文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「社会のニーズとマーケットを見極め、人と企業の未来を創造し、優れた事業と人材を輩出するリーディングカンパニーを目指す」を経営理念とし、IT業界における時代の変化に乗り遅れることなく、最新の技術動向を見据え、迅速な意思決定並びに機動力を持った経営推進を行い、事業会社の成長と持株会社によるガバナンス強化によって企業価値の向上に努めております。
当社グループが属する業界は、一部のIT関連需要の低迷を背景に設備投資を先送りする動きが見られる一方で、人手不足を背景とした自動化、省力化への投資、昨今のクラウドファーストやDX(デジタルトランスフォーメーション)への関心が高まり、市場は大きく成長しております。
このような事業環境のもと、当社グループは、2021年3月期を初年度とする5か年の中期経営計画「NEXT'S 2025」を策定し、変革と成長の2軸による更なる進化を目指し、更なる企業価値向上を遂げるため、「デジタルマーケティング関連事業における利益化」「ITインフラ関連事業における顧客基盤の拡大」「社内業務環境のデジタルシフト」「優秀な人材の確保及び育成」「コーポレート・ガバナンスの強化」の5つが当面の経営課題と考えており、それらの対処方法として次の施策を進めてまいります。
①デジタルマーケティング関連事業における利益化
サブスクリプションモデル(継続課金型)を中心に事業展開を進め、投下した広告費と開発費を売上高の着実な積み上げに繋げ、セグメント利益の継続した黒字化を達成し、収益性向上を目指してまいります。
②ITインフラ関連事業における顧客基盤の拡大
オーガニック成長に加え、新規出店とM&Aによる顧客基盤の拡大やアライアンスの更なる推進により、中小企業への継続した生産性向上を支援することで、当社グループの安定した収益基盤の構築、更なる成長に繋げてまいります。
③社内業務環境のデジタルシフト
社内業務環境において、デジタルシフトを進め、業務効率化による生産性向上を実現してまいります。
④優秀な人材の確保及び育成
当社グループでは企業価値向上を支える「優秀な人材の確保及び育成」を重要なサステナビリティと位置付けております。多様性を含む優秀な人材の確保と育成をすべく、社員の健康、働く環境、教育に注力し、様々な制度や研修を採り入れ、安心して働けることはもちろん、個人の成長にフォーカスした取り組みを行ってまいります。
⑤コーポレート・ガバナンスの強化
全てのステークホルダーの期待に応えるため、株主利益、企業価値を最大化すること、経営の効率化、透明性を高めることをコーポレート・ガバナンスの基本としております。また、企業倫理とコンプライアンスを徹底し、内部統制システムの整備・強化及び経営の客観性と迅速な意思決定の確保に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのサステナビリティとは、「デジタルシフトESG経営」として、誰もが取り組める“デジタルシフト”をソリューションとして提供していくことで、サステナブルな世の中を創造していく経営です。日本の大部分をしめる“中小企業”、特に地方の“中小企業”こそが取り組めるデジタルシフトを通じ、地域社会、顧客、パートナー、社員および株主などステークホルダーの皆様にとって輝きある未来を創りつづけて参ります。
それらを、当社グループのデジタルマーケティング関連事業とITインフラ関連事業により実現し、中小企業の成 長と経済の成長に寄与することで、デジタルシフトによる自律的で持続的な地方を創生することをスターティアグループは目指しています。
日本には300万もの中小企業があり、地域のものづくりや観光に数多の可能性が眠っていますが、日本の少子高齢化等の影響により特に中小企業は人材不足が課題となり、生産性向上と収益性向上が実現できていません。中小企業の生産性向上と収益性向上の実現に向け、デジタルマーケティングツールのCloud CIRCUSを提供することで、顧客が特別なマーケティング知識や、余計なコストを必要とせず、もっと楽に、より楽しく、ものづくりに取り組めるサステナブルなビジネス環境を構築してまいります。また、自社の社員が働き方DXを推進することで、例えば、地域でのリモートワークや、より自由な働き方を実現するABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)など、好きな場所・最適な選択のもとで働ける環境を後押しします。自分の地元に貢献したい、地域の可能性を追求したいなどを実現することで、個人も地域も豊かになり働くことが楽で楽しくなるように自社の変革も行なって参ります。
「中小企業の経営実態に良い影響を及ぼせる存在として、チャンスの大きな世の中を作る」というビジョンの実現に向け、顧客の健全な「存続と成長に寄り添う」ことをミッションにしております。
環境課題に対しては、再エネ電力の提供や省エネルギー・環境浄化ソリューションを提供していきます。組織・職場運営においては、ジェンダーのへだてなく、全社員がやりがいある役割を持ち、常に学び続ける機会が与えられるよう「採用と教育のイノベーション」に力を入れてまいります。また、日本の人口動態の変化への対応や働き方改革の実現のためには、生産性向上が経営の必須条件ととらえ、DXを軸にした業務改革を顧客と一緒に推進して参ります。
当社の各事業においては、現時点では気候変動問題が当社事業に重大な影響を及ぼすことは想定されないものの、気候変動問題への対応は安定的な経済発展や国民生活の基盤確保等において重要な取り組みであると考えております。現時点における当社の取り組みとして、移動によるCO2排出を抑えるだけでなく、ペーパーレス化を進めるなど、デジタル化により環境負荷の軽減を推進しております。また、ITインフラ事業において、環境クレジット付きカーボンオフセットプランの電力小売りやLED照明、電子契約の提供を行い、デジタルマーケティング事業においては電子ブックソフトをはじめとしたデジタルツールを提供することで、当社グループの事業を通じて、中小企業が脱炭素に取り組みやすい環境を築けるよう、取り組んでおります。
当社では「優秀な人材の確保及び育成」を重要なサステナビリティと位置付けており、企業価値を支える人材の多様性を含む優秀な人材確保と人材を育成すべく研修を強化していると共に、働く社員の健康面、環境面、教育面の改善を制度として取り入れ、安心して働けることはもちろん、個人の成長にフォーカスした取り組みを行っております。
また、デジタルマーケティング事業において、積極的に開発投資を行うことで、中小企業の顧客の皆さまがより使いやすく、より業務が楽になるツールの開発と研究を行っております。
当社グループは、サステナビリティを巡る課題に的確に対処することは重要なリスク管理の一部と認識しており、社会・環境問題の解決に貢献するという理念のもと、代表取締役が中心となって、取締役会において審議を行っており、今後も全社を挙げて継続的かつ積極的に様々な活動に取り組んで参ります。
また、「優秀な人材の確保及び育成」を重要なサステナビリティと位置づけていることから、2023年6月より内部統制審議会の下部組織として人材育成委員会を設置し、女性の活躍推進施策、男女問わずの次世代管理職育成など、自ら考え行動できる人材開発計画を整備、実行しております。人材育成委員会は原則として毎月1回定例開催し(必要に応じて臨時開催)、その結果を内部統制審議会および取締役会に報告しております。なお、人材育成委員会は、人事総務部長が委員長を務め、委員はグループ各社から男女メンバーを選出し、多様性を意識した構成としております。

① 人材育成委員会の役割
グループを横断した多様性を含む次世代管理職・経営者の育成
② 人材育成委員会の管掌領域
女性活躍推進・次世代管理職・経営者候補の人材開発全般
(候補者選抜~育成コンテンツ・キャリアプラン設計、実行)
人的資本に係るリスクの識別、リスクの定量的及び定性的分析・評価、リスクへの対応計画の作成
③ 人材育成委員会の権限
選抜メンバーの人事(配属、異動)及び時期の決定
当社グループの競争力の源泉は人材です。企業価値を支える優秀な人材の確保及び育成において、グループの総力を結集し「ゼロから1を作る」、「1を100にする」、「持続的に運用する」人材の特性を見極め、多様性を踏まえた一人ひとりのキャリア構築を支援し、バランスよくグループ企業に内在、連携させ、全体最適を実現することで「儲けの型」に発展させる人材育成を進めてまいります。また、ITや経営系資格を中心とした資格取得を奨励し、すでにスキルを持っている人材でも、更なる高みを目指すことや、リスキリングや学び直しを行うことで更なるスキルを身につける機会を醸成していきます。これらの人材育成は、従業員の強みの掛け算でチーム力を強化し、ビジネスモデルの組み合わせによる新規事業開発やクロスセルの拡大に寄与するよう取り組んでいきます。
人材育成における女性活躍推進策、多様性を踏まえた次世代の管理職及び経営層育成施策については以下のとおりです。
次世代の管理職及び経営層育成施策について


・2024年度~2025年度研修テーマ:「経営にまつわる知識・フレームワークの取得」
・選抜者数:管理職22名
・実践内容:2024年度社内アカデミー研修実施(事業戦略、マーケティング(コトラー理論)、財務分析(M&A)、新規事業)
AIのスキルの活用とデジタル人材育成について
急速に進展するデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代において、AIをはじめとする先端技術の活用は企業競争力の源泉となりつつあります。当社グループでは、AI・データサイエンスに関するスキルを持つ人材の育成と活用を人的資本戦略の中核に据え、デジタルNEXT'Sプロジェクトとして全社員を対象としたリスキリングプログラムを検討して参ります。
<2024年度>
・従業員向け任意受講の内製化AIリテラシー講座を継続実施
・社内のAI活用を促進し、活用事例を紹介、前期の平均活用比率はレベル別に偏りなく分散、社員の5割以上が活用
原則-1:個人/秘匿情報は入れない
文章生成AIは外部サービスに該当し、セキュリティ対策はサービス提供者に依存することから、機密情報や未公開情報を入力すると、万が一の情報漏えいにつながるリスクに備え、個人情報・秘匿情報は絶対に入力しないようにする。
原則-2:著作権に注意する
生成AIの活用においては、予期せぬ著作権侵害が生じてしまうリスクがある。
生成されたデータが、プロンプトに入力したデータや既存の著作物と同一・類似している場合は、当該アウトプットの利用が当該著作物の著作権侵害になる可能性もある
特に注意すべきシーンについて
◆ WEB URLを読み込ませて抽出した場合
◆ 画像生成を行った際に、著作権侵害にあたる画像を生成した場合
◆ 商用利用が限られている場合
原則-3:チェックし、手直しする
生成AIは全て正しい情報や、求めている品質のアウトプットが出るとは限らない。
全てを生成AI任せにせず、最終アウトプットに自身が責任を持つことが必要である。

・AI活用の促進と事例紹介を継続、社員の7割以上が利用を開始し、レベル別平均活用比率に大きな偏りはない

<2025年度>
・業務でAI実装を見据えた現状を分析、業務改善や新規サービス創出を推進
・学習成果の確認、将来の社内能力要件化に向け推奨する資格検定を検討
・「ChatGPT」、「ChatGPT4.0」、「Sateraito.AI」、「Google Gemini」を紹介して来た中で「Google Gemini」メインに活用を推進

これら施策により、従業員のスキル高度化とデジタル思考の浸透を図るとともに、個々のキャリア形成支援につなげ、持続的成長を実現する人的資本の強化に取り組んでまいります。
健康経営の推進について
当社グループでは、従業員の心身の健康が持続的な企業価値向上の基盤であると認識し、「健康経営」の推進を重要な経営課題の一つと位置づけています。従業員が安心して働ける職場環境を整備し、パフォーマンスの最大化を図ることで、組織全体の生産性とエンゲージメントの向上につなげていきます。そのため、健康経営推進体制を構築し、健康企業宣言「銀の認定」取得および健康経営優良法人認定の取得を目指し、下記の取り組みを行っています。
<当社グループの健康経営推進体制>
人事総務部長を健康経営推進リーダーとし、人事総務部門が中心となって必要な施策を実行、推進します。当該施策は、産業医や健康保険組合、各関連委員会などと連携し、全国の事業所へ展開してまいります。 なお、社内の推進体制は以下の図のとおりです。

<健康企業宣言「銀の認定」および健康経営優良法人認定に向けた具体的な取組み>
身体の健康対策
・定期健康診断の受診率約100%の推進(前期実績 893人中891人受診 ※受診率99.8%)
・血糖値の要経過観察者に対する保健指導
・婦人科疾患に関するセミナー実施および婦人科検診の金銭的補助
・35歳以上の従業員への人間ドック実施
・衛生委員会にて従業員の健康課題に関する議論を実施(月次開催)
・インフルエンザ予防接種に対する金銭的補助
・運動食生活改善を目的とした健康管理アプリの提供
・50名未満拠点へのストレスチェックの実施
・メンタルヘルス研修の実施
・法令の基準を下回る長時間労働者への産業医面談勧奨 職場環境の整備
・時間有給制度、時短勤務制度、時差出勤制度、在宅勤務制度の実施
・保育料補助手当の実施
・室内全面禁煙等、社内における受動喫煙の防止
職場の活性化
・従業員エンゲージメント調査の実施
・Thanks Point制度の実施
・クラブ活動の実施
※グループ各社ごとに一部取り組み内容が異なります
Thanks Point制度(組織を超えて感謝を伝える企業文化醸成を目的に2024年7月開始)
2024年度 全社朝礼でThanks Point付与ランキング発表、付与数上位者にAmazonギフトカードを贈呈
当社グループにおける全社的なリスク管理はリスク管理委員会にて行っておりますが、人的資本に係るリスクの識別、リスクの定量的及び定性的分析・評価、リスクへの対応計画の作成について、人材育成委員会の中で検討、実施をし、リスク管理委員会および内部統制審議会に共有いたします。また、重要なリスクは、経営ボード(経営会議)の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告しております。
当社グループでは、戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む優秀な人材確保と人材育成に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.管理職に占める女性労働者の割合は全労働者を分母にしたもの、男性労働者の育児休業取得率の割合は子供が生まれた男性労働者を分母にしたものであります。
4.従業員ワークエンゲージメントスコアは、毎年1回当社グループ共通で実施しているワークエンゲージメントを測るアンケート結果総計の最高5段階評価の平均値となります。
有価証券報告書に記載した当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、本項に記載した予測、見通し等の将来に関する事項は、提出日現在で入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(デジタルマーケティング関連事業)
b.ChatGPTをはじめとする生成AI技術の急激な発展に見られるように、当社サービスに関連する技術分野で破壊的なイノベーションが起こる中、技術トレンドを正しく先読みし、重点的開発領域・資源投下先等を適切に設定することができなければ、当社サービスが陳腐化し、技術革新に乗り遅れるリスクがあります。当該リスクの対応策として、当社グループはデジタルマーケティング領域における様々なサービス分野、技術手法に対して幅広く自社開発するとともに、生成AI技術を活用したサービス開発を行うことで、生成AIにより代替可能な分野を自ら積極的に代替させ、より高い成果が出せるサービス構築を行ってまいります。それら多様なサービスをCloud CIRCUSブランドに統合することで、仮に一つの技術やサービスの需要が縮小した場合でも、既存顧客へ他のデジタルマーケティングサービスを提案し、活用していただける仕組み作りをしています。
c.当社グループのサービスである「Cloud CIRCUS」において、クラウドコンピューティングサービスなどのツールやAPIサービスなど、欧米を中心とした海外ベンダーが提供するツールやサービスをその一部構成要素として利用するものが多数あります。海外におけるインフレを背景とした導入価格の値上がりが発生し、更に円安の影響も加わって当社における利用コストが上がる事象も発生しております。また、海外における景気後退や、海外ベンダーが関与するM&Aや事業再編等に伴うに急な方針転換等より、当社グループが従来利用しているツールやAPIの提供停止や提供体制の大幅な縮小等が発生し、従来通りの利用ができなくリスクも考えられます。こうしたリスクへの対応策として、当社グループにおいても柔軟に価格改定が可能な仕組みや体制の構築や、平時より特定のサービスからの切り替えを要する場合におけるバックアッププランの検討などを行っております。
(ITインフラ関連事業)
a.日本企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進によるオフィスの更なるペーパーレス化や、特に地方において事業所の統廃合が進んでいることに伴い、複合機及びその保守サービスの需要が漸減するリスクに加え、競争の激化により、複合機の販売価格やカウンターサービスの単価の下落、顧客が減少するリスクにより当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの対応策として、既存顧客との持続的な関係の構築に注力すると同時に、他社からの顧客の獲得活動につなげています。また、当社グループの事業において、電子ブック作成ツールActiBookの提供により、ペーパーレス化に対応したビジネスを展開しています。
b.日本政府が推進している働き方改革や、雇用者、被用者の意識の多様化、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、在宅勤務や時差出勤などのワークスタイルの多様化や、コワーキングスペース、シェアオフィス、サービスオフィス等、新しいオフィス形態の普及が進みました。この影響で、従来の一般オフィス向け通信機器の需要が減少し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの対応策として、当社グループではコワーキングスペース等の提供事業者と提携し、その利用者へ通信回線や通信機器等を提供するビジネスを展開しています。
c.複合機、ビジネスフォン等の通信機器の販売台数に応じてメーカーが仕入代金の一部を払い戻す協約リベートを仕入戻し高として計上しています。協約リベートは、通常、第2四半期及び第4四半期に行われることから、結果的に、四半期ごとの営業利益が大きく変動する傾向にあります。
d.新電力事業において、顧客へ販売する電力を主に日本卸電力取引所(JEPX)と発電事業者から調達しておりますが、その調達価格は天候や気温の影響による電力需給の逼迫や、発電燃料の枯渇や為替相場などにより変動する可能性があります。調達価格が想定以上に高騰する場合に備え、当社グループでは発電事業者等との相対取引による固定価格調達や市場価格の実態に則し電気料金に反映する仕組みの導入により、市場調達価格の変動に伴うリスクを低減しておりますが、調達価格の変動と当該変動の顧客への電気料金への反映にタイムラグが生じることによる短期的な資金収支の悪化により、当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
e.複合機、ビジネスフォン、ネットワーク機器等の情報通信機器について、メーカーや卸売業者等から仕入れておりますが、これら仕入先において、製品の生産遅延や在庫欠品の影響が生じた場合、顧客への納品遅延や受注キャンセル等が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。以前には世界的な半導体不足により、当社グループの仕入先であるメーカーや卸売業者等において、一時的に、一部製品の生産遅延や在庫欠品が発生しました。当該リスクの対応策として、複数の仕入先等と契約をしているため、代替商品への切り替えや在庫確保等により、それらの影響を最小限に留めるように努めています。
当社グループでは他社の知的財産権を侵害しているような事実はないものと認識していますが、当社グループの事業分野における他社の知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社グループが把握できていないところで他社保有の知的財産権との抵触が生じている可能性は否めず、第三者から知的財産権の侵害を理由として損害賠償又は使用差止等の請求を受けるリスクがあります。また、当社グループの提供するソフトウェアは、一部の機能について第三者より知的財産権のライセンスを受けています。当社グループでは、過去の経験や業界の慣行により、将来的にビジネスに必要な様々な知的財産権のライセンス供与を受け又は更新できると考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されないリスクがあり、これらのリスクにより当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの対応策として当社グループでは、弁理士等の専門家に相談しながら、長期的な視点に立って知的財産権を取得・活用していく方針です。特許については、自社考案の技術やビジネスモデルのうち、権利化することが必要又は有益であると判断したものについて、積極的に出願を行っていく予定です。また、商標については、会社、商品及びサービスの名称、ロゴマーク、サービスマーク等のうち、当社グループが、必要又は有益であると判断したものについて、随時、出願を行っています。
当社グループは上場株式やIT関連を中心とした未公開株式等を保有しており、株式市況の低迷や投資先の経営状況の悪化・破綻等により、保有する投資有価証券の評価額が減少し、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また未公開株式の一部は外貨建てのため、為替水準が大きく変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後も継続的に事業の拡大を目指すにあたって、M&Aを一つの選択肢として検討していく方針です。特に、ITインフラ関連事業においては、M&Aには積極的に取り組んでいます。そのための情報収集と実施にあたっては、単純にM&A仲介会社等に依存することは避け、できるかぎり対象企業経営陣と人的関係を構築したうえで、デューデリジェンスと厳密な社内手続きを経て意思決定しています。しかしながら、当社グループや対象企業の経営資源やそれらを取り巻く経営環境の変化により、当初見込んでいた買収効果が得られない、あるいは結果的に得られたとしても想定以上に時間と労力がかかってしまう可能性があります。その場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を遂行する過程でさまざまな資産に投資し、有形固定資産、ソフトウェア・のれん等の無形固定資産を保有しております。特にデジタルマーケティング関連事業においては、統合型デジタルマーケティングサービスであるSaaSツール群「Cloud CIRCUS」を拡販すべく、機能強化のための積極的なソフトウェア開発投資を行っております。これらの資産については、減損会計を適用し、経営環境や事業状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分な将来キャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失を認識する必要性が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業の遂行に必要となる顧客情報や取引先の情報資産・個人情報、技術・営業・その他事業に関する秘密情報など、多数の情報資産及びそれらを適切に扱うための情報システムを保有・管理しています。そのため、当社グループでは、これらの情報資産・情報システムの適切な取り扱い、情報を利活用するための法令順守が重要となることから、主なグループ会社にて、ISMS認証・PMS認証などの第三者認証を取得しています。また、それらを扱う従業員のセキュリティ強化のために関連諸規程の整備、定期的な教育、監査、個人情報の保護に関する法律の改正に向けた対応、外部からのサイバー攻撃への対応、有事を想定した訓練等の情報セキュリティマネジメントの徹底及びリスクの最小化に努めています。
しかし、予期せぬ情報システムや通信回線の重大な障害、経営に係る情報漏えいが発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な事象が発生した場合は、業務効率の低下、事業継続の危機、ビジネスの伸長などに困難を来すことから、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業拡大のためには、多様化、高度化する顧客のニーズに適合した的確な提案、日々進化する急速な技術革新への対応及び新規事業の開発が不可欠であり、これらに対応できる優秀な人材を適時に確保し、育成していくことが重要であると考えています。しかしながら、当社グループの事業に必要な営業スキル、専門知識、技術及びビジネスキャリア等を有する人材に対する需要は高く、必要な人材の拡充が計画どおり進まない事象が近年発生しております。
当該リスクの対応策として、当社グループでは、給与水準の引き上げを伴う人事制度の見直しや年間を通して積極的な採用活動を実施しております。加えて、ITインフラ関連事業では、麻雀採用を始めとする独自の採用手法や外国人採用による職場の多様性を推進し、デジタルマーケティング関連事業では、入社歴の浅い社員をプロダクトマネジャーや開発責任者に抜擢するなど、より魅力的な職場環境を整備しております。
一方で、必要な人材の採用、育成及び定着に当たっては競争力のある給与・福利厚生の水準に加え、採用コストや人材育成に要する研修コストが必要となり、こうした費用の増加は、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本国内に本店及び主要な支店があることにより大規模地震を始めとした大雨、洪水などの自然災害、新型コロナウイルス感染症などの重大な感染症、テロ、暴動、戦争など、その他予期せぬ事態が発生した場合、従業員、設備、システムなどへ甚大な被害や損害が発生し、事業活動に支障が生じる可能性があります。当社グループにおいては、災害対応マニュアル及びBCP(事業継続計画)の策定、安否確認システムの導入、耐震対策、防災訓練、必要物資の備蓄、時差出勤やリモートワークなどの対策を講じていますが、全ての被害や損害を完全に防止できる保証はありません。このような事態が発生した場合は、顧客への補償、売上の減少、設備・システムの修復費用計上などが生じる恐れがあり、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と異なる可能性を含んでおりますのでご留意ください。
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな景気回復基調が続く一方、物価上昇や世界経済の不確実性、個人消費の低迷といった複合的なリスクが継続し、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループは、中期経営計画の最終年度として、連結売上高と連結営業利益の過去最高更新にむけ事業を進めてまいりました。ITインフラ関連事業におきましては、オーガニック成長とM&Aによる成長の両軸で安定的な顧客基盤と収益基盤の確立ができております。また、デジタルマーケティング関連事業におきましても、引き続き「顧客を増やす・育てる」を実現するデジタルマーケティングツール 「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)」をサブスクリプションモデル(継続課金型)として提供することで、収益基盤が確立いたしました。
その結果、当連結会計年度における業績は、売上高は22,211,760千円(前期比13.5%増)となりました。
売上原価は12,243,771千円(前期比17.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費は7,230,213千円(前期比4.9%増)となりました。
その結果、営業利益は2,737,775千円(前期比19.9%増)となりました。
経常利益は、持分法による投資利益を計上したことなどにより、2,784,425千円(前期比23.6%増)となりました。
また、当連結会計年度において、保有する投資有価証券を売却したことによる特別利益を計上した一方で、保有する投資有価証券に対する投資有価証券評価損及び持分法適用関連会社である株式会社MACオフィスの持分適用除外に伴う持分変動損失を特別損失として計上いたしました。
税金等調整前当期純利益は2,788,427千円(前期比21.5%増)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は805,891千円(前期比7.4%増)となりました。上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,960,104千円(前期比26.8%増)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
<デジタルマーケティング関連事業>
当連結会計年度におけるデジタルマーケティング関連事業は、以下の通りであります。
デジタルマーケティング関連事業におきましては、統合型SaaSツール群「Cloud CIRCUS」の提供を通じて、情報発信・集客・顧客体験の向上・顧客育成・リピート促進の5つのマーケティング課題の解決を支援しております。主要プロダクトである「BowNow(バウナウ)」「COCOAR(ココアル)」「IZANAI(イザナイ)」等は、ツール単体としての利便性に加え、AIチャットサービスChatGPTとの連携やUI/UXの改善を進め、初めてデジタルマーケティングに取り組む中小企業でも導入しやすい環境を構築いたしました。当連結会計年度におきましては、2024年3月に一部SaaSプランの価格改定を実施したことにより、ストック売上の源泉となる月次経常収益(MRR)は順調に増加し、特にBowNow・ActiBook(アクティブック)等の既存ツールにおいて顕著な成長が見られました。また、ファンマーケティングツール「Metabadge(メタバッジ)」ではNFTやクイズ機能の拡充を通じたファンエンゲージメントの向上、さらに新たなWeb構築支援ツール「LP Builder(エルピー ビルダー)」によるWeb制作の受注も堅調に推移いたしました。パートナー販売につきましても、ディストリビューター経由の売上が上昇し、地方の中小企業に対するCloud CIRCUSの提供範囲を拡大し、販路の多様化を図りました。
その結果、デジタルマーケティング関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高3,868,925千円(前期比10.2%増)、セグメント利益(営業利益)694,591千円(前期比137.8%増)となりました。
<ITインフラ関連事業>
当連結会計年度におけるITインフラ関連事業は、以下の通りであります。
ITインフラ関連事業におきましては、複合機(MFP:Multifunction Peripheral)やビジネスフォンをはじめとしたオフィス環境の構築と光回線の提供やサイバー攻撃から企業を守るネットワーク環境の構築、また、LEDや新電力などの環境サービスの提供に加え、RPAツールの提供など、中小中堅企業の業務のデジタルシフトへの環境整備からデジタルトランスフォーメーションの領域にまで幅広い提供をしております。
当連結会計年度におきましては、引き続き高まるサイバーセキュリティ需要を背景にネットワーク関連機器の販売が好調に推移したほか、複合機、ビジネスフォンの販売、新電力と光コラボレーション(光回線サービス)の拡販に注力したことで堅調に売上が積み上がり、加えて、2024年4月より営業開始した富士フイルムBI奈良株式会社が計画通りに業績へ貢献するなど、通期を通じてフロー売上、ストック売上ともに堅調な成長を遂げました。
その結果、ITインフラ関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高18,335,322千円(前期比14.2%増)、セグメント利益(営業利益)1,923,354千円(前期比1.7%増)となりました。
<CVC関連事業>
当連結会計年度におけるCVC関連事業は、以下の通りであります。
CVC関連事業におきましては、K&Pパートナーズ4号投資事業有限責任組合に対して、追加投資を行いました。
その結果、CVC関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高なし(前期は売上高3,107千円)、セグメント損失(営業損失)2,807千円(前期はセグメント利益(営業利益)2,107千円)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は11,529,900千円となり、前連結会計年度末と比較して30,354千円減少いたしました。その主な内容は、現金及び預金の減少800,813千円がありましたが、その一方で、受取手形、売掛金及び契約資産の増加535,473千円、流動資産その他の増加112,417千円、棚卸資産の増加87,544千円があったことなどによるものであります。
固定資産は2,674,180千円となり、前連結会計年度末と比較して455,068千円減少いたしました。その主な内容は、投資有価証券の減少237,281千円、繰延税金資産の減少182,757千円、のれんの減少72,157千円、ソフトウエアの減少66,269千円がありましたが、その一方で、投資その他の資産その他の増加112,980千円があったことなどによるものであります。
流動負債は5,249,667千円となり、前連結会計年度末と比較して885,823千円減少いたしました。その主な内容は、短期借入金の減少700,000千円、未払金の減少195,447千円、株式給付引当金の減少140,630千円がありましたが、その一方で、買掛金の増加89,712千円、1年内返済予定の長期借入金の増加73,878千円があったことなどによるものであります。
固定負債は1,304,628千円となり、前連結会計年度末と比較して430,896千円減少いたしました。その主な内容は、長期借入金の減少420,930千円、繰延税金負債の減少9,203千円があったことなどによるものであります。
純資産は7,649,785千円となり、前連結会計年度末と比較して831,297千円増加いたしました。その主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益1,960,104千円による利益剰余金の増加があった一方で、剰余金の配当945,838千円による利益剰余金の減少、その他有価証券評価差額金の減少64,478千円があったことなどによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は6,565,756千円と前連結会計年度末と比較して800,813千円減少(前期比10.9%減)いたしました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,718,164千円の収入となりました(前期比31.9%減)。その主な内容は、税金等調整前当期純利益2,788,427千円、減価償却費の計上424,613千円がありましたが、その一方で、法人税等の支払額673,440千円、売上債権の増加535,473千円、未払金の減少170,949千円があったことなどによるものであります。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは429,344千円の支出となりました(前期比13.4%減)。その主な内容は、固定資産の取得による支出366,320千円、貸付けによる支出128,000千円がありましたが、その一方で、投資有価証券の売却による収入63,980千円があったことなどによるものであります。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは2,087,678千円の支出となりました(前連結会計年度は447,171千円の収入)。その主な内容は、長期借入れによる収入1,590,000千円、短期借入れによる収入900,000千円がありましたが、その一方で、長期借入金の返済による支出1,937,052千円、短期借入金の返済による支出1,600,000千円、配当金の支払額945,838千円があったことなどによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループにおける資金需要のうち主なものは、運転資金、設備・開発投資資金、M&A資金等であります。これらの資金は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達によるものであります。
また、株主還元につきましては、財務健全性等に留意し、配当政策に基づき実施しております。詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは事業の性質上、生産・受注の実績はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
該当事項はありません。