(1)業績
文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が独自に判断したものであります。
当事業年度の業績は、売上高3,176,524千円(前期比10.2%減)、売上総利益879,975千円(前期比14.6%減)、営業利益219,052千円(前期比50.8%減)、経常利益222,662千円(前期比50.2%減)、当期純利益137,316千円(前期比62.3%減)となりました。
当社の事業は、Object Browser事業、EC・オムニチャネル事業、ERP事業、の3事業で構成されています。当事業年度は、Object Browser事業、EC・オムニチャネル事業の2事業は好調だったものの、ERP事業において大きな不採算案件が発生してしまい、全体として売上、利益ともに対前年比で落ち込んでしまいました。
なお、前々事業年度に発生した不採算案件については、現在契約の最終決着に向けての調整段階です。
各セグメント別の業績は、次のとおりであります。
<Object Browser事業>
Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」、プロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM」及びアプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。
「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、当社の主力製品の一つとして安定した収益源となっており高い利益率で推移しています。クラウドの普及によりクラウド環境上にシステムを構築するケースが増えてきたため、両製品ともクラウド対応を行い、新しいクラウド市場での利用拡大を図っております。
アプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」は、ソフトウェア開発におけるCADという新しい発想の製品です。今後、ソフトウェア業界が機械や建設業などの企業と同程度にCADを用いて設計作業を行うようになることを見込んで、既に特許を取得しております。IT業界の人手不足が深刻になる中、生産性を高めるツールとして注目され、徐々に販売を拡大しています。
「SI Object Browser PM」は、発売以来着実に市場浸透が進み、市場からも高い評価を得て導入企業実績は140社を超えました。本製品は、プロジェクト管理の事実上の世界標準であるPMBOKの管理エリアを統合するという製品コンセプトが高い評価を得ています。ERPのノウハウ・構想力がないと作れないという参入障壁があるため、現時点で競合する製品はほとんどありません。
日本市場での成功を背景に「OBPM 中国語版」を開発して中国での販売を開始したのですが、こちらの方はまだ特筆すべき成果を上げられていません。
その代わり、IT業界以外の市場にターゲットを広げる方針を打ち立て、第一弾として「エンジニアリング版」をリリースしました。また、小規模な企業や大規模な企業の部門導入を見据えて「ライト版」も同時リリースしています。今後はこれらをベースに、IT業界だけでなく、エンジニアリング業界や製造業にも幅広く展開して売上のさらなる拡大を図る予定です。
本事業はプロダクト型事業であり、年間契約の保守サポートも重要な収入源となります。各製品の保守サポートは、ストック型ビジネスとして安定した事業収益をあげています。
以上の結果、Object Browser事業の売上高は619,717千円(前期比6.8%増)、営業利益は397,331千円(前期比1.1%増)となりました。
<EC・オムニチャネル事業>
EC・オムニチャネル事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」とオムニチャネル関連サービス「SI Omni Channel Services(SOCS)」(ソックス)を主力製品として構成されています。ネット通販の普及とともに事業規模も順調に推移してきましたが、市場の拡大につれて年々競争が激化しており、ここ数年は業績が伸び悩んでいました。
当社の強みは、20年以上もずっとEC事業を行ってきたことによるノウハウやソリューション力です。当事業年度は、複数の大型案件をすべて成功させ、大規模ECサイト構築に関するソリューション力をアピールすることができました。
今後のEC市場は、オムニチャネルといった新たな潮流によりEC業界全体が大きく変わろうとしています。オムニチャネルを実現するには、ECサイトや店舗に散在する顧客情報を統合する必要があります。そのため、当事業年度ではオムニチャネル関連サービス「SI Omni Channel Services(SOCS)」に顧客統合管理機能を追加実装しました。今後は、顧客統合をキーワードとして新たな市場ニーズを開拓していく方針です。
EC・オムニチャネル事業の売上高は600,436千円(前期比10.7%減)、営業利益65,802千円(前期は30,955千円の損失)となりました。
<ERP事業>
ERP事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品として構成されています。
当社では、取締役をはじめ従業員の多くが長年ERPに携わっており、その豊富な業務ノウハウを強みにして事業規模を拡大してきました。
「GRANDIT」はコンソーシアム方式なので、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力を強みに、独自のアドオンモジュールを自社で開発し、これを当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売しています。
これまでに「個別生産管理アドオンモジュール」、「繰返生産管理アドオンモジュール」及び「継続取引管理アドオンモジュール」を自社で開発し、これらの効果で主に製造業向けの販売・受注が拡大しています。さらに、当社の自社開発パッケージ「SI Object Browser PM」との組合せにより、IT関連企業向けの「IT テンプレート」として製品化し、IT企業への導入事例も増えています。
当社の強みは、自社の基幹業務に「GRANDIT」を活用しているところです。これを「SI Object Browser PM」と密接に連携した上で、「継続取引管理アドオンモジュール」も利用し、自らIT企業における理想的な合理化モデルとなっています。
最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースが増えてきております。こうした時代ニーズに対応すべく当社自体の「GRANDIT」と「SI Object Browser PM」もアマゾンウェブサービス(AWS)のクラウドに移行し、その構築・運用ノウハウをベースにお客様に提案しており、すでに数社の稼働事例につながっています。今後も「GRANDIT on AWS」というモデルを積極的に展開し、システム構築だけではなく運用も含めてワンストップでサポートするパートナー企業として事業拡大を行います。
このように順調に事業を拡大してきましたが、当事業年度は、大きな不採算案件が発生してしまいました。事業の成長とともに案件規模が拡大しており、それに対応するための要員体制が不十分だったことが原因です。今回の失敗をもとに、大規模でも成功する仕組みを構築して、より強い事業体質となるべく努力しています。
上記の不採算案件の影響が大きかったため、ERP事業の売上高は1,956,371千円(前期比14.4%減)、営業利益は151,108千円(前期比62.4%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、725,737千円となりました。主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは270,762千円のプラス(前事業年度は905,662千円のプラス)となりました。これは主に税引前当期純利益の計上227,574千円、減価償却費の計上172,057千円、仕入債務の増加76,304千円、前受金の増加88,317千円などの資金増加要因が、未払消費税等の減少133,448千円、法人税等の支払額204,780千円などの資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは191,041千円のマイナス(前事業年度は186,131千円のマイナス)となりました。これは無形固定資産の取得による支出187,386千円、敷金及び保証金の差入による支出9,004千円、投資有価証券の売却による収入8,193千円などによるものであります。無形固定資産の取得による主な支出は、自社パッケージ開発に伴うソフトウェアの増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは142,445千円のマイナス(前事業年度は332,861千円のマイナス)となりました。これは短期借入金の返済による支出20,848千円、配当金の支払額121,597千円などによるものであります。
(1)生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
|
|
Object Browser事業 |
142,214 |
122.3 |
|
|
EC・オムニチャネル 事業 |
445,135 |
90.6 |
|
|
ERP 事業 |
1,417,647 |
110.9 |
|
|
合計 |
2,004,998 |
106.3 |
|
(注)1 金額は、当期総制作費用であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
|
Object Browser 事業 |
623,567 |
105.1 |
32,389 |
113.5 |
|
|
EC・オムニチャネル 事業 |
607,595 |
93.0 |
61,693 |
113.1 |
|
|
ERP 事業 |
2,429,021 |
116.9 |
1,138,652 |
171.0 |
|
|
合計 |
3,660,184 |
110.1 |
1,232,734 |
164.6 |
|
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
|
Object Browser 事業 |
619,717 |
106.8 |
|
|
EC・オムニチャネル 事業 |
600,436 |
89.3 |
|
|
ERP 事業 |
1,956,371 |
85.6 |
|
|
合計 |
3,176,524 |
89.8 |
|
(注)1 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前事業年度の富士通株式会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
|
相手先 |
前事業年度 (自 平成27年3月1日 至 平成28年2月29日) |
当事業年度 (自 平成28年3月1日 至 平成29年2月28日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
富士通株式会社 |
― |
― |
336,311 |
10.6 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)リスク管理の徹底
「SI Object Browser PM」のリスクマネジメント機能を活用して、見積、受注(契約)、およびプロジェクトの各工程において、リスクの早期把握および迅速な対応を行う仕組みを導入し、失敗プロジェクトを発生させないようにしています。制度や仕組みはできたので、これを効果的に運用して、これらの対策を全社員がしっかりと遵守し、運用徹底するように役員自ら率先して指導していきます。
(2)ソフトウェア開発の近代化
ソフトウェア業界の生産性は、ハードウェア業界に比べて伸び悩んでおります。その原因としてソフトウェア開発の現場で相変わらず旧態依然の方法で開発作業がなされていることがあげられます。当社の「SI Object Browser」シリーズはこのような状況を打開して、ソフトウェアの開発生産性を向上させるためのツール群であります。当社においても、「SI Object Browser ER」でデータベース設計作業を効率化し、「SI Object Browser」で開発、テスト工程の生産性向上を実現しています。また、「SI Object Browser PM」をフル活用して国内トップレベルのプロジェクト管理の合理化を実現しています。
アプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」もこのような目的を実現するツールです。この製品によって自社の開発生産性をさらに高めるとともに、既存3製品との相乗効果でIT業界全体の生産性向上に大きく役立つ製品群として広めていきます。
今後もこのような効率化ツールを積極的に評価・採用し、開発生産性の向上に努めていきます。また、これまでのさまざまなプロジェクトで行われたカスタマイズ事例のナレッジを共有することにより、これらを活用し過去の資産を活かして、効率良く開発できる体制を整えており、今後も継続して見直し活用していきます。
(3) パッケージの強化
当社のパッケージビジネスは、特定分野に依存せずに市場の広がる分野にパッケージソフトウェアを投入することを特徴としておりますが、それは各分野で競合製品との厳しい競争に打ち勝たなければならないことを意味しております。また、時代ニーズの変化も早く、継続して機能強化・改良に努めなければなりません。
パッケージビジネスはその分野でトップシェアを獲得することが非常に重要となることから、今後もパッケージソフトウェア開発及びマーケティング活動に力を注ぎ、当社製品がそれぞれの分野で№1になるためのパッケージ強化を計画的に行ってまいります。
(4)パッケージソフトウェアの海外展開
平成18年8月に設立したMIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・アンド・サービス)コンソーシアムは平成29年2月末現在、70社の企業が参加しております。これは国内のトップクラスのパッケージを持つベンダが協力し、日本のソフトウェアを海外にアピールするとともに連携を図っていくというものであります。この新しい枠組みを利用して、「SI Object Browser」、「SI Object Browser ER」に引き続き「SI Web Shopping」の中国語版も中国で販売しています。また、平成25年3月に中国現地法人の大連百易軟件株式会社と当社製品である「SI Object Browser」シリーズの中国国内での総販売代理店契約を締結し、中国国内での新たな販売展開を行っています。さらに、国内で順調に販売拡大できている「SI Object Browser PM」の中国語版ができましたので、これを中国国内企業に販売していきます。
現在は、これらの直接投資は少額に抑えるため、提携先との協力関係により拡販を図っておりますが、実績が上がるのに伴ってより積極的な海外展開を図っていく予定です。また、今後、投入する新製品は最初から海外市場を狙って多言語対応して海外市場戦略を実施してまいります。
(5)内部統制システムの強化
当社は、健全経営こそが企業を長期繁栄に導くと考えており、内部統制システムの強化を重要な経営課題としております。その基本理念に基づいた「内部統制システムの基本方針」を策定しており、適時見直しを行い必要に応じて改定を行っています。また、プライバシーマークの取得、「リスク管理規程」、「経営危機管理規程」、「適時開示規程」など継続的な関連規程の制定と改善を行っております。財務報告に係る内部統制報告書制度対応のため、必要に応じ社内体制を見直し、定期的に監査人との協議も行っております。引き続き、これらのルールを遵守して実行するために、社員教育や啓蒙活動を行ってまいります。
(6)開発体制の拡充
IT業界は、ここ数年好景気が続いており、この好調はあと2年は続くものとみております。こうした市場環境の良さより、特にERP事業では好調な引合いに対応できず、案件を辞退するケースが増えています。そのため、喫緊の課題として社員ならびにパートナー企業を含めた開発体制の強化があげられます。これまでにも取り組んできましたが、より一層の強化プランを立てて実施していく必要があります。
以下に、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項については、情報公開の観点から積極的に開示しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 失敗プロジェクトの発生
今回の不採算案件のように、プロジェクトの失敗が当社の事業に大きく影響するリスクがあります。今回の失敗を深く反省して、リスク管理を徹底強化してこのような大きな失敗をしない対策を講じております。しかしながら、その対策にも関わらず失敗プロジェクトが発生した場合、当社の事業は影響を受ける可能性があります。
(2) ソフトウェアモデルからサービスモデルへの流れ
IT業界は、ハードウェアからソフトウェアの時代に移り変わり、さらに現在はサービスの時代となっています。パッケージソフトウェアを作成して販売するというモデルは、典型的なソフトウェア時代の収益モデルですが、ソフトを無料にしてサービスで収益を上げるといったさまざまなサービスモデルが出現して、大きな位置づけとなりつつあります。
こうした時代変化の中、当社もソフトウェア製品の開発・販売のみならず、コンサルティングやクラウドでの運用、保守などのサービス事業も拡充しています。しかしながら、こうした事業モデルの変革が十分にできなかった場合、時代ニーズにマッチしない企業として成長できずに終わるリスクがあります。
(3) ECサイトのトラブルについて
ECサイト上での企業と消費者間、または企業間の取引においては、違法な取引やセキュリティ問題などのトラブルが発生する可能性があり、たとえばハッカー攻撃など不測の事態により、個人情報が漏洩する危険性も無いとは言い切れません。このようなトラブルが、当社のECサイト構築パッケージソフトである「SI Web Shopping」によって構築されたサイト上で行われる、または発生する可能性もあります。かかる事態が生じた場合、問題行為を行った当事者だけではなく、当該サイトを構築・運用するためのソフトウェアを提供したとして、当社が販売機会損失や信用損失などによる損害賠償請求も含めて責任を追及され、または問題の解決を迫られることも考えられます。このような事態が生じた場合、その解決にかかる費用が発生し、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(4) 製品の重大な不具合(バグ)による信用の低下について
プログラムの不具合であるバグを無くすことは重要な課題ですが、ハードウェアや基本ソフトなどの環境との相性もあり、皆無にするのは難しいと一般的に言われています。当社は、このようなバグを発生させないよう、開発の最終段階で念入りなテストを行い、品質を確保するようにしています。製品の信頼性を高めることが、長期的なユーザーの獲得につながるものと考えております。
しかし、念入りなテストを行ったとしても、予期しえない重大なバグを内在したまま販売する可能性がなくなるわけではありません。製品を販売した後に重大なバグが発生した場合、製品の信用が低下し、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(5) 新製品・新業態開発について
当社のパッケージソフトウェア戦略は、単一の製品に依存するのではなく、次々と新製品・新業態を企画・開発する方針であります。しかしながら、新しい分野に投入した製品が十分な収益を上げるまでにはある程度の期間がかかります。場合によっては、市場の見誤りや競合製品との競争の激化、社内体制の不備等などにより、販売が低迷する可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社はそれまで開発に要した投資を回収できず、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(6) 知的所有権について
パッケージソフトウェア事業では、開発した製品が他社の特許を含む知的財産権を侵害する可能性が無いとは言えません。知的財産権侵害により第三者から製品の販売中止などの提訴をされ敗訴した場合、製品の販売中止や回収を命じられることも考えられます。また、販売開始後、当社製品が他社の知的財産権に抵触することが発覚した場合、当社はロイヤルティの支払いが必要な使用権許諾を得なければなりません。かかる事態が生じた場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(7) 開発体制について
パッケージソフトウェアは、常に新技術を取り入れながら企画・開発されております。このため、社内のエンジニアは、高度な技術力が要求され、次々と新しい技術を習得し続ける必要があります。当社は、新規採用によるエンジニアの拡充、及び資格取得制度やチューター制度、社内勉強会などによる社員教育に力を入れております。しかし、技術の移り変わりが激しくエンジニアの育成が間に合わない場合、又はエンジニアの社外流出が生じた場合は、開発作業に重大な影響を及ぼし、将来的に競争力のある製品をタイミング良くリリースできなくなる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(8) 収益体質の維持について
当社は「技術力」こそ最も重要な経営資源と考え、外部委託に依存しきらないよう技術者の内部確保と教育を推進しております。これが中長期的には堅実な経営基盤になりえます。しかしながら短期的には、事業規模の拡大スピードによっては、開発人員を増強する中で社員に対する教育や管理が行き届かなくなる可能性があります。また、組織が大きくなるにつれ、現状に比べて社風の浸透や職場環境の維持に障害が発生する可能性もあります。その結果、プロジェクトの採算悪化、赤字プロジェクトの増加などを招く恐れもあります。自社導入したプロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM」の有効活用を更に推進し、これらのリスク管理を徹底して行ってはおりますが、かかる事態が発生した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 売上構成比率の変化について
当社はパッケージソフトウェアの販売・保守業務とパッケージソフトウェアのカスタマイズ、コンサルティング、その他のシステム開発などの請負開発業務の両方を行っております。前者は高収益が見込まれる利点、後者は安定して収益が見込まれる利点があります。当社は、今後もこの2つを適度なバランスで展開し、市場景気の変動に柔軟に対応できる事業体制を維持していく予定であります。今後もこの2業務を継続して推し進める限り、それぞれの業務において次のようなリスクがあります。
パッケージソフトウェアの販売・保守業務は、開発した製品が好調に推移すれば高収益が見込まれる反面、低調に終われば開発費用や広告宣伝などに要した費用を回収できない恐れがあり、損失が発生する可能性があります。パッケージソフトウェアのカスタマイズなどの請負開発業務は、プロジェクトの進捗が計画より遅れ、予定していた利益が確保できない可能性があります。なお、新たに開始したクラウド型ビジネスにより、売上向上だけでなくこれら事業リスクの分散も図れるものと考えております。
(10) 売上及び利益の集中について
Web-ERPパッケージ「GRANDIT」関連の受託案件は、基幹業務システムということもあり企業の会計年度の開始に合わせて本番稼動となる場合が多い状況です。これにより、当社の「GRANDIT」関連の売上及び利益は、決算月に集中する傾向があります。そのため、開発及びサポートのピークが重なり、要員の確保や配置が困難になったり、管理が不十分となる可能性があります。ピークをカバーできない状況となった場合、それが受注辞退やプロジェクトの採算低下などにつながり、当社の業績は影響を受けることになります。
(11) 訴訟ないし法的権利行使の可能性について
インターネットを利用した事業は比較的新しい分野であり、これらに関する法的紛争、判例等もまだ限定的であります。現在のところそのような事実はありませんが、当社の製品やソフトウェアプログラムあるいはインターネット全般に関する技術等について、第三者より権利の侵害請求に関する訴訟を提訴される可能性があります。また、当社が請け負った開発プロジェクトが失敗して、契約通りに本番稼働できないような場合、顧客から債務不履行などにより訴訟を提訴される可能性もあります。
かかる事態に陥った場合、当社は当然に、法的手段により防衛・解決に努力いたしますが、敗訴等となった場合には当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、ハッカーやコンピュータウィルスなどによるシステム障害が生じた場合、当社製品の利用者に一定の損害を与えることから損害賠償等が提起される可能性もあります。このような事態に対応するため、法的防御の観点から、当社製品の使用許諾書に免責事項を入れておりますが、上記と同様に敗訴等となった場合には当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社における研究開発活動として、当社の中核技術であるデータベースとWebを利用したパッケージソフトウェアの開発に取り組んでおります。当事業年度における研究開発費は、EC・オムニチャネル事業におけるSI Omni Channel Services(SOCS)及びSI Web Shopping CMS一店舗版の開発等12,649千円となっております。
1.提出会社の代表者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2)財政状態の分析
流動資産は、前事業年度末に比べ241,335千円増加し2,761,885千円となりました。これは主として、現金及び預
金の減少62,725千円、売掛金の減少51,748千円、仕掛品の増加257,009千円、繰延税金資産の増加81,902千円など
によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ22,218千円増加し448,264千円となりました。これは主として、ソフトウェア
(ソフトウェア仮勘定を含む)の増加28,250千円などによるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ263,553千円増加し3,210,149千円となりました。
負債は、前事業年度末に比べ241,304千円増加し1,958,729千円となりました。これは主として、買掛金の増加
76,304千円、未払法人税等の減少27,824千円、未払消費税等の減少133,448千円、前受金の増加88,317千円、受注
損失引当金の増加280,368千円などによるものであります。
純資産は、前事業年度末に比べ22,248千円増加し1,251,420千円となりました。これは主に当期純利益の計上
137,316千円、配当金の支払121,860千円などによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの分析
当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況は、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(4)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前事業年度に比べ10.2%減少の3,176,524千円となりました。
売上高の内訳は、Object Browser事業が619,717千円、EC・オムニチャネル事業が600,436千円、ERP事業が1,956,371千円となっております。また、売上高全体に占める割合は、Object Browser事業が19.5%、EC・オムニチャネル事業が18.9%、ERP事業が61.6%となっております。
(売上原価)
売上原価は、前事業年度に比べ211,634千円減少の2,296,549千円となりました。主な減少の要因は、受注損失引当金繰入額の増加280,368千円、完成原価の減少435,928千円、ソフトウェア償却費の減少77,671千円などによるものであります。また、売上原価率は、前事業年度から1.4ポイント増加し、72.3%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ74,776千円増加の660,923千円となりました。主な増加の要因は、役員報酬の増加などによるものであります。また、売上高対販売費及び一般管理費比率は、前事業年度に比べ4.2ポイント増加し、20.8%となりました。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ225,812千円減少の219,052千円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ224,487千円減少の222,662千円となりました。
(税引前当期純利益)
税引前当期純利益は、前事業年度に比べ219,558千円減少の227,574千円となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ227,300千円減少の137,316千円となりました。
なお、事業全体の包括的な分析及びセグメント別の分析は、「1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。