第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年2月27日)現在において判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「全ては生産者と生活者のために」を経営理念に掲げ、「食の流通情報を活用し、生産者の暮らしを支え、生活者の食生活に貢献する」企業グループを目指し、事業を展開しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、顧客ニーズへの柔軟な対応と、サービスレベル・生産性の向上を追求することで、企業価値を向上させることを重要な経営戦略として掲げており、それを計る尺度として、売上高、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。また今後の成長に向けた新規サービスの開発投資が重要との認識からEBITDA(=営業利益+減価償却費)も経営指標として重要視しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、システムと業務受託で青果物流通に関わる全てのプレイヤーを支援し、圧倒的な優位性を持つオペレーション会社になることを目指しております。

 

(4)経営環境

 当社グループの主たる事業領域である生鮮流通を取り巻く環境は、人口減少等の社会課題を背景にDX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的な投資や、企業の統合・再編等の動きが強まっております。小売業においては、長引く物価高から消費者の節約志向を捉え、PB(プライベートブランド)商品の展開やリテールメディアの活用等、各社様々な手法により事業拡大に取り組みながら、AI技術を活用した需給予測や自動発注システム等への投資、移動販売やEC販売等、様々な販売形態の展開により、店舗運営の効率化と消費者の多様なニーズへの対応を進めております。また、中間流通業においても、物流の2024年問題への対応として、AI技術を活用した配車システム等への投資や、事業者間の提携によって配送の効率化に取り組む動きがみられます。国内の農業生産者においては、高齢化や異常気象による主要産地からの農産物の供給不足が懸念される中、農作業の効率化・省力化や農産物の収穫量強化、調達の安定化等への取り組みとして、IoT機器やAI技術を利用したスマート農業が推進されております。

 

(5)対処すべき課題

当社グループは、気候変動などの環境問題や労働力不足などの物流問題、少子高齢化などの人口問題等、様々な社会課題に対し、中長期の事業構想を見直し、食に関わる「生産」・「流通」・「消費」を持続的に支えていくために、地域社会への貢献と、持続可能な社会創りへの貢献ができる企業となることを目指し、次の課題に取り組んでまいります。

 

① 環境変化への適応力強化と事業ポートフォリオの変革

 当社が創業時からお客さまに提供してきた青果物流通システム及び業務受託サービスは、上記の様々な社会課題の解決にも活かせるものと認識しており、今後の事業環境の変化を見据えた営業活動の強化及びそのための人材確保・教育に取り組んでまいります。

 また、地域社会の活性化や持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、小売量販店と協働して農作物の地産地消を促進する仕組みや、青果物を取り扱っていない業態への売場構築と運営支援サービスの提供の拡大を進め、青果物の販売チャネルの確保や生活者の購入機会の拡大に取り組みながら、今後の当社グループの新たな収益基盤を築いてまいります。

 

② 積極的な投資

 AI技術を活用したサービスの開発や多様化するお客さまのニーズに応じたシステムの機能追加といったシステム・ソフトウエアへの投資、当社グループが目指す姿に効率的に近づくためのM&A、また、社会貢献を実現するために当社が最も重要な事項と考える人的資本の拡充など、リスクや採算等を検討したうえで、積極的な投資を行い、当社グループ事業の持続的な成長を目指してまいります。

 

現在、これらを骨子とした事業戦略の再構築を含め、中期経営計画を策定中であり、然るべきタイミングでその詳細を公表する予定です。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「全ては生産者と生活者のために」を経営理念に、次の取り組みを通して持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。

・食に携わる人が正しく評価されるよう、流通を支える

・生活を営む人が安全な食品を適正な価格で入手できるよう、流通を支える

・食の生産から消費までの流通を、情報面で支える

 

 経営理念に基づく当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループのコーポレート・ガバナンスは、サステナビリティに関する内容を包含し、コーポレート・ガバナンスに関する基本方針に基づき取り組みを行っております。当社グループのサステナビリティを含めた企業リスク全般の管理は「リスクマネジメント委員会」を中心に行っており、その内容を取締役会に定期的に報告しております。

 なお、当社グループのコーポレート・ガバナンス全般の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

(サステナビリティ全般)

 当社グループは、「環境配慮型事業の志向」「持続可能な地域社会づくりへの貢献」を経営戦略の一部としております。これらの実行には、生鮮品を中心とした流通におけるロスの削減や効率化、食の起点となる農業生産に対する気候変動の影響の問題などが関連しており、サステナビリティに関連するリスクと機会を適切に捉えた事業展開が重要であると認識しております。

 

(人的資本に関する戦略)

 事業環境の変化を見据え、従業員と会社の新たな関係性を示す「人材ポリシー」を2024年5月に策定いたしました。また、この人材ポリシーを基盤に人事戦略や諸制度の見直しに取り組んでおり、具体的な議論を進めているところであります。現在、人的資本に関する戦略について確定されたものはありませんが、これらの取り組みを通じて整備する予定であります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、継続的な企業活動に係るリスクへの対応を行うために、代表取締役社長執行役員兼COOを委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、全社的なリスク管理を行っております。当該委員会では、経営環境分析を基に企業グループ全体のリスクを抽出し、分析と評価を行い、重要性と優先度にもとづく各リスク項目の対応についてモニタリングを行っております。この活動にはサステナビリティの観点が含まれており、定期的にリスク内容の見直しを行うとともに、経営環境の変化を踏まえた新たなリスクを認識、抽出する取り組みを継続的に行うことで、グループ経営に係るリスクを管理しております。

 

(4)指標及び目標

(人的資本に関する指標及び目標)

 当社グループは、最新のコンプライアンス宣言において社員の人権、価値観を尊重することを明らかにするとともに、性別、国籍を始めとしたさまざまな違いによる不当な差別を行わないこと、全てのハラスメント行為を禁止し、容認しないことなどを旨としております。今後も継続して全ての従業員が働き易い職場環境を整えてまいります。

 

現時点での当社従業員の状況は以下のとおりとなっています。(2024年11月30日時点)

 

従業員数

(人)

平均年齢

(歳)

平均勤続

(年)

平均年間給与

(千円)

男性

92

44.3

10.6

7,011

女性

60

40.0

10.2

5,260

152

42.6

10.4

6,291

 

 

1)女性従業員比率(②÷③)女性39.5%

2)女性管理職比率(課長相当職以上) 16.4%

  なお、次期管理職候補となる係長相当職における女性社員比率は、69.2%

3)男性の育児休業取得者数  1名(配偶者が出産した男性社員数 1名)

  男性の育児休業取得率  100%

4)男女平均年齢比率(⑤÷④) 90.3%

5)男女平均勤続比率(⑧÷⑦) 96.2%

6)男女間の賃金格差(⑪÷⑩) 75.0%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年2月27日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)特定の取引先への依存について

 当社は、輸入青果物の市場外流通に関わる事業者とともにサプライチェーンを構築し、関係する事業者に対し、基幹情報システムと業務受託サービスを提供しております。また、大手小売量販店とその取引先に対しては、商品調達をサポートするシステムを提供しております。これら提供サービスの課金体系は、情報システムを利用したデータ量に応じた課金、業務受託サービスについては業務処理量に応じた課金であり、顧客の利用状況に合わせた従量制となっております。

 これらの企業向けサービスの売上構成比率は相対的に高く、今後とも取引の維持、拡大を図ってまいりますが、経営環境の変化に伴う各社の業績などにより、当社システム利用の見直しや、当社に委託している事務業務を内製化する等の方針変更の可能性等により、当社のシステム利用データ量、業務処理量が減少した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)取引先情報の管理について

 当社グループは、情報サービス企業として、青果物サプライチェーンに対応した「イーサポートリンクシステム」、小売量販店のデマンドチェーンに対応した「生鮮MDシステム」、小売量販店と近隣の生産者の取引をサポートする「es-Marché」など、複数のシステムによりサービスを提供し、顧客の生産・販売数量や仕入・販売価格などの重要な情報、また農産物生産者の個人情報等をシステムにより管理しております。また、システム開発や運用業務の一部について、外部委託をしております。

 システム障害や情報漏洩など万一の場合に備えて、コンピュータセキュリティの強化、保守体制の構築、「ISO/IEC27001:2022」「ISO/IEC20000-1:2018」認証取得によるシステム運用・管理ルールの徹底、外注先への秘密保持契約の締結と監督など、複数の対策を実施しております。しかしながら、災害によるソフトウエアやネットワーク、コンピュータ機器等が被災した場合のシステム障害の発生や内部情報の消失、当社の想定を超えた不正アクセスや予測不能のコンピュータウイルス感染などによる情報漏洩、データの改ざんなどの被害を受ける可能性があります。このような事態が発生した場合、当社の社会的信用や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)新規事業への取り組みについて

 当社グループは、事業の拡大と収益基盤の強化を図るため、新規事業への展開を積極的に進めております。しかしながら、業界動向、市場動向及び法的規制等の事業環境の変化により、新規事業が当初予定していた計画を達成できず、投資に見合うだけの十分な収益を計上できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)生鮮青果物の流通量及び価格変動について

 当社グループの提供するシステム及び業務受託サービスは、生鮮青果物の生産者から中間流通業者、小売業者まで、青果物業界の川上から川下までの事業者等を主な対象としております。また、小売店等に農産物等を販売する事業も行っております。

 生鮮青果物は、生産量や品質が天候に左右されるという特徴があり、当社サービスは、顧客がシステムを利用するデータ量や業務受託量による従量課金制を主に採用しているため、天候不順や自然災害で青果物の生産量が著しく減少し、取り扱い業務量が減少した場合や、相場により農産物の仕入価格の高騰や販売価格が下落した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、輸入青果物においては、生産国の情勢や為替相場の影響などにより、日本への輸入量が減少した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保と育成について

 当社グループが提供するサービスは、人材の確保と教育体制の充実による継続的な人材育成が必要不可欠であると認識しております。適切な人員の確保や育成が不十分な場合、事業拡大など会社の成長に影響を与える可能性があります。また、人材の確保・育成が順調に進んだとしても、その人材が外部流出することにより、人的戦力の低下、ノウハウの流出、知的財産、その他の機密情報も流出する可能性があります。

 当社グループでは人材の流出を防止するための施策として、透明性の高い人事考課の徹底、従業員持ち株会制度を導入しています。さらに、社内規則として機密保持について規定し、周知徹底を図るとともに、退職時には機密保持に関する念書を徴収しておりますが、これらの対応が将来においても効果的に機能する保証はなく、今後、人材の流出が進んだ場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権及び訴訟の可能性について

 当社グループの情報システムやビジネスモデルについて、特許権や実用新案権の対象となる可能性があるものについて、権利保護を目的として各種申請を行っており、今後も適切な措置を講じていきます。当社グループの知的財産権等が第三者から侵害された場合、知的財産権保全のために訴訟を提起しなければならないこととなり、多額の訴訟費用が発生する可能性があります。

 また、ソフトウエア等に関する技術革新の急速な進展等により、当社の開発した情報システムが第三者の知的財産に抵触する可能性を的確に想定、判断できない可能性があります。第三者により知的財産権等の侵害を主張され、損害賠償や使用差し止めの訴えなどにより、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社グループの提供しているシステムの障害や重大な人為的ミス等により、顧客に損害を与える可能性があり、顧客から訴訟を提起された場合にも、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)自然災害等の影響について

 当社グループは、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害や新型インフルエンザなどの感染症の発生などを想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策について、事業継続計画(BCP)を策定しております。しかし、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、また、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化により、想定していない規模での発生も考えられるため、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損について

 当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化により、事業の収益性が低下した場合や、市場価格が著しく下落した場合などには、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、個人消費に持ち直しの動きが見られ、各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復しております。一方、欧米における高い金利水準の継続や中国の不動産市場の停滞に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

 当社グループが事業を展開する生鮮流通業界においては、人口減少等の社会課題を背景にDX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的な投資や、企業の統合・再編等の動きが強まっており、事業環境は大きく変化しております。スーパーマーケットを中心とした小売量販店では、長引く物価高から消費者の節約志向を捉え、PB(プライベートブランド)商品の展開やリテールメディアの活用等、各社様々な手法により事業拡大に取り組みながら、AI技術を活用した需給予測や自動発注システム、レジを無くした自動決済システム等への投資、移動販売やEC販売、スマートストアなど、様々な販売形態の展開により、店舗運営の効率化と消費者の多様なニーズへの対応を進めております。また、中間流通業においても、物流の2024年問題への対応として、AI技術を活用した配車システム等への投資や、事業者間の提携を踏まえた共同輸送、モーダルシフト等、配送の効率化に取り組む動きがみられます。国内の農業・生産サイドにおいては、生産者の高齢化や異常気象による主要産地からの農産物の供給不足が懸念される中、IoT機器やAI技術によるスマート農業の推進により、農作業の効率化・省力化や農産物の収穫量強化、調達の安定化等、社会課題への解決に向けた取り組みが進んでおります。

 このような環境において、当社グループは、既存事業の収益基盤を強化しつつ、社会課題の解決に向けて、生鮮分野において環境に配慮した持続可能な流通に貢献する「小商圏」、「地域活性化」を軸としたビジネスの展開に注力してまいりました。また、サービス提供のシステム基盤を最適化し、今後のサービス拡大を見据えた拡張性や可用性を確保しながら、取引先への各種サービス取扱高を伸長させてまいりました。

 以上の結果、売上高につきましては、54億6百万円(前連結会計年度比18.5%増)、営業利益は1億63百万円(同99.4%増)、経常利益は1億82百万円(同139.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億35百万円(同188.1%増)となりました。

 セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

 ⅰ)オペレーション支援事業

 「輸入青果物サプライチェーン事業」は、内部業務分担の見直しや新規受託業務の受け入れの安定化など、新たな業務受託体制の構築を行い、並行しながら新規顧客の獲得と受託業務の拡大に取り組み、売上・利益を伸長させてまいりました。「生鮮MDシステム事業」は、新規顧客及び大手量販店グループ企業各社への導入を推進しながら、新技術への対応に投資を行いシステム基盤の最適化、機能拡張の柔軟性を確保してまいりました。また、昨今の物価高と人件費の上昇等により、システムの運用・保守コストが高まる中、システム利用料金の改定を行い、収益の改善を図ってまいりました。一方、一部システムの開発は要件の見直しや技術上の課題の解決に時間を要したため、計画に対し遅れが生じました。「青果売場構築支援事業」は、バックオフィス業務の効率化を行いながら、営業体制を強化し、季節に応じた商材の販売、新規顧客の獲得、導入店舗の拡大に取り組み、サービス取扱高は堅調に推移いたしました。地場野菜の調達支援サービス「es-Marché」は、新規顧客獲得に向けた営業の強化、小売量販店への地域生産者の紹介など取引の拡大を図りながら、効率的なサービス運営体制の構築に取り組んでまいりました。それにより小売量販店の売上増加とともに、サービス取扱高は堅調に推移いたしました。

 以上の結果、売上高35億7百万円(前連結会計年度比12.1%増)、営業利益11億87百万円(同11.5%増)となりました。

 

ⅱ)農業支援事業

 「りんご・国産青果物販売事業」については、天候不順などの影響により令和5年度産のりんご集荷数量が不足し、売上高は減少いたしました。次年度産のりんごについては、集荷数量の確保に向けて、生産者との関係強化や自社農園の整備等の取り組みを進めてまいりましたが、病害虫や天候不順の影響から品質不良品が増加し計画収量に至りませんでした。国産青果物販売については、主要取扱商材であるさつまいもの調達・販売が伸長し、またその他の国産青果物についても、利益率の高い商材の販売に取り組んでまいりました。「有機農産物販売事業」については、輸入有機商材の取扱高が増加し、伸長する一方、天候不順などの影響により国産商材の調達が安定せず、仕入れ体制の強化に取り組んでまいりました。

 以上の結果、売上高18億99百万円(前連結会計年度比32.3%増)、営業損失88百万円(前連結会計年度は営業損失1億8百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

  当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末と比べて1億24百万円減少し、54億44百万円(前連結会計年度末比2.2%減)となりました。内訳としては、流動資産が39億25百万円(同8.6%減)、固定資産が15億18百万円(同19.0%増)となりました。

  流動資産の主な減少要因は、現金及び預金が10億50百万円減少したことによるものです。

  固定資産の主な増加要因は、ソフトウエアが4億49百万円増加したことによるものです。

(負債の部)

  当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末と比べて2億49百万円減少し、19億15百万円(同11.5%減)となりました。内訳としては、流動負債が13億46百万円(同1.0%増)、固定負債が5億68百万円(同31.6%減)となりました。

  流動負債の主な増加要因は、買掛金が75百万円増加したことによるものです。

  固定負債の主な減少要因は、長期借入金が2億70百万円減少したことによるものです。

(純資産の部)

  当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて1億24百万円増加し、35億29百万円(同3.7%増)となりました。

  この結果、自己資本比率は64.8%となりました。

  その主な増加要因は、利益剰余金について親会社株主に帰属する当期純利益を1億35百万円計上したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上等がありましたが、長期借入金の返済による支出、無形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比して10億50百万円減少し、19億51百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は2億19百万円(前年同期は2億46百万円の収入)となりました。これは主に売上債権の増加により3億66百万円、棚卸資産の増加により3億22百万円計上したこと等によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4億55百万円(前年同期は2億90百万円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出4億17百万円等によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3億75百万円(前年同期は3億48百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出2億99百万円等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

農業支援事業(千円)

760,783

246.8

 (注)金額は販売価格により算出したものであります。

 

(b)製品仕入実績

 当連結会計年度における製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

農業支援事業(千円)

1,014,718

227.7

 

(c)商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

農業支援事業(千円)

613,764

110.2

 

(d)受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

オペレーション支援事業

60,380

148.1

49,900

262.8

 

(e)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

金額(千円)

オペレーション支援事業

3,507,382

112.1

農業支援事業

1,899,484

132.3

合計

5,406,867

118.5

 (注)1. セグメント間の取引については相殺消去をしております。

    2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱ファーマインド

803,297

17.6

807,918

14.9

Japan potato㈱

198,686

4.4

647,205

12.0

㈱スミフルジャパン

489,340

10.7

565,715

10.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年2月27日)現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について重要な会計方針に基づき見積り及び仮定による判断を行っており、経営者はこれらの見積り及び仮定に関して継続して評価を行っております。しかし、見積りには特有の不確実性があるため、実際の結果につきましては見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 

(b)経営成績

当連結会計年度における業績の概要は次のとおりであります。

(売上高)
 当連結会計年度における売上高は54億6百万円(前連結会計年度比18.5%増)となりました。その主な内訳は、オペレーション支援事業売上高35億7百万円(同12.1%増)、農業支援事業売上高18億99百万円(同32.3%増)であります。主な増収の要因は、オペレーション支援事業では、生鮮青果物サプライチェーン向けに提供する「イーサポートリンクシステム」及び業務受託サービスにおける新規顧客を獲得し受託業務量が増加したこと、「生鮮MDシステム」については、新規顧客及び大手チェーンストアのグループ企業、子会社等への導入が拡大し、トランザクション量が増加したこと並びにシステム利用料金を改定したこと、農業支援事業では、さつまいも調達・販売が伸長したことによるものであります。

(売上原価)
 売上原価は、35億3百万円(同22.7%増)となりました。主な内訳は、労務費として7億28百万円、保守管理費が5億93百万円であります。これらにより、売上総利益は19億2百万円(同11.5%増)となりました。

(販売費及び一般管理費)
 販売費及び一般管理費は、17億39百万円(同7.1%増)となりました。主な内訳は、人件費として9億14百万円、保守管理費が1億61百万円であります。これらにより、営業利益は1億63百万円(同99.4%増)となりました。

(営業外損益)
 営業外収益は、22百万円となりました。主な内訳は、受取利息2百万円、受取配当金13百万円、であります。営業外費用は、4百万円となりました。主な内訳は、支払利息4百万円であります。これらにより、経常利益は1億82百万円(同139.4%増)となりました。

(特別損益)
 特別損失は、37百万円となりました。主な内訳は、減損損失17百万円、であります。

(税金費用)
 税金費用は、9百万円となりました。主な内訳は、法人税、住民税及び事業税として27百万円、法人税等調整額△17百万円計上したことによるものです。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1億35百万円(同188.1%増)となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備資金などの長期資金は、長期借入金で調達しております。

5【経営上の重要な契約等】

(1)システム使用許諾契約

 当社は、下記取引先との間で、「イーサポートリンクシステム」の利用に関する契約を締結しております。

相手方

契約内容

期間

株式会社

ファーマインド

当社はイーサポートリンクシステムに関する使用許諾を行い、その対価として相手方よりシステム使用料の支払いを受けます。

2023年8月1日から

2028年7月31日まで。以後3年ごとの自動更新により継続

 

(2) 業務委託契約

 当社は、下記取引先との間で、青果物販売及び管理に係る業務の委託に関する契約を締結しております。

相手方

契約内容

期間

株式会社

ファーマインド

当社は青果物販売及び管理に係る業務の委託を受け、その対価として相手方より業務受託料の支払いを受けます。

2023年8月1日から

2028年7月31日まで。以後3年ごとの自動更新により継続

(注)株式会社ファーマインドとのシステム使用許諾契約及び業務委託契約は2023年7月31日にて契約期間が終

   了しており、契約内容を変更し、2023年7月31日付で上記の契約をそれぞれ締結しております。

 

(3) 事業譲受に関する契約

当社は、2024年12月27日付で株式会社フロンティアが営む青果売場構築支援事業の譲り受けに関する契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動に伴う研究開発費は36,582千円であります。

各セグメントの研究開発状況につきましては、以下のとおりであります。

 

(1)オペレーション支援事業

 AIによる画像解析技術を活用し、小売店舗内の生鮮食品売場の状態変化を捉えて商品補充の要否や商品棚の乱れ等を判定することの技術検証を行っております。

 また、物流企業の配送網と車両のデジタルタコグラフ情報を活用し、配送商品に関わる物流情報を地図上に表示して可視化するためのシステムのプロトタイプを開発し、効果検証を行っております。

当事業に係る研究開発費は、12,575千円であります。

 

(2)農業支援事業

 AIによる画像解析技術を活用し、バナナ農園におけるドローン空撮画像からバナナの病害感染を早期判定するためのシステム開発及び実証実験を行っております。

当事業に係る研究開発費は、24,007千円であります。