第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針等

 少子高齢化、待機児童や介護離職等の問題が山積する日本において、個人の人生観はどんどん変化し、求めるライフスタイルも多様化しております。

 そのような現代社会に必要不可欠となった“多様な働き方”を実現していくため、当社グループでは、創業以来、世代・国籍・経歴等を問わず、“人”を軸に、「人材」、「保育」、「介護」と事業を展開してまいりました。

 子どもが小さいから、学歴や社会経験が足りないから、介護が必要だから、といった理由で、これまで誰かが何かを諦めざるを得なかったことを少しずつでもなくしたい、すべての働く人を応援したい、という思いから、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループを目指してまいります。

(2)対処すべき課題等

①コンプライアンスへの取組み

人材サービス企業は、労働者派遣法や職業安定法に基づく認可を受けるだけでなく、顧客企業・求職者様の両者から大きな信頼を得て選ばれる会社である必要性が高まっております。また、保育・介護は許認可事業であるため、児童福祉法や老人福祉法といった関連法令の遵守が事業継続の大前提であり、コンプライアンスの徹底が求められる中で、当社グループでは、適宜改正される法令に対応すべく、諸規程等のルールや社内体制を整備・徹底し、適正に業務を遂行してまいります。

②事業領域の拡大

当社グループは、大部分を総合人材サービス事業が占めておりましたが、株式会社サンライズ・ヴィラ(現ライクケア株式会社)の株式取得による介護関連サービス事業の開始、サクセスホールディングス株式会社(現ライクキッズ株式会社)の連結子会社化による子育て支援サービス事業の深掘により、各事業を成長させ、その割合を分散させてまいりました。引き続き、新規事業の開拓も進めておりますが、特定の事業に偏ることによるリスクの回避及び事業拡大のため、今後も高成長、高収益を継続し、企業価値をさらに高めるべく、これまで実施してきた事業の拡大を図るとともに、新たな成長分野への拡大のため、M&Aや戦略的な事業提携も視野に入れた効率的な経営・管理を強化してまいります。

③人材の活用

働く人の意識の変化、物価の上昇及び賃金上昇等の労働環境の変化が加速していく中で、当社グループで働く人材の活用が事業継続において重要と認識しております。従業員に対しての継続的なキャリアサポート、業務経験を通じた人材の育成・活性化、また、総合人材サービス事業における派遣労働者に対してはキャリア・コンサルティング及び雇用安定措置の実施により、当社グループで働く従業員一人ひとりの働き方を支援し、多様な人材が活躍できる環境の創出に努めてまいります。

④個人情報の保護

 当社グループはサービス利用者の個人情報を有しており、また、子育て支援サービス事業及び介護関連サービス事業では各施設において、総合人材サービス事業においてはスタッフの就業先でも個人情報を取扱うことが多いことから、個人情報の管理は重要なものであると認識しております。当社グループでは、従業員に対して、業務に携わる前には必ず個人情報の適正利用に関する指導を行う等、情報漏洩に関する意識を徹底させており、今後も重要課題として個人情報の適正な保護管理に取り組んでまいります。

 

⑤情報セキュリティインシデント

 日常的に発生しているサイバー攻撃に対する防御及び発生時の備えは、事業活動の根幹を揺るがすもので、当社グループはこの攻撃を受けた事業者として、当社グループの機密情報、顧客及び従業員の情報をより一層保護するために、外部の専門機関の助言のもと、さらなるセキュリティ強化策に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、「...planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」のグループ理念に基づき、“人”を軸に、「保育」「人材」「介護」の3事業を展開しております。様々な背景・人生におけるタイミングの人が望ましい選択肢が得られるように、また、人と企業が持続的に成長できるように支援に取り組んでおります。担当部署である経営企画部門の活動については他の重要事項と同様に取締役会による監督が適切に図られる体制となっており、サステナビリティ責任者はサステナビリティに関する審議事項を必要に応じ経営会議や取締役会に付議・報告しガバナンスの強化を図ってまいります。

 

(2)戦略

 当社グループのサステナビリティにおける重要課題として、以下の4点を挙げております。

① 女性活躍の推進・待機児童問題解消

② 高齢化社会・介護需要への貢献と介護離職の解消

③ 雇用の創出、労働力人口の増加

④ 持続可能な地球環境保全

 上記①~③の課題解決のためには、当社グループが事業継続をすること自体が解決につながると考えております。

 当社グループの事業継続には、当社グループで運営する「子育て支援サービス事業」、「総合人材サービス事業」、「介護関連サービス事業」が多くの人が働くことで事業が成り立つ労働集約型の事業であるため、当社グループで働く“人”が非常に重要となると認識しております。そのため“人”を中心とした経営で事業を継続・拡大させることにより持続可能な社会の実現を目指しております。

 上記④の課題解決のためには、当社グループの事業において中長期的な温室効果ガス排出量の削減目標の設定・排出量削減はもちろんのこと、当社グループに関わるステークホルダーに対して環境課題について考える機会を提供し、持続可能な地球環境保全に貢献してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティ関連リスクの内、“人”に関するリスクがビジネスの中核に影響を及ぼすものであると認識しております。そのためリスクマネジメントの一環として、人的資本リスクを含むサステナビリティ関連のリスクを対象に、リスクアセスメント結果及び各リスクの状況は経営企画部門で管理・モニタリングし、特に重要事項と判断されるものは、取締役会において検討してまいります。

 

(4)指標及び目標

(人的資本)

  少子高齢化が進み労働力人口が減少する現代において、働き手の確保が大きな課題です。当社グループでも働く“人”に重点をおいた経営が一層重要になることを認識しており、その中でも下記3点を重要な課題と考えております。

 

ⅰ女性活躍の推進

  女性が働きやすい環境を整え、女性が活躍することで、新しい視点やアイデアが生まれ当社グループの更なる企業価値向上に繋がると考えております。当連結会計年度末における当社グループの管理職に占める女性比率は72.9%と継続的に政府目標を大きく上回りました。今後も継続して女性活躍の推進に注力してまいります。

 

ⅱ外国籍従業員の採用

  当社グループで働く外国籍従業員は336名となり、その従業員の出身国は28ヶ国となりました。外国人材を採用することで労働力の確保が可能になり、また意欲の高い人材も多いことから、共に働く既存の従業員にとって、良い刺激となると考えております。文化や習慣の違いなどの理解を深め、外国籍従業員が働きやすい環境を整えることで、新たな人材の採用、既存外国籍従業員の活用を進めてまいります。

 

 

ⅲ全従業員が働きやすい環境の構築

  当社グループで働く従業員は当社にとって非常に貴重な人材であり、その従業員がさまざまなライフステージの中で長きにわたり当社グループで活躍できる環境の構築が非常に重要と考えております。労働時間の適正化、有給休暇の取得促進、育児休業等の制度理解の促進等を通してワーク・ライフ・バランスを確保できる環境を整えることで、社員一人ひとりの生活の質を高めるだけでなく、企業の生産性向上や離職率の低下、優秀な人材の確保にも取り組んでまいります。

 

  今後も上記3点に重点を置き、総務人事部が中心となり各種取組みの深掘を行い、当社グループの更なる企業価値向上に繋げてまいります。

 

(気候変動)

 当社グループは、気候変動に対するアクションとして、事業所での再生可能エネルギーへの転換を推進しております。2050年までに事業活動で消費する電力の100%を再生可能エネルギーへ転換することを目指します。すでに2030年までの中間目標としておりました、消費電力の40%の再生可能エネルギーへの転換を大幅に前倒しして達成しております。

 その他、「子育て支援サービス事業」、「介護関連サービス事業」においては、下記の取組みを実施しております。これらの取組みにより環境保全に対する意識を高める機会の創出に努め、持続可能な社会を支える人材の育成に貢献してまいります。

・環境問題をテーマにしたイベントや食育

・自然と触れ合うレクリエーションやイベント

・廃材を活用した製作活動

・施設の新規開設時には環境保全に配慮された建物の選定

・間伐材を使用した設備や備品の選定

・寄付等によるリサイクル活動を推進する取組み

 

 なお、環境に関する全般的な取組み及び人的資本と環境に関するサステナビリティデータを当社ウェブサイトに開示しております。

・取組み:https://www.like-gr.co.jp/sustainability/esg.html

・データ:https://www.like-gr.co.jp/sustainability/data.html

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防又は回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

(1)労働者派遣法について

 総合人材サービス事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(現 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」)」(以下、「労働者派遣法」という。)に基づく厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業」の許可を取得しており、労働者派遣法に基づく規制を受けております。

 当社グループが労働者派遣法第14条のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣は一般労働者派遣事業の許可を取り消すことができる旨が定められておりますが、現時点において、当社は許可の取消しに該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来、何らかの理由により許可の取消し等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2)保育に関する国の方針

 2000年に認可保育園の運営主体に株式会社も認められることになり、当社グループの子育て支援サービス事業においても、認可保育園の運営を事業として行っております。今後、国の方針が変わり、株式会社による認可保育園の開設や既存の公立保育所の民営化が認められなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)介護保険について

 介護関連サービス事業におきましては、老人福祉法、介護保険法等に基づく規制を受けております。当社グループは、関連する法律に基づき適正にサービスを提供しておりますが、今後法律の改正及び介護報酬額の改定等があり、サービスの内容及び料金体系の見直しが必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4)法令遵守に関するリスクについて

 当社グループでは、従業員、スタッフに対する入社時及び継続的なコンプライアンス研修の実施、より充実した内部管理体制の構築など、法令を遵守するための体制を整え、社会的責任を果たすべく努力を重ねております。しかしながら、これらの教育研修及び内部管理体制の整備は、従業員、スタッフの違法行為をすべて排除することを保証するものではありません。法令遵守体制の強化については今後も継続して取り組んでまいりますが、従業員、スタッフによる重大な過失、不正、違法行為等が生じた場合には、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求、信用の低下といった金銭的・社会的な影響が予想され、これにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)個人情報の管理

 当社グループは、サービス利用者の個人情報を有しており、また、スタッフの就業先においても、個人情報を取扱うことが多いことから、個人情報の管理は重要なものであると認識しております。当社グループでは、従業員、スタッフ全員に情報漏洩に関する意識を徹底し、業務に携わる前には必ず個人情報の適正利用に関する指導を行うとともに、継続的に研修を行っております。当社グループでは個人情報の保護管理体制を整備しており、今後も重要課題として個人情報の保護管理に取り組んでまいります。また、個人情報漏洩にかかる金銭的なリスクを回避するため、個人情報漏洩保険に加入しております。しかし、何らかの理由により個人情報が外部に漏洩するような事態が生じた場合には、当社グループに対する損害賠償請求や信用の低下といった金銭的・社会的な影響が予想され、これにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)優秀なスタッフの確保

 総合人材サービス事業、子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業と当社グループのどの事業においても、成長意欲のある優秀なスタッフを確保することが必要不可欠であります。よって、今後、当社グループが成長していくためにも、スタッフの確保は重要な事項であります。

 優秀なスタッフを確保するためには、採用活動と研修活動がともに重要であると認識しております。採用活動においては、独自の求人サイトの構築等、求職者が応募しやすい環境を整えており、研修活動においては、採用したスタッフについて、社会で活躍するにあたり必要なマナー等の基礎知識、スタッフの従事する業務に対する知識の向上、就業に際するスタッフ満足度の向上に努めております。
 しかし、このような諸施策を実施するにもかかわらず、当社グループの計画どおりに優秀なスタッフの確保ができないことも想定されます。この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)総合人材サービス業界におけるサービス提供業界の構成比について

 当社グループの総合人材サービス事業のサービス提供業界について、モバイル業界の割合が高くなっております。これは、業界特化型で事業を展開することにより、当社グループが他の人材サービス企業との差別化を図ってきたことによります。

 総合人材サービス事業における当連結会計年度の業界別売上高は、次のとおりであります。

業 界

売上高(千円)

構成比(%)

 モバイル業界向け

9,784,578

47.4

 その他業界向け

10,857,880

52.6

合 計

20,642,458

100.0

 現在、物流・製造、コールセンター、保育・介護、建設業界と積極的な事業展開を行っており、総合人材サービス事業全体に対するモバイル業界向けの割合は下がってきておりますが、今後も需要が高水準で推移する業界であると考えており、売上高を伸ばしていく方針であるため、モバイル業界の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)社会保険について

 当社グループのスタッフにおいても、一定の条件を満たした場合は社会保険(厚生年金及び健康保険)への加入が義務付けられております。当社グループでは、既に加入義務者全員が社会保険に加入しておりますが、社会保険加入要件について、今後加入対象者が広がった場合、スタッフの社会保険加入人員数が増加します。人件費の増加により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)事業投資について

 当社グループは、成長を加速するための有効な手段として同業又は関連する分野を中心に企業又は事業の買収を積極的に検討してまいります。

 これらに伴って多額の資金需要が発生する可能性があるほか、のれんの償却等により業績が影響を受ける可能性があります。また、これらの事業投資が必ずしも見込みどおりに当社グループの業績に貢献したり、シナジー効果を生むとは限らず、買収した企業の収益性が著しく低下した場合、のれんの減損が生じるなど当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10)減損会計の適用について

 当社グループの子育て支援サービス事業セグメントのライクキッズ株式会社及び介護関連サービス事業セグメントのライクケア株式会社が保有する有形固定資産及び無形固定資産合計額が連結総資産の42.5%を占めているため、当該事業環境の変化や経済的要因から各資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなる等、投資回収が不可能となった場合、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)自然災害等の影響について

 当社グループは、日本全国に営業拠点を有しており、想定を大きく上回る規模での台風・地震・洪水・疫病等の自然災害や事故が発生した場合、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があり、これらを完全に回避することができず被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)機密情報保護について

 当社グループは、事業活動において取引先の企業情報や個人情報を多数保有しております。これらの情報は、従業員によるメールの誤送信などの偶発的な事故や、サイバー攻撃やマルウェア感染といった外部からの攻撃により、情報漏洩やシステムの停止といった情報セキュリティインシデントが発生するリスクを完全に排除することはできません。このような事故が起きた場合、当社グループの業績および財務状況に影響をおよぼす可能性があります。

 なお、2024年9月30日、当社子会社であるライクキッズ株式会社の業務サーバーがランサムウェア型のサイバー攻撃を受け、サーバー上の会計データ、人事給与データ等の業務データが暗号化されたほか、関連する業務ソフトウェアの一部が利用できなくなる被害が発生いたしました。外部専門家の助言の下、被害の拡大を防ぐため直ちに外部とのネットワークを遮断し、安全なネットワーク環境の構築が完了するまでは、外部ネットワークから遮断した暫定的なネットワーク環境にて会計システムの復旧を行い、給与計算や売上計上といった主要業務に関しては手作業により代替しております。業務を実施するうえで必要となる過去の業務データに関しては、サイバー攻撃の影響を受けなかったシステム上のデータや資料を収集し復元しております。

 当社は、外部専門家による助言及びチェックを受けながら、情報セキュリティ対策の強化を検討しております。具体的には、セキュリティーポリシーの見直しを行い、外部からの攻撃に備え、クラウド環境やネットワークへの不正アクセスを防ぐ多要素認証の導入、マルウェアの検出と対応を強化するEDRの導入、従業員の意識向上を図るため定期的な教育の実施等を行ってまいります。

 万が一、情報セキュリティインシデントが発生した場合でも、迅速かつ適切に対応できるよう対応マニュアルを整備しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されております。一方で、米国の通商政策や物価上昇の継続による個人消費の下振れ等、景気を下押しするリスクが高まっております。さらに金利等の金融資本市場の変動にも注視する必要があります。

当社グループの事業は、待機児童、女性活躍、人口減少による人材不足、出産・育児による離職、介護離職等の社会課題と密接に関連しており、関わる全ての人の間に「ありがとう」が自然にあふれ、「あなたでよかった、ありがとう。」と感じていただける気持ちを循環させてまいります。今後もグループ理念である「...planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」に基づき、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループを目指すため、少子高齢化社会における就業人口の増加に注力するとともに、グループ各事業において高品質のサービスを提供することで、持続可能な社会の実現に寄与してまいります。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高62,336,226千円(前年同期比3.1%増)、営業利益は、人件費の増加に加え、子育て支援サービス事業における2026年5月期へ補助金の期ズレが発生したこと、介護関連サービス事業において前連結会計年度に開設した介護付有料老人ホームの入居遅れから2,951,067千円(同11.5%減)、経常利益3,498,008千円(同11.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,097,221千円(同14.3%減)となりました。

 

 各セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

(子育て支援サービス事業)

 子育て支援サービス事業につきましては、厚生労働省が2025年6月に発表した人口動態統計月報年計(概数)の概況によれば、2024年の出生数は686,061人と前年の727,288人からさらに減少し、調査開始以来最少を記録しております。

 一方で潜在的な待機児童数(入所を希望しているが待機児童として数値に現れない児童)は71,032人(2024年4月現在)に及ぶこと、また放課後児童クラブにおける待機児童数は17,686人(2024年5月1日現在)と2023年5月1日より1,410人増加しており、依然として首都圏を中心に待機児童問題は深刻であること、さらに女性就業率は上昇傾向にあることから、大都市圏における保育ニーズは引き続き高い水準で推移すると想定され、未だ保育の受け皿確保に向けた各種施策の推進が急務となっております。政府も、次元の異なる少子化対策の実現に向けた「こども未来戦略」を2023年12月に閣議決定し、児童手当の拡充や就労要件を問わず保育を利用できる「こども誰でも通園制度」の創設、職員配置基準改善、保育士等の処遇改善等、さまざまな施策を進めており、国策としての少子化対策が一層強化されております。

 そのため連結子会社であるライクキッズ株式会社は民設の認可保育園開設だけでなく、自治体が開設した保育園の運営受託、不動産開発事業者による大規模開発案件での新規保育園開設、自治体からの学童クラブ・児童館の運営受託、病院・企業・大学等が設置する保育施設の運営受託等、あらゆる側面から保育の受け皿の整備に尽力するとともに、連結子会社であるライクスタッフィング株式会社と密接に連携することで、保育の質を担保する優秀な保育士や学童指導員の採用にも注力いたしました。

 また、当連結会計年度においては、新たに認可保育園を計7ヶ所、学童クラブ等を計8ヶ所、受託保育施設を計3ヶ所開設いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は33,027,464千円(前年同期比8.6%増)、営業利益はのれん償却額の減少及び前連結会計年度からの期ズレ補助金の計上額の増加があったものの、人件費の増加及び物価高騰による食材費の増加に加え、2026年5月期への期ズレ補助金291,000千円が発生したことから2,175,611千円(同11.3%減)となりました。

 

 

(総合人材サービス事業)

 総合人材サービス事業につきましては、日本国内において少子高齢化に伴う労働力人口の減少が深刻化する中で、社会インフラとも呼べる当社の注力業界では、人材の確保が重要な経営課題となっております。

 そのため、連結子会社であるライクスタッフィング株式会社では事業領域であるモバイル、物流・製造、コールセンター、保育・介護、建設業界において、就業人口の増加に向けた営業活動を展開いたしました。

 モバイル業界においては、社会全体の人材不足に加え、他業種との人材獲得競争の激化も相まって、人材確保が難航いたしましたが、キャリア各社の顧客争奪の場となる家電量販店向けの人材を中心に人材需要は引き続き堅調で、単価も上昇傾向にあり、業績に底打ちの兆しが見られます。物流業界では、大手企業で物流施設の業務効率化が進んだことにより新たな人材派遣需要が減少いたしました。人材不足が深刻さを増している保育・介護業界に対しては、社内の営業体制を見直すとともに、連結子会社であるライクキッズ株式会社及びライクケア株式会社における施設運営のノウハウを活かし、採用力の強化に繋げることで、人材の派遣・紹介事業を推進しております。

 次の成長軸となる事業として、以前より推進している外国人材就労支援サービスの拡大についても引き続き注力いたしました。人材が逼迫する介護業界へ積極的な営業活動を展開し、より多くの企業様においてスムーズな受け入れをしていただけるよう、生活のサポートを含む働きやすい環境の整備を継続してまいります。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は、稼働スタッフ数が減少したことにより20,642,458千円(前年同期比5.6%減)、営業利益は採用媒体を見直し採用費を抑制したことにより1,500,333千円(同1.0%増)となりました。

 

(介護関連サービス事業)

 介護関連サービス事業につきましては、連結子会社であるライクケア株式会社が、神奈川県・東京都・埼玉県といった65歳以上の人口が多い首都圏において、介護付有料老人ホーム等を運営しております。医療連携を強みとし、24時間看護師が常駐し看取り介護を行っている施設も多いことから、介護度が高く、ご自宅での介護が困難である方が入居されております。

 また、2024年2月に開設したフェリエ ドゥ 上井草に続き、2025年2月には埼玉県春日部市にサンライズ・ヴィラ春日部東(72室)を開設し、運営施設数は26施設となりました。埼玉県春日部市では、サンライズ・ヴィラ春日部、サンライズ・ヴィラ北春日部に続き、3施設目の開設です。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は2025年2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東を含む既存施設が堅調に稼働したため8,564,462千円(前年同期比5.6%増)、営業利益は2024年2月に開設したフェリエ ドゥ 上井草の入居進捗が開設当初の計画より遅れていることから265,922千円(同23.6%減)となりました。

 

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は40,446,464千円(前期末比1,943,351千円増)、純資産は17,798,030千円(同982,289千円増)、自己資本比率は44.0%(同0.3ポイント増)となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は17,232,215千円(前期末比626,781千円増)となりました。これは受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,006,686千円、借入金の返済に伴う現金及び預金の減少602,338千円等があったことによります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は23,214,249千円(前期末比1,316,569千円増)となりました。これは、子育て支援サービス事業における新規開園等に伴う有形固定資産の増加1,264,223千円等があったことによります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は12,232,112千円(前期末比1,212,738千円増)となりました。これは、短期借入金の増加420,000千円、未払金の増加717,120千円、未払法人税等の増加270,168千円、1年内返済予定の長期借入金の減少476,907千円等があったことによります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は10,416,322千円(前期末比251,676千円減)となりました。これは、リース債務の増加128,711千円、長期借入金の減少529,845千円等があったことによります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は17,798,030千円(前期末比982,289千円増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上2,097,221千円、配当金の支払1,113,023千円等があったことによります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上といったプラス要因がありましたが、有形固定資産の取得による支出、長期借入金の返済による支出といったマイナス要因があったことにより、前期末に比べ662,538千円減少し、当連結会計年度末は8,777,056千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は3,786,462千円(前期比4.1%増)となりました。この主な内容は、税金等調整前当期純利益の計上3,427,427千円、減価償却費の計上1,507,442千円、のれん償却額の計上10,319千円、法人税等の支払額1,130,238千円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は2,158,203千円(前期比50.6%増)となりました。この主な内容は、子育て支援サービス事業における新規施設開園等に伴う有形固定資産の取得による支出1,856,209千円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は2,290,797千円(前期比32.9%減)となりました。この主な内容は、長期借入れによる収入1,460,000千円、長期借入金の返済による支出2,859,383千円、配当金の支払額1,112,616千円等であります。

 

④生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

ロ.受注実績

 当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

(千円)

前期比(%)

総合人材サービス事業

西日本地区

6,387,458

91.9

東海地区

1,560,879

103.5

東日本地区

12,694,119

94.7

小計

20,642,458

94.4

子育て支援サービス事業

 ―

33,027,464

108.6

介護関連サービス事業

 ―

8,564,462

105.6

その他

 ―

101,841

110.4

合計

62,336,226

103.1

(注)上記のうち、西日本地区には近畿以西を、東海地区には東海地方を、東日本地区には関東以東をそれぞれ記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

②キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照下さい。

③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態の分析

 当連結会計年度末における資産合計額は40,446,464千円(前期末比1,943,351千円増)、負債合計額は22,648,434千円(同961,061千円増)、純資産合計額は17,798,030千円(同982,289千円増)となりました。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は17,232,215千円(前期末比626,781千円増)となりました。これは受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,006,686千円、借入金の返済に伴う現金及び預金の減少602,338千円等があったことによります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は23,214,249千円(前期末比1,316,569千円増)となりました。これは、子育て支援サービス事業における新規開園等に伴う有形固定資産の増加1,264,223千円等があったことによります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は12,232,112千円(前期末比1,212,738千円増)となりました。これは、短期借入金の増加420,000千円、未払金の増加717,120千円、未払法人税等の増加270,168千円、1年内返済予定の長期借入金の減少476,907千円等があったことによります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は10,416,322千円(前期末比251,676千円減)となりました。これは、リース債務の増加128,711千円、長期借入金の減少529,845千円等があったことによります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は17,798,030千円(前期末比982,289千円増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上2,097,221千円、配当金の支払1,113,023千円等があったことによります。

 

b 経営成績の分析

(売上高)

 売上高の詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」の中のセグメント別の経営成績に記載のとおりです。

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は53,528,421千円(前年同期比4.5%増)、売上原価率は前期比1.2ポイント悪化し85.9%となりました。

 この結果、売上総利益は8,807,805千円(前年同期比4.7%減)となりました。

(営業利益)

 販売費及び一般管理費は、人件費の増加はあったものの、のれん償却額が減少した等から5,856,738千円(前年同期比0.9%減)となりました。また、売上高販売管理費率は前期比0.4ポイント改善し9.4%となりました。

 この結果、営業利益は2,951,067千円(前年同期比11.5%減)となりました。

(経常利益)

 営業外収益は、子育て支援サービス事業における設備補助金収入等により694,683千円となりました。一方、営業外費用は、支払利息等により147,742千円となりました。

 この結果、経常利益は3,498,008千円(前年同期比11.5%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益は、受取保険金等により25,146千円となりました。一方、特別損失は、システム障害対応費用等により95,726千円となりました。

 この結果、税金等調整前当期純利益は3,427,427千円(前年同期比10.0%減)となりました。

また、税金費用が1,330,206千円発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は2,097,221千円(前年同期比14.3%減)となりました。

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、今後も引き続き総合人材サービス事業、子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業の積極的な拡大を行ってまいります。どの事業におきましても、事業拡大のためには優秀なスタッフをより多く確保することが重要であることから、今後も採用体制の強化を図るとともに、教育研修体制をさらに充実させ、多くの優秀なスタッフの育成を図ってまいります。

 また、人材サービス業界においては労働者派遣法、保育業界については児童福祉法、介護業界においては老人福祉法、介護保険法等、その他関連法令の改正は会社経営に大きく影響を与える可能性があります。当社グループでは、求職者や顧客に、「なくてはならない」と感じていただけるサービスを提供し続けられるよう情報を収集し、迅速に対応してまいります。

⑤資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。継続的な事業拡大に伴う設備投資が重要となるため、これらの資金需要は内部資金又は資金調達の実施により賄うことを基本としております。

 

⑥経営戦略の現状と見通し

当社グループは各事業が社会課題と密接に関連しており、その事業拡大が社会課題の解決へ直結し、ひいては持続可能な社会の実現へと繋がっているからこそ、各事業の成長に強くこだわる姿勢を貫き続けます。これからも「...planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」のグループ理念のもと、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループとなるべく、事業に邁進いたします。

子育て支援サービス事業の市場動向につきましては、保育所等における待機児童数は減少傾向にあるものの、潜在待機児童の問題は、依然として首都圏を中心に深刻であり、将来的な首都圏の人口動態を踏まえると、この傾向は容易に解消されないことが予想されます。また、学童クラブにおける待機児童数も増加傾向にあり、保育施設から小学校へ移行する際に子育てサービスが不足する「小一の壁」が社会問題として顕在化する等、多くの課題が残されています。加えて、共働き世帯の増加や女性の就業率上昇が進んでおり、これまで幼稚園が担っていた保育ニーズを保育園が代替する動きも見られ、保育ニーズは中長期的にも維持されると見込まれます。さらに、不動産開発事業者による都市での再開発に伴い、新規保育園の開設需要も見込まれております。なお、2025年3月現在の保育士有効求人倍率は全国で3.42倍であり、東京都においては4.80倍に達しており、全職種平均1.16倍と比較して著しく高い水準にあることから、保育士不足への対応は引き続き喫緊の課題となっております。 

このような背景から、「こども未来戦略」では保育士の処遇改善や、2024年4月には76年ぶりとなる保育士の配置基準の見直しが実施されました。あわせて、「放課後児童対策パッケージ」に基づき、放課後児童クラブの整備が進められております。

こうした状況を受け、子育て支援サービス事業では、次期である2026年5月期においても積極的に新規施設の開設を行い、認可保育園・学童クラブ・児童館・受託保育施設を合わせ、20ヶ所前後の開設を予定しております。保育士の確保については、新卒採用の強化ならびにグループの総合人材サービス事業との連携により、優れた人材を獲得し、保育の質向上にも努めてまいります。加えて、今後、出生数の減少による競争環境の激化によって各保育事業者の優勝劣敗が鮮明になること、大手事業者のシェアが低く中小事業者が多数乱立している特性があることから、M&Aを実施することで、内部資源を活用した自律的な成長だけでなく、非連続的な業績の拡大も狙ってまいります。

総合人材サービス事業の市場動向につきましては、モバイル業界ではキャリア各社の顧客争奪の場となる家電量販店を中心に人材需要は堅調であり、物流業界ではEC市場の伸長により大型物流施設及び配送拠点が稼働しております。保育・介護業界では将来的に数十万人規模の人材不足が見込まれており、これを補う手段の一つとして、介護業界では外国人材へのニーズが年々高まっております。このように当社事業が位置する労働集約型市場は、社会インフラとして欠かせない役割を果たしており、長期的に人手が必要とされることが見込まれます。

これらの状況を踏まえて、総合人材サービス事業では、取引先で稼働する正社員である「エキスパート職」の採用を強化するとともに、新規案件の獲得に取組み、当社グループ祖業であるモバイル業界や物流・製造業界等、既存領域の拡大に再注力いたします。さらに、高い成長性が期待できる外国人材領域に経営資源を投下し、業容の伸長に繋げてまいります。

介護関連サービス事業の市場動向につきましては、全国的に65歳以上の高齢化率の上昇が見込まれており、特に首都圏では高齢者人口の増加に伴い、介護需要はさらに高まることが予想されます。一方で、そうした介護需要を支える介護人材の確保が大きな課題となっており、今後も人材の大幅な不足が見込まれています。国内人材のみでは十分な人員の確保が困難とされており、介護人材の不足は深刻な社会問題となっております。

そのため、介護関連サービス事業では、既存施設の入居促進を行うことで充足率の向上を図るとともに、首都圏での高い介護需要に応えるべく、引き続き介護付有料老人ホームを中心とする新規施設開設を進めてまいります。また、グループの総合人材サービス事業と協業することで、特定技能外国人材の施設受け入れを加速させ、外国人への支援を総合人材サービス事業にて実施し、高いレベルの介護人材の確保と施設サービスの質向上に繋げます。社会課題である介護人材不足の解消と介護業界全体のサービスの質向上に資するべく、引き続きグループシナジーの最大化を図ってまいります。

保育業界全体の持続性向上、さらなる発展への貢献を目指し、2024年11月14日に日本生命保険相互会社(以下、日本生命)と資本業務提携を締結いたしました。さらに、保育事業者単独では実現が困難な、保育事業者が抱える課題の解決に向けた施策を共同、連帯し実施するため、2025年3月17日に当社と日本生命を中心に「保育イノベーションコンソーシアム」を発足いたしました。今後は、当社と日本生命が共同開発するシステムの導入促進による業務効率化支援に加え、共同調達等のコスト削減による保育所経営の安定化支援、人材シェアリングスキームの構築、保育士魅力向上施策等を検討・推進してまいります。

なお、米国の関税処置による当社業績への影響は軽微であると考えております。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループにおいて、総合人材サービス事業は労働者派遣法、職業安定法、子育て支援サービス事業は児童福祉法、介護関連サービス事業は老人福祉法、介護保険法に基づく規制を受けていることから、法改正に都度対応し、法令遵守を意識した行動を心がけております。

 また、当社グループはスタッフ及び採用・教育支援サービス利用者、児童及び保護者、入居者等の個人情報を有しており、当社グループのスタッフの就業先においても個人情報を取扱うことが多いことから、個人情報の管理は重要なものであると認識しております。

 当社グループは、今後もコンプライアンス体制の充実を図り、より充実した内部管理体制の構築等法令を遵守するための体制を整え、ライクスタッフィングスタッフ、入居者、得意先、投資家等様々なステークホルダーに対して信頼される会社であり続けるよう努力してまいります。

 また、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループを目指し、さらに飛躍するためには、事業領域の拡大が必須であり、今後持株会社体制を活かし、M&Aや事業提携等成長分野や新規事業への積極的な投資を実施してまいります。

5【重要な契約等】

当社は、2024年11月14日開催の取締役会において、日本生命保険相互会社(以下「日本生命」)と資本業務提携契約を締結することを決議し、同日付で日本生命と資本業務提携契約を締結いたしました。詳細は以下のとおりです。

相手先

契約締結日

内容

日本生命

2024年11月14日

①当社のITインフラをベースとした保育所向け業務改善システムの開発

・日本生命の連結子会社であるニチイ学館の保育所にシステムを導入し、業務

 改善のための実証実験を実施

・実証実験の結果を基に、全国の保育所への外販に向けたシステムに改修

②上記①以外の保育の質の向上及び業務効率化に向けた情報交換、共同での

 サービス提供

③保育の質の向上や業務効率化、保育士の労働環境改善、保護者にとっての安

 心・安全担保等の保育業界全体の持続性向上、さらなる発展に向けた「保育

 イノベーションコンソーシアム」の組成・運営

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。