき、各店舗及び一部のグループ事業会社が保有しているセントラルキッチン等において、食中毒の発生を未然に防ぐべく、品質管理及び衛生管理を徹底し、食品事故の予防に努めております。また、社長直轄組織として「食の安全安心推進室」を設置し、従業員への教育・指導の徹底、アレルゲン管理や定期的な検査の実施等、食の安全性に対する体制強化に取り組んでおります。しかしながら、万が一食中毒や異物混入等の衛生問題が発生した場合には、当社の商品に対する信用力の低下や企業イメージの失墜等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)法的規制等について
当社グループの事業は、「食品衛生法」、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「健康増進法」、「労働基準法」、「食品表示法」、「プラスチック資源循環法」等の法的規制があります。今後の社会情勢の変化等により、これらの法的規制が強化され、その対応のため新たなコストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)金利変動の影響について
当社グループは、出店時における設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における総資産に占める有利子負債(リース負債を除く。)の割合は21.1%となっております。現在は、当該資金を主として固定金利に基づく長期借入金により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、新たに借り換え等を行う際、資金調達コストが変動している場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)災害等及び感染症等の流行による影響について
当社グループは、国内外に店舗展開しておりますが、地震や津波、台風等の自然災害の発生や、自然災害に起因するライフラインや交通網の遮断・制限、感染症の流行等により、来店客数の減少、原材料の調達の阻害や従業員の人員の確保ができない場合は、店舗運営に支障をきたし、営業が困難となることから、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)インターネット等による風評被害に伴うリスク
当社グループは、SNSサイトへの不適切な書き込み等に対し、WEBリスクモニタリングを導入し、企業ブランドに悪影響を与えるリスク投稿を早期に検知する体制を整えております。しかしながら、当社の所有する商標等の不正利用、商品への異物混入や調理設備の不適切使用等、インターネット上の掲示板やSNS等への書き込みに伴うマスコミ報道等による風評被害が拡散した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの財政状況及び業績、社会的信用等に重大な影響を与える可能性があります。
(7)訴訟に伴うリスクについて
当社グループは、事業を展開していくにあたり、顧客や取引業者、従業員を含む第三者等による様々な訴訟の対象となる可能性があります。現在、当社グループの業績に重大な影響を与える訴訟等は提起されておりませんが、業績に重大な影響を与える訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。
(8)情報システムへの依存リスクについて
当社グループは、店舗運営、食材の仕入れ等の主要業務を情報システムに依存しており、セキュリティガイドラインに基づき、コンピュータウイルスや外部からのサイバー攻撃等の悪意のある攻撃に対し、適切な予防策を実施してリスクの低減を図っておりますが、万が一これらの攻撃等により情報システムに障害が生じた場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)海外展開におけるカントリーリスクについて
当社グループは、海外へ店舗展開しておりますが、海外子会社及び関連会社の進出国における、市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣や為替、その他の様々なカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)有形固定資産の減損損失に係るリスクについて
当社グループは、多様な立地に店舗を展開しており、店舗に係る建物及び構築物等の有形固定資産を保有しております。そのため、環境の変化等により店舗の収益性等が著しく低下し、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。
(11)M&A等によるのれん・無形資産に係るリスクについて
当社グループは、成長戦略の一つとして、シナジー効果が期待できるM&Aを多数行ってまいりました。そのため、当社グループが予め想定しなかった結果が生じ、のれんや無形資産の評価額が帳簿価額より著しく低下する場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が鈍化したことを受けて行動制限が緩和されたことや、2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げられたこと等により、経済活動の正常化が進みました。また国内旅行の活発化や訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復に加え、賃上げトレンドの継続も下支えとなり、個人消費には持ち直しの動きがみられました。しかしながら、国内では円安に起因するインフレや2024年問題に伴う物流制約、少子高齢化に伴う労働人口の減少等により、景気動向は不透明な状況が続いております。さらに、海外ではロシア・ウクライナや中東情勢等、地政学的リスクに起因した経済情勢が混沌としており、その先行きは予断を許さない状況にあります。
外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が収束傾向を示す中、インバウンドを含め堅調な需要が続いているものの、円安に伴う原材料価格の更なる上昇等が見込まれることに加え、人財面での供給不足の状態が深刻化しつつあり、引き続き厳しい経営環境が予想されております。また、賃上げトレンドとインフレの継続が想定される中、選択的消費の傾向がますます強まるものと思われます。
こうした中、当社グループにおきましては、コロナ禍における変化対応で培った筋肉質なコスト構造を定着させつつ、新たなステージを目指して、ロケーションビジネスからブランドビジネスへの転換を推し進めるべく、既存店の更なる質の向上に取り組んでおります。具体的には、当社グループの核となる25のコアブランドにおいて、コンセプトを明確にし、専門性の強化の一環として、外部アドバイザーを積極的に起用して付加価値の高いメニュー考案に取り組んでいるほか、戦略的な業態変更・店舗改装等の実行により、お客様満足度の向上と販売価格の適正化、お客様数の維持向上に努めております。加えて、「守り」から「攻め」への転換を図るべく、DX投資の一環として、マーケティングオートメーションの導入によるプロモーションの促進や、モバイルオーダーの拡充及び配膳・下膳ロボットの活用、バックオフィス業務の効率化・高度化等に取り組んでいるほか、2023年10月1日付にて新設した、「わくわく」するような新業態・コンセプト開発を担う専門組織「クリエイト・ブランド・ラボ」を中心に、当社グループならではの大型投資や高いデザイン性をもったコンセプトの創出に取り組んでおります。
新規出店等に関しては、「しゃぶ菜」や「MACCHA HOUSE 抹茶館」、シンガポール料理「海南鶏飯食堂」、海鮮居酒屋「磯丸水産」、大衆酒場「五の五」、ごまそば「遊鶴」、焼肉「萬家」、ベーカリー「レフボン」、「つけめんTETSU」といったコアブランドを中心に出店いたしました。さらに、コアブランドへの業態変更も進めつつ、東京・表参道にある一括フードコート「マルシェ ドゥ メトロ」では3つの新ブランドを含む4店舗を同時に業態変更する等、「質も、そして量も」に向け投資を再開する一方で、投資を伴わない香港、タイへのフランチャイズ出店のほか、ゴルフ場内レストランやJA全農とのコラボによる業務受託店舗も積極的に出店し、事業ポートフォリオの強化を図りました。
その結果、グループ全体では34店舗の新規出店、21店舗の業態変更、契約満了に伴う退店や不採算店舗を中心に70店舗の退店を実施し、当連結会計年度末における業務受託店舗等を含む連結店舗数は1,109店舗となりました。
また、人的資本への投資として、期初に発足させた「人財プロジェクトチーム」を中心に、社員昇給の拡大やクルーの時給アップの実施、外国人採用の強化を図るとともに、研修制度の充実や地域単位の人財交流を進め、働きやすい職場作り等に取り組むことで従業員の定着率向上も図っております。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は145,759百万円(前連結会計年度比23.3%増)、営業利益は7,075百万円(前連結会計年度比39.2%増)、税引前当期利益は6,632百万円(前連結会計年度比45.3%増)、当期利益は5,608百万円(前連結会計年度比44.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,041百万円(前連結会計年度比48.9%増)となりました。また、調整後EBITDAは25,583百万円(前連結会計年度比8.1%増)、調整後EBITDAマージンは17.6%(前連結会計年度は20.0%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は41.1%(前連結会計年度は33.5%)となりました(注)。
(注)当社グループの業績の有用な指標として、調整後EBITDA、調整後EBITDAマージン及び調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)を用いております。
調整後EBITDA、調整後EBITDAマージン及び調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)の算出方法は以下のとおりです。
・調整後EBITDA=営業利益 + その他の営業費用 - その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)
・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100
・調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率):親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)からIFRS第16号の影響を除外した比率
報告セグメントにつきましては、当社グループは飲食事業以外の報告セグメントがないため、記載を省略しております。なお、飲食事業における主要カテゴリー毎の状況は以下のとおりです。
(CRカテゴリー)
当カテゴリーは、株式会社クリエイト・レストランツ及び株式会社クリエイト・ダイニングが運営する店舗で構成されており、商業施設を中心に多様なブランドにてレストラン及びフードコートを運営しているほか、ゴルフ場内レストラン等の受託運営を行っております。
当連結会計年度におきましては、株式会社クリエイト・レストランツが「しゃぶ菜」、「肉そば岳しろ」を出店したことに加え、グループ内フランチャイズ出店や、ゴルフ場内レストラン5店舗を業務受託したことにより、9店舗の新規出店、31店舗の退店を実施いたしました。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は47,326百万円、連結店舗数は484店舗となっております。
(SFPカテゴリー)
当カテゴリーは、SFPホールディングス株式会社、株式会社ジョー・スマイル及び株式会社クルークダイニングが運営する店舗で構成されており、都心繁華街を中心に「磯丸水産」、「鳥良商店」、「おもてなしとりよし」ブランド等の居酒屋を運営しているほか、熊本県や長野県においても居酒屋を運営しております。
当連結会計年度におきましては、海鮮居酒屋「磯丸水産」や、大衆酒場「五の五」を出店したことに加え、グループ内フランチャイズ出店により、7店舗の新規出店、13店舗の退店を実施いたしました。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は29,079百万円、連結店舗数は202店舗となっております。
(専門ブランドカテゴリー)
当カテゴリーは、株式会社LG&EW、株式会社YUNARI、株式会社グルメブランズカンパニー、株式会社KRフードサービス、株式会社遊鶴、株式会社いっちょう、株式会社サンジェルマン及び株式会社レフボンが運営する店舗で構成されております。
当連結会計年度におきましては、株式会社遊鶴がごまそば「遊鶴」を、株式会社いっちょうが焼肉「萬家」を、株式会社レフボンがベーカリーの「レフボン」及び「サンヴァリエ」を出店したことに加え、株式会社KRフードサービスがJA全農とのコラボにより6店舗を業務受託したことにより、10店舗の新規出店、19店舗の退店を実施いたしました。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は51,473百万円、連結店舗数は368店舗となっております。
(海外カテゴリー)
当カテゴリーは、海外において展開している店舗で構成されており、シンガポール国内にて展開しているcreate restaurants asia Pte. Ltd.が運営する店舗、香港にて展開している香港創造餐飲管理有限公司が運営する店舗、米国にて展開しているIl Fornaio (America) LLCが運営する店舗で構成されております。
当連結会計年度におきましては、シンガポールにて「Shabu Sai」を、香港にて「MOMIJI CHAYA」を、米国にて「Il Fornaio」を、タイにて「KAGONOYA」を、インドネシアにて「AWkitchen」を出店したことにより、8店舗の新規出店、7店舖の退店を実施いたしました。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は19,706百万円、連結店舗数は55店舗となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが23,292百万円の資金増(前連結会計年度比5.3%減)、投資活動によるキャッシュ・フローが3,601百万円の資金減(前連結会計年度比55.8%増)、財務活動によるキャッシュ・フローが22,496百万円の資金減(前連結会計年度比11.7%増)となり、さらに換算差額等を加味した当連結会計年度末の資金残高は21,305百万円(前連結会計年度比10.8%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は23,292百万円となりました。この主な要因は、減価償却費15,512百万円、税引前当期利益6,632百万円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は3,601百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,273百万円、差入保証金の差入による支出279百万円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって使用した資金は22,496百万円となりました。この主な要因は、リース負債の返済による支出13,120百万円、長期借入金の返済による支出7,945百万円を計上したこと等によるものであります。
当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資、有利子負債の返済及び運転資金等であります。
当社は、事業活動等により創出したキャッシュ・フローに加えて、銀行借入、社債調達を行っているほか、コミットメント・ライン及び銀行信用枠の設定等により、多様かつ十分な資金調達手段を確保しております。
なお、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当連結会計年度における仕入実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格で記載しております。
2.その他は、主に本社一括購入による仕入割戻であります。
3.上記の金額には、他勘定振替高は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。
(注) その他は、主に業務受託収入及び連結調整によるものであります。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グル-プの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。
① 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の判断及び見積りを伴う判断」に記載しております。
② 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、130,816百万円(前連結会計年度比2.1%減)となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が2,589百万円減少した一方で、営業債権及びその他の債権が489百万円、その他の流動資産が92百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債は、91,444百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。この主な要因は、社債及び借入金が7,792百万円減少した一方で、未払法人所得税等が453百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本は、39,371百万円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容
当社グループにおきましては、コロナ禍における変化対応で培った筋肉質なコスト構造を定着させつつ、新たなステージを目指して、ロケーションビジネスからブランドビジネスへの転換を推し進めるべく、既存店の更なる質の向上に取り組んでおります。具体的には、当社グループの核となる25のコアブランドにおいて、コンセプトを明確にし、専門性の強化の一環として、外部アドバイザーを積極的に起用して付加価値の高いメニュー考案に取り組んでいるほか、戦略的な業態変更・店舗改装等の実行により、お客様満足度の向上と販売価格の適正化、お客様数の維持向上に努めております。加えて、「守り」から「攻め」への転換を図るべく、DX投資の一環として、マーケティングオートメーションの導入によるプロモーションの促進や、モバイルオーダーの拡充及び配膳・下膳ロボットの活用、バックオフィス業務の効率化・高度化等に取り組んでいるほか、2023年10月1日付にて新設した、「わくわく」するような新業態・コンセプト開発を担う専門組織「クリエイト・ブランド・ラボ」を中心に、当社グループならではの大型投資や高いデザイン性をもったコンセプトの創出に取り組んでおります。今後につきましても、引き続き厳しい経営環境の中、成長戦略の3本の柱である「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」、「グループ連邦経営の更なる進化」、「DX推進による生産性の向上・人財不足への対応」をもとに、サステナブルな利益成長を目指してまいります。
(売上収益)
当連結会計年度の連結売上収益は、2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げられたこと等により経済活動の正常化が進んだことに加え、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復のほか、2022年12月にグループ入りした株式会社サンジェルマン及び株式会社レフボン(旧株式会社北海道サンジェルマン)の通期貢献もあり、145,759百万円(前連結会計年度比23.3%増)となりました。
(営業利益、調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン)
営業利益は、売上収益の増加に伴う利益の増加はあるものの減損損失を保守的に計上したこと等により、7,075百万円(前連結会計年度比39.2%増)となりました。
また、調整後EBITDAは25,583百万円(前連結会計年度比8.1%増)、調整後EBITDAマージンは17.6%(前連結会計年度は20.0%)となりました。
(親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率))
売上収益の増加に伴う当期純利益の積み上げ等により、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は27.5%(前連結会計年度は22.2%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は41.1%(前連結会計年度は33.5%)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「わくわく無限大! 個性いろいろ ともに創る 驚きの未来。」というグループミッションに基づき、個性豊かな事業会社の強みを活かしながら、様々な可能性に挑戦し、お客様だけでなく従業員や社会が驚くような未来を創ることにより、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。
今後の見通しにつきましては、国内の需要サイドでは、企業収益の改善に伴う株高傾向や雇用環境の改善・賃上げトレンドの継続、インバウンド需要の更なる拡大等により、堅調に推移すると予想されます。一方、供給サイドでは、少子高齢化に伴う深刻な労働力不足や物流問題に加え、ロシア・ウクライナや中東情勢等、地政学的リスクに起因した国際情勢の不透明さもあり、原材料価格やエネルギーコストの高止まりが懸念される等、引き続き需給ギャップの深刻化が続くものと予想されます。
外食業界におきましては、税制改正に伴う法人交際費の回復を含め、国内消費の活発化やインバウンド等引き続き堅調な需要は見込めるものの、人財面での供給不足が懸念されるほか、原材料価格、人件費、光熱費の上昇といったインフレの継続等により、今後も厳しい経営環境が続くと予想されます。
このような環境の中、当社グループは、成長戦略の3本の柱である「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」、「グループ連邦経営の更なる進化」、「DX推進による生産性の向上・人財不足への対応」をもとに、サステナブルな利益成長を目指してまいります。
最優先課題への対応としては、既存店の「お客様数」を増やすべく、リピーターの来店頻度と予約率の向上を図ってまいります。そのために、ネット予約の強化等、DX投資の更なる推進や店舗の修繕・改装投資に加え、「リブランディング投資」も推進することで、店頭訴求や居心地の良さを向上させ、コアブランドを中心とした業態のブラッシュアップに取り組んでまいります。
また、事業ポートフォリオの強化に向け、コントラクト事業の強化にも取り組んでまいります。具体的には、JA全農との業務提携によりカフェ&ダイニング「みのりみのる」を始めとしたコラボ業態の運営受託を加速するとともに、ゴルフ場内レストランの新規開拓も強化してまいります。さらに、クリエイト・レストランツグループらしさを追求する「わくわくプロジェクト」や新たなコアブランド開発のほか、国内外のM&Aにも引き続き積極的に取り組んでまいります。
そのほか、人的資本への投資として、前期に引き続き社員昇給ファンドの拡大や外国人採用の強化に取り組むとともに、「働きやすい職場」「働き甲斐のある職場」を創出すべく、多様な人財が多様な働き方を実現できる環境と制度を整えてまいります。また、グループ内人財交流を促進するべく、グループ横断的な組織再編にも取り組む等、HX(ヒューマントランスフォーメーション)を活用しながら、組織としての持続的な成長を目指してまいります。
以上を踏まえ、2025年2月期の通期業績予想といたしましては、売上収益1,530億円、営業利益93億円、税引前当期利益87億円、当期利益70億円、親会社の所有者に帰属する当期利益61億円を見込んでおります。また、調整後EBITDAは262億円、調整後EBITDAマージンは17.1%を見込んでおります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。