第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

又、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①当社グループの概要、ビジョン

 当社グループは、1976年の創業以来、電力の系統制御システムを祖業に、今日のDX・IoTに不可欠な「監視」「通信」「制御」技術を強みとして事業を拡大してまいりました。

 暮らしと社会の安心・安全と、快適で環境に配慮されたサステナブルな社会の実現に向け、日本の社会インフラや人々の生活を支え、産業やサービスを発展させるICTシステム(エネルギー:電力・ガス、交通、宇宙、次世代通信、公共、防災、決済、モビリティ、医療・ヘルスケア、産業機器等)に加え、これらICTシステムのDX・IoT化に向けたAI(人工知能)、BI(データ分析や可視化)、セキュリティ等の先進的なデジタル・テクノロジーを提供しております。

 

②当中間連結会計期間の業績サマリー

 

2024年3月期

中間連結会計期間

2025年3月期 中間連結会計期間

実績

増減額

増減率

売上高

6,835百万円

7,651百万円

+815百万円

+11.9%

売上総利益

(売上総利益率)

1,885百万円

27.6%

2,201百万円

28.8%

+315百万円

+16.7%

営業利益

(営業利益率)

709百万円

10.4%

879百万円

11.5%

+170百万円

+24.0%

経常利益

(経常利益率)

739百万円

10.8%

906百万円

11.8%

+166百万円

+22.6%

親会社株主に帰属する

中間純利益

(親会社株主に帰属する中間純利益率)

481百万円

7.0%

596百万円

7.8%

+115百万円

+23.9%

 

 売上高・売上総利益率・営業利益・営業利益率は、いずれも、中間連結会計期間としての過去最高を更新しました。売上面では、社会インフラ事業におけるエネルギー分野(電力・ガス)や公共分野、先進インダストリー事業におけるサービス分野(決済・カード)向けのDX案件などが業績をけん引し、7,651百万円(前年同期比11.9%増)となりました。

 利益面では、契約条件の見直しに加え、コンサルティングなど上流工程の対応拡大、品質強化施策、ベトナムでのオフショア開発等を継続し、売上総利益率が28.8%(前年同期比+1.2ポイント)と良化しました。また、九州支社の移転・リニューアルなど、2030年以降の持続的成長に向けた戦略投資とコストコントロールの両立に取り組んだ結果、営業利益は879百万円(前年同期比24.0%増)と大幅に増加し、営業利益率は11.5%(前年同期比+1.1ポイント)となりました。

 なお、当中間連結会計期間における受注高は7,183百万円(前年同期は6,869百万円)、当中間連結会計期間末における受注残高は2,866百万円(前年同期末は2,566百万円)となりました。

 

 

 

③当中間連結会計期間の事業別業績

 

 

2024年3月期

中間連結

会計期間

売上高

2025年3月期 中間連結会計期間

売上高

増減額

増減率

社会インフラ事業

3,955百万円

4,839百万円

+884百万円

+22.4%

先進インダストリー事業

2,880百万円

2,811百万円

△69百万円

△2.4%

合   計

6,835百万円

7,651百万円

+815百万円

+11.9%

(うち、ソリューション事業)

488百万円

622百万円

+133百万円

+27.4%

 

ⅰ)社会インフラ事業

 エネルギー分野(電力・ガス)では、電力領域で2023年4月に開設した名古屋オフィスを起点に中部地区での営業活動を強化するとともに、受注した複数のDX案件対応を継続しました。また、ガス領域でも新規にDX・クラウド化案件を受注し、プロジェクトを推進しました。

 交通・運輸分野(道路・鉄道、航空・宇宙等)では、道路・鉄道領域が拡大しました。

 公共分野(官公庁向け)では、安全保障システム関連や、防災関連が拡大しました。

 通信・ネットワーク分野では、5Gを中心とした基地局開発等に取り組みました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、4,839百万円(前年同期比22.4%増)となりました。

 

ⅱ)先進インダストリー事業

 製造分野では、スマート・モビリティ(先進EVや自動運転等)が堅調に推移したことに加え、大手メーカー向けDX案件が計画通り推移しました。

 サービス分野では、決済・カード領域において、顧客ビジネス拡大に向けたDX・デジタル化案件に加え、データマネジメント、デジタルマーケティングなどのデータ利活用支援、データ基盤構築案件などが拡大しました。

 エンタープライズ分野では、医療・ヘルスケア向け案件が堅調に推移しました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、2,811百万円(前年同期比2.4%減)となりました。

 

ⅲ)ソリューション事業

 「GIS:地理情報システム」「IoT空間情報」「セキュリティ」を中核ソリューションとした提案活動に取り組み、社会インフラ事業では、電力会社や自治体向けのGISソリューションが堅調に推移しました。

 また、先進インダストリー事業では、建設/測量コンサルティング企業向けGISソリューション、製造業・物流業向けIoTソリューションの拡大に取り組みました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、622百万円(前年同期比27.4%増)となりました。

 

④新・中期経営計画「New Canvas 2026」の策定と概要

 当社は、中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)において、成長事業「次世代エネルギー」「スマートインフラ/ライフ」、ベースロード「エンタープライズDX/モダナイゼーション」を軸とした事業戦略、企業価値・株主価値の向上につながる経営高度化戦略(投資/M&A、人的資本/エンゲージメント、グローバル、研究開発、サステナビリティ)を推進しております。

 

ⅰ)成長事業へのシフト

■「次世代エネルギー」

 AIや半導体、データセンター等における電力消費量の増大が想定される中、再生可能エネルギーを含めた効率的なエネルギーの利活用やGX(グリーン・トランスフォーメーション)に向け、顧客企業における「エネルギーマネジメントシステム」(可視化・分析・効率化)の導入コンサルティング、PoC(概念検証)に取り組みました。

 

 世界100か国以上でビジネス展開するフランスのシュナイダーエレクトリック社とも、同社が強みを有する「エネルギーマネジメント」「VPP(バーチャルパワープラント)」「マイクログリッド」領域で共創を進めております。当中間連結会計期間においては、既存オフィスビルを中心としたエネルギー効率化やサステナビリティ観点でのビル設備アセスメント提案など、受注拡大に向けた取り組みを共同で展開しました。

■「スマートインフラ/ライフ」

 今後、スマートシティのインフラとして不可欠であり、かつ当社の強みを活かせる領域として「スマートエネルギー」「スマートモビリティ」「スマートレジリエンス」の3領域に経営資源を集中し、マーケティングと事業化に取り組みました。

 当中間連結会計期間においては、スマートモビリティ領域においてGIS:地理情報システムを活用した物流配送ルートの最適化や顧客が保有する各種データの利活用に向けたコンサルティングなどを進めました。

ⅱ)ベースロードの強化

■新サービスの展開

 データ利活用やDXによるビジネス変革に貢献する新サービスとして、2024年7月からクラウド移行に特化した「CloudLeap(クラウドリープ)」及びアジャイル開発に特化した「AgileLeap(アジャイルリープ)」の提供を開始しました。また、2024年10月には、シリーズ第3弾となる「データマネジメント」に特化した「D×DLeap(ディーディーリープ)」の提供を開始しております。

■ビジネスエリアの拡大

 「名古屋オフィス」を起点とし、中部地区での事業拡大(エネルギー業、製造業)に取り組みました。なお、2024年10月には、半導体工場の誘致などにより電力需要の増大やICT投資の活性化等が見込まれる九州地区でのさらなるビジネス拡大に向け「九州支社」を移転・リニューアルしております。

■収益力の強化

 上流工程(コンサルティング)へのビジネスシフトや、AI の活用、DX/GX に対応するシステム開発体制の強化・拡大を推進しました。また、この取組みのさらなる強化に向け、2024年9月には、当社の主要ビジネスパートナーの1社である株式会社 SALTOと業務提携契約を締結し、協業体制の深化を図りました。

ⅲ)ビジネスモデルの転換

■ソリューションビジネスの拡大

 当社オリジナル・ソリューションや次世代テクノロジーを紹介する「デジタル・イノベーション・ラボ」や「GIS:地理情報システム」のさらなる普及と利活用を推進する「GISテクニカルセンター」等を活用した提案・共創活動に取り組みました。また、国内外のリーディングカンパニーとのアライアンスによるソリューションラインナップの強化・拡大を継続しました。

■コンサルティング強化

 DX・モダナイゼーションによる業務効率化・ビジネス変革を目指す顧客に向け、業務改革コンサルティング(企画・構想・グランドデザイン)の提供に取り組みました。加えて「社会インフラ特化型コンサルタント」の育成を進めました(第1期:50名)。なお、2025年1月からは、この中から対象者を選抜して実施する上級育成コースの開始を予定しており、現在その準備を進めております。

ⅳ)グローバル開発の拡大

■アジア・オフショア戦略

 ベトナムにおける「高度IT人材1,000名体制」確立を目指し、IT特区であるダナン市の「アドソル日進ダナン開発センタ」において、アジャイル開発に強みを持つ関連会社の「Techzen(テックゼン)社」を中核としたオフショア開発サービスの提供に注力しました。

 また、現地における高度IT人材育成を推進し、ベトナム・ダナン大学との「ITトレーニングセンター」の共同運営に加え、ベトナム人学生及び在ベトナム日系企業向けの教育・研修事業を本格的に展開するための準備を開始しました。

ⅴ)持続的成長に向けた各種取組み

■人的資本

 持続的成長の源泉となる優秀な人材の獲得に向け、採用活動(新卒・経験者)に継続して取り組んだ結果、2025年4月の新卒入社は当初計画(50名)を上回る見込みとなりました。

 また、2年連続となる全社員を対象とした処遇改定(平均6%)や新卒初任給の引き上げを行いました

 

 

■研究開発・産学連携・知的財産

 当社AI研究所や100%子会社である米国サンノゼR&Dセンタ(Adsol-Nissin San Jose R&D Center, Inc.)での研究開発・リサーチ、企業や研究機関との共同研究等に継続して取り組みました。

 産学連携活動として、東京大学大学院工学系研究科(宇宙・衛星データ×AI)、早稲田大学(エネルギーマネジメント)、慶應義塾大学(GIS・IoT)、ベトナム・ダナン大学(メタバース×教育システム)等との共同研究を継続しました。

 ビジネス適用が急速に進む生成AI関連では、自社開発の生成AI「AdsolChat(アドソルチャット)」を活用した業務効率化に加え、生成AIサービスの企画・開発及びサービス化に取り組みました。

 知的財産への取組みとして、取得した特許は累計24件となりました(2024年9月30日現在)。

■サステナビリティ

 持続的成長と中長期的な企業価値の創出を図るため、2024年4月1日付で「サステナビリティ委員会」を設置しました。今後、サステナビリティ関連での開示や取組みをさらに強化してまいります。

 なお、14期連続増配を踏まえ「日経連続増配株指数」の構成銘柄に2年連続で選定されました。

 

⑤財政状態

 当中間連結会計期間末の財政状態は、次の通りであります。

 「流動資産」は7,113百万円となり、前連結会計年度末と比べ127百万円減少しました。

 主な変動要因としては、受取手形、売掛金及び契約資産が467百万円増加した一方、現金及び預金が579百万円減少したこと等によります。

 「固定資産」は、3,200百万円となり、前連結会計年度末と比べ240百万円増加しました。

 主な変動要因としては、無形固定資産が57百万円減少した一方、投資有価証券が345百万円増加したこと等によります。

 これにより、資産合計は10,314百万円となり、前連結会計年度末と比べ113百万円増加しました。

 「流動負債」は、1,940百万円となり、前連結会計年度末と比べ358百万円減少しました。

 主な変動要因としては、未払金が245百万円、賞与引当金が78百万円減少したこと等によるものであります。

 「固定負債」は、609百万円となり、前連結会計年度末と比べ1百万円減少しました。

 主な変動要因は、退職給付に係る負債が1百万円減少したことによるものであります。

 これにより、負債合計は、2,550百万円となり、前連結会計年度末と比べ360百万円減少しました。

 「純資産」は、7,764百万円となり、前連結会計年度末と比べ473百万円増加しました。

 主な変動要因は、自己株式が172百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が238百万円、利益剰余金が373百万円増加したこと等によります。

 以上の結果、「自己資本比率」は、73.6%となり前連結会計年度末と比べ3.5ポイント上昇しました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、3,180百万円(前年同期は3,562百万円)となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

 

①営業活動によるキャッシュ・フロー

 増加の主な要因としましては、税金等調整前中間純利益913百万円の計上、減価償却費の計上71百万円等がありました。

 減少の主な要因としましては、売上債権の増加446百万円、法人税等の支払額271百万円等がありました。

 以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローは72百万円の支出(前年同期は392百万円の収入)となりました。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

 減少の主な要因としましては、敷金及び保証金の差入による支出72百万円、有形固定資産取得による支出37百万円等がありました。

 以上の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは103百万円の支出(前年同期は34百万円の支出)となりました。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

 減少の主な要因としましては、配当金の支払いによる223百万円、自己株式の取得による支出178百万円等がありました。

 以上の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは404百万円の支出(前年同期は187百万円の支出)となりま

した。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度末の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 当社の社名である「アドソル」とは、「Advanced Solution(アドバンスト・ソリューション)」を意味し、「デジタル社会の“あした”をリードするイノベーションカンパニー」を、スローガンとして掲げております。

 国内外の大学・研究機関との共同研究や最先端企業との連携に加え、AI研究所や、米国サンノゼ・シリコンバレーの100%子会社である米国サンノゼR&Dセンタ(Adsol-Nissin San Jose R&D Center, Inc.)を通じて、「DX」「AI」「IoT」「セキュリティ」などの最先端技術を駆使し、サステナブル(持続可能)な社会と豊かな社会の発展に寄与する革新的なキーテクノロジーの融合(セキュリティ・地図情報・IoT)による、バリューソリューションの創造と、強化・拡充が、研究開発活動の基本的な方針です。

 加えて、ローコードやノーコードなどの高速開発技術を活用した当社グループ独自の開発モデルや、多様化する開発スタイルに適応した新たなインテグレーション・サービスの研究開発に取り組んでいます。

 尚、当社グループにおける研究開発活動は、個別の事業セグメントに特化するものではなく、事業横断的に適用可能であるため、セグメント別に分計はしていません。

 当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、80百万円であります。

 尚、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。