第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針及び経営環境

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、以下を経営方針としています。

(ⅰ)ホテル運営事業、不動産事業、インバウンド関連事業を融合することで収益を拡大し、企業価値を向上させます。

(ⅱ)顧客ニーズを先取りした商品開発と送客「旅マエ」、接客「旅ナカ」、越境消費と投資活動支援「旅アト」、これらすべてを事業領域としたインバウンドサイクルを展開します。

(ⅲ)高度なサードパーティオペレーションモデルによるホテル運営を推進します。

(ⅳ)中華圏をはじめグローバルなネットワークを生かした事業設計、資金調達を行います。

② 目標とする経営指標

当社グループは、不動産事業を安定収益とし、ホテル運営事業とインバウンド関連事業において高い成長を目指し、これら活動による企業価値の向上及び財務体質の強化を経営目標としています。

現在は、ホテル運営事業の基盤確立に向けた投資段階であり、ホテル運営事業及び不動産事業を含めたインバウンド関連事業における売上及び利益の拡大を経営指標として定めています。

③ 経営環境

当社グループが属する不動産業界においては、継続する低金利環境や円安等を背景に、海外投資家の国内不動産に対する注目度は高く、供給・需要とも継続して堅調に推移しているものの、土地価格及び建設工事費等の原価高騰による不動産価格の高額化等、引き続き注意を要する状況にあります。

また、当社が注力するホテル運営業界では、訪日観光客を中心として、観光需要の回復は鮮明となっており、レジャー目的を中心とした宿泊施設の需要回復は、今後も期待できるものと考えております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

現在、当社グループの対処すべき課題は以下のとおりであります。

① 財務基盤の強化

当社グループでは、不動産事業、ホテル関連事業の推進において、機動的かつ多額な資金が必要であります。このため、安定的な財務基盤の確保が必要であり、当社グループの成長に必要な資金調達の確保に努めてまいります。 

② ホテル運営事業の早期拡大と収益化  

当社グループでは、注力するホテル運営事業の成長と収益化のため、ホテル施設運営、ホテル運営受託、ホテル運営アドバイザリー、そしてホテル投資ファンド等、多様な収益機会の確保及び規模の拡大が必要と考えております。このため、当社グループにおける事業間の連携を高め、成長に向けた取り組みに努めてまいります。

人材の確保 

当社グループでは、ホテル運営事業において高い成長を目指しており、このためには施設運営における人材及び事業開発のための人材確保が必要であります。また、関係会社の増加により、当社グループの管理部門の強化も必要であり、これら人材の確保に努めてまいります。

 ④ 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度において3期連続で重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。また、当連結会計年度においては重要なマイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、当連結会計年度末における現金及び預金は535百万円にまで減少しております。

  こうした状況から、当連結会計年度末日時点において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるよう

な状況が存在しております。

  上記より、当社グループでは、当該状況を解消すべく、次の対応策を行ってまいります。

 

a.事業の収益構造の改善

当社グループの目指す事業モデルは、不動産事業を安定収益とし、ホテル運営事業において高い成長を目指すというものであり、「都市型アパートメントホテル開発」と「地方創生ホテル投資」の推進によるホテル運営収益の拡大を基本戦略としています。

しかしながら、新規開発ホテルの運営を行うことを目的とし、数年後に大きな将来収益が期待できるアパートメントホテルの運営権の確保に係る活動では一定の成果があったものの、既存のリゾートホテルや旅館の運営権の新たな獲得には至らず、また、短中期における安定的な収益基盤として捉えている不動産事業においても、インバウンド向け宿泊施設の開発、不動産仲介等の推進に苦戦するなど、大きく予算未達となっています。

当社グループでは、各事業の収益改善策として次の施策に取り組んでまいります。

 

(不動産事業)

不動産事業においては、短中期での収益化が期待できる宿泊施設の転売、リゾート施設開発のプロジェクトマネジメント及び戸建宿泊施設の開発・販売へ注力してまいります。また、不動産事業における人材リソースを、これら施策へシフトし、当社グループの販売費及び一般管理費を十分にカバーできる収益を目指し、収益基盤を確保してまいります。

 

(ホテル運営事業)

当社グループのホテル運営会社である株式会社イントランスホテルズアンドリゾーツを中心として、ホテルの運営権の確保、運営受託、経営コンサルティングの案件取得に注力し、取引数を増加してまいります。また、当社においても、ホテル運営に精通する人材を獲得し、ホテル運営事業の規模拡大を目指し、収益を最大化してまいります。

 

(その他事業)

インバウンド送客事業では、当社グループ会社である瀛創(上海)商務咨洵有限公司のマネジメントにより、中華圏から当社グループホテルへの送客数の拡大を推進し、当社グループのホテル収益の拡大を目指します。併せて、グループ以外のホテルへの送客も進めることにより、取扱収益の拡大を目指し、当事業の収益化を目指します。

投資事業では、当社グループ会社であるジャパンホテルインベストメント株式会社及びホスピタリティインベストメント合同会社のマネジメントにより、当社の主事業である不動産事業及びホテル運営事業に係る資金調達活動へ注力し、当社グループの事業が円滑に行われるためのサポートを行ってまいります。

 

b.費用構造の改善

役員報酬削減、外部委託業務の見直しをはじめ、労働生産性の向上を図るための様々な施策を検討・実施します。また、事業に係る原価見直しや販売費及び一般管理費の抑制を図り、費用構造の改善を推進してまいります。

 

c.資金調達

重要な後発事象に関する注記に記載のとおり、2025年5月8日の取締役会において、ディライトワークス株式会社を引受先とする社債の発行を行うことを決議し、2025年5月9日に260百万円の入金が行われています。

また、今後の更なる資金調達について、各金融機関からの借入や、株式発行による資金調達を早急に検討・実施することにより、キャッシュポジションの再構築を進めてまいります。

 

これらの対応策により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、不動産事業及びホテル運営事業を主な事業として執り行っております。これら事業の推進においては、当社及び関係会社の取締役会及びリスク管理委員会、投資委員会等の会議体を通じて事業全般や個別案件における法規制や事業上のリスクを抽出・識別し、その管理を行っております。

これら過程を通じて、当社グループの活動において、環境に与える影響、社会や従業員に与える影響、業務上の法令順守等を考慮した上で事業推進を行っております。

また、当社グループ全体の内部統制システムを整備し、法令や社内諸規程の遵守を徹底した上で、業務推進を行っており、それら事業計画の進捗状況、法令や社内諸規程の順守状況を監視することで、ガバナンスを維持しております。

 

(2) 戦略

当社グループの不動産事業においては、不動産再生、不動産売買仲介、プロパティマネジメント等を主な業務として行っておりますが、当該事業の個別の案件単位で環境へ配慮した部材や製品の調達や外部委託業者の選定を行っております。

ホテル運営事業においては、ホテル施設の賃貸借によるホテル運営、ホテル運営受託及びホテル運営アドバイザリーを行っていますが、個別の案件単位で環境に配慮した取り組みを推進しています。自然素材や植物由来の成分を生かしたアメニティ等を準備する等の取り組みをしております。

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

① 人材育成方針

当社グループは、不動産事業及びホテル運営事業を主な事業としておりますが、いずれの事業も、サービスや役務の提供が業務内容であり、これらの業務の提供こそが、収益の源泉となっております。そのため、当社グループの競争力の源泉は人材であり、国籍、宗教、年齢、性別を問わず、様々な人材を確保しています。さらに、獲得した人材に必要なスキルを身につけさせ、能力を最大化させるため、各年次、職位、職能ごとに求められる能力・専門知識の習得をさせるだけではなく、従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援できるよう教育を行っております。さらに、社内環境として、既にスキルを持っている人材でも、様々な状況変化にも対応し、さらなる高みを目指すことや、能力が低下することがないよう、継続的な育成に取り組んでおります。

 

② 社内環境整備方針

当社グループの中長期的な企業価値向上のためには、収益の拡大が前提ではありますが、その原動力となるのは人材であり、これら人材の各々の能力のみならず、個々の人材の能力の掛け合わせ及び連携により、より高い事業の価値創造ができるものと考えております。

上記より、専門性や経験、感性、価値観の異なる人材を積極的に取り込むことが必要であり、労働者不足への対応、生産性向上、事業価値の創造の観点から、国籍、宗教、年齢、性別に関係なく、様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する、活力のある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、働きやすい環境とコミュニケーションを重視した社内整備を推進しています。

 

(3) リスク管理

当社グループにおいて、不動産事業、ホテル運営事業では、不動産施設の売買、管理及び運営に関わっていることから、環境に与える影響があります。そのため、事業推進においては、関連する法規制を識別し、評価及び管理しており、さらに従業員へ法規制及び社内諸規程の遵守を徹底することでリスクを管理しています。

 

(4) 指標及び目標

当社グループにおいては、サステナビリティを専門に検討する組織体は現時点で設置しておらず、明確な指標及び目標はありません。しかしながら、当社グループでは個別の案件において、「環境に配慮した取り組み」、また、国籍、宗教、年齢、性別を問わず、人材確保を行う「人材の多様性」を進めております。

その他、当社グループの事業成長を通じて「働きがいのある職場と事業成長」を目指しており、当面はこれら3つの事項を中心にサステナビリティに関する活動を進めてまいります。

また、当社グループでは、上記(2)戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針における指標及び目標については、今後、様々な会議体を通じて検討していく予定です。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項において、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関わるリスク

① 景気動向・経済情勢等の影響について

当社の属する不動産業界、ホテル・観光業界におきましては、景気動向・経済情勢、金利動向、税制等の影響を受けやすい特性があります。そのため、景気動向・経済情勢等の大幅な悪化や大幅な金利の上昇、税制等の変動等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合について

ホテル運営事業におけるホテル施設の定期建物賃貸借契約の賃料や、不動産再生事業における不動産の購入価格が高騰するとともに、競合企業との価格競争が厳しくなることが考えられます。競合企業との価格競争により、当社グループが定期建物賃貸借又は投資の対象とする物件を賃貸借契約又は取得できなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 定期建物賃貸借契約について

当社グループは、ホテル運営事業において、ホテル施設の定期建物賃貸借契約を締結し、自社でホテル施設を運営しています。定期建物賃貸借契約では、長期契約が一般的であり、ホテル施設の運営が予定どおりに進まない場合においても、契約期間の満了まで解約ができないことが考えられ、これにより賃料が継続的に発生することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 不動産事業について

(ⅰ)不動産事業の特性

不動産事業では、当社グループにおいて販売を目的として不動産を保有する事業を行っています。そのため、低金利は継続しておりますが、将来金利が上昇する等の金融情勢、あるいは不動産市況の上昇による投資利回りの低下並びに金融収縮等により不動産取得に対しての金融機関の融資姿勢が厳格化される等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(ⅱ)有利子負債への依存度について

当社グループは、物件取得時に仕入価格相当額を主に金融機関からの借入れにより調達しているため、総資産に対する有利子負債への依存度が比較的高くなる可能性があります。

今後は、株主資本の充実、取引金融機関数の増加及び資金調達手法の多様化による有利な条件での資金調達等に注力してまいりますが、金融情勢の変化等により金利水準が上昇した場合には、資金調達コストが増加し当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、資金調達については、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに複数の金融機関と交渉しプロジェクトを進めておりますが、金融環境の変化等により資金調達が不十分な場合には、案件の取り進めが実施できなくなる等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(ⅲ)在庫リスクについて

当社グループは、物件情報の入手、不動産の仕入段階から市況等のマーケット分析や販売候補先等を勘案した上で営業戦略を立て、物件を取得しております。取得後は、計画に則って主に1年以内の売却を目処に活動を行っておりますが、突発的な市況の変動等、何らかの理由により計画どおりに売却が進まずに在庫として滞留した場合、並びに在庫評価の見直しに伴い棚卸資産評価損を計上する場合がある等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(ⅳ)資金繰りリスクについて

当社グループは、販売用不動産が計画から大きく下回る価格にて売却せざるをえない場合、又は売却そのものが難しい場合には、資金繰りが著しく悪化し、借入金の返済に支障をきたす可能性があります。

(ⅴ)外注・業務委託について

当社グループは、不動産の再生を行っており、設計、建築工事等を設計会社、建築会社等に外注・業務委託しております。また、物件個々に最適な再生を行うことを特徴としているため、再生手法も物件個々により異なり、設計、建築工事等を標準化してコストダウンを図ることは現状では難しい状況にあります。そのため、物件個々の再生に適した設計及び建築工事を行うために、その都度、設計能力・設計実績、建築能力・建築実績、コスト及び財務内容等を総合的に勘案した上で、最適な外注・業務委託先を選定しております。

しかしながら、外注・業務委託先が経営不振に陥った場合や設計、建築工事に問題が発生した場合には、不動産の再生に支障をきたすことや再生物件の売却後の品質保証が受けられなくなる等の可能性があり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(ⅵ)物件の売却時期による業績の変動について

当社グループは、保有物件のバリューアッププラン策定もしくはバリューアップ完了後に投資家に対して売却を行いますが、当該事業の売上高及び売上原価は物件の売却時に計上されます。また、一取引当たりの金額が非常に高額となっていること及び年間の売却物件数が少ないこと等から、売却時期による業績の変動は大きいものとなっております。従いまして、物件の売却時期により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制及び訴訟等に関するリスクについて

① 不動産事業に関わる法的規制について

当社は、不動産流通業者として、「宅地建物取引業法」に基づく免許を受け、不動産の流通、賃貸業務等を行っており、当該免許は当社の主要な事業活動に必須であります。当連結会計年度末現在、当社グループには、当該免許の取消事由・更新欠格事由に該当する事実は存在しておりません。しかしながら、今後、何らかの理由により、当該免許が取消される又は更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ保有物件において増改築、大規模修繕、大規模な模様替え等の工事を伴うバリューアップを実施する際には、当社グループは建築主として「建築基準法」等の規制を受けます。そのため、これらの関係法規の改廃や新たな法的規制の新設等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は「金融商品取引法」に基づく金融商品取引業者として、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業に登録しており、関連する各種法令により規制を受けております。

(宅地建物取引業者免許の概要)

免許証番号:東京都知事(1)第105555号

有効期間:2020年11月21日から2025年11月20日まで

(金融商品取引業者登録の概要)

登録番号:関東財務局長(金商) 第1732号

第二種金融商品取引業 登録年月日:2008年2月7日

投資助言・代理業 登録(追加):2020年12月22日

② 訴訟の可能性について

当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが管理する物件における管理状況に対する顧客からのクレーム、入退去時のテナント等とのトラブル等を起因とする、又はこれらから派生する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 不動産の欠陥・瑕疵について

当社グループは、基準に合った物件に対し自己勘定による投資を行っております。販売用不動産の取得に際しては、当社にてデューデリジェンスを行うほか、原則として第三者機関からエンジニアリングレポート(専門家が建物を診断し、その物理的な状況を評価した報告書)を取得した上で、不動産の欠陥・瑕疵等(権利、地盤地質、構造、環境等)のリスク回避に努めております。

しかしながら、万一、当社グループ取扱物件において何らかの事情によって欠陥・瑕疵が判明した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 個人情報保護について

当社グループは、事業活動を行う上で顧客の個人情報を取り扱うことがあります。個人情報の管理については、当社グループが策定した個人情報保護マニュアルに則り、施錠管理及びパスワード入力によるアクセス制限等の管理を行い、厳重に管理をしております。また、役職員に対しましては、個人情報保護の重要性並びに当該マニュアルの運用について継続的に周知徹底を図っております。しかしながら、万一、当社グループの保有する個人情報が外部に漏洩した場合あるいは不正使用された場合には、当社グループの信用の失墜、又は損害賠償等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業運営体制に関するリスク

 ① 小規模組織であることについて

当社グループは、当事業年度末現在、取締役4名、監査役3名、連結従業員47名と組織が小さく、内部管理体制も当該組織規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に応じて、内部管理組織の一層の強化・充実を図っていく方針であります。しかし、事業拡大に人的・組織的対応が伴わず管理体制の強化・充実が予定どおりに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ② 内部管理体制の強化について

当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、更に健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底して参りますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 ③ 役員・社員の内部統制について

当社グループは、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、及びリスク管理を経営上の重要な課題のひとつと位置付けており、内部統制システムに関する基本方針を定め、同システムの継続的な充実・強化を図っております。また、業務運営においても役職員の不正や不法行為の未然防止に万全を期しております。

しかしながら、今後、万一役職員の不正や不法行為が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態及び社会的信用に影響が生じる可能性があります。

 

(4)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度において3期連続で重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。また、当連結会計年度においては重要なマイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、当連結会計年度末における現金及び預金は535百万円にまで減少しております。 

こうした状況から、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 

当社グループでは、当該状況を解消すべく、次の対応策を行ってまいります。

 

①事業の収益構造の改善

当社グループの目指す事業モデルは、不動産事業を安定収益とし、ホテル運営事業において高い成長を目指すというものであり、「都市型アパートメントホテル開発」と「地方創生ホテル投資」の推進によるホテル運営収益の拡大を基本戦略としています。 

しかしながら、新規開発ホテルの運営を行うことを目的とし、数年後に大きな将来収益が期待できるアパートメントホテルの運営権の確保に係る活動では一定の成果があったものの、既存のリゾートホテルや旅館の運営権の新たな獲得には至らず、また、短中期における安定的な収益基盤として捉えている不動産事業においても、インバウンド向け宿泊施設の開発、不動産仲介等の推進に苦戦するなど、大きく予算未達となっています。 

このため、当社グループでは、各事業の収益改善策として次の施策に取り組んでまいります。 

 

(不動産事業)

不動産事業においては、短中期での収益化が期待できる宿泊施設の転売、リゾート施設開発のプロジェクトマネジメント及び戸建宿泊施設の開発・販売へ注力してまいります。また、不動産事業における人材リソースを、これら施策へシフトし、当社グループの販売費及び一般管理費を十分にカバーできる収益を目指し、収益基盤を確保してまいります。

 

(ホテル運営事業)

当社グループのホテル運営会社である株式会社イントランスホテルズアンドリゾーツを中心として、ホテルの運営権の確保、運営受託、経営コンサルティングの案件取得に注力し、取引数を増加してまいります。また、当社においても、ホテル運営に精通する人材を獲得し、ホテル運営事業の規模拡大を目指し、収益を最大化してまいります。 

 

(その他事業)

インバウンド送客事業では、当社グループ会社である瀛創(上海)商務咨洵有限公司のマネジメントにより、中華圏から当社グループホテルへの送客数の拡大を推進し、当社グループのホテル収益の拡大を目指します。併せて、グループ以外のホテルへの送客も進めることにより、取扱収益の拡大を目指し、当事業の収益化を目指します。 

投資事業では、当社グループ会社であるジャパンホテルインベストメント株式会社及びホスピタリティインベストメント合同会社のマネジメントにより、当社の主事業である不動産事業及びホテル運営事業に係る資金調達活動へ注力し、当社グループの事業が円滑に行われるためのサポートを行ってまいります。

 

②費用構造の改善

役員報酬削減、外部委託業務の見直しをはじめ、労働生産性の向上を図るための様々な施策を検討・実施します。また、事業に係る原価見直しや販売費及び一般管理費の抑制を図り、費用構造の改善を推進してまいります。 

 

③資金調達

重要な後発事象に関する注記に記載のとおり、2025年5月8日の取締役会において、ディライトワークス株式会社を引受先とする社債の発行を決議し、同月9日に260百万円の入金が行われています。

また、今後の更なる資金調達について、各金融機関からの借入や、株式発行による資金調達を早急に検討・実施することにより、キャッシュポジションの再構築を進めてまいります

 

これらの対応策により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進む中、各種政策の効果も相まって、国内経済は緩やかに回復しております。一方で、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場停滞の継続に加え、物価上昇、地政学的リスク、金融情勢の動向、米国の政策動向に対する懸念等があり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 

こうした中、当社グループが属する不動産業界においては、継続する低金利環境や円安等を背景に、海外投資家の国内不動産に対する注目度は高く、供給・需要とも継続して堅調に推移しているものの、土地価格及び建設工事費等の原価高騰による不動産価格の高額化等、引き続き注意を要する状況にあります。

また、当社が注力するホテル運営業界では、訪日観光客を中心として、観光需要の回復は鮮明となっており、レジャー目的を中心とした宿泊施設の需要回復は、今後も期待できるものと考えております。

 

このような状況の下、当社グループでは、創業以来の不動産事業に加え、新たな事業領域でありますホテル運営事業の取り組みを加速させ、事業領域の拡大と企業価値の向上を目指してまいりました。

当社グループの目指す事業モデルは、不動産事業を安定収益とし、ホテル運営事業において高い成長を目指すというものであり、「都市型アパートメントホテル開発」と「地方創生ホテル投資」の推進によるホテル運営収益の拡大を基本戦略としています。

 

上記により、ホテル運営事業においては、新規開発ホテルの運営を行うことを目的とした都市型アパートメントホテルの運営権の確保、及びリゾートホテルや旅館の運営権を確保するための活動に注力してまいりました。

また、不動産事業においては、より短期間で収益の確保が期待できるインバウンド向け宿泊施設の開発・売却や、不動産売買仲介に注力してまいりました。

さらには、その他事業として、連結子会社である瀛創(上海)商務咨洵有限公司において、グループ内ホテルへの国内インバウンド送客を推進し、併せて、連結子会社であるジャパンホテルインベストメント株式会社を中心として、ホテル施設への投資のためのファンド組成・運営を目指して資金調達の活動へ注力してまいりました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は825,023千円(前連結会計年度比36.2%減)、営業損失は352,518千円(前連結会計年度は営業損失154,220千円)、経常損失は429,247千円(前連結会計年度は経常損失162,432千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は432,377千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失139,905千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(不動産事業)

不動産事業につきましては、当連結会計年度において、主にプロパティマネジメント事業、ホテル不動産・インバウンド向け宿泊施設の開発案件の発掘、不動産仲介に注力しましたが、当初の計画より不動産用地の確保に苦戦するなど、事業進捗に遅れが生じましたことで、売上高は243,764千円(前連結会計年度比67.2%減)、セグメント利益(営業利益)は41,056千円(前連結会計年度比86.3%減)となりました。

 

(ホテル運営事業)

ホテル運営事業につきましては、当連結会計年度において、ホテル運営への注力の他、新規開発ホテルの運営権確保、既存のリゾートホテルや旅館の運営権確保に注力してまいりました。新規開発ホテルの運営権確保については一定の成果がありましたが、既存のリゾートホテルや旅館の運営権確保については、十分な成果が得られなかったことで、売上高は581,151千円(前連結会計年度比30.2%増)、セグメント損失(営業損失)は60,705千円(前連結会計年度は営業損失77,223千円)となりました。

 

(その他)

その他事業につきましては、当連結会計年度において、中華圏からの国内インバウンド送客を担う連結子会社の瀛創(上海)商務咨洵有限公司における国内インバウンド送客事業を推進しましたが、現時点ではグループ内ホテルへの送客に留まるため、収益は限定的となりました。

併せてジャパンホテルインベストメント株式会社を中心としたホテル投資事業へのファンド組成等を目的とした投資家確保に向けた取り組みを進めてまいりましたが大きな進展はなく、売上高は106千円(前連結会計年度は売上なし)、セグメント損失(営業損失)は25,487千円(前連結会計年度は営業損失32,514千円)となりました。

 

なお、ハーブガーデン運営事業につきましては、前連結会計年度において、当社グループの連結範囲から除外しております。

 

b.財政状態の状況

当連結会計年度末における資産につきましては、流動資産は前連結会計年度末に比べ325,070千円減少し714,628千円となりました。これは主として、現金及び預金が354,234千円減少したこと等によるものです。 固定資産は前連結会計年度末と比べ229,923千円増加し336,823千円となりました。これは主として、長期預け金が222,887千円増加したこと等によるものです。繰延資産は、開業費が3,508千円減少し、7,893千円となりました。この結果、資産合計は前連結会計年度末と比べ98,654千円減少し、1,059,346千円となりました。

当連結会計年度末における負債につきましては、流動負債は前連結会計年度末と比べ41,716千円減少し245,530千円となりました。これは主として、株主優待引当金が15,815千円減少したこと及び1年以内返済予定長期借入金が24,000千円減少したこと等によるものです。固定負債は前連結会計年度末に比べ67,785千円増加し78,086千円となりました。これは主としてデリバティブ債務が76,830千円増加したこと等によるものです。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ26,069千円増加し、323,616千円となりました。

当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ124,724千円減少し、735,729千円となりました。これは主として、新株予約権の権利行使に伴う新株の発行により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ161,222千円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が432,377千円減少したこと等によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、535,806千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は391,619千円(前連結会計年度は281,367千円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失430,615千円の計上等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は238,399千円(前連結会計年度は34,536千円の獲得)となりました。これは主として、長期預け金の預入による支出240,000千円があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は276,309千円(前連結会計年度は121,995千円の獲得)となりました。これは主として、新株予約権の行使による株式の発行による収入310,053千円、及び長期借入金の返済による支出32,120千円があったこと等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、不動産事業、ホテル運営事業を主体としており、生産業務を定義することが困難であるため、生産実績の記載は省略しております。

 

b.受注状況

当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高 (千円)

前年同期比(%)

不動産事業

243,764

△67.2

ホテル運営事業

581,151

30.2

その他事業

106

合計

825,023

△36.2

 

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 ハーブガーデン運営事業については、前連結会計年度において、連結の範囲から除外しております。

   3  当連結会計年度において、不動産事業の販売実績に著しい変動がありました。その内容については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」をご参照ください。

   4  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

京阪電鉄不動産株式会社(注)

320,472

24.8

 

(注)   京阪電鉄不動産株式会社の当連結会計年度については、販売実績がないため、記載しておりません。

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載の通りであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動から得られる自己資金及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。販売用不動産取得における資金需要につきましては、借入金にかかる金利等の資金調達費用の最小化を図る対応をしております。また、販売費及び一般管理費等における資金需要につきましては、営業活動から得られる自己資金により賄っております。

 

5 【重要な契約等】

 当社は、当社の株主であるディライトワークス株式会社との間で、当社取締役候補者を指名する権利を有する旨の合意に関する契約を締結しました。

 契約に関する内容等は、以下のとおりであります。

 

(1) 契約の概要

契約締結日

相手先の名称

相手先の住所

合意の内容

2025年5月8日

ディライトワークス株式会社

東京都港区六本木六丁目10番1号

当社の取締役2名を指名する権利を有する契約を締結

 

 

(2) 合意の目的

当社は、2024年3月13日付で、インバウンド及び地方創生事業に対する投資に係る分野において、ディライトワークス株式会社(以下、「ディライトワークス社」といいます。)との間で、資本業務提携契約(以下、「本契約」といいます。)を締結しました。
 また、2025年5月8日付で当社が発行した第1回無担保普通社債(プロ私募債)の引受けを条件とし、ディライトワークス社より、取締役2名の指名を行う権利を有する条項を本契約に追加することを定めた覚書を締結しました。

 

(3) 取締役会における検討状況その他の当社における合意に係る意思決定に至る経緯

当社は、2025年3月期において3期連続で重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、これにより事業運営におけるキャッシュフローが悪化している状況でありました。
 上記より、今後の事業運営には、より一層の手元流動性資金の拡充が必要であると考え、本件私募債発行を検討し、その引受を条件として、ディライトワークス社へ取締役2名の指名を行う権利を有する条項を本契約に追加する検討を取締役会で行いました。

取締役2名の指名を行う権利を有する条項を本契約に追加することを定めた覚書の締結は、主要株主であるディライトワークス社との取引となりますが、本契約により、当社は資金調達及びインバウンド・地方創生事業の協業関係の更なる強化が期待できると考えております。

また、本決定は関連当事者取引であるため、少数株主保護の観点から、慎重に議論と検討を行い、当社独立役員である当社監査役の上床竜司氏の意見書を取得し、取引の必要性、相当性、条件の合理性を踏まえた上で、当該取引の妥当性を確認しております。

 

(4) 合意が当社の企業統治に及ぼす影響

ディライトワークス社の指名する取締役が株主総会で選任されることにより、当社の取締役会運営における企業統治は強化されるものと考えております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。