文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、パーパス「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」に基づき、教育事業、人材マッチング事業及び投資事業を、今後の成長をけん引するコア事業として設定しております。そして、コア事業間での連携を強化し、シナジーを創出することで、独自性のある強みを築き、企業価値の最大化を目指してまいります。
(2) 経営環境
当社グループのコア事業それぞれの経営環境は以下のとおりです。
教育事業につきましては、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を背景とするデジタル人材需要の高まりにより、デジタル人材育成及び研修サービス市場は拡大傾向にあります(※1)。また、コロナ禍において公教育及び民間教育におけるICT環境の整備が急速に進んだ結果、デジタル教育コンテンツ市場も大幅に拡大しております(※2)。
人材マッチング事業につきましては、働き方改革の推進及びコロナ禍によるリモートワークの浸透により、副業・フリーランス人口及びその経済規模はともに増加傾向にあります(※3)。
投資事業につきましては、政府が2022年に「スタートアップ5か年計画」を策定しており、5年後の2027年度に10倍を超える投資規模(10兆円規模)とする大きな目標を掲げ、官民一体でスタートアップ企業への投資の促進を進めている状況にあります。
※1 ㈱矢野経済研究所「2023年版デジタル人材関連サービス市場の現状と展望」
※2 ㈱矢野経済研究所「2022 EdTech・デジタル教育コンテンツビジネスレポート」
※3 ランサーズ㈱「新・フリーランス実態調査 2021-2022版」
㈱クラウドワークス「副業データブック2022年版」
(3) 経営戦略
教育事業につきましては、データ・AI領域への注力、運営体制の効率化により収益性を改善してまいります。
人材マッチング事業につきましては、働き方の多様化や仕事への価値観の変化により、人材紹介業の市場規模が拡大しており、今後も人材の流動性拡大が見込まれることから、前期まで取り組んできた副業/フリーランスを中心とした人材と成長企業をマッチングすることに加え、ニーズの強い正社員採用の対応を強化することで、収益基盤を構築してまいります。
投資事業につきましては、投資件数を拡大し、投資先のバリューアップに向けたハンズオン支援を強化するとともに、人材マッチング事業との連携により、投資先のニーズに合わせたデジタル人材の提供を行ってまいります。
アドテク・コンテンツ事業につきましては、各社個別の戦略で安定的な収益基盤の形成を目指してまいります。
(4)対処すべき課題
今後の対処すべき課題は以下のとおりです。
① 新規事業の成長及び新規投資の加速
市場の成熟、競争環境の高度化及び近年における生成AIの発展に代表される技術革新に伴う環境の変化をとらえ、新たなサービスへの事業投資を継続していくこと、及び、新たな価値を提供するスタートアップ企業への投資機会をタイムリーに捉えていくことが、当社グループの企業価値向上のための重要な課題であると考えております。今後も、既存事業の成長に加え、新規事業の育成を行ってまいります。
② 人材育成・組織体制の強化
持続的な成長を実現するためには、人材育成及び組織体制の強化が重要な課題であると考えております。そのため、社員のチャレンジ意欲を引き出す人事制度の導入や権限委譲の促進等の人材育成とそれを支える組織体制の強化に取り組んでまいります。
③ グループ経営における効率的な経営資源の活用
当社は、2024年3月31日時点において、13社の連結子会社(事業会社11社及びファンド2社)と1社の持分法適用会社(事業会社1社)を保有しております。グループ内各事業のシナジー効果を最大限発揮し、グループ全体の事業成長を最大化させるために、効率的に経営資源の活用を行ってまいります。
④ 内部統制及びコンプライアンス体制の整備
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、持続的な成長をしていくためには、内部統制及びコンプライアンス体制の強化が重要な課題であると認識しております。財務報告の適正性の確保、情報セキュリティの向上、個人情報の保護、リスク管理等の内部統制及びコンプライアンス体制につきまして、より実効性の高い体制となるよう適宜見直し・改善を行い、強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」というパーパスのもと、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしております。その実現のためには、持続可能な社会であることが大前提であり、株主の皆さまやお客様をはじめ、取引先、地域社会、従業員等各ステークホルダーと良好な関係を築き、長期的視野の中でグループ企業価値の向上を目指して経営活動を推進しております。
(2) 具体的な取組
取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置付け、原則月1回開催するとともに、事業経営にスピーディーな意思決定と柔軟な組織対応を可能にするため、常勤取締役が出席する常勤取締役会は必要に応じ適宜開催し、執行役員及び事業責任者等が出席する執行役員会議を原則週1回開催しております。加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会、常勤取締役会及び執行役員会議に出席することで議事内容や手続き等につき逐次確認しております。また、内部監査室を設置し、内部監査を実施し、監査結果を定期的に代表取締役社長に報告しております。
ディスクロージャーに関しましては、会社法、金融商品取引法に定められた情報開示はもとより、東京証券取引所が定める「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づく情報開示は、上場会社としての当然の責務と考えております。また、株主・機関投資家・個人投資家・顧客等に向けたIR活動も重要な企業責任であるとの認識に立っており、一般に公正妥当と認められた企業会計の基準を尊重し、監査法人のアドバイス等を積極的に受け入れ、制度としてのディスクロージャーの他、リスク情報を含めた自発的なディスクロージャーにも重点を置き、透明性、迅速性、継続性を基本として積極的な開示に努めております。
当社は、パーパス「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」にあるとおり、人が持つ意志の力や事業に込められた意志の力こそが社会を善い方向へ動かす原動力であると考え、より善い社会の実現を目指す人たちや、事業に込められた意志の力を当社の事業を通じて最大化させ、社会に前向きな成長の連鎖を生み出すことを目指しております。そのため、パーパスを実現する源泉は人的資本、即ち当社社員の意志の力を最大化することであると考え、人的資本の強化に取り組んでおります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
a. 人材育成方針
当社は、社員の意志の力を最大化するため、定期的に社員自らが意志表示を行う機会を設け、その意志を尊重したキャリア・チャレンジ機会を提供することで成長を促すことを基本的な人材育成方針としております。この方針を実現するために以下の取組を実施しております。
<社員の意志表示のための機会>
社員の積極的な意志表示を確認する機会として、四半期毎に行われる部門内面談や定性・定量面でのコンディションチェックサーベイ、半期毎に社外の有識者による第三者目線でのキャリア面談を実施しております。四半期毎の部門内面談では直属の上司と相談できる機会、半期毎に社外の有識者による第三者目線での面談機会を設けることによって、社員各々の短~長期的なキャリアについての相談や、現在の業務範囲に捉われない幅広い内容を社内外へ相談できるような体制を構築しております。
四半期毎のコンディションチェックサーベイでは、匿名によるアンケート形式の設問回答により各部門の状況やその部門に所属する社員全般のコンディションについて定性的・定量的に測定することで、社員が意志表示しやすい環境であるかどうかも確認する体制を構築しております。
このような取組を通して、社員各々が志向するキャリアプランやライフステージをもとにした柔軟な配置や、積極的な機会提供を行っております。
<評価・育成制度>
社員の成長を促進するために、四半期毎の成果評価と半期毎のコンピテンシー評価を実施しております。成果評価は、社員毎に直属の上司と相談のうえ定めた四半期目標の達成状況に応じて評価を行います。コンピテンシー評価は、社員のグレード毎に定められた定性的なコンピテンシー目標の達成状況に応じて半期で評価します。これらを組み合わせ、個人の成長を多角的に評価することで、報酬決定や昇格の判断を行います。
また、OFF-JT(Off the Job Training)での育成機会では、当社グループ各社の経営陣を講師として事業成長やキャリアについての研修を全社員向けに定期的に実施しております。
さらに、個人のスキルアップの機会として、教育事業を担うキラメックス㈱が運営する「テックアカデミー」「LINEヤフーテックアカデミー」を社内研修で活用しております。直近では生成AI領域コースの受講を推奨するなど最新スキルや情報を身に付けることができる環境を整備しております。
b. 社内環境整備方針
当社では、社員各々の働く環境や働き方への考え方が多様化している中で、人材育成方針の実現と生産性向上を目的に、働き方や福利厚生、社内制度を設定しております。
<働き方>
社員の就業場所については、生産性の向上により高い成果を創出することを目的として、部門毎に週1回のオフィス出社日を設け、それ以外は社員各々が状況に応じて出社勤務か在宅勤務を選択できる形式を採用しております。
<社内制度・福利厚生>
昨今の物価上昇もふまえ、全社員に対して自宅での業務環境整備にむけて入社時に「在宅勤務サポート費用」、在宅勤務時の水道光熱費・通信費等の負担軽減のため「在宅勤務補助」を毎月支給しています。また、通勤による疲労やストレスを考慮し、より業務に集中できる環境を提供するため、本社より半径2km圏内に居住する従業員には住宅補助手当「ご近所3(ごきんじょさん)」を支給しております。
他にも、メンタルケアは昨今重要な課題として認識しており、月1回の産業医面談に加え、オンライン上にてアバターで専門資格を保有するカウンセラーと対話ができるサービス「MentaRest」を導入し、メンタル不調時のみならずキャリア相談など幅広く活用できる環境を構築しております。
また、様々なライフイベントによる生活スタイルの変化を迎えても、安心して働ける環境をつくる活動の一環として「認可/認証外保育園補助制度」を導入しております。高額な認可/認証外保育園料の一部を会社が負担することで、待機児童への不安解消による早期復職を積極的にサポートしております。
当社は、グループ経営に関するさまざまなリスクを審議するため、執行役員会議において主要なリスクの状況について必要に応じてモニタリング、評価・分析し、グループ各社に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を必要に応じて取締役会に報告する体制を整えております。リスク管理の詳細につきましては、
④ 指標及び目標
当社では、産休・育休の取得を推奨しており、女性の育児休暇取得率、男性の育児休暇取得率ともに該当社員の発生時には100%取得し、取得した全社員が復職しております。女性の管理職(マネージャー職以上)の比率については全体の35.3%となっており、男女問わず積極的な成長機会を提供しております。また、これまで新卒採用を継続して実施しておりますが、平均勤続年数は伸長傾向にあり、2024年3月期で6.1年となっております。今後もこれらの指標についてさらなる向上を目指し、人的資本の強化に取り組んでまいります。
(注)1.「―」は該当者なし
2.当社と子会社への出向を兼務している従業員は、当社の従業員に含めて集計しております。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループの事業に関連するリスクをすべて網羅するものではありません。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の防止及び発生した場合の対応に最大限努める方針です。
① 技術革新について
当社グループが展開する各事業においては、近年における生成AIの発展など、技術分野における進歩や進化が著しく、多くの参入企業によって新技術・新サービスが常に生みだされております。
当社グループは、競争力のある製品・サービス等を提供し続けるために、スタートアップ企業との広いネットワークによる早期の情報収集及び必要に応じたM&A等を実施するなど、常に新技術等への対応に努めております。
しかしながら、何らかの要因により変化に対する適時適切な対応ができない場合には、既存事業が陳腐化し、競合他社に対する当社の競争力が低下することにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 競争の激化について
特に教育事業及び人材マッチング事業においては、デジタル人材を育成する需要が増加しているため、これらの事業に進出する会社が増加し、品質・価格・サービス競争が激化することが予想されます。当社グループは、当該リスクに対して、新規事業立ち上げ、M&A、戦略的出資などによる、事業モデルの継続的な進化・差別化を実施しておりますが、当社グループのサービス等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、品質・価格・サービス競争に適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 自然災害について
大地震、台風等の自然災害及び事故、火災、感染症の蔓延、設備の損壊や電力供給の制限、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうした自然災害等が発生した場合には、適切かつ速やかに危機対策、復旧対応を行うよう努めておりますが、これらのリスクの発現による人的・物的損害が甚大となる場合は、事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。
(2) 教育事業に関するリスクについて
当社グループの教育事業は、デジタルトランスフォーメーション(DX)により拡大するデジタル人材及びサービス需要に対し、プログラミング等の教育機会の提供によりデジタル人材を育成することで、利益の拡大を図ってまいります。しかしながら、事業拡大に必要な技術・経験を有する十分な人材確保が困難となった場合及び主要な供給先の業績不振等により研修ニーズが減退した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 人材マッチング事業に関するリスクについて
当社グループでは、人材マッチング事業の中期的な成長に向けて、他事業にて創出される利益を継続して先行投資していく方針ですが、これらによりシステム投資、広告宣伝などの追加的な支出が発生し、短期的に利益率が低下する可能性があります。また、予測とは異なる状況が発生し事業の拡大が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、人材マッチング事業においては、事業を拡大させていくために、企業にマッチングするハイスキル人材を継続的に獲得していく必要があります。当社グループにおいては、エンジニアや人事などのハイスキル人材を獲得するために積極的なマーケティングを行っておりますが、今後、他社との獲得競争が激化した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループの人材マッチング事業では、契約先の企業から受託した業務を外部のデジタル人材に再委託しており、このような事業はその特性上、偽装請負とみなされるリスクがあります。そのため、労務管理及び事業運営上の独立性が担保されるよう体制を整えておりますが、内部管理の不備等により法令等違反行為が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 投資事業に関するリスクについて
当社グループの投資事業は、投資先企業の株式公開などによって株式市況等の影響を受ける有価証券の取得及び保有をしております。当社グループでは、投資の実行に当たり、必要な審査手続きを経た上で投資判断を行っておりますが、投資後における投資先企業の業績悪化や経営上の問題発覚等による保有有価証券の評価損の計上等によって、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、保有するスタートアップ企業の株式等については、株式公開後の株価水準や株式市場動向等を勘案しつつ、段階的に売却することにより投資回収を図ることがありますが、価格下落や流動性の低下により想定どおりの売却ができない場合や、各証券取引所が定めた継続保有の義務付けや投資先企業との契約等により売買等が制限される場合には、収益の最大化が図れない可能性があります。
加えて、当社グループでは創業初期の企業に対する投資については投資から売却による投資回収までの期間が長期にわたる傾向にあり、株式公開や他の事業会社等への譲渡等の実現時期を正確に予測することは困難であるため、その実現を保証するものではありません。
(5) アドテク・コンテンツ事業に関するリスクについて
当社グループのアドテク・コンテンツ事業は、個人のプライバシー権を尊重しつつ、インターネットユーザーのCookie情報や独自の識別子を用いた情報等を使用し、ユーザーに有益なサービスの提供を実現しております。しかし、今後は越境データに関する国際ルールの整備などに伴い、個人情報の取り扱いに関する法律等の変更が行われる可能性があり、かかる場合には当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
また、アドフラウド等の不正な広告表示、錯誤を誘発する広告表示及び法令や公序良俗に反するコンテンツを掲載するインターネットメディアへの広告配信等に対して、独自の基準を設け規制及び管理をしております。しかしながら、予期せぬ要因によりこれらの対応に不備が生じた場合、顧客への損害補填の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループでは広告代理店、アドネットワーク事業者、及び、DSP事業者を介した広告配信を行っておりますが、当該事業者の方針、事業戦略の転換等により、広告配信の継続が困難になる可能性や、取引条件が変更された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) コンプライアンスに関するリスクについて
① 法的規制について
当社グループが行う人材マッチング事業は有料職業紹介事業をその一部に含んでおり、「職業安定法」の規制を受けております。また、投資事業の投資活動は「金融商品取引法」、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」の規制を受けております。
その他、当社グループの事業は、「不当景品類及び不当表示防止法」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」、「下請代金支払遅延等防止法」、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等の各種法令のほか、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。当社グループは、内部統制システムに関する規程を定め、コンプライアンス体制の強化及び整備に努めておりますが、法令の制定や改正、新たなガイドラインや自主規制ルールの策定又は改定が行われることにより、当社グループの事業が新たな制約を受けたり、又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に重大な影響を与える可能性があります。
② 訴訟リスク、取引上のトラブルについて
当社グループでは、当連結会計年度末時点において、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はないものの、今後のグループ各社の事業展開による訴訟リスクを完全には否定することは困難です。
当社では、事業ごとのリスク管理、内部管理体制の構築、顧問弁護士との連携、適切な保険への加入等といった対応をとっておりますが、万が一リスクが顕在化した場合、訴訟の内容及び金額、訴訟が提起されることによる当社グループの社会的な評価の低下、事業の全部又は一部の継続が困難となる等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループの事業は、企業秘密や個人情報を取り扱っております。教育事業、人材マッチング事業、アドテク・コンテンツ事業はサービスの利用者個人情報、投資事業は投資先の企業秘密を取り扱っております。
当社グループは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、情報システムのウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。
しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウェアの不具合、コンピューターウイルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等当社グループの予測不可能な要因によって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性は皆無とはいえず、これを理由に法的紛争に巻き込まれる可能性又は当社グループの信用が低下する可能性があり、かかる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権に関するリスク
当社グループは、インターネット業界における技術革新、知的財産権ビジネスの拡大等に伴い、知的財産権の保護に努めるとともに、当社グループの役職員による第三者の知的財産権の侵害が発生しないよう、啓蒙及び社内管理体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、万が一、第三者の知的財産権等を侵害した場合には、当社グループが第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受け、解決までに多額の費用と時間がかかり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。また、将来当社グループによる特定のコンテンツ又はサービスの提供若しくは特定の技術の利用に制限が課せられ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な拡大にはコーポレートガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。
当社は、管理部門の人員の充実を図るとともに、内部通報制度の整備、社内研修による啓発等の実施により、内部管理体制の充実に努めております。しかし、事業の急速な拡大や事業内容等の変更により、事業規模に適した内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの経営に影響を与える可能性があります。
(7) 当社グループが行うM&Aについて
当社グループは、コア事業間の連携強化やグループ事業構成の最適化を図ることを目的として、他社の買収や合併、グループ会社の売却や合併等を行う場合があります。実施に際しては十分な調査等を行いますが、その後の市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた効果を得ることができず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、特に、新規事業領域に関しては、M&Aによりその事業固有のリスク要因が加わる可能性があります。
(8) 人的資源について
当社グループの取締役及び執行役員は、経営戦略の立案・決定や事業開発等において重要な役割を果たしております。このため、現在の取締役及び執行役員が当社グループから離脱するという事態になった場合には、当社グループの経営に大きな影響を与える可能性があります。
また、当社グループが今後さらなる成長を遂げるには、優秀なリーダーシップ人材及びスペシャリスト人材を確保していくことが重要であり、採用・育成の強化や独自の人事制度の構築に力を入れておりますが、今後退職者の増加や採用の不振等により優秀な人材が確保されない場合、また育成が期待する成果をもたらさない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(9) 会計基準の変更について
近年、会計基準に関する国際的なルール整備が進む中で、当社グループは基準の変更等に対して適切かつ迅速な対応を行ってまいりました。しかしながら、将来において会計基準や税制の大きな変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付けが5類に移行したことにより、経済活動の制限が緩和されるなど回復の兆しをみせた一方、不安定な国際情勢の中で原材料価格やエネルギー価格が高騰するとともに、急激な為替の変動により物価が上昇するなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループは、パーパス「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」に基づき、教育事業、人材マッチング事業及び投資事業を、今後の成長をけん引するコア事業として設定しております。そして、コア事業間での連携を強化し、シナジーを創出することで、独自性のある強みを築き、企業価値の最大化を目指してまいります。
具体的なコア事業間の取組として、教育事業でデジタル人材を育成し、人材マッチング事業において、育成したデジタル人材と投資事業における投資先スタートアップ企業のマッチングを行うことで、投資先のバリューアップを図ってまいりました。
なお、当連結会計年度より、コア事業を明確化するため、報告セグメントを従来の「DXプラットフォーム事業」、「インベストメント事業」、「アドテクノロジー事業」、「コンテンツ事業」から「投資事業」、「教育事業」、「人材マッチング事業」、「アドテク・コンテンツ事業」の4区分に変更しております。
a. 財政状態
(資産)
当連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,573,274千円減少し、26,745,079千円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・現金及び預金は、投資先株式を売却した一方、投資事業における新規投資等により、前連結会計年度末に比べ385,648千円減少しております。
・営業投資有価証券は、投資先株式の売却及び時価評価により、前連結会計年度末に比べ3,399,981千円減少しております。
・のれんは、ONX㈱の株式取得があった一方、減損損失の計上等により、前連結会計年度末に比べ828,992千円減少しております。
・デリバティブ債権は、投資先株式の時価評価及び期間満了によるデリバティブ契約の一部終了により、前連結会計年度末に比べ流動資産は320,456千円増加し、投資その他の資産は2,088,959千円減少しております。
・投資その他の資産は、投資有価証券の取得があった一方、上記デリバティブ債権の減少があったため、1,198,482千円減少しております。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,466,730千円減少し、3,204,575千円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・未払法人税等は、投資先株式の売却等による課税所得の発生額が前期比で減少したため、前連結会計年度末に比べ551,222千円減少しております。
・繰延税金負債は、投資先株式の時価評価及び期間満了によるデリバティブ契約の一部終了により、前連結会計年度末に比べ1,749,059千円減少しております。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,106,544千円減少し、23,540,504千円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・利益剰余金は、主に次の要因により、前連結会計年度末に比べ976,762千円増加しております。
・親会社株主に帰属する当期純利益2,366,296千円の計上
・剰余金の配当による1,389,534千円減少
・その他有価証券評価差額金は、投資先株式の時価評価及び期間満了によるデリバティブ契約の一部終了により、前連結会計年度末に比べ3,020,280千円減少しております。
・繰延ヘッジ損益は、投資先株式の時価評価及び期間満了によるデリバティブ契約の一部終了により、前連結会計年度末に比べ1,226,988千円減少しております。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、投資事業において保有先株式の売却を前期比で抑制したこと等により、売上高は12,573,853千円(前年同期比4.3%減)、営業利益は4,859,577千円(前年同期比16.6%減)、経常利益は4,829,789千円(前年同期比17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,366,296千円(前年同期比42.8%減)となりました。
事業別の経営成績は以下のとおりとなります。
年度別営業利益又は営業損失(△)の推移
当連結会計年度における各セグメントの概況は、以下のとおりであります。
(a) 投資事業
投資事業は、シード/アーリーステージを中心としたスタートアップ企業への投資を行っております。
当連結会計年度は、保有先株式の売却を前期比で抑制したこと等により、売上高は6,635,741千円(前年同期比5.6%減)、セグメント利益は5,924,120千円(前年同期比10.5%減)となりました。
(b) 教育事業
教育事業は、オンラインプログラミング教育事業を運営するキラメックス㈱により構成されています。
当連結会計年度は、売上高は1,249,680千円(前年同期比0.2%減)と前期とほぼ同水準になりましたが、開発費等の原価の削減を進めた結果、セグメント損失は100,450千円(前年同期はセグメント損失112,179千円)と前期比で赤字幅が縮小しました。
(c) 人材マッチング事業
人材マッチング事業は、副業マッチング事業を運営するカソーク㈱、採用支援事業等を運営するイノープ㈱、デザイナー特化型マッチング事業を運営する㈱リベイス及び人事特化型マッチング事業を運営するONX㈱により構成されています。
当連結会計年度は、前期及び当期に実施した4件のM&Aの影響により、売上高は517,190千円(前年同期比7.4%増)となりましたが、中核事業であるカソーク㈱の体制強化に伴うコストの増加により、セグメント損失は421,045千円(前年同期はセグメント損失346,198千円)となりました。
(d) アドテク・コンテンツ事業
アドテク・コンテンツ事業は、ウェブ広告領域における広告プロダクトの運営や、スマートフォン向けアプリやウェブサイトを通した様々なサービスを提供しており、ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ㈱、フォッグ㈱、㈱インターナショナルスポーツマーケティング、及び㈱ブリューアスにより構成されています。
当連結会計年度は、アドテクノロジー事業において、前期上期に広告予算が集中した反動により、売上高は4,188,492千円(前年同期比4.6%減)、セグメント利益は432,555千円(前年同期比24.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は12,985,094千円となり、前連結会計年度末に比べ385,648千円減少しました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,085,441千円(前年同期は3,947,418千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上4,059,737千円、営業投資有価証券の増加額813,381千円及び法人税等の支払額2,214,075千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,134,441千円(前年同期は839,095千円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,000,000千円、無形固定資産の取得による支出147,636千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,336,647千円(前年同期は1,903,106千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額1,386,807千円によるものであります。
a. 生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績
受注確定から売上日までの期間が短期間であり、期末日現在の受注残高が年間売上高に比して僅少であるため、その記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額は、セグメント間の内部売上高を除いております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
a. 財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
b. 経営成績の分析
当社グループにおきましては、パーパス「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」に基づき、教育事業、人材マッチング事業及び投資事業を、今後の成長をけん引するコア事業と位置付け、事業の成長及び収益性の改善に取り組んでまいりました。
これらを踏まえた当連結会計年度における経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度における売上高は12,573,853千円(前年同期は13,140,387千円)、営業利益は4,859,577千円(前年同期は5,823,789千円)となりました。
これは主に、投資事業において保有先株式の売却を前期比で抑制したこと等によるものであります。
セグメント別の売上高及び営業利益の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,366,296千円(前年同期は4,139,372千円)となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
c. 今後の見通し
2025年3月期は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化などの地政学上のリスクに加え、地政学上のリスクに伴うエネルギー価格の高騰や、円安の進行による物価の上昇など、依然として先行きが不透明な状況が続くことが予想されます。
2025年3月期においても、「教育事業」、「人材マッチング事業」及び「投資事業」を今後の成長をけん引するコア事業として設定し、各コア事業を通じて、社会課題の解決に取り組んでまいります。また、その他の事業につきましては、「アドテク・コンテンツ事業」として、引き続き各事業個別に戦略を策定し、利益創出に努めてまいります。
教育事業につきましては、データ・AI領域への注力、運営体制の効率化により収益性を改善してまいります。
人材マッチング事業につきましては、働き方の多様化や仕事への価値観の変化により、人材紹介業の市場規模が拡大しており、今後も人材の流動性拡大が見込まれることから、前期まで取り組んできた副業/フリーランスを中心とした人材と成長企業をマッチングすることに加え、ニーズの強い正社員採用の対応を強化することで、収益基盤を構築してまいります。
投資事業につきましては、投資件数を拡大し、投資先のバリューアップに向けたハンズオン支援を強化するとともに、人材マッチング事業との連携により、投資先のニーズに合わせたデジタル人材の提供を行ってまいります。
また、アドテク・コンテンツ事業につきましては、引き続き各社個別の戦略で、安定的な収益基盤の形成を目指してまいります。
a. キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、現時点においては、十分な流動性を確保しているものと認識しております。
なお、今後も規律を保ちつつ、継続して新規事業創出や既存事業の成長加速のための事業投資を行っていく方針です。原則として、自己資金及び営業投資有価証券の売却を中心とした営業活動によるキャッシュ・フローを充当していく方針でありますが、さらなる資金需要が発生した場合には、金融機関からの調達も含め、適時適切に対応を行ってまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としており、特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な情報を及ぼすと考えております。
a. 株式等の評価
当社グループは、株式等の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的として株式を保有しております。当社は、投資による利益の獲得が見込めないと判断した場合に株式等の減損処理を実施しております。
市場価格のない株式等以外のものにつきましては期末時価が帳簿価額を50%以上下回った場合に、また、市場価格のない非上場株式等の評価については、投資先企業の1株当たりの純資産額に超過収益力を反映させたものを実質価額とし、当該実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。
なお、超過収益力については、投資先の事業進捗及び資金調達実績等を踏まえて毎四半期ごとに判断しておりますが、投資先の経営環境の変化や事業進捗の状況により見直しが必要となった場合には、経営成績に影響を与える可能性があります。
なお、株式等のうち、投資事業に属するものから生じる損失につきましては、損益計算書において、売上原価へ表示しております。
b. 減損損失
当社グループは、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
c. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画及び将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基にいわゆるタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
将来の業績及び課税所得実績の変動により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。
スマートフォン・タブレット端末向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約
該当事項はありません。