当社は、「私たちは“インターネット”で熱量を持って挑戦する全ての人の「やりたいこと」を「できる」に変える」を会社の理念としており、DX(デジタルトランスフォーメーション。以下、「DX」という。)時代において、顧客の成功を支援するクラウドサービスの提供を通じて顧客満足度を向上させること(カスタマーサクセス)を事業上では重視し、この実現を目指しながら当社グループのシナジーを発揮することで全てのステークホルダーとともに成長するための努力が企業価値の増大につながるものと考えております。
当社グループの属するクラウド・インターネットインフラ市場は、Generative AI(以下、生成AI)に関わる動向が活況となるなか、生成AIの活用、クラウドマイグレーション、デジタルビジネスに対する投資の拡大等が予想されております。また、IT貿易赤字の拡大や経済安全保障・防災等の観点から国産パブリッククラウドへの期待も高まるなかで、今後も拡大が継続すると見込んでおります。
こうした状況のもと、当社グループはシステムインテグレーションから開発、クラウド・インターネットインフラサービスの提供、保守、運用、お客様サポート等をグループ内においてワンストップで提供することで、お客様の「やりたいこと」の実現を支援することを目指しております。現在の48万件を超える顧客と新たな顧客にとってのカスタマーサクセスの実現に注力することで、今後も高い市場成長が見込まれるクラウドサービスの拡大に注力してまいります。
社会全体でデジタル化が急加速する中で、データセンターやネットワークなどのデジタルインフラの重要性が急速に高まっております。また、ネット企業ではない一般企業がデジタル上で利益を得る時代において、経済安全保障の観点から国産パブリッククラウドへの期待が高まるとともに、生成AIの発展によりGPUなどの高度な計算資源への需要が増加しております。
このような生成AIインフラ市場やパブリッククラウドの拡大期において、当社グループは経営リソースをコアビジネスに集中して事業の強化・成長を促進させるとともに、戦略と連動した人材の獲得や社員の成長と活躍を促進してES(エンプロイーサクセス)とCS(カスタマーサクセス)の実現を図り、国産デジタルインフラとして選ばれる存在になることで、デジタルインフラトップ企業を目指してまいります。これに向けて、当社グループは以下に取り組んでまいります。
生成AI市場で選ばれる存在への成長とクラウドサービスの販路拡大
・生成AIの多様な用途に対応できるサービスラインナップの拡充と他社との共創推進
・販路拡大を目的とした業界イベント・展示会への出展
・ガバメントクラウド正式認定取得に向けた開発加速と公共分野における販売施策の実行
・パートナー制度とクラウド検定のエコシステムの整備と将来のクラウド売上成長に向けた販売基盤の確立
人材確保と育成、インフラ基盤の拡充を両輪とした成長を加速させる体制の構築
・成長を支えるエンジニア等の中核人材とマネジメント人材の獲得
・社員のモチベーション向上と挑戦を後押しする環境を構築し、変化と成長に強い組織体制の構築
・生成AI向けサービス基盤への積極的な投資の継続(迅速なGPU確保とコンテナ型データセンターの構築で、市場の需要に対応した最良なタイミングでの投資実行)
当社グループは、持続的な成長と安定した収益体質の実現を経営の目標としており、中長期的には前期対比売上高成長率10%以上、売上総利益率30%以上、売上高対経常利益率10%以上の継続的な達成を目指しております。
(注) 将来に関する記載事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、国内で運営するデータセンターを基盤とした、クラウド・インターネットインフラサービス事業を展開しております。デジタル社会の進展に伴い、サービスの信頼性と安全性を確保する重要性はますます高まっており、サイバー攻撃やシステム障害など、社会全体に影響を及ぼすリスクが深刻化しています。当社グループは、社会基盤を担うデジタルインフラ事業者として、その責任を強く認識しており、お客様からお預かりする情報資産ならびに当社が保有する情報資産をあらゆる脅威から保護するため、サイバーセキュリティへの対応を最重要課題の一つとして位置づけております。
また、当社事業の基盤であるデータセンターは、サーバーの稼働や冷却のために、大量の電力を消費することから、気候変動・脱炭素は、当社の重要な課題の一つと認識しており、当社はこれまで、環境配慮型の外気冷房の導入や、非化石エネルギー由来の電力証書の調達を通じて、使用電力に伴うCO2排出量の実質ゼロを実現し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを継続してまいりました。
さらに、当社の事業が持続的に成長し続けるためには、優秀な人材採用を進めるとともに、多様なバックグラウンドを持つ社員が相互に学び合い、高いパフォーマンスを安定的に発揮できる、人材の育成や就業環境の整備が極めて重要であると認識しており、当社では、社員の働きやすさと働きがいの両立を図る人的資本投資を進めております。
ここでは、当社グループの主な取組みとして、気候変動・脱炭素、サイバーセキュリティ、人的資本経営の3点について記載いたします。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
社会・産業のデジタル化が進展する中、データ活用によるビジネス改革や社会課題の解決が期待されており、これを支えるデジタルインフラとしてのデータセンターの重要性は一層高まっています。一方で、データセンターは、サーバーの稼働や冷却のために大量の電力を消費し、近年では生成AI活用の急速な普及やVR技術の商業化の進展に伴い、高性能サーバーによる消費電力は増大しています。地球温暖化の抑制をはじめとする地球環境保全の重要性が高まる中、SDGsの観点からも、企業にはエネルギー消費の管理・削減を通じた、脱炭素実現への貢献が求められており、当社もこの認識のもと、環境負荷の低減に向けた取り組みを積極的に推進しております。
2011年11月に開所した、北海道石狩市の環境に配慮した郊外型大規模データセンター(石狩データセンター)では、立地条件を活かした冷涼な外気による外気冷房の導入によって冷却効率を高めるとともに、再生可能エネルギーの自社利用を目的とした石狩太陽光発電所の開設(2015年)や、非化石証書の利用による電力の実質CO2排出量ゼロを実現(2022年)し、2023年からは、同センターの電力を再生可能エネルギー電源100%へ完全に切り替えるなど、持続可能なデータセンター運営に注力してまいりました。また、石狩データセンター以外の当社が運営するデータセンター及び事業所においても、非化石エネルギー由来の電力証書を調達することにより、使用電力に伴うCO2排出の実質ゼロを達成しており、今後も、脱炭素化に向けた取り組みを継続的に行ってまいります。
また、地域社会や他社との協業による取り組みも進めており、2021年9月には北海道石狩市と「デジタルトランスフォーメーションの推進及び脱炭素等のイノベーションによる地域活性化に関する包括連携協定」を締結し、地域社会におけるデジタル活用の促進や脱炭素に向けた取り組みを官民連携で推進する体制を構築しました。
2025年1月には、株式会社Preferred Networks及びRapidus株式会社との間で、グリーン社会の実現に貢献する国産AIインフラの提供に向けた基本合意を締結し、各社が有するグリーン技術や知見を活用した国産AIインフラの整備を共同で取り組んでおります。2025年3月には、SOINN株式会社との共同による実証実験を石狩データセンターで開始しており、AIによって空調制御を自動化することで、エネルギー効率の向上と運用管理の省力化に向けた検証を進めています。2025年6月には、株式会社JERAと電力インフラと連携したデータセンターの新設に向けた検討に関する基本合意書を締結しており、同社が所有する発電所構内にデータセンターの整備の検討を進め、実現した場合には、株式会社JERAの再生可能エネルギーに限らないクリーンな電力を活用したデジタルインフラを当社から提供することが可能となります。
当社はデータセンターを運営する事業者としてエネルギー使用の削減や合理化を実践していく責務があると考えており、中長期的な方針・取り組みについては、常勤取締役と執行役員が参加する定例会議にて報告・共有され、意見交換が行われております。また、気候関連に関する情報は、必要に応じて取締役会にも報告される体制を構築しており、取締役会は中長期的な経営戦略やリスクマネジメントの観点から、当該課題に対する監督・助言を行っております。
さらに、当社では、エネルギー管理統括者である執行役員を委員長とした、エネルギー管理委員会を設置しており、当社におけるエネルギー使用の管理・実行を担う機関として、各種法的な対応や社内啓蒙などを推し進めながら、消費電力の使用実態を把握し、エネルギー削減活動等による地球環境保全に努めております。
当社は、企業活動の持続的発展を阻害するリスクに適切に対処するべく、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しており、運営・検討状況については、必要に応じて取締役会に報告することとしております。
脱炭素への取組みなどの地球環境保全、気候変動に関するリスクについては、経営戦略の重要な要素として位置づけていることから、2021年6月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行い、同提言に賛同する企業・機関等による「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。現在は気候変動を主軸とした情報整理となっておりませんが、石狩データセンターの電力における再生可能エネルギー電源の100%利用によるCO2排出量ゼロの実現をはじめ、他データセンターにおいても空調方式の改善による省エネルギー化など、環境保全のための活動を以前から行っております。今後は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について適切な開示を行えるよう、引き続き準備を進めてまいります。
近年、社会におけるデジタル技術の進展に伴い、インターネット上の個人情報や機密情報の保護は一層重要性を増しており、不正アクセスや情報漏えいなどのリスクも複雑化しています。
当社は、デジタルインフラを提供する企業として、インターネット上の安全性や品質の確保を重要な責務と捉えており、インフラの停止が社会や顧客に重大な影響を及ぼすことを踏まえ、顧客の情報資産および当グループの経営資源としての情報資産をあらゆる脅威から保護するためのセキュリティ体制の強化に取り組んでいます。
特に、公共分野における信頼性の高いクラウドサービスの提供を目指し、政府の定める厳格なセキュリティ要件に準拠したガバメントクラウドへの対応にも注力しており、その一環としてより強固なセキュリティ基盤の構築を進めるとともに、日々の運用と見直しを重ねながら改善を推進しています。
当社は、2009年に総合的な情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を全社に適用し、情報セキュリティ水準の強化を図ってきました。現在では、ISMAP(※1)やISMSクラウドセキュリティ認証(※2)をはじめとする複数の第三者認証を取得しており、お客様に安心して選択いただけるサービスの提供に努めています。これらの認証については、単に形式的な基準を満たすだけでなく、その趣旨や目的を踏まえた実効的な運用・改善に取り組んでいます。取得済みの認証一覧は、当社ウェブサイトに掲載しております(※3)。
また、当社では情報セキュリティに関する基本方針を策定・公表しており(※4)、その運用や目標、ロードマップなどの全体設計は、最高情報セキュリティ責任者(CISO。最高情報責任者を兼任する執行役員が務める)を中心に策定・運営されています。CISOからは、常勤取締役および執行役員が参加する定例会議にて報告・意見交換が行われるとともに、重要な事項については取締役会にも報告することで、経営レベルでのガバナンス体制の強化を図っています。
※1 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度( Information system Security Management and Assessment Program)。政府が求めるセキュリティ基準を満たしたクラウドサービスを評価・登録する制度
※2 ISMS 認証を前提に、クラウドサービスに特化した情報セキュリティの第三者認証制度
※3 当社ウェブサイト(URL https://www.sakura.ad.jp/corporate/security/)
※4 当社ウェブサイト(URL https://www.sakura.ad.jp/corporate/security/policy/)
当社は、企業活動の持続的発展を阻害するリスクに適切に対処するべく、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しており、運営・検討状況については、必要に応じて取締役会に報告することとしております。
サイバーセキュリティを含む情報セキュリティリスクについては、最新の情報収集と迅速な対処が不可欠との認識のもと、最高情報セキュリティ責任者(CISO)の統括のもとで組織的な対応体制を整備しています。
インシデントが発生または検知された場合は、所定のルートで速やかに社内に報告され、可用性や情報漏えいの観点から重要度を判断した上で、必要に応じて即時にCISOや経営層への報告が行われます。また、重要と判断されたインシデントについては、専門部署を中心に初動対応・封じ込め・証拠保全・調査・復旧といった一連のプロセスが速やかに開始され、サポート部門・広報担当とも連携しながら、影響最小化を図ります。
このような対応体制により、事業継続性や顧客の信頼確保を重視したリスク管理を推進しています。
また、当社サービスを利用した迷惑行為・不正サイトに関する通報窓口を設け、専門チームが社内外の関係者と連携し、サービスや顧客・インターネットそのもののセキュリティリスク低減に取り組んでいます。
社内システムにおけるセキュリティ運用体制は、インシデント対応とアクセス管理の両面で施策を進めています。
インシデント対応体制の継続的な改善として、報告経路や手続きの簡素化、重大インシデントの判断基準や責任範囲の明確化、報告者の心理的負担の軽減に取り組んでいます。これらを通じて、組織としての対応力と再発防止力のさらなる向上を図ります。
また、日常的なシステム利用の安全性向上に向けた環境整備にも取り組んでいます。当社では、リモートワークを前提とした柔軟な働き方を採用しており、こうした環境下でも安全に業務を遂行できるよう、ゼロトラスト(※)の考え方に基づく認証基盤を導入しています。認証の厳格化により業務上の安全性を確保しながら、安心して社内システムを利用できるアクセス環境の構築を進めており、不正アクセスの抑止とセキュリティの維持を両立しています。
※ すべてのアクセスを信頼せず、利用者や端末の状態を都度確認したうえでアクセスを制御する、近年広がりを見せているセキュリティの基本的な考え方。
当社では、社内システムと同様に、提供するサービスの安全性と信頼性を高めるため、セキュリティ運用体制の整備を進めています。
2024年10月には、サービスに関するセキュリティ対応を専門とするPSIRT(Product Security Incident Response Team)をSIRTから独立させる形で発足させました。PSIRTは、セキュリティ技術・インシデント対応全般を担う部署「SIRT」と連携して活動し、提供サービスに対する攻撃や悪用への迅速な対応はもとより、セキュリティインシデントの予防や、平時における支援・啓発活動も担うことで、安心してご利用いただけるサービスの提供に貢献しています。
また、近年高まるサプライチェーンリスクへの対応として、外部調達品などのサービス構成機器に関するリスクを適切に管理すべく、製品選定・調達ポリシーの検討を含め、リスク対応方針の策定を進めています。

<中長期的な人材戦略及び方針>
当社グループは、将来の持続的成長に向けた基盤強化に取り組んでおります。その中核となる施策として、クラウドサービス分野への戦略的投資を加速し、ガバメントクラウド正式認定の要件充足に向けた対応や、営業体制の強化による新規市場の開拓を推進するとともに、これらを支える人材として200名規模の採用を実施してまいりました。今後は、国内を中心に成長を支える人材だけでなく、海外展開も視野に、外国籍社員の採用を含むグローバル人材の採用の検討も進めてまいります。
また、この成長局面においては、優秀な人材の確保を進めるとともに、多様なバックグラウンドを持つ社員が相互に学び合い、高いパフォーマンスを安定的に発揮できる、人材の育成や就業環境の整備が極めて重要であると認識しており、当社グループでは、社員の働きやすさと働きがいの両立を図る人的資本投資を進めております。
当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、「ES(エンプロイーサクセス)」を掲げています。これは、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤作りを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客様への価値提供の源泉である人材の価値をより高めていくことを目指すものです。
また、ESの実現に向けて、当社グループは以下、「5つの柱」を軸に取り組んでまいります。
<ES実現のための5つの柱>
社会・産業のデジタル化を支えるデジタルインフラ企業として、“インターネット”で社会やお客様の「やりたいこと」を「できる」に変えることを目指し、社員のさらなる意欲向上と成長促進のために、社内外でデジタルリテラシーに関する学びの場を提供するとともに、学びを活かす機会の提供、学び合う文化づくりに取り組んでまいります。
社員がそれぞれの持つ能力を最大限発揮し、やりがいをもって働くためには、こころと身体の健康が必要不可欠です。安全と衛生、健康推進およびこころと身体を大切にする組織的な文化作りを通し、ウェルビーイング経営を実現し、社員と会社の持続的な成長と成功につなげることを目指しています。
すべての社員が多様な価値観を持つダイバーシティの担い手であることを前提に、属性の多様性とキャリアやスキルの多様性の双方を生かすことで、当社グループ全体の成長と、お客様への価値提供と貢献を目指します。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な社員の活躍につながる環境づくり、成長実感を持てるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる風土づくりに取組んでいきます。
学生起業した創業者の挑戦マインドを受け継ぐ組織文化によって、社員がリーダーシップを発揮し、事業創造や新規事業を創出します。多様な人材が集い、コラボレーションし、自由な発想で集中して活動にチャレンジできる環境および機会の提供を行うことで、社員とお客様と会社の持続的な成長と成功につなげることを目指しています。
会社が「働きやすい」環境を提供し、その中で社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取組みをおこなっています。
<主な取り組み内容>
※当社単体での主な取り組み内容を記載しております。
〇 社員の学びの場を提供
当社では、社員の「変化したい」「成長したい」という想いを全力で応援するため、各種多様な研修プログラムを用意しています。2022年度からは、非エンジニアを対象に、デジタル人材の教育プログラム「DX Journey」を継続的に開催しており、多くの社員が参加しプログラミングや自動化の基礎を身につけました。2025年度においては、キャリア採用者による知識を共有する場の設置や、自律的なキャリア形成研修に加えて、人員拡大に伴うマネジメント力強化のための研修として、マインドセットやピープルマネジメントを想定したマネージャー・リーダー向け研修などの実施を検討しております。
〇 資格取得の推進と生成AIの積極的な活用
当社では、全社員がITについての理解を深め共通言語で話すことができるよう、正社員全員に対し国家試験「ITパスポート試験」(※1)に加えて、生成AI領域を含む DXをリードする人材を支援すべく、データサイエンティスト検定、 G検定を含む「Di-Lite」(※2)の資格取得も推奨しております。また、2025年4月には生成AIサービスの法人用アカウント (ChatGPT Enterprise) を全社員に提供開始し、生成AIを活用した業務効率および生産性向上の取り組みを進めております。今後はOpenAIによるオンボーディング・トレーニングの実施を予定するとともに、自社プラットフォームを用いた生成AI利用環境の構築を進め、社内での活用を強化していく方針です。
※1 ITパスポート試験:情報処理推進機構が実施する情報処理技術者試験の一試験区分であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験
※2 Di-Lite:「デジタルを使う人材」であるために、全てのビジネスパーソンが、共通して身につけるべきデジタルリテラシー範囲
〇 エンゲージメントサーベイツール活用による継続的な組織改善
当社では、社員一人ひとりの「働きやすさ」と「働きがい」の両立を実現するため、エンゲージメントサーベイツールの活用によるエンゲージメントの可視化と改善を継続的に行っています。2024年度の調査結果では、広いキャリア形成とプライベート充実、その双方で得た知識や経験を共創につなげることを目指した独自制度「さぶりこ」の継続的な実施と従業員モチベーション向上施策の実施により、エンゲージメントスコアが過去最高(※3)を記録しました。また、ガバメントクラウドの認定(条件付き)やGPUクラウドサービスの飛躍的成長、優秀人材の採用による組織全体の一体感向上などが追い風となった結果、“ぬるま湯職場”から“いきいき職場”へ変化(※4)しました。

※3 株式会社アトラエが提供する「Wevox」及び、株式会社働きがいのある会社研究所が実施する「GPTW(Great Place to Work)」によるエンゲージメントサーベイツールの結果
※4 GPTWの各設問を働きやすさ、働きがい、その両方に分類し、当社独自の手法により、「働きやすさ」と「働きがい」に関する設問の平均点を4象限マトリクスにプロットして分析
当社の重点テーマの1つである「多様な人材の活躍促進」の指標「管理職に占める女性労働者の割合」については、全社員に対する女性の割合と比較して、全管理職に占める女性の割合にはまだ差がある状況です。当社においては多様な属性の社員が多様な価値観を持ち、互いの価値観を認め合った上で共創することがイノベーションにつながると考えていることから、全管理職に占める女性の割合について、全社員に対する女性の割合と同等までの上昇を指標としているものです。指標の達成を目指し、女性社員を対象とした外部機関運営の女性リーダー育成プログラムへの派遣による自己認識の変革への取組みや、ロールモデルの策定など、よりポジティブに管理職を目指すことができるよう、取り組んでまいります。
なお、当社では女性4名を含む執行役員15名が在任しており、2025年3月31日現在、執行役員を含む女性役員比率は25%となっております。(2024年6月に閣議決定された「女性版骨太の方針 2024」におけるプライム市場上場企業対象の女性役員比率に関する数値目標は、「2030年までに女性役員(執行役員を含む)の比率を30%以上」です。)
その他重点テーマである「フレキシブルな働き方」の指標「男性労働者の育児休業取得率」としては、社員一人一人がそれぞれのライフステージの中でも活躍できるよう、お子様が生まれた男性社員に対して育児休業制度についての説明を行うための面談を実施することを提案し、希望する男性社員全員に対して面談を行うなど、男性の育児休業取得に力を入れています。
なお、当社グループでは、上記「①戦略」において記載した内容に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
※1 育児休業の取得を希望する社員全員が育児休業を取得できる状況を目指します。一方、育児休業を希望しない社員の選択も尊重してまいります。
※2 2024年度において、女性の育児休業取得者7名のうち1名が国外への転居により復職に至りませんでしたが、全体としては高い水準を維持しております。
当社グループの事業活動において、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク要因を、以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。ただし、以下の記載事項は、投資判断に関連するリスクのすべてを網羅するものではありませんので、ご留意ください。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。なお、記載中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、ガバメントクラウド正式認定取得に向けた開発加速をはじめ、パートナー制度やクラウド検定を活用したエコシステム整備による販路拡大施策、成長を支える中核人材及びマネジメント人材の獲得、生成AI向けサービス基盤への積極的な投資の継続など、成長戦略の実践と、それを支える基盤強化に取り組んでおります。これらを通じて、競合他社との差別化やシェア拡大に努めておりますが、同業他社の中には、当社グループと比べ大きな資本力、販売力等の経営資源、高い知名度等を有しているものもあり、当社グループの競争力が低下する可能性があります。
データセンターの管理体制については、24時間有人管理体制をはじめ、ハウジングサービス契約者の入退室管理、監視カメラの設置、カードキーや生体認証による入退室時の情報管理など、細心の注意を払っております。また、火災への対策として、ガス式の消火設備や高感度の火災検知装置などを導入するとともに、専門業者による定期的な検査の実施や、社員による目視の安全点検を行っております。
通信設備につきましても、火災・地震などの災害に対して必要な防災措置を施し、電源やネットワークの非常時対策・データセンターの24時間監視に努めております。また、ファイヤーウォール、接続回線の二重化、コンピュータウイルス防御などの安全対策も施しております。
また、地震等の自然災害の発生を想定した防災訓練を行い、緊急時の情報連携を中心とした対応フローの見直しを実施するなどの対策も行っております。しかしながら、予期せぬ大規模な自然災害や不法な行為、感染症等の世界的な大流行(パンデミック)による設備封鎖などが生じた場合には、サービスの提供ができなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、他のデータセンター事業者とデータセンターを賃借する契約を結び、一部のサービスを提供しております。
しかし、契約期間内であっても3ヶ月前までに通告することによって解消できるなどの条項が含まれており、その場合には当社グループの負担により当社グループの設備の撤去を行わなければならないこととなっております。そのため、契約先の経営悪化等により当社グループの予期せぬ契約の解消が生じた場合には、撤去費用もしくは他のデータセンターへの移転費用が予算を超えて計上されることとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、個人から法人、文教・公共分野まで幅広い顧客にサービスを提供しているため、多くの顧客情報を蓄積しております。このため当社グループは個人情報保護法に定める個人情報取扱事業者に該当し、個人情報の取扱いについて規制の対象となっております。
当社グループでは、専門部門を設置し、個人情報の保護に関する規定の整備運用、システムのセキュリティ強化、役員・社員への定期的な教育を実施するなど個人情報保護への取り組みを推進しております。また、当社のサイト上の個人情報保護ポリシーにおいて、取り組みを提示しております。
昨今、コンピュータウイルス等の侵入、不正なアクセスのリスクが高まっております。当社グループが保有する顧客情報が業務以外で使用されたり、外部に流出したりする事態になりますと、対応コストの負担、顧客からの損害賠償請求、風評被害による申し込み数の低下や解約の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電気通信事業者として届出等を行っており、電気通信事業法に定める「通信の秘密」や「利用の公平」などを遵守しております。また、特定商取引に関する法律及び特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に定める広告・宣伝メールの送信や、不当景品類及び不当表示防止法に定める広告表示及び景品類の提供についても遵守するため、当社グループは、役員・社員に対して定期的に教育するとともに、法務担当者による法令適合性の審査を行っており、法令違反の発生を防止する体制作りを行っております。
しかし、万一これらの法令に規定される一定の事由に当社グループが該当した場合、所管大臣等から指導や業務改善等の命令もしくは罰則を受け、当社グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来的にこれらの法令の改正や当社グループの事業に関する分野を規制する法令等の制定、あるいは自主的な業界ルールの制定等が行われた場合、当社グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、既存事業に関連する領域を中心に出資や企業買収等を行っております。これらの実施にあたっては、事前に事業内容や財務状況等について、様々な観点から必要かつ十分な検討を行っております。しかしながら、出資や買収後に事業環境の急変や予期せぬ事象の発生等により、当初期待した成果をあげられない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、約款において会員ID・ユーザーアカウント・各種パスワード等の管理に関し、当該サービス契約者が責任を負う旨を定めており、また、不正利用防止の観点から、一部のサービスではサービス申込時に本人確認のための電話認証の仕組みを導入するなどしておりますが、第三者がこれらの情報を悪用し、もしくはサービス申込時に第三者と偽って大量のサービス利用等をした場合、サービス利用料の回収が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、他者の知的財産権を侵害することがないよう、事前に調査を実施しておりますが、サービスに用いる技術について他者の知的財産権を侵害している可能性を完全に排除することは困難です。他者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求や使用差止等の訴訟が生じた場合、当社グループの企業イメージの一時的な毀損、損害賠償責任の発生、サービス提供が一時的に困難となる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネットに接続される環境下にあるコンピュータやサーバーには、ウイルスへの感染、クラッキング、不正アクセス、DoS攻撃等によるサービス提供への影響や情報の流出等のリスクが常に存在します。当社グループでは、提供サービスやネットワークについて、適切なセキュリティ対策を講じておりますが、想定を超えた大規模な攻撃の発生もしくは当社グループの対策が十分に機能しなかった等の理由により、これらのリスクが現実に生じた場合、当社グループの企業イメージの一時的な毀損、損害賠償責任の発生、サービス提供が一時的に困難となる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多数のサーバー等の機器をデータセンター内で稼働させることによりサービスを提供しており、大量の電力を使用しています。電力価格が想定以上に上昇し、上昇分をサービス価格に反映できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは気候変動に係るリスクとサステナビリティを巡る取組みの重要性について十分に認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行うとともに、脱炭素に向けた取組みを継続的に行っております。
また、当社サービスの提供にはサーバー及びネットワーク機器等の調達が不可欠であり、一部構成要素は海外調達に依存しています。近年、特定の半導体製品や高性能機器などにおいて、世界的な需要の急増や製造・物流体制の制約等を背景に、発注から納品までに長期間を要する事例が見られており、当該機器の調達が困難となる、または納期が大幅に遅延する可能性があります。こうした場合には、当社グループのサービス提供体制に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
サーバー及びネットワーク機器等への投資が一定額を超える場合には、常勤取締役及び執行役員が参加する定例会議において、事業計画の蓋然性を十分に検討した上で投資を行いますが、減価償却費の増加に対し顧客の獲得が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社は石狩データセンターを自社で所有して運用しており、事業拡大に伴い増床を行っております。経済環境の変化等により、データセンターの建設や工事にかかる資材、人件費などが上昇し、これらをサービス価格に反映できない場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合などには、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、約款において禁止事項を定め、法令や公序良俗に反するなどのコンテンツを排除するよう努めておりますが、当社グループの顧客が約款に反するコンテンツの設置をはじめとした違法行為を行った場合には、企業イメージの一時的な毀損により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日進月歩の市場動向に合わせてより高品質なサービスの提供と価格の低廉化に努め、新規顧客の獲得と既存顧客の継続的なサービス提供を図っておりますが、これが計画どおりに進まない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。他方、顧客が急激に拡大するような局面においては、これに対応するためのバックボーンの整備が必要となります。当社グループといたしましては、今後も大容量の通信回線を確保することが可能と考えておりますが、十分な通信回線を適正な価格で確保できない場合には、事業機会の喪失や収益性低下の可能性があります。
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底を目的に、当社代表取締役社長管掌の独立した組織として内部監査室を設置する等、内部管理体制の充実に努めております。
しかしながら、事業環境の急速な変化などにより、十分な内部管理体制の構築が間に合わない場合には、一時的に管理面に支障が生じ、効率的な業務運営がなされない可能性があります。
今後、当社グループ全体で総合的なクラウドソリューションの提供に注力していく中で、必要とされる新技術に迅速に対応できない場合、業界における競争力に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが、新技術を導入しつつ今後の事業拡大を図っていくためには、優秀な人材を確保していく必要がありますが、新規サービス開発のためのエンジニアや営業・マーケティングを主とした人材確保及び育成が順調に進まない場合、重要な人材が離脱した場合又は積極的に人員を採用したこと等により人材関連費用を適切にコントロールすることができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サーバーなどの機器に関する投資、その他事業資金について、金融機関からの借入又はリース等を通じて資金調達を行っております。今後も、データセンターの最適化や新サービス開発のための継続的な投資等を計画しており、安定的な資金調達を可能とするため、財務体質の強化に努めたいと考えております。しかし、金融市場やその他外部環境において大きな変動が生じた場合には、資金調達が困難になる可能性や調達コストが増大する可能性があります。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、対象取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に対し、株価変動のメリットとリスクを株主の皆様とより一層共有し、株価上昇及び企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的として、譲渡制限付株式を交付する株式報酬制度(以下、「本制度」)を導入しております。2026年3月期においても、対象取締役及び割当対象者である執行役員に対して、本制度に基づき自己株式の処分を実施する方針です。また、当社は2024年6月に公募増資により新株発行を行っており、今後も必要に応じて、新株発行を伴う資金調達を行う可能性があります。これらの自己株式の処分や新株発行が行われた場合には、既存の株主が有する株式価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、景気の緩やかな回復が続くことが期待されますが、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響などがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況となっております。
当社グループの属するクラウド・インターネットインフラ市場は、Generative AI(以下、生成AI)に関わる動向が活況となるなか、生成AIの活用、クラウドマイグレーション、デジタルビジネスに対する投資の拡大等が予想されており、国産パブリッククラウドへの期待も高まるなかで、今後も拡大が継続すると見込んでおります。
こうした状況のもと、当社グループはシステムインテグレーションから開発、クラウド・インターネットインフラサービスの提供、保守、運用、お客様サポート等をグループ内においてワンストップで提供することで、お客様の「やりたいこと」の実現を支援することを目指しております。現在の48万件を超える顧客と新たな顧客にとってのカスタマーサクセスの実現に注力することで、今後も高い市場成長が見込まれるクラウドサービスの拡大に注力しております。
売上高につきましては、2024年1月からサービス提供を開始したGPUクラウドサービス売上の計上やグループ会社での好調な案件獲得、クラウドサービス売上の順調な成長等により、31,412,382千円(前連結会計年度比43.9%増)となりました。
営業利益につきましては、クラウドサービスの機能開発強化の一層の加速や販売促進に向けた人材採用・マーケティング強化等の投資の積極的な実施等による費用の増加がありましたが、売上の増加により、4,145,586千円(前連結会計年度比368.7%増)となりました。
経常利益につきましては、公募による新株発行に伴う株式交付費を計上いたしましたが、営業利益の増加等により、4,060,431千円(前連結会計年度比431.4%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経常利益の増加などにより、2,937,459千円(前連結会計年度比350.7%増)となりました。
サービスカテゴリー別の状況は以下のとおりです。なお、当連結会計年度より、2024年1月からサービス提供を開始したGPUクラウドサービスを新しくサービスカテゴリーとして追加しており、前連結会計年度比は、サービスカテゴリー追加後の数値に組み替えて比較しております。
さくらのクラウド、さくらのレンタルサーバが順調に推移したこと等から、クラウドサービスの売上高は14,006,941千円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。
GPUクラウドサービスは「高火力PHY」を2024年1月から一部サービス提供を開始し、2024年6月から本格提供を開始しており、GPUクラウドサービスの売上高は6,344,571千円(前連結会計年度比3,054.8%増)となりました。
専用サーバサービスの利用増加等により、物理基盤サービスの売上高は3,721,757千円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。
グループ会社売上の増加等により、その他サービスの売上高は7,339,112千円(前連結会計年度比39.5%増)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
記載すべき事項はありません。
記載すべき事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 当連結会計年度における販売実績の著しい変動の要因は、「(1) 経営成績の概況」に記載のとおりであります。
2 当連結会計年度より、2024年1月からサービス提供を開始したGPUクラウドサービスを新しくサービスカテゴリーとして追加しており、前連結会計年度比は、サービスカテゴリー追加後の数値に組み替えて比較しております。
当連結会計年度末における資産・負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりです。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ51,195,023千円増加し、81,419,470千円(前連結会計年度末比169.4%増)となりました。主な要因は、公募増資による新株発行に伴う現金及び預金の増加、GPUクラウドサービス等向けのサービス機材調達による有形固定資産の増加等によるものです。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ30,258,851千円増加し、51,162,089千円(前連結会計年度末比144.8%増)となりました。主な要因は、サービス機材調達に係る借入金、設備関係未払金の増加等によるものです。
当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ20,936,172千円増加し、30,257,381千円(前連結会計年度末比224.6%増)となりました。主な要因は、公募増資による新株発行に伴う資本金、資本剰余金の増加等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ24,231,417千円増加し、29,489,223千円(前連結会計年度比460.9%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりです。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が 2,903,430千円増加し、5,787,563千円(前連結会計年度比100.7%増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益、減価償却費の増加等によるものです。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が6,297,474千円増加し、8,323,113千円(前連結会計年度比310.9%増)となりました。主な要因は、GPUクラウドサービス等向けサービス機材等の有形固定資産の取得による支出の増加等によるものです。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が27,174,244千円増加し、26,763,654千円(前連結会計年度は410,590千円の支出)の収入となりました。主な要因は、GPUクラウドサービス用の借入れによる収入等によるものです。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループにおける資金の配分につきまして、適正な手元資金として月商の約2ケ月分程度を目安とし、緊急の資金需要や当社を取り巻く様々な環境変化に伴うリスク等については借入等の資金調達枠を確保いたします。当社グループの資金需要は主にサービス提供にかかる設備投資資金です。当社グループが属するクラウド・インターネットインフラ市場は今後も拡大が見込まれており、当社が事業運営において重視するカスタマーサクセスの実現にはサーバなどの機材に関する継続的な投資が不可欠なものであると認識しております。株主還元につきましては、当社グループは成長フェーズにあると考えており、持続的成長と収益力確保のため原資を確保しつつ、株主様への一定の利益還元を両立させたいと考えております。資金調達につきましては、賞与・納税等の短期運転資金は自己資金及び借入を基本とし、設備投資資金や長期運転資金は自己資金、借入及びリースを基本とすることで、事業運営上必要な資金の安定的な確保に努めており、設備効率の向上によるキャッシュ・フローのさらなる創出と、財務の安全性を確保しながらの成長投資を見極めてまいります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は23,657,676千円、資金の残高は29,489,223千円となっております。
当社グループは、持続的な成長と安定した収益体質の実現を経営の目標としており、具体的には前期対比売上高成長率10%以上、売上総利益率30%以上、売上高対経常利益率10%以上の継続的な達成を目指しました。
当連結会計年度においては、2024年1月に提供開始したGPUクラウドサービスやグループ会社による大口の案件獲得等によるその他サービス、クラウドサービスが好調に推移し、前期対比売上高成長率は43.9%増となりました。利益面につきましては、中長期的な成長に向けた人材やGPU・コンテナ型データセンター等への積極的な投資を実施しつつも、売上高の増加により、売上総利益率は35.8%(前連結会計年度は26.3%)、売上高対経常利益率は12.9%(前連結会計年度は3.5%)と目標を達成し、過去最高収益となりました。
今後の見通しにつきまして、社会全体でデジタル化が急加速する中で、データセンターやネットワークなどのデジタルインフラの重要性が急速に高まっております。また、ネット企業ではない一般企業がデジタル上で利益を得る時代において、経済安全保障の観点から国産パブリッククラウドへの期待が高まるとともに、生成AIの発展によりGPUなどの高度な計算資源への需要が増加しております。
このような生成AIインフラ市場やパブリッククラウドの拡大期において、当社グループは、経営リソースをコアビジネスに集中して事業の強化・成長を促進させるとともに、戦略と連動した人材の獲得や社員の成長と活躍を促進してESとCSの実現を図り、国産デジタルインフラとして選ばれる存在になることで、デジタルインフラトップ企業を目指してまいります。具体的には、生成AIインフラ市場の本格的な競争激化を前にデファクトスタンダードの地位確立に向けて、GPU基盤への大規模投資を継続するとともに、2026年3月末までのガバメントクラウド正式認定の要件充足と将来のパブリッククラウド市場シェア拡大に向けたサービス強化や市場開拓を加速する人材の採用への注力、拡販強化に向けたパートナーとの関係強化等を進めてまいります。
2026年3月期は、GPUクラウドサービスとクラウドサービスの伸長により売上の成長を見込んでおりますが、来期以降の大幅成長に向けて機会を逃すことなく、上記のヒト・モノ両面への積極投資を行うため、増収減益を見込んでおります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、データセンター及び事務所の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務等につき、有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローを見積もっております。
当該有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローは、過去における類似の特性を有する拠点の資産で発生した原状回復工事の実績額、除去サービスを行う業者など第三者からの情報、原状回復工事見積金額、物価の変動を表す指標等で見積り計算を行う等、一定の仮定を設定しております。
経済状況や市況による工事単価の変動、想定していない工事の発生等により、実際に生じた工事金額が見積り金額と異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社は、2024年6月25日の取締役会において、固定資産を取得することを決議し、以下のとおり契約を締結いたしました。
2024年4月1日前に締結された業務提携契約及びコミット型シンジケートローン契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する改革府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
当社は、インターネット技術に関するさまざまな研究を行う専門部署として「さくらインターネット研究所」があります。本研究所では、インターネット技術に関する調査・研究を通じ、当社事業へのフィードバックと技術スタッフの育成、研究成果の発信を行います。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は