第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

I.グループ基本戦略

 当社グループは、2018年9月に2025年ビジョン及び中期経営計画を策定し、同計画における2025年の営業利益目標を4年前倒しで達成したこと、また、今後の社会のあり方が大きく変化することを踏まえまして、2022年11月に、2030年に向けたビジョン及び中期経営計画を策定いたしました。

 当社グループでは、更なる成長に向け、2030年のビジョンとして、「社会価値創造企業~自らが社会を創造する担い手になる~」を定め、「革新」「変革」「挑戦」をキーワードにした基本戦略に基づき、国内・海外において事業を展開し、“社会価値創造企業”の実現に向け、国・地域とのより高い信頼関係を築き、国・地域の活力や魅力を高める事業を推進してまいります。

 また、当社グループは、中期経営計画の基本方針に基づき、下記の施策を実施いたします。

(1)事業創造・拡大

・事業の総合化・事業経営の推進、DXの推進により新たな社会価値を創造し、国内外における市場を拡大してまいります。

・重点化事業により、ナンバーワン・オンリーワンの技術やサービスを確立してまいります。

・国内と海外で競争力を強化し、各市場で自律的に成長し、各市場間の連携を図りながら、ワンストップで事業を推進してまいります。

(2)人材確保・育成

・多様な人材の確保と、プロフェッショナル人材の育成を推進してまいります。

・グループ内外のリソースの効果的な活用により、国内外シームレスな協働体を構築いたします。

(3)基盤整備

・DXの推進により、グループ共通基盤を整備、推進し、業務プロセスの変革を行い、生産性改革、働き方改革につなげます。

・国内においては、エリアマネジメントの全国展開にあわせて、マネジメント機能をもたせた拠点整備を推進します。また、海外においては、現地法人や、設計業務を行う現地デザインセンターなどの海外拠点の整備を推進してまいります。

・ポストコロナ時代のニューノーマル社会を見据え、多様な働き方に対応可能な柔軟な制度と環境整備を推進してまいります。

Ⅱ.目標とする経営指標

 ビジョンの実現に向け、2030年中期経営計画における目標として、売上高、営業利益、組織・人材、基盤整備を指標として定めました。この2030年の目標達成に向け、「事業創造・拡大」「人材確保・育成」「基盤整備」という3つの[基本方針]を定め、推進してまいります。また、基本方針に基づき、「技術・サービスの高度化・総合化」「企業規模の拡大」「企業ブランドの醸成」の推進により、2030年の目標を達成してまいります。

 

項 目

2030年の経営目標

業績

売上高

1,100億円以上

営業利益

70億円以上

組織・人材

社員数

5,000人以上

(主要6社3,500人以上、その他連結子会社1,500人以上

(うち海外現地法人1,300人以上))

有資格者

技術士

1,300人以上

博士

100人以上

基盤整備

DXの推進等による企業変革に向けたグループ経営基盤の強化

国内外の拠点整備

多様な働き方に対応できる柔軟な制度と環境整備

 

Ⅲ.経営環境

 現在、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。生産性改革、働き方改革とともに、ポストコロナ社会を見据えた今後の新たな働き方や暮らし方の実現に向けて、先進技術の導入によるDXの推進が必要となっています。

 また、地球温暖化の影響を踏まえ、カーボンニュートラルを含め、SDGsの目標達成に向け、持続可能な社会づくりがより一層求められています。

 そのような環境の中、私たちが推進する事業においては、個別の事業を推進するという部分最適ではなく、全体最適を目指すことが必要となっています。さらに、限られた予算と人材の中で、官と民の持てるリソースを、最大限に有効活用するPFI・PPP等の事業形態がより求められています。これらの変化に柔軟に対応し、“社会価値創造企業”として成長するためには、「革新」「変革」「挑戦」をキーワードにした基本戦略に基づき、事業をマネジメントする必要があると考えます。

 私たちは、これらの基本戦略に基づき、国内・海外において事業を展開し、“社会価値創造企業”の実現に向け、国・地域とのより高い信頼関係を築き、国・地域の活力や魅力を高める事業を推進してまいります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 成果品に対する瑕疵責任

当社グループでは、技術・品質に関する品質管理部署を設置し、品質管理を徹底しているほか、特に高度な技術を要する業務におきましては、熟練技術者による照査を実施しております。また、不測の事態に備え、損害賠償保険に加入しておりますが、当社の成果品に瑕疵があり、瑕疵責任に基づき、多額の損害賠償請求を受けた場合や長期の指名停止を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 重大な人身・設備事故等

当社グループでは、建設工事現場における人身・設備事故を未然に防ぐため、社員教育をはじめ、現場での安全の確保に対する取り組みを徹底しております。また、不測の事態に備え損害賠償保険に加入しておりますが、万が一、重大な人身・設備事故を発生させた場合、顧客の信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生や受注機会の減少等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 営業キャッシュ・フローの変動

業務代金の入金時期や外注費等の支払い時期は契約業務毎に異なるため、売上高や受注残高が同程度であっても毎期末の受取手形、売掛金及び契約資産、契約負債及び未成業務支出金の残高は大きく変動します。そのため、これらの入出金の時期によっては、営業利益が同程度であっても営業キャッシュ・フローが大きく変動する可能性があります。

④ 法的規制

当社グループは、事業活動を営む上で建設業法、建築基準法、独占禁止法、下請法等、様々な法規制の適用を受けており、これらの法規制を遵守すべく、関連規程の整備、監査体制の充実、役職員の教育等、コンプライアンスを重視した経営を行っております。しかしながら、もしこれらの規制を遵守できなかった場合、営業活動範囲の制約により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 業務提携・企業買収等のリスク

当社グループは、今後とも他社との業務提携及び企業買収等を行う可能性があります。何らかの理由により提携・買収が想定した効果を生まない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑥ コミットメントライン契約における財務制限条項

当社が主要取引銀行との間で2020年10月20日付で締結したコミットメントライン契約(融資枠60億円)において、一定の財務制限条項が付されております。財務制限条項は、1)各決算期末日の連結財務諸表の純資産の金額を2019年9月期の純資産の金額又は直前の決算期末日の純資産の金額のうち、いずれか高いほうの金額の75%以上に維持すること、2)各決算期の連結財務諸表の営業損益及び経常損益を2期連続して損失としないこととなっております。

⑦ 取引先の与信と売掛債権の貸倒

当社グループは、与信リスクへの対応を向上すべく与信管理の改善に努めておりますが、何らかの理由により取引先が支払い不能・倒産等に陥り、多額の回収不能・遅延が発生した場合には、当社グループの資金繰りに影響を与える可能性があります。

⑧ 情報漏えい

当社グループは、取引先との機密情報の取扱い及び個人情報の取扱いに関しては、社内規定類の整備を行うなど実務上の運用ルールの設定を行っております。しかしながら、万が一取引先等との間にセキュリティに関する問題が発生し、当社グループの社会的信用に甚大な影響をもたらした場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産については、営業取引を源泉とした課税所得による回収を見込んでおります。しかし、経営成績が想定している計画を下回り、回収可能性に疑義が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑩ 固定資産の減損損失

当社グループでは、保有資産について減損の兆候が発生した場合には、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑪ 有利子負債への依存

当社グループは、今後企業買収を行っていくうえで、その原資を金融機関からの借入金等により調達する可能性があります。その場合、今後の金利動向や金融情勢の変化によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑫ 為替の変動

当社グループは、海外マーケットへの積極的な進出に伴い、外貨建取引が経常的に発生しております。今後、為替相場の変動によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 従業員の新型コロナウイルス感染リスクと事業継続リスクについて

従業員が新型コロナウイルスに感染し、従業員同士の接触等により、社内での感染が拡大した場合には、事業活動に支障をきたし、一定期間事業活動を停止する可能性があります。

なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業等への影響を軽微に留めるため、テレワークや時差出勤の導入による接触機会の低減等の対策を取りつつ事業を遂行しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、資源価格の高騰及び円安の進行により、国内の経済は厳しい状況となっております。また、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や、ロシア・ウクライナ情勢による経済不安等、依然として不透明な状況が継続しております。

このような状況の中で、当社グループでは、重点的に取り組む事業を、国内市場5つ(インフラ整備・保全(道路系)、インフラ整備・保全(水系)、防災、交通(高度化・総合化)、地方創生)、海外市場5つ(民間事業、スマートシティ開発事業、O&M事業、DX事業、事業投資)に定め、各市場で推進しております。

市場別の受注状況は、国内市場におきましては、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」による公共工事の執行により、ひき続き、防災・減災関連のハード・ソフト対策業務、道路・河川・港湾等の維持管理業務等の受注環境は堅調であり、当連結会計年度における受注高は482億6百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。

海外市場におきましては、開発途上国でのインフラ整備の需要は依然旺盛で良好な受注環境にあり、インドの大型鉄道案件を受注するなど、当連結会計年度における受注高は280億93百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度の受注高は762億99百万円(前連結会計年度比2.7%増)となりました。

売上高及び営業損益につきましては、国内市場、海外市場とも堅調に推移しており、売上高は773億38百万円、営業利益は37億12百万円、経常利益は43億36百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は27億19百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、比較対象となる前連結会計年度と収益認識基準が異なることから、受注高以外の業績につきましては、前年同期比を記載しておりません。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(インフラ・マネジメントサービス事業)

インフラ・マネジメントサービス事業の売上高は、657億14百万円となりました。営業利益は、33億88百万円となっております。

(環境マネジメント事業)

環境マネジメント事業の売上高は、102億97百万円となりました。営業利益は、2億72百万円となっております。

(その他事業)

その他事業の売上高は、22億76百万円となりました。営業利益は、58百万円となっております。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ32億77百万円減少し、64億94百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、使用した資金は70億31百万円(前連結会計年度は18億49百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権及び契約資産の増加92億83百万円の支出によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は32億92百万円(前連結会計年度比20億16百万円の支出増)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出15億89百万円及び投資有価証券の取得による支出5億14百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は63億20百万円(前連結会計年度比57億4百万円の収入増)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増額63億50百万円であります。

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2021年10月1日

至 2022年9月30日

 

前年同期比(%)

 

インフラ・マネジメントサービス事業(千円)

65,604,827

26.3

環境マネジメント事業(千円)

10,016,356

5.1

合計(千円)

75,621,183

23.0

(注)1 上記の各セグメントの金額には、セグメント間の内部振替高を含んでおりません。

   2 その他事業は、生産高がないため記載しておりません。

 

(2)受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2021年10月1日

至 2022年9月30日

 

前年同期比(%)

 

インフラ・マネジメントサービス事業(千円)

64,350,450

4.8

環境マネジメント事業(千円)

10,095,885

△10.8

その他事業(千円)

1,853,576

18.6

合計(千円)

76,299,912

2.7

(注) 上記の各セグメントの金額には、セグメント間の内部振替高を含んでおりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2021年10月1日

至 2022年9月30日

 

 前年同期比(%)

 

インフラ・マネジメントサービス事業(千円)

65,709,458

環境マネジメント事業(千円)

9,989,341

その他事業(千円)

1,640,162

合計(千円)

77,338,963

(注)1 上記の各セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。

2 収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、比較対象となる前連結会計年度と収益認識基準が異なることから、前年同期比を記載しておりません。

   3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2020年10月1日

至 2021年9月30日

当連結会計年度

自 2021年10月1日

至 2022年9月30日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

10,525,359

15.4

12,101,769

15.6

(独)国際協力機構

5,344,330

7.8

9,004,035

11.6

(注) 収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 財政状態及び経営成績の分析・検討の内容は以下のとおりであります。

 なお、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

(資産の部)

総資産は、前連結会計年度末に比べ51億73百万円増加し、551億91百万円となりました。これは収益認識会計基準等の適用による受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものであります。

(負債の部)

負債は、前連結会計年度末に比べ4億64百万円増加し、364億32百万円となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。

(純資産の部)

純資産は、前連結会計年度末に比べ47億9百万円増加し、187億58百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注高は762億99百万円(前連結会計年度比2.7%増)、売上高は773億38百万円、営業利益は37億12百万円、経常利益は43億36百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は27億19百万円となりました。

 これらの要因については、「業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

詳細につきましては「業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。

(5)資金の財源及び流動性について

当社グループの資金需要は、知的サービスの提供という事業特性から、生産活動に必要な人件費及び外注費、受注獲得のための販売費及び一般管理費が主な内容であります。これらの資金は、基本的に営業キャッシュ・フローにより賄いますが、コミットメントラインを締結しており、季節的に資金不足が生じる場合は、金融機関から借入れることとしております。また、グループ内の資金効率を高めるため、資金は当社に集中し管理する体制を敷いており、グループ金融を活用しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  当社グループは、国内及び海外での事業展開において中心となる技術の研究開発を進めております。当連結会計年度の一般管理費に計上した研究開発費の総額は664百万円となっており、セグメント別の内訳は、インフラ・マネジメントサービス事業664百万円となっております。

 主要なものの内容は以下のとおりです。

(インフラ・マネジメントサービス事業)

<国内事業>

① インフラ整備・保全(道路系)に関する研究開発

② インフラ整備・保全(水系)に関する研究開発

③ 防災に関する研究開発

④ 交通(高度化・総合化)に関する研究開発

⑤ 地方創生に関する研究開発

<海外事業>

① 民間事業に関する研究開発

② スマートシティ開発事業に関する研究開発

③ O&M事業に関する研究開発

④ DX事業に関する研究開発

⑤ 事業投資に関する研究開発