第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

①経営の基本方針

当社グループは、株式会社SRAとして創業以来掲げている「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念のもと、ITでユーザーの満足度を最大化することを経営の基本としてまいりました。今後もこの基本理念に沿い、急速に変化する市場環境の中で情報サービス産業への期待に応えるべく努力し、収益性と成長性の追求により企業価値と株主利益の向上を目指してまいります。

 

②当社グループ経営方針

1)2025年3月期経営方針(成長戦略)

~環境の変化に即応した成長の実現~

○既存事業の持続的成長と生産性向上による事業基盤安定化

○高収益の新しいビジネスモデルの創出

○グループ内連携強化によるシナジー発揮

○労働力の提供から価値の提供への移行

○受託型ビジネスから提案型ビジネスへのシフト

○コンサルティングビジネスを核として価値の提供を行う提案型ビジネスへのシフト

2)成長戦略

○既存顧客の深耕

・当社グループ各社の顧客をグループ内で連携することにより、より強固なシナジーを発揮。

○ビジネスモデルの変革

a)コンサルティング業務の強化

・顧客ニーズの高い製品の強化(Oracle Cloud ERP、Salesforce等)

・収益性の高い自社IP製品の推進(UniVision、P-CON等)

・実績を有する分野への注力(会計、学校関連、ヘルスケア等)

b)クラウドビジネスの強化

・サービス展開の拡充(マルチクラウドやハイブリッドクラウドへの対応サービスの充実、自社IP製品のSaaS化)

・クラウドインフラビジネスの展開(AWSサービスのメニュー化、サービスデスク開発、常駐&リモートのハイブリッド運用)

・クラウドベンダーとの連携強化

c)ソリューションビジネスの推進

・セキュリティサービス(情報提供、コンサルティング、運用、診断)

・ペーパーレス・ヘルスケア(自社IP製品による電子帳票、電子証跡、デジタルヘルスケア分野等の拡充)

・ローコスト開発(Low-Code、No-Code開発(*1)

○自社IP製品ビジネス×グローバルビジネスの推進

・自社IP製品の商品力向上と販売力強化(P-CON、Proxim、Cavirin、UniVision等)

・オープンソースソフトウェアやクラウド対応によるセキュリティ、健康管理、データ分析、AI/OpenAI等、成長分野における新自社IP製品開発(FIDO(*2)対応セキュリティ製品、ウェアラブルアプリ)

・オープンソースソフトウェアへの取組み(PostgreSQL、Zabbix、HAクラスタリング(*3)、OSSプロフェッショナルサポートサービス)

・アナリティクス/AIソリューションの推進

・マルチクラウドやハイブリッドクラウドへの対応サービスの充実

・東南アジア(特にベトナム)を中心とした市場の開拓

*1 Low-Code/No-Code開発:できる限りソースコードを書かずにシステムを開発する手法。ビジネスの変化にシステムを素早く追従させることができる。

*2 FIDO:標準規格団体である「FIDO Alliance」が定めた新しい認証方式。従来の固定パスワードに代わる安全性とUI/UXを両立した認証手段の標準規格。

*3 HAクラスタリング:複数台のサーバを相互接続し連携構成(クラスタ)化すること。システムを冗長化させ、システムの停止時間を最小限に抑え、業務の可用性(アベイラビリティ)を向上させる。

3)株主還元方針

○株主還元の更なる充実を目指す

・配当性向50%を目途に、安定的な高配当を目指す

・株主資本の効率的活用の指標であるROEは、安定的かつ継続的に10%以上確保を目指す

 

③環境認識

当中間連結会計期間におきましては、米中摩擦の継続・ウクライナ問題の長期化・中東情勢の緊迫化など地政学リスクが高まるなか、米国や欧州における金利高止まりによる景気後退懸念や中国における不動産不況の継続など先行き不透明な状況が継続しています。一方、国内景気は物価高騰の一方で雇用や所得環境の改善もあり、緩やかながらも回復基調が続いています。かかる状況下、情報サービス産業においてはエネルギー・原材料価格の高騰などは継続しているものの、業務効率化やビジネスの改革等の投資需要は堅調に推移しております。

しかしながら、製造業の一部のお客様においては、既に中国の不況の影響を受けている会社や、足元で不透明感が増している自動車関連の会社など、今後のシステム投資への影響が懸念されるお客様も存在しています。加えて、米国大統領選挙においてトランプ氏の再選が確実になったことにより先行きの不透明感は一層深まったものと考えられ、今後の下振れリスクに備えこれまで以上にお客様の動向をしっかりと注視する必要があるものと認識しております。

 

④経営成績

当中間連結会計期間の連結業績につきましては、お客様からの需要が高く収益性の高いクラウドビジネスなどの事業を進展させるとともに既存事業のさらなる生産性向上や単価改善等に努めた結果、次のとおりとなりました。

 

当中間連結会計期間

(百万円)

前年同期比

(%)

売上高

23,849

5.5

売上総利益

6,181

7.0

営業利益

3,615

10.6

経常利益

3,142

△31.8

親会社株主に帰属する

中間純利益

2,062

△28.5

 

売上高は23,849百万円と1,236百万円(前年同期比5.5%増)の増収となりました。また、利益率を重視した取組みや効率的な運営により売上総利益は6,181百万円(前年同期比7.0%増)、売上高総利益率は25.9%(前年同期は25.5%)となりました。

営業利益は販売費及び一般管理費が増加したものの、3,615百万円と345百万円(前年同期比10.6%増)の増益、売上高営業利益率は15.2%(前年同期は14.5%)に向上しました。

経常利益は為替市場が大幅に円高方向に変動したことから為替差損を699百万円計上(前年同期は1,235百万円の為替差益)したこともあり3,142百万円と1,462百万円(前年同期比31.8%減)の減益、売上高経常利益率は13.2%(前年同期は20.4%)となりました。

親会社株主に帰属する中間純利益は、経常利益の減少により、2,062百万円と821百万円(前年同期比28.5%減)の減益、売上高純利益率は8.6%(前年同期は12.8%)となりました。

 

 

⑤セグメント別

セグメント別の経営成績は以下のとおりです。

セグメントの名称

売上高

(百万円)

前年同期比

(%)

セグメント利益

(百万円)

前年同期比

(%)

開発事業

12,396

4.3

2,509

5.0

運用・構築事業

3,166

8.4

1,046

18.3

販売事業

8,286

6.1

920

8.8

調整額

△860

合計

23,849

5.5

3,615

10.6

(注)1.売上高はセグメント間の取引を相殺消去しております。

   2.各セグメントの営業利益には全社費用を含んでおりません。

 

1)開発事業

開発事業は、金融業向け及び製造業向けが増加した結果、当事業の売上高は12,396百万円(前年同期比4.3%増)となりました。

また、セグメント利益につきましては2,509百万円(同5.0%増)となりました。

 

2)運用・構築事業

運用・構築事業は、製造業向け及び情報サービス業向けが増加した結果、当事業の売上高は3,166百万円(前年同期比8.4%増)となりました。

また、セグメント利益につきましては1,046百万円(同18.3%増)となりました。

 

3)販売事業

販売事業は、株式会社AITが増加した結果、当事業の売上高は8,286百万円(前年同期比6.1%増)となりました。

また、セグメント利益につきましては920百万円(同8.8%増)となりました。

 

⑥財政状態

当中間連結会計期間末における資産合計は47,126百万円(前連結会計年度末比0.4%減)、負債合計は15,508百万円(同14.3%減)、純資産合計は31,618百万円(同8.2%増)となりました。

 

前連結会計年度末と比較した増減の主な内容は次のとおりです。

1)資産

短期貸付金が5,107百万円と2,244百万円増加、商品及び製品が2,889百万円と1,105百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が7,571百万円と1,863百万円減少、長期貸付金が2,344百万円と2,457百万円減少しました。

 

2)負債

前受金が3,931百万円と271百万円増加した一方で、未払法人税等が1,077百万円と1,158百万円減少しました。

 

3)純資産

利益剰余金が22,551百万円と552百万円増加、為替換算調整勘定が60百万円と1,046百万円増加しました。

 

⑦キャッシュ・フロー

当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは621百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローは150百万円の使用、財務活動によるキャッシュ・フローは878百万円の使用となりました。

その結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ312百万円減少し15,734百万円となりました。

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前中間純利益は3,167百万円であり、売上債権の増減額1,904百万円、法人税等の支払額1,916百万円があったこと等を反映し、営業活動によるキャッシュ・フローは621百万円の獲得となりました。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資有価証券の売却による収入が56百万円、無形固定資産の取得による支出が126百万円、投資有価証券の取得による支出が42百万円あったこと等により、投資活動によるキャッシュ・フローは150百万円の使用となりました。

 

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

ストックオプションの行使による収入が137百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入が510百万円あった一方で、株主還元として総額1,510百万円の配当を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは878百万円の使用となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、128百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の内容に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。