当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加や、雇用・実質賃金の改善が進むなど、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰、中国経済の先行き懸念、中東情勢の緊迫化やロシアのウクライナ侵攻の長期化等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境は、2024年4月~2024年9月におけるパソコン出荷台数が前年比113.2%で推移しました(2024年10月、JEITA調べ)。また、2024年4月~2024年9月の訪日外客数は18,321,741人(前期比45.6%増)となり、出国日本人数は6,459,256人(前期比28.3%増)となりました(2024年10月、日本政府観光局調べをもとに当社作成)。
このような環境下において、当社は「製品を通じて喜びと感動を世界中の人々に広げる」をミッションに、既存の製品における収益拡大と、お客様のニーズに合った製品の企画・開発による新しいビジネスの創造に取り組んでおります。
製品別の状況につきましては、当社グループの主力製品であるAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」の海外市場における販売が拡大いたしました。特に、米国における非ネイティブに向けた多言語対応需要の増加により、教育機関や医療機関、公共機関、その他企業への導入が拡大しております。特に教育機関における需要が高く、米国基準のプライバシー保護法に準拠したことなどが奏功し、さらなる導入の加速に繋がっております。この結果、当社孫会社であるPOCKETALK Inc.(米国)では、上半期(2024年1月~6月)において営業利益黒字化を達成し、さらに2024年9月度の営業利益率は過去最高の17.8%を達成いたしました。また、2024年10月には、5年ぶりの次世代機となる「ポケトーク S2」を発売いたしました。大規模なマーケティングや店頭の露出拡大などにより、一層の収益拡大を期待しております。
また、「ポケトーク」ブランドのAI同時通訳「ポケトーク ライブ通訳」につきましては、法人のお客様を中心に導入が拡大しております。「双方向でのコミュニケーションを実現したい」というニーズを受け、自動で言語を判別し、双方向でのコミュニケーションを可能とする新機能をリリースするなど、多言語でもシームレスに意思疎通が出来る世界を実現するべく、機能開発にも継続して取り組んでおります。また、国内の教育現場における「言葉の壁」に着目し、大人数のイベントなどで同時通訳を届ける「ポケトーク カンファレンス」と「ポケトーク ライブ通訳」を組み合わせた、教育機関向けの新製品「ポケトーク for スクール」を発売し、2024年6月には、神戸市教育委員会での導入を発表いたしました。本製品は、利益率の高いソフトウェア製品かつサブスクリプション型製品であるため、安定した収益基盤の形成に資するものであり、今後の成長の柱として注力してまいります。
「ポケトーク」の売上高につきましては、海外向け販売が急速に伸長している一方で、ポケトークの次世代機発売により、将来の期間に返品を見込む旧製品に係る返金負債を計上したことにより、前期比で0.5%の増加に留まりました。
その他のIoT製品につきましては、文字起こしAI「AutoMemo(オートメモ)」が、2020年12月の発売以来、アカウント登録数を大幅に伸ばし、累計アカウント数(有料、無料の利用者合計)は2024年9月末時点で160,000を突破いたしました。また、β版として公開していた、文字起こしデータのAIによる自動要約機能に加え、2024年5月には、会議で発言されたToDo事項を抽出する機能の搭載を発表いたしました。これらの迅速かつ簡単に議事録が作成できる機能の拡充により、サブスクリプション型テキスト化サービスの会員数も順調に増加しております。
360度webカメラシリーズ「Meeting OWL(ミーティングオウル)」、「KAIGIO CAM360(カイギオ カム360)」の販売につきましては、リモート会議等で活用される法人のお客様からの需要を獲得し、堅調に推移しております。
ハードウェア製品の新製品につきましては、2024年6月に、スマホ用ゲームコントローラー「Backbone One(バックボーン ワン)」の国内唯一の代理店となり、全国の家電量販店やオンラインショップなどで販売を開始いたしました。販売開始当初より、店頭での販売が好調であり、今後のさらなる販売拡大に取り組んでおります。
また、2024年9月には、当社がこれまで培ってきた音声認識技術と最新のGPT技術を組み合わせた対話型ゴルフAIデバイス「BirdieTalk(バーディ・トーク)」を発売いたしました。2024年6月から開始した応援購入サービスサイト「Makuake(マクアケ)」での先行販売では、目標金額を大きく上回る1400万円以上の応援購入を獲得しており、今後の新たな収益の柱となるべく、機能開発や認知の拡大を進めております。
ソフトウェアでは、当社の主力製品である年賀状ソフト3ブランド「筆まめ」「筆王」「宛名職人」が、郵便料金の値上げなどに起因する市場縮小の影響により、売上高は前期比で減少したものの、引き続き安定して収益を確保しております。また、セキュリティソフトにつきましては、法人向け販売が好調に推移し、前期比で売上高が増加いたしました。一方で、主力製品以外のソフトウェアの低調等が影響し、ソフトウェア全体の売上高は前期比で減少いたしました。
これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は51億84百万円(前期比0.8%減)となり、旧製品のIoT製品について製品評価損を計上したことなどにより、売上総利益は26億23百万円(前期比3.8%減)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、今後の「ポケトーク」事業拡大のための人件費や業務委託費の増加がありました。結果、販売費及び一般管理費は42億33百万円(前期比1.9%増)となりました。
この結果、当中間連結会計期間の営業損失は16億9百万円(前期営業損失14億24百万円)となりました。
円高の進行に伴う為替差損を1億44百万円計上した影響により、営業外費用は2億27百万円(前期比147.9%増)となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間の経常損失は18億25百万円(前期経常損失13億20百万円)となりました。また、法人税等調整額2億1百万円を計上し、非支配株主に帰属する中間純損失2億31百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する中間純損失は16億81百万円(前期親会社株主に帰属する中間純損失11億50百万円)となりました。
当社グループはIoT製品、ソフトウェアの企画・開発・販売及びその他のサービス事業の単一セグメントでありますが、各販売チャネルの営業概況は以下の通りです。
ア)オンラインショップ
当チャネルでは、当社直販サイト及びAmazon等の国内ウェブサイトにおけるオンラインショップにおいて、「ポケトーク」や「オートメモ」をはじめとするIoT製品、年賀状ソフトやセキュリティソフトなどのソフトウェア製品等を販売しております。
当中間連結会計期間は、取り扱い製品数の拡充などにより、ハードウェア製品の売上高が前期よりも増加しました。また、ソフトウェア製品においても、年賀状ソフトの自動継続版やセキュリティソフトなどの販売が好調に推移したことにより、売上高が前期比で増加しました。
この結果、当チャネルの売上高は24億96百万円(前期比3.7%増)となりました。
イ)法人営業
当チャネルでは、法人向けに、「ポケトーク」を始めとするIoT製品ならびにweb会議関連のハードウェアの販売・レンタル提供や、セキュリティ製品・PDF編集ソフト等のパソコンソフトの販売をしております。「スマート留守電」を中心とするスマートフォンアプリケーションのサブスクリプション型サービス提供にも注力しております。
当中間連結会計期間は、当社主力製品であるセキュリティソフトにおいて、法人や自治体からの大型案件受注により売上高が増加いたしました。一方で、携帯キャリアによるアプリ使い放題サービスが低調なことなどにより、売上高は前期比で減少しました。
この結果、当チャネルの売上高は10億51百万円(前期比29.0%減)となりました。
ウ)家電量販店
当チャネルでは、主に全国の家電量販店において、個人ユーザー向けのIoT製品及びパソコンソフト等を販売しております。
当中間連結会計期間は、スマホ用ゲームコントローラー「Backbone One(バックボーン ワン)」などのハードウェア製品の販売が好調に推移し、売上高が前期比で増加いたしました。一方で、ポケトークについては、次世代機発売に伴い、将来の期間に返品を見込む旧製品に係る返金負債を計上したことなどにより、売上高が前期比で減少しました。2024年10月の次世代機「ポケトーク S2」発売以降に、大規模なマーケティングや店頭での露出拡大などにより、販売拡大を図ってまいります。
この結果、当チャネルの売上高は2億94百万円(前期比64.0%減)となりました。
エ)その他
海外では米国や欧州のAmazon及び法人直接販売取引を中心に「ポケトーク」を販売しております。
当中間連結会計期間において、海外での「ポケトーク」販売は、米国での教育機関や医療機関、公共機関、その他企業向けの販売が急速に拡大したことにより、売上高は前期比で増加いたしました。加えて、サブスクリプション型のソフトウェア製品である分析・管理ツール「ポケトーク アナリティクス(米国名:Ventana)」の販売も進んでおり、今後の継続的な収益も見込んでおります。
この結果、「その他」の売上高は13億41百万円(前期比158.8%増)となりました。
(財政状態)
当中間連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末と比較し1億70百万円減少し、166億41百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の減少9億31百万円、商品及び製品の増加3億8百万円、現金及び預金の増加2億59百万円、無形固定資産の増加1億55百万円によるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較し5億44百万円増加し、89億66百万円となりました。主な要因は、買掛金の増加3億74百万円、短期借入金の純増加95百万円、賞与引当金の増加90百万円によるものです。
経営の安定性を示す自己資本比率は、当中間連結会計期間末において43.3%(前連結会計年度末48.0%)と、前連結会計年度末と比較して低下しているものの、投資フェーズにある当社連結子会社ポケトーク株式会社を中心に、継続的に資金調達を実行しており、財務の安全性は保持されております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億68百万円増加し、33億99百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ支出が5億91百万円減少し、5億26百万円の支出となりました。主な要因は、売上債権が前中間連結会計期間は5億7百万円の増加による支出であったのに対して、当中間連結会計期間は2億96百万円の減少による収入であったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ支出が1億47百万円増加し、6億98百万円の支出となりました。主な要因は、ソフトウエアの取得による支出が1億99百万円増加したことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間が2億57百万円の支出であったのに対して、当中間連結会計期間は15億28百万円の収入となりました。主な要因は、当中間連結会計期間において、非支配株主からの払込みによる収入が16億93百万円あったことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は9百万円です。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。