(1)業績
① 事業の経過および成果
当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)におけるわが国経済は、個人消費は底堅く、設備投資はおおむね横ばいで、企業収益も改善し、緩やかな回復基調が続きました。
情報サービス業界におきましても、製造業や銀行等を中心にIT投資は増加しましたが、競争激化による厳しい受注環境は依然として継続しました。
このような事業環境のもと、当社グループは、企業価値ならびに株主価値の向上をめざし、収益構造の改革を推進して高収益モデルを確立するとともに、株主還元のさらなる充実を図るため、平成28年3月期から平成30年3月期までの3年間を対象期間とした、中期経営計画を策定し、以下の重点施策に取り組んでおります。
(中期経営計画の概要は、平成27年6月24日発表「中期経営計画の策定に関するお知らせ」 http://www.sra-hd.co.jp/Portals/0/ir/others/20150624.pdfをご参照願います。)
■ 既存事業の収益性向上
[1]売上総利益率のさらなる向上
プロジェクト管理の充実・強化による採算性向上、生産間接費の継続的削減、自社IP製品ビジネスへの取り組み、生産要員規模の適正化の推進により、売上総利益率は前連結会計年度比0.9%増の19.2%となりました。
[2]販管費率の改善
アカウントマネージャー制の導入により営業効率の向上を図るとともに、本社スタッフ部門とシェアードサービスを担当する株式会社SRAプロフェッショナルサービスの運営コストの削減を進めた結果、販管費率は9.7%まで改善しました。
[3]営業利益率の向上
営業利益率は、過去最高となる9.5%となりました。中核会社であります株式会社SRAと株式会社
AITにおきましても営業利益率は過去最高値となりました。
[4]受注・売上拡大
既存顧客の深耕による顧客内シェア向上を重点施策として受注・売上拡大に努めた結果、株式会社SRAをはじめとする国内グループ会社は総じて増収となりました。
また、株式会社SRAが推進してきました「案件管理の仕組み」を国内グループ会社にまで展開した結果、案件の不足に対し、先んじて対応できる体制を築きました。
■ ビジネスモデルの変革
[1]「ビジネスモデルの変革」については、最近、注目度の高いウェアラブルソリューションにおいて、「組込開発」の高い技術力と豊富な実績を活かし、スマートグラスなどのウェアラブルデバイスを用いた「点検作業の確認システム」等の取り組みを始めました。
[2]「既存事業の高付加価値化」についても、グループをあげて取り組んでおります。
■ 自社IP製品ビジネス×海外ビジネスの強化
[1]開発事業、運用・構築事業に比べると売上総利益率が低い「販売事業」において、「自社IP製品ビジネス」を推進することにより、売上総利益率を大きく向上させることができました。組込み、モバイル用アプリケーション構築で多くの実績がある「Qt」は売上、収益ともに伸びており、今後、注目度の高いIoT分野に向けてもビジネスを積極的に展開していく計画です。
[2]平成28年4月には、株式会社SRAが、アジアをはじめとする海外の成長市場をターゲットに有望分野であるモバイルビジネスを展開すべく、Tagit Pte. Ltd. (本社:シンガポール)と業務・資本提携を行いました。この提携も「自社IP製品ビジネス×海外ビジネス」の強化の一環です。
(詳細は、http://www.sra-hd.co.jp/Portals/0/ir/others/20160414.pdfをご参照願います。)
以上の結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高につきましては、開発事業、運用・構築事業、販売事業の全てが増加した結果、39,155百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。
損益面におきましては、増収と利益率向上による売上総利益の増加により、営業利益は3,736百万円(前連結会計年度比22.6%増)、経常利益は3,850百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。また、投資有価証券評価損および貸倒引当金繰入額を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、463百万円(前連結会計年度比71.7%減)となりました。
以上のとおり、当連結会計年度の連結業績は、前連結会計年度に比べ、売上高が増収、営業利益と経常利益は増益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については特別損失の計上により減益となりました。
◎連結業績の推移 (単位:百万円)
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|
平成24年 3月期 |
平成25年 3月期 |
平成26年 3月期 |
平成27年 3月期 |
平成28年 3月期 |
|
売上高 |
33,416 |
32,168 |
35,146 |
36,535 |
39,155 |
|
営業利益 |
2,490 |
2,436 |
2,807 |
3,047 |
3,736 |
|
経常利益 |
2,656 |
2,883 |
3,324 |
3,813 |
3,850 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
1,233 |
1,681 |
2,134 |
1,638 |
463 |
当連結会計年度の事業別の営業の状況は次のとおりです。
●開発事業
開発事業は、製造、銀行、電力、流通の各分野が増加した結果、当事業の売上高は20,901百万円(前連結会計年度比8.4%増)となりました。
●運用・構築事業
運用・構築事業は、大学関連はほぼ横ばいで、企業向けが増加した結果、当事業の売上高は3,978百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。
●販売事業
販売事業は、株式会社AITの機器販売が増加した結果、当事業の売上高は14,275百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ40百万円増加し、8,833百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、3,493百万円(前連結会計年度末は3,290百万円の獲得)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益1,899百万円、貸倒引当金の増加1,261百万円、投資有価証券評価損656百万円等のプラス要因と、売上債権の増加678百万円等のマイナス要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,809百万円(同1,626百万円の使用)となりました。
これは、主に有価証券の売却による収入300百万円等のプラス要因と、投資有価証券の取得による支出1,423百万円、無形固定資産の取得による支出800百万円、貸付による支出597百万円等のマイナス要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、616百万円(同932百万円の使用)となりました。
これは、ストックオプションの行使による収入143百万円のプラス要因と、配当金の支払759百万円等のマイナス要因によるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前連結会計年度比(%) |
|
開発事業(百万円) |
23,734 |
123.0 |
|
運用・構築事業(百万円) |
3,961 |
101.3 |
|
合計(百万円) |
27,696 |
119.3 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。
(2)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前連結会計年度比(%) |
|
販売事業(百万円) |
8,239 |
92.7 |
|
合計(百万円) |
8,239 |
92.7 |
(注)1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。
(3)受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
開発事業 |
21,063 |
109.2 |
4,575 |
103.7 |
|
運用・構築事業 |
3,991 |
102.9 |
1,621 |
100.8 |
|
販売事業 |
13,041 |
86.9 |
3,147 |
71.8 |
|
合計 |
38,097 |
99.8 |
9,344 |
89.8 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間の取引については相殺処理しております。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前連結会計年度比(%) |
|
開発事業(百万円) |
20,901 |
108.4 |
|
運用・構築事業(百万円) |
3,978 |
102.2 |
|
販売事業(百万円) |
14,275 |
106.9 |
|
合計(百万円) |
39,155 |
107.2 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。
4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
日本アイ・ビー・エム株式会社 |
4,096 |
11.2 |
4,936 |
12.6 |
次期のわが国の経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されています。ただし、海外経済で弱さが見られており、わが国の景気が下押しされるリスクがあります。
このような状況のもと、当社グループは、収益構造の改革(高収益モデルの確立)を目指し、「既存事業の収益性向上(売上総利益率の向上と販管費率の改善)」、「ビジネスモデルの変革」、「自社IP製品ビジネス×海外ビジネスの強化」に努めてまいります。
① 既存事業の収益性の向上
[1]売上総利益率のさらなる向上
・大型不採算プロジェクトの撲滅
・プロジェクト管理の精度向上
・生産間接費の継続的削減
・生産要員規模の適正化
[2]販管費率の改善
・アカウントマネージャー制導入による営業効率の向上
・本社スタッフ部門とシェアードサービスを担当する株式会社SRAプロェッショナルサービスの
運営コストの削減
[3]受注・売上拡大
・既存顧客の深耕による顧客内シェアの向上
② ビジネスモデルの変革
[1]「自社IP製品ビジネス+既存事業の高付加価値化」の推進
[2] IoT、モバイル、セキュリティ、クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術等の成長分野における新たなビジネスモデルの構築(自社IP製品、新サービス)
③ 自社IP製品ビジネス×海外ビジネスの強化
・成長分野に向けた自社IP製品を増やすと共に、成長市場である海外をターゲットとしたビジネスを展開
以上の課題を推進し、当社グループの業界における存在感を一層高め、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
当社がグループ統括会社として予想されるリスクは、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①グループ各社の業績変動リスクについて
グループ各社の諸要因に基づく業績の急激な変動が、当社の業績に影響を与える可能性があります。
②顧客情報の秘密保持について
当社グループでは、個人情報を取り扱う機会の多い情報処理サービス企業であることを自覚し、個人情報保護の重要性を十分に認識して、社内の管理体制を確立するとともに、当社グループ社員およびビジネスパートナーへの教育を行い、個人情報の保護に努めております。しかしながら、万が一、情報漏洩が発生した場合には取引先の信用失墜のみならず、損害賠償を受ける可能性もあり業績に影響を与える可能性があります。
③海外事業投資について
当社グループは、事業戦略の一環として強みである「グローバル・リーチ」を活かし、海外の成長市場開拓を目的に、現地企業との業務・資本提携、M&A等の積極的な事業投資を行っていく方針です。
事業投資を行う際には、事前調査の実施はもとより、投資先経営陣と十分な意見交換を行っております。また、投資後にも定期的に事業の進捗管理を行っております。
しかしながら、当社の想定を超えた急激な世情不安、市場環境悪化、為替変動などや政治・文化、制度、法律、商習慣などの違いによる海外事業に不可避なカントリーリスクが発生したり、投資先企業の経営陣交代、資本構成の変化、事業戦略の転換などにより、期待された収益が確保できずに損失が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
なお、当社は、上記以外にも主要な子会社である株式会社SRAにおける事業等のリスクを包括的に抱えることとなります。
<株式会社SRA>
※以下の記載における「当社グループ」は、株式会社SRAとその子会社群で構成されたグループであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①生産量変動時のビジネスパートナーの対応について
当社グループは、開発事業および運用・構築事業において、事業拡大に伴う社内技術者不足の計画的補充、自社の保有していない技術の補完ならびに生産ピーク時等の生産量変動に対する機動的対応を目的に、社内技術者の他にビジネスパートナーを活用しております。
また、生産原価の低減策のひとつとしてもビジネスパートナーを活用しております。
しかしながら、計画を超える急激な生産量の変動が起きた場合には、当社グループの必要とするスキルを持ったビジネスパートナーの確保が十分にできない、または、ビジネスパートナーのリリースがタイムリーに行うことができない等によって、業績に影響が出る可能性があります。
②システム開発におけるプロジェクトの採算について
当社グループの主要事業であるシステム開発においては、システムを一括して請け負い、顧客に対する完成責任を負う一括請負契約を締結する場合があります。一つのプロジェクトで受注から完成・引渡しまでが1年超となる案件もあります。このため、受注時には一定の利益が期待されるプロジェクトであっても、開発作業開始後の顧客からの仕様変更要求、当初の見積りを越えた作業工程の発生などにより採算が悪化することがあります。
また、売上確定後に瑕疵保証等の追加費用発生により最終的に不採算となることもあります。
当社グループでは、このような不採算プロジェクトの発生を抑制すべく、受注時におけるリスク要因のレビュー、見積り精度の向上に努めるとともに、組織的にプロジェクト管理体制を強化しておりますが、多額の不採算プロジェクトが発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
③顧客情報の秘密保持について
当社グループでは、個人情報を取り扱う機会の多い情報処理サービス企業であることを自覚し、個人情報保護の重要性を十分に認識して、社内の管理体制を確立するとともに、プライバシーマークの認定企業として、当社グループ社員およびビジネスパートナーへの教育を行い、個人情報の保護に努めております。しかしながら、万が一、情報漏洩が発生した場合には取引先の信用失墜のみならず、損害賠償を受ける可能性もあり、業績に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、前連結会計年度までと同様に研究開発およびその成果に基づくビジネス展開を継続しております。株式会社SRAの先端技術研究所においては、開発環境を取り巻く技術状況と社会情勢の変化に対応する高い信頼性を維持した形で、当連結会計年度より新たに「ビッグデータ駆動ソフトウェア工学」と呼ぶアプローチの展開を開始いたしました。展開中の自社IP製品の発展と新規製品の展開、当社グループ内へのプロアクティブな技術提供と人材育成および卓越した技術研究とアカデミック研究の双方向アプローチにより、SRAグループのビジョン展開と底上げの両面からの貢献を目指しております。
研究開発分野としては、世界に先駆けた研究分野である、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)とインタラクションデザイン(操作品質の高いユーザインタフェースを構築する手法)を融合した技術を、開発プロセスおよび教育支援といった形で発展させております。また、オープンソース・ソフトウェアの潮流を踏まえた活用のための研究開発を引き続き実施しております。
これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は35百万円であります。
(1) インタラクティブなユーザインタフェースを考慮した形式手法の展開
従来、形式手法は、ソフトウェア工学研究分野においてその有効性が認められながらも、高度な知識やスキルが求められ専門的技術者にしか扱えないものとされていました。このような課題に対し、先端技術研究所が取り組んできた、ソフトウェアの操作性や体験品質の向上に関わるインタラクションデザインを取り入れることで、より容易に形式手法を習得し活用することが出来るような手法の研究と開発ツールの開発に取り組んでいます。インタラクティブな対話を想定した上で、形式手法を用いた仕様を構築していくという全く新しい考え方を提唱するものであります。取り組みとして、インターネットのウェブサイト上でインタラクティブに形式手法を学習する仕組みを構築しております。
また、モバイルアプリのようなインタラクティブなソフトウェアシステムは、プロトタイプを迅速に構築し、それを操作するユーザとの対話を経ながらその仕様を詳細化していくことが求められております。これに対して本研究開発では、顧客との対話をより効果的かつ正確に進めることを目的として、数学的な仕様を読むことなく、仕様の意味するところを顧客自身がユーザインタフェースを介して体験し理解を共有する仕組みを実現するための研究開発を進めております。
これらの研究開発成果により、タッチ入力を基本とするモバイルデバイス向けのアプリケーションを始め、より多くのソフトウェア開発で形式手法の利点であるシステム仕様の品質向上とソフトウェアの信頼性の向上が得られることが期待されます。
(2) ビッグデータのインタラクティブな可視化技術に関する研究
当社グループでは、前連結会計年度に引き続き、ビッグデータの活用へ向けて、これまでの研究開発活動の強みを活かした、データのインタラクティブな可視化技術の研究開発に取り組んでおります。これは、当社グループが長年先導しておりますソフトウェアプロセス分野における知見をベースとして、ソフトウェア開発やソフトウェアサービスに関わる諸活動の履歴データを活用するアプローチを主軸としております。
ユーザの視点からデータを処理し可視化するというアプローチにおいては、先端技術研究所で取り組んでいるインタラクションデザインの手法を用いて、ユーザの興味の遷移に合わせて表示と絞り込み表示を行い、新たな課題の発見や事象の認識を効果的に行えるような可視化技術の構築に取り組んでおります。大量のテキストデータ、数値データ、ビデオデータを対象として、ウェブブラウザーで簡便にデータを閲覧できる環境のプロトタイピングを実施しております。
(3) ソフトウェア開発環境に関わる研究
ソフトウェア開発環境の実用化研究においては、ソフトウェア開発プロセスの最適化と、開発スタイルの多様化に柔軟に呼応する形で、機能性、利便性、文脈性のいずれにおいても拡張性の高い環境の構築に注力しております。これら研究開発活動の成果の一部を展開する形で前年度に「ProjDepot」を製品化いたしました。これは、開発者中心設計を踏まえたインタラクションデザインの視点を取り入れたもので、多くのお客様からご好評を頂いております。また、オープンソースを利用する開発スタイルやアジャイルなプロセスの導入という潮流に応じて既存ソースコードの管理と活用の必要性が高まり、先端技術研究所が展開しているソースコードの高速構造検索を可能とする「CodeDepot」にもより一層のご注目を頂いております。これらのソフトウェア開発環境に関わる製品は、ソフトウェア開発に関わる活動データを開発活動に関する知見の宝庫として活用することにもつながります。上述のビッグデータの可視化環境との融合により、プロジェクト管理者、開発者の双方にとって、負荷をかけずに開発の効率向上に寄与できるような環境の展開へとつながるものであり、ビッグデータ駆動ソフトウェア工学の実践につながる技術であります。
(4)オープンソース・ソフトウェア
オープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を 「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの管理支援環境を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、構成管理等プロジェクト管理の基本機能に加えて、生産性や品質に関連する各種メトリクスの可視化等を実装し、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。
また、オープンソース・ソフトウェアのデータベースである「PostgreSQL」におきましては、複数のデータベース・サーバを連携して使用する「レプリケーション/クラスタリング」技術の技術開発に引き続き力を入れています。中でも、当社グループが独自に開発したオープンソース・クラスタソフトウェア「pgpool-II」は、高い信頼性や性能が要求される大規模システム、基幹業務向けに利用が広まっています。2016年にリリースした最新版では、基幹系で広く使われているJavaアプリケーション利用時のスループットを大幅に高めるとともに、大規模システムでの性能向上を達成しています。
オープンソース・ソフトウェアをミッションクリティカルな領域で使用するために不可欠なのが統合監視ソフトウェアです。当社グループはこの分野にも力を入れており、「Zabbix」というオープンソース・ソフトウェアの統合監視ソフトから、「PostgreSQL」、更に上記の「pgpool-II」を監視できるテンプレートをオープンソース・ソフトウェアとして開発、公開しております。従来、本格的なPostgreSQL用の監視テンブレートは存在していませんでしたが、「pg_monz」の登場によって、単体のPostgreSQLサーバのみならず、クラスタ構成の「PostgreSQL」や「pgpool-II」も監視できるようになり、オープンソース・ソフトウェア・データベースの、ミッションクリティカルな分野への適用が進むことが期待されます。
これらはいずれも、ソフトウェアの開発作業で有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)におけるわが国経済は、個人消費は底堅く、設備投資はおおむね横ばいで、企業収益も改善し、緩やかな回復基調が続きました。
情報サービス業界におきましても、製造業や銀行等を中心にIT投資は増加しましたが、競争激化による厳しい受注環境は依然として継続しました。
このような事業環境のもと、当社グループは、企業価値ならびに株主価値の向上をめざし、収益構造の改革を推進して高収益モデルを確立するとともに、株主還元のさらなる充実を図るため、平成28年3月期から平成30年3月期までの3年間を対象期間とした、中期経営計画を策定し、以下の重点施策に取り組んでおります。
(中期経営計画の概要は、平成27年6月24日発表「中期経営計画の策定に関するお知らせ」 http://www.sra-hd.co.jp/Portals/0/ir/others/20150624.pdfをご参照願います。)
以上の結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高につきましては、開発事業、運用・構築事業、販売事業の全てが増加した結果、39,155百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。
損益面におきましては、増収と利益率向上による売上総利益の増加により、営業利益は3,736百万円(前連結会計年度比22.6%増)、経常利益は3,850百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。また、投資有価証券評価損および貸倒引当金繰入額を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、463百万円(前連結会計年度比71.7%減)となりました。
以上のとおり、当連結会計年度の連結業績は、前連結会計年度に比べ、売上高が増収、営業利益と経常利益は増益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については特別損失の計上により減益となりました。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、事業戦略の一環として強みである「グローバル・リーチ」を活かし、海外の成長市場開拓を目的に、現地企業との業務・資本提携、M&A等の積極的な事業投資を行っていく方針です。
事業投資を行う際には、事前調査の実施はもとより、投資先経営陣と十分な意見交換を行っております。また、投資後にも定期的に事業の進捗管理を行っております。
しかしながら、当社の想定を超えた急激な世情不安、市場環境悪化、為替変動などや政治・文化、制度、法律、商習慣などの違いによる海外事業に不可避なカントリーリスクが発生したり、投資先企業の経営陣交代、資本構成の変化、事業戦略の転換などにより、期待された収益が確保できずに損失が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は31,823百万円(前連結会計年度末比0.3%増)、負債合計は13,004百万円(同1.2%増)、純資産合計は18,819百万円(同0.2%減)となりました。前連結会計年度末と比べ増減した主な内容は、次のとおりです。
(資産合計)
株式の取得等により投資有価証券が1,569百万円増加し5,746百万円、請負開発案件の増加等により受取手形及び売掛金が660百万円増加し6,884百万円、一方、貸倒引当金が1,261百万円増加し1,301百万円、仕掛品が289百万円減少し1,387百万円となりました。
(負債合計)
未払費用が217百万円増加し811百万円となりました。一方、開発案件の完成等により工事損失引当金が247百万円減少し415百万円、仕入債務の支払い増加等により、買掛金が176百万円減少し3,288百万円となりました。
(純資産合計)
有価証券及び投資有価証券の時価変動によりその他有価証券評価差額金が397百万円増加し992百万円となりました。一方利益剰余金が498百万円減少し14,790百万円となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における資金状況は、営業活動により3,493百万円増加、投資活動により2,809百万円減少、財務活動により616百万円減少となりました。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は8,833百万円となりました。
詳細は、「1業績等の概要」をご参照ください。