文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、「世界中のありがとうの物語を蓄積し可視化する」をパーパス(存在目的)に掲げ、「問い」から始まり「ありがとう」が生まれるコミュニケーションの習慣化と、生まれた「ありがとう」の可視化により、組織やコミュニティ内の関係性向上と労働生産性を高めるソリューションを提供しています。このように、「Oshiete(教えて)」「Kotaeru(答える)」「ARIGATO(ありがとう)」という気持ちを循環させ、波(WAVE)のように広げることで、人々の関係性を向上させ、世界中の様々な問題を解決へつなげていくことを目指しています。特に、分断社会、格差社会と言われる社会環境の中で広がる社会課題に対し、社会的価値を創造することで収益の極大化と事業・企業価値を最大化させることが当社の経営方針です。Q&Aの力により困っている人と回答力のある人をマッチングするQ&Aコミュニティ「OKWAVE」の発展、法人向けサービスであるサポートシェアリングソリューション「OKWAVE Plus」、「ありがとう」をカタチにして人とのつながりを深め、ビジネスをスムーズにするクラウドサンクスカード「GRATICA」を発展させることで、より多くのユーザーを獲得し、人々がお互いにサポートしあう社会の創出を目指し、社会的価値を高めかつ企業価値を高めてまいります。
当社は収益性及び成長性の観点から売上高・営業利益・当社サービスの登録利用者数(アカウント数)・ページビュー(PV)数・企業向けサービスの導入数を重要な経営指標としております。また、ユーザー満足率の観点から「ありがとう数」を重視しております。
近年、インターネットや生成AIを中心としたデジタルテクノロジーの発展により、人々の生活は大きく変化し、日本国内をはじめ世界各地で格差が広がり、分断や対立が起こっています。企業内、組織内においては、労働生産性を高めるためにお互いの関係性を高めるために組織内の心理的安全性を高める取り組みが行われ、エンゲージメントの向上が注目されるようになりました。加えて、特に日本国内においては、少子高齢化と人口減少の中で、多くの企業において収益力が低下し労働者の賃金は上がらず、行政においても共助・公助の負担増による財政破綻が問題になりつつあり、互助の必要性が叫ばれつつあります。
このような社会環境の中で、当社サービスが社会の中で担う役割の重要性は増しています。当社は創業からWeb3.0の思想を持ち、以来「互助」を中心とした自律分散型のサービスの提供を行っており、今後も「人と人とが、広く、オープンに、フラットにつながることによる、お互いを助け合いサポートするチカラ」を基盤にした、「互助プラットフォーム」と「組織内に互助の絆と関係性を生むサービス」を提供、および開発をしてまいります。そのサービスの活性化のカギとなるのが「ありがとう」という感謝のチカラで、ありがとうによって、人と人とがより強く、信頼を持てつながることができるだけでなく、交換された「ありがとう」の情報が、Web3.0とAIのテクノロジーの活用により社会的価値を生むような事業を創造することを目指します。
また、近年のAIの進化は目を見張るものがあります。特に、ChatGPT(チャットGPT)に代表される生成AIの台頭は、当社が「Q&A形式での問題解決サービス」という事業領域である限りにおいては、当社にとって脅威になりえると考えています。このため当社では、「確度の高い正解を提供する」領域においては、当社の所有するデータによって学習したAIの積極的活用を行い、「正解のない」領域についてより注力し、多くの人のありがとうが交わされ、PCやスマートフォンの画面越しに多数の人のつながりを感じられるようなサービスを積極的に展開します。
当社は、社会課題の増加と個人的な苦悩度合いの深刻化を背景に、中長期的にお互いが助け合う社会への構造変化を促すため人が人を支える仕組みを提供し、インターネットを活用して悩みを解決し社会に貢献することが当社の重要な役割であると考えております。そのため、感謝の見える化の実現に向けQ&Aコミュニティ「OKWAVE」においては登録ユーザー数の拡大を、「OKWAVE Plus」においては法人顧客の拡大及び回答者の拡大を目指します。サンクスカードサービス「GRATICA」においては法人顧客基盤の強化に向け、利用機会の拡大及び利便性の向上に努めます。
特に、「DXによる複雑化」「自然災害の増加」「少子高齢化」「労働人口の減少」「孤独・孤立」といった領域は注力する分野だととらえており、これらの領域を中心に社会的価値を創造することで、収益の極大化と事業・企業価値を最大化に取り組みます。
当社グループが対処すべき特に重要な課題は、以下のとおりであります。
(コーポレートガバナンスの改善・強化)
当社は、2022年4月にRaging Bull合同会社との取引において発生した債権の取立不能または取立遅延のおそれが生じたため、当該取引の実態を調査するための調査委員会を設置し実態調査を実施しました。2022年6月10日に受領した調査委員会の調査報告書において、ガバナンスの不備が報告されました。
また、名古屋証券取引所より内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたため、2022年10月15日付で当社株式は特設注意市場銘柄(現 特別注意銘柄)に指定され、再発防止策を策定し、コーポレートガバナンスの強化、内部管理体制の整備等、再発防止策の実施に真摯に取り組みました。その結果、2024年5月31日付で、特設注意市場銘柄の指定を解除されることができました。
当社は、一連の不祥事により、株主、投資家及び取引先などステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを忘れず、今後も内部管理体制を常に見直し、以下の改善策を引き続き着実に実施・運用することによるガバナンスの強化を図り、企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。
① 法令遵守の意識
外部からの専門家を招き、コンプライアンス教育を実施いたします。それぞれの職務や立場に合わせた研修の仕組みを確立させて、定期的な施策により社員全員(役員も含む)の法令遵守の意識を保持します。また、取締役会においては、個々の事業に着手する際には、特別利害関係取締役に該当するか否か(法令・定款に反する事項はないか)を確認することを徹底します。
また、法務・コンプライアンス重視の経営姿勢を強く意識し、法務部との事前協議を決裁要件に含めるなど、体制の強化に努めてまいります。
② 特定の人物に対する先入観に流されないための対策
特定の人物の知人・紹介というだけで、その人物又は会社を信頼することはせず、取締役会には常に審議に必要な情報の全てが提出され、客観的事実と証拠に基づいて不明瞭な点が解消されるまで活発な議論を行える体制に改善してまいります。
③ 取締役相互間ならびに社内会議体との連携・相互監督の強化
取締役相互間で容易に連絡ができるような仕組みづくり、かつ取締役会と業務執行取締役と部長で構成される会議との連携・相互監督を強化することで、特定人物に情報が偏ることなく取締役全員が同じ情報を持ち、公平かつ公正に審議が行える体制へ改善してまいります。
④ 取締役会の調査、与信管理及びリスク管理不足について
取締役会で指摘・助言等があった場合、特定の人物の調査に偏ることなく、外部の専門機関や内部監査室を中心とした構成員による調査を実施するように改善してまいります。また、与信管理体制及びリスク管理体制を強化し、特に取引金額が大きくなる場合は、複数の視点からのアプローチによる調査を実施いたします。
⑤ ガバナンス体制の根本的な改善・再構築
社内規程にある職務権限決裁管理表の起案者、承認者、決裁者が、特定の人物のみで行われることがないよう、起案者は承認、決裁に加わることができないといった相互牽制の仕組みを取り入れることで、ガバナンスを高めてまいります。
⑥ 内部統制部門及び内部監査体制の強化
内部牽制システムを実質的に機能させるために、経験のある人員を増員した上で職務を適切に分掌し、内部統制部門及び内部監査体制の強化を図ります。
⑦ 開示体制の見直し
上場会社として適時開示を適正に行うために、適時開示を担当する部門に関する人的体制を拡充し、複数の役職員の関与のもと、適時開示の時期及び内容をチェックできる体制を構築してまいります。
(営業損益及び営業キャッシュフロー向上)
当社グループは、2021年6月期から前連結会計年度までの営業利益及び営業活動によるキャッシュ・フローの額が負であるため、当連結会計年度に営業利益又は営業活動によるキャッシュ・フローの額が正とならないときには、名古屋証券取引所ネクスト市場の上場維持基準である業績項目に該当し、上場廃止となる可能性がありました。当連結会計年度は特に営業キャッシュ・フローの創出に注力した結果、当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは64,464千円となり、上場廃止を回避できる見込みです。しかし、依然として、営業損失の状況であり、今後の成長に向けて、営業利益と営業キャッシュ・フローの創出に引き続き努めてまいります。
(資金繰りの改善及び財務体質の強化)
当社グループは当連結会計年度において第三者割当及び新株予約権行使による増資を行ったことや損失が改善したことにより、当連結会計年度末の現預金残高は542,309千円となり、前連結会計年度末比で手許資金の水準は改善しております。しかしながら、営業損失が継続して発生しており、資金繰りの改善及び財務体質の強化を図る必要があると考えております。そのため財務基盤の回復に努めるべく、引き続き営業損益の改善及び様々な資金調達方法を検討してまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「世界中のありがとうの物語を蓄積し可視化する」をパーパス(存在目的)に掲げ、「Oshiete(教えて)」「Kotaeru(答える)」「ARIGATO(ありがとう)」という気持ちを循環させ、波(WAVE)のように広げることで、人々の関係性を向上させ、分断社会、格差社会と言われる社会環境の中で広がる社会課題に対し、社会的価値を創造することを目指しております。持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現するべく、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要課題であると認識しております。会社法に基づく機関である株主総会、取締役会及び監査役会を設置し事業運営に対する適切な管理・監督を実施しております。また、専門性を有し、豊富な実務経験を有する当社から独立した社外取締役及び社外監査役が当社に対して的確なアドバイスを行っております。
なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、
当社グループは、パーパスを個々の役職員が共有すべき価値観として定め、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。また、株主をはじめとするステークホルダーの皆様からの信認が得られるように適切な経営判断を行い、透明性の高い経営を行うべく、コーポレート・ガバナンスの強化を行ってまいります。経営上のリスクについては、監査役会、取締役会等にて充分な協議を行うとともに、代表取締役社長が委員長となるリスクコンプライアンス委員会を毎月開催することにより、想定されるリスクを早期にとらえ、適切に対応できる体制を整備しております。
①人的資本
当社グループは、事業が持続的に成長していくためには、当社のパーパスに共感する多様な人材の採用・育成が重要であると考えております。そのため、今後、性別、国籍、キャリア採用問わず多様な人材活用を推進していく方針です。また、中長期的な従業員の成長支援のため、今後、キャリアデザインや研修制度の充実を図り、多様な人材が活躍できる社内環境を整備してまいります。具体的には、外部社労士や監査役にハラスメントや社内規程違反、法令違反について通報できる内部通報窓口を設けているほか、半期に一度従業員へのアンケートを実施し、風通しの良い文化の形成、働き甲斐のある組織の形成を図っております。
2022年8月の現経営体制への移行後、当社は経営再建の途上にありますが、その過程で従業員の退職もあり、組織体制も大幅に変化しました。そこで、現体制下では、組織としての一体感を持ちつつ、個々人がより活躍できる環境の整備に特に重点を置くことが、従業員のモチベーションの向上・退職リスクの軽減に資すると考えております。
②情報セキュリティ
当社はインターネットを通じてサービス提供を行っております。その特性上、不正アクセスやウイルス等の攻撃に関する対策が重要であると認識しております。当社は、重要な情報セキュリティ上の課題について、毎月開催しておりますリスクコンプライアンス委員会にて検討・協議しております。
①人的資本
当社グループでは、人材の多様性を含む人材の育成及び社内環境の整備について、年齢や性別、経歴等では区別せずに、平等に機会を得ることができる社内環境を整備する方針であり、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関して性別や国籍等に紐づく具体的な指標は定めておりませんが、従業員が最大限の力を発揮し活躍できるよう環境の整備に努めております。研修を実施しているほか、従業員アンケートを定期的に実施し、執行役員会議にて内容を検討し、全社会でのフィードバックを実施しております。
②情報セキュリティ
当社は、情報管理を継続的に強化することが重要であると考えており、具体的な指標は定めておりませんが、毎期ISO27001の更新審査を受けております。また、情報セキュリティ規程に基づき管理を徹底するだけでなく、社内教育・社内研修を継続して行っております。
当社は「世界中のありがとうの物語を蓄積し可視化する」をパーパス(存在目的)に掲げ、お互いに助け合いサポートし合う(互助)プラットフォームであるQ&A形式のコミュニティ「OKWAVE」の運営を中核に、組織や地域コミュニティの互助力を高めることで生産性を高めるソリューションを提供しています。
現在、当社グループでは企業理念の実現に向けて、創業以来運営しているQ&Aサービスの提供のほか、HR分野を対象としたソーシャルカードサービスを展開しております。このような事業の発展による収益構造や外部環境の変化を見据え、事業のリスクに対して適切かつ迅速に対処できる環境を整えるため、リスク管理についても組織的に取り組んでおります。
下記に示しておりますリスクは本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当連結会計年度末日(2025年6月30日)において投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクであると当社が判断しているものであり、全てが網羅されているとは限りません。記載されたリスク以外のリスクが顕在化することで、それらが当社事業に悪影響を与える可能性があります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
a.レピュテーションの低下(発現可能性 低、影響度 大)
当社グループが運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」に提供される質問・回答、商品、サービスに関する評価情報等は、全て利用者から提供される情報であり、利用者に質問・回答を強制することはできません。加えて、他のWebサイトと同様、Q&Aコミュニティには有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答も寄せられる可能性があります。当該リスクの発生可能性、発生時期は予測不能であり想定しておりませんが、何らかの原因により利用者から質問・回答等が提供されない状況が続いた場合や、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答が続いた場合、サイトの利用価値が薄れ、利用者からの信頼を失い当社グループの業務運営や、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、健全で質の高いサイト運営を実現させるため、参加度合に応じたポイントの付与等、参加意欲の醸成を図る方針です。
b.競合の発生と競争激化(発現可能性 低、影響度 中)
企業向けサービスの提供においては、Q&Aコミュニティの運営ノウハウやシステムを各クライアント企業へ、特にカスタマーリレーションを目的として提供することで収入を得ております。今後の市場の動向や競合他社との価格競争等によっては当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。当該リスクの発生可能性、時期については当社グループの提供するシステムやマーケティング戦略が競合他社と比較して劣る場合には常態的に存在するものと考えており、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、Q&Aコミュニティを長年運営してきたノウハウにより他社との差別化に取り組んでいるほか、競合他社の動向を注視し、適切な販売価格の設定に取り組んでおります。さらに、新規事業領域の拡大に向けた新製品の開発、マーケティングの実施に取り組んでおります。
C.ドメイン「okwave.jp」の所有権(発現可能性 低、影響度 大)
2021年6月に当社グループが運営していたソリューション事業を分社化により株式会社PRAZNA(現 株式会社PKSHA Communication)を新設し、株式会社PKSHA Technologyに譲渡しております。それに伴い、株式会社PKSHA Communicationに対して、「OKBIZ.」シリーズおよび「IBISE BY PKSHA」での「okwave.jp」ドメイン(以下「本ドメイン」)の使用許諾を行っておりましたが、当社が2022年7月に監理銘柄(確認中)に指定されたことにより、株式会社PKSHA Communicationに本ドメインが譲渡されております。なお、株式会社PKSHA Communicationで本ドメインの利用が終了した場合には当社に再譲渡する契約となっており、最終的には当社に本ドメインは帰属するものであること、また、当社が本ドメインを使用することは許諾されておりますが、本ドメインが当社に再譲渡なされない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 新規事業に関するリスク(発現可能性 低、影響度 中)
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.訴訟の提起(発現可能性 中、影響度 中)
当連結会計年度において、当社グループでは多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があり、その内容によっては当社グループの信用状況や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、事業に関連する各種法令、規制を遵守するとともに、知的財産権の適切な管理、契約内容の明確化、相手方との協議の実施により紛争の発生を未然に防ぐよう努めております。また、経営管理部を中心に関連会社の法務担当及び顧問弁護士等と連携し、体制の強化に努めております。
しかしながら当社では、2022年4月18日に資金の運用を委任していた取引先の依頼を受けた代理人弁護士より、当該取引先が法的整理を行う方針であり、その債務整理を受任した旨の通知を受領しました。この通知により、当該取引先との間の契約で定めた投資運用が行われていない可能性があり、当該取引先に対する債権の取立不能または取立遅延のおそれが生じたことから、2022年6月27日付で過年度の決算訂正を行うとともに、多額の貸倒引当金を計上しております。今後、当該事項に関連して、株主等から訴訟を受ける可能性があります。
b.法的規制(発現可能性 低、影響度 大)
当社グループの事業は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等の制約を受けますため、今後、法的規制の変更等により新たな対応を余儀なくされる場合があります。このようなリスクが発生するのは各省庁等における現行の法解釈に何らかの変化が生じた場合、または、新たにインターネット関連業者を対象とした法的規制等が制定された場合と考えております。当社グループの業務が制約を受け想定通りに事業運営が進まなくなる等、当社グループの経営成績、及び今後の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、遵法精神のもと各法に従って業務を遂行しております。また、経営管理部を中心に関連会社の法務担当及び顧問弁護士等と連携し、体制の強化に努めております。
a.システムトラブル(発現可能性 低、影響度 大)
システム障害、外部からの不正アクセス等、当社グループの事業はインターネットを中心にした通信ネットワークに依存しております。そのため、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりネットワークが切断される場合や、事業所の損壊やその他の理由により業務継続が困難になる場合があり、Webサイト運営に支障が生じ、当社グループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また、外部からの不正アクセスやウイルスの攻撃等による犯罪、職員の過失等によりデータの書き換え、データの消去や不正流出の恐れがあります。これらの障害や不正の発生可能性、時期は予測不可能であるため想定しておりませんが、発生した際には当社グループに直接損害が生じるほか、当社グループシステムへの信頼が低下し当社グループの事業、業績並びに企業としての社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、安定的な運用のためのシステム強化、セキュリティ強化、負荷分散、ディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等、通信環境安定化に努めております。
b.情報漏洩(発現可能性 低、影響度 大)
不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、当社グループが保有する利用者等の個人情報、特定個人情報及び顧客企業に関する情報が外部に漏洩し、不正使用される可能性があります。これらの事態の発生可能性、時期は予測不可能であるため想定しておりませんが、このような事態が起こった場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社情報セキュリティマネジメントに対する信用の失墜により、当社グループの事業推進及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、当社グループが保有する利用者等の個人情報、特定個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、ISO27001を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏洩に対応する保険に加入しておりますが、全ての損失が完全に補填されるとは限りません。
a.人材獲得競争の激化(発現可能性 低、影響度 中)
今後、人材獲得の激化による既存社員の流出や新たな人材の確保ができない場合があります。このようなリスクは当社の職場環境、待遇が競合他社に比較して劣る場合には常態的に発生すると考えておりますが、発生した場合には十分なリソースの確保ができず当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、従業員の成長とやりがいの充足のため、定期的に新規事業創出の機会を与えております。また、働き甲斐のある職場環境の醸成にむけ組織環境を労使間の対話を通じて検討するなどの機会を設けております。
a.保有資産の損傷、システムや社員への被害による経済活動、事業活動の停滞
自然災害が多く発生している昨今において大地震、水害、気候変動に伴うその他の自然災害により当社グループの事業運営が停滞し、開発や販売活動に支障をきたした場合、当社グループの業務運営や、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、緊急対策室を中心にBCP(事業継続計画)の策定、強化を行っております。またBCP訓練を定期的に実施し、緊急時の対応に関する社員教育を行っております。データに関してはディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等の対策を行っております。
a.新型コロナウィルス等の感染症の感染拡大(発現可能性 低、影響度 小)
重大な新型感染症が発生し感染拡大した場合は、広範かつ予測が困難であり、問題が長期化することが予想されるため当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、リモートワーク、外出自粛といった外部環境の変化のなかで求められるサービスの提供を進めております。加えて、業務執行体制、販売体制においても従前と同様の対応をリモートにて行えるよう措置を講じております。
当社グループは、2022年6月期において、Raging Bull合同会社への投資運用取引による損失を、またOK FUND L.P.を通じて買収した株式会社アップライツ等の連結子会社化に関連する損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は5,120,709千円となりました。
2023年6月期においても株式会社アップライツ等に係る投資有価証券評価損318,581千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は1,066,368千円となりました。 また、2023年6月期末における純資産は△98,562千円の債務超過となりました。
このような状況の中、2023年5月12日開催の臨時株主総会で株主割当による新株予約権の発行を決議し、当新株予約権の権利行使により総額757,371千円の新株発行を行いました。また、2023年9月13日を払込期日とする現物出資(借入金の株式化)により、191,664千円の新株発行を行いました。その結果、2024年6月期における純資産は185,891千円となり、債務超過は解消しましたが、営業損失の状況が続いており、親会社株主に帰属する当期純損失は280,229千円となりました。
当連結会計年度においては、広告売上の改善や継続したコスト削減、営業利益を創出している株式会社オープンサイトの株式取得に伴う連結子会社化により、営業損失は前連結会計年度と比べて減少しているものの、依然として営業損失114,741千円となっており、2020年6月期以降において営業損失が継続しております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
①既存事業の収益構造の改善
顧客データの分析により事業の成長性を見極め、事業運営体制を見直し、確実性が高い分野へリソースを再配分することで、営業損益及び営業キャッシュ・フローの向上を図っております。
また、売上原価・販売費及び一般管理費について、前連結会計年度より大幅なコスト削減を実施しております。
②M&Aの実施による収益構造の改善
今後、M&Aにより収益力のある企業・事業をグループ化することにより、当社グループの事業展開を加速させるとともに、営業損益及び営業キャッシュ・フローの向上を図ってまいります。
③財務基盤の安定化
当社グループは、運転資金の安定的な確保と維持に向け、子会社の解散・清算を進めるなどグループ内の資金を最大限に有効活用してまいります。なお、取引金融機関等に対しても、引き続き協力を頂くための協議を進めていくとともに、資本の増強策の可能性についても検討しております。
しかしながら、当連結会計年度において114,741千円の営業損失の状況であることから、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループは、「プラットフォーム事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績等の記載を省略しております。
(1) 経営成績の状況
当社は2024年9月30日「上場維持基準(業績)に係る改善期間入りに関するお知らせ」開示の通り、上場維持基準(業績)に係る改善期間に入っており、2025年6月期に営業利益又は営業活動によるキャッシュ・フローの額が正とならないときには、名古屋証券取引所ネクスト市場の上場維持基準である業績項目に該当し、上場廃止になる可能性がありました。そのため、当社は、当連結会計年度において、上場維持及び今後の成長に向けて、営業利益と営業キャッシュ・フローの創出を最重要課題とし、以下の施策の実施に重点をおいてまいりました。
① オフィス移転、最少人数での効率的な事業運営、専門家報酬の減額等によるコスト削減
② 広告収益の改善
③ 中長期を見据えた注力領域・事業ポートフォリオの創出
④ ③に適合した M&Aの実行
広告事業においては、昨年から検索エンジンのアルゴリズムアップデートの影響を受けPV数の減少が続いており、PV数に依存したアドネットワーク広告中心の広告売上を改善すべく、当連結会計年度においては、純広告契約や高単価の広告商材の獲得へのシフトを行いました。純広告等の契約を獲得するための提案(営業)活動から記事制作、広告掲載、効果検証などの体制を短期間で整備することができ、また、2025年4月14日にはGFA株式会社のWebプロモーション業務を受託することができ、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度を大きく上回る着地となりました。
また、クラウドサンクスカード「GRATICA」及びQ&Aコミュニティ「OKWAVE」と連携した「OKWAVE Plus」の売上高は、解約による導入企業数の減少はあったものの、単価改善や、単発でのご利用があったこともあり、前連結会計年度とほぼ同水準での着地となりました。
連結子会社であるOKWAVE USAの事業停止(2025年6月に清算結了)による売上高減少の影響があったものの、2024年7月末に株式取得した中高年のオンラインマッチングサービスを提供している連結子会社である株式会社オープンサイト(以下、オープンサイト社という)において売上高57,230千円を計上することができました。
以上により、当連結会計年度の売上高は234,701千円(前年同期比81,921千円増)となりました。
営業損益におきましては、連結子会社オープンサイト社の新規連結によるのれん償却額が11,123千円発生したものの、当社従業員の退職(前期末までに発生した退職)により人件費が減少したこと、オフィス移転により地代家賃が減少したこと、支払報酬が減少したこと等により、総コスト(売上原価と販管費の合計)は前年同期比88,865千円減少しました。営業損益は前期から毎四半期改善しているものの、依然として固定費を回収できるまでの売上増加に至っておらず、その結果、売上総利益は103,621千円(前年同期比102,013千円増)、営業損失114,741千円(前年同期は285,528千円の営業損失)となりました。
経常損益におきましては、当連結会計年度では、株主代表訴訟対応等の臨時の弁護士費用、ファイナンスに係る専門家費用等の発生があり、経常損失160,260千円(前年同期は369,585千円の経常損失)となりました。また、Raging Bull合同会社に対する投資資金の回収不能の件について当社元監査役との和解金29,500千円の受取りがあったことと、連結子会社であるOKWAVE USAの清算による関係会社清算損10,218千円の発生等により、親会社株主に帰属する当期純損失135,312千円(前年同期は280,229千円の親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
a.生産実績
当社グループは、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注状況
当社グループは、受注から納品までが短期間のため記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは「プラットフォーム事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
(注) 主な相手先別の販売実績及び販売実績に対する割合
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、1,725,331千円(前連結会計年度末比294,951千円増)となりました。これは主に、前払費用が26,226千円減少し、現金及び預金が269,257千円、オープンサイト社の新規連結によりのれんが73,820千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債総額は、1,352,813千円(前連結会計年度末比108,324千円増)となりました。これは主に、前受金が63,447千円、未払法人税等が9,080千円、長期前受金が28,000千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、372,517千円(前連結会計年度末比186,626千円増)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金がそれぞれ140,922千円、新株予約権が21,997千円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が135,312千円減少したこと等によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ269,257千円増加し、542,309千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、64,464千円の収入(前年同期は367,634千円の支出)となりました。これは主に、営業損失の計上114,741千円、和解金収入29,500千円、未収消費税等の減少13,869千円、未収還付法人税等の減少8,624千円、前払費用の減少26,940千円、前受金の増加58,952千円、長期前受金の増加28,000千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、82,985千円の支出(前年同期は1,309千円の支出)となりました。これは連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出89,091千円、差入保証金の回収による収入6,105千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、287,800千円の収入(前年同期は486,511千円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入281,202千円、新株予約権の発行による収入6,605千円等によるものであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費を中心とした売上原価や販売費及び一般管理費の運転資金のほか、事業拡大のための事業開発資金であります。
当該資金につきましては、内部留保による手元資金のほか、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関等からの借入、株式発行による収入を基本としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。
当社はOK FUND L.P.のゼネラルパートナーであるEMZ ASIA Holdings Co., Limitedとの間で、主に以下の内容のAMENDED AND RESTATED MANAGEMENT AGREEMENT OF EXEMPTED LIMITED PARTNERSHIP(リミテッドパートナー契約)を締結しておりますが、2022年9月にOK FUND L.P.を清算する旨の決議を行っており、今後解消予定であります。
(1)契約締結日
2021年12月15日
(2)契約期間
投資期間の終了時またはパートナーシップの約定総額の少なくとも4分の3を保有するリミテッドパートナーが決定するより早い時期
(3)契約内容
OK FUND L.P.の運営に関する取り決め
(4)手数料及び費用
当社は、GFA株式会社(現:abc株式会社。以下「GFA」という。)との間で、2025年4月17日付で資本業務提携契約を締結しております。詳細は以下のとおりであります。
(1)契約の概要
(2)合意の内容
① 当社が運営するサービスにおいて、にゃんまるコイン(注)を実装すること
(注)にゃんまるコインとは、パチンコホール運営のマルハンによるIP「にゃんまる」をモチーフに
した、ソラナ(Solana)というブロックチェーン上のミームコイン(SNS やネットカルチャーで話
題となった題材を用いて発行される暗号資産)。
② 当社及びGFAグループ各社(GFA、その子会社及びその投資先(GFAが組合員である投資事業有限責
任組合その他組合を含む。)を総称していう。以下同じ。)のリソースやサービスを活用し、事業
開発を行うこと
③ 当社及びGFAグループ各社のサービスについて、相互活用することや相互に営業協力を行うこと
④ 当社及びGFAが協力してM&Aを実行すること
⑤ 当社及びGFA は、相手方の業務を円滑に遂行させるため、合理的に必要な限度で、自らの従業員を
相手方に出向させることができること
⑥ 当社及びGFAは、相手方の指名する者として1名を、GFAを割当予定先とする本新株式及び本新株予
約権の発行の効力発生後に開催される最初の当社の定時株主総会において当社の非業務執行取締役
として選任するために必要となる措置を合理的に可能な限り講ずること
(3)合意の目的
当社は、上場廃止の回避とその後の持続的な成長を実現するため、資本業務提携を決定致しました。具体的には、本提携により資金調達を行い、営業キャッシュ・フローの黒字化と新たな事業ポートフォリオの創出を目指します。また、GFAのWeb3.0事業支援を活用し、当社の自律分散型インターネット事業を再構築するとともに、両社でエコシステムの拡大を推進します。これにより、短期的な財務基盤の安定化と中長期的な成長基盤の確立を図ってまいります。
(4)取締役会における検討状況その他の当社における合意に係る意思決定に至る過程
2025年4月17日の取締役会において検討がなされ、決議されました。
(5)今後の見通し
本資本業務提携は、当社の営業利益及び営業キャッシュ・フローの黒字化に向けた取り組みであり、本資本業務提携によって営業利益及び営業キャッシュ・フローが増加し、財務内容の改善に寄与するものと考えております。
該当事項はありません。