(1)経営方針及び経営環境
当社グループでは、「高齢社会に適した情報インフラを構築することで価値を創造し社会に貢献し続ける」ことをグループミッションとして掲げています。介護、医療、ヘルスケア、シニアライフを高齢社会における事業領域として定義し、価値提供先である事業者・従事者・エンドユーザーに情報をコアとした様々なサービスを提供しています。
当社グループの事業領域である高齢社会に関連する市場は年々拡大しています。日本においては、高齢者人口(65歳以上)が平成29年10月1日時点で約3,515万人、人口構成比27.7%に達し、世界で最も高い水準となっています。また、それに伴い介護費、医療費も急増し、それぞれ10兆円、40兆円に達しています(注1)。アジア・オセアニア地域においては、人口増加や経済発展を背景に医療・ヘルスケア市場が急拡大しており、医療費は1兆ドル以上(注2)と日本の2倍を超える規模となっています。
このように高齢社会に関連する市場が年々拡大する中で、医療や介護など人々を取り巻く情報の量は飛躍的に増加し、その情報は多様化・複雑化しています。このため、適正な情報の発信・受信に対するニーズはますます高まり、当社グループにとって膨大な事業機会が生まれるものと認識しています。当社グループがターゲットとする医療・介護・ヘルスケアに関する情報インフラの市場規模は、2025年に日本とアジア・オセアニアで少なくとも3.2兆円(注3)に達すると見込まれています。
当社グループはそのような事業機会をいち早く捉え、様々な事業を展開しています。キャリア分野では、人手不足が続く介護・医療領域におけるパイオニアとして、既に圧倒的なポジションを確立しています。また、介護事業者分野では、経営支援サービス「カイポケ」を通じて介護事業者に新たな価値を提供しています。海外においては、平成27年10月にアジア・オセアニアで医薬情報サービスを展開するMIMSグループを買収し、現在14の国と地域でサービスを展開しています。さらに、事業開発分野に継続的に投資を行い、新たなサービスを数多く生み出しています。今後も高齢社会に適した情報インフラの創造を通じて、従事者や事業者、エンドユーザーの皆様がイキイキと生活できる社会の実現と、当社グループの長期的かつ持続的な成長を目指していきます。
(2)経営戦略等
当社グループは創業以来、増収増益を継続しています。看護師向けの人材紹介サービスを中心とする医療キャリアの継続的な成長に加え、介護キャリア・介護事業者分野(カイポケ)・海外分野を新たな事業の柱として確立し、さらに成長を加速していきます。さらに、数多くの新規事業の開発・育成を進め、長期的かつ持続的な成長を実現していきます。
① キャリア分野
介護や医療の業界では、人手不足が深刻な課題となっています。介護職、看護師とも就業者数は年々増加しているものの、離職率は高止まりしています。両職種とも有効求人倍率は3倍程度に達し、全職種の平均(1倍強)を大幅に上回っています(注4)。
こうした市場環境のもと、当社グループは早くから介護・医療業界に特化した人材紹介・求人情報などのキャリア関連市場を切り拓いてきました。求職者数・求人数ともに競合他社に比べて圧倒的で、さらに多くの求職者や事業者が集まる好循環を築いています。その結果、看護師の人材紹介や介護職向けの求人情報など、多くのサービスで圧倒的No.1のポジションを確立しています。
今後も展開サービスの拡充により、従事者や事業者のあらゆるニーズに対応していきます。特に人材ニーズの強い介護職に対しては、約85万人の会員基盤を活用し、求人情報だけでなく人材紹介や人材派遣を展開し、従事者・事業者への提供価値の最大化に努めます。介護従事者の資格取得を支援することで、社会的な要請の強い介護職の増加にも貢献していきます。また、これまで未対応だった医療・介護系の職種に対してキャリア関連サービスを拡張することで、さらなる成長を実現します。
当社グループでは以上の取り組みにより、キャリア分野全体で継続的な成長を見込んでいます。特に介護職向けの人材紹介サービスに大きな成長余地があると考えています。
(注1)高齢者人口・構成比:総務省統計 介護費:平成27年度、厚労省資料(介護保険総費用) 医療費:平成27年度、厚労省統計
(注2)平成27年、WHO統計
(注3)当社推計
(注4)平成29年、厚労省統計
② 介護事業者分野
当社グループは、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」を、今後の成長を牽引する事業として育成しています。
高齢者人口の増加を背景に、介護事業者の数も年々増加しています。一方で、介護事業者の多くは十分な経営体力を持たない中小事業者であり、様々な経営課題に直面しています。当社グループは「カイポケ」により、介護事業者に経営支援という新たな価値を提供しています。事業者が日常的に利用する保険請求サービスに加えて、人材採用・業務改善・購買・金融等、約40種のサービスをワンストップで提供することで、介護事業者向けの総合的な経営支援サービスとして業界でも独自の地位を築いています。
当社グループは今後も展開サービスの拡充およびシェアの拡大、対応可能な事業所種別の拡張を通じて介護事業者への提供価値を最大化していきます。介護事業者がより良い介護サービスに集中できる環境を提供し続けることで、「カイポケ」の継続的な成長を実現していきます。
③ 海外分野
当社グループは平成27年10月にアジア・オセアニアで医薬情報サービスを展開するMIMSグループを子会社化しました。1963年に創業し50年以上にわたる歴史をもつMIMSブランドは域内で圧倒的な知名度を誇り、医療従事者の会員数は約230万人(うち、医師は約50万人)にのぼります。
当社グループは海外分野において、MIMSが保有する圧倒的なブランド力、医療従事者の会員基盤、製薬会社や医療機関との取引基盤を活用して事業を展開しています。MIMSのPharma Marketing事業では、医療従事者に対する様々なサービス提供を通じて強固なマーケティングプラットフォームを構築し、製薬会社に対する提供価値を最大化していきます。
平成29年6月には、マレーシア人看護師の人材紹介を行うMelorita社を子会社化し、グローバルキャリアビジネスを本格的に開始しました。現在はマレーシア人看護師をサウジアラビアの病院に紹介する事業が中心ですが、今後はMIMSの医療従事者情報、当社のキャリア事業ノウハウ、Melorita社のクロスボーダーでの事業運営ノウハウを組み合わせ、医療従事者の供給元・紹介先ともに展開国を拡大していきます。アジア医療従事者のアジア域内外への供給プラットフォームとして圧倒的な地位を確立し、キャリアビジネスをグローバルに展開していきます。
このように、MIMSグループをアジア・オセアニア地域での事業展開の核とすることで、海外戦略を強力に推進し、さらなる成長を実現していきます。
④ 事業開発分野
当社グループは創業以来、様々な新規事業を開発してきました。現在は特に、ICTを活用した保健指導・重症化予防・健康指導サービス等のヘルスケア領域や、高齢者に特有の食・住・介護関連サービス等のシニアライフ領域を中心に、積極的に事業開発を推進しています。今後も拡大する市場から生まれる事業機会を捉え、国内外において新たなサービスを次々と数多く生み出し、長期的かつ持続的な発展を実現していきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは当期純利益の継続的成長を重視しております。当社グループのミッションを実現するためには、M&Aを含めた新規サービスの開発・育成への積極的な投資を継続することが必要だと考えています。そのために、キャリア分野や介護事業者分野、海外分野等を継続的に成長させ、投資に必要な資金を確保することが重要であると認識しております。以上の理由から、当社グループはこれらを総合的に反映する当期純利益を重要な経営指標とし、その継続的な成長を重視しております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、次の4点を重要課題として取り組んでいます。
① キャリア事業の強化
当社グループは、キャリア事業の継続的成長が、当社グループの成長の土台になると考えています。
これまで、看護師向け人材紹介を中心とするキャリア事業は、強い競争力をもち、規模を拡大してきました。今後も、深刻な人手不足を背景に、継続的な成長が可能であると考えています。また、介護職向けサービスにおいては、求人情報・従事者コミュニティサービスの提供を通じて構築した会員基盤を活かし、人材紹介・求人情報・人材派遣・介護関連資格講座等の様々なサービスを展開し、多様な従事者・事業者ニーズに応えることで、大きく成長することが可能であると考えています。
今後、キャリアパートナーを継続的に採用していくとともに、展開サービスの拡充や未対応の医療・介護系の職種に対してキャリア関連サービスを拡張することで、さらにキャリア事業を成長させていきます。
② 介護事業者向け経営支援サービスの強化
当社グループは、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」が今後の成長を牽引する事業になると考えています。在宅介護事業者は約8割が中小規模の事業者で、さらに、その約半数が赤字といわれています。今後、日本の介護サービスの品質向上には、中小規模の事業者の財務の改善及び業務の効率化が必要不可欠です。
このようなニーズを踏まえ、当社グループは業界で唯一の経営支援サービスを提供しており、会員数は順調に増加しています。
今後、さらに成長を加速させていくために、中小規模の事業者を中心とした会員の獲得により会員数を継続的に増加させていきます。また、「カイポケ」が対応可能な介護事業所種別を拡大し、サービス対象となる介護事業所を増加させるとともに、さらに介護事業者から必要とされる新たな周辺サービスの開発を推進することで、提供価値を最大化させていきます。
③ 海外事業の強化
当社グループは、MIMSグループのアジア・オセアニア地域での圧倒的なブランド力、医療従事者の会員基盤及び製薬会社・医療機関との取引基盤を事業展開の核とすることで、海外戦略を強力に推進できると考えています。
MIMSグループは域内最大の約230万人の会員を有するプラットフォームをもち、また、発行する薬剤情報誌には、ほとんどの先発医薬品の情報を製薬会社が掲載しています。今後、医療従事者に対し様々なサービスを提供することで、より強固なプラットフォームを構築し、製薬会社のマーケティング支援をさらに強化していきます。
さらに、MIMSグループの会員基盤に当社がこれまでの事業展開で培ったキャリア事業ノウハウとMelorita社のクロスボーダーでのオペレーションノウハウを組み合わせ、医療機関向けに人材紹介・求人情報等のキャリアビジネスを展開し、膨大なアジア医療従事者に対してアジア域内外での転職支援を行い、日本と同様に圧倒的な地位を確立していきます。
④ 新規事業の開発・育成
当社グループは、介護・医療・ヘルスケア・シニアライフの各領域において、新規事業を次々と創造・拡大し、次の主要事業を生み出すため、常に数多くの事業を開発・育成しています。
ヘルスケア領域におけるICTを活用した保健指導・重症化予防・健康相談等のサービス、シニアライフ領域における高齢者特有の食・住・介護等にまつわるサービスを中心に、新規事業の開発を推進しています。
今後も高齢社会に関連する市場の拡大が見込まれるなか、確実に事業機会を捉え、次々と市場に求められる事業を生み出していきます。
事業等のリスクについては、当社グループの事業展開上、リスク要因となり得る主な事項を記載しています。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項でも、投資判断上あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から記載しています。なお、本項における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づいて判断したものです。
(内部管理体制・組織体制に関するリスク)
① コンプライアンスについて
当社グループは、法令その他諸規則、社会規範を遵守すべく、「ビジネスガイドライン」を制定し、役職員に対してその周知、徹底を図っています。当該ガイドラインの中では、個人情報保護法、独占禁止法、景品表示法、金融商品取引法、職業安定法等当社グループの事業に関連の深い法令の遵守、反社会的勢力との関係遮断、不正行為の防止等が記載されています。また、入社時及び定期的に開催される全役職員を対象とした研修を通じて、継続的にコンプライアンス体制の強化に取り組んでいます。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分なコンプライアンス体制の構築が追いつかず、法令違反等が生じた場合、ユーザ及び取引先等の信頼失墜を招く、もしくは訴訟を提起されるという事態が発生し、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
② 人材の採用、育成及び欠員の発生について
当社グループの事業領域である高齢社会に関連する市場は今後も拡大が見込まれ、膨大な事業機会が生まれると認識しています。当社グループのミッションに掲げる高齢社会に適した情報インフラを構築していくためには、その機会をいち早く捉え様々なサービスを数多く生み出し続ける必要があり、社会からの要請を真摯に受けとめ主体的に変化対応できる人材の採用及び育成が非常に重要です。そのため、当社グループでは、積極的な採用活動、最適な人材マネジメントの整備及び研修体制の構築等に取り組んでいます。しかしながら、今後人材の採用や育成が計画通り進捗しない場合や離職及び育児介護休暇の取得等により多くの欠員が生じた場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
(法務に関するリスク)
③ 情報セキュリティについて
当社グループは、展開する各サービスの運営過程において、個人情報を含む顧客情報やその他の機密情報を取り扱っています。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、情報の取り扱いに関する社員教育、セキュリティシステムの改善、情報へのアクセス管理等、内部管理体制の強化に継続して取り組んでいます。しかしながら、当社グループや委託先の関係者の故意・過失、または悪意を持った第三者の攻撃、その他想定外の事態の発生により、これらの情報が流出または消失する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、競争力の低下、損害賠償やセキュリティ環境改善のために多額の費用負担等が発生し、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 人材紹介に関する法的規制について
当社グループは、有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可を受けています。当社グループの主要な事業活動の継続には有料職業紹介事業の許可が必要であるため、何らかの理由により許可の取消があった場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。なお、許可が取消となる事由は職業安定法第32条の9において定められておりますが、当連結会計年度末時点において当社グループが認識している限りでは、当社グループにはこれら許可取消の事由に該当する事実はありません。当社グループが保有している主な有料職業紹介事業許可の許可番号及びその取得年月等は以下のとおりです。
|
所轄官庁等 |
取得者名 |
許可番号 |
取得年月 |
有効期限 |
|
厚生労働省 |
株式会社エス・エム・エス |
13-ユ-190019 |
平成15年7月1日 |
平成33年6月30日 |
|
厚生労働省 |
株式会社エス・エム・エスキャリア |
13-ユ-306922 |
平成27年1月5日 |
平成35年1月4日 |
また、当社グループは、ケアマネジャーや看護師をはじめとした有資格者を対象としたサービスを提供しているため、今後これらの資格を規定する介護保険法や保健師助産師看護師法等が改定された場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 海外における法的規制について
当社グループは、平成27年10月に買収したMIMSグループをはじめとして、アジアを中心に海外事業を展開しています。海外の子会社については、現地法上の規制を受け、将来において法的規制が強化されたり、現在予期しない法的規制等が設けられることがあります。当社グループは、事前に現地法律事務所への相談を行う等、これらの関連法制度の定めに従って事業を展開するよう努めておりますが、関連法令等を遵守できなかった場合、規制・命令により業務改善や業務停止の処分を受ける等、事業活動が制限される可能性があります。
⑥ 訴訟について
これまで、当社グループに対して、業績に重要な影響を与える訴訟等は提起されていません。また、現時点においても、業績に重要な影響を与える訴訟等が提起される見通しはありません。しかしながら、業績に大きな影響を与える訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が提起され、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
(財務に関するリスク)
⑦ のれん及び無形資産の減損について
当社グループは、平成27年10月に、アジア・オセアニア地域で医薬情報サービス事業を展開するMIMSグループを買収するため、同グループの持株会社であるMedica Asia (Holdco) Limitedの株式の60%を取得しました。この買収に伴い、のれん及び無形資産である顧客関係資産と商標権を計上しており、今後、同グループの収益性が著しく低下し減損損失の計上が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 株式価値の希薄化について
当社グループは、ストックオプション制度を採用しており、当連結会計年度末現在、同ストックオプションによる潜在株式は658,400株であり、潜在株式も含めた株式総数の1.49%に相当します。これらは、当社グループの業績・業容拡大のための手段の1つとして実施しており、必ずしも既存株主の利害と相反するものではないと考えています。しかしながら、新株予約権の行使が行われた場合には、当社株式の1株当たりの価値は希薄化いたします。
⑨ 為替の影響について
当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債は、日本円換算した上で連結財務諸表を作成しており、換算時の為替レートによる為替変動の影響があります。想定を超えた急激な為替レートの変動が発生した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
(事業に関するリスク)
⑩ 競合について
当社グループは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで価値を創造し社会に貢献し続ける」ことをグループミッションに掲げています。人材紹介等、個別の事業においては競合他社が存在していますが、当社グループのように高齢社会全体を事業領域として捉えて事業を展開している競合他社は存在していないと認識しています。これまで当社グループは高齢社会に関連する市場に特化し、従事者及び事業者を囲い込みながら事業を展開することで多くの事業において競合他社より圧倒的に有利な地位を築いてきました。しかしながら、高齢者数の増加を背景に高齢社会の情報インフラに関連する市場には膨大な事業機会が生まれ、個別の事業に対し新たに参入する企業が増加することが考えられます。また、個別の事業において競合他社がより優れたビジネスモデルの事業を展開した場合や、過度に集中的な投資を行い市場参入してきた場合等には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪ 新規事業の立上げについて
当社グループは、高齢社会の情報インフラを産業として形成していくため、事業機会を早期に捉えてサービスを創出し、政策動向や市場ニーズに即したビジネスモデルの構築を推進しています。新規事業を開始するに当たっては、相応の先行投資を必要とする場合や、事業固有のリスク要因が発生する場合があります。事業を取り巻く環境の変化や市場の拡大スピード等により、当初想定していた成果が得られない可能性があります。また、事業の撤退等においては、当該事業用資産の処分や償却を行うことにより損失が生じ、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
⑫ M&Aや業務提携について
当社グループは、自社で行う事業開発に加えて、M&Aおよび他社との業務提携を通じて、新規事業の展開を推進しています。M&A・業務提携にあたっては、当社グループ戦略との整合性やシナジーを勘案して対象企業の選定を行い、当該企業の財務内容、契約関係、事業の状況等についてデューデリジェンスを実施した上で、経営会議・取締役会において細心の注意を払って判断を行っています。しかしながら、これらのM&Aや業務提携が期待通りの効果を生まず戦略目的が達成できない場合や、投資後に未認識の債務が判明した場合等には、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
⑬ システム障害について
当社グループは、介護事業者向け経営支援サービス・求人情報サイト・看護師向けコミュニティサイト等、インターネット通信網を利用した業務システムやウェブサイトを主なサービス提供手段としており、サービスの信頼性及び取引の安全性の観点から、当社グループの事業用ITインフラは高可用性、耐障害性を備えた設計としています。また、管理を強化するため、情報システム開発及び運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しています。加えて、介護事業者向け経営支援サービスにおける介護保険請求システムについては、1万を超える介護事業所で利用されており、毎月の保険請求に関わる重要なデータを取り扱うことから、データ保管のクラウド化を実施するなど、有事の際にもデータを利用できるよう対処しています。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故等が起こった場合、当社グループ役職員の操作過誤が生じた場合、不正アクセスによる破壊または改ざん等の行為が生じた場合等には、当社グループのITシステムの機能低下、誤作動や故障等の深刻な事態を招く可能性があります。これらの事態が生じた場合には、当社グループはサービス提供及び営業取引に深刻な影響を受け、また介護保険請求不備に対する補償が必要となる等、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
⑭ 介護及び医療の業界における労働市場について
介護分野における労働市場においては、介護事業者が実施するサービスにより、ケアマネジャー等の有資格者を一定数従事させることが介護保険法等で義務付けられています。特に介護職等については人材不足が加速しており、事業者が事業を継続するに当たっては、有資格者を確保することが重要な経営課題となっています。また、医療分野における労働市場においても、かねてより看護師等の慢性的な人材不足の状況が続いています。
このような状況下において、介護及び医療の分野における事業者による従事者の採用需要は、今後も継続的に発生する状況であると当社グループでは考えています。しかしながら、今後、介護及び医療の分野における規制緩和等により事業者による従事者の採用需要が低下した場合、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
⑮ 発信した情報の知的財産権やレピュテーションについて
当社グループは、インターネットや紙媒体により様々な情報発信を行っております。当社グループは、これらの情報発信を行うに当たって、著作権や商標権等の知的財産権を侵害してないことや作成方法及び内容が社会的に妥当であることについて、顧問法律事務所の助言を含めた社内外のチェックにより細心の注意を払っています。しかしながら、当社グループが他者の知的財産権を侵害するような事態や当社グループが発信した情報の作成方法又は内容の妥当性について社会的批判を受けるような事態が発生した場合には、損害賠償請求等を受けたり、当社グループの社会的信用の失墜や競争力の低下により、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
⑯ コミュニティサービスの健全性について
当社グループのコミュニティサービスは、掲示板等において、多数の個人会員が会員間で独自にコミュニケーションをとることが可能です。当社グループは、健全なコミュニティを育成するため、適切な利用を促す目的で利用規約を定めています。また、会員の不適切な利用を確認した場合には投稿削除等の措置を講じています。しかしながら、今後急速な会員数の拡大等の結果として、当社グループが会員によるサイト内の行為を完全に把握することが困難となり、会員の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
⑰ 海外展開について
当社グループでは、海外を圧倒的に大きな市場であると認識し、その機会を捉えるため、早期にサービスを展開していく必要があると考えています。その一環として平成27年10月にアジア・オセアニアの13の国と地域に展開するMIMSグループを買収いたしました。このような海外での事業展開においては、政治的要因(法制度や介護・医療分野への規制、政情不安等)、経済的要因(為替、景気等)、文化的要因(文化、商習慣等)及び社会環境において予測し得ない要因等により、日本国内とは全く異なる環境で事業を推進していくことに伴う様々な潜在的リスクが存在しています。海外事業展開にあたっては、シンガポールに統括拠点をおき、日本本社と連携しながら、各国のカントリーリスクに留意した事業推進を行っています。しかしながら、当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.会計方針に関する事項」に記載するとおりです。また、連結財務諸表等には、各引当金の計上及び延税金資産の回収可能性等将来に対する見積り等が含まれております。これらの見積りは過去の実績や趨勢に基づき可能な限り合理的に判断したものですが、将来予期し得ない事象等の発生により、これらの見積りと結果とが異なる可能性があります。
(1)経営成績の状況に関する分析・検討内容
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
23,054 |
26,611 |
3,556 |
15.4% |
|
営業利益 |
3,646 |
4,021 |
375 |
10.3% |
|
経常利益 |
4,430 |
5,007 |
576 |
13.0% |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
2,801 |
3,361 |
560 |
20.0% |
当社グループは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで価値を創造し社会に貢献し続ける」をグループミッションに掲げています。事業領域を介護・医療・ヘルスケア・シニアライフと定義し、日本及びアジア・オセアニアにおいて、価値提供先である従事者・事業者・エンドユーザーに情報をコアとした様々なサービスを提供しています。
当社グループの事業領域である高齢社会に関連する市場は年々拡大し、今後もさらに拡大が見込まれています。
日本においては、高齢者人口(65歳以上)が平成29年10月1日時点で約3,515万人、人口構成比27.7%に達し、世界で最も高い水準となっています。また、それに伴い介護費、医療費も急増し、それぞれ10兆円、40兆円に達しています(注1)。
アジア・オセアニア地域においては、人口増加や経済発展を背景に医療・ヘルスケア市場が急拡大しており、医療費は1兆ドル以上(注2)と日本の2倍以上の規模となっています。
このように高齢社会に関連する市場が年々拡大する中で、飛躍的に情報量が増加し、また、その情報は多様化・複雑化しています。このため、適正な情報発信・受信に対するニーズはますます高まり、当社グループにとって膨大な事業機会が生まれるものと認識しています。
当社グループはそのような事業機会をいち早く捉え、様々な事業を展開しています。
人手不足が続く介護・医療領域において、早くから業界に特化し人材紹介・求人情報を中心としたキャリア関連市場を切り拓いてきました。特に人材ニーズの強い介護職に対しては、人材派遣や資格取得スクールといった新たなサービスも開始し、従事者・事業者への多様な価値提供が可能となっています。展開サービスの拡充や未対応の医療・介護系の職種に対してキャリア関連サービスを拡張し、長期的かつ持続的な成長を実現していきます。
介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」では、保険請求サービスに加え、採用・業務改善・購買・金融等の様々なサービスをワンストップで提供し、介護事業者の経営を総合的に支援しています。介護事業者に対し経営改善という新たな価値を提供することで、成長を加速させていきます。
海外においては、平成27年10月にアジア・オセアニアで医薬情報サービスを展開するMIMSグループを買収し、現在14の国と地域でサービスを提供しています。1963年に創業し50年以上にわたる歴史をもつMIMSブランドは域内で圧倒的な知名度を誇り、医療従事者の会員数は約230万人にのぼります。とりわけ医師は多くの国で高い会員登録率を有しています。また、その強固な会員基盤を活かし、域内の製薬企業との間で幅広い取引関係を構築しています。さらに、平成29年6月のMelorita社の子会社化によりグローバルキャリアビジネスを本格的に開始しました。MIMSグループをアジア・オセアニア地域での事業展開のプラットフォームとすることで、製薬会社のマーケティング支援及びグローバルキャリアビジネス強力に推進し、さらなる成長を実現していきます。
上記に加え、ヘルスケア領域、シニアライフ領域を中心に、様々な新規事業の開発を行っています。
当社グループは今後も拡大する市場から生まれる事業機会を捉え、国内外において新たなサービスを次々と数多く生み出し、長期的かつ持続的な発展を実現していきます。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、以下のとおりです。
売上高は、キャリア関連事業の拡大及び「カイポケ」の会員数増加等により、26,611百万円(前期比15.4%
増)となりました。
営業利益は、4,021百万円(前期比10.3%増)となりました。
経常利益は、持分法投資利益が増加し、5,007百万円(前期比13.0%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、3,361百万円(前期比20.0%増)となりました。
(注1)高齢者人口・構成比:総務省統計 介護費:平成27年度、厚労省資料(介護保険総費用) 医療費:平成27年度、厚労省統計
(注2)平成27年、WHO統計
以下では分野別に当社グループの概況をご説明いたします。
当社グループでは、キャリア・介護事業者・海外・事業開発の4分野を事業部門として開示しています。また、キャリア分野は介護キャリアと医療キャリアに細分化して開示しています。
<事業部門別売上高>
(単位:百万円)
|
事業部門 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
|
|
キャリア分野 |
13,972 |
16,863 |
2,891 |
20.7% |
|
|
|
介護キャリア |
4,025 |
5,836 |
1,810 |
45.0% |
|
医療キャリア |
9,946 |
11,027 |
1,081 |
10.9% |
|
|
介護事業者分野 |
2,782 |
3,328 |
545 |
19.6% |
|
|
海外分野 |
4,786 |
5,109 |
322 |
6.7% |
|
|
事業開発分野 |
1,512 |
1,309 |
△202 |
△13.4% |
|
|
合計 |
23,054 |
26,611 |
3,556 |
15.4% |
|
① キャリア分野
介護キャリアにおいては、介護職向け人材紹介サービス「カイゴジョブエージェント」がキャリアパートナーを大幅に増員し大きく成長しています。また理学療法士/作業療法士/言語聴覚士向け人材紹介サービス「PT/OT人材バンク」が好調に推移しました。
医療キャリアにおいては、看護師向け人材紹介サービス「ナース人材バンク」が順調に推移しました。
また、当社グループは平成29年11月に、柔道整復師/あん摩マッサージ師/はり師/きゅう師向けに、人材紹介/求人情報/資格取得スクール等のキャリア関連サービスを提供しているウィルワン社を子会社化しました。ウィルワン社は業界内で非常に高い知名度を誇っています。本子会社化により、対応職種を拡大するとともに、ウィルワン社の事業基盤に当社グループがもつキャリアビジネスのノウハウを組み合わせることで、キャリア分野のさらなる成長を実現していきます。
以上の結果、キャリア分野の当連結会計年度の売上高は、16,863百万円(前期比20.7%増)となりました。
② 介護事業者分野
介護事業者分野においては、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」の業績が会員数増加や、有料オプションサービス及びファクタリングサービス等の定額外のアドオンサービスの利用拡大により順調に推移しました。
以上の結果、介護事業者分野の当連結会計年度の売上高は、3,328百万円(前期比19.6%増)となりました。
③ 海外分野
海外分野は、前連結会計年度に実施した子会社のeChannelling社等の売却による売上高減少の影響がありながらも、MIMSグループにおける既存事業の成長及び平成29年6月に子会社化したマレーシア人看護師の人材紹介を行うMelorita社の寄与により、順調に推移しました。MIMSグループのPharma Marketing事業では、営業人員を中心に積極的な採用を行い、成長のための体制構築が進んでいます。また、Melorita社の子会社化により、グローバルキャリアビジネスを本格的にスタートさせました。
以上の結果、海外分野の当連結会計年度の売上高は、5,109百万円(前期比6.7%増)となりました。
④ 事業開発分野
事業開発分野においては、看護師向け通販事業「ピュアナース」を平成29年12月末でサービス提供終了したことにより、前期比で減収となりました。新規事業については、ヘルスケア領域におけるICTを活用した保健指導・重症化予防・健康相談等のサービス、シニアライフ領域における高齢者特有の食・住・介護等にまつわるサービスを中心に開発が進んでいます。
以上の結果、事業開発分野の当連結会計年度の売上高は、1,309百万円(前期比13.4%減)となりました。
(2)財政状態の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度末における総資産は、46,087百万円(前連結会計年度末比2,856百万円増)となりました。これは主に、業容の拡大により現金及び預金が増加したこと、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」におけるファクタリングサービスの利用事業者が増え未収入金が増加した一方、為替換算に伴い顧客関係資産及び商標権が減少したことによるものです。
負債は、22,446百万円(前連結会計年度末比797百万円増)となりました。これは主に、「カイポケ」におけるファクタリングサービスの利用事業者が増え未払金が増加したことによるものです。
純資産は、23,641百万円(前連結会計年度末比2,058百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加した一方、為替換算により為替換算調整勘定及び非支配株主持分が減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、8,768百万円(前連結会計年度末比1,627百万円増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,811百万円の収入(前期は3,919百万円の収入)となりました。これは主に、業容の拡大により税金等調整前当期純利益が4,914百万円となったこと、MIMSグループの顧客関係資産の償却等により減価償却費が965百万円、のれん償却額が741百万円となったことによるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,095百万円の支出(前期は1,033百万円の支出)となりました。これは主に、「カイポケ」等のシステム開発投資により無形固定資産の取得による支出が707百万円となったこと、Melorita社・ウィルワン社等の買収により連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,197百万円となったことによるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,107百万円の支出(前期は875百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が1,359百万円、配当金の支払による支出が478百万円となったことによるものです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性に関する平成31年3月期の計画については、現時点で従来の水準を大きく超える資本的支出は予定していません。通常の事業運営に必要な資金は手元資金で充当できる見通しです。
(4)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
③ 販売実績
「(1) 経営成績の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループでは、新規事業投資に係る費用の一部を研究開発費として計上しておりますが、金額が僅少のため、記載を省略しております。