第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

①経営の基本方針

 当社グループは、株式会社SRAとして創業以来掲げている「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念のもと、ITでユーザーの満足度を最大化することを経営の基本としてまいりました。今後もこの基本理念に沿い、急速に変化する市場環境の中で情報サービス産業への期待に応えるべく努力し、収益性と成長性の追求により企業価値と株主利益の向上を目指してまいります。

 

②経営環境に対する認識

 社会や経済のグローバル化の一層の進展、技術の進化及び労働環境向上ニーズの継続等を背景にIT投資需要は今後も増加するものと考えております。

 一方で、国内人口の減少を背景として国内需要増加に限界があると考えられるほか、労働人口減少により人材確保が難しくなる等、当社グループの持続的成長を実現していくにあたっての課題も多いと認識しております。

 また、当社グループが属する情報サービス産業では、技術の急速な進化・根本的な変革や同業間での厳しい競争が今後も予想されます。

 このような状況を踏まえ、たゆまぬ技術革新への取り組み、成長する分野・地域での事業拡大、及びそれらを可能とする優秀な人材の確保が極めて重要であると認識しております。

 

③中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)

 上記の経営環境に対する認識を踏まえ、当社グループは2028年度までの成長戦略を基に中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)を策定し、グループ一丸となって取り組んでおります。

当社グループは2019年5月に中期経営計画を以下のとおり公表しております。

1)経営目標

当社グループは、企業価値並びに株主価値の向上を目指し、持続的な成長と収益性の向上を図ると共に、株主還元の更なる充実を目指す。

 

2)経営目標値(連結)

中期経営計画最終年度となる2022年3月期の目標は下記のとおりです。

(単位:百万円)

 

2019年3月期

実績

2022年3月期

目標

売上高

40,793

46,000

売上総利益

9,086

10,600

売上総利益率

22.3%

23.0%

販売費及び一般管理費

5,007

5,000

営業利益

4,078

5,600

経常利益

4,469

5,700

親会社株主に帰属する当期純利益

2,023

3,400

1株当たり当期純利益(円)

164.14

275.60

 

 

3)成長戦略

(ビジネスモデルの変革)

◎人月モデルから脱却し、高付加価値(=高収益)モデルへシフト

「労働力」の提供から「価値」の提供への移行

・「受託型ビジネス」から「提案型ビジネス」へのシフト

中核事業会社である株式会社SRAにデジタル化支援(DX(※注)への対応)組織であるDX技術本部を新設し、DXプラットフォーム関連ビジネスの開拓・グループ展開を推進

・IoT向け「自社IP製品(※注)ビジネス」(高粗利益率)の強化・推進

需要が見込まれる組込ソフトウェア向けテスト自動化支援ツール「TestDepot」、ウェアラブル製品等

(グローバルビジネスの拡大)

◎成長性の高い東南アジアを中心とした海外市場への展開

アジアビジネス推進室を新設し、東南アジアをターゲットにビジネスを推進

◎「自社IP製品ビジネス×海外ビジネス」の展開

・製造業向けIoTプラットフォーム関連ビジネスを推進

・航空業界向けパッケージをアジアLCCマーケットに展開

◎東南アジアにおけるDX関連急成長企業/特化した技術・ノウハウを有する企業との協業・M&A実施

(DXへの対応)

◎新市場への参入

◎AI応用ソリューション、ブロックチェーン応用ソリューション他

 

4)株主還元方針

株主還元の更なる充実を目指す

◎配当性向50%を目途に、安定的な高配当を目指す

◎株主資本の効率的活用の指標であるROEは、安定的かつ継続的に10%以上確保を目指す

 

5)その他の取組み

(人材:活力あふれる組織づくり)

◎DX時代にも優位性をもって対応できる人材を育成し、その人材を活かしたグループ経営を推進

多岐にわたる研修制度、社内資格の授与、全社表彰等の充実により、多様化するプロジェクトにおける要素技術の習得、最新技術動向のキャッチアップ、モチベーション向上を図る

◎グローバル人材の積極的な活用と共に、ビジネスパートナー各社との連携を強化

・新卒採用、中途採用におけるグローバル人材の活用

・コアパートナー制度によるビジネスパートナー各社との緊密な業務連携、安定発注の推進

・東欧、アジア圏での拠点活用による優秀で多様な人材の確保

(ESG(※注)への取組み)

中核事業会社である株式会社SRA、株式会社AITをはじめとするグループ各社において、既に実行しているものも含め、取り組みを推進

〔主な実績〕

Social  :グローバル人材の育成、子育て支援等の「働き方改革」の推進、オープンソース・ソフトウェアの普及等

・Governance:経営の透明性(独立社外役員の選任等)、資本効率を意識した経営、情報開示の充実、株主・投資家との対話(株主懇親会の開催等)

 

 

※DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)=AI、IoT、クラウド等のデジタルテクノロジーによる、経営・ビジネスのあり方、生活や働き方などの変革を目的とする。世界の政府、企業がDXへの対応を進めている。

※自社IP製品:知的財産権を有する自社ブランド製品

※ESG:(Environment環境、Social社会、Governanceガバナンスの頭文字)=企業が持続的に成長できるかどうかを判断する指標

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウィルスの感染拡大を契機に、デジタル化の進展は急激に加速、国内外を問わず企業の業務形態が構造的に大きく変わりつつあると認識しております。

当社グループでは、中期経営計画においてDXへの対応を主要課題のひとつとして掲げておりますが、より一層スピード感をもって取り組む必要があると考えております。

このような状況下、当社グループの事業の持続的成長に欠かせない人材確保は、今後益々重要度を増す課題であると考えております。海外を含めたビジネスパートナー・提携会社との関係拡充を通し優秀な人材を安定して確保していくとともに、当社グループ社員に対し成長機会を提供することにより人材底上げを図ってまいります。

また、今後も海外を含めた事業投融資は継続していく方針であり、当社グループの収益力・財務体力を踏まえた適切な判断を行い厳格な管理を行っていくと共に、投融資資産の価値変動の可能性があることを前提として安定性のある財務体質を維持するよう努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、中期経営計画の経営目標として「企業価値並びに株主価値の向上を目指し、持続的な成長と収益性の向上を図ると共に、株主還元の更なる充実を目指す」ことを掲げております。

上記の経営目標の達成に向けて、中期経営計画の最終年度である2022年3月期の経営成績に関する計数目標を以下のとおりとしております。

                                (単位:百万円)

 

2022年3月期

目標

売上高

46,000

売上総利益

10,600

売上総利益率

23.0%

販売費及び一般管理費

5,000

営業利益

5,600

経常利益

5,700

親会社株主に帰属する当期純利益

3,400

1株当たり当期純利益(円)

275.60

 

また、株主還元方針として「配当性向50%を目途」とし、「ROEは安定的かつ継続的に10%以上確保を目指す」こととしております。

 

(4)開示時点における経営方針・経営戦略

一部の国や地域では新型コロナウイルス感染対策の効果が表れてきてはおりますが、世界の経済活動が正常化するまでの道筋は見えておらず、引き続き活動制限のある中で工夫をこらした事業運営が求められております。

当社グループの成長戦略のひとつとして掲げている「DXへの対応」はそのような環境下において、より一層注力すべき分野であると認識しております。

当社グループの事業の中でリモート運用・管理等の需要拡大を背景に運用・構築事業が堅調であり、2021年4月1日付で当社グループの中核会社である株式会社SRAにおいてクラウドビジネスを推進するアドバンストクラウドエンジニアリング事業部(“ACE”)を立ち上げた他、クラウドビジネス人材を育成する制度の強化を図り、更なるビジネス拡大を目指しております。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

[特に重要なリスク]

①当社グループを取り巻く環境の変化に関するリスク

当社グループが属する情報サービス産業では、技術進化が著しく速く顧客ニーズも多様化・高度化が継続することに加え、他社との競合も更に激化していくものと認識しております。

また、当社グループの事業活動は、国内外の経済情勢や顧客企業のIT投資動向、各種法規制や税制・会計基準の変更などの影響を受けます。

そのような環境の変化に対し、ビジネスモデルの変革、グローバルビジネスの拡大、DXへの対応といった各施策による成長戦略を掲げ事業拡大推進に取り組んでおりますが、想定を超える急激な社会情勢の変化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②システム開発におけるプロジェクトの採算に関するリスク

当社グループの主要事業である開発事業においては、業務を一括して請け負い完成責任を負う一括請負契約を締結する場合があります。

受注時には一定の利益が期待されるプロジェクトであっても、開発作業開始後の仕様変更、当初の見積りを越えた作業工程の発生などにより採算が悪化することがあります。また、検収後に瑕疵保証等の追加費用が発生する可能性があります。

このような期待された採算を下回るプロジェクトの発生を抑制すべく、受注時におけるリスク要因のレビュー、見積り精度の向上に努めるとともに、プロジェクト管理体制を強化しております。

当社グループ内で開発事業における中心的な役割を担う株式会社SRAでは、一定金額以上のプロジェクトにつき品質監理部門が想定されるリスクを指摘しつつ進捗管理及び品質管理を行い、遅延等の問題発生の可能性が高まったと判断した場合には支援を行う体制を構築しているなど、採算悪化を防ぐ対策を講じております。

また、特に大きな問題が発生する場合も想定し、株式会社SRAの代表取締役社長を対策本部長とした全社プロジェクトとして対応を行う体制としております。

しかしながら、想定以上に期待された採算を下回るプロジェクトが発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

③海外事業投融資に関するリスク

当社グループは海外の成長市場開拓を目指し、現地企業との業務・資本提携、M&Aなどにより積極的な事業投融資を行っていく方針です。

事業投融資を行う際には事前調査の実施はもとより投融資先経営陣と十分な意見交換を行い、また投融資実行後には一定の基準を設け対象案件を特定し定期的に取締役会においてモニタリング報告を行っております。

しかしながら、急激な経済情勢の悪化、株式・為替市場の変動などの「当社グループを取り巻く環境の変化」、政治・文化・制度・法律・会計規則・商習慣などの違いによる「海外事業に特有なリスクの顕在化」、並びに経営陣交代・資本構成の変動・事業戦略の転換・業績変動などの「投融資先企業の変化」により、投融資評価額に想定を超えた変動が発生した場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当連結会計年度においては、持分法による投資損失306百万円及び投資有価証券評価損404百万円を計上しました。

持分法による投資損失は投資先が昨今の事業環境を踏まえ営業債権に対する引当金計上等を行ったことにより赤字となったこと、また、投資有価証券評価損は投資先が業績回復に時間を要していること等により株価が低迷していることが主因と考えております。

当社グループの中期経営計画では成長戦略のひとつとして「グローバルビジネスの拡大」を掲げており、海外事業投融資には引き続き注力してまいりますが、当社グループの業績に与える影響度につき、より一層慎重に見極めながら進めていく所存です。

 

[重要なリスク]

④金融市場・情勢に関するリスク

当社グループが保有する金融商品には市場性のある株式等があり、株式市場や金融市場の動向による時価変動の影響を受けております。これらの金融商品の時価が著しく下落した場合には、評価損等の計上を行うことになります。

また、海外事業投融資の一環としての外貨貸付金については、為替相場の変動に応じ為替差損益を計上する必要があり、前連結会計年度末比で円高になった場合には差損を計上することとなります。

当連結会計年度末においては、前連結会計年度末比で円安になったこと等に伴い、為替差益181百万円を計上しております。

これらの市場動向につきましては、定期的なモニタリング並びにタイムリーな情報収集を行いつつ、必要に応じリスク低減策を講じるべく備えておりますが、想定以上の急激な変動が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤大規模災害や重大な伝染病等に関するリスク

気候変動を背景にして発生していると考えられる異常気象や、地震等の自然災害、火災・テロ・暴動等の人為的災害も含めた種々の要因により、当社グループの人材・設備、顧客やビジネスパートナーに直接・間接の被害が発生する可能性があります。

また、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の流行により、当社グループ及びその関係者のみならず社会全体の活動が制限される可能性があります。

当社グループでは上記のような被害や事業活動が制限されるような事象が発生した場合にも、関係者と協議しつつテレワークを始めとする柔軟な業務態勢をとることにより、影響を抑制する取り組みを行っております。

なお、現在流行している新型コロナウイルス感染症につきましては、2020年2月に災害対策本部を設置し、社員、ビジネスパートナー、お客様の安全確保と感染予防に努めています。災害対策本部ではグループ基本方針を策定するとともに、当社常務執行役員と株式会社SRAの取締役執行役員によるデイリーミーティングを行い、緊急事態への対応、グループ各社の情報の集約、備蓄物資の調達配分、今後のビジネスへの対応等を引続き行いました。

しかしながら、想定を超える深刻な被害や影響が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、業務上、顧客企業が保有する個人情報や機密情報を取り扱う場合があります。

これらの重要情報につきましては、情報セキュリティガイドラインの整備、情報セキュリティ認証の取得や社員教育・研修、及び内部監査の定期的な実施等を通じて適切な管理を行っております。

しかしながら、想定外のコンピューターウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃、人為的過失等の理由により、運用サービスの停止や機密情報の漏洩、改竄、紛失、消失等が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦人材確保・育成に関するリスク

技術進化が著しくかつ厳しい競争に晒される環境の中にあって、当社グループが顧客の信頼を得て持続的成長を実現していくためには、専門的な情報技術を持ち顧客の潜在的なニーズにも対応できる人材を適時的確に確保あるいは育成していくことが極めて重要であると認識しております。

このため、当社グループでは広く採用活動を行っているほか、技術等の習得のための研修の充実、社員の自主性を重んじた希望業務へのチャレンジ制度の提供、働き方改革を通した勤務環境の向上等、様々な施策を通じて人材の確保・育成に努めております。

しかしながら、同業他社等との人材獲得競争は激しく、人材確保・育成が計画どおりに進まない場合には、採用コストや人件費の増加につながるほか競争力の低下を招くことになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ビジネスパートナー及び製品仕入先に関するリスク

当社グループは開発事業及び運用・構築事業においてビジネスパートナーを活用しております。

事業拡大に合わせた技術者の計画的補充、自社で保有していない技術の補完、並びに業務量変動への機動的対応による生産性の向上等、人材確保の最適化を目的としているものです。

また、販売事業においては顧客の多様なニーズに応えるため、国内外の製品仕入先より多種多様なソフトウエア製品等を調達し提供しております。

当社グループは業務の安定性や効率性の維持・向上のため、ビジネスパートナー及び製品仕入先との良好な取引関係の維持に努めております。

しかしながら、ビジネスパートナーの事情により人材の調整が適時適切に行えない、又は製品仕入先の事業戦略の変更等により製品確保が適時適切に行えない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①経営成績等の状況

 当社グループは、中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)において、「①ビジネスモデルの変革」
「②グローバルビジネスの拡大」「③DXへの対応」を成長戦略の柱として掲げております。

 当連結会計年度におきましては成長戦略推進のための活動を進めつつ、新型コロナウイルスの影響により営業活動が制限される中、既存顧客を中心に高付加価値ビジネスの獲得に注力致しました。

 その結果、以下のような経営成績及び財政状態となりました。

 

1)経営成績

当連結会計年度の経営成績は、以下のとおり前連結会計年度比減収、売上総利益はほぼ横ばい、営業利益以下は増益となりました。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前連結会計年度比(%)

売上高

39,386

△9.8

売上総利益

9,503

△0.9

営業利益

5,026

1.6

経常利益

5,268

6.4

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,073

 

(環境認識)

 当連結会計年度は新型コロナウイルスの影響により社会・経済活動が制限されたこともあり、当社グループの主要顧客である製造業を始めとして全般的に厳しい経済環境が一年を通じて続きました。

 一方で新型コロナウイルス感染防止対策としてテレワークやリモート運用等を前提にした業務運営への移行が急激に進展してきていると認識しております。

 

(対応方針・施策と実績)

 営業活動が制限され新規顧客や新規案件の開拓を進めにくい状況下、高付加価値ビジネスへのシフトを念頭に置きながら、特に既存顧客からの受注に注力致しました。

 

 その結果、売上高は製造業の顧客向けが減収となったこと等により前連結会計年度比9.8%減少しましたが、高付加価値ビジネスやプロジェクト管理の強化への取り組みが功を奏し売上総利益率は22.0%から24.1%と向上、売上総利益は同0.9%減少とほぼ横ばいになりました。

 営業利益は海外子会社における運営効率化や活動経費の減少等により販売費及び一般管理費を前連結会計年度比162百万円抑制したことにより同77百万円の増益となりました。

 当連結会計年度末は為替差益181百万円を計上、持分法投資損失306百万円を計上したものの、経常利益は同316百万円の増益となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券評価損404百万円の計上もあり3,073百万円となりました。

 

 

(セグメント別)

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

セグメントの名称

売上高

(百万円)

前連結会計年度比(%)

営業利益

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

開発事業

20,704

△6.3

3,540

△7.8

運用・構築事業

5,500

3.9

1,598

12.1

販売事業

13,181

△18.9

1,308

28.3

セグメント調整

△1,421

合計

39,386

△9.8

5,026

1.6

(注)1.売上高はセグメント間の取引を相殺消去しております。

2.各セグメントの営業利益には全社費用を含んでおりません。

 

 当連結会計年度では、運用・構築事業が堅調であったのに対し開発事業と販売事業が前連結会計年度比で減収となったため全体で減収となりましたが、営業利益は開発事業で減益となったものの運用・構築事業と販売事業の増益により全体で増益となりました。

 開発事業では、新型コロナ感染拡大の影響が顧客の主要な業種のひとつである製造業に対する業務において顕著に表れたこともあり、当該事業全体では減収減益となりました。

 運用・構築事業では、クラウド関連の受注が引き続き堅調であったこともあり、顧客の主要な業種である製造業や通信業に対する業務が伸長し当該事業全体で増収増益となりました。

 販売事業では、前連結会計年度において相対的に大口の案件の積み上げがあったこともあり減収となりましたが、利益率の向上や費用削減の効果により増益となりました。

 

2)財政状態

 上記経営成績の結果、当連結会計年度末の財政状態は下記のとおりとなりました。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度末

(2021年3月31日)

前連結会計年度末比(%)

総資産

37,945

8.6

純資産

22,489

12.2

自己資本比率

59.2%

1.8

 

(総資産)

 総資産は前連結会計年度末比3,010百万円増加しました。

 現金及び預金の増加3,450百万円がその主な要因です。

 

(純資産)

 純資産は前連結会計年度末比2,436百万円増加しました。

 親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が前連結会計年度末比1,716百万円増加したことがその主な要因です。

 

(自己資本比率)

 上記の結果として、自己資本比率は59.2%と前連結会計年度末比1.8%向上しました。

 

②中期経営計画に対する進捗状況

1)経営目標値

(単位:百万円)

 

2019年3月期

実績

2020年3月期

実績

2021年3月期

実績

2022年3月期

目標

売上高

40,793

43,642

39,386

46,000

売上総利益

9,086

9,588

9,503

10,600

売上総利益率

22.3%

22.0%

24.1%

23.0%

販売費及び一般管理費

5,007

4,639

4,477

5,000

営業利益

4,078

4,948

5,026

5,600

経常利益

4,469

4,951

5,268

5,700

親会社株主に帰属する

当期純利益

2,023

△612

3,073

3,400

1株当たり当期純利益(円)

164.14

△49.68

249.12

275.60

 

2)成長戦略

(ビジネスモデルの変革・DXへの対応)

 当社グループの株式会社SRAにおいて、クラウド技術者の育成、製品・サービスの創出を目的とする「DXチャレンジ」の取り組みを当連結会計年度下期より全社で行いました。

 その結果、クラウド関連技術の認定資格者の大幅な増加や製品・サービスの創出に向けた取り組みが加速・進展しており、今後のビジネス拡大の基盤が強化されました。

 また、クラウド型基幹システムの導入コンサルティングサービスを当連結会計年度に立ち上げ、当社グループの今後のDX関連ビジネスの柱のひとつとすることを目指しております。

 更に、クラウド関連のビジネスを強化・拡大する目的で2021年4月にアドバンストクラウドエンジニアリング事業部(“ACE”)を新設致しました。ACEでは自らクラウド関連ビジネスの拡大を図ることに加え、株式会社SRA内各事業部やグループ各社へのサポートをすることによるシナジー効果創出の役割も担っております。

 当社グループの株式会社AITでは、統計分析ツールをベースにしたアナリティクスビジネスの多数の経験値を活かし、業種業態・事業規模を問わず幅広い顧客のDX対応や実用的なAI活用の企画から運用までをトータルにサポートする「AI 365 」を展開しております。

 

(グローバルビジネスの拡大・DXへの対応)

 当社グループでは「成長性の高い東南アジアを中心とした海外市場への展開」を課題の柱のひとつとして掲げております。

 前連結会計年度においてアジアビジネス推進室を新設、株式会社SRAでは、2020年6月にNAL HOLDINGS JOINT STOCK COMPANY(本社:ベトナム ハノイ市、代表取締役社長:Pham Manh Lan、以下NAL)と業務提携を行うことを合意致しましたが、海外渡航制限等ある状況下協働ビジネスの具体化に時間を要している状況にあります。

 

3)株主還元方針

 当連結会計年度におきましては、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高水準であり、「配当性向50%を目途に安定的な高配当を目指す」、「ROEは安定的にかつ継続的に10%以上確保を目指す」との方針のもと、前連結会計年度に比べ10円増配し1株当たりの年間配当を120円と致しました。

 

4)その他の取組み

(人材:活力あふれる組織づくり)

 当社グループでは「DX時代にも優位性をもって対応できる人材を育成し、その人材を活かしたグループ経営を推進する」との方針を掲げております。

 株式会社SRAでは「DXチャレンジ」の一環として事業部単位で目標を設定することで新規技術を扱える技術者の育成を推進することを企図し、クラウド関連の認定資格の取得を強力に推奨・支援することにより技術者層の充実を図りました。

 また、技術者のスキル情報を詳細に収集、クラウド上のBIツールを活用し見える化することにより人材の活用や育成をサポートする仕組みを整備しました

 

(ESGへの取組み)

 当社グループは創業以来、「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念を掲げており、ITでユーザーの満足度を最大化することを通して社会への貢献を果たすべく努力を続けております。

 グループ会社の株式会社SRA東北において、東北電力ネットワーク株式会社と共同開発した「腐食劣化度診断システム」が国土交通省主催の「第4回インフラメンテナンス大賞」で「経済産業大臣賞」を受賞しました。

 同システムはAI・IoTを活用し画像情報から送電鉄塔の腐食劣化度を診断するものであり、社会インフラの安全性向上に資する技術として当社グループの事業が社会貢献に繋がる事例のひとつと考えております。

 また、当社グループでは働き方改革の一環としてテレワークや雇用延長への対応を始め、多様な働き方に向けた制度の整備を行うなど、勤務環境向上のための施策を進めております。

 当連結会計年度においては一年を通じ新型コロナウイルス感染対策が求められる状況下、電子的なワークフローを活用する等テレワーク推進に適した環境整備に注力致しました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは4,999百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは△135百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,372百万円でした。

 その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ3,483百万円増加し8,854百万円となりました。

 当社グループはベースの事業活動から得られる営業キャッシュ・フローをもとに、中期経営計画で掲げている「ビジネスモデルの変革」及び「株主還元の更なる充実」の実現に向け、将来の成長のための投資と株主への還元を行っております。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 税金等調整前当期純利益は4,956百万円であり、投資有価証券評価損404百万円や仕入債務の減少額364百万円等を勘案、法人税等支払額549百万円であったこと等を反映し、営業活動によるキャッシュ・フローは4,999百万円となりました。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度ではソフトウェアの開発に伴う無形固定資産取得103百万円、投資有価証券取得349百万円・同売却447百万円や事業投融資の一環としての貸付金実行143百万円等を行いました。

 その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは△135百万円となりました。

 

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 株主還元として「配当性向50%を目途に安定的な高配当を目指す」、「ROEは安定的にかつ継続的に10%以上確保を目指す」との方針のもと、前連結会計年度期末配当として1株当たり年70円、当連結会計年度中間配当として1株当たり年40円の配当と前連結会計年度と同様の水準を維持し、1,357百万円の配当を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,372百万円となりました。

 

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、グループ内の資金を一元的に管理しグループ会社間の資金融通を機動的に行うことにより、効率的な資金運営を行っております。

 また、株式会社SRAにおいては、取引金融機関6社との間で総額5,800百万円のコミットメントライン契約を締結しており、グループベースで資金調達が必要となった場合に機動的に行えるよう備えております。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は8,854百万円、コミットメントラインの未使用枠金額は5,800百万円であることから、十分な流動性を確保しております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

連結財務諸表の作成で用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.繰延税金資産

当社グループは、繰越欠損金や税務上と会計上の取り扱いの違いにより生じる一時差異について、税効果会計を適用し繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、その前提となる条件や見積りに変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の繰延税金資産の計上金額に重要な影響を与える可能性があります。

b.退職給付会計

当社グループの従業員に係る退職給付債務及び退職給付費用は、割引率、利息費用、退職率などの数理計算上で設定される前提条件の見積りに基づき算出されております。これらの見積りが変動した場合、将来の退職給付債務及び退職給付費用の計上金額に重要な影響を与える可能性があります。

c. 貸付金・投資有価証券

短期貸付金及び長期貸付金については、貸付先の経営成績・財政状態等に注視して回収可能性を判断しており、貸付先の財政状態の悪化等により貸付金の回収可能性が著しく低下した場合は貸倒引当金を計上しております。

投資有価証券の評価については、市場価格又は合理的に算定された価額のあるものを除き原価法を採用しております。投資先の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて投資有価証券の減損処理を行っております。

上述の見積り及び仮定において、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見積りに用いた仮定が変化し、貸付先又は投資先の経営成績及び財政状態がさらに悪化した場合、翌連結会計年度以降の短期貸付金・長期貸付金及び投資有価証券の計上金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループの現時点での会計上の見積りに与える重要な影響はないものと考えております。しかしながら、今後の影響には不確定要素が多く、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績等に影響を与える可能性があります。
 

(4)生産、仕入、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前連結会計年度比(%)

開発事業(百万円)

20,472

△8.6

運用・構築事業(百万円)

5,498

4.3

合計(百万円)

25,971

△6.1

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

 

②仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前連結会計年度比(%)

販売事業(百万円)

6,766

△28.7

合計(百万円)

6,766

△28.7

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

③受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

受注残高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

開発事業

20,682

△6.8

4,081

△0.5

運用・構築事業

5,411

△1.8

2,343

△3.7

販売事業

12,325

△25.2

3,366

△20.3

合計

38,419

△13.0

9,791

△9.0

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については相殺処理しております。

④販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前連結会計年度比(%)

開発事業(百万円)

20,704

△6.3

運用・構築事業(百万円)

5,500

3.9

販売事業(百万円)

13,181

△18.9

合計(百万円)

39,386

△9.8

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本アイ・ビー・エム㈱

4,337

9.9

4,206

10.7

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、ソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取り組んでおります。具体的には、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)、データの可視化(操作品質の高いオープンデータ活用環境を実現する技術)、及びモデル検査(プログラムの振る舞いの正しさを自動検査する技術)といった分野での技術開発研究に取り組んでいます。Society5.0を見据えた、オープンデータの有効活用及びサービス展開に加え、国内外の研究コミュニティとの連携によるソフトウェア技術を核としたデジタルイノベーションの推進、及び専門家との共同研究を通した科学計算ソフトウェア技術の研究開発とオープンソース化を行うなど、オープンソース・ソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を引き続き実施しております。

これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は211百万円であります。

(1) ソフトウェアに関する基礎研究

ソフトウェア開発研究の核として、ソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として注目されている、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様の中でも歴史が長いVDMの国際的な研究コミュニティである Overtureコミュニティに参加し、COVID-19の状況下で国際学術ワークショップ第18回Overture Workshopのオンライン開催に協力しました。VDMの言語仕様の改訂などへの協力も継続しています。また、当社独自の形式仕様研究として、形式仕様とUI技術の連携によって創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalk 及び ViennaVM を開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しております

ソフトウェア技術の研究に加えて、ソフトウェア技術を通して科学の諸分野に貢献することを目的に、量子化学の研究者が膨大な量の化学反応の経路をインタラクティブに探索するためのツール RMapViewer、生物学や環境学での数理モデルの構築及び検証に特化したマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc の開発を進め、オープンソース・ソフトウェアとして広く一般に公開しています

 

(2) データ可視化の活用とサービス展開へ向けた技術開発研究

先端技術研究所では、ビッグデータを「見える化」して活用するための技術を研究・開発しています。国土交通省が推進するGTFS(General Transit Feed Specification)及びGTFS-JPフォーマットは、航空会社、鉄道、バスなどの公共交通機関の情報を記述するための共通フォーマットです。先端技術研究所では、GTFS形式やGTFS-JP形式で表現された運行情報から得られる時刻表や路線図に、観光情報や行政情報を組み合わせることで、観光情報や歴史的記録を地図上に可視化するインタラクティブな表現手法の開発を行っています。これらの技術は、MaaS (Mobility As A Service) を展開する基盤技術となるものです。

また、行政統計情報の可視化にも着手しました。数十年間に渡る地域統計表をコンピュータで読めるデジタルデータに変換することで、人工知能を使って文化史や社会史の学習、教育など広く利用することができます。データを検索して参照できるようにすれば、広く一般に公開されるオープンデータとして活用でき、地域の文化や歴史に触れる機会の増大につながります。AR・MR技術を用いた高度なインタラクション技術を駆使し、地方自治体のオープンデータ活用への貢献を目指しています。

 

(3) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究

先端技術研究所では、プログラムの振る舞いを自動的に解析して、その正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。当連結会計年度では、科学技術計算の分野で広く使われている計算技法を使ったモデル検査技術を開発し、国内の学術会議で発表しました。提案する検査技術は現状では検査速度に課題がありますが、近年発展が著しい科学技術計算領域での高速化技術を活用することで、その効率化を期待できるものとなっています。

また、多数の個体で構成される生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を、モデル検査技術に応用するという新たな手法の構築にも着手しています。効率性とユーザビリティの双方を、高いレベルで達成する検査技術の実現を目指し、多角的な視点から取り組んでいるものです。

 

(4) オープンソース・ソフトウェア

オープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。

オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS, Inc. が積極的に寄与しており、合わせてビジネスでの活用を目的とした研究開発も行っています。

データベース分野では、PostgreSQLに「マテリアライズドビュー」の増分更新を高速化する技術開発や、クラスタソフトウェアである「Pgpool-II」の開発を行う傍ら、データベース関連学会や、国際カンファレンスで講演を行いました。またデータベース以外の分野では、コンテナプラットフォームの「Kubernetes」でPostgreSQLを運用するための技術調査等を実施しました。

 

これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。