第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期における当社グループを取り巻く環境は、個人消費等で回復に遅れがみられるものの、日本全体としては政府による金融政策を背景に、緩やかな回復基調が継続しております。

主要顧客である不動産・建築業界においては、東日本大震災以降、建築資材と人件費が高い水準に留まっております。特に首都圏では東京オリンピックに向けた需要増加もあり、新築マンションの販売㎡単価は前年度比1.0%上昇(東京都区部では2.3%上昇)しております。一方で発売戸数は前年度比4.4%減少(東京都区部では14.4%減少)しましたが、首都圏・近畿圏を除くその他地域では20.5%増加(株式会社不動産経済研究所調査より)しており、エリアにより発売戸数は二極化が進んでいるといえます。

その他の新築住宅着工件数は974,137戸と前年度比5.8%の増加となり、持家2.6%増、貸家11.4%増、分譲戸建6.7%増(国土交通省:建築着工統計調査より)とマンション以外では供給戸数が増加しており、特に貸家の増加が目立っております。

首都圏における中古マンションでは、成約件数が37,466件と過去最高を記録し(東日本レインズ首都圏不動産流通市場の動向(2016年度)より)、新築マンションの供給戸数(36,450戸)(国土交通省:建築着工統計調査より)を初めて上回りました。政府の中古住宅活性化の取り組みにより、今後さらに中古住宅市場が拡大していくものと考えられます。

このような事業環境の下、前期に引続き当期においても「国内の不動産情報サービス事業の強化」、「国内の不動産事業者向け事業のサービス開発と拡販」、「海外事業の基盤づくりと新規参入国の検討」、「不動産領域以外の新規領域事業の収益化と新規事業開発」に重点的に取り組んでまいりました。

その結果、当期における連結業績は、売上収益29,920,333千円(前期比16.4%増)、EBITDA5,312,160千円(同9.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,765,539千円(同3.6%増)となり、売上収益・利益共に過去最高となりました。

なお当社ではIFRSを任意適用しており、海外子会社の影響度の高まりや、海外同業他社との収益の比較、及びキャッシュ創出力を測る指標としてEBITDA(償却前営業利益)を重要な指標としております。 

また当社は2017年6月28日付けで社名変更致しました。本書における社名及びサービス名は特に断りがない限り本有価証券報告書提出日現在のものです。

 

なお、当期におけるセグメント毎の売上収益及びセグメント利益は、以下のとおりです。

 

 

 

(単位:千円)

セグメントの名称

売上収益

セグメント利益

金額

前期比(%)

金額

前期比(%)

(1) 国内不動産情報サービス

21,176,930

+15.4

3,842,353

+8.5

(2) 国内不動産事業者向け(注2)

6,864,443

+66.5

△117,446

(注3)

(3) 海外

3,193,397

△9.0

346,615

△37.0

(4) その他

833,170

+24.1

△22,278

(注4)

 

(注1) セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

(注2) 前第1四半期より株式会社Lifull Marketing Partnersを連結子会社化しております。

(注3) 前期のセグメント利益は△7,654千円であります。

(注4) 前期のセグメント利益は△80,868千円であります。

 

 

①国内不動産情報サービス事業

当該事業におけるサービス毎の売上収益は以下のとおりとなりました。

 

 

 

(単位:千円)

国内不動産情報サービス事業

前期
(2016年3月期)

当期
(2017年3月期)

増減額

増減率
(%)

売上収益

18,345,498

21,176,930

+2,831,431

+15.4

 

賃貸・不動産売買

12,068,471

14,044,578

+1,976,106

+16.4

新築分譲(注2)

4,713,451

4,851,685

+138,234

+2.9

注文住宅・リフォーム

889,888

1,329,020

+439,132

+49.3

 

その他 (注3)

673,687

951,644

+277,957

+41.3

セグメント利益

3,540,932

3,842,353

+301,421

+8.5

 

(注1)セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

(注2)新築分譲のうち分譲マンションについては、2015年10月より連結子会社であるLifull Marketing Partners社と専属代理店契約を締結したため、一部の売上を除き国内不動産事業者向け事業に計上されています。

(注3)その他は「LIFULL 介護」等により構成されています。

 

主力事業である「国内の不動産情報サービス事業」においては、長期の目標としてユーザーシェア40%を獲得し、「LIFULL HOME'Sがなくてはならない世界」を目指しています。

「賃貸・不動産売買」については、当期末の総掲載物件数は前期と比べ45.4万件、6.5%増加の743万件となり、引き続き総掲載物件数No.1(注)となっております。また、加盟店舗数は同様に3,048店舗、15.7%増加の22,425店舗となっております。

「新築分譲」領域では、建築費や資材価格の高騰を背景とした建物価格の高騰や、分譲マンションの販売戸数減少といった、市況の影響を受けたものの、マンション・戸建て共に順調に進捗し、総掲載物件数は前期と比べ20.0%増の8,560件となりました。その結果売上収益は2.9%増となりました。

「注文住宅・リフォーム」では、「注文住宅」の集客力の強化や、「リフォーム」の成約数の伸長により、49.3%増となりました。

「その他」では、高齢者向け住宅検索サイト「LIFULL 介護」が入居相談室のきめ細やかなサービス提供等を背景に大幅に伸長し、41.3%増となりました。

以上の結果、当事業の売上収益は21,176,930千円(前期比15.4%増)、セグメント利益は3,842,353千円(同8.5%増)となりました。

 

(注) 産経メディックス調査(2017.1.26)

 

②国内不動産事業者向け事業

国内不動産事業者向け事業では、賃貸事業者向けCRM(注1)サービス、不動産デベロッパー向け業務支援サービス(DMP(注2)サービス)の拡販に努めてまいりました。また、2015年5月連結子会社化したLifull Markting Partners社との連携を強化し、分譲マンション領域の更なる売上成長に向けた体制強化を図りました。

以上の結果、当事業の売上収益は6,864,443千円(前期比66.5%増)、セグメント利益は△117,446千円(前期は△7,654千円、109,792千円の悪化)となりました。

 

(注1) CRMとは、「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略

(注2) DMPとは、「データ・マネジメント・プラットフォーム」の略

 

③海外事業

海外事業は、Trovit Search,S.L.(以下、Trovit社)が運営する不動産・住宅、中古車、転職・求人情報のアグリゲーションサイト及び、国内で培ったSEO技術をベースにした不動産情報サイト(ポータルサイト)にて構成されています。Trovit社では為替の円高の影響に加え、サイトトラフィックの伸び悩みを解消するべく、SEOの強化や人員増強による体制強化に取り組んでまいりました。

当事業は円高の影響もあり、売上収益は3,193,397千円(前期比9.0%減)、セグメント利益は346,615千円(前期比37.0%減)となりました。

 

④その他事業

その他事業は、保険ショップ検索・予約サイト「LIFULL 保険」、保険代理店事業、引越し見積り・予約サイト「LIFULL 引越し」、レンタル収納スペース情報検索サイト「LIFULL トランクルーム」、インテリアECサイト「LIFULL インテリア」等により構成されています。

当事業の売上収益は833,170千円(前期比24.1%増)、セグメント利益は△22,278千円(前期は△80,868千円、58,589千円の改善)となりました。

 

以下の項目等、より詳しい決算内容に関しては、当社IRサイトより、2017年5月12日発表の「2017年3月期 決算説明資料」をご覧ください。

参考URL:http://lifull.com/ir/ir-data/

 

<決算説明資料の主な項目>

・簡易損益計算書      ・・・ 簡易損益計算書(IFRS)

・セグメント別売上収益   ・・・ セグメント別売上収益(IFRS)

・業績予想の進捗状況    ・・・ 簡易損益計算書、サービス別売上収益

・事業の状況        ・・・ セグメント毎の主な取組状況

・四半期別の業績推移    ・・・ 連結損益計算書(簡易版)、連結セグメント別損益

・外部市況データ月別推移    ・・・ マンション発売戸数、マンション価格、新設住宅着工戸数、日本全国移動者数、日本人口

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(単位:千円)

区分

前連結会計年度

(自  2015年4月1日 

至  2016年3月31日)

当連結会計年度

(自  2016年4月1日

至  2017年3月31日)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

3,175,375

3,163,933

△11,442

投資活動によるキャッシュ・フロー

93,075

△2,134,962

△2,228,038

財務活動によるキャッシュ・フロー

△868,874

△1,517,883

△649,009

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

2,357,195

△578,323

△2,935,519

 

 

当期における現金及び現金同等物(以下、資金)は、578,323千円減少し、6,046,944千円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は3,163,933千円となり、前期の増加した資金3,175,375千円と比べ、11,442千円の減少となりました。主な要因は、減価償却費及び償却費が1,247,464千円と前期に比べ381,228千円増加したこと、売掛金及びその他の短期債権の増減額が826,199千円と前期に比べ359,199千円増加したこと、買掛金及びその他の短期債務の増減額が563,414千円と前期に比べ1,044,204千円増加したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は2,134,962千円となり、前期に比べ2,228,038千円減少しております。主な要因は、前期は定期預金の払戻による収入が1,001,000千円発生していたことや、有形固定資産の取得による支出が665,716千円と前期に比べ578,781千円増加したこと、敷金及び保証金の差入による支出640,989千円と前期に比べ591,467千円増加したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は1,517,883千円となり、前期に比べ649,009千円減少しております。主な要因は、前期は短期借入金の返済による支出が7,000,000千円、長期借入れによる収入が3,000,000千円、株式の発行による収入が3,982,103千円発生していたこと、長期借入金の返済による支出が1,001,188千円と前期に比べ501,192千円増加したこと等によるものであります。

 

 

(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)

(のれんの償却停止)

 日本基準のもとでは、のれんはその効果の及ぶ期間にわたり規則的に償却されますが、IFRSのもとでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されております。この影響により、前連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が1,956,173千円減少しております。

 

当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) 

(のれんの償却停止)

 日本基準のもとでは、のれんはその効果の及ぶ期間にわたり規則的に償却されますが、IFRSのもとでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されております。この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が1,706,376千円減少しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。

 

  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

国内不動産情報サービス

21,176,930

15.4

国内不動産事業者向け

6,864,443

66.5

海外

3,193,397

△9.0

その他

833,170

24.1

内部取引

△2,147,608

 

合計

29,920,333

16.4

 

  (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

将来に関する事項は、当期末現在において当社が判断したものです。

 

(1)経営方針

当社グループは「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、日本及び海外において不動産情報サービス事業を中心に、暮らしに関わる様々な情報を提供しております。中期経営戦略の柱として「ライフデータベース&ソリューションカンパニーへ。」をスローガンに掲げ、世の中に溢れている大量の情報を整理・蓄積・統合し、様々なデバイスを通じて一人ひとりにぴったりの情報を提供し、未来への一歩を支えるサービスづくりに取り組んでいます。

 

(2)対処すべき課題

当社グループは、以下のような課題に取り組んでまいります。

 

①不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』の成長

「ユーザー数の増加」、「メディア価値の向上」、「顧客基盤の強化」により、「LIFULL HOME'Sブランドの確立」を図り、業績の拡大に努めてまいります。

 

②不動産市場の活性化・拡大

不動産情報・価格情報・物件性能評価・不動産事業者評価等を可視化することで、不動産市場の活性化に取組むことに加え、民泊をはじめとする空き家の利活用を推進、クラウドファンディングを活用した投資のプラットフォームを作る等、不動産市場を拡大させる仕組みの創出に努めてまいります。

 

③海外事業の成長

海外事業の成長に向けて、SEO強化や営業の強化を図りながら、既存事業の成長及び新市場の開拓を進めてまいります。

 

④M&A、事業提携の推進

既存事業の拡充、関連技術の獲得及び新規事業への進出のため、M&Aや事業提携を推進してまいります。

 

⑤人材採用・育成、組織力の強化

持続的な成長のために、新卒及び中途社員の採用をすすめ、社内外の教育研修プログラムによる専門スキルの向上や会社の価値観の共有等を通じて、拡張期にある当社グループの人的資産及び組織力の強化に努めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

また、以下の記載は、当社の株式への投資に関連するリスクを網羅することを意図したものではありません。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

①事業に関するリスクについて

(ア)問合せ数が減少するリスクについて

主力サービスである「LIFULL HOME'S賃貸・不動産売買」はインターネットユーザーから顧客である不動産店舗に対する問合せの数により変動する課金形式を採用しています。

当該価格体系は問合せの数により収益が変動するため、『LIFULL HOME'S』の集客力の低下等により、問合せの数が減少した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(イ)不動産情報サービスの価格体系について

不動産情報サービスの価格体系は、他企業における類似商品との価格対比や当社グループ商品の付加価値の向上、コストの変動等により、見直しを行う場合があります。

価格の見直しにより、クライアントの利用状況が大きく変化した場合や当社グループ商品に関してコストの変動を価格に転嫁できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ウ)クライアント数が減少するリスクについて

不動産情報サービスにおいては、当社の利用規約の違反による強制退会等、不測の事態により退会数が増加、特に多数の支店を抱える団体等との間の大口契約が終了した場合には、クライアント数が減少することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(エ)当社グループサイトの集客における外部検索エンジンへの依存について

当社グループが運営するサイトに訪れるユーザーは、概ね検索エンジン経由であり、これらの集客は各社の検索エンジンの表示結果に依存しています。検索結果についてどのような条件により上位表示されるかは、各検索エンジン運営者に委ねられており、その判断に当社グループが介在する余地はありません。積極的なブランディングプロモーション活動やスマホアプリの対応等を通じて、検索エンジンに依存しない集客の比率を高めるとともに、検索結果において上位に表示されるべくSEO等の必要な対策を進めていますが、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない状況が生じる可能性もあり、その場合、当社グループが運営するサイトへの集客効果が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(オ)技術革新へ対応するための投資について

当社グループの各事業はICT(情報通信技術)を事業基盤としており、各事業ラインや研究所において、当社グループの提供する各サービスの価値向上のために有効であると思われる技術を積極的に取り入れ、サービス開発を行っております。しかしながら、近年におけるICTの進歩はめまぐるしく、当社グループにとって利用価値の高い新技術への対応が遅れた場合、当社グループが導入している技術が陳腐化し、当社グループの提供する各サービスに対するユーザー、クライアント等の満足度が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新技術に対応するためのネットワーク関連機器及びソフトウェア等の自社又は外部委託による開発、或いは購入又はライセンス等の導入にかかる費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(カ)インターネットを巡る法的規制の現状と今後の可能性及び影響について

国内のインターネット上の情報流通を取り巻く法的整備やルール化が進み、これらを遵守したサービスの提供が不可欠となっております。また、諸外国においてもインターネット利用のルール化等が進められている事例もあることから、日本国内のみならず、諸外国の動向を意識したサービスの提供が求められています。特に、当社グループが直接の当事者ではないクライアントとユーザー間のトラブルや国境を跨いだトラブルに対して、何らかの責任を負う法的義務が発生することとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(キ)個人情報等の取扱いについて

当社グループは、各種の個人情報及び取引先の機密情報等、重要な情報を多数扱っております。当社グループは、これらの情報の適正な管理が極めて重要な責務と考え、その取扱いには細心の注意を払うとともに、情報の取扱いに係わる社内規程の整備、定期的な従業員教育の実施、システムのセキュリティ強化、情報取扱い状況の内部監査等、情報管理の強化に努めています。また、法令その他諸規則等の要請に基づき個人情報を開示すべき義務が生じた場合、顧問弁護士及び関係する監督官庁との慎重な審議を行った上で、その対応を確定しております。

このように、機密情報、個人情報の保護に注力していますが、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により、これらの情報の外部流出、消失、改ざん又は不正利用等が発生した場合には、適切な対応を行うためのコスト負担、当社グループによる損害賠償に関しては損害保険によりそのすべて又は一部を補償されるものの、当社グループの社会的信用の失墜とそれに伴うユーザー及びクライアントの減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ク)ネットワークセキュリティについて

当社グループは、主としてインターネット上でサービスを提供しているため、当社グループのネットワークがインターネットに接続された環境にあります。そのため、当社グループは、コンピュータウィルス等の進入やハッカー等による外部からの攻撃等に対処すべく各種のセキュリティ対策を実施していますが、あらゆる可能性を想定して対策を講じることは困難であり、当社グループの想定しないシステム障害等により、サービスの一部又は全部の提供を中断する等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ケ)当社グループのWEBサイトに情報を掲載するクライアントとユーザーとのトラブルについて

当社は社内に情報審査部門を設置し、当社グループのWEBサイトに掲載された情報のチェックを随時実施しています。また、当社グループのWEBサイトに情報を掲載するクライアントとユーザーとの間にトラブルが発生し、ユーザーより当社グループへ連絡があった場合、当社は、当社グループ担当者から当該クライアントへ連絡して事実の確認とユーザーへの説明及びトラブルの原因となった事項の改善を求め、また、当社グループの判断によっては利用契約の解除を行う等の対応を行っています。

しかしながら、当社グループからクライアントへの改善要求は強制力を持つものではなく、また、こうした対応によってトラブルを経験したすべてのユーザーに理解・納得いただけるとは限らないため、当社グループが提供するサービスの評判が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(コ)知的財産権等について

当社グループの業績や事業運営に重大な影響を与える特殊な技術、ビジネスモデル、商標、そして著作物等の使用に対する損害賠償請求等を受け、多額の支払いやサービスの停止等を余儀なくされた場合、当社グループの業績や事業運営に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、現時点において、第三者の知的財産について、その使用許諾を受けて使用している事実があります。今後、使用許諾の解消等が発生した場合、その対応についてコストが発生することとなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(サ)海外展開について

当社グループは、海外展開を推進しております。海外展開においては地域特性によるビジネスリスクや法規制等が多岐にわたり存在し、当社はこれらのリスクを最小限にすべく十分な対策を講じたうえで海外展開を進める方針ですが、予測困難なビジネスリスクや法規制等によるリスクが発生した場合には、当該リスクが当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(シ)為替の影響について

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、急激な為替レートの変動は、地域間の企業取引及び海外拠点における商品価格やサービスコストに影響し、売上収益や損益等の業績に影響を与えます。また、海外における資産価値や負債価値は、連結財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動は、換算差による影響が生じます。想定を超えた急激な為替レートの変動が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ス)のれんの減損に関するリスク

当社グループは2014年11月にTrovit Search, S.L.の持分100%を80百万ユーロ(取得に際する付随費用を除く)にて取得しました。この買収に伴い、多額ののれんを計上いたしました。今後、同社の収益性が著しく低下し減損損失の計上が必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(セ)同業他社について

当社グループが運営する不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』及びアグリゲーションサイト「Trovit」は、現在当社グループ以外の複数の同業他社が存在します。

当社グループでは、今後も『LIFULL HOME'S』及び「Trovit」の掲載情報数の増加、信頼性・利便性の向上、ブランド力の維持・強化を図り、他社との差別化に努める所存ですが、インターネット業界の参入障壁は低く新規参入が容易であることや、差別化しにくい業界のため、競合の激化が発生した場合、当社グループの競争力が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

②当社グループの事業体制に関するリスクについて

(ア)経営者への依存について

当社の代表取締役社長である井上高志は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、不動産業界やインターネットサービスに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

当社グループでは、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、権限委譲の進展による意思決定の迅速化を図るため執行役員制度を導入する等、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(イ)システム障害及び機材の故障によるリスクについて

当社グループの事業は、事業運営においてコンピューターシステム及び通信ネットワークに依存しているため、停電や地震に対応可能な無停電設備・耐震構造を備えたデータセンターを利用し、かつ、サーバーのデータについては常時バックアップを取る体制を採っています。

しかしながら、予想し得ない自然災害や事故により通信ネットワークが切断された場合や、アクセス増等の一時的な過負担によって当社グループ又はプロバイダーのサーバーが作動不能に陥った場合等には、当社グループのシステムへの信頼性の低下を招き、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業遂行に必要な主要機材については、パーツ及びハードウェア自体の二重化により耐障害性を強化しておりますが、予想し得ない障害が発生した場合にはサービスの全部又は一部を停止する事態が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ウ)買収等による業容拡大について

当社グループは、新規事業への進出、既存事業の拡充及び関連技術の獲得等を目的として、買収(M&A)や合弁事業の展開を経営の重要課題として位置付けており、今後も事業戦略として買収等を検討していく方針です。

当社グループは、買収を行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努めておりますが、デューディリジェンスの完全性が担保されない場合もあり、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性も否定できません。また、被買収企業の情報システム又は内部統制システム等との融合が進まない可能性及び買収により被買収企業の役職員や顧客が失われる可能性もあります。

 

(エ)新規事業の開始について

当社グループは、不動産情報サービス事業以外の収益の柱となる新規事業の育成をすすめております。新規事業の開始にあたっては、事前調査データに基づき事業計画を策定し、投資対効果の予測をしております。

しかしながら、当該新規事業による当社グループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画どおりに事業が展開できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、新たな領域、サービス内容の新規事業の開始にあたっては、その事業固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因でも、当社グループのリスク要因となる可能性があります。

 

(オ)コンプライアンスについて

当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部統制システムの強化を経営上の重要課題のひとつとして位置づけ、グループ各社の従業員等に対して適切な指示、指導を実施し、反社会的勢力との関係遮断や不正行為の防止・発見のために必要な予防策を講じています。

しかしながら、コンプライアンスをはじめとした内部統制システムには一定の限界があるため、その達成を完全に保証するものではありません。このため、将来において法令違反等が生じた場合、ユーザー及びクライアント等の信頼失墜を招く、もしくは取引先等から訴訟を提起される、という事態が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③その他

(ア)配当政策について

当社は、積極的な事業展開の推進により、利益の継続的な増加を目指す「将来の成長に対する投資」及び財務体質の充実・強化を図るための「内部留保」を中心に据えながら、「株主の皆様への利益還元」を重要な経営方針の一つとして位置付けております。

配当金につきましては、中長期的な事業計画等を勘案して、毎期の業績に応じた弾力的な成果の配分を行うことを基本方針としております。

そのため、当社グループの単年度の業績が赤字になった際は、配当金額をゼロとさせていただく可能性があります。

 

 

(イ)楽天株式会社との関係について

楽天株式会社は、2017年3月31日現在、当社株式を20.03%保有する大株主であり、当社のその他の関係会社に該当します。同社と当社との間では、同社が運営するポータルサイトへの当社不動産情報を掲載する等の商取引関係や、当社社外取締役山田善久が同社執行役員を兼務する等、広範囲に亘る友好的な関係にあります。

将来においても同社との関係が現状と同様のものであるか否かは不明であります。同社との現在の関係が維持されなかった場合、取引高は比較的小さいものの、当社の今後の事業展開や資本政策に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、主として不動産分野における“安心”の阻害要因となる「情報の非対称性の解消」を実現する活動を行ってきました。また、中期経営戦略の柱として「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーへ。」をスローガンに掲げ、世の中に溢れている大量の情報を蓄積・整理・統合し、情報を必要としているユーザーに、様々なデバイスを通じて最適な情報を提供することに取り組んでおります。

今後は不動産分野にとどまらず他分野においても“安心”を感じられる情報基盤を構築し、更に“喜び”(付加価値)を提供できる当社サービス及び技術の開発を研究開発活動の方針としております。経営理念達成のためには現存技術の改善・改革を実行すると同時に、魅力ある新技術を開発することが必要課題であり、研究開発力の強化は当社にとって重要課題のひとつであると考えております。

当社は、2011年2月に東京大学との産学連携企業であった株式会社リッテルを完全子会社化し、同年4月には当社を存続会社とする吸収合併を行うと同時に、当社における研究開発部門としてリッテル研究所を設置し、以後、主にレコメンデーションエンジンの研究開発に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度の会計処理における研究開発費は60,057千円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態の分析

 (流動資産)

流動資産の残高は12,059,879千円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)に比べ1,088,985千円増加しております。主な要因は、現金及び現金同等物の減少578,323千円、売掛金及びその他の短期債権の増加811,557千円、その他の短期金融資産の増加465,932千円等によるものであります。

 (非流動資産)

非流動資産の残高は15,050,284千円となり、前期末に比べ755,618千円増加しております。主な要因は、有形固定資産の増加1,171,720千円、のれんの減少289,995千円、無形資産の減少455,399千円、その他の長期金融資産の増加314,327千円等であります。

以上の結果、資産合計は27,110,164千円となり、前期末に比べ1,844,603千円増加しております。

 

 (流動負債)

流動負債の残高は7,088,821千円となり、前期末に比べ1,097,387千円増加しております。主な要因は、買掛金及びその他の短期債務の増加1,173,930千円、引当金の増加249,617千円、未払法人所得税の減少401,811千円等であります。

 (非流動負債)

非流動負債の残高は1,205,374千円となり、前期末に比べ926,626千円減少しております。借入金の減少983,850千円、引当金の増加259,971千円、その他の非流動負債の減少137,121千円等によるものであります。

以上の結果、負債合計は8,294,195千円となり、前期末に比べ170,761千円増加しております。

 

(資本)

当期末における資本の残高は18,815,968千円となり、前期末に比べ1,673,841千円増加しております。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の増加2,765,539千円及び、配当金の支払による利益剰余金の減少534,219千円、その他の資本の構成要素の減少675,431千円であります。

 

(2) 経営成績の分析

(売上収益及び売上総利益)

当連結会計年度(以下、当期)における売上収益は29,920,333千円となり、前連結会計年度(以下、前期)に比べ4,212,715千円(前期比16.4%増)の増加となりました。主な要因は、国内不動産情報サービスが2,831,431千円増加したことによります。

この結果、当期における売上総利益は26,839,745千円となり、前期に比べ3,259,659千円(同13.8%増)の増加となりました。

 

(営業利益)

当期における営業利益は4,066,190千円となり、前期に比べ71,575千円(同1.8%増)の増加となりました。主な要因は、Lifull Marketing Partners社の連結が通期化したこと等により、人件費や広告宣伝費が増加いたしましたが、売上総利益がそれ以上に増加したことによるものであります。

 

(税金費用)

法人所得税費用は1,275,159千円となり、前期に比べ31,804千円(同2.4%減)の減少となりました。主な要因は、課税所得が減少したこと等によるものであります。

 

(当期利益)

上記税金費用を計上した結果、当期利益は2,812,018千円となり、前期に比べ100,757千円(同3.7%増)の増加となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析は「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。

 

(4) 今後の経営方針について

 ①会社の経営の基本方針

「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、日本及び海外において不動産情報サービス事業を中心に、住まいの情報を提供しております。また、住まいの情報のみならず、保険ショップの情報、家具・インテリアの情報等、暮らしにかかわる情報サービスを提供しております。

 

 ②目標とする経営指標

当社グループが重視している経営指標は、売上収益、EBITDAマージンであり、EBITDAマージンは中期的に20%程度を目指してまいります。また、営業上の指標として、不動産情報サービス事業においては掲載物件数、サイトの訪問者数、問合せ数(ユーザーから不動産会社等に対するメールや電話での問合せ)等を重視しております。EBITDAマージン以外の指標については公表することは行っておりませんが、更なる向上を目指してまいります。

 

 ③中長期的な会社の経営戦略

当社グループでは「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーへ。」をスローガンに掲げ、あらゆる人が安心と喜びをもって未来へと進んでいくためのサポートをしたいと考えております。世の中に溢れている大量の情報を蓄積・整理・統合し、情報を必要としているユーザーに対し、多様なデバイスやチャネルを通じて最適な情報を提供することに取り組んでおります。

この戦略に基づき、「HOME'S関連事業の強化」、「海外事業の基盤づくりと新規参入国の検討」、「不動産領域以外の新規領域事業の収益化と新規事業開発」に重点的に取り組んでまいります。