将来に関する事項は、当期末現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
LIFULLグループは、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、企業活動を行っています。
コーポレートメッセージ「あらゆるLIFEを、FULLに。」に掲げるとおり、事業を通じた社会課題の解決により、あらゆる人々が安心と喜びに満ちた自分らしい暮らしを享受できる世界を実現することを目指して企業活動を推進しています。
(2)対処すべき課題
当社グループは、以下のような課題に取り組んでまいります。
①HOME'S関連事業の強化
不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』において不動産情報・価格情報・物件性能評価・不動産事業者評価といった情報の網羅と可視化に加え、新たな検索体験の創出によるメディア価値の向上、ユーザー数の増加、顧客基盤の強化に取り組み、ユーザーとクライアント双方に対する提供価値を増加させることで業績の拡大に努めてまいります。
②不動産市場の活性化・拡大
クラウドファンディングを活用した投資プラットフォームをはじめとする不動産投資市場拡大に向けた取り組みや、地方自治体と個別に連携し空き家の利活用を推進する等、不動産市場の拡大に向けた新たな価値の創出にも努めてまいります。
③海外事業のグローバルにおける成長力の強化
各種サービスの高度化、M&Aによる戦略的サービス強化地域におけるシェア拡大、マルチメディアをコントロールする統合プラットフォームの構築に取り組むことで、ユーザーとクライアントに質の高いサービスを提供し、顧客基盤の強化と広告単価の向上、グローバルでの競争力の拡大に努めてまいります。
④M&A、事業提携の推進
既存事業の拡充、関連技術の獲得及び新規事業への進出のため、M&Aや事業提携を推進してまいります。
⑤人材採用・育成、組織力の強化
持続的な成長のために、新卒及び中途社員の採用をすすめ、社内外の教育研修プログラムによる専門スキルの向上や会社の価値観の共有等を通じて、当社グループの人的資産及び組織力の強化に努めてまいります。
以下において、当社グループの事業や事業運営、及び投資家の投資判断に重要な影響を及ぼすと考えられるリスクを記載しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
また、以下の記載は、当社グループに係るすべてのリスクを網羅することを意図したものではありません。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
①事業戦略に関するリスク
(HOME'S関連事業)
(ア)問合せ数の減少について
『LIFULL HOME'S』では、一部のサービスで顧客である不動産事業者と利用者のマッチング数に応じた成果報酬型の課金形式を採用しています。
当該価格体系は成果の数により収益が変動するため、事業環境の変化や『LIFULL HOME'S』自体の集客力の低下等により、顧客である不動産事業者に提供する成果の数が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)サービス料金体系について
各種サービスの価格体系は、他企業における類似商品との価格対比や当社グループ商品の付加価値の向上、コストの変動等により、見直しを行う場合があります。
価格の見直しにより、クライアントの利用状況が大きく変化した場合や当社グループ商品に関してコストの変動を価格に転嫁できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)クライアントの減少について
『LIFULL HOME'S』では、当社の利用規約の違反による強制退会等、何らかしらの事由により退会数が増加、特に多数の支店を抱える団体等との間の大口契約が終了した場合には、クライアント数が減少することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)クライアントとユーザーとのトラブルについて
当社は、情報審査部門を設置し、『LIFULL HOME'S』に掲載された情報が適正か随時確認しています。能動的な調査に加え、AIやビッグデータを活用し間違えの可能性がある情報を迅速に特定する仕組みや、不動産管理会社が保有する成約・申込等のデータを毎日受領し、『LIFULL HOME'S』の掲載情報と照合して、該当する物件情報を自動で非掲載にする等、情報精度を向上させる取組みを実施しています。またクライアントとユーザーとの間に何らかしらのトラブルが発生し、ユーザーより当社へ連絡があった場合には、当社担当者より当該クライアントへ事実確認とユーザーへの説明及びトラブルの原因となった事項の改善を求めており、状況に応じて利用契約の解除を行う等の対応を行っています。
しかしながら、当社からクライアントへの改善要求は強制力を持つものではなく、クライアントとユーザーの間のトラブルが解消しない場合には、当社グループが提供するサービスの評判が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オ)広告宣伝活動の効果について
当社は、サイトの集客や認知度向上、ユーザー・クライアント獲得のため、積極的な広告宣伝投資を行っています。サイト集客を目的としたWebマーケティングでは、何らかの理由で競合環境が激化した場合、キーワードを獲得するための広告単価が上昇することがあります。また、ブランディングでは、効果測定等をもとに費用対効果が最大化するよう投資を行っていますが、投資効果を過大に見積もっていた場合や、サービスの不具合等、何らかの理由でブランド価値の棄損が生じた場合には、広告費が増大したり、投資額による効果が低下することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(海外事業)
(ア)グローバル展開について
当社グループは、グローバルプラットフォームの構築を中長期成長戦略の柱の一つとして掲げており、60を超える国や地域でサービス展開しています。グローバル展開においては、言語や文化、商慣習、法令や各種制度、政治的要因、地理的要因等の地域特性によるビジネスリスクや法規制等に加え、グローバルにおける競合の台頭や時差による対応の遅れ等、リスクは多岐にわたり存在しています。当社グループはリスクを最小限にすべく十分な対策を講じたうえで事業展開を進める方針ですが、予測困難なビジネスリスクや法令の変更等をはじめ、リスクに対応できない場合には、当社グループの海外事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
またグローバルにおけるサービス展開にあたり様々なリスクの特定と対応に一定の費用が発生するほか、既存サービスにおいても、法令の変更等に対応する費用の増加ならびに対応による収益機会の喪失や競争力の低下等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(新規事業)
(ア)新規事業の開始について
当社グループは、技術革新やビジネスモデルの変化のスピードが速いインターネットを基盤とした様々なサービスを展開しています。既存サービスの競争力強化に向けた様々な取組みを実施する一方、新たな収益の柱となるサービスや、時代に合わせたサービスの創出を目的として、新規領域への参入にも取組んでいます。新規事業の開始にあたっては、事前調査に基づく事業計画の策定と投資対効果の予測をしています。
しかしながら、新規事業による当社グループの事業及び業績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により期待通りの成果を生まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規に参入した市場やサービス内容等により、固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因が当社グループのリスク要因となる可能性があります。
②企業経営に関するリスク
(ア)経営者への依存について
代表取締役社長である井上高志は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者です。同氏は、不動産業界やインターネットサービスに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしています。
当社グループでは、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、権限委譲の進展による意思決定の迅速化を図るため執行役員制度を導入する等、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が離職又は業務執行が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(イ)M&A・出資に伴うリスクについて
当社グループの成長戦略の実行に向けて、既存サービスの拡充、関連技術の獲得、人材の獲得や新規サービスの展開、その他戦略上重要な資産の獲得等を目的とした、積極的な買収(M&A)や合弁事業の展開を経営の重要課題として位置付けています。当社グループは買収の検討に際し、対象企業の事業、財務、契約関係等について詳細なデューディリジェンスを実施することで極力リスクを回避するように努めており、定められた承認プロセスを経て投資判断していますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、投資時に対象企業の企業価値を過大に見積もっていた場合や、事業環境の変化等により計画が変更となる場合、内部統制システム等の統一や融合が進まない場合、投資企業の役職員を含むキーマンが何らかの理由により離職又は業務執行が困難になった場合等、投資後に何らかの事由により期待通りの成果を生まない場合には、当社グループの財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
業務提携や合弁事業においては、当社グループが支配権を有するとは限らないため、パートナー事業者との経営方針の相違や、当社グループ以外の企業からの資金調達を含む提携による戦略の変更等、投資決定時に期待した通りの成果を生まない場合には、かかる投資資本の回収ができなくなる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、非流動資産にのれんを計上しており、資産合計に占める割合が高くなっております。当社は連結財務諸表の作成にあたり国際会計基準(IFRS)を適用しているため、当該のれんの償却は不要となりますが、のれんの対象となる会社の収益性が著しく低下し、将来的な効果である回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 11.のれん」をご参照ください。
(ウ)外部検索エンジンへの依存について
当社グループが運営するサイトに訪れるユーザーは概ね検索エンジン経由であり、これらの集客は検索エンジンの表示結果に依存しています。検索エンジンの表示結果についてどのような条件により上位表示されるかは、各検索エンジンの運営者のポリシーやルールによるものであり、当社グループがその判断に介在する余地はありません。積極的なブランディングプロモーション等独自の集客力強化に努めるとともに、検索結果において上位に表示されるべくSEO等の必要な対策を進めていますが、検索エンジンの運営者による上位表示方針の変更等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない状況が生じた場合には、当社グループが運営するサイトへの集客効果が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)システムトラブルについて
当社グループのサービスの多くは、コンピューターシステムとそれを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されています。そのためコンピュータウィルス・マルウェア等の進入やハッカー等による外部からの攻撃等に対処すべく各種のセキュリティ対策を実施しており、サーバーのデータについては常時バックアップを取る体制を採っています。
しかしながらネットワーク又はコンピューターシステムにおけるハードウェアやソフトウェアの不具合や障害、第三者による外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、当社及び外注先の役職員による人為的なミス、災害や事故等による通信ネットワークの切断、急激なアクセス増によるサーバーの一時的な作動不能、電力トラブル等が発生することで、一時もしくは一定期間にわたりサービスの一部又は全部の提供を中断する場合には、収益機会の喪失や当社グループのシステム自体への信頼低下及び損害賠償が生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オ)個人情報の取り扱いについて
当社グループは、運営する各種サービスにおいて、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、勤務先情報、生年月日、性別等の個人情報を取得しています。また取引先の機密情報等、重要な情報を多数扱っています。当社グループは、これらの情報の適正な管理を極めて重要な責務と考え、その取扱いには細心の注意を払うとともに、情報の取扱いに係わる社内規程の整備、定期的な従業員教育の実施、システムのセキュリティ強化、情報取扱い状況の内部監査等、情報管理の強化に努めています。また、法令その他諸規則等の要請に基づき個人情報を開示すべき義務が生じた場合、顧問弁護士及び関係する監督官庁との慎重な審議を行った上で、その対応を確定しています。
このように、各種情報の保護に注力していますが、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により、これらの情報の外部流出、消失、改ざん又は不正利用等が発生した場合には、損害賠償請求や適切な対応を行うための費用負担、収益機会の喪失、監督官庁からの処分、当社グループの社会的信用の失墜とそれに伴うユーザー及びクライアントの減少等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(カ)知的財産権等について
当社グループの事業運営に重大な影響を与える特殊な技術、ビジネスモデル、商標、及び著作物等の使用に対する損害賠償請求等を受け、多額の支払いやサービスの停止等を余儀なくされた場合には、当社グループの業績や事業運営に重大な影響を与える可能性があります。
一方、当社グループが第三者により何らかしらの権利を侵害された場合には、当社グループの権利保護のために、訴訟を含む費用が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(キ)コンプライアンスについて
当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部統制システムの強化を経営上の重要課題のひとつとして位置づけ、グループ各社の従業員等に対して適切な指示、指導を実施し、反社会的勢力との関係遮断や不正行為の防止・発見のために必要な予防策を講じています。
当社グループは事業の運営にあたり、必要に応じて関係機関への確認や弁護士等の外部専門家への相談を実施していますが、コンプライアンスをはじめとした内部統制システムには一定の限界があるため、リスクを完全に排除できるものではなく、当社グループや取引先に起因するものを含め、将来において法令違反等が生じた場合や、故意ではないものの法令その他諸規則の解釈の相違等により行政機関から行政指導等を受けた場合には、当社グループの信頼性や企業イメージの低下によるユーザー及び顧客の離反、もしくは訴訟を提起されるという事態が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また各種法令の解釈の見直しや条件の追加、当社グループの事業に不利な影響を与え得る規制の強化等が実施された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ク)人材の確保と育成について
当社グループは主としてインターネットを活用し、住宅や高齢者向け施設、トランクルームといった様々な分野におけるサービスを提供しています。そのためインターネットやIT技術をはじめとする研究・開発人材や、各サービス分野において専門性を有する人材が必要であり、各サービスの競争力強化に向けて人材の継続的な確保と育成を経営の重要課題として位置付けています。しかしながら、近年様々な業界がDXに取組んでいることを背景に、特にIT人材の不足や、それに起因する雇用条件の上昇及び人材獲得競争の激化が進んでいます。今後、各サービス分野や職種、及び地域における人材獲得競争の激化等により、優秀な人材の確保が困難となる場合や、人材流出が生じる場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③外部環境に関するリスク
(ア)景気変動に伴うリスクについて
当社グループが主として事業を展開しているインターネット広告市場は、インターネットの普及、スマートフォンの普及・利用拡大や、様々な分野におけるオンライン化等を背景に規模拡大を継続しています。しかしながら、広告主の広告戦略は、事業の状況、事業環境の変化により決定されるため、景気変動による影響が大きく、今後景気が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)災害等のリスクについて
当社グループでは、有事の際に備え、事業継続計画(BCP)を策定していますが、大規模災害や疫病・疾病の蔓延、地域・国際紛争といった想定を超えた災害が発生した場合は、当社グループの事業活動及びサービス提供自体が困難となる可能性があります。また、災害の発生やその影響期間の長期化により、社会全体の経済活動が停滞した場合には、当社グループの提供するサービスに対するニーズが低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大は世界規模でマクロ経済に影響を与えており、経済活動の停滞が継続しています。当社グループが国内外で運営する複数のサービスでも、経済活動の停滞に伴う一時的な広告出稿の抑制等の影響が生じています。新型コロナウイルス感染症の感染状況や影響期間が長期化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)為替の影響について
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、急激な為替レートの変動は、地域間の企業取引及び海外拠点における商品価格やサービスコストに影響し、売上収益や損益等の業績に影響を与えます。また、海外における資産価値や負債価値は、連結財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動は、換算差による影響が生じます。想定を超えた急激な為替レートの変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)同業他社について
当社グループが運営する『LIFULL HOME'S』『Trovit』『Mitula』『Nestoria』『LIFULL介護』『LIFULL トランクルーム』等のインターネット関連サービスには、複数の競合が存在しています。またインターネット関連サービス以外のサービスについても同様に複数の競合が存在しています。
当社グループでは今後も当社サービスの競争力強化に向けた投資を実施し、他社との差別化に努める方針ですが、当社の競争力強化に向けた投資が計画通りの成果を上げられない可能性や、インターネット業界の参入障壁は低く新規参入が容易であること、革新的な技術やビジネスモデルの競合の出現競合等により、競合環境が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オ)技術革新について
当社グループの各事業はICT(情報通信技術)を事業基盤としており、先進技術を積極的に活用することで各サービスの価値向上に取り組んでいます。しかしながら、ICTの進歩はめまぐるしく、何らかしらの要因により当社グループにとって利用価値の高い技術への対応が遅れた場合には、導入している技術が陳腐化することで、提供する各サービスに対するユーザー、クライアント等の満足度が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新技術に対応するためのネットワーク関連機器及びソフトウェアの購入やライセンス料金、自社あるいは外部委託による開発等の費用が増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④その他のリスク
(ア)配当政策について
当社は、積極的な事業展開の推進により、利益の継続的な増加を目指す「将来の成長に対する投資」及び財務体質の充実・強化を図るための「内部留保」を中心に据えながら、「株主の皆様への利益還元」を重要な経営方針の一つとして位置付けています。
配当金は、中長期的な事業計画等を勘案して、毎期の業績に応じた弾力的な成果の配分を行うことを基本方針としており、当社グループの単年度の業績が赤字になった際は、配当金額をゼロとさせていただく可能性があります。
(イ)楽天グループ株式会社との関係について
楽天グループ株式会社は、当社株式を保有する大株主であり、当社のその他の関係会社に該当します。同社と当社との間では、同社が運営するポータルサイトへの当社不動産情報を掲載する等の商取引関係がある等、広範囲に亘る友好的な関係にあります。
将来においても同社との関係が現状と同様のものであるか否かは不明であります。同社との現在の関係が維持されなかった場合、取引高は当社グループの収益の中では比較的小さいものの、当社の今後の事業展開や資本政策に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当期(2021年10月~2022年9月)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により制限されていた外出やイベント等の自粛要請は段階的に緩和され、経済活動の再開が見られましたが、円安の進行や、中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーンへの影響、ウクライナ情勢の影響等による資源やエネルギー価格の高騰等による物価上昇傾向から、依然として先行き不透明な状況が継続しています。
当社の主要な顧客である建設・不動産業界においては、新築着工件数は前年度比(10月~9月)+2.3%と増加したものの、資材不足等により、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年9月期と比較すると-7.0%といまだ低い水準にあります。国内の移動者数は、移動制限の緩和等により、前年度比で+0.9%と増加しましたが、2019年9月期比では-2.4%と低い水準にとどまり、完全な回復までには道半ばとなっています。(国土交通省「建築着工統計調査報告」、総務省「住民基本台帳人口移動報告」より)
海外においても、国内と同様の先行き不透明な状況が継続しています。
このような状況のもと、当社グループでは、国内外において、主力事業である不動産関連情報サービスの継続成長に向けて、積極的な成長投資を実施しており、不動産事業者向けインターネット・マーケティング事業やファッションのアグリゲーションサービスといった周辺事業の売却とその他投資計画の見直し及び一時延期等により、主力事業への成長投資へ経営リソースの集中を行いました。
営業利益、税引前当期利益、当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益については、前期に計上しているのれんの減損損失の影響もあり、大幅に改善しております。
その結果、当期における連結業績は、売上収益35,730,792千円(前期比△0.4%)、営業利益1,681,907千円(前期は営業損失6,644,103千円)、税引前当期利益1,396,421千円(前期は税引前当期損失6,857,347千円)、当期利益1,192,512千円(前期は当期損失5,895,682千円)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,187,667千円(前期は親会社の所有者に帰属する当期損失5,901,120千円)となりました。
なお、当期におけるセグメント毎の売上収益及びセグメント利益は、以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2 前期のセグメント損失は679,033千円であります。
当セグメントは、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」と不動産事業者向け業務支援サービス、及び関連事業で構成されています。
当期は、クライアント、ユーザーへの提供価値の向上と競争力強化に向けて、一人ひとりに合わせた住まい探しをサポートできるメディアに進化させるべく、AI技術を活用した新機能の開発強化や、認知向上のための広告宣伝投資、クライアントネットワークの拡大等に積極的に取り組んでまいりました。これらの取組みによる効果により、「LIFULL HOME'S」を活用した問合せ数は増加傾向にあります。
しかしながら、引越者はコロナ前の水準と比べ減少していることや、アライアンスパートナーとの提携解消等の影響もあり、本格的な回復までには道半ばとなっています。
また主力事業である「LIFULL HOME'S」への成長投資に社内リソースを集中することを目的に、同セグメントに含まれていた、インターネット・マーケティング事業を営むLIFULL Marketing Partners株式会社については、2022年9月30日付で株式譲渡しております。
以上の結果、当事業の売上収益は26,083,502千円(前期比△2.4%)、セグメント利益は349,381千円(同△85.2%)となりました。
②海外事業
当セグメントは、主にLIFULL CONNECTが運営する不動産・住宅情報サイト等により構成されています。
当期はグローバルにおける競争力強化に向けて、60を超える国や地域で展開する複数のWEBサービスを活用し、各地域におけるユーザーシェアの拡大による広告価値の向上や、各サービスの高度化による集客効率の向上に取り組みました。
特にラテンアメリカのエリアにおいては、ポータルサイトProperatiの事業譲受や、不動産事業者向けCRMの開発、運営をしているWasiの子会社化等積極的な投資を実施し、既存のサービスとの相互活用や、現地の営業力の強化等により、顧客数は拡大傾向にあります。
また海外事業におけるノンコア事業であったファッションのアグリゲーションサイトについては、不動産を中心とする情報サービスに経営リソースを集中することを目的に、2022年7月28日付で株式譲渡しております。
以上の結果、当事業の売上収益は7,201,380千円(同△0.9%)、セグメント利益は576,753千円(同△63.4%)となりました。
③その他
その他には、老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL 介護」、レンタル収納スペース情報検索サイト「LIFULL トランクルーム」、地方創生事業、地域創生ファンド等のサービスがあります。
その他の売上収益は2,745,599千円(同+25.3%)、セグメント損失は△661,486千円(前期はセグメント損失679,033千円、17,547千円の改善)となりました。
以下の項目等、より詳しい決算内容に関しては、当社IRサイトより、2022年11月9日発表の「2022年9月期 決算説明資料」をご覧ください。
参考URL:https://ir.lifull.com/ir/ir-data/
<決算説明資料の主な項目>
・簡易損益計算書 ・・・ 簡易損益計算書(IFRS)
・セグメント別売上収益 ・・・ セグメント別売上収益(IFRS)
・業績予想の進捗状況 ・・・ 簡易損益計算書、サービス別売上収益
・事業の状況 ・・・ セグメント毎の主な取組状況
・四半期別の業績推移 ・・・ 連結損益計算書(簡易版)、連結セグメント別損益
・外部市況データ月別推移 ・・・ マンション発売戸数、マンション価格、新設住宅着工戸数、日本全国移動者数、日本人口
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(流動資産)
流動資産の残高は25,011,262千円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)に比べ3,466,307千円増加しております。主な要因は、現金及び現金同等物の増加3,375,954千円、売掛金及びその他の短期債権の減少539,551千円、その他の短期金融資産の増加479,082千円、その他の流動資産の増加150,821千円であります。
(非流動資産)
非流動資産の残高は23,695,627千円となり、前期末に比べ647,014千円減少しております。主な要因は、有形固定資産の減少249,722千円、使用権資産の減少773,037千円、のれんの増加564,109千円、無形資産の減少233,603千円、持分法で会計処理されている投資の増加773,586千円、その他の長期金融資産の減少573,023千円、繰延税金資産の減少133,005千円、その他の非流動資産の減少22,317千円であります。
以上の結果、当期末の資産合計は48,706,890千円となり、前期末に比べ2,819,293千円増加しております。
(流動負債)
流動負債の残高は13,389,712千円となり、前期末に比べ1,250,418千円増加しております。主な要因は、買掛金及びその他の短期債務の減少141,397千円、借入金の増加1,463,666千円、リース負債の減少44,793千円、未払法人所得税の減少45,078千円、及び、その他の流動負債の増加18,021千円であります。
(非流動負債)
非流動負債の残高は4,186,265千円となり、前期末に比べ1,023,648千円減少しております。主な要因は、借入金の減少536,174千円、リース負債の減少725,818千円、その他の長期金融負債の増加91,356千円、繰延税金負債の減少32,089千円、及び、その他の非流動負債の増加178,734千円等であります。
以上の結果、当期末の負債合計は17,575,978千円となり、前期末に比べ226,770千円増加しております。
(資本)
当期末における資本の残高は31,130,912千円となり、前期末に比べ2,592,523千円増加しております。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の増加1,187,667千円、剰余金の配当による利益剰余金の減少477,049千円、その他の包括利益によるその他の資本の構成要素の増加1,823,902千円、及び、非支配持分の増加6,802千円等であります。
当期における現金及び現金同等物(以下、資金)は、3,375,954千円増加し、16,521,263千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は2,697,315千円となり、前連結会計年度(以下、前期)の増加した資金1,287,655千円と比べ、1,409,660千円の増加となりました。主な要因は、前期は減損損失が9,749,169千円発生していたこと、当期は税引前当期利益が1,396,421千円と前期に比べ8,253,769千円増加したこと、減価償却費及び償却費が1,910,549千円と前期に比べ67,940千円減少したこと、売掛金及びその他の短期債権の増減額が△1,738,155千円と前期に比べ4,384,145千円減少したこと、買掛金及びその他の短期債務の増減額が2,174,908千円と前期に比べ4,802,484千円増加したこと、その他が△1,168,047千円と前期に比べ485,598千円増加したこと、利息の支払額が172,469千円と前期に比べ60,436千円増加したこと、及び、法人所得税の還付額が205,995千円と前期の法人所得税の支払額1,921,086千円に比べ2,127,081千円増加したこと等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は388,869千円となり、前期の減少した資金1,068,049千円と比べ、1,456,918千円の増加となりました。主な要因は、前期は資本性金融資産の取得による支出が100,100千円、子会社の取得による収入が4,458千円それぞれ発生していたこと、当期は資本性金融資産の売却による収入が20,000千円、子会社株式の売却による収入が2,440,155千円、関連会社株式の取得による支出が800,000千円それぞれ発生したこと、有形固定資産の取得による支出が92,640千円と前期に比べ6,690千円減少したこと、無形資産の取得による支出が586,945千円と前期に比べ91,572千円減少したこと、事業譲受による支出が453,523千円と前期に比べ35,979千円増加したこと、子会社の取得による支出が295,381千円と前期に比べ292,164千円増加したこと、敷金及び保証金の差入による支出が18,799千円と前期に比べ8,917千円増加したこと、敷金及び保証金の返還による収入が6,574千円と前期に比べ172,894千円減少したこと、貸付による支出が985,164千円と前期に比べ171,664千円増加したこと、貸付金の回収による収入が1,141,585千円と前期に比べ379,420千円増加したこと、及び、その他が5,852千円と前期に比べ100,525千円減少したこと等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は54,082千円となり、前期の減少した資金3,291,648千円と比べ、3,237,566千円の増加となりました。主な要因は、前期は非支配持分からの子会社持分取得による支出が19,970千円、非支配持分からの払込による収入が20,700千円それぞれ発生していたこと、当期は短期借入れによる収入が503,000千円発生したこと、短期借入金の返済による支出が250,500千円と前期に比べ850,049千円減少したこと、長期借入れによる収入が1,319,746千円と前期に比べ910,246千円増加したこと、長期借入金の返済による支出が404,350千円と前期に比べ650,737千円減少したこと、配当金の支払額が477,172千円と前期に比べ220,062千円減少したこと、リース負債の返済による支出が739,468千円と前期に比べ89,362千円減少したこと、及び、非支配持分への配当金の支払額が5,331千円と前期に比べ14,843千円減少したこと等であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上収益及び営業利益)
当連結会計年度(以下、当期)においては、国内外において、主力事業である不動産関連情報サービスの継続成長に向けて、積極的な成長投資を実施しており、不動産事業者向けインターネット・マーケティング事業やファッションのアグリゲーションサービスといった周辺事業の売却とその他投資計画の見直し及び一時延期等により、主力事業への成長投資へ経営リソースの集中を行いました。
この結果、当期における売上収益は35,730,792千円、営業利益は1,681,907千円となりました。
当期は持分法投資損失202,304千円等が発生したこと、また、法人所得税費用203,909千円を計上した結果、当期利益は1,192,512千円となりました。
資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況の分析は「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要は販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。
(財務政策)
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、効率的な資金の確保を最優先しております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めると共に、自己資金を効率的に活用しております。
短期的な運転資金の調達並びに設備投資資金等の調達に関しましては、自己資金及び複数の金融機関より確保している融資枠からの借入金を基本としております。
「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、日本及び海外において不動産情報サービス事業を中心に、住まいの情報を提供しております。また、住まいの情報のみならず、介護施設やトランクルーム等、暮らしにかかわる様々な情報サービスを提供しております。
当社グループが重視している経営指標は、売上収益、CAGR、営業利益、営業利益率であり、事業上の指標として、HOME'S関連事業においては掲載物件数、顧客数、一顧客あたり平均売上(ARPA)、サイトの訪問者数、問合せ数(ユーザーから不動産会社等に対するメールや電話での問合せ)等を重視しております。
当社グループでは「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念として掲げており、あらゆる人が安心と喜びをもって未来へと進んでいくためのサポートをしたいと考えております。世の中に溢れている大量の情報を蓄積・整理・統合し、情報を必要としているユーザーに対し、様々なデバイスやチャネルを通じて最適な情報を提供することに取り組んでおります。
この戦略に基づき、「HOME'S関連事業の強化」、「海外事業のグローバルにおける競争力強化」、「不動産領域以外の新規領域事業の収益化と新規事業開発」に重点的に取り組んでまいります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」という経営理念のもと、先進技術を積極的に活用しながら様々なサービス開発に取り組んできました。近年の技術進歩は目覚ましく、AI、ロボット、IoEといった新たな技術の活用事例も出てきている中、当社でも現存技術の改善・改革を実行すると同時に、魅力ある新技術の開発、活用は必要課題であり、研究開発力の強化は当社にとって重要課題のひとつであると考えています。
当社では、積極的なAI技術の活用によりサービスの品質や業務の生産性向上を目指し、2018年にAI戦略室を設置。当社グループの持つビッグデータやAI技術を活用し、レコメンデーションエンジンの研究開発や、機械学習による業務効率化につながる機能開発、住宅の平面間取り画像をもとに3Dモデルを生成する技術の開発等の取り組みを継続しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は