第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当社を取り巻く環境といたしましては、NTTが加入者電話網(PSTN)を2025年までにIP網に切り替える方針を改めて発表し、大手通信事業者の光回線卸の拡販などにより今後もIP化への移行が進むと予想されております。総務省のガイドライン改正によるSIMロック解除の義務化などの背景も後押しとなり、携帯通信事業者の回線を利用して通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の存在感が増してくる(新規参入事業者の増加、MVNO契約者数の増加)といった市場の活発な変化も見られました。企業の情報通信インフラ投資の選定においては、クラウドサービスを利用することに対する抵抗感が年々薄まり、クラウドサービスの利用が増々広がっていくと考えられます。スマートフォンやタブレットなどの情報端末の普及に伴い、通信事業者のユーザートラフィックが増加しており、これに対応するための技術開発も国内外で進んでおります。通信事業者の新技術に対応する製品需要も延びております。

 こうした状況の下、当社では以下のとおり事業を展開してまいりました。

 

 なお、昨今の顧客のニーズや事業構造の変化に対応するため、「通信システム・ソリューション」「エンタープライズ・ソリューション」「保守サポート・サービス」の3つの区分で記載しております。

 前事業年度まで「通信システム・ソリューション」に含んでいた通信事業者向けの保守サポートに関わる売上高、及び「エンタープライズ・ソリューション」に含んでいた企業向けの保守サポートに関わる売上高は、「保守サポート・サービス」の売上高としております。

 また、前事業年度まで「セキュリティ・ソリューション」に含んでいた通信事業者向けのセキュリティに関わる売上高は「通信システム・ソリューション」の売上高、企業向けのセキュリティに関わる売上高は「エンタープライズ・ソリューション」の売上高としております。

 

〔通信システム・ソリューション〕

・前事業年度に引き続き、大手通信事業者が提供している企業向けIP電話サービスの利用者数が延びていることにより、SBC製品のライセンスについて、計画を大幅に上回る追加注文を獲得。

・前事業年度に引き続き、大規模コールセンター向けの増設、機能追加によるライセンス等の販売案件を獲得。

・当社のSBC製品のラインナップに、全ての機能が汎用サーバー上で動作するハードウェアに依存しないソフトウェア製品である「NX-B5000ソフトウェアSBC」を追加。

・従来のVoIPシステムの脆弱性やセキュリティホールをチェックするコンサルティングだけでなく、移動体通信事業者からVoLTE網における異常通信検出コンサルティングを受注し、案件を完了。

・国内大手通信事業者から固定網とVoIP網の全体の脆弱性やセキュリティホールをチェックするコンサルティングを受注し、案件を完了。

・クラウドPBXサービス事業者へのVoIP IDS&フォレンジックシステムの導入・検収が完了。

・大手通信事業者より、ソナス・ネットワークス製IP通信機器の販売案件を受注。

・移動体通信事業者からDDoS対策システムのコンサルティングを受注し、案件を完了。

 

 以上の結果、通信システム・ソリューション分野における売上高は1,398,959千円となりました。

 

〔エンタープライズ・ソリューション〕

既存顧客からの追加、リプレイス案件、及び新規顧客案件の獲得により、大手外資系金融機関、消防・航空管制、鉄道及び電力・ガス、官公庁関係向けに通話録音製品を導入。また、新製品「VoISplus」を大手製造業企業に導入。

・情報通信インフラ構築を手掛ける大手企業より、販売製品のラインナップ追加検討のためIP-PBX「NX-E1000」の社内導入案件を受注し、導入・検収が完了。

・国立大学法人の構内電話システムに、大規模ユーザーを収容可能なIP-PBX「NX-C1000」の導入が決定され、運用を開始。(*1)

・「第三者によるIP電話等の不正利用に関する注意喚起」が報道機関によりクローズアップされ、社内の電話環境に不安を持つ企業に対して状況解析・原因特定のために当社のSIP脆弱性攻撃防御サーバー「NX-C6000」を設置し、企業向けセキュリティサービスのトライアルを実施。

・企業の設備投資コストを抑制するため、異なる機能をひとつのシステムで実現できるよう、企業向けソフトウェアSBC「NX-E1010」へ通話録音機能の追加開発が完了。

 

・当社の企業向けソフトウェアSBC「NX-E1010」へ、大手通信事業者のIP電話サービスと日本アバイア製PBX及びインタラクティブ・インテリジェンス製のコンタクトセンターソリューションとを接続する機能の追加開発が完了。(*2)

・全国導入が予定されているIP無線ソリューションの大型新規案件を受注し、一部導入・検収が完了。

 

(*1)導入選定においては、NX-C1000がIP電話のみならずレガシーPBX、スマートフォンやSkype for Business(旧 Microsoft Lync)との接続が可能であること、大学法人の保有するデータベースとの連携が可能であることが評価されました。

(*2)NX-E1010を経由することで、各社のPBX製品が通信事業者各社のIP電話サービスと容易に接続ができるようにするため、通信事業者の接続認定取得を進めている取り組みの成果です。

 

 以上の結果、エンタープライズ・ソリューション分野の売上高は425,232千円となりました。

 

〔保守サポート・サービス〕

・継続保守契約の更改及び新規案件ともに順調に積み上がり、計画通りに売上が推移。

・大手通信事業者より、海外ベンダー製のIP通信システムの保守業務を受注。

 

 以上の結果、保守サポート・サービス分野の売上高は991,234千円となりました。

 

 以上3分野の取り組みの結果、当事業年度における当社の業績につきましては、大手通信事業者向けのSBC製品のライセンス販売及び海外ベンダー製品の保守案件の増加により売上高は2,815,426千円(前年同一期間は、2,401,152千円)となりました。

 利益面につきましては、ライセンス仕入費用の増加及び事業拡大を見込んだ人員や外注費等の増加により全体的にコストが増加しましたが、利益率の高いライセンス販売の割合が高く推移したことによりコスト増加を吸収し、営業利益は237,115千円(前年同一期間は、204,771千円)、経常利益は231,928千円(前年同一期間は、206,080千円)となりました。また、特別損失として西日本営業所の事務所移転費用を2,728千円計上したことに加え、税務上の繰越欠損金の解消に伴い税金費用が増加した結果、当期純利益は145,838千円(前年同一期間は、183,886千円)となりました。

 なお、前事業年度は決算期変更により平成26年1月1日から平成27年3月31日までの15ヶ月間となっております。参考として、前年同一期間(平成26年4月1日から平成27年3月31日までの12ヶ月間)との比較を記載しております。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して557,839千円増加し982,743千円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は519,940千円となりました。これは主に、税引前当期純利益229,199千円、減価償却費235,794千円、のれんの償却費26,415千円、たな卸資産の減少78,863千円、仕入債務の増加36,602千円、未払消費税等の増加26,534千円、未払金の増加17,765千円、前受金の増加等の増加12,829千円等の増加要因に対して、売上債権の増加136,416千円、前払費用の増加15,532千円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は370,991千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出31,715千円、無形固定資産の取得による支出300,373千円、差入保証金の差入による支出7,433千円、事業譲受による支出33,000千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は408,889千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入730,000千円、株式の発行による収入11,270千円等の増加要因に対して、長期借入金の返済による支出333,971千円の減少要因があったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社は、通信技術に関するソリューション提供を事業とする単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

(1)生産実績

 当社は、ソフトウェアの開発・販売を主たる事業としており、生産という概念は薄く、かつ受注形態が多岐にわたり生産実績の把握が困難であるため、生産実績の記載を省略しております。

 

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況を事業区分別に示すと、次のとおりであります。

事業区分の名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

通信システム・ソリューション

1,384,690

36,941

エンタープライズ・ソリューション

507,648

114,791

保守サポート・サービス

1,015,077

651,530

合計

2,907,416

803,263

(注)1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2 当社は、当事業年度より昨今の顧客のニーズや事業構造の変化に対応するため、「通信システム・ソリューション」「エンタープライズ・ソリューション」「保守サポート・サービス」の3つの区分で記載しております。

3 当社は前事業年度において決算期を変更(12月31日を3月31日に)しており、前事業年度は15ヶ月の変則決算となるため、前年同期比の記載は行っておりません。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。

事業区分の名称

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

通信システム・ソリューション(千円)

1,398,959

エンタープライズ・ソリューション(千円)

425,232

保守サポート・サービス(千円)

991,234

合計(千円)

2,815,426

(注)1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2 当社は、当事業年度より昨今の顧客のニーズや事業構造の変化に対応するため、「通信システム・ソリューション」「エンタープライズ・ソリューション」「保守サポート・サービス」の3つの区分で記載しております。

3 当社は前事業年度において決算期を変更(12月31日を3月31日に)しており、前事業年度は15ヶ月の変則決算となるため、前年同期比の記載は行っておりません。

4 前事業年度において主要な販売先に該当する社数が3社、当事業年度において主要な販売先に該当する社数が3社ありますが、販売先と秘密保持契約を締結しているため、主要な販売先及び当該販売実績については、その社名、金額及び割合の公表は控えさせていただきます。

 

3【対処すべき課題】

 当社の主要事業である通信サービス分野においては、通信事業者をはじめとする各種サービス事業者間での価格競争や商品及びサービスの差別化競争が厳しさを増す一方、各社の製品開発や技術革新に向けた取り組みは、一層加速しています。こうした中、当社が創業以来培ってきたSIP/VoIP技術の市場はますます広がっており、今後も当社の事業機会は拡大していくものと認識しております。

 このような状況のもと、当社が今後対処すべき課題は以下のとおりです。

 

(1)事業領域及び顧客層の拡大

 当社の売上の大半は、通信事業者向けの高度なSIP/VoIPソリューション販売によってもたらされており、今後も当社の継続的な成長の中心的役割を担うものと見込んでおります。しかしながら、持続的成長のためには、事業領域の拡大と特定の通信事業者に対する売上比率の偏重から脱却することは課題であると考えております。これらの対策として、継続的にM&A等(買収、合併、事業の譲渡・譲受、事業投資)の検討、国内外のパートナー企業との関係性深耕・拡充、及び製品ラインナップの拡充といった施策を進めてまいります。

 

(2)新製品の企画開発

 スマートフォン市場やクラウドコンピューティングの発展に伴い、それらの変化に対応した新しいサービスや新製品の提供を推し進めていくことが重要な課題であります。市場性のある、当社優位性を発揮できる自社製品開発を進めるとともに、国内外のベンダーが既に所有している高い技術・製品及び産学連携による研究開発の成果を組み合わせることにより、顧客企業のニーズを満たす製品提供が可能になると考え、実行してまいります。

 

(3)収益力の向上

 当社事業における売上規模の拡大と利益率の向上は、今後の業績拡大のための重要な課題であると認識しております。受注拡大に向け、国内外の販売パートナーとの連携により効率的な販路拡大を目指しておりますが、利益率向上に関しても、利益率の高い自社開発ソフトウェアを活用したソリューションの提供を進めるとともに、各プロジェクトの採算について常時モニタリングを行うなど経営管理体制の強化に努めております。また継続的なコストの見直しと組織体制や事業活動の効率化も推し進めてまいります。

 

(4)品質向上に向けた活動

 当社の主要事業である通信事業者向けソフトウェア開発においては、通信事業者の厳しいサービス運用基準への適合が要求されるため、品質の確保は当社にとって重要な課題であると認識しております。より高いレベルでの品質確保のため専任の品質管理担当を設け、全ての開発プロジェクトに品質プロセスを適用し、製品出荷時に独立かつ客観的な立場から出荷可否の判定を行い、品質の担保に努めております。

 

4【事業等のリスク】

 当社の経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお文中における将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 当社の事業展開上、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしも事業上のリスクに該当しない事項であっても、投資判断上あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社はこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、すべてのリスク予測及びそれらに対する回避を保証するものではありません。また以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

 

(1)市場環境の変化について

 当社の主力技術であるSIP/VoIPをはじめとした通信システム関連市場は、技術革新のスピードが速く、顧客ニーズも短期間で変遷する市場となっています。

 これに対応して当社では、海外を含めての新技術情報の収集や最新技術を有するメーカーの発掘等に努めるとともに、優秀な技術人材の積極採用による開発力の強化や協力会社との関係強化により、こうした変化への迅速な対応を図る方針です。しかしながら、これらの技術革新や市場の変化に当社が追随することができなかった場合には、当社の業界内での競争力が相対的に弱まり、当社の業績に影響を与える可能性があります

 

(2)新規事業について

 当社は、将来的な事業拡大に向け、当社の技術や製品を活用した新規事業及び新サービスの開発に積極的に取り組んでおります。新規事業等の展開にあたっては、人材の採用、研究開発費や設備費への先行投資や、広告宣伝費等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また事業方針の変更や事業の見直し、事業からの撤退等何らかの問題が発生する可能性も想定されます。

 新規事業の拡大・成長が当初の予測通りに進まない場合、それまでの投資負担等により当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 しかしながら、これらの新規事業には不確定要因が多く、事業推進の過程において急激な市場・技術動向の変化、当社の経営方針や取引先企業との関係の転換等により、事業計画の変更を余儀なくされる可能性があります。

 また、新規事業及び新サービスの展開に先立ち、製品開発やシステム構築を行う必要がありますが、これらの対応が人員不足等の原因により計画通りに進捗せず、収益化が遅れる可能性があります。これらの場合は、それまでの投資負担等により当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)投資活動について

 当社は将来に向けて社会と技術の変化に対応すべく、「インフラ・プラットフォーム志向を軸として、ソリューション・サービスも志向する」という全体方針を掲げておりますが、これを踏襲するために、M&A等(買収、合併、事業の譲渡・譲受、事業投資)の投資活動は効果的な手段の一つと考えております。

 これら投資活動の実施に当たっては十分に検討を行いますが、その想定したとおりに事業を展開できない場合、投資を十分に回収できないリスクや投資活動に伴い発生したのれん等の減損損失が発生するなどのリスク等が存在しており、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)知的財産権について

 当社にとって知的財産権の保護は重要な課題であるとの認識に基づき、特許等知的財産権の出願・登録を積極的に行っております。なお、当事業年度末における当社が保有する特許は7件、出願中の特許は3件となっております。

 第三者の知的財産権を侵害するリスクを最小限にするため、社内における知的財産分野の体制及び人員の強化を図り、最善の努力を行っております。しかしながら、当社の技術は広範囲に及ぶ一方、情報通信産業における知的所有権の調査・確認作業は繁雑であり、かつ今後に向けてどのような知的財産権が成立するかを把握することはきわめて困難であるため、現在、または将来に向けて当社が利用または提供する技術が、第三者の知的財産権を侵害しているという主張が当社に対してなされる可能性があります。そのような事態が発生した場合は、訴訟費用や損害賠償金の支払い等の発生により、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)ソフトウェア資産の減損損失の可能性について

 当社は通信システムに関わるソフトウェアを開発しており、現時点で適正と考えられるソフトウェア資産を計上しております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)のれんの減損損失の可能性について

 当社の貸借対照表には、会計基準に基づき相当額ののれんを計上しております。のれんの対象となっているボイスロギング事業に関するのれんを含む帳簿価格が公正価値を上回っている場合、のれんの額を再度計算し、現在ののれんの額と再算定したのれんの額の差を減損として認識することになります。従いまして、のれんの対象事業の収益性が低下した場合には減損損失が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)経営成績の変動について

 当社では、プロジェクトごとに売上規模や利益率が異なり、その売上計上時期によって業績が大きく変動します。想定外の仕様の変更など顧客側の都合等により契約上、当初予定されていた期間内に、顧客による検収を受けることができない場合、またシステムの不具合等の要因によりサービスの納品時期がずれ込んだ場合、当社の四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。

 

(8)人材の確保について

 当社の事業領域は情報通信分野における先端技術を必要とすることから、高度な専門知識と経験を有する人材の確保が経営上の重視すべき事項となっております。また、当社の人員は現段階では事業規模に対して適正と考えておりますが、効率性重視の観点から各組織に配置されている従業員数は最小単位となっており、業務によっては特定個人の属人性に依存している部分もあるため、それらの人材に急な欠員が生じた場合、当社の事業活動に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性もあります。人材の確保や社内の情報・ノウハウ共有には十分な措置を講じておりますが、必要な人材を必要な時期に常に確保・維持できる保証はなく、その場合、当社の経営及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)資金調達について

 当社の中・長期的な継続成長のために必要な重点事業分野については、新製品のための研究開発投資やM&A等による事業拡大のための投資活動、ソフトウェアを含むシステム投資等を継続する予定であり、そのための資金需要に対応していく必要があります。これらの資金需要に対し、環境変化によって十分な資金調達を行えない場合には事業機会を逸し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当事業年度において新たに決定または締結した重要な契約等はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発活動は、SIP(Session Initiation Protocol)を利用したIPネットワークにおける通信サービスの基幹システムを開発している経験と知見に基づき、最新技術の調査・研究、通信サービスに利用される新製品の開発、既存製品の改良を行っております

 当事業年度における研究開発費は29,949千円であり、主な取り組み及び成果は、以下のとおりです。

 

(1)大量パケット通信に関する研究開発

最大10万件の宛先へRTPパケットを送信する大量パケット処理技術について研究し、IP無線システムへの実装を進行中

(2)WebRTC(*1)の実装方式に関する研究開発

当社製品にWebRTCを組み合わせて音声通話のモニタリングをする方式について実証研究

(3)通話録音ソリューションに関する研究開発

録音データを活用するための音声認識、感情解析に関する実証研究

 

(*1)WebRTC (Web Real-Time Communication)

プラグイン無しでブラウザ間のリアルタイムなやりとり(ボイスチャット、ビデオチャット、ファイル共有)をする方式です。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たりまして、決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しておりますが、不確実性が伴うため、当初の見積り・予測数値と実際の数値に乖離が生じる可能性があります。

当社では特に以下の会計方針を重要と認識しており、財務諸表作成において必要となる見積り・予測に影響を与える可能性があると考えております。

① 市場販売目的ソフトウェアの減価償却方法

 市場販売目的のソフトウェアについては、見込販売金額に基づく償却額と残存見込販売有効期間(3年)に基づく均等償却額とのいずれか大きい金額を計上する方法により減価償却金額を算出しております。

 販売実績金額又は将来の販売見込金額が当初見込と比べて大きく乖離した場合、追加の費用計上が必要となる場合があります。

② 繰延税金資産

 当社の財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社の将来の課税所得の見込額に基づき算出されておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。

③ のれんの減損

 のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。

 

(2)経営成績の分析

経営成績の分析については、「1 業績等の概要(1)業績」に記載のとおりであります。

 

(3)財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は、2,712,457千円となり、前事業年度末と比べて741,238千円増加となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が557,839千円、売掛金が136,416千円、外注費の前払い等に伴う前払費用が15,635千円、建物が8,514千円、工具、器具及び備品が8,426千円、VL事業の譲受価額確定に伴う追加支払によりのれんが4,737千円(追加支払により33,000千円増加、のれん償却等により28,262千円減少)、ソフトウェア資産が87,851千円(新規開発及び取得等により301,213千円増加、減価償却により213,362千円減少)、西日本営業所の移転に伴い差入保証金が5,901千円それぞれ増加したことによるものであり、減少の主な要因は、製品在庫が16,920千円、仕掛品が17,582千円、原材料及び貯蔵品が45,062千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債の総額は、1,329,476千円となり、前事業年度末と比べて571,649千円増加となりました。主な要因は、買掛金が36,602千円、未払金が20,429千円、繰越欠損金の解消に伴い税金費用の増加により未払法人税等が69,437千円、未払消費税等が26,534千円、前受金が12,829千円、資産除去債務が5,331千円、銀行からの資金調達により長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が396,028千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、1,382,980千円となり、前事業年度末と比べて169,588千円増加いたしました。この要因は、当期純利益の計上により利益剰余金が145,838千円、株式報酬費用の計上等により新株予約権が12,480千円、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が11,270千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「4 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況に関する分析につきましては、「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

全体方針としましては、「インフラ・プラットフォーム志向を軸としてソリューション・サービスも志向する」を掲げております。当社の事業は、創業以来通信インフラに関わるシステムの開発・提供が主軸でありましたが、昨今でも我々の属する音声通信におけるインフラ・プラットフォーム市場はMVNO(仮想移動体通信事業者)関連、IP無線といった新しい市場を含めて成長を続け、今後10年以上に亘って活発であることが確実な状況であります。当該市場は当社が培ってきた技術力やノウハウ、経験値が最も効果的に優位性を発揮できるところであり、本事業を核としながらも、ここで得られたノウハウ等を川下となるエンタープライズ向けを中心とするソリューション・サービス事業に活かし、事業ポートフォリオの最適化を進めてまいります。

また、当社では、提供製品・サービス及びターゲットとなる顧客層を軸に「通信システム・ソリューション」「エンタープライズ・ソリューション」「保守サポート・サービス」の3つの事業分野に分類しております。

 

まず通信システム・ソリューションにおいては、引き続き既存・新規の顧客ニーズを的確に捉え、対応することにより受注の拡大に注力いたします。主力のセッション・ボーダー・コントローラー(SBC)につきましては、通信事業者間のIP接続が加速されることやレガシー回線の廃止によるVoIP化に加え、LTE回線の急速な普及やMVNOによる通信事業への新規参入といった市場拡大の潮流の中で、当事業年度の好調を持続し、大幅な販売拡大を見込んでおります。セキュリティ関連としましても、国内外のパートナーシップを活かして、自動診断ツールを活用した脆弱性診断を通信事業者の内部ルール化させる等により定期的な受注につなげていき、更にそこで明らかになった脆弱性のソリューションとして自社製品を中心とする製品拡販を進めてまいります。また、MVNOの市場規模拡大を商機として、MVNOに対して相互接続ソリューション、HSS/HLRソリューション、監視運用ソリューション、セキュリティソリューション・サービス等の提供を計画しております。

 

次にエンタープライズ・ソリューションにおいては、企業ユーザー向けオフィスソリューションの提案力強化、当事業年度後半より引き合いが急拡大しているクラウドサービス「U³ Voice」の販売パートナーとの連携強化及び製品のOEM提供、新規ソリューションであり全国規模での展開が見込まれるIP無線システム等により売上の拡大を見込んでおります。ボイスロギング事業については、他社PBX製品との連携を可能とするソフトウェアベースでのVoIP対応通話録音製品を当事業年度にリリースし、ボイスロギング事業の譲受によって得られた官公庁、金融系の顧客の様々な利用シーンに応えられるよう製品ラインナップ強化を進めております。

 

最後に保守サポート・サービスにおいては、従来から売上の多くを占めていた通信事業者に対する保守サポートの提供を継続しながら、今後の成長事業と位置づけているエンタープライズ事業において獲得する企業ユーザーに対する保守サポートのメニューの拡充により、事業基盤の安定拡大につなげてまいります。