当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの事業目的は、「Lifetime Empowerment(生涯学び続け、自分をアップデートする学習プラットフォームの提供)」という当社ビジョンに基づき、全ての年齢層が生涯学び続け自らをアップデートし続ける環境を提供し、世界に通用する人材を育成することです。
この目的に沿い、プラットフォームサービス事業においては、世界標準の「国際バカロレア」「ケンブリッジ大学国際教育機構」認定カリキュラムに立脚した、幼児から18歳までの一貫教育(幼・小・中・高等学校)を、英語・日本語を含む多言語で提供しています。
そしてリカレント教育事業では、当社の創業以来の強みであるオンライン学習システム(AirCampus®)と18,000時間を超える教育コンテンツを積極的に活用した教育を提供しています。
このように、幼児から大学・大学院、ビジネスパーソン、最高経営責任者、起業家までをカバーする「生涯教育プラットフォーム」を構築し、全世界の人々に対し、世界水準の教育サービスを提供しております。
これらの企業活動を通じ、絶えず教育を革新し、新たな価値を創造する人材を輩出し続けることを基本方針としております。当社グループは、このような基本方針に基づいて事業を展開し業績の向上を図るとともに、株主利益や社会環境にも十分に配慮し、企業価値の向上に努めていく所存であります。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
(経営環境)
日本並びに先進国経済は、コロナ禍の影響が安定化へ向かう一方、2022年2月以降のロシア・ウクライナ紛争によるエネルギー、食糧、レアメタル等の市場ひっ迫、半導体を含む供給不足をトリガーとするインフレが継続的に進みました。今後の企業経営においては、経営者と経営陣はより一層「自社、外部環境、顧客」を高く・広く・深く掘り下げた経営が求められるようになったと思料され、また従来の「モノ」への投資から、無形の資産、特に「人的資本」への投資の優劣が、企業競争力のそれを律速する競争へシフトしつつあります。
また、2020年からのコロナ禍が引き金となり、従来のように大学キャンパスに通学することなく大学を卒業する学生が増えました。このような流れから学位の価値が低下し、4年をかけて学位を取得するという従来型の大学のモデルそのものに疑問を抱き、より短期で身近なスキルアップに関心を持つ層が増えております。
さらに2022年後半から大きな話題となっているChatGPTをはじめとした生成系AIが多くの産業・社会活動領域に影響を与えています。中期的に俯瞰すると、人間の業務の一定割合は、AIやテクノロジーが代替するフェーズが一段階進んだと考えられます。特に、企業における働き方・人材育成のあり方、政府における人材政策、大学・大学院等を始めとする学校経営の根本において、以下に例示する人材ニーズ増加にみられるとおり、大規模な人材ニーズの変化が生じております。
・AIで代替できない「構想力」を有する人材ニーズ
・AI/DXを担うデジタル人材ニーズ
・AIで代替できないリーダーシップ・起業家精神・問題解決力を発揮する人材へのリスキリングニーズ
・高等教育を含む学校におけるデジタル技術活用、オンラインと集合研修を組合わせたブレンド型教育ニーズ
・あらゆる領域における一括教育から個別最適化教育への根本的なシフト
これらの変化は「Lifetime Empowerment(生涯学び続け自分をアップデートする学習プラットフォームの提供)」をビジョンに掲げ、子どもから経営者に至る全年齢層を対象に、AIに代替されない本質的な力を身につけた「世界で活躍するリーダーの育成」をミッションとした教育を一貫して提供してきた当社グループにとって、非常に大きな成長機会となります。この成長機会を確実に掴むため、オンライン教育の事業会社から世界の教育の最前線を走るEdTechカンパニーへ進化すべく、教育プラットフォームとコンテンツの両面において積極的な先行投資を行っております。当該先行投資と、以下のような当社グループが有するノウハウと資産を活かし、企業価値向上に繋げてまいります。
・対話と集合知を重視したオンライン学習プラットフォーム
・経営者が知るべきビジネスやマネジメントの最前線をカバーする18,000時間超のコンテンツ・ライブラリー
・オンライン教育、ブレンド型教育の設計・開発・運営ノウハウ
・グローバル人材育成のための各種カリキュラム体系・小中高等学校教育における2大世界標準である「国際バカロレア」、「ケンブリッジ国際」の認定を有する日本唯一の国際教育機関
(中長期的な会社の経営戦略)
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期の3か年を対象とする『中期経営計画2022-24』を策定いたしました。しかしながら、2024年3月期の通期連結業績について、急激な物価上昇や 円安進行等を背景とした個人消費意欲の減衰、厳しい経営環境が継続したこと等により、増収ではあったものの当初計画を下回る結果となりました。特に、以下の事業分野において期初に想定していなかった要因が発生いたしました。
・University 事業系は、BBT大学経営学部において、若い世代を中心に4年間をかけて学位を取得するニーズが低下し、短期集中型のスキル系プログラムにシフトした結果、入学者減となりました。BBT大学大学院経営学研究科は、CEOに求められる経営を実践的に学ぶMBAニーズは堅調なものの、コロナ後の消費分散の流れを受け大都市圏における40代以上の男性の出願数が減少しました。
・英語教育事業系は、教育のオンライン化の潮流と、買収した子ども向けオンライン英語事業を梃子に、中期経営計画を策定しましたが、法人向けが堅調な一方、個人向けは消費意欲の減衰を背景に、2024年3月期は前期比5%の成長にとどまりました。
・ITマネジメント事業系は、既存のIT サービスマネジメント領域の認定教育事業は堅調に成長した一方、アジャイルやDevOps、DX推進等の新興領域の売上はマーケティング施策が効果に結びつかなかったため、前期比約10%の成長にとどまりました。
これらの影響を勘案し、2024年5月15日において中期経営計画の最終年度である2025年3月期の数値目標を修正、2025年3月期は以下のような取組方針を通じ、売上高8,313百万円(前期比11.2%増)、営業利益501百万円(同30.8%増)を見込んでおります。
・リカレント教育事業については、各事業の中で最も高い成長を見込むのは法人向け人材育成事業系となります。ポストコロナ時代におけるリカレント・リスキリングニーズの高まりを受け、デジタル時代に勝ち抜く新しい形の人材育成のニーズは一層高まっております。このような法人顧客のニーズを捉え、売上高及び営業利益の向上を図ってまいります。
・University事業系は、BBT大学、BBT大学院、Bond-BBT MBAの3つの組織をより統合し、人件費の抑制と事業の効率化を図るとともに、ニーズが高まる法人派遣の獲得にも注力してまいります。
・ITマネジメント事業系は、AI/DX人材ニーズの高まりを背景に法人中心に事業を拡大する予定です。
・英語教育事業系は、英語のみならず法人のグローバル人材育成ニーズに応えた開発を行い、事業拡大を図ります。
・引き続き、売上高及び営業利益に寄与するのはプラットフォームサービス事業となります。2013年のアオバジャパン・インターナショナルスクールの買収によってスタートしたプラットフォームサービス事業においては、これまでM&Aと拠点開設の先行投資を行ってまいりました。2024年3月期以降は拠点開設の計画が無いため、設備・人材への先行投資が一段落することから、先行投資拠点の順調な生徒数の増加と共に、売上だけでなく利益額・利益率も向上が期待できます。
・世界でも事例は僅かで日本国内で初めてとなる、国際バカロレアのDP(ディプロマ・プログラム、高等学校教育課程)のオンラインパイロット事業認可は、当社グループのオンライン教育ノウハウを生かせる領域であるだけでなく、今後の事業拡大に大きく資することが期待できます。日本の国際バカロレア教育のニーズの高まりだけでなく、世界の国際バカロレア教育の拡大も視野に入れた、当社グループのグローバル市場展開の布石となるプロジェクトと考えております。
以上、今後とも変化に迅速かつ柔軟に対応し、企業の持続的な成長と価値創造を実現するための戦略をさらに進めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記で述べた外部環境の変化は、当社グループの成長にとって非常に大きな事業機会が存在すると考えています。かかる事業機会を獲得するために、以下の項目に取り組んでまいります。
① 幼児から高等学校までの国際的視野に立った世界標準の全人教育への世界標準の普及
世界規模で人類社会の未来を前向きに変革することが出来るという意味でのグローバルリーダー人材輩出のためには、幼少期から高等学校までの全人教育の充実が非常に重要です。そこで提供される教育は、世界標準であることが必要です。現在、当社は、2大世界標準カリキュラムとして認識されている「国際バカロレア」、「ケンブリッジ国際」の双方の認定校を幼児から高等学校まで一貫して運営する国内唯一の教育機関です。国際バカロレアの普及においては、自社で国際学校(アオバ・グループ)を運営するのみならず、6年前から文部科学省の受託を受けて「文部科学省 IB教育推進コンソーシアム事業」の事務局を運営しております。また、アオバジャパン・インターナショナルスクールは、オンラインでIB教育を提供することが可能なパイロット校として、国際バカロレア協会から、世界で5校(アジア・オセアニア地区では唯一)の1校として選抜されました。
以上の取組を通じて獲得した世界標準の教育ノウハウを梃子として、今後は物理的キャンパス拡大よりも投資対効果に優れ、かつ当社の強みでもあるオンラインを通じ、国内のみならず、アジア・オセアニア市場においても顧客層を拡大してまいります。リカレント教育、リスキリング教育といった「大人の学び直し」だけではなく、幼少期からの教育の構造的、質的向上についても大いに貢献したいと考えております。
② 法人研修市場でのシェア拡大と営業力強化
今や政府も重要な政策として掲げる、日本労働市場の生産性向上や活性化、超高齢化社会に備えた大人の生涯規模での学び直し(リカレント教育)、AI革命に対処するためのリスキリング、給与所得者の賃金の継続的向上等のためには、法人企業における人材育成やキャリア教育の大幅な向上が必須です。各種統計からも、日本は①個人が自ら学ばないことに加えて、②企業が社員・従業員の人材育成に投資しないことが明示されて久しい状況です。
こうした現状を打破するためには、法人研修事業において、顧客数の増加と1社当たりの取引額の拡大を重視し、市場カバレッジの強化を図る必要があります。これを実現するために、組織構造を見直し、まず人員面での営業力を強化いたします。また1社当たり取引額の拡大と収益性確保の観点から、企業全体のマネジメント教育を「新人から経営層まで」一括して引き受けられ、また当社の強みである、顧客の経営戦略に直結した「次世代経営人材育成」サービスを更に獲得できるよう大型提案に経営資源を集中する等、コンサルティング型の法人営業を強化していく方針です。
加えて営業関連業務のDX化についても、これまで全体最適化を達成すべく業務のボトルネックの解消を目指しペーパーレス化、ハンコレス化を実現してまいりました。その結果、顧客管理・営業事務フロー・販売管理面において、業務効率を高め生産性を大幅に改善させてまいりました。今後も業務のムダを取り除き、省人化、自働化に寄与する投資を積極的に実施し収益性の改善に繋げてまいります。
提供するサービスにおいては、財務・戦略・マーケティングといった経営人材に必須のスキルを提供するだけでなく、「AIを使いこなす能力」「AIで代替できない能力=構想力」にも焦点を当ててコンテンツを開発してまいります。これらの取り組みにより、企業研修市場における当社のポジショニングを強化し、持続可能な成長を確保します。
③ 教育と業務に革新をもたらすテクノロジー・AIへの投資
当社グループが、今後オンラインを中心とした遠隔型マネジメント教育事業の業態拡大を目指すためには、オンライン教育プラットフォームとコンテンツのオープンな拡張性とUXが非常に重要なものとなります。今後は独自で設計開発してきたオンライン教育プラットフォームである“AirCampus®”及び“AirSearch®”に、AIやデジタル技術を活用した機能強化を促進し、プラットフォームの垣根を越えた連携性、拡張性を推進することでこれまでにないUXを創出することでAI革命後の時代にふさわしい「学び舎(Air Campus)」「図書館(Air Search)」として進化してまいります。
また、上述の通りアオバジャパン・インターナショナルスクールは、国際バカロレア機構(IB)が主導するオンライン・ディプロマ(DP)教育のパイロット校に、アジアで初めて選出されました。このアジア・オセアニア地域への事業機会を着実に新たな収益源とすべく、国際学校におけるAI・デジタル技術とブレンド型学習モデルのR&Dを促進し、プラットフォームサービス事業の一層の収益拡大に努めてまいります。
またテクノロジー面のみならず、中等教育(アオバ)、高等教育(BBT大学・大学院)における学習モデル・経営モデルを自ら革新していくとともに、オンラインまたはブレンド型の教育提供を通じ、日本の高等教育等のビジネスモデル及び教育モデルの変革支援にも取り組んでまいりたいと考えております。
テクノロジー・AIの活用は教育面のみならず業務改善にも焦点をあてて取り組み、グループ全社で収益性の改善に努めてまいります。
④ 人材の確保と育成
当社グループの事業拡大には、優秀な人材の確保と育成が欠かせません。当社グループでは、目的達成のために主体的かつ積極的に行動できる起業家的な人材の確保、当社グループの企業カルチャーと企業ミッションを共有化できる人材の育成が課題と考えております。
⑤ 社会情勢による事業の運営リスクの対応
日本並びに先進国経済は、コロナ禍の影響が安定化へ向かう一方、ロシア・ウクライナ紛争によるエネルギー、食糧、希少金属、半導体を含む供給不足をトリガーとするインフレが継続的に進みました。また、生成系AIが多くの産業・社会活動領域に影響を与えています。当社グループでは、こうした社会的影響を受けることなく、円滑な運営が継続できる対応策を検討し実施してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、主として「売上高」及び「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、今後数年間において大きな飛躍を遂げるため、With/Postコロナ時代において出現・拡大する事業機会の獲得に必要となる先行投資、支出を行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ及びサステナビリティ戦略に関する当社グループの考え方
当社グループは教育サービスを提供する企業群として、サステナビリティに関する戦略としては人的資本を重要な資源と位置付け、組織の成長と競争力向上において不可欠な要素として認識しております。社員における成長への機会提供・育成に留まらず、教育会社として社会の持続可能性に対して果たす役割は大きいと自任しております。
第一に、当社グループが社会に提供する価値とは、変革する時代に対応した新しいコンテンツを常に発信し、1歳以上のすべての年齢層に、生涯にわたる学びを提供することです。“Lifetime Empowerment(生涯学び続け自分をアップデートする学習プラットフォームの提供)”をビジョンに掲げていることからも、提供する学びの内容には社会的な発展と事業の継続が同時に実現するサステナビリティの考え方を普及することも含まれること、また、その考え方の多様性についても知識を求める方々に提供することをもって、当社の成長と教育による社会課題の解決を実現することが重要と考えております。当社グループのサービスを通じてSDGsの取組を担う人材を輩出することが、サステナビリティに関する考え方及び取組の基本方針となります。
第二に、当社グループは学習プラットフォームとしてオンラインの教育の場を提供することを操業当初より重視しており、ペーパーレス化の推進や通学や場所を問わず教育の機会を平等に提供し続けることも基本方針としております。
(2)当社グループのガバナンスについて
当社グループは、企業価値の持続的な拡大と社会課題の解決を目指し、ESG視点でのガバナンス経営体制の強化、充実に努めております。ESGに関するリスクや機会を取締役会が監督する責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各組織体が業務執行を担っています。
ESG全体の業務執行については、取締役会による監督のもと各事業部門が担っており、迅速かつ的確に実行しております。各事業部門が担うことにより、課題に対して適切かつ迅速に遂行することが可能となります。
ESGに関するリスク管理及び機会管理は、取締役会にて実施しております。
(3)当社グループのリスク管理について
当社は、直接的あるいは間接的に当社グループの経営又は事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、当社の取締役が各グループ会社の取締役会等で事業をモニタリングしております。これにより、全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を迅速に行っております。
サステナビリティに関連するリスクについても、取締役会において評価、管理を行い、また危機発生時には危機のレベルに応じた対策本部を設置し、適切な対応を実施しております。
(4)サステナビリティ戦略に基づく取組について
中期経営計画において重点項目としている5つの領域のうち、University事業系、法人向け人材育成事業系、インターナショナルスクール事業系における当社グループ戦略に基づいた活動は次のとおりです。なお、残る英語教育事業系やITマネジメント教育事業系においてはオンライン教育の提供が主な取り組みとなります。
いずれの事業系においても、提供する教育の質と内容が最重要であり、その内容は常にモニタリングされております。法人向け人材育成事業系における教育コンテンツの制作にあっては番組審議委員会やコンテンツ会議にて提供の内容が精査され、その結果が取締役会において確認されます。University事業系、インターナショナルスクール事業系、英語教育事業系やITマネジメント教育事業系は現場の責任者が直接取締役に報告する体制をもって教育の質と内容を確認し、迅速な対応を行っております。
結果として、以下のような活動の実績がございます。
① University事業及び法人向け人材育成事業系の取組
当社は、ビジネス・ブレークスルー大学、大学院及び企業におけるマネジメント教育を通して企業の倫理を含む教育を行うことで、社会のサステナビリティに貢献しております。例として、以下のような講座を提供しております。
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関連項目 |
講座名 |
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サステナビリティ |
SX戦略 |
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サステナビリティ |
脱炭素社会におけるエネルギー新潮流 |
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サステナビリティ |
エネルギー産業の新潮流 |
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サステナビリティ |
SDGsビジネス入門 |
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サステナビリティ |
サーキュラー・エコノミー |
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サステナビリティ |
企業のガバナンスと倫理 |
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サステナビリティ |
コーポレートガバナンス概論 |
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サステナビリティ |
サステナビリティを実現する価値創造者 |
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人的資本・多様性 |
自律型人財として活躍するために必要な5つのこと |
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人的資本・多様性 |
経営者が知っておくべきジョブ型雇用 |
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人的資本・多様性 |
これからの人事部員にもとめられるもの |
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人的資本・多様性 |
ダイバーシティとインクルージョン |
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人的資本・多様性 |
企業の未来とジェンダーダイバーシティ |
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人的資本・多様性 |
リカレントサミット |
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人的資本・多様性 |
組織行動・人的資本経営 |
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女性の活躍 |
経営戦略としての女性活躍 |
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ESG |
ESG経営における企業法務・企業統治 |
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ESG |
ESG投資の急拡大から考える企業経営 |
また、質の高い教育をすべての人に提供する活動の一環となる奨学金制度を継続しております。ビジネス・ブレークスルー大学においては、日本プロ野球選手会、日本ラグビーフットボール選手会それぞれとアスリートの教育分野で協定を締結し、卒業までの学費を半額免除とする奨学金等、アスリートのセカンドキャリアを支援しております。
② インターナショナルスクール事業系の取組
当社グループは、次代を担う子どもたちが通うアオバジャパン・インターナショナルスクール(株式会社アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズ、以下「当校」という。)において競争優位の源泉となる国際バカロレア教育を導入し、継続的な普及に努めております。2018年より文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局業務を受託し、結果として国際バカロレア(IB)認定校・候補校のプログラム数が240校を超えました。国際バカロレア教育の教育活動の中では、スクールコミュニティ全体がサステナビリティの活動に取組ことで、子どもたちがサステナビリティに対する理解を深め、自ら考えて実践ができるよう教育環境の形成に取組んでおります。広く地球規模での持続可能性に思いを馳せ、リーダーシップを取ることのできる人材の育成は、社会への貢献のみならず、その質の高い教育を行えるスクールとしての社会的な認知がスクールの持続的な発展に資するものと考えております。以下に、当校が実施した主な取組をご紹介いたします。
ⅰ国際バカロレア PYPのExhibitionにおけるSDGsに関連した探究と発表
当校では、3歳から12歳を対象とした国際バカロレアのPrimary Years Programmeにおいて、毎年、Exhibition(探究学習発表会)を開催しております。生徒はグループに分かれ、自らテーマを選び、探究活動を行い、発表を行っております。これらの発表は、国際バカロレアのグローバルな学びと関連し、SDGsにも関わる内容となっております。以下に2023年のSDGsに関連する発表例をご紹介いたします。
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内容 |
SDGs |
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いじめの種類や過程、いじめが及ぼす個人と社会への影響を調べ、いじめを止める方策を探究する |
16「平和と公正をすべての人に」 |
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水資源の汚染の実態とそれが社会に及ぼす影響を調べ、水資源を適切に保全する方法を探究する |
6「安全な水とトイレを世界中に」 14「海の豊かさを守ろう」 |
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フードウェイストの歴史や過程、消費期限の種類を調べ、個々人が取りうる行動を探究する |
12「つくる責任 つかう責任」 |
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地球温暖化の過程と影響を調べ、解決策を探究する |
13「気候変動に具体的な対策を」 |
ⅱ能登半島地震被災者への募金のための手作り菓子のバザー開催
1歳から6歳の子どもたちが通うSummerhill International Schoolでは探究型教育プログラムの一環として、子どもたちに留まらず保護者、教員を巻き込んでお菓子作りを行い、バザーを開催し、得られた収益を全て能登半島で被災された方々に寄付いたしました。SDGs11「住み続けられるまちづくりを」に貢献する教育活動の一例となります。
ⅲ学校コミュニティによる「スプリングカーニバル(学祭)」での環境配慮の取組
当校では、学校生活を通じてグローバルな問題を学ぶ機会を提供するため、保護者を含む学校コミュニティによって春に開催される学祭において、海やサンゴ礁の保護を目標の一つとして掲げました。2023年は一般社団法人One Young World Japanにおいて取組のプレゼンテーションを行い、また募金活動も行いました。SDGs4「質の高い教育をみんなに」の実現に向けた活動を続けております。
ⅳ学校コミュニティによる「フードロス削減」協力
当校の目黒キャンパスでは、目黒区におけるフードロスを削減する取組であるフードドライブに定期的な寄付を2023年も行っております。フードドライブとは、家庭で余っている食品を集め、地域の福祉施設など食品を必要としている方々に届ける仕組みであり、SDGs2「飢餓をゼロに」に貢献する活動です。教育活動に留まらず実際の問題解決者として行動することを重視し、2か月に1度、通学家庭から学校に集められた食品を目黒区に届けております。
ⅴ奨学金制度の設置
当校の高等部では、日本のみならず世界中からの高い目的意識を持った生徒のために奨学金制度を設置しております。これにより、優秀な生徒が教育の機会を失うことなく学習を開始・継続することが出来ます。当該制度は、ⅲと同様に、SDGs4「質の高い教育をみんなに」の実現に向けた活動となります。また、当校は子どもたちの教育に留まらず、次世代の教員育成にも力を入れております。2023年8月には、国際バカロレアのアジア太平洋地域ワークショップを、130名を超える方々を迎えて開催いたしました。
ⅵ高等部生徒による作文コンクールで優秀賞を受賞
アオバジャパン・インターナショナルスクールは、日本政府主催の作文コンクールで団体賞と生徒個人の優秀賞を受賞しました。北朝鮮人権侵害問題啓発週間の一環として、3,572作品の中から選ばれました。今後も生徒たちが国際的な視点を持ち、社会問題に対して意識を高める教育を提供することで、 彼らの成長と社会への貢献を支援していきます。
また、当校は子どもたちの教育に留まらず、次世代の教員育成にも力を入れております。都留文科大学、国際基督教大学、デンマークの大学コンソーシアムに加え、メルボルン大学とも教育実習の共同実施契約を締結し、インターンシップの機会を提供し、日本に留まらない世界の地域社会に教育面で貢献いたします。
(5)当社グループの人的資本について
私たち当社グループは、「世界で活躍する人材を育成する」ことをミッションとして掲げ、人々が自身の能力を最大限に発揮し、世界で活躍しつづけることを支援してまいりました。
そのために私たちのビジョンである“Lifetime Empowerment(生涯学び続け自分をアップデートする学習プラットフォームの提供)”に基づき、生涯活力の源泉となるプラットフォームを形成し、人々が持つ潜在能力を引き出し、生涯を通じた教育と成長の機会を提供することを目指しています。
当社グループは、人的資本を重要な資源と位置付け、組織の成長と競争力向上において不可欠な要素として認識しています。以下に、当社グループの人的資本に関する重要な情報と取組について開示いたします。
① ダイバーシティ&インクルージョン
国内グループ全体においては、約30カ国の多国籍な社員で構成され、男女比率は3:7となっており、一定の多様性を確保しております。人材の多様性は、当社のミッション・ビジョンを実現していくうえで重要な事項と認識しており、多様な人材が知のネットワークを形成していく環境を追求してまいります。
ⅰ女性管理職比率
グループ全体での女性管理職比率は、2024年3月31日時点で47.4%を達成しております。
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管理職数 |
うち 女性管理職 |
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目標
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当社 |
20 |
4 |
20.0% |
40% |
|
国内グループ会社 |
24 |
13 |
54.2% |
維持 |
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海外グループ会社 |
13 |
10 |
76.9% |
維持 |
|
グループ全体 |
57 |
27 |
|
|
ⅱ子育て支援
女性の育児休業後の職場復帰は100%を達成しております。男性の育休取得者は7名(対象者8名中)となっておりますが、育休取得を推奨しており今後更に改善してまいります。
② 社員が一体となった経営への参画
ⅰタスクフォースによる社員の参画
当社は2023年10月1日付で㈱AOBA-BBTに社名を変更いたしました。そのプロセスにおいては海外のグループ社員も含めてタスクフォースチームとして参画し「私たちの約束/Our Commitment」を作成、制定いたしました。また、「私たちの約束」を実現するための行動指針の制定においても参画し、社員と経営が一体となった会社運営を目指しております。
ⅱ経営情報の継続的な提供
当社は毎月、全社員が参加することができる全体月次業績報告会を行っております。本報告会では社長自らが経営状況を社員に説明し、会社の状況や課題をリアルタイムで社員に共有しております。また、週次においても社内の新たな取組等を共有する機会を設けており、社員自らが経営への参画意識を醸成できる取組を継続的に実施しております。
③ 社員の成長への機会提供・育成
当社は社内のコンテンツの受講を推奨しており、当社においては一人当たり年間145.7時間(正社員)のコンテンツ受講を実現しております。語学・リーダーシップ・論理的思考などのコンテンツが受講可能となっております。特に毎週120分間配信している「大前ライブ・アワー」においては、時事問題の本質を考える内容と共に、RTOCS(Real-time On-line Case Study)では実在する企業を取り上げ経営課題を考えるコンテンツとなっており、社員自らが成長し活躍できる人材となる機会を提供しております。
また、MBAの受講制度を導入しており、当事業年度においては本制度を利用して1名の社員がビジネス・ブレークスルー大学大学院のMBAを取得いたしました。本制度はボンド大学-BBT MBAの取得も対象としており、グループ全体にも展開しております。
当社での研修等受講状況
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受講者数 |
総研修時間 |
受講対象者 |
平均受講時間 |
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語学研修 |
38名 |
1,520時間 |
134名 (正社員) |
11.3時間 a |
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リーダーシップ 論理的思考 他 |
24名 |
2,097時間 |
134名 (正社員) |
15.6時間 b |
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映像研修 (毎週配信) |
181名 |
21,488時間 |
181名 (非正規社員含む) |
118.7時間 c |
正社員一人当たり年間受講時間 145.7時間(a+b+c)
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、第26期有価証券報告書提出日現在において、入手可能な情報に基づいて判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業環境について
① オンライン教育市場について
リカレント教育事業では、主としてインターネットを活用したオンライン教育を営んでおりますが、当社グループとしては、今後もオンライン教育市場が拡大するものと見込んでおります。しかしながら、オンライン教育市場の順調な成長が見られない場合、また生成AIがオンライン教育に与えるインパクトを機会ととらえず適切な投資を実施しなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。そのため市場環境変化にも迅速に対応できるよう、引き続き独自開発のオンライン学習システム「AirCampus®」の機能強化に努めてまいります。
② 競合について
リカレント教育事業に関しては、民間の研修会社、コンサルティングファーム、シンクタンク系企業に加え、独立行政法人化による大学の社会人教育への進出が伸びてきており、競争が激しくなるものと認識しております。また、国内だけではなく国外からも競争相手が出現することにより、価格・サービス競争が激化することも予想されます。当社グループのコンテンツ制作やオンライン学習システム等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、価格・サービス競争に適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、企業全体のマネジメント教育を「新人から社長まで」一括して引き受けられるよう大型提案に経営資源を集中する等、法人営業を強化していく方針であります。具体的には、顧客企業の人事教育制度そのものに当社グループが提供するマネジメント教育のプログラムが個別ではなく総合的に採用されるよう各種各様のニーズに対して、コンテンツとオンライン学習システムのバリエーションの拡充と品質の更なる向上・維持によって応え、当社グループのオンライン型マネジメント教育事業の一層の普及を図り、収益拡大に努めております。
プラットフォームサービス事業においても、インターナショナルスクールの新規参入が続いており、競争激化による当社グループ業績悪化の可能性があります。教育の質の向上と生徒・保護者からの満足度の向上に、引き続き務めてまいります。
③ 法的規制について
ⅰキャリア教育推進特区と構造改革特別区域法
当社は、東京都千代田区が、構造改革特別区域法に基づいて2003年10月24日に内閣総理大臣から認定を受けた構造改革特別区域計画「キャリア教育推進特区」を利用して、ビジネス・ブレークスルー大学を設置し、当大学の経営を行っております。このキャリア教育推進特区では、東京都千代田区が同区全域を範囲として、株式会社が大学や専門職大学院の設置主体となることを認め、従来の学校教育と実社会を結び付け、高い専門性を持った人材の輩出、地元企業との連携の充実、雇用や消費の拡大等、地域社会・経済の活性化を図ることを目的としており、学校設置会社による学校設置の特例措置が設けられております。今後、これらの法制度の変更等が行われた場合には、当社の事業展開が、何らかの法的規制や制約等を新たに受ける可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅱ大学設置基準について
当社は、学校教育法に定める大学として、大学設置基準に基づき文部科学省より大学の設置の認可を取得し、ビジネス・ブレークスルー大学を経営しております。設置基準は、大学設置基準の他に、大学院設置基準、専門職大学院設置基準及び大学通信教育設置基準が定められております。各設置基準は、設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めることとされております。今後、当社が何らかの理由により上記設置基準の水準を満たすことができなくなり大学の認可を取り消された場合、又は、当該法制度等の変更によっては、当社の事業展開に何らかの法的規制等を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅲ個人情報保護法
当社グループは、個人情報を含む多数の顧客情報を保有及び管理しております。外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社グループがそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループはこれらの情報資産の適切な管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に完全施行された個人情報の保護に関する法律やこれに関連する総務省及び経済産業省制定のガイドラインの要求事項遵守に努めております。
ⅳインターネットに関する規制等について
当社グループは、インターネットを利用したオンライン教育事業を展開しており、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用者や事業者を対象とする新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の制限、制約を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの事業について
① 技術、システム面のリスクについて
ⅰシステム障害について
当社グループのサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連し、通信事業者が運営する通信ネットワークに依存しており、電力供給不足、災害や事故等によって通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合、コンピューターウイルスによる被害にあった場合、あるいは自社開発のサーバー、ソフトウェアに不具合が生じた場合等によって、当社グループのサービスの提供が不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、ユーザー等から損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性等があり、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。そのため、障害の兆候が見受けられる時や障害が発生した時には、携帯電話のメール等により当社の監視要員に通知する体制を整えております。
ⅱセキュリティについて
当社グループはハッカーやコンピューターウイルス等に備えるため、ネットワーク監視システム及びセキュリティシステムを構築しておりますが、外部からの不正な手段によるサーバー内の侵入などの犯罪や従業員の過誤等により顧客の個人情報等重要なデータが消去又は不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には損害賠償の請求を受ける可能性があり、また当社グループの社会的な信用を失うことになり、当社グループの事業及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。当社では、情報セキュリティ対策として、ハード面での対策ではサーバーをISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に準拠したデータセンターにて運用管理しており、ネットワーク管理については365日24時間体制で有人監視し、不正な動きがあった場合は瞬時に外部アクセスを遮断できる体制を整えております。
ⅲ技術の進展等について
当社グループのサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連しております。コンピューター及びインターネットの分野での技術革新のスピードは著しいものがあり、当社グループの想定していない新しい技術の普及等により技術環境が急激に変化した場合、当社の技術等が対応できず、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。また、変化に対応するための費用が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、適宜新しいシステム技術やセキュリティ関連技術等を取り入れながらシステムの構築、運営を行い、サービス水準を維持、向上させております。
② 知的財産権について
当社が各種サービスを展開するにあたっては、講師その他第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう、楽曲・写真・映像等を利用する際には、事前に権利関係を調査するなど細心の注意を払っております。しかしながら、万が一、講師その他第三者の知的財産権、肖像権等を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社が各種サービスを展開するにあたっては、当社の持つ知的財産権等を侵害されないよう、映像コンテンツにはDRM(※)を実装し、不正コピー等が行われないよう対策を講じており、また、各種オークションサイトに当社製品が出展されていないか定期的に確認するなど、細心の注意を払っております。
※ DRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)
音声・映像ファイルにかけられる複製の制限技術や画像ファイルの電子透かし等のデジタルデータの著作権を保護する技術
③ 講師の確保について
当社のコンテンツ制作にあたっては、最新の経済・経営の諸問題等をテーマとして取り上げると共に、適確な見識をもって講義を行うことができる講師が必要となります。現時点において当社では、これらの講師を確保し、継続してコンテンツを企画・制作して提供できているものと認識しております。
当社は、引き続きこれらの講師の確保に努めていく方針でありますが、今後将来において、当社が求める適確な見識をもって講義を行うことができる講師を適切な契約条件によって確保できなくなった場合、当社のコンテンツ制作に重大な支障が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
④ ビジネス・ブレークスルー大学について
当社は、東京都千代田区が構造改革特別区域法に基づき、キャリア教育推進特区として内閣総理大臣から認定を受け、同区において株式会社による大学・専門職大学院の設置が可能になったことから、文部科学省にビジネス・ブレークスルー大学院大学(専門職大学院、現ビジネス・ブレークスルー大学大学院)の設置申請を行い、2004年11月30日に認可を取得し、2005年4月1日に開学いたしました。また、2010年4月1日には、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部を開学しております。(以下あわせて「当大学」という。)
当社は、当大学設置にあたって千代田区のキャリア教育推進特区を利用していることから、①在学生の修学を維持するため、優先的に経営資源を投入するなどの最大限の経営努力を行うこと、②大学の経営に現に著しい支障が生じ、又は生ずる恐れがあると認められるときは、以降の在学を希望しない学生に対して、残余の期間分の授業料を返還すること、③大学の経営が不安定となり、継続が危ぶまれるときに、受講生が他の大学で就学することを保証するため、授業料等返還のため預金等の措置を講ずるべき義務があること等を定めた協定書を千代田区と締結しております。
しかしながら、これら当社の経営努力がうまくいかず、結果として当社グループの営む他のサービスに影響が及び、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また本協定書に違反したと判断された場合や、大学設置基準、大学院設置基準及び専門職大学院設置基準並びに大学通信教育設置基準に規定される設置基準を満たさなくなった場合、協定書の更新を拒絶された場合は、キャリア教育推進特区における規制の特例措置を受けることができなくなり、文部科学省より当大学の設置許可を取り消される可能性や学校の閉鎖命令・勧告を受ける可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。この協定書を遵守するため当社では、当大学の経営のために優先的に経営資源を投入するなどの経営努力を行っていく方針でありますが、一方、当社はこの方針によって当社の営む他のサービスに悪影響を及ぼさないよう万全の留意を払い、経営努力を行っていく方針であります。
なお、当大学では教授会を設置し、①教育研究の計画、立案に関する事項、②教育課程及び授業科目に関する事項等、当大学の教育研究に関することについては全て教授会で審議を経た上で学長あるいは大学経営陣が決定することになっております。但し、大学の校地、校舎及び設備等に関わる投資など当社の経営全般に関わる重要な事項については、当社の取締役会で意思決定することになっております。
⑤ 認証評価について
当社が運営するビジネス・ブレークスルー大学及び同大学大学院は、学校教育法により文部科学大臣の認証を受けた認証評価機関から定期的に評価を受けるよう定められております。国公私立の全ての大学が7年以内毎に1度(専門職大学院は5年以内毎)の認証評価を受けることになっており、その結果の内容は①適合、②期限付き適合、③不適合があります。いずれの評価結果においても、教育関連法令による大学の設置認可や学位授与機関としてライセンスの失効を意味するものではありません。しかしながら、当大学の評価結果内容により、何らかの風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。当該評価結果に対し、当社が適切に対応できなかった場合、対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該評価結果が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当大学のブランドイメージ等が損なわれ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
⑥ インターナショナルスクールの運営について
当社グループは、2013年10月、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」を運営する㈱アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズを子会社化し、インターナショナルスクールの運営を開始いたしました。当該事業においては、特有の経営要素に関して一定の水準を維持できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。具体的には、英語で経営ができる教学経営陣、世界標準を満たすカリキュラムと認証取得、教員組織、教育の質を保証する仕組み、多様な国籍で構成される保護者や関係者との良好なコミュニティの醸成などの整備が必要であり、これらの経営要素の維持、向上に努めております。
⑦ 企業買収、事業提携について
当社グループは、事業拡大の手段の一つとして企業買収や戦略的提携を行う可能性があります。企業買収や戦略的提携等において当初期待した成果が実現されない場合、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。企業買収や提携の実施に際しては、適切なデューデリジェンス、リスク評価を実施したうえで実行可否を判断するなどリスク回避に努めております。
⑧ 減損会計について
当社グループでは、連結貸借対照表に保有する土地、建物、のれん等を計上しております。各資産の時価が著しく下落した場合や各事業の収益性が著しく低下した場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 災害・感染症に関するリスクについて
当社グループでは、地震、台風等の自然災害及び治療法が確立していない感染症やその他の感染力の強い病気が社会的に流行した場合、当社グループの事業が円滑に運営できない事態が想定されます。予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによるサービスの継続、運営の中断等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、オンライン教育サービスの拡充など更なるデジタル化を推進するとともに、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止等を実施しております。
(3)組織体制について
① 人材の確保と育成について
今後の業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、育成を含め優秀な人材を適切な時期に確保できるよう人事部門の強化に取組んでおります。
② 組織における管理体制について
当社グループは、今後の更なる業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの業務に支障が生じ、業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。当社グループでは、引き続き業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充を図ってまいります。
(4)その他
コンテンツ出演者の不祥事・風評等について
当社は、講師やキャスター等といった当社コンテンツの出演者が、事故、事件、不祥事等を起こした場合、又は巻き込まれた場合、風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。その結果、これまで蓄積してきたコンテンツにおいて、該当する出演者が出演するコンテンツは使用できなくなったり、今後、新たなコンテンツの制作に支障が生じたりした場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、これらの発生事象に対し、当社が適切に対応できなかった場合、当社対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該発生事象が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当社のブランドイメージ等が損なわれ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における経営環境を概観しますと、
・ロシア・ウクライナ紛争、イスラエル・ハマス紛争、米中摩擦等の地政学リスクの高まり
・東欧、中南米、アジアにおけるポピュリスト政権の台頭
・国連安保理事会等の国際機関の問題解決力の逓減
・北米、EU、英国、ASEAN、OECD加盟国等におけるインフレの進行
・中国国内景気、特に不動産市場の縮小とバブル崩壊のリスク拡大
・日本の超低金利水準の継続と先行きの見えづらい円安の継続
・日本国内のインバウンド旅行者の大規模な復調と事業機会の拡大
・日本国内における労働分配率と賃金増への期待の高まり
・少子高齢化の進行による人材不足に伴う、リカレント教育、リスキリング教育の官民での注目の高まり
などが挙げられます。今後の企業経営において、経営者と経営陣は、より一層「自社、外部環境、顧客」を高く・広く・深く掘り下げた経営が求められるようになったと思料され、また従来の「モノ」への投資から、無形の資産、特に「人的資本」への投資の優劣が、企業競争力のそれを律速する競争へシフトしつつあります。
一方、2022年後半から大きな話題となっているChatGPTをはじめとした生成系AIは、多くの産業・社会活動領域に影響を与えております。中期的に俯瞰すると、人間の業務の一定割合は、AIやテクノロジーが代替するフェーズが一段階進んだと考えられます。
さらに、2020年からのコロナ禍が引き金となり、従来のように大学キャンパスに通学することなく大学を卒業する学生が増えました。これより学位の価値が低下し、4年をかけて大学を卒業して学位を取得するという従来型の大学のモデルそのものに疑問を抱く個人が現れております。
このような観点から、将来求められる人材の素養において、また企業の人材育成のあり方、政府の人材政策、大学・大学院等をはじめとする学校教育の根本において、以下に例示するような大規模な人材ニーズの変化がもたらされております。
・AIで代替できない「構想力」を有する人材
・AI/DXを担うデジタル人材
・AIで代替できないリーダーシップ・起業家精神・問題解決力を発揮する人材へのリスキリング教育の提供
・高等教育を含む学校におけるデジタル技術の活用、オンラインと集合研修を組合わせたブレンド型教育の導入の重要性
・あらゆる領域における一括教育から個別最適化教育への根本的なシフト
これらの変化は「Lifetime Empowerment(生涯学び続け自分をアップデートする学習プラットフォームの提供)」をビジョンに掲げ、子どもから経営者に至る全年齢層を対象に、AIに代替されない本質的な力を身につけた「世界で活躍するリーダーの育成」をミッションとした教育を一貫して提供してきた当社グループにとって、非常に大きな成長機会となります。この成長機会を確実に掴むため、オンライン教育の事業会社から世界の教育の最前線を走るEdTechカンパニーへ進化すべく、教育プラットフォームとコンテンツの両面において積極的な先行投資を行っております。当該先行投資と、以下のような当社グループが有するノウハウと資産を活かし、企業価値向上に繋げてまいります。
・対話と集合知を重視したオンライン学習プラットフォーム
・経営者が知るべきビジネスやマネジメントの最前線をカバーする18,000時間超のコンテンツ・ライブラリー
・オンライン教育、ブレンド型教育の設計・開発・運営ノウハウ
・グローバル人材育成のための各種カリキュラム体系
・小中高等学校教育における2大世界標準である「国際バカロレア」、「ケンブリッジ国際」の認定を有する日本唯一の国際教育機関
以上の結果、当連結会計年度における売上高は7,474百万円(前期比3.0%増)、営業利益は383百万円(同16.4%増)、経常利益は388百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は242百万円(同66.5%減)となりました。
(経営成績のポイント)
・売上高は、15期連続増収となり連結会計年度として過去最高を更新いたしました。
・リカレント教育事業は、リカレント教育事業を牽引する法人向け人材育成事業において、次世代人材育成ニーズの高まりとともに堅調です。またUniversity事業は新設した各短期課外講座の受講生数が増加傾向で、新たな収益源となっております。その結果、増収増益となりました。
・プラットフォームサービス事業は、アオバジャパン・インターナショナルスクールがキャンパスの開設・改装の先行投資の効果及び大学進学実績により、過去最高となる743名の生徒数で当連結会計年度末を迎え、売上に寄与いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ⅰ リカレント教育事業
リカレント教育事業の売上高は3,632百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は134百万円(前期は8百万円の損失)となりました。
(University事業系)
BBT大学経営学部は、受講者数が前期比において減少傾向にありますが、DX・AI等の社会及びビジネス上の市場性の高まりを背景に、2024年4月開講の新たな短期課外講座「実践型 生成AI活用キャンプ」の受講申込が好調です。財務をテーマにした短期課外講座「ファイナンスドリブンキャンプ」も、3期目となる2024年5月開講に向けた受講申込が法人派遣を中心に堅調に推移しております。2023年度に好評を博した短期課外講座「デジタルファーストキャンプ」についても、2024年秋に5期目の開講を予定しております。
BBT大学大学院においては、修了生の数は1,700名を超えることができました。受講者数は前期比においてやや減少傾向にありますが、時代の趨勢にあわせた科目の改定や法人派遣の強化を行うとともに、「実践的な学び」と「インターネット環境さえあれば世界中どこからでも学ぶことができる」という本学の特徴を訴求することによって、受講者を増やしてまいります。
BOND-BBT MBAプログラムを共同運営するBond大学は、Times Higher Education World University Rankings(THE)が選ぶ「The world’s best small universities 2023」(学生数5,000人未満の大学)において8位としてオセアニア地域で唯一ランキング入りしました。国際的な教育の質を評価され、BOND-BBT MBAプログラムもこの評価に寄与しております。世界的に高い評価を得ている教育の提供機会をさらに拡大するべく募集活動を行ってまいります。また国内企業のグローバル化を推進するためのサクセッションプラン(次世代経営人材育成)に連動した短期集中型リーダーシップ研修を開発し、提供を予定しております。
また当連結会計年度は、文部科学省より「大学等におけるリカレント教育の普及啓発イベント開催事業」を受託いたしました。イベントの事務局を務め、リカレント教育の推進と普及に努めてまいります。
(法人向け人材育成事業系)
人的資本経営の推進が企業において重要テーマとなっており、サクセッションプラン(次世代経営人材育成)、社員のキャリア自律関連のプログラムのニーズが高まっております。次世代経営人材育成について、当社グループは、この分野において20年超の実績があり、独自の経営人材育成手法Realtime Online Case Study(RTOCS)やProblem Solving Approach等を活用し、企業の人材育成ニーズに応えております。また、キャリア自律について、当社グループの18,000時間超のコンテンツを活用し、社員個々のキャリア目標に応じたカリキュラムを提示するBBTパーソナライズが人気を博しております。また、構想力・イノベーション講座を2024年2月に開講し、AI時代に最も必要とされる「0から1を生み出す」という究極の能力を育成いたします。
当社グループの18,000時間超のコンテンツがE-learning共通規格であるSCORMに対応し、他社LMS経由での提供が可能になったことから、間接販売していただくパートナーを拡大させ多くの企業の人材育成に貢献してまいります。具体的にはBBTエッセンシャルズというビジネスリーダー向けの学習し放題サービスの提供を開始いたしました。すでに多くの引き合いを頂いており、2024年度の収益に貢献していく予定です。また、海外のビジネススクールと密に連携したグローバル企業の次期経営チーム育成プロジェクトも開始しております。外国人社員も含めた次世代経営人材育成のニーズが今後高まってくると予想しており、当社グループとしても注力いたします。
新規取引先社数は当連結会計年度においても順調に拡大し、約130社との新規取引を開始いたしました。既存顧客も含めた当連結会計年度の販売高も前期比116%の成長を達成しており、引き続き法人向け人材育成サービスの拡大を図ってまいります。
(英語教育事業系)
英語教育サービスとして、ビジネスプロフェッショナル向けサービスと、幼小中高生を対象とする2つのオンラインサービスを運営しております。
ビジネスプロフェッショナル向けサービスは、ビジネス英語需要に加え、当連結会計年度は顧客企業のグローバル人材研修、特にグローバル経営人材研修が増加しました。結果として当連結会計年度は法人売上が前期比20%成長、また全体に占める法人売上比率が約8割となりました。
幼小中高生向けサービスは、オンラインで一般向け英会話の他、前期開始したバイリンガル国際人育成プログラムGO Schoolは2年目で黒字化しました。
ビジネスプロフェッショナル向け、幼小中高生向けともに、前期比で増収基調となっており、さらなる拡大のため、より高品質なサービス開発を通じた事業拡大戦略も進めております。
(ITマネジメント事業系)
ITマネジメントサービスの中核組織である㈱ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックは、主力であるITIL®4認定研修事業において2023年度は前年比約145%成長し、同資格研修市場におけるマーケットリーダーとして堅調に推移しました。
また、注力領域のアジャイル・DX分野の研修事業領域においては、従来の認定研修事業にとどまらず、ワークショップを中心としたコンテンツ開発を強化してまいりました。今後はアジャイル領域の中でも最もニーズが高いスクラムマスター人材の認定研修の拡充、及び非IT人材の方々に向けてアジャイルのエッセンスを体感できる「アジャイル・レストラン」ワークショップ研修の拡販を推進してまいります。
※ ITIL® は AXELOS Limited の登録商標であり、AXELOS Limited の許可のもとに使用し、すべての権利は留保されております。
ⅱ プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業の売上高は3,827百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益は252百万円(同16.2%減)となりました。人件費等の先行投資のためセグメント利益が減少しておりますが、安定的に売上を伸ばし成長しております。
(インターナショナルスクール事業系)
本事業は、2013年に新規参入し、当時のおよそ6倍となる1,500名を超える生徒数を誇る日本で最大級のインターナショナルスクールグループへと大きな飛躍を遂げております。旗艦校であり、国内で5校目の国際バカロレア(IB)幼・小・中・高一貫教育プログラムの認定校である「アオバジャパン・インターナショナルスクール」ではキャンパスの開設・改装の先行投資の効果及び大学進学実績により、過去最高となる743名の生徒数で当連結会計年度末を迎えました。その結果固定収入である授業料等が増収となっております。
教育における進歩も目覚ましく、国際バカロレアのDP(ディプロマ・プログラム)のテスト結果においては毎年成績が向上し、大学合格実績においても、国内外のトップレベル大学への合格者を毎年輩出しております。
さらに当連結会計年度には国際バカロレア機構から東アジア初となるIB-DPのオンラインパイロット事業の事業者と選定されました。これにより日本と比較し数十倍のマーケット規模となる東アジアやオセアニア地域での普及活動が可能となり、大きな拡大のチャンスを得ることができました。これにあわせオンライン事業、いわゆるサイバー事業に対して積極的な投資を進めてまいります。
国際バカロレア教育の普及という観点では、2018-22年度に続き文部科学省よりIBコンソーシアム事業を受託いたしました。前回の受託事業では国内で200校のIB導入という目標を達成いたしましたが、今回の受託事業ではさらに質の向上と、大学入試との接続、海外からの留学生の受入れ、経済界と教育界の連携等、より一層の国際教育の普及における課題に取り組んでまいります。当社グループとしても国際教育の普及という観点で、例えば熊本県における半導体投資と連動する形で、地方都市での国際教育拠点開設を支援するなど、地元の国際教育の受け皿の構築支援となるインターナショナルスクール開校をサポートし、金融庁におけるセミナーに登壇するなど積極的に貢献しております。
1~6歳を対象にバイリンガル幼児教育を展開する「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール」は、現在7拠点を都下で運営し、580名超の生徒数で新しい学年をスタートしており、更なる成長を目指してまいります。
ケンブリッジ大学国際教育機構の全プログラム(初等・中等・高等学校課程)の認定校である「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ」は、2021年以降安定した生徒数を確保し、年間を通じて安定した利益を生み出すスクールへと成長いたしました。現状は生徒数が収容定員に達する状況となっており、学業はもちろんのこと、学校としての更なる飛躍を目指し拠点の開設などに取り組んでおります。
② 財政状態に関する分析
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ668百万円減少し、2,998百万円となりました。主な要因は、その他流動資産が283百万円増加したものの、現金及び預金が926百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ459百万円減少し、4,492百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が312百万円、無形固定資産が158百万円減少したことによるものであります。
これらの結果、総資産は前連結会計年度末に比べ1,127百万円減少し、7,491百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ896百万円減少し、2,716百万円となりました。主な要因は、未払金が255百万円、未払法人税等が294百万円、創業者特別功労引当金が237百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ230百万円減少し、4,774百万円となりました。主な要因は、自己株式の取得により256百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ926百万円減少し、当連結会計年度末には2,291百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、428百万円(前期は1,116百万円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益371百万円、減価償却費249百万円を計上した一方、創業者特別功労引当金の減少額237百万円、未払又は未収消費税等の増減額417百万円、法人税等の支払額570百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、46百万円(前期比98.0%減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出103百万円、無形固定資産の取得による支出54百万円により資金が減少した一方、有形固定資産の売却による収入206百万円により資金が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、547百万円(前期比70.4%減)となりました。主な要因は、自己株式の取得による支出256百万円、配当金の支払額222百万円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2023年3月期 |
2024年3月期 |
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自己資本比率(%) |
57.8 |
63.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
75.0 |
69.9 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.2 |
- |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
178.8 |
- |
各指標の算出は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
5.2024年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
④ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ 生産実績及び受注実績
当社グループは、オンライン型マネジメント教育及びインターナショナルスクールの運営等を主たる事業としており、提供するサービスの性格上、生産及び受注という形態をとっていないため、記載しておりません。
ⅱ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
リカレント教育 |
(千円) |
3,632,631 |
103.2 |
|
プラットフォームサービス |
(千円) |
3,827,535 |
104.7 |
|
その他 |
(千円) |
14,638 |
18.2 |
|
合計 |
(千円) |
7,474,805 |
103.0 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績は、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」及び「② 財政状態に関する分析」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要については、リカレント教育事業に関わる講師料、ロイヤリティ、コンテンツ制作費とプラットフォームサービス事業に関わる各インターナショナルスクールの教員人件費、教材費、生徒の送迎費用、給食費、衛生管理費、各事業に関わる広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金需要については、リカレント教育事業に関わる「AirCampus®」の機能強化、その他全社に関わる研修施設の維持・修繕とプラットフォームサービス事業に関わる新規拠点開発等があります。
また、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っております。運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入しており、有利子負債の調達に頼らない経営を行っております。投資資金につきましては、投資案件に応じて、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済状況等を考慮のうえで、金融機関からの借入等から、調達手段・規模を適宜判断して実施しております。
自己株式につきましては、事業計画の進捗状況、当社グループの業績見通し、株価動向、財政状態及び金融市場等を総合的に勘案し取得をしていくこととしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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会社名 |
契約先 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
ボンド大学 |
Service Agreement |
ボンド大学とのMBAプログラムの提携に関する契約 |
自 2001年4月1日 至 2003年10月31日 以後、2年間単位の自動更新 |
該当事項はありません。