第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「超悦」を経営理念とし、人と技術をつなぎ、お客様に満足を超える感動と悦びを与える商品・サービスの提供を通じて、投資家や株主の方に期待を持っていただける会社作りを目指しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、中長期的な経営課題として、事業収益力の強化と投下資本に対する収益率の向上を目指して取り組んでおります。

 2024年9月18日に発表した中期経営計画(2025年6月期から2027年6月期まで)において、最終年度の目標とする経営指標は、連結業績においては、営業利益400百万円、ゲーム事業においては、セグメント利益600百万円、モバイル事業においては、セグメント利益100百万円としております。

 当期(2025年6月期)は、計画期間の1年目にあたり、上記最終年度の目標値に向けた計画推移として、連結営業利益100百万円を目指していたなかで、51百万円の結果となりましたが、モバイル事業においては、新規出店など店舗運営ビジネスの拡大を進め、セグメント利益の目標である100百万円を計画初年度で達成し、ゲーム事業においては、厳しい事業環境が続き減収となるなか、セグメント利益236百万円を確保いたしました。

 次期(2026年6月期)以降については、モバイル事業においては、引き続き店舗運営ビジネスの拡大により更なる利益伸長に取り組み、ゲーム事業においては、開発・運営サポート分野では翻訳やソーシャルリスニング等の海外対応業務の拡大、開発分野では企画提案型の開発人材の育成及び人材層の底上げ、並びにAI活用によるクオリティ向上に取り組み、最終年度の目標達成を目指してまいります。

 

(3)中長期的な経営戦略

 当社は、事業ポートフォリオ戦略において、ゲーム事業とモバイル事業の2つのセグメントで構成しております。ゲーム事業については、ゲームの企画・開発を通じてクリエイターが持つ創造性を価値あるコンテンツとして世に送り出すとともに、クリエイターが開発に集中し国内外へ配信できる体制をサポートする分野へと領域を広げていっております。モバイル事業については、スマホ市場の成熟下において既存店舗の収益性の維持・向上に取り組むだけでなく、新たな拡大戦略として、地域に密着した店舗運営ビジネスのノウハウと人材を活かした新規出店機会の探索を進めております。

 

 ゲーム業界におきましては、コロナ禍の反動が残りつつもアプリゲーム市場はその規模を維持しておりますが、隙間時間における可処分時間を巡る競争に晒されており、一定規模のユーザーの継続プレイにまで至れる新規タイトルのハードルは上がっております。開発費が高騰するなか、ゲーム設計や長期的なコンテンツの提供の仕組みと合わせて、収益予測の精度を高めるマーケットアプローチが重要となってきております。コンシューマー市場では、新ハードの発売とともにヒットタイトルも登場し、市場規模は拡大しております。世界の市場規模においては、ハードの普及とともにコンシューマー市場が拡大していくなかで、それと同規模以上にPCゲーム市場も拡大しております。大型から小規模のものまで多様なインディータイトルのリリースが増加しており、引き続き市場は拡大していくものと予想されておりますが、タイトル数の増加により競争は激化しており、認知を獲得するための取り組みが重要性を増しております。

 このような環境のなか、当社ゲーム事業におきましては、海外市場を踏まえたゲーム作りや各種プラットフォームへ展開するノウハウの蓄積に取り組んでまいります。人材面においては、技術的なスキルの向上だけでなく、各種開発チームを率いるコア人材の育成やゲーム開発全体に関わる機会の確保によってクリエイターの底上げを行い、企画提案型の営業を強化してまいります。また、技術開発を通じて品質向上の自動化支援を実現し、職種やスキルの細分化を抑えるとともに、創造的活動と密接な開発フローを目指していきます。

 

 携帯電話市場におきましては、オンラインの普及に伴って、店舗数の最適化の動きは続いております。端末価格は円安や物価高から上昇傾向にありますが、値引き規制の上限の引き上げや各通信事業者による機種変更の施策が強化されるなか、買い替え需要の高まりもあって、出荷台数は回復しております。2025年度もこの回復傾向は続くと予想されております。また、AIスマートフォンの新たな体験も購買動機の向上に繋がっており、加えて、衛星直接通信のサービスの開始及び対応端末の拡大も新たな通信体験への期待を高めております。

 このような環境のなか、当社モバイル事業におきましては、キャリアショップ部門においては、AIスマートフォンが持つ魅力の訴求や新たな値引き規制に沿ったプランの紹介などを通じ、新規獲得および買換え促進を図るとともに、各種イベント開催による顧客接点の強化に取り組んでまいります。また、継続的に安心して店頭サポートを受けていただくためのサービスプランの訴求にも取り組んでまいります。販売店部門については、キャリアショップ同様にAIスマートフォンの魅力などを訴求することに加え、地域密着を生かした自主企画イベントなどで来店誘致に取り組んでまいります。また、ショップ運営で培った経験と人材を活かし、店舗運営ビジネスと親和性のある周辺分野を探索し、収益拡大を目指してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

 ゲーム事業においては、開発案件の予算規模が増大するなか、タイトルの厳選が強まっております。これに伴って、開発人材に求められる要求水準も上昇しており、大型プロジェクトをディレクションできる人材やチームを率いることができるコア人材の育成の重要性が増しております。また、開発費の抑制と品質の両立が必要となるなかで、少数精鋭チームの組成力が求められております。モバイル事業においては、オンライン販売が普及し、実店舗の競争が激しくなるなか、人材確保のハードルも上がっております。

これらの状況を踏まえ、以下のとおり取り組んでまいります。

 

 人的資本経営の観点から特にゲーム事業においては、ゲームコンテンツという無形資産の創出に対して対価を得ており、その源泉は人的資本にありますが、これによって獲得する会計上の価値は、主にセグメント利益(営業利益)になります。しかしながら、当該数値のみに傾注した場合、会計上において必ずしも反映されない知的財産等の無形資産の獲得機会を逸する可能性があり、当社グループの人的資本価値を最大限に引き出していく経営方針及びその遂行を計画に落とし込み資産の最大化に繋げられるマネジメント体制が重要となります。そのため、営業利益等の指標を重視しながらも、併せて財務諸表上の数値に表れない人的資本による投資を促進するとともに、その資産的価値の把握を強化するなど、当社グループのゲーム事業に即した人的資本経営の取り組みを推進してまいります。

 

 モバイル事業においては、スマホ販売市場が飽和し、オンライン化が進展する状況において、継続的な収益源の拡大が課題であります。人材の採用や教育プログラムの強化など人的投資を積極的に進め、組織の活性化と人材層の充実を通じて、顧客満足度を高め、オンラインや競合店舗との差別化を図ってまいります。また、店舗運営で培ったノウハウを活かし、既存店舗との人材シナジーがあり、収益性の期待できる店舗型ビジネスの拡大に取り組んでまいります。

 

 当社グループの長期的な発展のため、将来的に高い成長性や収益性が見込める新規事業への挑戦や新しい収益モデルの探求、付加価値を生み出し高めていく土壌の醸成は重要な課題であります。小規模且つ迅速な投資による仮説検証の実践に取り組むとともに、グループ全体のリスク管理体制の下で投資リスクがコントロールされるように意思決定の仕組みを整備してまいります。

 

 人材の育成と保持に関して、ゲーム事業及びモバイル事業ともに人的資本が要となっていることから、将来成長が期待できる人材の獲得及びコア人材の育成と保持は重要な課題であります。各事業分野での職業人としての能力開発や成長機会の充実を図ることによって、自社で働く魅力を高めてまいります。また、採用競争力の向上のため、組織体制の見直しも含めた業務改革と生産性向上によるコスト構造の改善を進めながら、メリハリのある給与水準の設計や人事制度を検討していきます。加えて、早期にチームの一員として有機的に繋がり、高いパフォーマンスを発揮すると同時に、キャリアとしての専門性を高められるよう、効果的な人材育成の仕組みづくりに取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、サステナビリティを巡る取組の基本的な方針について、次のとおり定めております。

 「当社は、社会・環境と調和をもった持続的な成長のために環境負荷の増加を伴わない付加価値を創出します。技術的・職業的スキルの獲得と生産性の向上により、多様な人々に対して仕事を通じた社会参画の機会を提供し、誰一人取り残さない社会の実現を目指します。」

 サステナビリティ関連のリスク及び機会に関するガバナンス体制は、当社取締役会が、当社のサステナビリティを巡る取組の基本的な方針及びサステナビリティに関するリスク管理を通じて把握したリスクと機会に基づき、サステナビリティに関する取組みを評価し、対応方針や施策の実施状況について監督します。

 当社グループは、この基本的な方針に沿って、当社グループが持続的に成長するため、知的財産の保護と秘密情報の管理を徹底するとともに、付加価値の継続的創出のため、個人の人的資本を高め、その能力を効果的に発揮できる環境の整備に取り組みます。

 

(2)戦略

 当社グループの主な事業であるゲーム事業及びモバイル事業ともに、人材が有するスキルや知識を基に提供するサービスや生み出す無形のコンテンツが価値を創出していることから、優秀な人材の獲得及び保持並びに能力の開発が持続的な成長に欠かせない要素であります。当社グループは、新卒・中途にかかわらず、常に優秀な人材の確保に取り組んでおります。

 また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関して、次のとおり定めております。

 「当社は、管理職への登用等において、候補者の性別・年齢・国籍等によって優遇することなく、求められる能力・知識・経験等に基づいて登用等を行います。候補者の評価が拮抗した場合は、多様性の拡大を重視します。人材育成においては、全社員を対象とした研修に加え、本人の希望によって選択可能な研修を用意し、機会の提供を確保します。また、多様性の確保に向けて、ライフイベント等が人材登用やキャリア形成に対する志向の阻害要因となることのないよう、多様な働き方の実現に取り組みます。」

 

(3)リスク管理

 毎年、事業環境を取り巻く外的要因及び内的要因等の視点からSWOT分析を行い、リスク及び機会を識別し、その影響を評価し、重要性に応じて対応方針を定め、経営方針や事業戦略の決定に用います。

 識別したリスクの評価及び管理に関しては、一般的なリスクについては、全従業員対象のリスク管理教育を通じてリスク低減を図ります。事業遂行上で発生するリスクや事業特性上のリスクについては、速やかな報告により適時に把握する体制を構築するとともに、将来リスクの回避や軽減のための事前対策に取り組みます。具体的な取り組みとしては、重大な損失リスクに関する報告体制の整備・運用、知的財産権等の保護及び侵害リスクに関する予防教育、社会的な規範・モラル等を含めたコンプライアンス教育の徹底、技術進歩のフォローや先端的なゲーム体験の提供を可能にする研究開発投資の継続などであります。

 識別した機会の評価及び管理に関しては、機会を捉えるための時間軸と機会が存在する事業ドメイン軸とで分類して評価及び管理を行います。既存事業の枠組み内に関する機会については、短期的な機会は単年度の事業計画を策定するなかで、評価と対応策を議論し、事業戦略の決定に用います。長期的な機会は、中期経営計画のなかで事業方針として定め、毎年その進捗を確認し、再評価を行います。事業ポートフォリオ戦略に関する機会については、当社取締役会にて取り扱い、必要に応じて経営陣を交えたワーキンググループの開催を行い、毎年その進展状況について確認し、再評価を行います。

 

 

 

(4)指標及び目標

 人的資本(人材の多様性を含む)に関する測定可能な目標に関する指標について、当社グループ各社の業種や業務内容の違いにより重要となる多様性の指標は異なってくるものと考えており、また、業務内容や応募者の志向性等による偏りが見られるものの、性別に関わらず人材を惹きつけ、活躍する職場を目指すことは企業の強靭性や継続性の向上に共通するものであるとの認識から、女性管理職に関する指標を2023年6月末より設定しております。

・管理職の性別多様性に関する指標及び目標

 無期雇用者に占める女性の割合に対する管理職に占める女性の割合の比率を指標とし、この比率が100(%)に近づくことを目標とします。管理職の基準については、当社グループ各社の実態を踏まえつつ、横断的に集計できるよう、原則として女性活躍推進法における管理職の考えに沿った基準を採用しております。

(2025年6月30日現在)

 

無期雇用者に占める女性の割合

管理職に占める女性の割合

各割合の比率(%)

ゲーム事業

29.2

16.1

55.2

モバイル事業

40.6

12.0

29.5

連結

30.5

16.6

54.3

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ゲーム事業について

① 受託開発について

 当社グループのゲーム事業において、販売先から得るゲームソフトの企画・開発の対価は、受託開発業務の進行にあわせて受け取る開発売上と、販売先からユーザーへのゲームソフト販売数量等に基づき受け取るレベニューシェア収入からなります。開発売上については、市場動向や制作工程の事後的な変更などにより、販売先からゲームソフトの納期や仕様に変更の要請があった場合には、それに伴い売上の計上時期や金額が変わることがあります。当社グループでは、ゲームソフトの制作工程管理を適切に行い、受託開発契約に則した納品を行うよう努めておりますが、当初計画した見積と差異が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外部クリエイターへの依存について

 当社グループのゲーム事業では、ゲームコンテンツの制作に関し、一部の業務を外部クリエイターに委託しております。当社グループでは、特定の外部クリエイターへの依存度を低下させるため、複数のクリエイターに委託業務を分散させ、また当社グループ内に制作部門を設け外注依存の低減を図ることで制作リスクの軽減を図っております。しかしながら、クリエイターとの契約内容の見直しや契約解除がなされる等、不測の事態が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 受託開発契約の履行義務の充足に係る収益認識及び損益管理について

 当社グループのゲーム事業において、モバイルゲームやコンソールゲーム等の受託開発契約に係る収益は、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短いものを除き、一定の期間にわたり履行義務は充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度は案件の原価総額の見積りに対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。

 受託開発契約に係る収益は、受注総額及び原価総額の見積りに大きく依存しているため、受注時の見積りと実績が乖離し当初想定より収益が悪化した場合、既に計上した収益を遡って見直し損失計上することになります。また、仕様変更や開発期間の延長が生じた場合に追加で発生したコストについて、発注元に請求できない可能性やその負担を巡り係争が生じる可能性があります。

 当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、受注時の見積りと受注後の進捗管理を適切に行うとともに、原価総額の見積りに一定割合以上の変動があったときはその修正を速やかに行っており、売上高計上額には相応の精度を確保していると判断しておりますが、適切な対応が遅れた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 販売先の政策について

 当社グループのゲーム事業において、販売数量等に基づくレベニューシェアを収受しております。レベニューシェアの取引条件は、販売先が実施するプロモーション活動やコンテンツを販売する国または地域により大きな影響を受けます。このように、当社グループの収入額や収入のタイミングは、販売先の政策の変更により大きな影響を受け、その結果によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)モバイル事業について

① 移動体通信事業者からの受取手数料について

 当社グループのモバイル事業は、移動体通信事業者が提供する通信サービスの利用契約の取次を行うことにより、移動体通信事業者から一次代理店を通じて、契約取次の対価として手数料を収受しております。受取手数料の取引条件は、移動体通信事業者によって異なっており、移動体通信事業者の経営方針の変更等により取引条件の変更が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 販売代理店契約について

 当社グループのモバイル事業は、移動体通信事業者の一次代理店との間で販売代理店契約を締結し店舗運営を行っております。そのため、売上の大半は販売代理店契約先である一次代理店となります。販売代理店契約は、一次代理店と当社子会社の双方が契約継続に同意する限り、1年毎に自動更新されます。但し、当社子会社に営業停止等、所定の事由が生じた場合や当社子会社の株主構成または経営主体に重大な変更等があった場合は、一次代理店は当社子会社との販売代理店契約を解除できる旨が定められております。当社グループでは、販売代理店契約が何らかの理由で継続されなかったり、解除されるような事態が発生した場合、または取引条件が変更された場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)全社共通リスクについて

① 情報漏洩リスクについて

 当社グループは、個人情報や機密情報を取扱っており、そのため情報管理体制の強化及び社員教育の充実による漏洩防止に努めておりますが、当該情報が漏洩した場合、顧客等からの損害賠償請求や信用失墜等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② M&A、資本業務提携について

 当社グループは、M&Aや資本業務提携を既存の事業を補完・強化するための有効な手段の一つと位置づけ、その可能性を常に検討しております。しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した戦略的投資効果を得られない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、M&Aや資本業務提携の実行に際しては、対象企業の財務内容や契約関係等について綿密なデューデリジェンスを行うことで、極力リスクを回避するように努めておりますが、実行時に見込んでいた将来計画を著しく下回った場合は、M&A等に伴い計上されるのれん等の資産について減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人材の確保・育成について

 当社グループでは、事業運営及び事業拡大を進めていくにあたり、高度な技術力やノウハウを兼ね備えた優秀な人材を確保する必要があります。そのため、人員増強及び教育に努めておりますが、十分な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇による消費者マインドへの影響やアメリカの通商政策の動向などによる下押しリスクが存在しておりますが、物価の安定と成長型経済を目指す各種政策が進められるなか、緩やかに回復しております。

 

 ゲーム業界におきましては、各種余暇産業の回復や動画配信業界の成長などで可処分時間を巡る競争に晒されております。モバイルゲーム市場では、カジュアルゲームや有名IPのタイトルなどがリリースされ、ゲームアプリのダウンロード数は増加しております。コンシューマー市場では、ハードの普及が落ち着き、市場規模は前年より減少して推移しましたが、次世代機が発売され注目されております。世界の市場規模においては、ハードの普及とともにコンシューマー市場が拡大していくなかで、それと同規模以上にPCゲーム市場も拡大しております。大型から小規模まで多様なインディータイトルのリリースが増えており、引き続き市場は拡大していくものと予想されております。

 

 モバイル業界におきましては、端末価格は円安や物価高から上昇傾向にありますが、値引き規制の上限の引き上げや各通信事業者による機種変更の施策が強化されるなか、買い替え需要の高まりもあって、出荷台数は回復しております。2025年度もこの回復傾向は続くと予想されております。

 

 このような事業環境のなか、当社は、ゲーム事業におきましては、プロジェクトマネジメントの強化と新規案件の獲得に取り組んでまいりました。モバイル事業におきましては、効率的な店舗運営に努めるとともに、サポートサービスの獲得など収益機会の拡大に取り組んでまいりました。

 

 この結果、当連結会計年度の連結業績につきましては、以下のとおりです。

 

 売上高は、ゲーム事業においては、前期に開発体制のピークを過ぎた案件があることや運営及び運営サポートを行う案件の体制縮小により、減収となりました。モバイル事業においては、主に新規出店した店舗の収益寄与により、増収となりました。この結果、売上高は、9,107百万円と前年同期と比べ590百万円(6.1%減)の減収となりました。

 

 営業利益及び経常利益は、ゲーム事業におきましては、当期に開発体制が拡大した案件や自社開発・発売タイトルによる業績寄与があったものの、前期に開発体制のピークを過ぎた案件による減収影響や運営及び運営サポートを行う案件の縮小等の影響から、減益となりました。モバイル事業におきましては、新規出店した店舗の利益寄与に加え、既存店も順調に販売台数を伸ばしたことにより、増益となりました。この結果、営業利益は、51百万円と前年同期と比べ51百万円(50.2%減)の減益となり、経常利益は、31百万円と前年同期と比べ64百万円(67.2%減)の減益となりました。

 

 親会社株主に帰属する当期純利益は、31百万円と前年同期と比べ243百万円(88.4%減)の減益となりました。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(ゲーム事業)

 当セグメントにおきましては、(株)ゲームスタジオ、(株)トライエース、(株)ウィットワン、(株)ウィットワン沖縄及び(株)テックフラッグにてゲームの開発受託及び運営受託等を行っております。

 売上高については、前期に開発体制のピークを過ぎた案件があることや運営及び運営サポートを行う案件の体制縮小により、6,539百万円と前年同期と比べ1,040百万円(13.7%減)の減収となりました。

 セグメント利益(営業利益)については、当期に開発体制が拡大した案件や自社開発・発売タイトルによる業績寄与があったものの、前期に開発体制のピークを過ぎた案件による減収影響や運営及び運営サポートを行う案件の縮小等の影響から、236百万円と前年同期と比べ103百万円(30.5%減)の減益となりました。

 

(モバイル事業)

 当セグメントにおきましては、(株)ネプロクリエイトにてauショップ等のキャリアショップ及び複数の通信事業者の端末・サービスを取り扱う販売店PiPoPark(ピポパーク)を運営しております。

 売上高については、来店者数の減少に底打ちが見られるなか、主に新規出店した店舗の収益寄与により、2,511百万円と前年同期と比べ447百万円(21.7%増)の増収となりました。

 セグメント利益(営業利益)については、新規出店した店舗の利益寄与に加え、既存店も順調に販売台数を伸ばしたことにより、102百万円と前年同期と比べ56百万円(122.5%増)の増益となりました。

 

(その他)

 当セグメントにおきましては、クレジット決済事業等を行っております。

 売上高については、67百万円と前年同期と比べ3百万円(4.9%減)の減収となりました。セグメント利益(営業利益)については、28百万円と前年同期と比べ7百万円(20.3%減)の減益となりました。

 

② 財政状態の状況

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は2,603百万円となり前連結会計年度末と比べ265百万円の減少となりました。その主な要因は現金及び預金の減少841百万円、売掛金及び契約資産の増加555百万円等によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は1,145百万円となり前連結会計年度末と比べ70百万円の増加となりました。その主な要因はソフトウェアの増加87百万円等によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は1,652百万円となり前連結会計年度末と比べ82百万円の増加となりました。その主な要因は短期借入金の増加62百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加125百万円、流動負債のその他の減少85百万円等によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は383百万円となり前連結会計年度末と比べ320百万円の減少となりました。その主な要因は長期借入金の減少316百万円等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は1,713百万円となり前連結会計年度末と比べ43百万円の増加となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益31百万円等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ841百万円減少し851百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は、482百万円(前期は661百万円の増加)となりました。資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益31百万円、仕入債務の増加額100百万円等であり、資金の減少要因は、売上債権の増加額555百万円、未払金の減少額95百万円、未払費用の減少額15百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、194百万円(前期は421百万円の増加)となりました。資金の増加要因は、差入保証金の回収による収入6百万円であり、資金の減少要因は、固定資産の取得による支出162百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、165百万円(前期は526百万円の減少)となりました。資金の増加要因は、短期借入金の増加62百万円等であり、資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出190百万円、社債の償還による支出20百万円等であります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの資金需要は、運転資金としては主として、商品の仕入れ、原価に係る労務費及び外注費、並びに販売費及び一般管理費であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 投資を目的とした資金需要としては、ソフトウェアを含む設備投資、M&Aを中心とした投資資金等であります。

 資本の財源につきましては、自己資金及び金融機関からの借入金による調達を基本としております。

 

④ 開発、受注及び販売の状況

イ 開発実績

 当連結会計年度における開発実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

6,071,112

87.6

合計

6,071,112

87.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

ロ 仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

モバイル事業

1,668,503

132.6

合計

1,668,503

132.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格及び代理店支払手数料によっております。

 

 

ハ 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

ゲーム事業

7,953,278

94.8

122,297

21.2

合計

7,953,278

94.8

122,297

21.2

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

ニ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

6,528,896

86.2

モバイル事業

2,511,290

122.1

その他

67,512

95.1

合計

9,107,700

93.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

(株)バンダイナムコエンターテインメント

3,153,170

32.5

2,131,955

23.4

(株)ジェイ・コミュニケーション

1,423,525

14.7

1,627,507

17.9

(株)SNK

297,461

3.1

910,147

10.0

3.販売高には顧客に対する割賦販売代金を含めて表示しております。

 

⑤ 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」等に記載していますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を与えると考えています。

 

a.履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益について

 当社グループのゲーム事業において、主にモバイルゲームやコンソールゲーム等の受託開発については、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短いものを除き、一定の期間にわたり履行義務は充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。

 履行義務の充足に係る進捗度は案件の原価総額の見積りに対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。

 当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、受注時の見積りと受注後の進捗管理を適切に行うとともに、見積総原価に一定割合以上の変動があったときはその修正を速やかに行っており、売上高計上額には相応の精度を確保していると判断しています。

 

 

b.繰延税金資産について

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得を過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。

 

c.のれんの減損について

 当社グループは、のれんの償却方法について、その効果が発現すると見積られる期間で均等償却を行っております。今後、のれん対象事業の収益力が低下した場合、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。なお、のれんの資産性については、対象事業が創出する営業利益相当額や過去の実績等を基礎に将来予測を合理的に織り込んだ事業計画等を基に検討しております。

 

5【重要な契約等】

(1)代理店契約

契約会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

(株)ネプロクリエイト

(株)ジェイ・コミュニケーション

日本

携帯電話等の加入取次ぎ

2011年

5月1日

自 2011年5月1日

至 2012年3月31日

(注)

販売代理店契約

(株)ネプロクリエイト

テレコムサービス(株)

日本

携帯電話等の加入取次ぎ

2010年

4月15日

自 2010年4月15日

至 2011年3月31日

(注)

販売代理店契約

(株)ネプロクリエイト

(株)ラネット

日本

携帯電話等の加入取次ぎ

2010年

3月17日

自 2010年4月1日

至 2011年3月31日

(注)

販売代理店契約

 (注) 契約期間満了後、1年毎等の自動更新となっております。

 

(2)財務上の特約が付された金銭消費貸借契約

 当社は、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとして総額1,405百万円のシンジケートローン契約を2020年3月26日付で締結し、2024年9月24日付で変更契約を締結しております。

 

トランシェC

トランシェD

形態

タームローン(長期)

タームローン(短期)

変更契約締結日(注)1

2022年3月28日

2024年9月24日

実行日

2022年3月31日

2024年9月30日

組成金額

500,000千円

525,250千円

期末残高

175,000千円

525,250千円

満期日

2027年3月28日

2025年9月30日

アレンジャー

(株)三井住友銀行

参加金融機関

(株)三井住友銀行

(株)三菱UFJ銀行

(株)千葉銀行

(株)東日本銀行

(株)きらぼし銀行

(株)三井住友銀行

(株)三菱UFJ銀行

(株)千葉銀行

(株)東日本銀行

担保

特約の内容

(注)2

(注)1.本シンジケートローン契約内において、各トランシェを設ける変更契約を締結した日であります。

2.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※4 財務制限条項」に記載のとおりです。

 

 

6【研究開発活動】

 ゲーム事業において、主に(株)トライエースでゲームエンジンの研究開発活動を行っており、当連結会計年度における研究開発費の総額は101百万円であります。