当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当中間連結会計期間における我が国経済は、2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻及び中東の紛争など地政学リスクの高まりによる経済的影響が長期化しており、原材料高騰による世界的なインフレ、各国間での金利格差拡大などによる景気の下振れリスクが懸念されております。また、エネルギー価格の変動やサプライチェーンの混乱も経済に影響を与え続けております。
一方で、2022年後半から大きな話題となっているChatGPTをはじめとした生成系AIは、多くの産業・社会活動領域に影響を与えております。特に、生成系AIの進化に伴い、企業の業務効率化や新たなビジネスモデルの創出が進んでおり、その影響は教育分野にも広がっております。
さらに、2020年からのコロナ禍が引き金となり、従来のように大学キャンパスに通学することなく大学を卒業する学生が増えました。これより学位の価値が低下し、4年をかけて大学を卒業して学位を取得するという従来型の大学のモデルそのものに疑問を抱く個人が現れていると当社では分析しております。
このような観点から、将来求められる人材の素養において、また企業の人材育成のあり方、政府の人材政策、大学・大学院等をはじめとする学校教育の根本において、以下に例示するような大規模な人材ニーズの変化がもたらされております。
・AIで代替できない「構想力」を有する人材
・AI/DXを担うデジタル人材
・AIで代替できないリーダーシップ・起業家精神・問題解決力を発揮する人材へのリスキリング教育の提供
・高等教育を含む学校におけるデジタル技術の活用、オンラインと集合研修を組合わせたブレンド型教育の導入の重要性
・あらゆる領域における一括教育から個別最適化教育への根本的なシフト
・企業経営における「人的資本経営」の浸透。特に「経営戦略」と「戦略の実行主体としての経営人材、次世代経営人材への投資」
これらの変化は「Lifetime Empowerment(生涯学び続け自分をアップデートする学習プラットフォームの提供)」をビジョンに掲げ、子どもから経営者に至る全年齢層を対象に、AIに代替されない本質的な力を身につけた「世界で活躍するリーダーの育成」をミッションとした教育を一貫して提供してきた当社グループにとって、非常に大きな成長機会となります。この成長機会を確実に捉えるため、オンライン教育の事業会社から世界の教育の最前線を走るEdTechカンパニーへと進化すべく、教育プラットフォームとコンテンツの両面において積極的な先行投資を行っております。当該先行投資と、以下のような当社グループが有するノウハウと資産を活かし、企業価値向上に繋げてまいります。
・対話と集合知を重視したオンライン学習プラットフォーム
・経営者が知るべきビジネスやマネジメントの最前線をカバーする18,000時間超のコンテンツ・ライブラリー
・オンライン教育、ブレンド型教育の設計・開発・運営ノウハウ
・グローバル人材育成のための各種カリキュラム体系
・小中高等学校教育における2大世界標準である「国際バカロレア」、「ケンブリッジ国際」の認定を有する日本唯一の国際教育機関
このような状況の下、当中間連結会計期間における売上高は3,779百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は191百万円(同13.7%減)、経常利益は190百万円(同13.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は98百万円(同14.5%減)となりました。
(経営成績のポイント)
・リカレント教育事業は、大学・大学院の学びの需要が、数年間をかけて学位を取得する従来型のニーズから、数か月の短期間に特定の領域の専門性を集中的に獲得する短期集中型のニーズへ構造変化しつつあると捉えております。その結果、University事業の売上構成は長期学習型から短期学習型へとシフトし、生徒数の減少に伴い減収減益となりました。その一方で新設した短期課外講座の受講生数が増加傾向にあり、新たな収益源となっております。法人向け人材育成事業も次世代人材育成への需要は依然として高く、前年同期とほぼ同水準の受注高で推移いたしました。
・プラットフォームサービス事業は、アオバジャパン・バイリンガルプリスクールの一部拠点での授業料の改定に加え、生徒数の増加に伴い、収入が増加しました。また、アオバジャパン・インターナショナルスクールも好調に推移した結果、増収増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① リカレント教育事業
リカレント教育事業の売上高は1,702百万円(前年同期比7.3%減)、セグメント損失は9百万円(前年同期は69百万円の利益)となりました。
(University事業系)
BBT大学経営学部は、新型コロナウイルス感染症の収束及び行動制限の緩和に伴い、オンラインにて教育提供する本学の学位取得プログラムの受講者数は前年同期比において減速傾向が見られます。一方で、DX・AI等の社会及びビジネス上の市場性の高まりを背景に、短期課外講座は概ね好調で受講者数が増加しております。昨年度から継続する「デジタルファーストキャンプ」「ファイナンスドリブンキャンプ」「実践マーケティングキャンプ」に加えて、4月から新たに開講した「実践型 生成AI活用キャンプ」は短期課外講座の第1期目として最多の受講生数でのスタートとなっております。
BBT大学大学院はオンラインから通学への回帰により2024年春の入学者数は減少したものの、依然、海外や地方などオンラインで受講できるMBAの需要は一定数維持しております。また、BOND-BBT MBAプログラムにおいては、各学期の入学者数は前年を上回る水準で推移しています。時代の趨勢にあわせた科目の新設や既存科目の改定を行い、受講者を増やしてまいります。
(法人向け人材育成事業系)
法人向け人材育成サービスにおいては、オンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド型人材研修需要が安定的に拡大しているため、2024年度も引き続き推進を図り、順調な推移を目指しております。
特に人的資本経営の推進が企業において重要テーマとなっており、サクセッションプラン(次世代経営人材育成)のニーズが高まっております。当社グループは、この分野において20年超の実績があり、独自の経営人材育成手法Realtime Online Case Study(RTOCS)やProblem Solving Approach、最新の外部環境を認識させる映像講義等を活用し、新しい方向性を出せる人材の育成ニーズに応えております。また、経営人材候補の越境学習ニーズも高まっており、構想力・イノベーション講座、BBT経営塾、Leadership Action Programなど他流試合型経営人材育成研修は順調に受講生を獲得し、堅調に推移しております。加えて、顧客からの新規事業創造型人材育成のニーズの高まりを受け、同分野に強みを持つMentorMe㈱を2024年6月に買収いたしましたが、同社の持つ3,000人超の新規事業プロフェッショナル人材と当社の持つプログラムを組み合わせて、新規事業創造プロジェクトの受注も出始めております。
これら法人に対する研修・人材育成サービス拡充やマーケティングの強化による認知度向上と顧客企業との接点強化を通じて、既存顧客も含めた2024年度の商談も対前年を大きく超える規模で創出できており、引き続き法人向け人材育成サービスの拡大を図ってまいります。
(英語教育事業系)
英語教育サービスとして、ビジネスプロフェッショナル向けサービスと、幼小中高生を対象とするコミュニケーション能力習得の2つのオンラインサービスを運営しております。
ビジネスプロフェッショナル向けサービスは、ビジネス英語需要に加え、顧客企業のグローバル人材育成の需要が高まり、法人比率が約8割を占め、前年同期比で売上が増加しております。幼小中高生を対象とするコミュニケーション能力習得の2つのオンラインサービスは子会社である㈱Aoba-BBT Global(旧会社名、㈱ブレンディングジャパン)において、3~18歳向けに展開しております。8月には10%超の改定も実施し、収益改善施策を推進しております。
(ITマネジメント事業系)
ITマネジメント事業系は、ITマネジメントサービスの中核組織である㈱ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックが前年同期に受注した大型プロジェクトの前年度内の終了に伴う反動により、収益性が前年同期より低下しております。
その一方、ITIL®4資格認定研修事業においては、大手IT企業内におけるリスキリングの一環として、eラーニングを活用した資格取得推進施策の大型受注がありました。
また、研修事業を行った後のフォローアップとして、ITサービスマネジメントに関する現場支援サービスを当期より展開しており、その結果として大手食品メーカー企業のIT部門向けへの2か月半に渡るサービス提供をしてまいります。
※ ITIL® is a registered trademark of the PeopleCert group. Used under licence from PeopleCert. All rights reserved.
② プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業の売上高は2,073百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント利益は203百万円(同35.4%増)となりました。
(インターナショナルスクール事業系)
本事業は、2013年に新規参入し、当時のおよそ6倍となる1,500名以上生徒が通う日本で最大級のインターナショナルスクールグループへと成長しました。旗艦校であり、国内で5校目の国際バカロレア(IB)幼・小・中・高一貫教育プログラムの認定校である「アオバジャパン・インターナショナルスクール」ではキャンパスの開設・改装の先行投資の効果及び大学進学実績により、過去最高となる755名の生徒数で新年度をスタートいたしました。その結果固定収入である授業料等が大幅に増収となりました。
また国際バカロレアのDP(ディプロマ・プログラム)のテスト結果においても毎年安定した成績を残し、世界平均点を大きく上回っております。大学合格実績においても、ペンシルバニア州立大学、トロント大学、ロンドン大学等の世界トップティアに属する大学への進学者を毎年輩出するなど、着実な成果を出しております。
さらには2023年、国際バカロレア機構からアジア初となるIB-DPのオンラインパイロット事業の事業者と選定されました。これによりアジア他地域での普及活動が可能となり、更なる拡大のチャンスを得ることができたと考えております。
1~6歳を対象にバイリンガル幼児教育を展開する「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール」は、現在7拠点を都下で運営し、過去最多となる580名超の生徒数で新年度をスタートしました。授業料の一部を見直すなど収支の安定化にも取り組みその成果が現れております。
ケンブリッジ大学国際教育機構の全プログラム(初等・中等・高等学校課程)の認定校である「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ」は、2021年以降安定した生徒数を確保し、年間を通じて収益性が安定しつつあります。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末の流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ391百万円増加し、3,390百万円となりました。主な要因は、その他流動資産が279百万円減少したものの、現金及び預金が596百万円増加したことによるものであります。固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ54百万円減少し、4,438百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が37百万円減少したことによるものであります。
これらの結果、総資産は前連結会計年度末に比べ337百万円増加し、7,828百万円となりました。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ399百万円増加し、3,116百万円となりました。主な要因は、プラットフォームサービス事業において新スクールイヤー(8~7月)のための年間授業料等の受領により契約負債が471百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、4,711百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上があるものの、剰余金の配当により利益剰余金が56百万円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ596百万円増加し、2,888百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、899百万円(前年同期は148百万円の使用)となりました。主な要因は、税金等調整前中間純利益190百万円、減価償却費113百万円、契約負債の増加額471百万円、未払又は未収消費税等の増減額137百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、130百万円(前年同期は108百万円の獲得)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出44百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出65百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、170百万円(前年同期比41.7%減)となりました。主な要因は、配当金の支払額158百万円によるものであります。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。