第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、経営環境及び経営戦略等

 当社グループは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをグループミッションに掲げています。介護、医療、ヘルスケア、シニアライフを高齢社会における事業領域として定義し、日本及びアジア・オセアニア等において、価値提供先である従事者・事業者・エンドユーザに情報をコアとした様々なサービスを提供しています。高齢社会を取り巻く人々を情報を介してサポートする情報インフラの構築を通じて高齢社会で生じる様々な課題を解消し、従事者・事業者・エンドユーザの生活の質の向上に貢献していきます。

 

 当社グループの事業領域である高齢社会に関連する市場は年々拡大し、今後もさらに拡大が見込まれています。日本においては、高齢者人口(65歳以上)が2018年10月1日時点で約3,558万人、人口構成比28.1%に達し、世界で最も高い水準となっています。また、それに伴い介護費、医療費も急増し、それぞれ11兆円、42兆円に達しています(注1)。アジア・オセアニア地域においては、人口増加や経済発展を背景に医療やヘルスケアの市場が急拡大しており、医療費は1兆ドルと日本の2倍を超える規模となっています(注2)。

 

 このように高齢社会に関連する市場が年々拡大する中で、介護や医療、ヘルスケア等に関する情報の量は飛躍的に増加し、その情報は多様化・複雑化しています。このため、適正な情報発信・受信に対するニーズはますます高まり、当社グループにとって膨大な事業機会が生まれるものと認識しています。

 

 当社グループはキャリア分野、介護事業者分野、海外分野を主力事業とし、ヘルスケアやシニアライフを中心とする領域においても数多くの新規事業を開発・育成しています。

 

 キャリア分野においては、高齢者人口の増加に伴い大きな課題となっている、介護・医療等の領域における従事者不足解消に貢献していきます。当社グループは介護・医療系職種を対象とした求人情報や人材紹介の市場をパイオニアとして創造し、業界No.1のポジションを確立してきました。特に2025年に34万人の不足が見込まれる介護職(注3)に対しては、多様なキャリアサービスの提供を通じ、人手不足の解消に貢献していきます。既存従事者の転職支援のみならず他業界からの新規就業を促すと共に、従事者教育や定着支援を通し、生産性向上や離脱防止にも寄与していきます。また、2017年11月にウィルワン社の子会社化により柔道整復師/あはき師(注4)向けキャリア関連サービスに進出したほか、2018年10月には保育士向け人材紹介を自社で立ち上げ、看護師・介護職等に続く成長事業を育成しています。今後も既存サービスにおけるシェアの拡大、展開サービス拡充及び他職種へのサービス拡張により従事者・事業者への提供価値を最大化し、キャリア分野全体で持続的な成長を実現していきます。


 介護事業者分野においては、サブスクリプション型の経営支援プラットフォーム「カイポケ」を通じ、介護事業者の経営改善とサービス品質向上に貢献していきます。保険請求サービスに加えて求人・業務支援・金融・購買等の40以上のサービスをワンストップで提供することにより、介護事業者の経営を総合的に支援しています。今後もシェアの拡大、展開サービス拡充及び対応事業所種別の拡張により、経営支援プラットフォームとしての提供価値を最大化し、持続的な成長を実現していきます。

 

 海外分野においては、2015年10月にアジア・オセアニアで医薬情報サービスを展開するMIMSグループを子会社化し、現在15の国と地域でサービスを提供しています。1963年に創業し50年以上にわたる歴史をもつMIMSブランドは域内で圧倒的な知名度を誇り、医療従事者の会員数は約250万人にのぼります。MIMSがもつ圧倒的なブランド力、医療従事者の会員基盤、製薬会社や医療機関との取引基盤を活用して、医療・ヘルスケア関連事業者のマーケティング支援等の事業を展開しています。さらに、2017年6月にマレーシアの看護師人材紹介会社Melorita社を子会社化し、グローバルキャリアビジネスを本格的に開始しました。MIMSの会員基盤、当社のキャリア事業ノウハウ、Melorita社のクロスボーダーでのオペレーションノウハウを活かし、グローバルキャリアビジネスを拡大していきます。また、2018年9月にMIMSを完全子会社化したことにより、意思決定の迅速化および当社グループ内における一層のシナジー創出を実現すると共に、MIMSをアジア・オセアニア等の地域での事業展開のプラットフォームとして海外戦略を強力に推進し、さらなる成長を実現していきます。

 

 上記に加え、当社グループではヘルスケア領域及びシニアライフ領域を中心に数多くの新規事業を開発・育成しています。介護・医療費の増大を背景に、今後は認知症・慢性疾患の予防や公的保険外のサービスに対するニーズが高まることが見込まれます。こうした流れを捉え、ヘルスケア領域においては健康保険組合に対するICTを活用した遠隔での特定保健指導サービスや企業に対する産業保健サービス等を提供しています。当社グループが有する医療従事者ネットワーク、ICTの知見及び省庁等との実証事業の実績という強みを活用することで、利用者の健康や病気予防のための安価で実効性のあるソリューションを実現しています。今後も展開サービス拡充及びサービス提供対象の企業・健保・利用者数の拡大により提供価値を最大化し、健康な労働力人口の増加に貢献していきます。また、シニアライフ領域においては、高齢社会特有のテーマである介護・住まい・終活の各領域で事業者とエンドユーザをマッチングするサービスを開発し、高齢者とその家族の生活にまつわる意思決定の質の向上に貢献していきます。


 当社グループは今後も拡大する市場から生まれる様々な事業機会を捉え、国内外において新たなサービスを数多く生み出すことで社会課題の解決に貢献し、長期的かつ持続的な成長を実現していきます。

 

(注1)高齢者人口・構成比:総務省 介護費:2017年度予算、内閣府資料 医療費:2017年度速報値、厚生労働省

(注2)2016年、WHO統計

(注3)厚生労働省

(注4)あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師のこと

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、企業価値と関連する総合的な業績指標である当期純利益の成長を経営上の目標として重視しています。限られた経営資源を効率的に活用し、資本コストを超える高いROEを実現しながら、当期純利益を継続的に成長させていくことを目指しています。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループは、持続的な成長と社会への貢献を通じて、長期的な企業価値向上を実現することを最も重要な課題と考えています。既存事業の更なる成長と積極的な新規事業の開発・育成により高齢社会で生じる様々な課題を解決し、当期純利益を継続的に成長させていくことを目指しています。このような認識のもと、各事業部門において以下のような取り組みを推進しています。

 

 ① キャリア分野

  当社グループでは、キャリア分野の成長が当社グループの持続的な成長の土台になると考えています。既存のNo.1サービスにおける更なるシェア拡大、展開サービスの拡充及び新規職種へのサービス拡張を通じて従事者・事業者への提供価値を最大化し、介護・医療等の領域における従事者不足の解消に貢献していきます。

  このような方針のもと、今後もキャリアパートナーの継続的な採用・育成を通じた既存サービスの拡大、従事者・事業者のニーズに応える多様なサービスの開発・育成を進めると共に、看護師、介護職向け人材紹介等に続く新たな成長事業を育成していきます。

 

 ② 介護事業者分野

  当社グループでは、介護事業者分野の成長が当社グループの持続的な成長を牽引する事業になると考えています。「カイポケ」におけるシェアの拡大、展開サービスの拡充及び対応事業所種別の拡張を通じてプラットフォームとしての提供価値を最大化し、介護事業者の経営改善とサービス品質向上に貢献していきます。

  このような方針のもと、今後も安定したシステム基盤の構築、営業体制の強化による会員数の着実な増加、介護事業者の経営改善に寄与する新サービスの積極的な開発に加え、継続的なシステム開発を通じて新たな事業所種別に対するサービス拡張を進めていきます。

 

 ③ 海外分野

  当社グループでは、MIMSグループのアジア・オセアニア地域での圧倒的なブランド力、医療従事者の会員基盤及び医療・ヘルスケア関連事業者や医療機関との取引基盤を活用することで、海外戦略を強力に推進できると考えています。医療・ヘルスケア関連事業者向けマーケティング支援事業やグローバルキャリアビジネス等を通じて、アジア内外における医療の向上に貢献していきます。

  このような方針のもと、今後も海外戦略を担うマネジメント人材の確保及び最適な組織体制の構築を推進し、医療・ヘルスケア関連事業者向けマーケティング事業等の着実な成長と、グローバルキャリアビジネスにおける展開国拡充を通じた事業拡大を図っていきます。

 

 ④ 事業開発分野

  当社グループでは、長期的な成長を実現するためには、積極的な新規事業の開発・育成によりキャリア・カイポケ・海外事業に続く新たな主要事業を創出することが不可欠だと考えています。また、ヘルスケア領域及びシニアライフ領域を中心に新規事業の開発・育成を進めることで、高齢社会における様々な社会課題の解決に貢献できると考えています。

  このような方針のもと、今後も事業開発を担う人材を積極的に採用・育成し、高齢社会で生まれる膨大な事業機会を確実に捉えて新たなサービスを次々と生み出していきます。

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したもので、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。

 

<全社共通>

(1)外部環境に関するリスク

①技術革新について

 当社グループは、インターネットを利用し介護・医療・ヘルスケア等に関連する事業を展開しています。当社グループの想定しない新しい技術の普及等により技術環境が急激に変化した場合、当社グループの技術等が陳腐化し、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

②競合について

 当社グループは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをグループミッションに掲げています。人材紹介等、個別の事業においては競合他社が存在していますが、当社グループのように高齢社会全体を事業領域として捉えて事業を展開している競合他社は存在していないと認識しています。これまで当社グループは高齢社会に関連する市場に特化し、従事者及び事業者を囲い込みながら事業を展開することで多くの事業において競合他社より圧倒的に有利な地位を築いてきました。しかしながら、高齢者数の増加を背景に高齢社会の情報インフラに関連する市場には膨大な事業機会があるため、個別の事業に対し新たに参入する企業が増加してきた場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

③自然災害及び有事について

 当社グループは、自然災害及び有事対応を想定した事業運営をしています。しかしながら、当社グループが人的・物的被害を受けた場合、当社グループの全部又は一部のサービス提供が一定期間困難となり、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)人材・組織に関するリスク

 当社グループの事業領域である高齢社会に関連する市場は今後も拡大が見込まれ、膨大な事業機会が生まれると認識しています。当社グループのミッションに掲げる高齢社会に適した情報インフラを構築していくためには、その機会をいち早く捉え様々なサービスを数多く生み出し続ける必要があり、社会からの要請を真摯に受けとめ主体的に変化対応できる人材の採用及び育成が非常に重要です。しかしながら、今後人材の採用や育成が計画通り進捗しない場合や離職及び育児介護休業の取得等により多くの欠員が生じた場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)法令、訴訟、情報セキュリティ等に関するリスク

①法令について

 当社グループは、当社グループの幅広い事業領域に関係する、法令その他諸規則、社会規範を遵守すべく、「ビジネスガイドライン」の制定や研修を通し、役職員に対してその周知、徹底を図り、継続的にコンプライアンス体制の強化に取り組んでいます。当該ガイドラインや研修の中には、個人情報保護法、独占禁止法、景品表示法、著作権法、職業安定法等、当社グループの事業に関連の深い法令の遵守、反社会的勢力との関係遮断、不正行為の防止等が含まれています。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分なコンプライアンス体制の構築が追いつかず、法令違反等が生じた場合、ユーザー及び取引先等の信頼失墜やブランドイメージの悪化等を招く、若しくは訴訟を提起されるという事態が発生し、このような事態が生じた場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

②訴訟について

 当社グループに対して、業績に重要な影響を与える訴訟等は提起されておらず、現時点において、業績に重要な影響を与える訴訟等が提起される見通しはありません。しかしながら、業績に重要な影響を与える訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が提起され当社グループに不利な判断がなされ、訴訟対応のための多額の費用負担が発生し、又はユーザー及び取引先等の信頼失墜やブランドイメージの悪化等が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

③情報セキリュティについて

 当社グループは、展開する各サービスの運営過程において、個人情報を含む顧客情報やその他の機密情報を取り扱っています。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、情報の取り扱いに関する社員教育、経営会議を通した全社的なセキュリティシステムの改善、情報へのアクセス管理等、内部管理体制の強化に継続して取り組んでいます。しかしながら、当社グループや委託先の関係者の故意・過失、又は悪意を持った第三者の攻撃、その他想定外の事態の発生により、これらの情報が流出又は消失する場合があります。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、競争力の低下、損害賠償やセキュリティ環境改善のために多額の費用負担等が発生し、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

④システム障害について

 当社グループは、インターネット通信網を利用した業務システムやウェブサイトを主なサービス提供手段としており、サービスの信頼性及び取引の安全性の観点から、当社グループの事業用ITインフラは高可用性、耐障害性を備えた設計としています。また、管理を強化するため、システム開発及び運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しています。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故等が起こった場合、当社グループ役職員の操作過誤が生じた場合、又は不正アクセスによる破壊若しくは改ざん等の行為が生じた場合には、当社グループのITシステムの機能低下、又は誤作動や故障等の深刻な事態を招く可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループはサービス提供及び営業取引に深刻な影響を受け、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑤発信した情報の知的財産権について

 当社グループは、インターネットや紙媒体により様々な情報発信を行っております。当社グループは、これらの情報発信を行うに当たって、著作権や商標権等の知的財産権を侵害してないことや作成方法及び内容が社会的に妥当であることについて、顧問法律事務所の助言を含めた社内外のチェックにより細心の注意を払っています。しかしながら、当社グループが他者の知的財産権を侵害したり当社グループが発信した情報の作成方法又は内容の妥当性について社会的批判を受けた場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑥コミュニティサービスの健全性について

 当社グループのコミュニティサービスは、掲示板等において、多数の個人会員が会員間で独自にコミュニケーションをとることが可能です。当社グループは、健全なコミュニティを育成するため、適切な利用を促す目的で利用規約を定めています。また、会員の不適切な利用を確認した場合には投稿削除等の措置を講じています。しかしながら、今後急速な会員数の拡大等の結果として、当社グループが会員によるサイト内の行為を完全に把握することが困難となり、会員の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、当社グループが法的責任を問われる可能性があり、仮に法的責任を問われないときにおいても、ブランドイメージの悪化等が発生し、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4)財務に関するリスク

①のれん及び無形資産の減損について

 当社グループは、2015年10月に、アジア・オセアニア地域で医薬情報サービス事業を展開するMIMSグループを買収するため、同グループの持株会社であるMedica Asia (Holdco) Limitedの株式の60%を取得し、2018年9月には、三井物産株式会社から当持株会社の全株式を取得しました。これらの株式取得に伴い、のれん及び無形資産である顧客関係資産と商標権を計上しており、今後、同グループの収益性が著しく低下し減損損失の計上が必要となった場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

②株式価値の希薄化について

 当社グループは、ストックオプション制度を採用しており、当連結会計年度末現在、同ストックオプションによる潜在株式は1,340,000株であり、潜在株式も含めた株式総数の1.52%に相当します。これらは、当社グループの業績・業容拡大のための手段の1つとして実施しており、必ずしも既存株主の利害と相反するものではないと考えていますが、新株予約権の権利行使条件を満たした場合、当社株式の1株当たりの価値は希薄化する可能性があります。

 

③為替の影響について

当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債は、日本円換算した上で連結財務諸表を作成しており、換算時の為替レートによる為替変動の影響があります。想定を超えた急激な為替レートの変動が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)事業開発・M&Aに関するリスク

当社グループは、自社で行う事業開発に加えて、M&A及び他社との業務提携を通じて、既存事業の拡大及び新規事業の開発を推進しています。しかしながら、新規事業を開始するにあたっては、相応の先行投資を必要としたり、事業固有のリスク要因が発生する場合等があります。また、M&A・業務提携にあたっては、期待通りの効果を生まず戦略目的を達成できない場合や、投資後に未認識の債務が判明する場合等があり、これらの場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

<事業領域固有>

(6)キャリア分野に関するリスク

①人材紹介事業について

 当社グループは、有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可を受けています。当社グループの主要な事業活動の継続には有料職業紹介事業の許可が必要であるため、何らかの理由により許可の取消があった場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。なお、許可が取消となる事由は職業安定法第32条の9において定められておりますが、当連結会計年度末時点において当社グループが認識している限りでは、当社グループにはこれら許可取消の事由に該当する事実はありません。当社グループが保有している主な有料職業紹介事業許可の許可番号及びその取得年月等は以下のとおりです。

 

所轄官庁等

取得者名

許可番号

取得年月

有効期限

厚生労働省

株式会社エス・エム・エス

13-ユ-190019

2003年7月1日

2021年6月30日

厚生労働省

株式会社エス・エム・エスキャリア

13-ユ-306922

2015年1月5日

2023年1月4日

 

②介護・医療業界の労働市場について

 介護・医療業界における労働市場においては、介護職や看護師等の慢性的な人材不足の状況が続いています。介護事業者が実施するサービスによっては、ケアマネジャー等の有資格者を一定数従事させることが介護保険法等で義務付けられており、それに応じて、当社グループは、ケアマネジャーや看護師をはじめとした有資格者を対象としたサービスを提供しています。このような状況下において、介護・医療業界における事業者による従事者の採用需要は、今後も継続的に発生する状況であると当社グループでは考えています。しかしながら、今後、これらの資格を規定する介護保険法・保健師助産師看護師法等の改正や介護・医療業界における規制緩和等により、事業者による従事者の採用需要が低下した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)介護事業者分野に関するリスク

 当社グループは、介護保険法の改正をタイムリーに捉えた事業運営を行っています。しかしながら、今後の介護保険法の改正動向次第で、当社グループや顧客である介護事業所の事業環境が大きく変わり、当社グループの既存サービスが陳腐化した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

また、介護事業者向け経営支援プラットフォーム「カイポケ」における介護保険請求システムについては、2万を超える介護事業所で利用されており、毎月の保険請求に関わる重要なデータを取り扱うことから、データ保管のクラウド化を実施するなど、有事の際にもデータを利用できるよう対処しています。しかしながら、このような管理にもかかわらず、当社グループ役職員の操作過誤が生じた場合、又は不正アクセスによる破壊若しくは改ざん等の行為が生じた場合等、当社グループのITシステムの機能低下、誤作動や故障等の深刻な事態につながり補償等が必要となり、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(8)海外分野に関するリスク

 当社グループは、海外、特に人口の増加や経済発展により医療・ヘルスケア分野のニーズが急拡大しているアジア・オセアニア等を重点地域と位置付け、その一環として2015年10月にMIMSグループ持株会社Medica Asia (Holdco) Limitedの株式の60%を取得し、2018年9月に三井物産株式会社から当持株会社の全株式を取得し100%子会社化しました。

 このような海外での事業展開においては、政治的要因(法制度や介護医療業界への規制、政情不安等)、経済的要因(為替、景気等)、文化的要因(文化、商習慣等)及び社会環境に関する予測し得ない要因等により、日本企業同士で行う国内事業以上に事業運営に難しさがあることを認識し、シンガポールに統括拠点を置き、日本本社と連携を取りながら、各国のカントリーリスクに留意した事業推進を行っています。しかしながら、当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(9)事業開発分野に関するリスク

 事業開発分野においては、ヘルスケア領域におけるICTを活用し栄養士や産業医をはじめとした有資格者と連携し、特定保健指導サービスやリモート産業保健サービスを提供しており、サービス提供にあたりこれらの有資格者を確保することが当社の重要な経営課題となっています。しかしながら、今後、これらの有資格者との連携が難しくなった場合、当社グループはサービス提供継続に深刻な影響を受け、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループの連結財務諸表等は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表等の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.会計方針に関する事項」に記載するとおりです。また、連結財務諸表等には、各引当金の計上及び繰延税金資産の回収可能性等将来に対する見積り等が含まれております。これらの見積りは過去の実績や趨勢に基づき、当連結会計年度末現在において可能な限り合理的に判断したものですが、将来予期し得ない事象等の発生により、これらの見積りと結果とが異なる可能性があります。

 

(1)経営成績の状況に関する分析・検討内容

                                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

   至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

   至 2019年3月31日)

増減額

増減率

売上高

26,611

30,836

4,225

15.9%

営業利益

4,021

4,743

721

17.9%

経常利益

5,007

5,979

972

19.4%

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,361

4,216

855

25.5%

 

 当社グループは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをグループミッションに掲げています。介護、医療、ヘルスケア、シニアライフを高齢社会における事業領域として定義し、日本及びアジア・オセアニア等において、価値提供先である従事者・事業者・エンドユーザに情報をコアとした様々なサービスを提供しています。高齢社会を取り巻く人々を情報を介してサポートする情報インフラの構築を通じて高齢社会で生じる様々な課題を解消し、従事者・事業者・エンドユーザの生活の質の向上に貢献していきます。

 

 当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりとなり、当社が重視する経営上の目標である当期純利益の継続的成長を達成しております。

 売上高は、キャリア関連事業の拡大及び経営支援プラットフォーム「カイポケ」の会員数増加等により、30,836百万円(前期比15.9%増)となりました。

 営業利益は、4,743百万円(前期比17.9%増)となりました。

 経常利益は、持分法投資利益が増加し、5,979百万円(前期比19.4%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、4,216百万円(前期比25.5%増)となりました。

 

 当社グループでは、キャリア・介護事業者・海外・事業開発の4分野を事業部門として開示しています。また、キャリア分野は介護キャリア・医療キャリアに細分化し開示しています。

 

<事業部門別売上高>

(単位:百万円)

事業部門

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

   至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

   至 2019年3月31日)

増減額

増減率

キャリア分野

16,863

20,398

3,534

21.0%

 

 

介護キャリア

5,836

7,974

2,138

36.6%

医療キャリア

11,027

12,423

1,395

12.7%

介護事業者分野

3,328

3,930

601

18.1%

海外分野

5,109

5,464

354

6.9%

事業開発分野

1,309

1,041

△268

△20.5%

合計

26,611

30,836

4,225

15.9%

 

<キャリア分野>

 介護キャリアにおいては、介護職向け人材紹介サービス「カイゴジョブエージェント」がキャリアパートナーを大幅に増員し、大きく成長しました。

 医療キャリアにおいては、看護師向け人材紹介サービス「ナース人材バンク」等が順調に成長しました。2017年11月に子会社化した、柔道整復師/あはき師向けにキャリア関連サービスを提供しているウィルワン社も、当社の集客・マッチングノウハウを適用することで人材紹介事業を中心に大きく成長しました。また、2018年10月より、人手不足が深刻で看護師、介護職等に続く成長余地が見込める保育士向けの人材紹介サービス「保育士人材バンク」を開始しました。

 以上の結果、キャリア分野の当連結会計年度の売上高は、20,398百万円(前期比21.0%増)となりました。

 

<介護事業者分野>

 介護事業者分野においては、「カイポケ」が順調に成長しました。会員数の増加に加え、スマートフォンやタブレット追加、ファクタリングサービス等の定額外のアドオンサービスの利用拡大が成長に寄与しました。
 以上の結果、介護事業者分野の当連結会計年度の売上高は、3,930百万円(前期比18.1%増)となりました。

 

<海外分野>

 海外分野においては、MIMSにおける医療・ヘルスケア関連事業者のマーケティング支援等の既存事業や、グローバルキャリアビジネスが順調に成長しました。2018年5月にフィリピンの看護師人材紹介会社であるMSR社を子会社化し、同国看護師のグローバルでの紹介を本格的に開始しました。また、2018年9月に三井物産株式会社からMIMSグループの持株会社であるMedica Asia(Holdco)Limited(本社所在地:英国)の全株式を取得し、MIMSの意思決定の迅速化および当社グループにおける一層のシナジー創出を図っています。

 以上の結果、海外分野の当連結会計年度の売上高は、5,464百万円(前期比6.9%増)となりました。

 

<事業開発分野>

 事業開発分野においては、看護師向け通販事業「ピュアナース」を2017年12月でサービス提供終了したことにより、前期比で減収となりました。一方、ヘルスケア領域におけるICTを活用した遠隔での特定保健指導・産業保健等のサービス、シニアライフ領域における高齢者向け食事宅配情報やリフォーム事業者情報等のサービスを中心に新規事業の開発が進みました。

 以上の結果、事業開発分野の当連結会計年度の売上高は、1,041百万円(前期比20.5%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度末における総資産は、47,467百万円(前連結会計年度末比1,379百万円増)となりました。これは主に、業容の拡大による現金及び預金の増加、「カイポケ」におけるファクタリングサービスの利用事業者増による未収入金の増加によるものです。

 負債は、31,928百万円(前連結会計年度末比9,482百万円増)となりました。これは主に、MIMSグループ完全子会社化に伴う長期借入金の増加及び「カイポケ」におけるファクタリングサービスの利用事業者増による未払金の増加によるものです。

 純資産は、15,539百万円(前連結会計年度末比8,102百万円減)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上した一方、MIMSグループの株式追加取得により資本剰余金、利益剰余金及び非支配株主持分が減少したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、9,890百万円(前連結会計年度末比1,122百万円増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、5,156百万円の収入(前年同期は4,811百万円の収入)となりました。これは主に、業容の拡大により税金等調整前当期純利益が5,534百万円となったこと、MIMSグループの顧客関係資産の償却等により減価償却費が1,061百万円、のれん償却額が807百万円となったことによるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,066百万円の支出(前年同期は2,095百万円の支出)となりました。これは主に、「カイポケ」等のシステム開発投資により無形固定資産の取得による支出が731百万円となったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,943百万円の支出(前年同期は1,107百万円の支出)となりました。これは主に、MIMSグループ完全子会社化に伴い長期借入れによる収入が10,953百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が11,453百万円となったこと、配当金の支払による支出が557百万円となったことによるものです。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性に関する2020年3月期の計画については、現時点で従来の水準を大きく超える資本的支出は予定していません。通常の事業運営に必要な資金は手元資金で充当できる見通しです。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

② 受注実績

 受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

③ 販売実績

 「(1) 経営成績の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。

4【経営上の重要な契約等】

 当社は2018年9月27日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるMedica Asia(Holdco)Limitedの株式を追加取得し、完全子会社とすることについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、新規事業投資に係る費用の一部を研究開発費として計上しておりますが、金額が僅少のため、記載を省略しております。