当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「産業技術翻訳を通して、国内・外資企業の国際活動をサポートし、国際的な経済・文化交流に貢献する企業を目指す」ことを企業理念に掲げ、高い顧客満足度の得られるランゲージサービスを提供することにより、顧客の企業価値・競争力向上に貢献してまいります。また、全てのステークホルダーの皆様の満足度を高め、透明性の高い経営を推進し、企業価値を向上させてまいります。
(2)経営環境
当社グループは 専門特化型の翻訳サービスを提供する翻訳事業を中核に、翻訳者や通訳者などの人材を顧客企業に派遣する派遣事業、中小規模の国際会議や企業内会議における通訳事業を主要な事業とし、イベントの企画・運営を行うコンベンションや通訳者・翻訳者を養成する語学教育、企業の外国特許出願支援をその他の事業として展開しております。
また、当社グループは、各事業が有する高い専門性や技術・ノウハウに加え、専門特化サービスの集合体としての強みを活かした付加価値の高いランゲージサービスを提供することで、顧客企業のグローバルコミュニケーション構築を包括的に支援しております。
翻訳業界では企業のグローバル展開を背景に市場は堅調に推移しております。近年ではAI技術の向上で機械翻訳を活用した新しい商品・サービスの開発が進んでおり、市場環境は大きな変革期を迎えております。派遣業界では企業の人材不足を背景に需要は底堅い状況にありますが、テレワークの普及による顧客企業の需要の多様化と求職者のワークスタイルの変化には引き続き注視が必要です。通訳業界では 人流の活発化を背景に、オンサイト通訳需要が回復基調にあります。
当社グループは、多様化・高度化する顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応し、顧客企業にとって最適かつ価値あるサービスを追求することで、グループの持続的な成長を目指してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は中期経営計画の着実な推進により、以下の課題解決に取り組んでまいります。
① AI・データの活用による事業競争力の強化
当社グループのコアビジネスである翻訳事業が今後も持続的に成長していくためには、顧客企業のニーズに寄り添った専門性の高い翻訳サービスを提供し、顧客企業から継続的に支持される必要があると認識しております。MT(機械翻訳)・LLM(大規模言語モデル)の活用によるサービスの競争力向上に加え、データドリブンな営業・マーケティング活動を実践することで、顧客企業との長期的、安定的な関係の構築を推し進め、シェア拡大を目指してまいります。
② 業務効率化の推進
当社グループは、利益率の維持・向上の取り組みとして、案件の工程設計や進捗管理を担うプロジェクトマネージャの業務効率化が不可欠であると認識しております。プロジェクトマネージャが蓄積してきた知識や経験を体系化してシステムに実装することで、工程管理の精度を高め、業務効率化を推し進めてまいります。
③ 安定した収益基盤の確立
当社グループは、専門性の高い翻訳サービスを中心に、通訳事業や派遣事業も展開する総合的な言語サービス企業として、専門性の追求と事業領域の拡大を推し進めてまいりました。今後のグループ全体の持続的な成長に向け、資本効率を重視した事業ポートフォリオの最適化を進め、経営資源を効果的に配分してまいります。また、成長の基盤となる人材の育成や成長領域に対する投資に取り組んでまいります。経営資源の充実と経営管理の厳格化を図ることで、安定した収益基盤を確立し、株主価値の向上に努めてまいります。
当社は、これらの課題にグループ全体で真摯に取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。
(4)目標とする経営指標
当社グループでは、お客様にご満足いただけるサービスの提供及び収益の安定化に向けて、売上高、営業利益、当期純利益の業績目標と自己資本利益率(ROE)の経営指標を定め、それらの向上に取り組んでおります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、中長期的な企業価値の向上を目指し、サステナビリティに関する取組みや人的資本・知的財産への投資等は非常に重要であると認識しております。現在、サステナビリティに関する組織の設置はしておりませんが、取締役会において経営資源の配分や戦略の実行に関しても実効的な監督を行うよう努めており、基本方針の策定、課題の特定や対応に向けて取組みを進めてまいります。
(2)戦略、指標及び目標
(環境に関する方針及び取組)
当社グループは環境方針の定めに基づき、翻訳サービス及びその関連事業活動を通じて環境への負荷の軽減と保全活動に継続的に取組んでおります。
紙の使用や電気使用量等の資源・エネルギーの節減や廃棄物の削減とリサイクル、グリーン購入の促進等を推し進めており、住みよい社会の発展に努めております。
また、在住外国人とごみの問題に着目し、地域社会への社会貢献活動及び環境問題に対する取り組みの一環として、2020年度に門真市のご協力により同市の多言語版ごみカレンダーの制作を支援いたしました。
このような環境に関する取組みを継続し、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
(人材の育成及び社内環境整備に関する方針及び取組)
当社グループは、働き方改革など環境変化に対応した労働及び職場環境の実現を目指しております。また、事業活動へのIT技術の活用を推進すべく、デジタル人材の確保やIT技術への投資を積極的に行い、事業変革を支える経営基盤の強化を図ってまいります。
人材の育成においては、年次や役職に応じて階層を分類し、業務の習熟度や職務に応じた課題に適した研修や教育を行うことで、労働者一人ひとりの知識やスキルの能力向上を実践しております。例えば、当社では、リーダーや管理職の育成プログラム等の選抜研修を実施しており、研修には多数の女性リーダーや管理職が参加しております。
また、他社での経験を通して培われた新たな知見や視点が加わることで事業や人材の成長に繋がると考えております。そのため、長年にわたり、積極的にビジネスニーズに応じて他社経験者である外部人材採用を実施しております。
さらに、個々の従業員のパフォーマンスに応じたきめ細かい給与体系、賞与分配、キャリアパス等を実現するため、2024年度より人事制度を刷新し、全従業員のモチベーション及びエンゲージメントの向上にも取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度末の当社グループの全労働者のうち、女性労働者比率は約70%、管理職に占める女性労働者の割合は約40%となっております。なお、当社における詳細については、「
社内環境整備においては、ワークライフバランスの充実に向け、在宅勤務やフレックスタイム制度を導入しております。
また、フリーアドレスの実施やコミュニケーションデイ(部署単位での週に1度の全員出社日)を設け、対面での社内コミュニケーションも確保することにより、生産性の向上にも取り組んでおります。
当社を取り巻く状況に応じた柔軟性を確保するため、現在具体的な目標は設定できておりませんが、サステナビリティに関する取組みについて、より具体的な方針や施策の決定、また軸となる指標や目標設定に向けて検討を進めてまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、直接的又は、間接的に経営や事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対応するためにリスク管理委員会を設置しております。
各社、部門においてリスクの洗い出しを行い、リスク管理委員会において洗い出されたリスクを整理、分類化するとともにリスクマップの作成を通してリスクの重要性を評価しております。重要性が高いものを取組むべき課題として設定し、対応や解決に向けた方針や施策等を決定しております。サステナビリティに関する項目についても同様にリスクの洗い出しや整理を行い、対応に向けた取組みや活動を広げてまいります。
以下において、当社グループの事業展開等に関し、リスク要因となる可能性がある主な事項及びその他の重要と考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、ご留意ください。
(1)需要変動
当社グループが行っている翻訳事業、派遣事業、通訳事業の主要顧客は、特許事務所、製薬会社、各種製造業、官公庁、金融機関等に大別することができますが、これら主要顧客の属する業界において、何らかの法制度等の変更、景気変動、業界再編による企業数の増減等があった場合、また、顧客の方針変更(例:業務の内製化、業務委託先の絞り込み等)があった場合、当社グループが提供するサービスへの需要が大きく変動する場合があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)法的規制
当社グループが行っている事業において法的規制が強化・拡大された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが行っている派遣事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」「以下、労働者派遣法」に基づいた一般労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けております。今後、労働者派遣法やその他の法令の変更、新法令の制定又は解釈の変更等が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3)ICTを活用した技術開発
当社グループが行っている翻訳事業では、AIを含むICTを活用した技術開発が進んでおり、機械翻訳等の新たなサービスが相次いで導入されております。当社グループにおいても、機械翻訳技術やインターネット関連技術の調査・研究開発に努めておりますが、これらの技術開発への対応が遅れた場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新たな技術開発のために多大な投資が必要となる場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)参入障壁
当社グループが行っている各事業はいずれも参入障壁の低い事業であることから、新規参入又は既存の競合会社との間で受注競争が激化し、大規模な価格競争や登録スタッフである翻訳者・通訳者等の争奪が行われた場合、受注金額の低下や売上原価の上昇等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5)通訳事業に関わる事業環境
当社グループが行っている通訳事業では中小規模の国際会議や企業内会議、商談時における通訳業務を受託しております。大規模自然災害や火災、暴動、テロ等の人災、外交問題等の外部環境の変化により、会議・商談の自粛や国際会議が中止あるいは延期となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)翻訳・通訳内容に関する瑕疵・過失、納期遅延について
当社グループが行っている翻訳、通訳、外国出願支援、メディカルライティングでは十分な人員体制と専用システムによる納期・品質の徹底管理を行っておりますが、それら成果物の内容や納期遅延等により、顧客に対し重大な損害を発生させてしまう可能性があります。
また、当社グループでは成果物に瑕疵・過失が発生しないよう、翻訳者等の登録スタッフから受領した翻訳物については内容を社内で再度確認したのち顧客へ納品しております。今まで、翻訳、通訳、外国出願支援、メディカルライティングの内容に起因する損害賠償を顧客から請求されたことはありませんが、それらの内容に起因して顧客に何らかの重大な損害が発生した場合、損害賠償等の補償や信用低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7)著作権
当社グループは顧客の依頼によって著作物を預かり、翻訳を行っております。多くの翻訳原稿は顧客自身が著作権を有する社内文書ですが、中には当該翻訳原稿の著作権を顧客が所有していない場合もあります。当社グループでは、翻訳原稿の著作権が第三者に帰属するものであることが明白な場合、当社グループの業務への使用につき支障がないことを顧客に確認しており、今まで著作権に関するトラブルが発生したことはありません。今後万が一、顧客から預かった翻訳原稿が第三者の著作権等を侵害していたことにより何らかのトラブルが発生し、依頼主である顧客だけでなく翻訳を行った当社グループにも損害賠償等を求められた場合には、その補償等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)退職役職員の競業
過去に当社グループの役職員が退任又は退職し同業を営んでいるケースがあります。当社グループの役職員が退任又は退職する際には誓約書を入手しておりますが、同業を営んだ場合に当社グループの顧客をめぐる受注競争等が発生する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(9)人材の確保・育成等
① 登録スタッフ
当社グループが行っている翻訳、派遣、通訳の各事業は登録スタッフであるフリーランスの翻訳者・通訳者に業務を委託していることから、それぞれの事業における優秀な登録スタッフの確保が必要です。当社グループではこれまでに登録スタッフの不足による業績への重大な影響を受けたことはありませんが、万が一、質的・量的に十分な登録スタッフを確保できない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 従業員
当社グループは優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しており、当社グループの成長速度に見合った採用活動を行っています。
しかし、これらの施策により優秀な人材を確保・育成できなかった場合、労働力不足やサービス品質の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(10)コンプライアンス
① 顧客の機密情報の保護について
当社グループが業務上顧客から受託する翻訳原稿等には、顧客の重要な経営上の機密情報が含まれている場合があり、これらの機密情報の流出や外部からの不正アクセスによる被害防止は、当社グループの事業にとって極めて重要であります。当社グループではこれら機密情報等の第三者への漏洩を防止するために、従業員及び翻訳者・通訳者等の登録スタッフに対し、誓約書又は業務委託契約による機密保持義務を課しております。
翻訳者・通訳者等の登録スタッフに対しては情報管理マニュアルを配布してその遵守を求めております。また、各社ごとに執務室にはセキュリティロックを施し、会社関係者の事業所への入退出を厳格に管理しております。
しかし、これらの対策にも関わらず、何らかの原因によって機密情報が漏洩した場合、損害賠償等の補償や信用低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 個人情報の漏洩について
当社グループでは、翻訳者・通訳者等の登録スタッフ、顧客に関わる個人情報、通訳・翻訳学校の受講生等の個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報を各社別にシステムで管理しており、これら情報のアクセスは職位及び業務内容により制約されております。
また、当社では、ISMS認証(ISO27001)を取得しており、情報管理規程の策定と運用、全役職員を対象に定期的な研修等による教育を実施する等、個人情報の保護に努めております。
しかし、不測の事態の発生により当社グループが保有する個人情報が外部に漏洩した場合、損害賠償等の補償や信用低下により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ コンプライアンスについて
当社グループでは、「コンプライアンス重視」を経営方針の一つとして位置付けており、コンプライアンス重視の経営を組織的に実践するためグループ企業行動規範を定め、コンプライアンス担当役員を長とした委員会を設置しています。また、コンプライアンス上の問題の早期発見や対応のため、役職員を対象とした社内及び社外の相談窓口(コンプライアンス・ヘルプライン)の設置や啓発活動等、コンプライアンス体制強化に努めております。
しかし、これらの取り組みにも関わらず、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業継続及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 第三者との係争について
当社グループは、法令遵守を基本としたコンプライアンス活動の推進により、法令違反、情報漏洩、知的財産権侵害等を防止し、法改正等への適切な対応、契約行為が及ぼす法的効果の十分な検討を行うことで、訴訟に発展するリスクを排除するよう努めております。
しかし、何らかの予期せぬ事象により、法令違反等の有無に関わらず、顧客や取引先、第三者との予期せぬトラブルが訴訟等に発展する可能性があります。翻訳事業においては、顧客から預かった翻訳原稿が第三者の著作権等を侵害していた場合に、依頼主である顧客だけでなく当社グループにも損害賠償等を求められる可能性があり、かかる訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や信用低下等により、当社グループの事業継続及び業績に影響を与える可能性があります。
(11)企業買収等
当社グループは事業の強化・補強を目的に、企業買収及び資本参加を含む投資を行うことがあります。当社グループは買収企業又は投資先とのシナジー効果を高める等、当社グループの企業文化や経営戦略の浸透を図りますが、期待した利益やシナジー効果を確保できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)大規模自然災害等
地震や水害等の大規模自然災害や火災、暴動、テロ等の人災、予期せぬ災害や事故等の発生により、当社グループや顧客企業の事業活動に影響が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模自然災害が発生した場合に適用する「事業継続計画(BCP)」等、有事の際の対応策を策定しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は8,836百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は2,075百万円となり、前連結会計年度末に比べほぼ横ばいとなりました。
当連結会計年度末の純資産合計は6,760百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円増加いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高11,210百万円(前期比0.8%減)、営業利益890百万円(前期比1.3%減)、経常利益は905百万円(前期比3.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益723百万円(前期比1.7%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
翻訳事業は、売上高8,507百万円(前期比0.5%増)となりました。
派遣事業は、売上高1,175百万円(前期比0.1%増)となりました。
通訳事業は、売上高1,187百万円(前期比8.3%増)となりました。
その他のセグメントは、売上高340百万円(前期比40.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,580百万円となり、前連結会計年度末に比べ90百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは503百万円の収入(前期は753百万円の収入)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上1,086百万円及び売上債権の減少83百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは195百万円の支出(前期は60百万円の支出)となりました。
主な要因は、差入保証金の差入による支出165百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは217百万円の支出(前期は150百万円の支出)となりました。
主な要因は、配当金の支払額217百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
翻訳事業(千円) |
4,071,291 |
101.3 |
|
その他(千円) |
44,951 |
18.3 |
|
合計(千円) |
4,116,242 |
96.5 |
(注)1.内部取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、従来報告セグメントとして開示しておりました「コンベンション事業」は、量的な重要性が低下したため、報告セグメントから除外し、「その他」として記載する方法に変更しております。
3.派遣事業、通訳事業については、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注実績
当社の業務においては、受注時に翻訳内容(言語、納品日、納品形態等)は決定されますが、受注金額の算定基礎となるページ数、ワード数、文字数等が確定しないため、受注金額の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
翻訳事業(千円) |
8,507,117 |
0.5 |
|
派遣事業(千円) |
1,175,576 |
0.1 |
|
通訳事業(千円) |
1,187,064 |
8.3 |
|
その他(千円) |
340,388 |
△40.8 |
|
合計(千円) |
11,210,147 |
△0.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度における主な相手先に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先も当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3.当連結会計年度より、従来報告セグメントとして開示しておりました「コンベンション事業」は、量的な重要性が低下したため、報告セグメントから除外し、「その他」として記載する方法に変更しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等
イ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は7,667百万円となり、前連結会計年度末に比べ377百万円増加いたしました。これは主に未収入金が増加したことによるものであります。固定資産は1,169百万円となり、前連結会計年度末に比べ132百万円増加いたしました。これは主に建物及び構築物が増加したことによるものであります。
この結果、総資産は8,836百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,848百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円減少いたしました。固定負債は227百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円増加いたしました。
この結果、負債合計は2,075百万円となり、前連結会計年度末に比べほぼ横ばいとなりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は6,760百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び剰余金の配当を実施したことによるものであります。
ロ 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が一層進むなか、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資意欲の高まりを背景に緩やかな回復基調で推移したものの、国際的な情勢不安の長期化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰、為替変動による影響や世界的な金融引き締め政策の継続、米国の政策動向による影響など、先行きの不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境におきましては、翻訳事業の需要は、顧客企業の業績回復を背景に堅調に推移しました。通訳事業では、人流の活発化がオンサイト通訳需要の回復を後押ししました。また派遣事業の需要は、顧客企業の人材不足を背景に底堅く推移しました。
このような環境のもと、当社グループは当期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画に基づき、当社グループの中核をなす翻訳事業の持続的成長を目指すとともに翻訳支援ツールや機械翻訳など最先端技術の積極的な活用を推し進め、企業のグローバル展開に伴う翻訳・通訳需要の獲得に努めてまいりました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、コアビジネスである翻訳事業と通訳事業の売上高が過去最高を更新したものの、コンベンション事業縮小に伴う大幅な減収の影響により、売上高は前期比0.8%減の11,210百万円となりました。利益面につきましては、人件費を主とする販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は前期比1.3%減の890百万円、経常利益は持分法による投資利益の減少等により前期比3.5%減の905百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は子会社株式売却益と第4四半期の東京本社移転に伴う移転補償金の計上により、前期比1.7%増の723百万円となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
(翻訳事業)
特許分野では企業の知的財産関連部署の一部大口顧客において受注が減少したものの、特許事務所からの受注は好調を維持し、売上高は前期比0.3%増の2,911百万円となりました。医薬分野では需要獲得に向け、顧客企業との継続的な関係性の構築と顧客基盤の拡大に努めるなか、外資製薬からの受注が第4四半期に伸長したことに加え、内資製薬での受注増加やCRO(医薬品開発受託機関)の複数顧客における旺盛な需要の取り込み等もあり、売上高は前期比3.4%増の2,694百万円となりました。工業・ローカライゼーション分野では自動車や電機をはじめとする顧客からの受注増加に加え、エネルギー関連企業から大型案件を獲得するなど、製造業からの受注は好調に推移したものの、非製造業からの受注が低調に推移し、売上高は前期比3.7%減の2,280百万円となりました。金融・法務分野では上場会社の英文開示に対する機運の高まりを背景にIR関連文書の受注が好調に推移したことに加え、企業の管理系部署からの受注も伸長し、売上高は前期比6.4%増の619百万円となりました。
これらの結果、翻訳事業の売上高は前期比ほぼ横ばいの8,507百万円となりました。
(派遣事業)
派遣事業においては、語学スキルの高い人材への底堅い需要を背景に引き合い数や受注は増加したものの、終了者の増加等により常用雇用者数が前期並みの水準で推移し、売上高は前期比0.1%増の1,175百万円となりました。
(通訳事業)
通訳事業においては、既存顧客である金融機関、医薬品関連会社、精密・通信機器メーカー、外資系コンサルティング会社からの継続受注に加え、顧客数の拡大が寄与し、売上高は前期比8.3%増の1,187百万円となり、二期連続で過去最高を更新しました。
(その他)
その他のセグメントにおいては、通訳者・翻訳者養成スクール「アイ・エス・エス・インスティテュート」の集客が好調に推移したものの、コンベンション事業縮小に伴う大幅な減収が影響し、売上高は前期比40.8%減の340百万円となりました。
なお、当連結会計年度より、従来報告セグメントとして開示しておりました「コンベンション事業」は、量的な重要性が低下したため、報告セグメントから除外し「その他」として記載する方法に変更しております。また、前連結会計年度のセグメント情報は、当連結会計年度の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
ハ キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフである翻訳者・通訳者等への仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金需要につきましては、主に事務所等の建物附属設備や情報処理・翻訳制作工程に利用するための無形固定資産への投資等があります。
当社グループの現在の運転資金につきましては、内部資金より充当しておりますが、必要に応じて外部より調達することがあります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,580百万円であり、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高はありません。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2026年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定し、新たな経営指標として営業利益1,200百万円及び自己資本利益率(ROE)10%以上を定めております。
当社グループはこれらの経営指標の達成に向け、さらなる収益性と資本効率向上を目指してまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。