(1)会社の経営の基本方針
当社は、「優秀なエンジニアを九州・福岡から輩出し、最高のサービスを顧客に提供することにより、IT技術を文化として広く世界へ伝達する」という企業理念のもと、主に九州一円より若く活力のある人材を活用し、当社独自のIT専門教育を施しITエンジニアを育成することに取り組んでおります。
今後もITエンジニアの育成を通じて、企業価値の向上に努めるとともに、九州・福岡の人的価値の向上及び地域経済の発展に寄与することを目指したいと考えております。
景気の動向や経済環境としては依然として不透明な部分もありますが、当社独自のITエンジニア育成研修制度を柱とした人材育成を強みとし、高度IT人材の育成、当社によるワンストップ型ソリューションの提案等を行い、お客様の囲い込み・シェアの拡大を図ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、ITエンジニアに特化した人材の提供とシステムの受託開発を行っており、高い収益性で業績を伸ばしていくのが特徴です。経営指標として、売上総利益率及び稼働率を重視しております。当社の事業の中心となるSES事業では、売上総利益率36%を次期の目標にしております。また、ITエンジニアの稼働率の向上を重要視しており、SES事業及びソリューション事業で95%を次期の目標にしております。稼働率を向上させる方策として、全従業員のITスキルの把握及び市場ニーズに応じた教育訓練を継続的に実施しております。また、従業員の人事評価基準に業務内外を問わないサービス・ホスピタリティ精神、営業マインド、幅広い技術知識の3要素を盛り込み人間力向上にも取り組んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、人材の確保及びITエンジニアを中心とする人材に対して積極的に様々な投資を行い、業界での優位性を確保できる強いエンジニア集団を構築することが今後の事業展開に不可欠だと考えております。また、優秀な人材の確保・定着のためには、技術力・能力に見合った報酬の設定及び生活にゆとりのある労働環境が必要だと考えており、これらのことを実現するためには、社員へキャリアプランを明示し、適正な指導を行い、スキルアップを行っていくことが正しい道だという信念を持っております。社員の能力向上及び能力が十分発揮できる労働環境を整え、お客様の満足度の向上を図ることで、業容の拡大に繋げたいと考えております。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社の主要事業であるSES事業を取り巻く情報サービス業界を全般的にながめますと、競争激化の傾向にあります。当社が優位性を確保するためには、以下のような課題に対処していく必要があると考えております。
① 人材の確保
当社の主要事業であるSES事業及びソリューション事業においては、技術の高度化やシステムの複雑化に対応できる優秀な人材の確保が必要であると認識しております。
当社は、このような課題に対処するために、採用の強化、教育の強化、優秀な人材の確保に努める方針を掲げております。採用の強化に関しましては、企業ブランドを確立し、マスメディアでの広告やホームページにおいて当社の特徴・強みや、適正な労務管理、キャリア育成の優位性等を積極的にアピールし、採用活動を行ってまいります。教育の強化に関しましては、ITエンジニアとしての技術的側面の教育及びサービス力向上のための育成に注力してまいります。優秀な人材の確保に関しましては、更なる雇用条件の改善や実力主義かつ福利厚生の充実した給与体系の整備を行ってまいります。
また、2024年3月に東京支店を銀座から秋葉原へ移転し、人材確保・育成のための先行投資としてITエンジニア育成研修の拡大を目指し、「アキバ・テックドリーム・アカデミー」を開校、未経験者や新規学卒者を積極的に採用し、育成に注力しております。技術力の向上、ワークライフバランスの向上を図ることで、優秀な人材の囲い込みを図ってまいります。
② 営業・採用地域の拡大
当社は、福岡地区と東京地区を中心に営業活動を行っておりますが、稼働しているITエンジニアの約32%が福岡県、約68%が東京都・神奈川県に集中しております。当社の主要事業であるSES事業の顧客となり得る企業が東京都・神奈川県に集中しており、今後、東京地区での営業活動がより重要になってくると考えております。
当社は、このような課題に対処するために、首都圏を中心とした営業活動をより強化しております。今後も東京地区への人員配置を推進することにより、更なる業容の拡大に努めてまいりたいと考えております。
③ プロジェクト管理の強化
当社のソリューション事業の中でも受託開発案件においては、顧客の要求する品質・性能のソフトウエアを定められた期日に納める必要があるため、生産工程の非効率化や工程遅延により、プロジェクト(案件)の採算性が悪化する可能性があると認識しております。
当社は、このような課題に対処するために、過去の失敗事例やノウハウを蓄積したマニュアルの閲覧・徹底、見積りの精度向上、進捗会議の開催頻度の増加等により、プロジェクト管理の強化に取り組んでいく方針であります。
④ 採算性の高い案件の獲得
当社のソリューション事業の中でも受託開発案件においては、上記③の採算性悪化リスクはあるものの、社内での生産性を高めることで、高い利益率を確保できる可能性があるだけでなく、プロジェクトリーダークラスのITエンジニア育成及びITエンジニアの帰属意識の醸成に良好な影響を与えると考えております。従って、今後の企業価値向上のためには、受託開発案件も積極的に取り込んでいく必要があると認識しております。
当社は、このような課題に対処するために、受託開発案件の獲得及び「OFFICE DOCTOR」サービスの推進に力を注ぐため営業力の強化を行うとともに、ITエンジニアの技術力・サービス力・営業力をさらに高めていきたいと考えております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
なお、本項目に記載している将来に関する事項は、当事業年度末時点において当社が合理的に判断したものであり、今後の社会情勢や事業環境の変化により変更される可能性があります。
当社は、「優秀なエンジニアを九州・福岡から輩出し、最高のサービスを顧客に提供することにより、IT技術を文化として広く世界に伝達する」ことを経営理念として掲げております。この理念のもと、主要取引先をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様の幸福の実現と、持続可能な社会の構築への貢献を目指しています。
また、当社の特徴である未経験者をITエンジニアへと育成するプログラミングスクール「アキバ・テックドリーム・アカデミー」を通じて、将来世代の人材育成に注力するとともに、さまざまな事業活動を通じてSDGs(持続可能な開発目標)で示される社会課題の解決にも寄与してまいります。
(1)ガバナンス
当社では、現時点においてサステナビリティに特化した諮問機関(委員会等)は設置しておりませんが、サステナビリティに関連する課題を含む重要事項については、週次の会議体において討議・検討を行い、月次の取締役会にて報告しております。
また、経営上の重要事項は取締役会において決議され、その業務執行については、全社的なコーポレート・ガバナンス体制のもと、監査役会が監査・監督を行っております。
(2)戦略
当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。
<サステナビリティ関連のリスク・機会と対応>
① リスク
・IT人材不足による事業拡大の制約
・技術進化への対応遅れ
② 機会
・社会人のリスキリング市場の拡大
・多国籍人材・多様な人材層の活用による人材の多様化
・働き方改革による柔軟なキャリア設計の実現
③ 取組
・第二新卒や外国籍人材の採用、及び退職者の再雇用(アルムナイ採用)の強化
・未経験者向けプログラミングスクールを通じたIT人材の育成・輩出
・女性の採用拡大及び管理職への積極的な登用の推進
・ITエンジニアの満足度向上を重視した「エンジニアファースト」な制度設計の推進
・就活生が納得のいく進路を選べるよう、内定辞退を許容する採用方針
<人的資本・社内環境整備>
① 人材育成方針
《新卒の手厚い研修》
新卒社員には、入社後6か月間にわたるプログラミング研修を実施しています。ITエンジニアとしての基礎技術に加え、挨拶や報連相といったビジネスマナーやコミュニケーションスキルも習得できる環境を整えています。
《明朗な人事評価制度》
2021年に人事評価制度を全面的に改訂し、昇給の条件や金額が明確な仕組みを導入しました。明示的なポイント制度を軸に、専用の評価システムを用いることで、公正かつ透明性のある評価・処遇を実現しています。
《管理職のキャリア設計》
部長等の役職者に対しては、社内外の研修を実施しています。社内研修では創業者から当社の歴史や文化を学び、課題認識を共有することで組織の一体感を醸成しています。社外研修では、外部講師によるリーダーシップやマネジメント、ハラスメントに関する知見の習得を図っています。
《技術者のキャリア設計》
管理職を志向しない社員でも、高度な専門性を活かして昇給が可能となる「技術特化型キャリアパス制度(オレオール・オメガ)」を2025年に新設し、多様なキャリア志向に対応した成長の機会を提供しています。
《自己啓発の支援》
資格取得にかかる受験費用の支援や、取得による基本給の昇給制度を設けており、社員の自己研鑽を積極的に後押ししています。さらに、英会話学習に対する補助金制度も整備し、国際的な活躍を視野に入れたスキル向上を支援しています。
<社内環境整備>
《残業の規制》
36協定よりも厳格な社内ルールを設け、過重労働の防止と業務効率の向上を推進しています。
《在宅勤務の活用》
テレワークと出社を併用するハイブリッド勤務体制を整備しており、業務特性やライフスタイルに応じた柔軟な働き方が可能です(一部職種は除く)。
《副業の許可》
多様な働き方やスキル獲得機会を支援するため、副業を許可しています。
《社内システムの整備》
シャドーITの防止とセキュリティ向上を目的に、使用ツールやクラウドサービスを公式に開発・導入することで、利便性と安全性の両立を図っています。
《永年勤続の表彰》
一定年数の勤務を達成した社員には、表彰金及び最大20日間のリフレッシュ休暇を付与し、長期的な貢献に報いるとともに定着促進とモチベーション向上を図っています。
《財産形成の支援》
社員持株会制度を導入しており、社員の資産形成と経営参画意識の醸成を目的に、拠出額に対して20%の会社補助を支給しています。
《参加無料の社内イベント》
社員同士の交流や帰属意識の向上を目的として、月1回のペースで参加無料の社内イベントを実施しています。内容は、会議後の懇親会や、バーベキュー、屋形船での食事会等多岐にわたります。いずれも任意参加としながらも、部門を超えたコミュニケーション機会の創出に寄与しています。
<芸術文化支援活動(CSR)>
当社は2019年より、福岡を中心にバロック音楽コンサートの主催・協賛を行っており、地域住民、取引先、従業員の皆様に向けて高品質な音楽体験を提供しております。
この活動は、当社創業者の芸術活動と連動し、文化資産の継承、心の豊かさの醸成、地域交流の促進を目的としたものであり、企業の社会的責任(CSR)の一環として位置づけています。
また、コンサートの模様はYouTubeチャンネル等を通じて動画アーカイブとして公開しており、国際的な文化交流のきっかけとなることも目指しています。
さらに、2025年より開始した「出張リサイタル」は、これまでの文化支援活動を発展させた新たな取組であり、演奏者が社会福祉施設等を訪問し、音楽によるレクリエーションを提供しています。
このような芸術文化支援を通じて、当社は「働きがいのある職場づくり」や「多様性の尊重」といった観点からも、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(3)リスク管理
当社では、サステナビリティを含む事業活動に係るリスク管理について、各部署が抽出したリスクを基に、各種会議体において発生可能性及び影響度を検討し、その内容を取締役会に報告しております。
また、コンプライアンス経営の強化を目的として、従業員等からの通報や相談に対応する内部通報制度を整備しており、法令違反等に関する情報を迅速に把握し、不正行為の早期発見と是正に努めています。
さらに、各種ステークホルダーから寄せられたご意見・ご要望についても、経営陣やマネジメント層と速やかに情報を共有し、迅速な課題解決と経営改善に活かしております。
(4)指標及び目標
女性の活躍推進を含む人材の多様性の確保や、社内環境に関する指標については、以下のとおりです。
当社は、社内の多様性を確保し、すべての人材が働きやすい職場環境づくりに継続して取り組んでまいります。
なお、以下に記載する指標は、当社の主要事業に関する項目のみを掲載しております。また、現在策定中の指標については本報告書には記載しておらず、策定完了後に速やかに公表・報告いたします。
|
指標 |
目標 |
実績(前事業年度) |
実績(当事業年度) |
|
女性社員割合 |
40% |
39.6% |
37.3% |
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女性管理職割合 |
40% |
20.0% |
25.0% |
|
残業時間 |
月10時間 |
4.4時間 |
3.8時間 |
以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社としては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項については投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
当社はこれらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項以外を慎重に判断した上で行われる必要があると考えられます。
文中の将来に関する事項は、本書提出日(2025年8月27日)現在において当社が判断したものであります。
(1) 当社の事業について
(人材の確保について)
当社の主要事業であるSES事業においては、ITエンジニアによる役務及び生産活動が収益の源泉となっており、人材の育成及び優秀な人材の確保が重要な課題であると考えております。当社におきましては、採用活動の強化、研修カリキュラムの充実、雇用条件の改善、全社的なコミュニケーションの積極化等に取り組む方針であります。
しかしながら、他の業界への人材流出等の雇用環境の変化があった場合、当社が求める人材が計画どおり採用できなかった場合又は採用した人材が育成できず収益への寄与が計画どおりでなかった場合等は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(拠点拡大の事業戦略について)
当社はSES事業及びソリューション事業において、福岡県福岡市に本社及び研修施設、東京都千代田区に支店を設置しております。当面は、この2拠点を中心に事業を拡大してまいりますが、将来的な事業戦略としては、その他の主要地域へのSES事業及びソリューション事業の拡大による支店・営業所の設置、研修施設の設置を考えております。
しかしながら、支店・営業所及び研修施設の設置が行えなかった場合又は設置後SES事業及びソリューション事業の取引先開拓及びIT人材の募集・育成が行えなかった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(受託開発プロジェクトにおける採算性について)
当社のソリューション事業の中でも受託開発案件は、顧客の要求する品質及び性能のソフトウエアを定められた期日に納めることで収益を得ております。当社は、過去において、受注金額の見積りの精査が不十分であったケース、社内生産工程での管理が不十分であったケース等があり、見積り精度の向上やプロジェクト管理の徹底に取り組んでおります。
しかしながら、技術の高度化やシステムの複雑化又は当社のプロジェクト管理の不徹底等により、当社の採算性の悪化及び顧客からの信用失墜等があった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(事業環境について)
当社の主要事業であるSES事業及びソリューション事業を取り巻く情報サービス業界においては、クラウドサービスの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進等、社会全体としてIT活用の流れが一層増加しており、企業によるIT関連への投資意欲は底堅く、堅調に推移するものと考えております。
しかしながら、諸外国の問題から企業がIT投資を急激に減少させることも懸念され、ITエンジニアの過剰供給による業界内での競争激化が進む可能性も考えられます。また、技術の高度化、システムの複雑化に伴い、とりわけ優秀な高度IT人材の慢性的不足という状況も顕著化しております。
このため当社は、このような外部環境のもと、業界内での優位性を保つために、「従業員の技術的・知識的満足度の向上」「従業員の収入的満足度の向上」を柱に一層技術の研鑽に努め、お客様の満足度を高めていく方針であります。
(2) 法的規制について
(労働者派遣法について)
当社の主要事業であるSES事業の派遣登録者の派遣については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下、「労働者派遣法」という。)」の規制対象であり、厚生労働大臣より派遣事業の許可を受けなければ、派遣登録者の当該派遣事業を営むことができません。当社は、2000年12月1日より一般労働者派遣事業の許可を得ており、当該許可の次回更新時期は2028年11月30日であります(許可・指定番号:派40-01-0197)。
しかしながら、今後、派遣業種の変更等の法改正があった場合又は欠格要件に抵触することにより許可取り消し等があった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(社会保険の加入について)
当社は、従業員、契約社員、派遣登録者を多く擁しており、社会保険制度の遵守の徹底に取り組んでおります。現在の社会保険加入対象者の加入率は100%であります。
しかしながら、今後、社会保険料率や加入対象範囲等の改定があった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(3) その他
(個人情報の保護について)
2005年4月1日の個人情報保護法の施行を契機とし、様々な業種において個人情報の管理が重要視されるようになりました。主に人材の個人情報を取扱う当社におきましても、個人情報の厳重な管理に取り組むとともに、プライバシーマークを取得しております(認定番号:第18820138(09)号)。
しかしながら、故意、過失等による個人情報の漏洩の発生により、社会的信用の失墜や損害賠償請求等があった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(顧客の機密情報の管理について)
当社の主要事業であるSES事業及びソリューション事業においては、リリース前のシステム製品の企画・設計情報や導入技術に関する情報を入手することや、顧客が保有する個人情報を取り扱う可能性があります。当社では、従業員、契約社員及び派遣登録者からの誓約書の徴求、外注会社との契約における機密情報の取扱いに関する定め等により、これらの顧客の重要な機密情報の取扱いに細心の注意を払っております。
また、2010年12月4日に、情報セキュリティ基本方針に基づき、業務で保有する情報やお客様から提供を受けた情報等重要な情報資産の安全確保や機密保持を行う目的で情報セキュリティマネジメントシステムの国際基準である「ISO/IEC27001:2013」の認証(審査登録証:IA100814、認証範囲:ソリューション事業)を取得し、顧客の機密情報の管理を強化いたしました。
しかしながら、故意、過失等による情報漏洩の発生により、顧客からの信用失墜や損害賠償請求等があった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当社は、2024年12月2日付で連結子会社であった株式会社匠工房の全株式を譲渡したため、当事業年度より非連結決算に移行しております。(前期比につきましては、個別業績の比較数値を記載しております。)
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要により、国内景気は引き続き緩やかな回復傾向が継続しております。一方で、世界的な物価上昇、金融資本市場の変動、アメリカの政策動向等、経済活動に急激な影響を与える要因が払拭されておらず、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社の属する情報サービス業界においては、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する投資需要は継続しており、社会全体としてIT活用の流れが一層増加し、慢性的にIT人材が不足している状況にあります。
このような環境の中、当社では、2024年3月に東京支店を銀座から秋葉原へ移転し、ITエンジニア育成研修の拡大を目指し、「アキバ・テックドリーム・アカデミー」を開校、未経験者や新規学卒者を積極的に採用し、育成に注力しております。また、技術力の向上、ワークライフバランスの向上を図ることで、優秀な人材の囲い込みを図っております。加えて子育て世代の両立支援をはじめ、誰もが働きやすい職場づくりの一環として「メディアファイブ保育園薬院」の運営も行っており、地域貢献度の向上にも寄与しております。
主要事業であるSES事業は、ITエンジニアの需要が高まっていることを背景として、新規取引先の獲得及び既存取引先における契約単価交渉を行ってまいりました。
ソリューション事業は、前事業年度に引き続き、安定的にシステム開発案件を受注しております。引き続き、中小企業のITを支援する「OFFICE DOCTOR」サービスを軸にワンストップ型ソリューション提案を推し進めております。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高1,719,341千円(前事業年度は1,729,706千円)、売上総利益617,300千円(同627,006千円)、営業利益36,525千円(同9,400千円)、経常利益70,316千円(同4,732千円)、当期純利益59,429千円(同640千円)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。なお、当事業年度より非連結決算へ移行したことから、セグメント別の業績について、前事業年度との比較分析は行っておりません。
SES事業
主要事業であるSES事業は、高度IT人材の育成、技術力向上に注力するとともに、取引先への契約単価交渉や戦略的な配置転換を行ってまいりました。その結果、当事業年度における売上高は1,533,759千円、セグメント利益は349,225千円となりました。
ソリューション事業
ソリューション事業は、前事業年度に引き続き、中規模・小規模のシステム開発案件の受注、中小企業のITを支援する比較的ライトな「OFFICE DOCTOR」サービスの提供を安定的に行っております。また、今後の業容拡大を目指し営業活動に注力してまいりました。その結果、当事業年度における売上高は185,582千円、セグメント利益は44,327千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、388,954千円となりました。
なお、当事業年度より非連結決算へ移行したことから、キャッシュ・フローの状況について、前事業年度との比較分析は行っておりません。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローとして、92,427千円の資金を獲得いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローとして、11,540千円の資金を獲得いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フローとして、17,160千円の資金を使用いたしました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
SES事業(千円) |
1,009,698 |
- |
|
ソリューション事業(千円) |
92,341 |
- |
|
合計(千円) |
1,102,040 |
- |
(注)1.上記の金額は売上原価によっております。
2.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。
b. 受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
SES事業(千円) |
1,561,920 |
- |
526,495 |
- |
|
ソリューション事業(千円) |
152,180 |
- |
12,079 |
- |
|
合計(千円) |
1,714,101 |
- |
538,575 |
- |
(注)当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
SES事業(千円) |
1,533,759 |
- |
|
ソリューション事業(千円) |
185,582 |
- |
|
合計(千円) |
1,719,341 |
- |
(注)1.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。
2.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
当事業年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
|
|
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
楽天銀行株式会社 |
324,299 |
18.9 |
|
株式会社インフォメーション・ディベロプメント |
211,947 |
12.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産合計)
資産合計は700,239千円(前事業年度末比56,916千円増)となりました。
流動資産については、現金及び預金388,954千円(同86,808千円増)、売掛金147,137千円(同1,762千円増)、前払費用10,388千円(同4,248千円減)等により569,122千円(同80,742千円増)となりました。
固定資産については、有形固定資産15,146千円(同2,129千円減)、無形固定資産16,199千円(同6,483千円増)、保険積立金21,305千円(同1,775千円増)、敷金及び保証金36,048千円(同13,613千円減)、繰延税金資産33,543千円(同6,295千円減)等により131,117千円(同23,826千円減)となりました。
(負債合計)
負債合計は326,836千円(前事業年度末比2,513千円減)となりました。
流動負債については、1年内返済予定の長期借入金18,720千円(同増減なし)、未払金13,805千円(同4,506千円減)、未払費用120,853千円(同1,274千円減)、未払消費税等26,852千円(同235千円増)、預り金32,196千円(同12,563千円増)等により239,236千円(同14,646千円増)となりました。
固定負債については、長期借入金87,600千円(同17,160千円減)により87,600千円(同17,160千円減)となりました。
(純資産合計)
純資産合計は373,403千円(前事業年度末比59,429千円増)となりました。
2)経営成績
(売上高、売上総利益)
SES事業は、高度IT人材の育成、技術力向上に注力するとともに、取引先への契約単価交渉や戦略的な配置転換を行ってまいりました。
ソリューション事業は、前事業年度に引き続き、中規模・小規模のシステム開発案件の受注、中小企業のITを支援する比較的ライトな「OFFICE DOCTOR」サービスの提供を安定的に行っております。また、今後の業容拡大を目指し営業活動に注力してまいりました。
以上により、売上高は1,719,341千円(前事業年度は1,729,706千円)、売上原価は1,102,040千円(同1,102,700千円)、売上総利益は617,300千円(同627,006千円)となりました。
(営業損益)
販売費及び一般管理費は、前事業年度に引き続き営業体制及びお客様のサポート体制を強化しております。また、当社独自のITエンジニア育成研修(虎の穴研修)については、形式的には人材育成の投資になりますが、人材不足が叫ばれるITエンジニアの増加施策としての役割は大きいと考えており、今後も市場の動向を見ながら拡大してまいります。
以上により、販売費及び一般管理費は580,775千円(前事業年度は617,605千円)となり、営業利益は36,525千円(同9,400千円)となりました。
(経常損益)
営業外収益は、保育事業収益52,909千円等により94,657千円(前事業年度は46,894千円)となり、営業外費用は保育事業費用54,057千円等により60,867千円(同51,563千円)となりました。
以上により、経常利益は70,316千円(同4,732千円)となりました。
(税引前当期純利益)
税引前当期純利益は70,356千円(前事業年度は4,268千円)となりました。
(当期純損益)
法人税、住民税及び事業税は4,631千円(前事業年度は5,273千円)、法人税等調整額は6,295千円(同△1,645千円)となりました。
以上により、当期純利益は59,429千円(同640千円)となりました。
3)キャッシュ・フロー
当事業年度より非連結決算へ移行したことから、キャッシュ・フローの状況について、前事業年度との比較分析は行っておりません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は92,427千円となりました。これは、税引前当期純利益70,356千円、減価償却費7,182千円、売上債権の増加額10,270千円、棚卸資産の減少額12,332千円、仕入債務の増加4,005千円、未払金の減少額4,506千円、預り金の増加額12,563千円、契約負債の増加額6,458千円、法人税等の支払額6,604千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は11,540千円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出3,797千円、無形固定資産の取得による支出9,248千円、敷金及び保証金の回収による収入13,096千円、関係会社株式の売却による収入10,000千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は17,160千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出17,160千円によるものであります。
(現金及び現金同等物の期末残高)
当事業年度末における資金は388,954千円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員人件費のほか、営業費用及び法人税等の支払い等によるものであります。投資を目的とした資金需要につきましては、設備投資によるものであります。
資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。資金調達は、自己資金による充当を基本としており、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債による調達を実施することとしております。また、現時点において重要な資本的支出の予定はありません。
4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
当事業年度については、事業の中心となるSES事業及びソリューション事業で売上総利益率37%、稼働率97%を目標としておりました。
当事業年度のSES事業及びソリューション事業においては、取引先への契約単価交渉や戦略的な配置転換を行ってまいりましたが、稼働率は92%と目標には及ばず、売上総利益率は36%とわずかに目標には及びませんでした。
今後も、優秀な人材の確保、人材の育成及びITエンジニアの技術に見合った契約単価交渉や稼働者数の増加等に努め、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
② 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(連結子会社株式の譲渡)
当社は、2024年11月22日開催の取締役会において、連結子会社である株式会社匠工房(代表取締役社長 馬場 浩司/以下、馬場氏)について、当社が保有する全株式を馬場氏に譲渡することを決議いたしました。また、当該決議に基づき、同日付で株式譲渡契約を締結し、12月2日付で譲渡を完了いたしました。これに伴い、2025年5月期下半期より株式会社匠工房を連結の範囲から除外しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。