文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。こうした記述は、将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を内包するものです。将来の業績は、経営環境の変化などにより、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)経営環境
当社グループは、これまで社会が変化するタイミングで、投資・事業開発を積極的に進めてまいりました。当社の事業セグメントは、エネルギー事業、レジリエンス事業、金融投資事業及びその他事業となっております。
当社が電力小売業を展開するエネルギー事業の分野においては、電力需給がひっ迫する夏季・冬季における電力取引価格が著しく高騰する傾向にあり、また、国際紛争がエネルギー価格に与える影響など電力取引価格の動向は引き続き不透明であるものの、ロシアによるウクライナ侵攻直後と比較すると、比較的に落ち着きを見せております。しかしながら、将来にわたって日本全体の電力供給力(kW)を確保する目的で創設された容量市場は、需要家や発電事業者だけでなく、当社のような小売電気事業者にとってもメリットがある制度であるものの、容量拠出金の拠出額水準によっては経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)は、一定規模以上の小売電気事業者に対して販売量に応じた非化石証書の調達義務を課しており、具体的には、2030年には、供給電力の非化石電源比率44%以上という目標が定められ、目標達成の確度を高めるために、国は毎年事業者ごとに中間目標を設定しております。当社ではNon-FIT低圧太陽光発電所の開発を進めておりますが、今後、非化石証書の調達が過大な負担となることも考えられます。
また金融投資事業における暗号資産投資につきましては、依然として暗号資産価格のボラティリティが高く、経済情勢、暗号資産に関わる市場環境や金融市場の動向の影響を受けるため、暗号資産価格の変動が損益に過大な影響を与える可能性があります。
(2)経営の基本方針
当社グループは、社会に新たな価値を創造し提供することを目指し、社会が変化するタイミングで生じる課題を事業を通じて解決することをモットーとし、エネルギー事業、レジリエンス事業及び金融投資事業を推進しております。
すべてのステークホルダーから信頼され期待される存在であるために、「適切な収益を確保し持続的な成長を実現することで企業価値の向上を図ること」、「コーポレート・ガバナンスの強化に努め透明かつ公正な経営を実行すること」を経営の基本方針としております。
(3)経営戦略
当社グループは、今後さらに当社グループを発展させていくためには、各事業が独自に成長戦略を描き、他社との業務提携や資本提携等を含めてスピード感をもって新たな取り組みを推進し、自立的に強化・拡大していくことが必須であると考えております。また、M&A等、既存事業と親和性の高い事業領域や新たな事業機会が創出される分野への投資や、人材確保等を通じた組織力の強化によって、当社グループの更なる収益規模拡大に向けた機動的戦略の実行を図ってまいります。特に、金融投資事業における暗号資産投資事業においては、暗号資産価格のボラティリティは依然として高いものの、ブロックチェーン技術を利用したサービスの提供は今後中長期的には拡大が予想され、それに伴って暗号資産の存在感もさらに増していくと考えております。また近年、特に米国における金融政策の動向や、地政学リスク等による外国為替市場の動向も注視されており、資産価値の中長期的な保全の観点からもビットコインを中心とした暗号資産を中長期的に保有するとともに、暗号資産と密接に関係するWeb3.0を新たな事業機会ととらえ、Web3.0関連事業への投資も推進してまいります。
(4)中長期的な経営戦略
当社グループはこれまで、中期経営計画の策定・公表を行ってこなかったものの、社会に新たな価値を創造し提供することを目指し、積極的な投資・事業開発を進めてまいりました。今後も社会が変化するタイミングで生じる課題を、事業を通じて解決してまいります。中長期的なグループ成長シナリオとして、現在展開する事業セグメントにおける具体的な施策は以下のとおりです。
(5)対処すべき課題
① エネルギー事業における課題
エネルギー事業は、中長期的には、2050年カーボンニュートラル達成に向けての電源の低炭素化推進、再生可能エネルギー発電の活用や環境価値の高い電力供給プランなどがありますが、短期的には、事業利益が、変動する電力調達価額や2025年3月期より開始された容量拠出金の拠出額に左右されぬよう、需要家に価格変動リスクを適切に転嫁する商品ごとの設計や電力調達の仕組みの構築があげられます。また、エネルギー供給構造高度化法で電気事業者に求められている非化石電源比率(中間目標)への対応は必須になります。
② レジリエンス事業における課題
レジリエンス事業は、主に蓄電池事業及び省エネコンサルティング事業から構成されております。蓄電池事業は、代理店を通じて顧客に販売されるBtoB取引が主となります。よって、販路拡大のために蓄電池販売を得意とし販売力のある代理店を獲得することが課題となります。なお、これまで家庭用の蓄電池を主に取り扱ってまいりましたが、今後は小型産業用蓄電池の販売も本格化させてまいります。
また、レジリエンス事業においては、今後、従来型の蓄電池販売事業だけでなく、FIP転化事業や系統用蓄電池事業も展開する予定です。事業の収益化のためには、案件の仕入段階から出口戦略の実行に至るまで、社内外との綿密な連携を図り、スムーズな業務遂行が課題となります。
省エネコンサルティング事業では、これまでの事業者向けのエネルギー使用合理化・省エネ関連のソリューションに加え、BCP(事業継続計画)対策や家庭における防災・減災対策として、再生可能エネルギー、蓄電池及び発電機の組み合わせなどによる提案を積極的に展開してまいります。省エネルギーや防災・減災といった一部の効用にとどまらず、レジリエンス向上を促すための取り組みを推進してまいります。
③ 金融投資事業における課題
金融投資事業は、主に暗号資産投資、株式投資及び融資等に係る投融資事業を推進しております。金融投資事業を取り巻く事業環境といたしましては、ブロックチェーン技術を利用したサービスの提供は中長期的には拡大が予想され、それに伴って暗号資産の存在感もさらに増していくと考えております。また近年、特に米国における金融政策の動向や、地政学リスク等による外国為替市場の動向も注視されており、資産価値の中長期的な保全の観点からも保有暗号資産の多くを中長期的に引き続き保有するとともに、暗号資産と密接に関係するWeb3.0を新たな事業機会ととらえ、Web3.0関連事業に積極的に投資を行う方針であることから、暗号資産やWeb3.0関連の知見を有する人材の獲得及び育成やシステムへの投資が課題となります。
④ 経営環境の変化への機動的な対応、これによる事業機会及び収益の追求
当社グループは、将来にわたる持続的な成長を実現するため、事業規模及び収益の拡大を戦略的に推進する必要があります。当社グループは、市場のニーズやウォンツを的確にとらえ、社会・時代の変化に機動的に対応し、既存事業の強化、派生ビジネスへの取り組み、新しい発想・視点による新規の事業機会の創出をたえず行ってまいります。さらに、事業ポートフォリオを定期的に見直し、収益力及び効率性の向上を推進し、中長期的な成長基盤の確立を図ってまいります。また、成長を加速するために、その時々の経営環境を鑑み、特に、脱炭素を志向する環境意識の高い企業との協業等を含めた他の企業グループとの連携や戦略的な投資を推進してまいります。
⑤ 内部管理体制の拡充ならびにコンプライアンス及びリスクマネジメントの強化
当社グループは、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現することを目的として、2017年12月に策定した「コーポレート・ガバナンス基本方針」(2021年12月一部改訂)において、コンプライアンスの徹底及びリスクマネジメントに対し積極的な取り組みを行う姿勢を明確にいたしました。コーポレートガバナンス・コードの改訂その他事業環境の変化に応じて、当社グループにふさわしいコーポレート・ガバナンスの実現に努めてまいります。また、引き続き、グループ全体において、継続的な啓発活動及び教育研修を実施し、一人ひとりが高い倫理観を醸成し、良識と責任のある行動をとることのできる企業風土を形成してまいります。
⑥ 優秀な人財の確保・育成
当社グループは、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題への取り組みに際して、事業環境の変化に円滑に対応して社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が必須であると考えております。業容拡大のもと、意欲のある経験値の高い人財を確保するとともに、持続的な成長を支える人財の育成、個々のパフォーマンスの最大化のため、就業環境の整備・改善に注力してまいります。
⑦ ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループでは、これまで複数の国籍の人財を登用してまいりましたが、今まで以上に、グローバル化の推進、個性の尊重、人財の経験・スキルの多様性の向上、信頼関係作りの強化に取り組んでまいります。また、取締役だけではなく、執行役員、部長などの経営幹部への女性登用の拡大を推進してまいります。そのために、多様な個々の従業員が意欲をもって活躍できるための就労環境の整備、職場コミュニケーションの改革、人財育成等の人事・労務施策の実施に努めてまいります。
2050年カーボンニュートラル実現というメガトレンドの中、エネルギー事業やレジリエンス事業を営む当社の役割は、二酸化炭素排出量を抑えた発電による電力の提供、蓄電池の販売拡大や顧客のESG活動を支える省エネコンサルティング等を通じて、サステイナブルな社会に貢献することであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
(1)ガバナンス
取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しています。
エネルギー供給構造高度化法は、一定規模以上の小売電気事業者に対して販売量に応じた非化石証書の調達義務を課しており、具体的には、2030年には、供給電力の非化石電源比率44%という目標が定められ、目標達成の確度を高めるために、国は毎年事業者ごとに中間目標を設定しています。
取締役会は、エネルギー事業の事業責任者より、非化石電源比率目標値の達成状況について報告を受け、進捗・今後の取り組みについて協議しております。
(2)戦略
エネルギー事業やレジリエンス事業を営んでいる当社グループが、持続的に成長することが、最も優れたESG活動だと認識しています。具体的には、Non-FIT低圧太陽光発電所の開発、保有を進め、脱炭素社会の実現に寄与しております。また、FIP転事業の推進により、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。持続的に成長するためには、組織におけるガバナンス強化はもちろんのことですが、多種多様な価値観を受け入れる組織風土を育むことも経営陣の大事な使命であると考えております。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループでは、これまで複数の国籍の人財を登用してまいりましたが、これまで以上に、グローバル化の推進、個性の尊重、人財の経験・スキルの多様性の向上、信頼関係作りの強化に取り組んでまいります。また、取締役だけでなく、執行役員、部長などの経営幹部への女性登用の拡大を推進してまいります。そのために、多様な個々の従業員が意欲をもって活躍できるための就労環境の整備、職場コミュニケーションの改革、人財育成等の人事・労務施策の実施に努めます。
(4)リスク管理
当社グループは、当社グループに関するコンプライアンスリスクについて適正に評価し、その対応策を検討する活動を推進及び統括することを目的として当社内にリスク・コンプライアンス委員会を設置しておりますが、サステナビリティに係るリスクと機会の識別、優先的に対応すべきリスクと機会の絞り込みについても、同委員会所属の委員により行われ、同委員会にて共有されております。重要なリスクと機会については、取締役会へ報告される仕組みをとっております。
(5)指標及び目標
当社グループでは、社員の仕事と子育ての両立や女性が活躍できる職場環境づくりを目的として、各指標に対する目標を設定し取り組んでまいります。
しかしながら、当連結会計年度におきまして当社は関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みを行っているものの、株式会社ゼロメディカルは子会社化後間もないなどの理由により取組み途上のため、連結グループにおける記載が困難な状況であります。
このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、事業上のリスクとして具体化する可能性が高くないと思われる事項も含め、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下のとおり記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であり、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断ならびに当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本有価証券報告書の本項以外の記載事項も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載事項は、当社株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。そのため、以下に記載したリスク以外でも当社の想定を超えたリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中においては将来に関する記載事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、経営環境の変化等により実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業の内容に関するリスクについて
(1)法令・規制等による事業への影響について
当社グループは、新たな事業機会が創出される分野において積極的に事業開発を行っていく方針を有しています。そのため、展開中の事業及び展開を検討中の事業において、法令の新設・改正、規制の見直し・整備等によって、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、現在実施している、エネルギー事業における電力小売事業は、「電気事業法」に基づくものであり、想定外の法令改正、制度変更、法令等の解釈・適用(その変更を含みます)等により、当社グループの期待どおりに事業を展開することができなくなる可能性があります。また、事業の実施に必要な許認可、登録等を取得・維持できない又は取消等を受けるような場合には、事業を実施することができなくなる可能性があります。その他、当社グループが行う事業に固有に適用される法規制のほかに、企業活動に関わる各種法規制(消費者保護、プライバシー保護、人権尊重、労務、公正競争、知的財産権、租税、環境に関する各種法規制を含みますがこれらに限られません)の適用を受けています。当社グループがこれらの法規制に違反する場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関等から登録・許認可の取消や罰金などの処分を受けたり、取引先から契約を解除されたりする可能性があります。その結果、当社グループの社会的信用が低下したり事業展開に支障が生じたりする可能性があります。
(2)顧客基盤について
当社グループは、収益基盤の安定化及び事業規模の拡大を実現するために、既存顧客への売上拡大を図るとともに、新規顧客を意欲的に開拓し獲得することで、顧客基盤を拡大していくことが重要な課題の一つであると認識しています。そのため、製商品・サービスの品質向上、マーケティング・チャネルの有効活用、戦略的パートナーシップの構築・発展、新規事業の開発等に取り組んでまいります。しかしながら、諸施策が功を奏せず計画が順調に進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競争環境によるリスク
エネルギー事業における電力小売事業は、2016年4月の電力小売全面自由化以降、登録小売電気事業者数は着実に伸び、2025年5月30日現在764事業者となっており、需要家の選択肢も広がり、新電力(電力自由化以降に新規参入した小売電気事業者)による電力供給の割合は2024年7月現在で19.8%(販売電力量ベース)を占めるまで成長しました。そのような環境のもと、電力小売部門における競争は今後も激しくなると考えられますが、2020年度冬季、2021年度冬季と2期連続で卸電力取引市場の取引価格の異常な高騰により、一部の小売電気事業者の経営状況が悪化し、事業停止、事業撤退などがあり、また、新規契約の受付停止などの事態も発生しました。
エネルギー供給構造高度化法は、一定規模以上の小売電気事業者に対して販売量に応じた非化石証書の調達義務を課しており、2030年には、供給電力の非化石電源比率44%以上という目標を定め、さらに、目標達成の確度を高めるために、国は毎年事業者ごとに中間目標を設定しています。これにより、当社を含む一定規模以上の小売電気事業者は、販売電力量に応じて非化石証書の調達が必要となることから、当社では現在、Non-FIT低圧太陽光発電所の開発を進めているものの、今後、電力小売事業の規模拡大に伴い、非化石証書の調達負担が増加することも考えられます。また、国全体で必要な供給力(発電量)を確保するための、容量市場における容量拠出金の負担もあり、小売電気事業者が事業を継続するためのコストは今後も増加すると想定されます。
当社グループは、電力市場の状況・課題に対して適正な利益を実現するための施策を講じてまいる所存ですが、競争環境などの要因により、高騰する電力取引価格並びに非化石証書調達にかかる費用及び容量拠出金を顧客に転嫁できないときは、適正な利益を確保できなくなる可能性があります。
(4)自然災害、不測の事故等について
エネルギー事業における電力小売事業では、気候による電力需給状況の逼迫の発生のほかに、国内外の自然災害、事故、システムトラブルその他の不測の事態が生じることにより、正常な電力供給が行われない、燃料価格の高騰等のため電力調達価格が上昇し電力コストが増加するなど、当社グループの電力小売事業に支障を来たす可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、エネルギー事業において保有しているNon-FIT低圧太陽光発電所やレジリエンス事業においてFIP転化した太陽光発電所を保有する場合においては、天候や気候条件によって発電量が大きく変動します。また、風災、雪災、土砂災害、水害など自然災害による設備の倒壊や損傷、パネルやケーブルといった太陽光発電設備の盗難等が発生する可能性があります。当社といたしましては、あらゆるリスクを想定し、損害保険の加入やセキュリティ対策、EPC事業者や近隣住民との関係構築を通じて適切な運用を心掛けてまいります。
(5)期間損益の変動について
エネルギー事業における電力小売事業の売上は、需要家の電気使用量の季節変動による影響を受けます。また、電気使用量の変化、発電所の休廃止、その他不測の事態による電力供給量の減少等によって電力需給のバランスが崩れるような場合には、電力調達コストが大きく変動するリスクがあります。気温・湿度・気象・発電コスト等が想定外の範囲で変化した場合には、需給のミスマッチによるインバランス料金等の負担による損失の発生、売上・利益の減少が生じる可能性があります。そのため、当社グループにおいては、需給管理体制の充実、電力調達先の多様化、価格変動リスクのヘッジなどの施策を実施するとともに、電力の調達・需給に関する契約の内容及びバランスを適宜見直し、適正な利益を確保できるように努めてまいります。
レジリエンス事業における省エネコンサルティング事業では、顧客のニーズに合わせた最適なコンサルティングの実施に努め、申請支援する補助金や補助金申請支援が可能な交付団体の多様化等を進めておりますが、補助金の交付決定等の時期により売上が偏重する傾向があります。また、補助金の予算規模や申請要件等の変更により、年間売上高が変動する可能性があります。そのため、当社グループでは、省エネコンサルティング事業と深く関係する蓄電池、発電機、エネルギーコントローラ等のエネルギー関連機器・設備や環境衛生機器その他感染症対策商材の拡販等を行うことにより、期間損益の平準化を目指しております。
また、当社グループの業績は、過去において、当社グループが提供する製商品・サービスの構成、電力先物取引に係る評価損益、事業投資の成功又は失敗、事業の譲渡等の様々な要因によって、四半期毎、年度毎に変動しており、今後も変動する可能性があります。したがって、当社グループの過去の各四半期又は通期の実績が将来の業績の傾向を直接・間接に示唆するものではありません。
(6)M&Aについて
当社グループは、既存の事業ポートフォリオを定期的に見直しつつ、新たな事業機会が創出される分野において積極的に投資や事業買収並びに事業開発を行っていく方針を有しています。また、新規事業の開発や、既存事業の業容の拡大及び縮小を効率的に推進するために、グループ外企業との新規提携及び提携強化を進めております。その過程で、海外を含めた第三者との合弁による企業設立、既存企業への追加的な投資等を国内外で行う可能性があります。このため、これらの投資や事業買収、事業統合に際して多額の費用が発生する可能性があります。また、第三者との合弁事業、提携事業や投資先事業が大幅な不振に陥ったり、これらの事業の業績不振が一定期間以上継続したりする場合には、追加的なコストの発生や投資有価証券の減損又は評価損の計上等の可能性があります。
さらに、提携先の相手国側における法規制等の制約を受ける可能性や、事業戦略上の目的や予定していた事業収益の増大が実現できない可能性、第三者との合弁事業や提携事業等が所期の目的を達成できない可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループにおいては、提携等に関する意思決定の際には、シナジー効果、将来にわたる投資採算性等を考慮に入れ、法規制・会計・税制等の影響も含めたリスクを低減・回避するべく、検討を実施してまいります。
(7)感染症対策関連事業(現 レジリエンス事業)に特有のリスクについて
感染症対策関連事業では、その取扱商品やサービスが人の健康・安全に密接に関連していることから、広告や販売に関して、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及び関連法令や広告規制等の適用を受ける場合が考えられます。当社グループでは、各種法規制の遵守に努めておりますが、万が一法規制違反に該当するような事態が発生した場合、関連法規制の制定・変更及び行政対応等の動向により規制対応費用の増加、課徴金納付や事業活動への制約等が余儀なくされたりする場合などには、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
また、感染症対策関連事業での商品やサービスの提供過程において、品質不良等により消費者に健康被害を与えるような事態が発生した場合には、販売減少、損害賠償の発生又は当社グループのブランドイメージ毀損等によって当社グループの経営成績等は影響を受ける可能性があります。
(8)気候変動に関するリスクについて
近年、気候変動への関心が国内外で高まり「低炭素社会」「脱炭素化」への移行が求められる中、電力小売事業を含む電力供給ビジネスにおいても、気候変動問題への対応をはじめとした環境負荷の低減への積極的な取組みがこれまで以上に必要になってきています。
これらの気候変動に関するリスクに対して、当社は、再生可能エネルギーの積極的な活用や需給両面での二酸化炭素排出削減などの取組みを進めております。今後のわが国の環境政策及び国際枠組みの動向などによっては、環境負荷低減や気候変動の対応のための費用が増大するなど、将来的に当社グループの事業運営及び業績に影響を受ける可能性があります。
また、金融・資本市場においてESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に活用することが急速に拡大しており、気候変動問題への戦略・取組みや気候変動リスクをはじめとする環境情報に関する開示はもちろん、環境問題への取組み自体が不十分であるなどと判断された場合には、株主・投資家等のステークホルダーから信頼・評価を失い、株価低迷や資金調達の困難化などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。
(9)サプライチェーンマネジメントについて
特に、レジリエンス事業における蓄電池等の機器の供給においては、コスト極小化のためにも、製品の開発、製商品・部品等の調達、生産・製造、製商品の供給に至るまで、適時に行う必要があります。特定の供給元に依存し調達に制約を受ける場合には、当社における生産・製造及び供給が中断あるいは遅延する可能性があります。
また、製商品の生産・販売が地政学的リスク、自然災害、疫病、テロ、サイバー攻撃あるいは輸送事故などの理由により物流が停滞するような場合には、売上機会の損失、対応コストの増加などにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、製品については外部委託先を含め品質基準に基づく生産・製造を行っておりますが、万が一製品に品質不良や不具合等が発生した場合、また製品の設置工事の不手際により、設置先に損害を与えた場合には、顧客対応、リコール、損害賠償等のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、サプライチェーンマネジメントの強化を目指しており、取引先の動向把握や取引先との関係強化の推進、外部委託先への監督のほか、サプライチェーンの変化に応じた対応策、例えば、特定の取引先への依存を見直しての部品等の確保、供給に合わせた販売の調整などを行っております。
(10)金融投資事業における暗号資産投資に関するリスクについて
当社グループは、金融関連事業(暗号資産交換業)からは撤退したものの、同事業がおこなった暗号資産関連事業に関する投資、暗号資産への投資、その他事業投資は引き続き保有しております。これらの投資については、市場の変化等によって、価格が下がった場合や期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的なリスクは以下のとおりです。
① 価格変動によるリスク
当社が保有するビットコインを中心とした暗号資産は、暗号資産価格のボラティリティが高く、経済情勢、暗号資産に関わる市場環境や金融市場の動向の影響を受けるため、暗号資産価格の変動が当社グループの損益に過大な影響を与える可能性があります。
② システムセキュリティリスク
当社は外部のカストディに暗号資産を預けていますが、カストディにおいてサーバーへの不正アクセスによるハッキングが発生した場合、当社が保有する暗号資産が盗難にあい当社の資産が大きく毀損する可能性があります。またシステム障害によって取引が一時的に停止となり、その間当社の希望する売買が行えなくなることから暗号資産の取得、売買が計画通りに進まない可能性があります。
また、国内外における大手カストディアンや取引所において、ハッキングや暗号資産の不正流出等の不祥事が発生した場合、暗号資産市場全体へその影響が及び、暗号資産価格が大きく下落することで、当社グループの損益に過大な影響を与える可能性があります。
③ 規制リスク
主に米国における暗号資産に係る政策の方針転換や、各国政府や規制当局が暗号資産に対する規制を強化した場合、暗号資産市場に大きな影響を与え、価格が変動し、当社グループの損益に影響を与える可能性があります。
④ ブロックチェーンのシステムリスク
暗号資産はブロックチェーン技術に基づき取引が行われていますが、ブロックチェーンの根幹をなす仕組みが破綻した場合、暗号資産自体の価値が失われ、当社の資産が大きく毀損する可能性があります。
当社グループにおいては、このようなリスクを理解し、リスク管理を徹底しておりますが、万が一これらのリスクが顕在化した場合、暗号資産価格の変動による影響額を暗号資産評価損益として損益計算書において計上することになります。
(11)メディカル事業についてのリスク
当社グループは、介護保険法、児童福祉法及び障害者総合支援法に基づき、居宅介護支援、放課後等デイサービス及び就労継続支援B型の各施設を運営しております。各施設は、都道府県から指定を受けた人員、設備、運営に関する基準により運営を行っており、現時点では、ゼロメディカルが運営する事業所に指定取消しや営業停止は発生しておりませんが、今後、なんらかの原因により、それらの指定が取り消された場合や営業停止となった場合、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、福祉関連事業は、これまで運営施設における重大事故や金銭賠償は発生しておらず、引き続き適切な危機管理体制のもと、利用者が安心・安全に利用できる施設運営を心がけてまいりますが、今後当社グループの運営施設において利用者の不測の事故等により紛争や損害賠償が発生した場合、当社グループの経営成績等は影響を受ける可能性があります。
ただし、メディカル事業を営むゼロメディカルにつきましては、2025年5月30日時点において当社が保有する株式の全てを売却済であり、同年6月12日付で同事業を廃止しております。
(12)知的財産権について
当社グループにおいて、情報システムやソフトウェアに関する知的財産権の重要性が増しているなか、当社グループは、情報システムの開発等に当たっては第三者の特許を侵害する可能性がないかを調査をする一方で、知的財産は重要な経営資源であり、契約対応や産業財産権取得によって当社グループの知的財産権の保護にも努めています。
このような取組みにかかわらず、当社グループの製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求を受ける可能性があるほか、情報システムの使用差止請求を受けサービスを停止せざるを得なくなるなど、業務遂行に支障を来たす可能性があります。また、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があります。
2.当社グループの事業体制に関するリスクについて
(1)人財の確保・育成について
当社グループは、価値観が多様化する社会の中で、人財の価値を最大限に引き出し、企業価値の持続的な向上に結び付けることが必要であり、人的資本経営の実現のために適切な人財戦略を立案しこれを実行することが急務であると考えております。
当社グループでは、これまでも事業ポートフォリオ・マネジメントの一環として経営資源配分の最適化に継続的に取り組み、組織構成及び人員配置の適正化を図っております。今後も、事業の進展にあわせて、ダイバーシティ&インクルージョン(「人財の多様性」と「多様性を受容し互いに包摂すること」)の推進を踏まえ、優秀な人財の確保と継続的な育成、ならびに内部管理体制の拡充を図っていく方針です。しかしながら、雇用情勢の変化その他の要因により、経営戦略及びビジネスモデルの実現のために必要な人員の確保や人財育成が計画どおりに進捗しない場合、既存の主要な人財の社外流出を防止できない場合、適切な人員配置や組織の整備ができない場合などには、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営に支障を来たすなど、当社グループの将来の成長、事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、今後の成長を図るべく、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題の取組みに際しては、変化に対応し社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が重要な経営課題の一つであると認識し、実現すべきビジネスモデル及び戦略とその時々の人財ポートフォリオのギャップを把握し、戦略を実現するために必要な意欲のある人財を確保・育成するとともに、持続的な成長を支える人財を育成すべく一人ひとりが活躍することのできる環境を整備し維持してまいります。
(2)内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが極めて重要であると考え、「内部統制システム整備の基本方針」及び「コーポレート・ガバナンス基本方針」を制定し、内部統制システムの適切な整備と運用、コンプライアンスの徹底を行い、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。
当社グループでは、内部管理体制の一層の拡充に努めておりますが、事業の急速な拡大により十分な内部管理体制の整備又は運用が追いつかないというような状況が生じる場合や内部統制システムが有効に機能しないような場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティについて
当社グループは、事業上の重要な情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有し、事業活動のためにこれら情報を利用しています。他方で、特に個人情報については、不正な利用・アクセスや漏えいを防止するためにも、個人情報保護法等により適正な管理及び取扱いが要求されています。当社グループでは、情報管理に関する規程や取扱手順等を策定・運用するとともに、役職員等に対する教育・啓発等による情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を実施し、また、外部委託先等についても適宜その情報管理態勢を監督しております。万が一予期せぬ事態により当社グループの保有する機密性の高い重要情報が外部に流出したり、第三者が不正に取得し使用したりするような事態が生じた場合には、損害賠償や対応費用の発生ばかりでなく、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、業務遂行又はサービス提供のため、複数のコンピュータシステムを活用しています。また、これらのコンピュータシステムの多くは、顧客・取引先等のシステムとネットワークで接続されています。当社グループは、業務システムの安定的な稼動に努めるとともに、重要な業務システムについては、万が一の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。しかしながら、エラー、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により、重大なシステム障害等が発生した場合には、このような対策が有効に機能しない可能性があります。また、システムリスクやサイバーセキュリティリスクが顕在化した場合には、情報の流出、データ改ざん、システム誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、技術の進歩、情報セキュリティ確保の内外の要請、他でのセキュリティインシデントの発生状況等を踏まえ、情報活用の有効性の向上と情報セキュリティ対策の強化を図るとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発により、情報管理のさらなる徹底に取り組んでまいります。また、外部委託先、仕入先、販売チャネルを含むサプライチェーンにおける情報セキュリティの確保についても、関係先の理解・協力を得て推進してまいります。
(4)コンプライアンスについて
当社グループは、コンプライアンスを重要な経営課題の一つとして位置付け、事業活動に際しては企業倫理及び法令遵守の徹底を図るべく諸施策を講じています。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージの低下、損害賠償等により、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、コンプライアンスに関する規程を定め、コンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発を実施し、さらなる企業倫理の向上及び法令等の遵守に努めております。また、外部委託先、仕入先、販売チャネルを含むサプライチェーンでのコンプライアンスの徹底についても、関係先の理解・協力を得て推進してまいります。
3.その他のリスクについて
(1)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、業績向上に対する士気高揚のため、取締役及び従業員等に対するインセンティブとして新株予約権(ストック・オプション)を付与しています。また、今後も取締役及び従業員等に対するインセンティブの一つとして新株予約権の付与について継続的な活用を検討しています。これらの新株予約権が権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存株主の有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。
また、当社グループでは、事業投資の実施、成長戦略の実現、事業環境の変化への対応、その他の経営上の目的のために資本増強又は資金獲得を必要とする場合があり、この資金需要を充足するために、新株、新株予約権の発行や、自己株式を活用する可能性があります。あるいは、企業価値の向上を図るうえで事業の拡大や多角化を目的とする業務提携及びその強化を進める際にこれと並行して資本提携を行う場合があり、その際に新株、新株予約権の発行や、自己株式を活用する可能性があります。これらの発行及び権利行使によって、当社の1株当たりの株式価値及び議決権割合の希薄化が生じ、株価に影響を与える可能性があります。
(2)感染症が事業活動に及ぼす影響について
当社グループが行う電力小売事業(エネルギー事業)は、その公共性の観点から事業を中断することなく継続することが要請されており、感染症の感染拡大及びその長期化による事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めております。
また、感染症の感染拡大やその防止を理由として他の事業者や一般消費者の休業等が長期化するような場合には、外出自粛やテレワークのために家庭における消費電力、特に日中の電力需要が増加する可能性はあるものの、事業者における電力需要の落ち込みや業績悪化などが生じ、結果として電力小売事業(エネルギー事業)の売上が減少したり、売掛金の回収が困難になったりする可能性があります。さらに、感染症の拡大防止対策を優先的に実施するために、事業者においてエネルギー合理化等のための設備投資や省エネ対策の実施に関する意欲が減退するような場合には、省エネコンサルティング事業(レジリエンス事業)の売上が減少する可能性があります。感染症対策関連事業(レジリエンス事業)においては、感染症への感染状況の推移、関連法規制の変更、新規の感染対策や治療法等の出現、万が一の健康被害の発生、未知の感染症の発生・流行その他の事由によって業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現には潜在的リスクや不確実性を含んでおり、さらに業績に影響を与える要因はこれに限定されるものではありません。したがって、諸要因の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高21,129百万円(前期比3.1%増)、営業損失1,211百万円(前連結会計年度は営業利益1,743百万円)、経常損失541百万円(前連結会計年度は経常利益1,758百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失593百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,070百万円)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの業績は以下のとおりであります。各セグメントの売上高の金額は、セグメント間の内部売上高を含めない数値を記載しており、当社グループの報告セグメントは、業績評価、事業戦略の構築、経営資源の配分等を行ううえで重要性の高い区分を基に決定しております。中間連結会計期間まで「エネルギー事業」、「レジリエンス事業」、「メディカル事業」及び「その他事業」の4つで構成されておりましたが、2024年11月14日付開示の「新たな事業(金融投資事業)の開始に関するお知らせ」に記載のとおり、グループ全体の収益性の向上に資するべく、新たに当社における暗号資産投資、株式投資及び融資等に係る投融資事業を一つの収益の柱とする「金融投資事業」を開始したことにより、第3四半期連結会計期間より「金融投資事業」を報告セグメントに含めております。
以上のことから、第3四半期連結会計期間より、当社グループの報告セグメントは、「エネルギー事業」、「レジリエンス事業」、「メディカル事業」、「金融投資事業」及び「その他事業」となっております。
(エネルギー事業)
エネルギー事業は、主に電力小売業を営んでおります。当連結会計年度におけるエネルギー事業の事業環境につきましては、一般社団法人日本卸電力取引所(以下、「JEPX」といいます)における電力の取引価格(以下、「JEPX取引価格」といいます)が前連結会計年度に比べ1kWhあたり平均1.5円程度上昇したものの、国内の火力発電燃料として主に使用される天然ガスや石炭の取引価格は前年より低調に推移しており、電源調達面に関しては比較的平穏な事業環境が継続しました。
高圧需要家については今年度より容量拠出金の支払いが開始されることへの対応として、2023年7月に新プランへ全面的に移行いたしました。これにより同時期の解約数が増加し、高圧需要家の総契約容量(kW)も一時的に減少いたしました。しかしながら、その後、販売代理店網の強化や積極的な新プランのリリースなどの活動を推進した結果、当連結会計年度末時点における総契約容量は前連結会計年度末時点の水準を上回り、また過去最高の総契約容量(kW)水準に達しております。
低圧法人需要家については獲得を強化しており、その施策として新規代理店の開拓、既存代理店とのリレーション強化などにより新規受注数は想定を上回って推移しており、契約件数を着実に積み上げることができております。一方、低圧個人需要家については、昨年4月より新規受付を再開したものの契約件数の減少傾向が続いておりますが、今後更なる需要家獲得のための施策を図り、引き続き需要家獲得に向け注力してまいります。
当連結会計年度においては、世界的なエネルギー価格の高騰を背景とした政府による電気・ガス料金の激変緩和措置による補助金が前年と比較して減額されたものの、高圧電力、低圧電力ともに、JEPX取引価格に電力販売価格が連動する市場連動型プランの比率が高く、JEPX取引価格の上昇が増収につながる傾向にあること、また、高圧及び低圧の需要家数が順調に増加したことから増収となりました。
当社は、前連結会計年度からの「市場連動型」・「固定単価型」・「市場連動と固定単価のミックス型」に加え、新たに、時期に応じて市場連動型と固定単価型プランを切り替える新プラン「高圧ハイブリッドプラン」の提供を開始し、これら4つの料金プランを組み合わせることによって、需要家のニーズに応えつつも、JEPX取引価格の価格変動が事業収益に与えるリスクを最小限に抑え、安定的な利益確保の基盤を整えてまいりました。他方、今年度より新たに開始された容量市場は、発電所の建設・運営に必要な固定費の一部を小売電気事業者が負担すること(以下、「容量拠出金」といいます)で、発電事業者が発電所を維持し、将来の電力供給を安定的に確保するためのものですが、2025年3月期において当社が負担すべき容量拠出金1,479百万円が売上原価として計上され、利益を押し下げる要因となりました。なお、2026年3月期は小売電気事業者が負担する容量拠出金総額の減少により、セグメント利益の回復を想定しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は20,663百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益(営業利益)1,394百万円(前期比39.3%減)となりました。
(レジリエンス事業)
レジリエンス事業は、省エネコンサルティング事業及び蓄電池事業から構成されております。省エネコンサルティング事業における省エネ商材の販売による収益が減少したものの、主に感染症対策関連事業における主力商品であるMA-T System関連商品(「すごい水」シリーズ)の販売による売上が前年同期と比して増加したこと、また、蓄電池事業において、蓄電池の販売代理店の開拓や販売活動を積極的に推進したことから、当社オリジナルブランドの家庭用ハイブリッド蓄電システム「remixbattery」や工場や商業施設等の法人向け小型産業用ハイブリッド蓄電池の蓄電池販売台数が順調に伸長したことから、増収増益となりました。
レジリエンス事業においては、シールエンジニアリングにおいても、新たに再エネアグリゲーション事業を目的とした蓄電池事業を開始しております。今後、シールエンジニアリングでは、蓄電池事業の更なる収益拡大を目指し、蓄電池システムの設計・施工・運営・保守をワンストップで提供してまいります。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,370百万円(前期比12.4%増)、セグメント利益(営業利益)290百万円(前期比120.4%増)となりました。
(メディカル事業)
メディカル事業は、2023年12月1日付で株式交換により完全子会社化したゼロメディカルにおいて、医療機関に特化したウェブマーケティングツールの販売を主軸とするウェブクリエーション事業、医療機関に特化した経営改善コンサルティングや再生医療に関するマーケティング並びにメディア発信等を通して経営支援を行う医療コンサルティング事業及び放課後等デイサービスや就労継続支援B型事業所並びに訪問介護事業所等を運営する福祉関連事業を営んでおります。
メディカル事業につきましては、2024年3月期第4四半期より、当社の連結業績に含まれております。2025年3月期第4四半期につきましては、主にウェブクリエーション事業における収益が前年同期比で減少したことから減収減益となっております。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,144百万円(前期比311.5%増)、セグメント利益(営業利益)43百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)7百万円)となりました。
(金融投資事業)
金融投資事業は、2024年11月14日付開示の「新たな事業(金融投資事業)の開始に関するお知らせ」に記載のとおり、グループ全体の収益性の向上に資するべく、新たに当社における暗号資産投資、株式投資及び融資等に係る投融資事業を収益の柱とした事業を推進しております。これにより2024年11月14日から同事業が管掌する暗号資産にかかる損益及び暗号資産関連投資にかかる損益は売上に計上されておりますが、事業開始前(2024年9月26日から2024年11月13日まで)の間における暗号資産評価益675百万円は営業外収益として計上しております。
暗号資産投資事業を取り巻く事業環境としましては、2025年1月20日にトランプ氏が米国大統領に就任後も、暗号資産価格は順調に推移していましたが、トランプ大統領が同年2月10日に、米国が輸入する全ての鉄鋼・アルミニウムに対し、25%の関税をかける命令をし、同月26日には、欧州連合(EU)からの全輸入品に対して25%の関税を検討していると言及したことで、今後の世界経済における不確実性の発現や、米国連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ実施時期の先送り懸念等により、暗号資産を含めたリスク資産全般への警戒感が高まりました。また、同年2月には、暗号資産取引所Bybitにおける約14億ドル相当の巨額暗号資産の不正流出も発生いたしました。これらの複合的な事由により、ビットコイン価格が一時期8万ドルを割るなど大きな下落相場も見られました。このような状況下、当社は、2025年3月31日時点の保有暗号資産の時価に基づき、2,049百万円の暗号資産評価損(売上高の減少)を計上いたしました。
なお同事業は現在、暗号資産関連投資としてgumi Cryptos Capital1号ファンド、gumi Cryptos Capital2号ファンド及びBLOCKTOWER CAPITAL LLCに投資しております。gumi Cryptos Capitalファンドに組み入れられている非上場株式はいずれも取得価額に基づいて評価されております。これら非上場株式が実現した段階で時価評価され、同ファンドの簿価に反映されます。
以上の結果、当セグメントの売上高は△2,049百万円、セグメント損失(営業損失)2,098百万円となりました。
(その他事業)
その他事業は、前連結会計年度においては、事業を廃止した自動車事業及び金融関連事業の損益が含まれておりましたが、当連結会計年度においては、これらの損益は含まれておりません。
以上の結果、当セグメントのセグメント損失(営業損失)3百万円(前連結会計年度はセグメント利益(営業利益)24百万円)となりました。
仕入および販売の実績は以下のとおりであります。
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 財政状態
<連結貸借対照表の要約>
(単位:百万円)
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、18,657百万円となり、前連結会計年度末(17,714百万円)に比べ、942百万円増加となりました。その主な要因は、自己保有暗号資産8,605百万円、営業投資有価証券415百万円、売掛金212百万円の増加、現金及び預金8,470百万円の減少があったこと等によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,886百万円となり、前連結会計年度末(1,999百万円)に比べ、113百万円減少となりました。その主な要因は機械及び装置229百万円の増加、敷金及び保証金339百万円、ソフトウェア仮勘定19百万円の減少があったこと等によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,519百万円となり、前連結会計年度末(1,322百万円)に比べ、1,197百万円増加となりました。その主な要因は、買掛金667百万円、未払金180百万円、預り金126百万円、短期借入金100百万円の増加、一年内返済予定の長期借入金85百万の減少があったこと等によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、111百万円となり、前連結会計年度末(422百万円)に比べ、310百万円減少となりました。その要因は、長期借入金310百万円の減少があったことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、17,911百万円となり、前連結会計年度末(17,969百万円)に比べ、57百万円減少となりました。その主な要因は、新株予約権の行使に伴う新株発行により資本金269百万円、資本剰余金269百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純損失593百万円の計上があったこと等によるものです。
(財務比率)
当連結会計年度末における流動比率は、前連結会計年度末に比べ599.3ポイント下落し、740.4%となりました。
また、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.9ポイント下落し、87.2%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
<連結キャッシュ・フロー計算書の要約>
(単位:百万円)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は5,103百万円となり、前連結会計年度末(13,577百万円)に比べ、8,473百万円減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は7,967百万円(前期は2,447百万円の収入)となりました。これは主に自己保有暗号資産の増加8,605百万円、仕入債務の増加667百万円、その他流動資産の増加413百万円、敷金及び保証金の減少346百万円等の要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は742百万円(前期は120百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出350百万円、敷金及び保証金の差入による支出349百万円、敷金及び保証金の回収による収入324百万円、有形固定資産の取得による支出305百万円等の要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は236百万円(前期は164百万円の支出)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入531百万円、長期借入金の返済による支出395百万円、短期借入金の増加100百万円等の要因があったことによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析につきましては、上記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積り及び仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産の金額及び開示期間の費用の金額に影響を与えます。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
該当事項はありません。