第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループは、「組織を超えた連携を実現するソフトウェアを開発し世界規模で提供する」ことを使命(ミッション)としています。そのために、当社自体が「『つなぐ』エキスパート」として社会的な価値を生み出し、社会に貢献することを目指しています。

 また、当社グループは「『売上収益』は当社が社会に生み出した価値、『利益』は当社が生み出した価値と消費した価値の差分」との考え方を基本に、社会的価値の提供を通じて企業価値の増大に努めてまいります。

 

(2)経営環境、戦略

 当社グループは、創業時より「世界で通用するソフトウェアを開発し提供する」ことを事業の使命として掲げています。世界で通用するソフトウェアとは、米Microsoft社や米Google社のソフトウェアなど世界の大半の国や地域で使われるソフトウェア(サービス含む。)を指し、当社グループはかかる使命の実現のためのソフトウェアの開発と販売を基本的な事業としています。当社グループは、顧客からの注文に基づく受託開発ではなく、独自の製品を自ら企画開発して提供する事業形態であるために、市場やニーズの変化に先行して製品化を行う必要があり、そのために将来有望な新規技術に関する研究開発が必要です。そして、このような研究開発には先行投資が必要となります。当社グループがこれから世界市場での展開をより具体化させていくにあたり、研究開発のスピードも競合他社と同等又はそれ以上のものが必要となるため、以下に記載の重点技術領域における、現行製品・サービスの次世代版、ブロックチェーン技術、AI、フィンテックなどに関連する研究開発を推進しております。

 

 当社グループは、これからの投資分野として4つのD「Data(データ)」、「Device(デバイス)」、「Decentralized(分散化)」及び「Design(デザイン)」の領域を対象とすることとしています。クラウドをベースとしたビジネス基盤が構築される現代において、当社がこの4つのDを加速させるソフトウェアを提供してまいります。

<「Data(データ)」データのみがIT資産になる>

  クラウドによって、ハードウェアもソフトウェアも企業のIT資産ではなくなり、データのみが企業のIT資産となります。そして、ビッグデータ技術や、機械学習/深層学習などのAI(人工知能)技術が進展します。当社では、これらの技術をつなぐことで、企業の価値向上に貢献してまいります。

<「Device(デバイス)」デバイスが不可欠なインフラになる>

  インターネットが始まって以来初めて、コンピュータよりIoTなどの周辺機器の接続数が増える時代になります。当社では、「Handbook」によりスマートデバイス※への対応だけでなく、「Platio」(プラティオ)や「Gravio」(グラヴィオ)でIoT機器をつなぐことで、新たなデバイスを活用するシステムの価値向上に貢献してまいります。

<「Decentralized(分散化)」分散して協調ができるようになる>

  クラウドの普及が進展し、非中央集権型のシステムが構築可能となります。ブロックチェーンやピア・ツー・ピアの技術を活用することで、これまでは不可能だった非中央集権型組織のサービスも構築と可能となり、当社でも当該サービスの提供を通じて未来型組織の実現に貢献してまいります。

<「Design(デザイン)」機能ファーストからデザインファーストへのシフトが起こる>

  企業向けソフトウェアにおいても、近い将来デザイン志向のソフトウェア開発が重要になる時代が訪れると確信しています。当社が買収したデザイン戦略コンサルティング企業のThis Place社とのシナジーを活かし、デザイン指向の次世代ソフトウェアの研究開発を行ってまいります。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが重視している経営指標は、従業員一人当たり売上収益、売上総利益率および営業利益率です。それぞれの指標の今期の実績は以下のとおりです。当期においては、売上収益においては新型コロナウイルスの影響もありデザインサービスユニットが低下したものの、売上総利益率及び営業利益は日本国内市場でのソフトウェア製品の売上増と、海外におけるThis Place社(100%子会社)の構造改革が奏功して黒字化したこと、新型コロナウイルス感染拡大の影響による旅費交通費等の経費削減に加えAsteria Vision Fund Ⅰ,L.P.(AVF-1)を通じた企業投資の未実現評価益の計上が寄与し増加いたしました。

 

前期実績

当期実績

従業員一人当たり売上収益

24,785千円

21,680千円

売上総利益率

70.7%

81.3%

営業利益率

△9.8%

30.5%

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の世界経済は、新型コロナウイルスの影響により、多くの国や地域での著しい落ち込みが懸念されています。このような経済予測の影響を受け、当社が顧客とする様々な業界において当面の新規IT投資の抑制の傾向が顕在化しつつあります。当社グループにおいては、社員の安全を確保しつつ事業活動を継続するために、在宅テレワークをはじめとした各種施策を迅速に実施し、影響の最小化と新しい働き方モデルの構築に尽力しています。

一方、中長期的には、「ニューノーマル」と言われる新たな社会の常態においては「遠隔化」「自動化」を実現するためのクラウドサービスやツールの適用が必須となり、従来予測されていたよりも短期間に新技術の普及が進んでいきます。当社グループは以前より未来のニーズを先取りした製品開発を行ってきましたので、これからの大きな変化は中長期的には追い風であり、その風を業績に反映させるべく以下の課題に取り組んでいきます。

 

① コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は創業時より一貫して社外取締役を2名以上選任し、また2017年6月以降は社外取締役を過半数の構成とし、社外の目と知見による意思決定と執行の監督を実行しております。今後も株主との対話や構成の多様性を重視したコーポレート・ガバナンスの強化・充実が継続的に必要であると認識しております

 

② 戦略的な投資と投資後の管理

当社は、新たな技術の獲得や将来的な投資先企業との協業により市場拡大を期しています。そのため、当社からの直接投資のみならず100%子会社の投資専門子会社ASTERIA Vision Fund Inc.(米国カリフォルニア州)を通じて積極的な投資を実施し、当社の事業セグメントの1つを構成しています。投資先企業の財務状況や市場環境に基づく公正価値評価によっては当社の営業損益に大きな影響を与えることが考えられるため、投資先の増加に伴い投資後の管理を行うための体制を強化することが重要となると認識しております

 

③ 新市場の開拓

当社製品による売上収益のさらなる伸長のためには、当社製品を活用した具体的な用途を提案し、その市場に確固たる地位を確立することが課題となります。当社グループとしては、特に市場性の見込まれる以下のような新たな市場開拓を図る計画です。

(ア) クラウド連携市場

新型コロナウイルス感染予防対策として、これから情報システムのクラウド化が加速すると予想されています。データ連携はクラウド上のシステムとの連携の基盤としての用途として大きな成長が期待されています。「ASTERIA Warp」シリーズは、クラウドの課金形態に即した月額利用料(サブスク型)モデル「ASTERIA Warp Core」の販売を順調に拡大しており、中期的に売上収益の安定化に貢献できる製品に成長させてまいります。

(イ) AI連携市場

企業におけるDX(Digital Transformation)の進展とともに、機械学習(MachineLearning)をベースとしたAIの市場が中長期的に大きな市場に育つと見込まれており、この市場において、世界的に先進のAIを当社製品/サービスに取り込んで行くことが重要です。当社では、AIの研究開発専業のアステリアART合同会社を子会社に持ち、社外のAI技術提供企業とも資本提携などを通じた協業を進めてまいります。

 

(ウ) IoT/エッジコンピューティング連携市場

IoT/エッジコンピューティングは、大きな市場拡大が見込まれています。企業におけるIoT活用のためには、機器連携、クラウド連携、システム連携が重要であり、いずれも当社の得意とする領域です。特に、AI搭載エッジウェア「Gravio」において当該領域における企業協業を推進し、市場の開拓を進めます。

 

④ ブロックチェーン技術の普及

当社は、大きな将来性が見込まれるブロックチェーン技術において、非暗号資産分野での展開を図ります。「ASTERIA Warp」とブロックチェーンの接続アダプター、文書改ざん検知ソリューション、バーチャル出席型株主総会での質問や議決権行使など、業種にとらわれないブロックチェーンのソリューションを提供してまいります。これらのソリューションに基づく業績は、市場におけるブロックチェーン普及に大きく左右されるため、その啓発活動が課題であると認識しています。

 

⑤ 海外市場への展開

当社グループは、設立時より海外に通用するソフトウェアの開発と提供を目指しています。特に世界的にプラットフォーム(技術基盤や販売環境)が統一されているネットサービスにおいては、積極的に海外展開を行っています。当社グループのソフトウェアは、日本語、英語、中国語の3ヶ国語で開発していますが、多言語展開を含めた海外市場への取り組みが引き続き重要な課題であると認識しています。

 

⑥ 成長のための人材の強化

当社製品やサービスの顧客企業数が増え、ターゲットとなる業種業態も幅が大きく広がっています。また、今後マルチプロダクト/サービス化、グローバル化により様々なターゲット分野における成長をより確固たるものにするために、開発、マーケティング、営業、管理などの各職務において優秀な人材をタイムリーに採用することが重要な課題となっており、グローバル化の強化の為に、日本国籍以外の人材採用を積極的に行っております。

また、グローバルビジネスを展開する上で必要な海外の法的リスクに関する研修を充実し、グローバル人材を育成することが重要であると認識しております。

 

2【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。

また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。なお、本書に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが入手可能な情報から判断したものであります。

 

新型コロナウイルスの影響について

今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、世界的な規模で経済活動に影響を及ぼしております。当社グループは、BCPガイドラインに基づき、テレワークや時差出勤等により柔軟に事業を継続できる体制に努めておりますが、今後、事態が長期化した場合には、商談機会の減少による新規取引案件の減少、出張や客先訪問が困難になることによるサービスレベルの一時的・部分的な低下が生じるおそれがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② 海外事業の展開について

当社グループは、経営方針に基づき積極的な海外展開を実施しております。その市場は現在、北米市場、欧州市場を主としておりますが、今後はアジア市場もターゲットとして市場開拓を実施してまいります。

これらの進出国において、法令、政治、経済の変化、文化や宗教及び新型コロナウイルス感染症の影響等の様々なカントリーリスクを有しているため、不測の事態が発生し事業の推進に障害が発生する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの進出国において、法令、政治、経済の変化、文化や宗教影響等の様々なカントリーリスクを有しているため、不測の事態が発生し事業の推進に障害が発生する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債について現地通貨で発生したものは、円換算した上で連結財務諸表を作成していますが、完全に当該リスクを回避することは難しく、外国為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新製品・新サービスについて

当社グループでは、価値ある新しい製品や新しいサービスを世に送り出すことによる収益向上を図っており、魅力的な新製品・新サービスの開発による売上収益の増加が、企業の成長にとって重要な要素であると考えています。そのため、これまでにも、スマートデバイス技術、IoT関連技術、ブロックチェーン関連技術など近年開発された革新的な技術について早期に積極的に経営戦略の主題として取り組んでいます。しかしながら、ソフトウェア業界の技術革新のスピードは速く、その技術革新を予測することは極めて難しいため、当社が常に技術革新に適合した魅力的な新製品をタイムリーに開発できるとは限りません。当社の予測に見込み違いが生じ、技術革新や市場動向に遅れをとった場合、企業収益に大きな見込み違いが生じ当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 訴訟リスク

本書提出日現在において、当社グループが訴訟を提起されている事実はありません。一方で、当社グループの事業は知的財産権をその価値の根源とするという性格上、また、当社グループが海外でも事業を展開しているため海外においても予期しない訴訟が発生する可能性があります。

当社グループでは、「コンプライアンス規程」の制定、リスクマネジメント委員会の設置及び社内教育による法令遵守の周知徹底等、多様な手段を講じ可能な限り訴訟を受ける可能性を排除するための体制を整備しています。しかしながら、何らかの訴訟を受けた場合、その内容及び結果によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ M&Aについて

当社グループは海外市場への展開を目指していますが、その中でM&Aをその有効な手段のひとつとして位置付けており、今後も必要に応じてM&Aを実施する方針です。

M&Aに際しては、対象企業のビジネス、財務内容及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針でありますが、これらの調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明する場合や、M&A実施後の事業展開が計画通りに進まない可能性があり、その場合は当社グループが当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることに加えて、対象企業の投資価値の減損処理が必要になることも考えられ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

新製品の収益性について

当社グループでは、出荷から5年に満たない製品が「Platio」「Gravio」の2製品存在します。これらの製品は、今後大きく成長する市場を見込んで開発し提供を行っているものですが、当該市場が見込み通りに成長しなかったり、想定外の競合製品が出現したりすることによって、新製品における収益が計画通りに確保できない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

人材の確保について

当社グループは、市場のニーズに合った良質の製品を提供していくために、高い能力と志をもった人材を少数精鋭で揃えることに注力しています。今後も事業の拡大に伴い、積極的に優秀な人材を採用・教育し、また魅力的な職場環境を提供していく方針でありますが、そうした人材が十分に確保できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

当社グループ提供のソフトウェアの不具合について

当社グループでは、当社グループの責めに帰すべき事由によるソフトウェアの不具合(誤作動、バグ等)を発生させないよう品質管理に最善の注意を払っており、またソフトウェア使用許諾契約書や損害保険への加入等によって不具合が発生した場合のリスクの低減措置等を講じており、製品リリース以降、そのような重大な不具合は発生していませんが、将来にわたって当社の責めに帰すべき不具合が発生しないとは限りません。そのため、ソフトウェアの不具合に起因する損害賠償責任の発生や当社に対する社会的信頼を喪失することにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 知的財産権についてのリスク

当社グループは、本書提出日現在において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。また創業以来、第三者から知的財産権に関する警告を受けたり、侵害訴訟等を提起されたりしたことはありません。しかしながら、将来の当社の事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社の事業が差し止められたり、損害賠償など金銭的な負担を余儀なくされた場合、または第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払いが発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の状況

① 資産

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ153,566千円減少し、7,907,443千円となりました。このうち、流動資産は162,225千円減少し、2,787,378千円となり、非流動資産は8,659千円増加し、5,120,065千円となりました。これらの主な要因は、流動資産においては、営業債権及びその他の債権86,516千円及び現金及び現金同等物25,894千円並びに棚卸資産20,619千円の減少になります。非流動資産においては、有形固定資産(主に使用権資産)901,575千円の減少に対し、その他の金融資産(主に関連会社株式)780,372千円の増加及びのれん124,686千円の増加によります。

② 負債

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,003,317千円減少し、2,186,157千円となりました。このうち、流動負債は94,986千円減少し、1,213,385千円となり、非流動負債は908,331千円減少し、972,773千円となりました。これらの主な要因は、未払法人所得税等67,604千円、繰延税金負債58,566千円、その他の流動負債43,972千円の増加に対し、その他の金融負債(主にリース負債)1,042,088千円及び借入金142,800千円の減少になります。

③ 資本

 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ849,751千円増加し、5,721,286千円となりました。この主な要因は、資本剰余金22,475千円の減少に対し、非支配持分26,444千円及び利益剰余金728,478千円の増加になります。

 

(2) 経営成績の状況

 当連結会計年度(2020年4月~2021年3月)における当社グループの業績は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも増収および上場来最高の利益(営業利益、税引前利益、当期利益)となりました。

売上収益は、欧米で展開しているデザインサービスBU(ビジネスユニット)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け前年同期比で大幅な減収となったものの、「ASTERIA Warp」(アステリア ワープ)を主力製品とするエンタープライズBUが伸張したことから、全体では前年同期比で100.4%となりました。

 利益は、日本国内市場でのソフトウェア製品の売上増と、海外におけるThis Place社(100%子会社)の構造改革が奏功して黒字化したこと、Asteria Vision Fund-1(AVF-1)を通じた企業投資の未実現評価益を計上したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による旅費交通費等の経費削減が寄与し、営業利益は819,757千円(前年同期は営業損失262,052千円)、税引前利益1,025,645千円(前年同期は税引前損失158,748千円)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は807,348千円(前年同期は親会社の所有者に帰属する当期損失175,525千円)となりました。

 ※当連結会計年度の営業利益には、AVF-1を通じたFVTPL(国際会計基準(IFRS-9)によるFair Value Through Profit or Loss)企業投資の未実現評価益247,211千円が含まれております。

 

  ≪当社グループの取り組み≫

 当社グループでは、前期第4四半期に始まった世界的な新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて積極的な対応を継続しております。全ての子会社において、各国の感染状況に合わせ全社的なテレワークへ移行し、事業のスムーズな遂行と社員の感染予防を両立しています。

 また、当社の製品/サービスにおいても、全てのイベント/セミナーをオンライン化して顧客企業の感染拡大防止に努めるとともに、個別の製品/サービスにおいて、以下のような迅速な取り組みを実施しました。

 ・ ASTERIA Warp:テレワークを支える各種※クラウドサービスとの連携を実現するウェビナーの実施

 ・ Handbook:業務のペーパーレス化支援やリモート合宿支援に向けた製品提供と事例の公開

 ・ Platio:モバイルを活用した「新しい生活様式」アプリの提供と現場におけるDX事例の公開

 ・ Gravio:画像認識技術やCO2センサーを活用した「3密回避」ソリューションの提供と事例の公開

 ・ Blockchain:「出席型」バーチャル株主総会の実施とサービスとしての提供

 ・ This Place:小売業Eコマースに対する新型コロナウイルス対応のホワイトペーパーの提供

 今後、当社グループにおいては、「ニューノーマル」時代において大きく成長すると考えられるC.A.R.(クラウド(Cloud)、自動化(Automation)、遠隔化(Remote))の領域に集中した投資を行い、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響による厳しい経済状況の中でも成長を目指します。

≪ソフトウェア事業セグメント≫

ソフトウェア事業セグメントは3つのビジネスユニットで構成され、それぞれの売上状況は以下の通りです。

① エンタープライズ

 本ビジネスユニットは、データ連携ミドルウェア製品「ASTERIA Warp」とAI搭載IoT統合エッジウェア製品「Gravio」を展開しています。

 「ASTERIA Warp」は、特定業務のデータ連携に特化したサブスクリプション版「Core」の販売が80%の増収(前期比)を記録し、全体を牽引しました。年度初めよりオンラインにシフトした積極的な営業活動の展開により、顧客管理システムやアプリ開発ツールなどとの新たな連携ニーズも捕捉しています。2020年12月に開始した「地方自治体のDX推進に向けたキャンペーン」では、導入実績がある都道府県や政令指定都市に加えて、中小規模の地方自治体からも新たな引き合いを獲得しました。
 AI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」は、新型コロナウイルス感染防止のための労働環境の変化や「3密回避」に対応するデバイスやソフトウェアへのニーズが旺盛で、前期比で約10倍の増収を記録しました。Gravioの各種センサーを用いて生産工程の遠隔管理や自動化(無人化)、CO2濃度から人の密状態を自動検知・警告するソリューションなどでの採用が拡大しました。

 このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比109.8%となりました。

 

② ネットサービス

 本ビジネスユニットは、モバイル向けコンテンツ管理システムサービス「Handbook」とモバイルアプリ制作プラットフォームサービス「Platio」を展開しています。

 現場のDX推進やノーコード開発ツールなどが注目されるなか、「Platio」は自社業務にマッチするモバイルアプリを「3日で作成」できるツールとしてテレビCMを含めた積極的なプロモーションを実施した結果、前期比で約3倍の増収を記録しました。また、「Platio」の販売パートナー数は前期末から2倍以上となり、首都圏に加えて地方企業での採用も増加するなど顧客構成の多様化が進みました。

 売上の大半を占める「Handbook」は、新型コロナウイルスの影響で対面営業シーンでのニーズが減少した一方で、業務のペーパーレス化などのニーズが拡がり既存顧客での利用拡大で堅調に推移しました。

このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比105.8%となりました。

 

③ デザイン

 本ビジネスユニットは、顧客企業のブランディング戦略のコンサルティング、ウェブやモバイルアプリのデザインに関するコンサルティング、開発支援等を提供しています。

 新型コロナウイルスによる影響で観光関連産業および小売業における顧客プロジェクトの見直しが発生しました。しかし、米国および英国における新規顧客開拓で収益を確保し、新型コロナウイルス感染拡大による各国のロックダウン等の影響を最小限にとどめました。

 このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比75.2%となりました。

 

④ その他

 ブロックチェーン技術コンサルティング、「SnapCal」、「lino」等のサービスによって構成されております。

 ブロックチェーン技術コンサルティングは、明治安田生命保険相互会社および中部電力株式会社からの受注により、前期比で増収となりました。また2021年3月に「バーチャルオンリー型」の株主総会運営に関するセミナーを開催し、ブロックチェーン議決権投票システムの新規顧客獲得に向けた活動も引き続き強化しています。

 このような活動の結果、その他売上収益は前連結会計年度比160.1%となりました。

 

≪投資事業セグメント≫

 投資事業セグメントは、2019年に開始したAVF-1を通じた企業投資事業です。AVF-1は「4D戦略」(Data, Device, Decentralized, Design)に基づく投資を実施しており、その業績は、国際会計基準(IFRS-9)によりFVTPLとして投資先の評価額の増減を計上しています。

 主に、AVF-1の投資先Gorilla Technology(台湾)の事業の進捗および市場評価などにより、同社に対する投資の評価額が247,211千円増加しました。

 

また、当連結会計年度における、セグメント状況は下記のとおりとなります。

① 報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当企業集団の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。

 当社グループは、本連結会計期間より新たに投資事業を開始したことから、「ソフトウェア事業」および「投資事業」の2つを報告セグメントとし、2つの事業を基礎として組織が構成されております。

 「ソフトウェア事業」には、「エンタープライズ」、「ネットサービス」、「デザインサービス」の3つのビジネスユニットで構成されています。

 「投資事業」は、米国に拠点を置く100%子会社Asteria Vision Fund Inc.が管理する投資で構成されています。

 

② 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及び資産の金額に関する情報

前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)

 

報告セグメント

 

調整額

(注)1

 

連結

 

ソフトウェア事業

 

投資事業

 

 

 

 

千円

 

千円

 

千円

 

千円

 

千円

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外部収益

2,676,744

 

 

2,676,744

 

 

2,676,744

セグメント間収益

65

 

45,651

 

45,716

 

△45,716

 

合計

2,676,809

 

45,651

 

2,722,460

 

△45,716

 

2,676,744

セグメント利益(△損失)(注)2

149,724

 

△7,600

 

142,123

 

△53

 

142,070

その他の収益及び費用

 

 

 

 

 

 

 

 

△404,122

金融収益

 

 

 

 

 

 

 

 

157,544

金融費用

 

 

 

 

 

 

 

 

59,724

持分法による投資損益

 

 

 

 

 

 

 

 

5,484

税引前損失(△)

 

 

 

 

 

 

 

 

△158,748

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 減価償却費及び償却費

326,426

 

138

 

326,564

 

 

326,564

 減損損失

350,037

 

 

350,037

 

 

350,037

(注)1.「調整額」は、主としてセグメント間取引消去額を表示しております。

2.セグメント利益は、売上収益から売上原価及び販売費及び一般管理費を控除しております。

 

当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)

 

報告セグメント

 

調整額

(注)1

 

連結

 

ソフトウェア事業

 

投資事業

 

 

 

 

千円

 

千円

 

千円

 

千円

 

千円

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外部収益

2,688,371

 

-

 

2,688,371

 

-

 

2,688,371

セグメント間収益

64

 

25,467

 

25,531

 

△25,531

 

-

合計

2,688,434

 

25,467

 

2,713,901

 

△25,531

 

2,688,371

セグメント利益(△損失)(注)2

524,485

 

226,906

 

751,391

 

356

 

751,747

その他の収益及び費用(注)2

 

 

 

 

 

 

 

 

68,010

金融収益

 

 

 

 

 

 

 

 

220,413

金融費用

 

 

 

 

 

 

 

 

13,737

持分法による投資損益(△損失)

 

 

 

 

 

 

 

 

△788

税引前利益(△損失)

 

 

 

 

 

 

 

 

1,025,645

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

195,794

 

226

 

196,021

 

-

 

196,021

(注)1.「調整額」は、主としてセグメント間取引消去額を表示しております。

2.セグメント利益は、売上収益から売上原価及び販売費及び一般管理費を控除しておりますが、その他の収益及び費用のうち、Asteria Vision Fund Ⅰ,L.P.で保有する純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関する評価損益(注記No.26 参照)は投資事業のセグメント利益に振り替えております。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが重視している経営指標は、従業員一人当たり売上収益、売上総利益率および営業利益率です。それぞれの指標の今期の実績は以下のとおりです。当期においては、売上収益においては新型コロナウイルスの影響もありデザインサービスユニットが低下したものの、売上総利益率及び営業利益は日本国内市場でのソフトウェア製品の売上増と、海外におけるThis Place社(100%子会社)の構造改革が奏功して黒字化したこと、新型コロナウイルス感染拡大の影響による旅費交通費等の経費削減に加えAsteria Vision Fund Ⅰ,L.P.(AVF-1)を通じた企業投資の未実現評価益の計上が寄与し増加いたしました。

 

前期実績

当期実績

従業員一人当たり売上収益

24,785千円

21,680千円

売上総利益率

70.7%

81.3%

営業利益率

△9.8%

30.5%

 

(4) キャッシュ・フローの状況

① 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より25,895千円減少し、2,451,427千円となりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は775,955千円となりました。主に税引前利益1,025,645千円の獲得、減価償却及び償却費196,021千円の発生、金融収益220,413千円の発生によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は598,745千円となりました。主に投資の取得による支出568,990千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は357,740千円となりました。主に長期借入金の返済による支出142,800千円及びリース負債の返済による支出136,916千円並びに配当金の支払額66,914千円によるものです。

 

② 当社の資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、顧客からの注文に基づく受託開発ではなく、独自の製品を自ら企画開発して提供する事業形態であるために、市場やニーズの変化に先行して製品化を行っております。そのため、先端技術を習得した技術者の採用によって研究開発を推進することに加え、企業買収等によって時間と優秀な技術者を獲得することや、世界的な視野において当社の投資領域である「4D」(Data, Device, Decentralized, Design)に合致する企業への効率的な投資を行うために2020年3月期に金融機関から借入金10億円を調達し投資を行っており、当連結会計年度においても、事業からの利益を効率的な投資にあてております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。

 見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及びそれ以降の将来の会計期間において認識されます。

 経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断及び見積りは以下のとおりであります。

① 非金融資産の減損

 当社グループは、有形固定資産、のれんを含む無形資産について、減損テストを実施しております。減損テストにおける回収可能額の算定においては、資産の耐用年数、将来キャッシュ・フロー、税引前割引率及び長期成長率等について一定の仮定を設定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経営条件の変動の結果により影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表等において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 公正価値で測定する金融商品の公正価値の決定方法

 当社グループが保有する公正価値で測定する金融資産及び金融負債が、活発な市場における公表価格によって測定できない場合には、当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な前述の公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値、もしくは観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値を用いて評価しております。特に、観察不能なインプットを含む評価技法によって算定される公正価値は、適切な基礎率、仮定及び採用する計算モデルの選択など、当社グループの経営者による判断や仮定を前提としております。これらの見積り及び仮定は、前提とした状況の変化等により、金融商品の公正価値の算定に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しております。

 

③ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について

 新型コロナウイルス感染症については、収束時期等についての統一的な見解は発表されておりません。そのため、感染拡大に伴う影響については、各地域におけるワクチン接種の広がり及び経済活動の再開に伴い、来期末に向けて徐々に収束していくものと仮定し、非金融資産(有形固定資産、のれん、無形資産等)の減損等に関する会計上の見積りを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた動きが上述の想定とは異なった場合には、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 事業の特性上、事業区分別の生産規模を金額あるいは数量で示すことはいたしておりません。

② 受注実績

 事業の特性上、事業区分別の受注規模を金額あるいは数量で示すことはいたしておりません。

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績を売上区分ごとに示すと、次のとおりであります。なお、全てソフトウェア事業からになります。

売上区分

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

ライセンス(千円)

577,742

104.2

サポート(千円)

984,089

106.5

サービス(千円)

1,126,540

94.0

合計

2,688,371

100.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SCSK株式会社

290,974

10.87

343,561

12.78

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

ASTERIAマスターパートナー契約

契約書名

相手方の名称

主な契約内容

契約日及び契約期間

ASTERIAマスターパートナー契約書

パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社

「ASTERIA Warp」の販売権の付与、販売条件などを定めたもの。

2007年4月27日締結。

契約期間は締結の日より1年間。ただし、終了日の1ヶ月前までに契約終了の意思表示がない場合、自動的に1年間延長し、以降も同様とする。

 

 

 

5【研究開発活動】

(1)研究開発活動の概要

 当社グループは、企業情報システム、クラウドサービス、ハードウェア機器などを「つなぐ」(文字情報、数値情報、画像情報などデジタル化可能なさまざまな情報の交換)ためのソフトウェアを開発し、不特定多数の顧客に提供しているソフトウェア事業を営んでいます。

 これらのソフトウェアに関するアイディアを具現化し、また機能の強化を行いながら、より多くの企業におけるデジタル・コミュニケーションを円滑化し、それらをもって顧客企業の活動の価値を高めるためのソフトウェア開発を提供し続けることを、研究開発の目的としています。

 インターネットの普及と進化に伴い、多くの企業がクラウド環境に接続されている状況においては、さまざまなソフトウェア同士が必要に応じて自在に繋がりながらも密なコミュニケーションを行う重要性が増しています。そのため、当社においては、クラウドに関する研究開発を行うとともに、スマートフォンやタブレット端末※などのスマートデバイスと呼ばれるインターネットへの常時接続機能を持ったコンピュータや機器に関する研究開発、さらにブロックチェーンや機械学習(Machine Learning)/深層学習(Deep Learning)に関する研究開発を行っています。

 また、当社グループでは、ビジネス現場の人達が理解できるソフトウェア開発技法として「グラフィカル・ランゲージ」を確立し、「ASTERIA Warp」や「Gravio」に搭載しています。これは、JavaやC言語のような文字によるコーディング※ではなく、グラフィックを使用した独自の開発技法であり、この技法をさらに成長させるべく研究開発活動を行っています。

 

(2)当連結会計年度における研究開発活動の成果

 主力製品「ASTERIA Warp」においては、新しい市場ニーズや動向に応えるための製品ラインアップを提供するための研究開発を行いました。

 スマートデバイス向け製品「Handbook」においては、新バージョンに搭載する各種新機能の研究開発に加え、新たに提供されるOSや機器に対応させるための研究開発を行いました。

 モバイルアプリ制作プラットフォーム「Platio」においては、新バージョンに搭載する各種新機能の研究開発を行いました。

 AI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」においては、新バージョンに搭載する各種新機能の研究開発を行いました。

 さらに基礎研究として、ブロックチェーンや機械学習(Machine Learning)/深層学習(Deep Learning)に関する研究開発を行いました。

 このような研究開発活動の結果、当連結会計年度における研究開発費は206,237千円となりました。