第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営方針

当社グループは「哀悼と感動のセレモニー」を経営理念とし、物売りでもなく、押し売りでもなく「儀式を尊厳する形と洗練された心の追求」を忘れない姿勢で取り組む事とデスケアを通じて社会貢献する事を事業の基本理念とし、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、1997年に創業いたしました。

(2)経営環境及び経営戦略

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、葬儀に関する潜在的需要は人口動態を背景に年々増加するものと推計されておりますが、葬儀単価におきましては、核家族化や葬祭規模の縮小等により減少傾向が続いております。また、葬儀業界の新たな潮流としましては、「高齢化や核家族化による葬祭規模の縮小と葬儀単価の低下」「大手葬儀社の営業エリア拡大と異業種からの業界参入による競争激化」「高齢世帯の更なる高齢化と高齢者独居率の上昇等、社会インフラとしての葬儀社の役割」といった課題が顕在化しております。

当社グループは、「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」「徹底した人財教育によるサービスの向上」「ドミナント出店による利便性の向上」を戦略の基本方針とし、直営・フランチャイズ出店による徹底した差別化戦略を展開しております。「ドミナント出店による利便性の向上」では名古屋市内に1号店となる「ティア中川」を開設し、その後も中部地区で積極的なドミナント出店を行うと共に、関東地区・関西地区への進出やフランチャイズによる多店舗化を推進しております。これにより2023年9月末現在、直営89店舗(会館店舗79店舗・葬儀相談サロン10店舗)・フランチャイズ64店舗の合計153店舗となりました。

また、「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」では創業当時より一貫して葬儀価格の透明性に努めており、当社独自の会員制度「ティアの会」を中心に、明瞭な価格体系による葬儀を提供しております。さらに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」では葬儀に関する知識や技術的な教育のみならず、ビジネスマナーや徳育的な観点による人材教育を積極的に手掛け、サービス業としての質的向上にも努めてまいりました。これらの取り組みにより、ご利用されるお客様の支持を獲得し、2023年9月末現在、会員数は49万人を超え、年間の葬儀施行件数は20,600件(直営、フランチャイズ合計)を超えるまでに業容は拡大しております。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは会館数260店舗体制をはじめとする中長期ビジョンを策定しその実現に向けて、中部地区では新規出店の継続により経営基盤の更なる強化を図ると共に、関東地区・関西地区では会館による出店と、加速できる体制を整備する局面であると判断しております。

また、直営・フランチャイズによる中長期の出店方針に加え、「外部環境の変化に伴う課題の認識と対応した施策」「内部体制の更なる強化と中長期を見据えた施策」「計画的な人材確保と教育体制の充実により強い組織集団を実現する施策」「倫理コンプライアンス体制の確立に向けた施策」の推進が中長期ビジョンを目指すうえでの必要条件であると考えております。さらに、中核葬儀社2社を含むグループを子会社化したことから、当該企業の成長はもとより、ティアグループとして企業価値を高め、株主共同の利益を確保・向上させる必要があると判断しております。

そこで、当社グループといたしましては、「新生ティア」のスローガンのもと、以下の4項目のテーマに取り組んでまいります。

① 直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的な成長

当社グループの中長期ビジョンであります会館数260店舗体制の実現と既存会館の持続的な成長に向けて、中部地区では多様な出店フォーマットによる出店継続と営業力強化、関東地区では会館による出店と東京都内向け葬儀相談サロンの収益力向上、関西地区では新規出店により、既に展開しているエリアの事業基盤の強化に取り組んでまいります。

フランチャイズにおきましては、業務支援体制の整備及び人材育成によりFC本部の機能を強化し、計画に則った新規加盟及び出店契約と会館開設・運営支援、既存会館の持続的な成長実現に取り組んでまいります。

 

② 中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上

中核エリアでのシェア向上にこだわった営業促進を積極的に実施すると共に、終活支援体制及びコンタクトセンターの情報一元管理システムを構築してまいります。既存会館の対応としましては、葬儀ニーズの多様化に対応した設備の増設や計画的な改修を実施するのに加え、契約期間満了時のマネジメントにも取り組んでまいります。

また、インターネットからの会員獲得、葬儀受注の増加を図るべく、WEBマーケティングを強化してまいります。PR・IR活動におきましては継続的に実施し、中部地区・関東地区・関西地区のみならず、日本全国を対象に当社グループの知名度と認知度の向上に努めてまいります。さらに、DX・SX戦略部を選任部門とし、PDCAサイクルによる施策の提案、SDGs・サステナビリティ経営に向けた環境整備に取り組んでまいります。

③ 葬儀付帯業務の内製化拡大と行動力と分析能力を高めたM&A

葬儀付帯業務の更なる内製化を推進すべく、セレモニーアシスタント・セレモニーガードの派遣エリアの拡大、生花事業の取り扱い会館の増加、湯灌・エンバーミングの業務エリア拡大と提供内容の充実等に取り組んでまいります。また、葬儀後のアフターサービスとして墓石の販売にも注力してまいります。

M&Aにつきましては、業界環境が変化するなか、事業の統廃合が活発化しつつあると予想されることから、当社グループによる能動的な情報収集に努めてまいります。また、M&A関連の情報に対して、機動的な行動力と分析能力を高め、適正な判断のもとM&Aの実行を目指してまいります。さらに、M&A実行後はティアグループとしての統合作業に加え、出店・商品・人材・ITにおけるシナジー効果を生み出してまいります。

④ 計画に則した人材確保・育成と次世代基幹システムの構築

ハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応と、次世代基幹システム構築に取り組んでまいります。また、ICTにおける脅威への対応として、重大な結果に繋がりかねない出来事や状況を早期に発見できる検知システムの運用及びセキュリティに関する専門的な知識を有する人材の確保、人材教育を通じて従業員一人一人がセキュリティ対策を行える体制を目指してまいります。

新卒採用におきましては、多様な採用環境に対応すべく従前からの採用活動に加え、リモートにも対応した新卒採用プログラムを運用してまいります。人材育成では、新卒社員の早期育成を目指した12ヶ月間の新卒教育プログラムを設け、既存社員に対しては、施行品質の向上を目的とした研修に加え、管理職候補者育成の研修を実施してまいります。また、従業員のエンゲージメントを向上させるべく、外部のリソースを活用した部門横断型のプロジェクトを発足し、現状における問題や課題の改善を図ると共に、中長期ビジョンに則った人事制度を構築してまいります。

(4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは翌連結会計年度の業績予想を公表しており、翌連結会計年度の業績予想の達成状況を経営指標としております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、すべての故人様、ご遺族の想いに寄り添いきる葬儀にこだわり続けてまいりました。多死社会を迎える日本において、葬儀業は社会インフラの一部であると判断しており、当社はその責任を自覚し、持続可能な社会の実現に寄与すると共に、「たがいに尊重しあい、命あるものすべてが幸せに暮らす社会」の実現を目指してまいります。

当社は、DX・SX戦略部を専任部門とし、サステナビリティ経営を推進するために下記5つの役割・責任を果たしております。

① ESGに関する取り組み施策の企画・推進

② 各部門におけるESGに関する取り組み施策の遂行支援・進捗状況のモニタリング

③ 社内・フランチャイズ加盟店に向けたESG意識の醸成

④ 社内外に対するESGに関する取り組みについての発信

⑤ ESGに関する取り組み協働パートナーの開拓・提携

また、サステナビリティに関する重要な事項につきましては毎月、取締役が参加する「経営会議」において報告・議論を行っております。

(2)戦略

当社グループは、会館数260店舗体制をはじめとする中長期ビジョンを策定しており、実現には人的資本への取り組みが重要であると認識しております。当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針につきましては、次のとおりであります。

① 人材プールの構築

当社は、会館運営をマネジメントするキャリア人材、葬儀施行の専門性を高めた「葬祭エキスパート」の育成といった人材プールの構築に努めております。事業戦略におきましても人材プール構築は重要な経営課題であると認識しておりますので、今後も新卒社員に加え女性・中途採用者の積極的な採用と管理職への登用を行ってまいります。

 

② 人材育成

人材育成につきましては、新卒社員の早期育成を目指した12ヶ月間の新卒教育プログラムを設け、既存社員に対しては、施行品質の向上を目的とした研修に加え、管理職候補者育成の研修に取り組んでおります。また、人材育成を担う専門部門の稼働状況、ヒューマン・リソースの適正配分を可視化したマネジメント体制を構築しております。

 

③ エンゲージメントの向上

従業員のエンゲージメントを向上させるべく、現行制度における問題点・改善点の把握につとめ、中長期ビジョンに則った人事制度改革にも取り組んでおります。

 

④ 人材採用及び登用の状況

会館をマネジメントするキャリア人材の人員数が十分といえる状況ではないため、早期に充足させるべく、女性・中途採用の分け隔てなく、積極的な登用を行ってまいります。なかでも、女性管理職の登用については「キャリアデザイン室」を設置し、「求めるスキルの精査」「動機付け」「阻害要因の把握」「エンゲージメントの向上」に取り組んでまいります。

なお、現時点の状況としましては、新卒採用において概ね半数を女性社員としており、管理職のうち約9割は中途採用者が担っております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、「3.事業等のリスク」に記載のとおり、「外部環境の変化に伴う課題の認識と対応した施策」「内部体制の更なる強化と中長期を見据えた施策」「計画的な人材確保と教育体制の充実により強い組織集団を実現する施策」「倫理コンプライアンス体制の確立に向けた施策」の推進が中長期ビジョンを目指すうえで必要条件であると考えております。この課題に内包されるリスクを「特に重要性が高い事業等のリスク」と認識し、取締役会において、その影響度と発生可能性及び、当該リスクへの対応策を協議しております。なお、「特に重要性が高い事業等のリスク」には、サステナビリティ関連のリスクも含まれております。

(4)指標及び目標

具体的な指標及び目標として「①女性管理職及び管理職候補者の合計人数」「②男性の育児休業取得率」「③女性の育児休業取得率」を設けております。

 

目標

当事業年度

①女性管理職及び管理職候補者の合計人数

2026年3月までに47名

21名

②男性の育児休業取得率

100.0%

88.9%

③女性の育児休業取得率

100.0%

100.0%

なお、連結子会社ついては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、目標及び実績の記載を省略しております。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

また、当社グループは、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、直営・フランチャイズによる中長期の出店方針に加え、「外部環境の変化に伴う課題の認識と対応した施策」「内部体制の更なる強化と中長期を見据えた施策」「計画的な人材確保と教育体制の充実により強い組織集団を実現する施策」「倫理コンプライアンス体制の確立に向けた施策」の推進が中長期ビジョンを目指すうえでの必要条件であると考えております。この課題に内包されるリスクを「特に重要性が高い事業等のリスク」と認識し、取締役会において、その影響度と発生可能性及び、当該リスクへの対応策を協議しております。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)特に重要性が高い事業等のリスク

① 葬儀需要の変動について

葬儀需要の変動につきましては、以下のような事項が想定され、これにより当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、葬儀請負件数の増加を図るべく、「ティアの会」会員数の拡大や提携団体・企業向けの営業等を積極的に取り組んでおります。また、葬儀単価におきましても、定期的に新商品及び新たな祭壇セットプランを導入する等の対策を講じております。

ⅰ.葬儀件数

葬儀に関する需要は、人口動態を背景に増加傾向で推移するとみられており、約20年後には現在の約1.2倍の水準にまで拡大すると予想されております。(国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口)しかしながら実際の葬儀需要は、様々な要因により同推計値を下回る可能性があります。

ⅱ.葬儀単価の変動

少子化による親族の減少、死亡年齢の高齢化等を背景に、儀式の簡素化と葬儀の小規模化が進行し、葬儀業界全体における葬儀単価は低下傾向で推移しております。(経済産業省:特定サービス産業動態統計調査)当社グループにおきましても、葬儀単価が継続して低下する可能性があります。

ⅲ.季節による変動

葬儀需要は月間の平均件数に対し冬場が多く、夏場が少なくなる傾向があります。従って、当社グループの業績におきましても季節変動が現れることがあります。

② 競争環境について

葬儀業界への異業種からの参入や、葬儀を紹介・斡旋するポータルサイトの台頭等が活発化し、同業他社におきましても積極的に会館を出店していることから、当社グループが会館を展開する商圏内でも競争環境は厳しさを増しております。今後も競合環境が更に厳しさを増す可能性もあり、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、テレビコマーシャルや折り込み広告等を活用した営業促進や、「ティアの会」入会キャンペーン等を定期的に実施しております。

③ 個人情報について

当社グループは「ティアの会」会員情報、葬儀及び法要の請負に係るご遺族の個人情報等を取り扱っております。書類の盗難及びネットワークへの不正侵入等による個人情報漏洩の可能性は否定できず、万が一このような事態が発生した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、個人情報の管理を徹底すべく従業員教育及びコンピュータシステムの情報漏洩防止策を行っております。また、「プライバシーマーク」の取得等、個人情報の取り扱いが適切に行われていることに対する外部機関の認定も受けております。

④ 減損会計について

当社グループが保有する固定資産に対し、会館の収益状況及び将来見通しにより、固定資産の回収が困難と判断される場合には、当該会館に係る固定資産を減損損失として認識する場合があります。また、土地等の時価が著しく下落した場合におきましても、当該固定資産の回収可能性を判断したうえで、減損損失を認識する可能性があり、この場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、四半期に一度、当該会館を管轄する事業部長と経営企画室担当役員が定期ミーティングを設け、会館の収益状況・市場環境の変化・当該固定資産の回収可能性について意見交換し、その内容を取締役会へ報告しております。

⑤ 人材の採用及び教育について

当社グループは、中長期目標260店舗体制の実現を目指し今後も事業展開を積極的に行う方針であり、人材の多様性の確保を含む人材の採用及び育成について、これまで以上に取り組む必要があると判断しております。一方、人材の採用及び育成が、当社グループの計画通りに進まない場合、当社グループの事業展開が制約され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、人員計画に基づいた採用活動を行うと共に、人材教育機関「ティアアカデミー」による社員のスキル向上を図っております。

⑥ 感染症の発生・感染拡大等の影響について

感染症の発生及び感染拡大等により、葬祭規模の縮小や法要料理の販売減等により、葬儀単価が低下し、当社グループの収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、感染症の発生及び感染拡大下においても当社の会館を安心して利用していただけるように、公衆衛生上の必要な措置を講じると共に、葬儀に従事するエッセンシャルワーカーとしての社会的役割を果たすべく、感染症で亡くなった方への対応を専門に行う「感染症対策チーム」も組織しております。

⑦ M&Aについて

葬儀業界におきまして今後、事業の統廃合が活発化しつつあると予想されることから、M&Aは重要な成長戦略と位置付けております。しかしながら、M&A実行後、事業環境の変化等により、計画通りに事業を展開することができず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これに対し、当社グループとしましては、対象会社に対し情報収集・事業内容・財務状況等の分析を慎重に行ったうえでM&Aの判断を行い、実行後も対象会社の成長はもとより、ティアグループとして、出店・商品・人材・ITにおけるシナジー効果を生み出してまいります。

(2)重要な事業等のリスク

① 金利について

当社グループは、会館の建設資金及び差入保証金等は、金融機関からの借入れにより調達しております。従って今後、金利が上昇した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、金利動向を踏まえた最適な調達を行うと共に、内部留保の充実による企業体質の更なる強化を図っております。

② フランチャイズ契約について

フランチャイズ事業は、加盟者との間で加盟店契約を締結し、「葬儀会館ティア」という会館名でチェーン展開を行っております。加盟者及び当社グループのいずれかがその役割を果たせないことにより、加盟者との間で契約が維持できなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、加盟者と対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担っております。

③ 葬儀会館の賃借について

当社グループは、葬儀会館の出店に関しまして、基本的に土地建物を賃借しております。葬儀会館の賃借については以下のような事項が想定され、これにより当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、中長期の出店方針に基づく計画策定及び契約更新に係るマネジメント体制の構築に努めております。

ⅰ.保証金等

賃借条件により、建設協力金又は保証金を差入れている物件もあり、差入先の破綻等により保証金の返還がなされない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

ⅱ.定期借地権

当社グループは、20年間から38年間の定期借地を行っておりますが、賃借期間終了後に当該会館の継続賃借ができない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

ⅲ.関連当事者との取引について

当社グループは、葬儀会館の賃借に関して、主要株主㈱夢現及び横山博一氏と次のような取引があります。

当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

種類

会社等の名称又は氏名

所在地

資本金又は出資金

(百万円)

事業の内容又は職業

議決権等の所有(被所有)割合

(%)

関連当事者

との関係

取引の内容

取引金額

(百万円)

科目

期末残高

(百万円)

主要株主(個人)及びその近親者

㈱夢現

(注)1

名古屋市中区

30

財産保全

会社

(被所有)

直接34.6

主要株主

債務被保証

地代家賃支払に対する債務被保証

(注)2

116

横山 博一

(注)1

名古屋市千種区

会社役員

債務被保証

地代家賃支払に対する債務被保証

(注)2

116

(注)1.横山博一氏は主要株主には該当しませんが、㈱夢現は横山博一氏及びその近親者の財産保全会社であることから、主要株主(個人)として各々記載しております。

2.当社グループは会館の賃借料に対して、主要株主㈱夢現及び横山博一氏の債務保証を受けております。なお、保証料の支払いは行っておりません。

当社グループは、関連当事者取引自体の合理性、必然性及び当該取引条件の妥当性等を検証したうえで、可能な限り関連当事者取引の解消、縮小に努めてまいりました。

今後も取引の必然性、取引条件を勘案し、可能な限り解消を進めていく予定であります。

ⅳ.出店・改修計画

出店計画に沿って、土地情報の収集や賃借交渉を行っておりますが、当社が希望する地域に該当する土地がない場合及び条件に折り合いが付かない場合については、出店計画に遅れが生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、既存会館の改修について、改修が集中する場合及び改修計画に変更が生じた場合については、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 災害等について

当社グループは、東海地区、関東地区、関西地区に葬儀会館を展開しており、地震、台風、洪水、津波等の自然災害により、事業活動の停止や施設の改修に係る多額の費用が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの会館が集中しております東海地区において大きな災害等が発生した場合には、その影響も大きくなることが予想されます。

これに対し当社グループとしましては、BCP計画の策定と運用確認等の対策を講じております。

⑤ 法的規制について

ⅰ.霊柩運送

当社グループの葬祭事業における霊柩運送については、「一般貨物自動車運送事業(霊柩)」として、貨物自動車運送事業法の規制を受けております。当該法規制が改正・強化され、その対応のために新たな費用負担が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、運行管理者及び整備管理者を選任し、安全運行の確保及び事故防止にかかる体制を整備しております。

ⅱ.食品衛生法

当社グループの葬祭事業においては食品の提供を行っていることから、食品衛生法の規制を受けております。万一、食中毒を起こした場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し当社グループとしましては、都道府県知事が定める基準により食品衛生責任者を置くなど適切な衛生管理を行っております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、供給制約の解消による生産・輸出の回復、円安を背景とするインバウンド需要の拡大により緩やかに回復しております。また、ペントアップ需要の顕在化や企業の設備投資の拡大等により、今後も緩やかに回復するものとみられておりますが、海外の経済・物価情勢と企業の賃金・価格設定行動等、先行きに対する不透明感は拭えない状況であります。

葬儀業界におきましては、葬儀に関する潜在的需要は人口動態を背景に年々増加するものと推計されておりますが、核家族化や葬祭規模の縮小等により、葬儀単価の減少傾向が続いております。また、直近の業界環境といたしましては、前期と比較して葬儀単価は増加する一方、葬儀件数は減少しております。

かかる環境下、当社グループは顧客満足度の向上を図るべく「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」「徹底した人財教育によるサービスの向上」「ドミナント出店による利便性の向上」を戦略の基本方針とし、直営・フランチャイズ出店による徹底した差別化戦略を展開しております。

当連結会計年度におきましては、会館数260店舗体制をはじめとする中長期ビジョンの実現とその後の持続的な成長を目指すべく「新生ティア」のスローガンのもと中期経営計画を策定し、4項目のテーマを設け8つの戦略を推進しております。新規出店の状況につきましては、直営は愛知県下に「ティア愛西勝幡」「ティア東郷」「ティア守山」「ティア岡崎南」、三重県下に「ティア四日市大矢知」「ティア四日市羽津」、大阪府下に「ティア東大阪大蓮」、埼玉県下に「ティアせんげん台」を開設し、リロケーションにより既存会館2店舗を閉鎖いたしました。フランチャイズでは、愛知県下に「ティア布袋」、岐阜県下に「ティア西可児」「ティア多治見南」、静岡県下に「ティア掛川」「ティア掛川下俣」、大阪府下に「ティア富田林駅前」、富山県下に「ティア富山天正寺」を開設し、これにより直営89店舗、フランチャイズ64店舗の合計153店舗となりました。

売上原価におきましては、固定費は増加したものの売上高の増収効果により負担割合が低下し、経費面では、営業促進の実施に伴う広告宣伝費や、積極的な人材確保による人件費、人事制度改革や新規事業立ち上げに伴う支払手数料等が増加いたしました。

この結果、当連結会計年度における売上高は140億68百万円(前期比5.9%増)となり、売上原価率は前期と比べ1.4ポイント低下し、販売費及び一般管理費は前期比10.4%増となりました。これにより、営業利益は11億35百万円(同7.3%増)、経常利益では11億32百万円(同8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億89百万円(同38.9%増)となりました。

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

(a)葬祭事業

当連結会計年度におきましては、「ティアの会」会員数の拡大を図るべく、各種会館イベントや提携団体・企業向けの営業等に取り組んでまいりました。葬儀件数におきましては、既存店の件数は減少したものの、新たに開設した会館の稼働により、前期比1.8%増の14,442件となりました。葬儀単価におきましては、供花売上の単価は低下したものの、祭壇売上、葬儀付帯品売上の単価は上昇し、前期比2.3%増となりました。この結果、売上高は135億54百万円(同5.4%増)、営業利益は23億31百万円(同12.8%増)となりました。

(b)フランチャイズ事業

当連結会計年度におきましては、FC会館が前期と比べ7店舗増加したことによりロイヤリティ売上が増加し、またFC会館への物品販売も増加いたしました。経費面ではFC本部の強化を図るべく人材を増員し、この結果、売上高は5億13百万円(同20.6%増)、営業利益は67百万円(同1.0%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は38億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ47百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1億39百万円減少したものの、売掛金及び契約資産が1億35百万円、その他流動資産が43百万円増加したことによるものであります。固定資産は114億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億61百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が9億88百万円、無形固定資産が94百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、153億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億9百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は47億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億90百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が4億73百万円増加したことによるものであります。固定負債は27億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億40百万円増加いたしました。これは主に資産除去債務が3億51百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、74億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億31百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は78億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億78百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が7億89百万円及び剰余金の配当4億49百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は51.2%(前連結会計年度末は52.9%)となりました。

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、29億41百万円(前期比4.5%減)となりました。

なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は12億72百万円(同6.0%減)となりました。これは主に、法人税等の支払額4億44百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益が11億32百万円、減価償却費が6億25百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は14億10百万円(同55.6%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12億29百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2百万円(同99.1%減)となりました。これは主に、短期借入による収入17億56百万円がありましたが、短期借入金の返済による支出12億83百万円、長期借入金の返済による支出5億1百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

b.受注実績

該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

前期比(%)

金額(百万円)

葬祭事業

13,554

5.4

フランチャイズ事業

513

20.6

合計

14,068

5.9

(注) 金額は販売価格によっております。

d.葬儀請負の実績

最近2連結会計年度の地域別葬儀請負施行件数の実績は、次のとおりであります。

地域

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

店舗数

施行件数(件)

店舗数

施行件数(件)

名古屋市内

37

7,334

38

7,384

愛知県内(名古屋市内を含まず)

27

4,632

28

4,674

愛知県外

19

2,223

23

2,384

合計

83

14,189

89

14,442

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要としておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度につきましては、前期比で3期連続の増収増益となりました。

(売上高)

売上高における増減要因分析といたしましては、葬祭事業は葬儀件数、葬儀単価共に増加し、前期比5.4%増収の135億54百万円となりました。フランチャイズ事業におきましては、FC会館が前期と比べ7店舗増加したことによりロイヤリティ売上が増加し、またFC会館向け物品販売も増加し、前期比20.6%増収の5億13百万円となりました。

これにより、売上高は前期比5.9%増収の140億68百万円となりました。

(売上原価)

売上原価率におきましては、固定費は増加したものの売上高の増収効果により前期と比べ1.4ポイント低下し、売上原価率は59.0%となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費におきましては、営業促進の実施に伴う広告宣伝費や、積極的な人材確保による人件費、人事制度改革や新規事業立ち上げに伴う支払手数料等が増加し、前期比10.4%増の46億34百万円となりました。

(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)

利益におきましては、経費は増加したものの売上高の増収と売上原価低減により、営業利益は前期比7.3%増益の11億35百万円、経常利益で前期比8.1%増益の11億32百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比38.9%増益の7億89百万円となりました。

(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

2022年11月11日に公表いたしました連結業績予想は、既存店売上高の増収と新店稼働に伴う効果及びフランチャイズ事業の業容拡大を見込み、売上高を140億75百万円(同6.0%増)と予想しておりました。利益におきましては、売上高の増収効果を見込む一方、「積極的な人材採用」「中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施」「本社北館建設(ティア・デザイン・ラボ)に係る設備投資費用」等を見込んでおりました。これにより、営業利益は11億円(同4.0%増)、経常利益では10億85百万円(同3.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億10百万円(同24.9%増)を予想しておりました。

これに対し実績は、葬儀件数、葬儀単価共に想定を下回ったものの、新規事業の売上高が寄与し、概ね売上予想通りとなりました。また、利益におきましては、売上原価率が想定を下回って推移したことにより、経常利益で業績予想比47百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、業績予想比79百万円のそれぞれ増益となりました。

③ 財政状態の分析

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業の運営上、必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価の主な構成要素であります葬儀施行に伴う外注費、労務費、経費のほか販売費及び一般管理費、有利子負債の返済及び利息の支払等があります。投資を目的とした資金需要は葬儀会館の建設等の設備投資によるものであります。

運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローによって賄われておりますが、状況に応じて銀行借入を利用していく方針であります。

当社グループは健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達は可能であると考えております。

 

5【経営上の重要な契約等】

主なフランチャイズ契約

相手方の名称

契約内容

契約期間

株式会社天翔苑

葬儀事業の経営に関するノウハウ等の提供を行う契約

2006年2月1日から10年間

(以後、1年毎の継続契約)

南海電気鉄道株式会社

葬儀事業の経営に関するノウハウ等の提供を行う契約

2016年8月31日から5年間

(以後、3年毎の継続契約)

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。