第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの企業理念

 当社グループは、グループの存在意義である企業理念として「貢献」を掲げています。最高品質のサービスを提供させていただくことにより、お客様の発展に貢献し、従業員とその家族を幸せにし、グループの発展と、社会に貢献することを目的としております。

 また、当社グループの使命(ミッション)は、お客様のシステムセキュリティを確保し、事業運営を安心して継続されるためのシステム運営支援者として、「安全」で「役立つ」サービスを提供し、お客様に末永くお付き合いいただける企業グループを目指してまいります。

 

(2)経営の基本方針

 当社グループは、ITセキュリティ専業でビジネスを展開する数少ない日本の企業集団であり、企業理念の実現に向けて、以下の3つの強みを軸に事業を展開しております。

 

当社グループの強み

会社

1.事業ノウハウ

創業時からインターネットの社会インフラとしての成長とともに歩むことで蓄積されたセキュリティ運用ノウハウ

株式会社セキュアヴェイル

2.人材

創業時から首尾一貫してセキュリティ運用サービスを提供し続ける中で育成してきた人材と教育プログラム

株式会社キャリアヴェイル

3.自社開発

  ソフトウェア

創業時からセキュリティ運用の標準化を考え、時代とニーズの変化に合わせ最適化してきたセキュリティ運用プラットフォーム

株式会社LogStare

 

 また、セキュリティ運用に欠かせない現場の動向・情報が常に最新に保たれる「垂直統合型ビジネスモデル」を確立しており、専業事業者として、24時間365日体制での運用・監視等のサービス提供からログ分析システム、ネットワーク運用監視システムの開発、提供、保守に至るまで、ワンストップサービスを提供するとともに、サービス品質の向上に取り組んでおります。

 

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                  [垂直統合型ビジネス]

 

(3)経営環境及び経営戦略、対処すべき課題等

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等により、緩やかな景気回復が継続することが期待されるものの、急激な為替変動をはじめとした金融市場の変動による世界経済の減速や物価上昇、人手不足による人件費高騰、さらなる国際的な情勢不安等、引き続き、先行き不透明な状況が続いています。

 当社グループを取り巻く情報セキュリティ市場では、「能動的サイバー防御」関連法案の整備検討に時間を要している中、ネット証券取引における不正アクセスの急増、システムの脆弱性を突いたサイバー攻撃が後を絶たず、サイバー安全保障分野で欧米主要国より遅れている日本を狙ったネット犯罪の被害は急増しており、社会経済活動に与える影響は年々深刻化しております。

 当社グループとしては、上記のような事業環境の変化をビジネス機会として捉え、事業の拡大・成長を計画しており、戦略及び対処すべき課題は、以下の通りです。

1.対処すべき課題

①営業体制の強化

 当社グループが更なる成長を果たしていくためには、営業体制の強化及び認知度の向上が重要であると認識しており、多様な顧客ニーズに対応すべく、新たな販売パートナーの開拓及び既存パートナーの深耕に取り組んでおります。今後は、販売パートナーがより当社グループの製品・サービスを販売し易くなるようパートナー向け支援策の拡充や新規サービスの企画・開発、セミナー・イベントの開催などに取り組んでまいります。また、セールスプロモーション等のマーケティング活動等により、認知度の向上を図ってまいります。

②顧客との関係性強化

 当社グループの提供するストック型ビジネスにおいて、顧客との契約継続は安定的な収益確保の基盤であり、他方、解約は業績変動リスクを増加させるものであります。既存顧客との契約継続、更にはアップセルやクロスセルによる取引拡大の対策として、定期報告会の実施、オンライン会議等による顧客満足度の調査・ヒアリング、新たなサービスの提案、キーマンとのコミュニケーション強化など、組織をあげて既存顧客へのフォロー体制を構築し、解約リスクの早期察知と防止、取引拡大を図ってまいります。

③サービスの強化及び新規開発

 当社グループの提供する運用監視サービスの基盤強化や新規サービス開発に対する投資は、新規顧客獲得のみならず、既存契約の更新率を高め、安定した収益の維持やサービス領域の拡大に繋がります。情報セキュリティに対する脅威は日進月歩であり、顧客のニーズも多様化してきております。顧客の利用環境に応じたクラウド型サービスの提供や業種セグメントに特化したサービスの開発、新たな脅威に対するサービスの開発等に努め、サービスの差別化、高付加価値化を進めてまいります。

④人材確保と育成

 当社グループのサービスを安定的に継続提供し、更に進化させていくためには、優秀な技術者を中心とした人材の確保と育成が重要となっております。採用活動で採用した人材や社内人材に対して、従業員が能力を最大限発揮し活躍できる体制を構築、整備することで、組織全体の更なるレベルアップを図ってまいります。

 

2.目標とする経営指標

 

2026年3月期

連結売上高

1,320百万円

連結営業利益

109百万円

連結売上高営業利益率

8.2%

 なお、収益性、生産性を重視した経営活動を行うべく「売上高営業利益率」を重要な経営指標としています。また、規模の拡大にも注力するために、「売上高」、「営業利益」も重要な経営指標として位置付けております。

 

(4)グロース市場の上場維持基準適合へ向けて

 当社グループは、株式会社東京証券取引所にて2022年4月適用の新市場区分についてグロース市場を選択しておりますが、当社グループのグロース市場の上場維持基準への適合状況は、移行基準日時点(2021年6月30日)において、時価総額について基準を充たしていないことから、2021年12月28日に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下、「計画書」)を株式会社東京証券取引所に提出いたしました。

 なお、進捗状況につきましては、2025年6月20日に株式会社東京証券取引所に提出しております。

 2025年3月末時点におけるグロース市場の上場維持基準への適合状況は、「時価総額」については基準を充たしておりません。2026年3月期までに上場維持基準を充たすため、各種取り組みを進めてまいりますが、財政状態及び経営成績並びに市場環境や経済情勢によっては、2026年3月期までにグロース市場の上場維持基準を充足できない可能性があります。

 今後、当社グループが中長期的な企業価値の向上を図る上においては、その前提として当社グループが2026年3月までにグロース市場の上場維持基準を充足することが重要な経営課題になるものと考えております。

 計画書の内容を確実に実行し、企業価値の向上に取組み、株主及び投資家の皆様からの信頼、期待感の醸成を図ることにより、上場維持基準の適合を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通して社会課題の解決に寄与することであり、企業理念として掲げている「最高品質のサービスを提供させていただくことにより、お客様の発展に貢献し、従業員とその家族を幸せにし、グループの発展と、社会に貢献すること」の実践そのものであります。

 具体的には、豊かな社会の実現のために必要不可欠なインフラを支えてきたこれまでの実績、蓄積された技術や専門性などあらゆる経営資本を最大限に活かし、サイバーセキュリティにおけるすべてのシステムに「安全」で「役立つ」サービスを提供することで、より良い未来に繋げていくことであると考えております。

 「社会の発展に貢献する新たな価値創造」、「社会を支える安全で役立つ製品・サービスの提供」、「すべての従業員が能力を最大限発揮できる職場環境づくり」をテーマに取り組み、社会の持続的な発展に貢献していくことで、持続的成長と企業価値向上の実現を目指してまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティに関する取り組みについては、経営企画本部にて企画・推進しております。経営企画本部にて、サステナビリティに関連する重要なリスク及び機会を特定し、それらをモニタリングするとともに、対応方針の立案と事業戦略への反映、関連部署への展開を実施しております。

 当社グループにおいて、事業に重大なリスクが特定された場合には、重要リスクとして取締役会に報告を行い、適切な対処を行ってまいります。

 

(2)リスク管理

 当社は、グループ経営に関するさまざまなリスクを審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析し、グループ各社に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えています。

(リスクマネジメントプロセス)

 以下のプロセスに添い、リスク管理をしております。

① リスク特定

 業務プロセス全体におけるリスク整理と、リスクの洗い出しを行います。前者では具体的に、当社を取り巻く環境について、顧客行動・選好の変化、政策・法規制の強化、投資家からの要請、新規参入者などの影響範囲を定義しています。後者では具体的に、全社、各事業において想定されるリスクと機会を洗い出しております。

② リスク分析

 リスクと機会を影響度・発生可能性の観点から整理しております。

③ リスク評価

 影響度と発生可能性をもとに、定められたリスク基準と比較し、対応の要否を判定しております。

④ リスク対応

 判定したリスクについて、対応を進めております。

(3)戦略

  当社グループのビジネスはサービス業であり、人的資本が価値創造の源泉であります。よって、人的資本を重要視して投資を行うことで、持続的な成長と企業価値向上の実現に繋げてまいります。

  サスティナビリティの実践に向けて、人的資本を戦略の中心に捉え、各種取り組みを推進してまいります。

(4) 人的資本に関する方針、指標

 当社グループは、全ての従業員が持てる力を最大限に発揮することができ、多様な人財が活躍し、従業員がやりがいを持って働くことができる会社をめざし、各種取り組みを行っております。

1. 採用

 当社グループの企業理念に共感する有能な人財を確保するため、新卒採用や様々な経験・スキルを有する中途採用を積極的に行い、多様性のある組織づくりに取り組んでいます。

 

2. 社内環境整備

 年齢、性別、社歴、国籍、障害の有無等に関係なく、活躍のチャンスが与えられます。全ての従業員が持てる能力を最大限に発揮し、活躍できる職場環境の構築に取り組んでいます。

 また、組織全体として風通しの良い、明るく前向きな風土を築く活動にも注力しております。

 a.スキルや能力、貢献度に応じた人事制度(ジョブグレード制度)や昇格・昇給制度

 b.従業員自らが新たな職種にチャレンジできるグループ内公募制の導入

 c.女性の活躍を推進、支援するための各種施策の実施

 d.将来の経営層を担う人財開発のための若手幹部社員の選抜

 e.資格取得をバックアップする資格取得支援制度

 f.従業員同士を繋ぎコミュニケーションの活性化を図るためのコミュニケーション・バックアップ制度

 g.成長意欲を持ち、組織や会社への貢献度が高い社員への表彰制度

 h.従業員の意識や本音をヒアリングし、会社施策や職場改善につなげるエンゲージメントサーベイ

3. 人財育成方針

 社会環境の変化や技術の進化に対応するため、創業時から「創造(Creation)」「挑戦(Challenge)」「信頼(Confidence)」を大切にしており、自ら考え行動できる人財の育成を目指しております。様々な知識や経験をもった人財が自律的に学び、成長できる環境整備に取り組んでいます。

4. 指標

区分

項目

目標

実績

人財の育成

将来の幹部候補者を対象にした研修の受講者数

7

7

多様な人財の活躍

女性役職者の人数

4

4

中途入社者の管理職比率

30

40.0

働きやすい職場・風土づくり

月平均残業時間時間

10

3.3

有給取得率

70

61.1

   (注)1.有給取得率=消化日数/付与日数として計算しています。

(注)2.連結子会社を含めた目標の設定は困難なため、当社単独の目標及び実績を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めるつもりです。また、以下の記載事項は投資判断に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 なお、以下の記載事項及び本項以外の記載事項は、特に断りがない限り当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1)グループ全体に係るリスク

 当社は、2004年6月11日に一般財団法人日本品質保証機構からISMS(Ver.2)の認証を受け、さらに2007年7月11日には、「コンピュータシステムの運用監視サービス」と「ログの分析サービス」、それらの営業活動を対象に情報セキュリティマネジメントの国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得、2015年6月11日には「ISO/IEC 27001:2013」に移行しており、当社の顧客、役員及び従業員の個人情報をも含めた社内の情報管理には十分な注意を払っております。具体的には、社内システムは複数のファイアウォール、アンチウィルスシステム、メールチェックシステムにより保護され、セキュリティの信頼性を高めております。また、主要サーバーは複数台で稼働させる方式をとっており、無停電かつ厳重に管理された耐障害性のあるデータセンターに設置され、事故、障害時に迅速に回復できるよう運用しております。

 また、ユーザー保守データは、社内ネットワークへのパスワードのみならず、それぞれのサーバーデータへのアクセスも制限されており、社外からのサーバーへのアクセスも暗号化されたシステム構成となっております。

 さらに、当社グループは、すべての役員、従業員との間において入社時及び退職時に機密保持にかかる「秘密保持契約書」を個別に締結するなど、情報の漏洩の未然防止に努めております。

 しかしながら、このような対策を以てしても個人情報を含むそれらの重要情報にかかる社外漏洩を防止できず、当該情報漏洩に起因して第三者に何らかの損害が発生した場合には、当社グループが損害賠償請求を受ける可能性があります。また、当社グループの信用を失墜し、事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)情報セキュリティ事業に係るリスク

① システム障害について

 当社グループのサービスは、コンピュータシステムと通信ネットワークに大きく依存しております。したがって、当社グループのサービスは、システム障害、自然災害等の予期せぬ事由により、提供を停止せざるを得ない状況が起こる可能性があります。

 当社グループでは、想定される障害に備え、自家発電装備を備えた耐震性、漏水防止性、防火性等に優れたインテリジェントビルでのサービス提供、及び技術的対応を講じております。万一かかる事態が発生した場合には、当社の業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 競合について

ⅰ.自社開発ソフトウェアの機能拡張

 当社グループでは、先端技術や基盤技術の習得に努め、研究開発に積極的な投資を行っておりますが、OSベンダーや、コンピュータハードウェアベンダーの多くの企業において、当社が提供する機能を有するソフトウェアと同様の機能を自社開発したうえで、その機能を付加し、製品を強化する可能性があります。もし、その機能が当社グループの製品と比べて価格、性能面で競争力があれば、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

ⅱ.競合他社について

 当社グループでは、情報セキュリティ関連の技術や知識を向上させることで顧客満足度の向上に努めておりますが、当社グループと競合するサービスを提供している会社が、顧客のニーズにいち早く対応した最先端の技術を駆使して当社グループの提供しているサービスより優れた高品質の競合サービスを開発する可能性があります。このような場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)人材サービス事業に係るリスク

① 派遣技術者の確保について

 当社グループの展開する人材サービス事業では、情報セキュリティエンジニアは重要な経営資源であり、優秀な派遣技術者の確保が事業拡大の必要条件でありますが、この分野では今後もニーズが増加していくことが予想されているため、今まで以上に優秀な派遣技術者の確保が要求されるものと考えられます。

 当社グループでは、効率的かつ効果的な募集、採用活動を行い、提供する技術の質的向上を図るため、人材教育に注力しておりますが、派遣技術者の確保が十分に行えない場合は、顧客企業からの要請に対応できないことになり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 当社グループの展開する情報セキュリティ業界での人材のアウトソースの流れは大きく拡大していくことが予想され、激しい受注競争の下、同業他社の低価格戦略や取引先からの値下げ要請を受ける可能性もあります。当社グループでは、顧客ニーズに的確に応えられる戦略的な営業を推進し、適正な収益を確保しつつ事業の拡大を図るべく努めておりますが、競合が激しくなる中で受注が十分に確保できない、または派遣料金の低下によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り予測を必要としております。当社グループの経営陣は、連結財務諸表の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ、データ化された資料により合理的と判断される情報を継続的に検証し、意思決定を行っております。しかし、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態の分析

(資産について)

当連結会計年度末における流動資産は1,428,274千円となり、前連結会計年度末に比べ5,724千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が88,478千円、前渡金が15,672千円それぞれ減少したことに対し、売掛金が50,630千円、未収還付法人税等が52,252千円それぞれ増加したことによるものです。

固定資産は123,994千円となり、前連結会計年度末に比べ75,389千円の増加となりました。これは、投資有価証券が57,258千円、繰延税金資産が10,170千円それぞれ増加したことによるものです。

以上により資産合計は、1,552,268千円となり、前連結会計年度末に比べ69,665千円増加いたしました。

 

(負債について)

流動負債は353,359千円となり、前連結会計年度末に比べ28,893千円の増加となりました。これは主に、前受金が150,134千円増加したことに対し、未払法人税等が123,070千円減少したことによるものです。

固定負債は12,827千円となり、前連結会計年度末に比べ7千円の減少となりました。これは、リース債務が2,308千円減少したことによるものです。

以上により負債合計は、366,186千円となり、前連結会計年度末に比べ28,885千円増加いたしました。

 

(純資産について)

純資産は1,186,082千円となり、前連結会計年度末に比べ40,779千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が42,811千円増加したことによるものです。

 

以上の結果、当連結会計年度における自己資本比率は、77.2%から76.4%へ減少し、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の148円83銭から154円21銭に増加しました。

 

b 経営成績の分析

(経営上の目標達成状況)

当連結会計年度におきましては、大手ディストリビューターなどとの提携や協業を推進した結果、新規パートナーの開発に成功し、ビジネスチャンスを拡げることができました。さらに、大学等の公共機関の実績に加え、医療業界での実績も浸透し、日本を代表する病院から地域医療を担う病院に至るまでサービスを拡げることができました。

 以上の結果、売上高は1,149,075千円(前年同期比4.6%増)となりました。営業利益につきましては、仕入価格の上昇や人員拡充、沖縄カスタマーサポートセンター増床や子会社によるセキュリティ運用基盤の研究開発などの経費が嵩み、35,121千円(前年同期は32,857千円の営業損失)となりました。経常利益は、37,330千円(前年同期は38,642千円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、42,811千円(前年同期比81.3%減)となりました。

「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境、経営戦略及び対処すべき課題等」の「(3)経営環境及び経営戦略、対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループが重要な指標として位置づけました「営業利益率」につきましては、当連結会計年度の実績は3.1%であり、前連結会計年度の△3.0%から大幅に改善いたしました。

当社グループは、更なる収益の拡大と利益率の改善に取り組んでまいります。

 

c セグメントごとの成績

(a)情報セキュリティ事業

情報セキュリティ事業につきましては、既存顧客とのストック型サービスの契約更新に加え、新規サービスの企画開発、新規案件獲得に取り組みました。売上高は939,801千円(前年同期比1.2%増)となりました。セグメント利益につきましては、人員増や沖縄カスタマーサポートセンター増床などの投資を実施しながらも、148,236千円(前年同期比88.2%増)となりました。

(b)人材サービス事業

人材サービス事業につきましては、既存顧客との取引拡大、人件費上昇に伴う契約金額の交渉や新規案件の受注により、売上高は209,274千円(前年同期比23.0%増)となりました。セグメント利益につきましては、10,203千円(前年同期比43.7%減)となりました。

 

d キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、1,112,261千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、20,058千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益36,444千円、売上債権の増加額50,630千円、前受金の増加額150,134千円、法人税等の支払額120,072千円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、66,371千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出59,434千円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、2,048千円となりました。これは、リース債務の返済による支出2,048千円があったことによるものであります。

 

 

③ 受注及び販売の実績

a 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第24期

(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

情報セキュリティ事業

1,036,031

103.3

649,223

117.4

人材サービス事業

209,274

123.0

合計

1,245,305

106.1

649,223

117.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.人材サービス事業は売上高と同額を受注高としており、受注残高はありません。

 

b 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

第24期

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 

前年同期比(%)

情報セキュリティ事業(千円)

939,801

101.2

人材サービス事業(千円)

209,274

123.0

合計(千円)

1,149,075

104.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社

199,503

18.2

189,950

16.5

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

 当社グループは、経営企画本部が適時に資金繰り計画を作成、更新するとともに、機動的な資金需要に備え、短期の預金などで流動性を維持することにより、手許流動性を管理しております。

 運転資金は内部資金より充当し、設備投資等につきましては、設備資金計画を作成し、内部資金で不足する場合での借入調達に備え、金融機関との良好な関係を築いております。

 

5【重要な契約等】

(1)本社建物に関する契約

契約書名

建物賃貸借契約書

締結先名

エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社

契約期間

2007年2月1日から2011年12月31日まで(以後2年毎の自動更新)

主な契約内容

本社賃貸借契約

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、お客様のITセキュア環境を維持するために、情報通信機器の監視・運用サービスを提供しております。

 情報セキュリティ業界におきましては、システムの脆弱性を突いたサイバー攻撃が後を絶たず、企業、自治体、医療機関など規模や業種を問わず様々な企業・組織がその標的になり、社会経済活動に与える影響は深刻化しています。IT化やビジネスのDX化に伴い、セキュリティインシデントや情報漏洩は増加傾向にあり、情報セキュリティ対策やログ管理の重要性が益々高まっております。

 このような状況を踏まえ、当社グループにおきましては、より一層お客様に安全・安心なサービスを提供するため、当社グループの提供する運用監視サービスの基盤強化や新たなサービスの企画・開発に取組んでおります。

 また、自社開発ソフトウェアの開発、バージョンアップ、対応可能機器拡大のための検証作業、最新技術の調査等の研究開発活動も積極的に行っております。これらの活動に対する当連結会計年度における研究開発費は、35,959千円となりました。

 なお、当社グループの研究開発活動は、情報セキュリティ事業のみであるため、研究開発費については総額のみを表示しております。