第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクは次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業の特徴について

① 暗号資産の法的規制等に関する事項

当社子会社である株式会社Zaif(以下「Zaif」)は、資金決済に関する法律(以下「資金決済法」といいます。)第63条の2に基づき、暗号資産交換業者の登録を受けており、同法及び関連法令に基づく規制並びに金融庁の監督を受けております。また、自主規制機関である一般社団法人日本暗号資産取引業協会(認定資金決済事業者協会)、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会、一般社団法人日本STO協会に加入しており、それぞれの定める規則等に基づいて業務を運営しております。

 

今後、関連する法令・規則・自主規制ルールの制定・改廃や、税制・政策の変更等がなされた場合、Zaifの事業活動に制約が生じる可能性があり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与えるおそれがあります。なお、現時点において、法令違反等による行政処分に該当する事実は認識しておりませんが、将来的に当該法令等に違反した場合には、暗号資産交換業登録の取消、業務停止命令等の行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 利用者財産の安全管理について

Zaifでは、顧客から預かった金銭及び暗号資産を、Zaif自身の金銭及び暗号資産と明確に分別して管理しております。管理方法は以下のとおりです。

 

・法定通貨

顧客からの預かり金銭は、SBIクリアリング信託株式会社における金銭信託により、Zaif自身の金銭と区分して管理しております。

 

・暗号資産

顧客からの預かり暗号資産は、インターネット等の外部のネットワークに接続されていないコールドウォレット及び接続されているホットウォレットにて、それぞれ顧客ごとの持分が即座に判別できる状態で管理されております。Zaifでは、顧客からの預り暗号資産の円評価額の95%以上をコールドウォレットで保管する体制を営業日ごとに維持しております。また、コールドウォレットからホットウォレットへの移動に際しては、複数部署の承認のもと、2人以上で実施しております。

 

Zaifは、顧客からの預り資産について、金銭信託による保全を行う等、法令に則った管理を行っておりますが、今後、これに違反する事実が生じた場合は、行政処分等を受ける可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ サイバー攻撃による顧客等の暗号資産の喪失について

Zaifは、管理する電子ウォレットにおいて顧客の所有する暗号資産の預託を受けており、また、当社グループでは、国内外の暗号資産交換所を介して電子取引システムを利用する方法による暗号資産に対する投資を行っております。

Zaifでは、サイバーセキュリティ対策を講じておりますが、電子ウォレットに対して不正アクセスが行われた場合、権限のない第三者により暗号資産が消失する可能性があります。仮に顧客の暗号資産が喪失又は流出した場合には、顧客に対する多額の弁済が生じる可能性があるとともに、当社グループが保有する暗号資産の消失によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、欧米・中国経済の先行き不安、さらには物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などにより、依然として不透明な状況が続いております。

 

このような事業環境において、当社グループでは、2023年4月に中期経営計画を策定し、成長ドライバーとなる事業の拡大として、メタバース・デジタルコンテンツ事業、暗号資産・ブロックチェーン事業を中心とするWeb3領域への進出、M&Aによる収益力の強化に向けて取り組みを進めております。

2025年2月には、当社が目指すWeb3領域への参入と、ネクスコイン(NCXC)の価値向上の取り組みの加速度的な進展のために、株式会社ZEDホールディングス(以下「ZEDホールディングス」)の株式を取得し、連結子会社化しました。

ZEDホールディングスの主要な子会社として、暗号資産交換業者である株式会社Zaif(暗号資産交換業登録:近畿財務局長第 00001 号、以下「Zaif」)、Web3のコンサルティング企業であるチューリンガム株式会社(以下「チューリンガム」)、ソフトウェアエンジニアリング業務を行う株式会社ネクスソフト(以下「ネクスソフト」)などがあります。今後は、各会社の成長だけではなく当社グループとの連携により、それぞれの強みを活かした新たな価値創造を目指してまいります。なお、ZEDホールディングスの業績の連結取り込みは、第3四半期連結会計期間からとなります。

 

記の結果、売上高においては、1,296百万円(前期比166.8%増)となりました。それに伴い、営業損失は65百万円(前期は営業損失196百万円)、経常損失は54百万円(前期は経常損失195百万円)、税金等調整前中間純損失は1,213百万円(前期は税金等調整前中間純損失195百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失は1,234百万円(前期は親会社株主に帰属する中間純損失203百万円)となりました。

 

また、M&Aによるのれん償却額を加味した参考指標としてのEBITDA*1は、56百万円(前期はEBITDA△137百万円)となりました。

 

*1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額

 

当中間連結会計期間におけるセグメントごとの業績は以下のとおりであります。

 

(メタバース・デジタルコンテンツ事業)

株式会社実業之日本デジタル(以下「実日デジタル」)は、いわゆる電子書店(電子書籍配信サイト、Web漫画サイト、漫画アプリ、雑誌読み放題サイトなど)及び電子取次が主な取引先となります。

2025年1月にアニメ化された『天久鷹央の推理カルテ』(原作:知念実希人)は、電子書籍キャンペーンとの相乗効果もあり、シリーズ既刊が各電子書店で上位に入りました。同年4月開始のドラマ化も後押しとなり、引き続き好調な売上を維持しております。『霧尾ファンクラブ』(原作:地球のお魚ぽんちゃん)も、同年4月にドラマ化され、さらにアニメ制作が進行中であり、クロスメディア展開を通じて、継続的な話題喚起を図っております。

また、「Kindle Unlimited」への掲載作品を拡充した結果、新規読者層の獲得が進展しております。加えて、公共電子図書館に続き、大学電子図書館への提供も本格化し、主要な電子図書館の大半で実日デジタルの作品が閲覧可能となっております。

今後も映像展開・読み放題チャネル・電子図書館を活用し、読者基盤の拡大と収益の安定化を目指してまいります。

株式会社スケブ(以下「スケブ」)では、提供するサービス『Skeb』の総登録者数が361万人(2025年5月31日時点)を突破いたしました。また、2024年12月21日に開催し好評を得ましたオフラインイベント「VRC大交流会」を、会場規模を拡大し「超メタフェス~VRC大交流会~」として2025年5月10日に開催いたしました。その結果、今回も予想を上回る延べ10,000人以上の来場者数を記録することとなりました(前回4,000人以上)。イベント開催後には『Skeb』においてもVR関連のリクエストが増加する等の波及効果が確認されており、今後は定期開催を予定しており、2026年の開催もすでに決定しております。

スケブは今後もバーチャル、リアルの両面でのプロモーションを強化し、利用者の増加と取引の活性化を目指してまいります。

 

なお、実日デジタル及びスケブの営業損益は黒字を維持しておりますが、のれんの償却を考慮すると営業損益はマイナスとなっております。ただし、当連結会計年度は想定どおり成長しており、今後も各取り組みを遂行していくことで、のれんの償却を考慮した営業損益の早期の黒字化を目指してまいります。

 

この結果、当中間連結会計期間の売上高は290百万円(前期比253.5%増)、営業損失は10百万円(前期は営業利益7百万円)となりました。

 

(IoT関連事業)

株式会社ネクス(以下「ネクス」)は、これまで培ってきた自動車テレマティクスをはじめ様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指しております。

AIコンピューティング分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporationが提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を活用したリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を搭載した、エッジAIコンピュータ「AIX-01NX」は、AIソリューションパートナー及び技術パートナーとの共創によるビジネス機会の拡大を進めております。

リテールテックや空港等でのヒートマップ解析、侵入検知といった屋内利用から、産業・インフラ・農業分野などにおける屋外ソリューションにまで利用範囲が拡大しており、防水・防塵機能、FANレス化による耐久性の向上に加え、電源ユニットやLANケーブルを使って電力を供給するPoE機能や多様な外部インターフェースへの柔軟なカスタマイズが可能な、防水・防塵ボックスの受付を開始しました。「AIX-01NX」と、お客様ごとのニーズに合わせた最適な構成を提案する防水・防塵ボックスの組み合わせにより、公共空間や工事現場、屋外施設などの湿気や水滴、雨天、粉塵といった過酷な環境下でも、人流解析、交通量調査、監視カメラ、サイネージ、環境モニタリング、スマート農業などの多様なソリューションを安心して活用いただけます。

1台でカメラやセンサーなどからの情報をリアルタイムにAI分析し、その分析結果をクラウドに連携することが可能となっております。リテールテック、製造業、セキュリティ、介護見守り、測定・異常監視、分析やシミュレーションによる効率的なモノ作り、さらには都市レベルの課題解決に至るまで、その用途はますます拡大していくことが期待されております。デジタルツイン*2などを含む幅広い分野でも活用が期待される技術であり、今後もこれらの技術をデバイス事業の新たな製品開発に活用してまいります。

 

*2 「デジタルツイン」とは、物理空間(フィジカル空間)に実在する物体や環境を、仮想空間(サイバー空間)にリアルに再現する手法です。物理空間から収集した膨大なデータをもとに、AI分析やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)などの最新デジタル技術を活用して、仮想空間にそのまま再現します。これにより、単なるモニタリングにとどまらず、精度の高いシミュレーションを実施し、その結果を物理空間にフィードバックすることで、将来起こる変化に迅速に対応することが可能となります。

 

 

<防水・防塵ボックス活用事例>

 


 

 


<顧客属性分析、購買分析、防犯>

 

<混雑状況や動線の把握>

 

 


 

 


<混雑状況や動線の把握、防犯>

 

<駐車場の利用状況の把握、防犯>

 


 

 


<建設現場における監視、危険検知>

 

<害獣の検知、発報>

 

 

データ通信端末に関しましては、5G Phase 2規格となる3GPP Release 16に対応し、Wi-Fi、Ethernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムである、5Gデータ端末「UNX-05G」を販売しており、新たに防水・防塵規格に準拠し、雨天時や粉塵環境でも安心してご利用いただける専用防水ケースの企画を開始いたしました。5Gは、LTEと比べて超高速・大容量の通信が可能で、多数同時接続や超低遅延を実現します。ローカル5Gでは、集合住宅向け固定インターネット接続サービス、工場設備の遠隔監視、展示会会場のネットワークインフラでの導入が進んでおります。また、パブリック5Gでは、5Gのエリア拡大に伴い、自動運転やAIロボットソリューションの遠隔操縦、リモートワークブースでの活用、ライブ配信向けの通信端末としての導入が期待されております。

今後、5Gフル機能が利用できる5G SA(Standalone)*3サービスのエリア拡大に伴い、5G SAの特徴であるネットワークスライシングが可能となります。ネットワークスライシングは、各サービスに応じてネットワークの各種リソースを仮想的に分割し、複数の独立したネットワークを構築できる技術です。法人向けのサービスにおいては、ネットワーク接続が適切であるかを確認することが重要ですが、相互接続性試験により、網接続の問題を未然に抽出し、解消することができます。さらに、サービスによっては相互接続性試験の通過が必要となる場合があり、法人向けの回線サービスの選択肢が広がる中で、KDDI株式会社、株式会社NTTドコモとの相互接続試験が完了しており、より多くのお客様に端末をご利用いただけることが期待されます。

また、5Gの特徴である「低遅延」「多数端末との接続」を維持しつつ、通信速度をLTEのCat.4レベル(下り 150Mbps程度)に抑えたAI/IoT向け通信規格「5G RedCap」に対応するUSBドングル型データ端末を開発しております。この端末は、2025年8月以降に評価用サンプルを提供開始し、2025年11月以降に販売を開始する予定です。コストやサイズ、消費電力の低減が可能となることでLTEから5Gへのリプレースが容易となり、さらに、5Gで得られるネットワークスライシングや低遅延などの機能と組み合わせることで、センサーネットワーク、AMR(自動搬送ロボット)を含むAIロボットソリューション、AIカメラ、ドローン、サイネージ、ウェアラブルカメラなど、これまでLTEでは不十分だったユースケースでもご利用が期待できます。

 

*3 「5G SA(Standalone)」とは、コア設備や基地局なども含めて5G専用の技術と設備で構成した5Gサービスです。

 


<5G RedCap対応USBドングル型データ端末利用シーン>

 

テレマティクスに関しましては、NTT docomo/KDDI/SoftBankの国内主要LTE周波数や、みちびき(準天頂衛星システム)など5方式のGNSS*4に対応し、より多くの衛星測位システムを活用することで、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも測位の安定性が向上しました。これにより、OBDⅡ型データ収集ユニット「GX700NC」は、働き方改革関連法に基づくトラックドライバーの時間外労働上限規制などの法的規制強化や車両管理業務の効率化、ドライバーの減少や高齢化など、市場を取り巻く社会環境の影響を受け、需要が増加傾向にあるクラウド型車両管理及び動態管理システムにおいて市場を確保しております。位置情報取得技術のIZatTM*5機能に対応したバージョンでは、従来の衛星測位の弱点であった地下駐車場や陸橋の下など、衛星信号を補足しづらい場所でも測位時間の短縮と測位精度の向上が見込まれ、活用の範囲が広がりました。今後も、新車などの新しい型式への適合や、排気ガス測定・管理、EV車の充電・電費・残量管理など、SDGsに関連する取り組みへの活用範囲を広げてまいります。

 

*4 「GNSS」とは、「Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)」の略で、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称です。

*5 「IZatTM」とは、Qualcommが位置情報取得の機能向上のために開発した方式です。

 

農業ICT事業(NCXX FARM)では、農作物の生産、加工、販売を行う6次産業化事業と、特許農法による化学的土壌マネジメント+ICTシステムによるデジタル管理のパッケージ販売を行うフランチャイズ事業の事業化を推進しております。

6次産業化事業では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の生産、販売を行っております。加工品としてセミドライゴールデンベリー、GOLDEN BERRYプレミアムアイス、GOLDEN BERRYクラフト炭酸リキュールを販売しております。また、2024年12月よりGOLDEN BERRYプレミアムアイスのギフト商品が岩手県花巻市のふるさと納税返礼品に登録されております。この他、GOLDEN BERRYの栽培時に発生する葉の残渣を活用した「ほおずきエキス」を開発し、化粧品の原材料として活用されております。

フランチャイズ事業では、引き続き自社試験圃場での栽培実績をもとに、自社独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加え、お客様の要望に応じた多種多様な農法・システム・農業関連製品の提供を行う農業総合コンサルティングサービスを展開しております。また、地域貢献の一環として、地元にある花巻東高等学校の女子野球部の冬季及び雨天練習場として、自社が所有するビニールハウスの一部を貸し出す取り組みも行っております。

 

この結果、当中間連結会計期間の売上高は174百万円(前期比49.1%減)、営業利益は39百万円(前期比82.3%増)となりました。

 

(ソリューション事業)

株式会社ケーエスピー(以下「ケーエスピー」)は、外食チェーン店や介護施設等における、物流を含めた食材、副資材、消耗品等のトータルサプライヤー業を柱として、その他にもコスメティックショップ等の物販チェーン店舗における、各種パッケージやSPツールの企画、制作を行っております。

取引社数と商品販売数を継続的に増やし続けていくストック型の販売モデルのため、急激な売上・利益の拡大等は見込めませんが、確実に安定した売り上げと利益の積み上げを特長としております。

当中間連結会計期間も、前期に引き続き、新規販売先及び新規取り扱い商品が順調に増えてきております。

また、既存顧客における店舗売上が、インバウンド需要の回復に伴い、コロナ前の水準を超えたことに比例して、ケーエスピーから既存顧客への売り上げも増加傾向にあります。

さらに今期は、商社機能を活かした仕入先への販売等、双方向の売買の強化、また、商品力のある商品を使ったフック営業からのクロスセル等により、1社あたりの取引額を増加させるための施策等も開始しており、その結果が徐々に表れつつあります。

今後も、引き続き取引社数の拡大と、商品販売数の拡大を図り、さらなるストックを積み上げていくことを主としながらも、環境問題や世界的な人口増加における原料不足といった社会問題においても、商社機能と知恵を活かしたソリューションを提供し、新たな領域の事業化を進めていく予定です。

 

ネクスソフトは、システムエンジニアリングサービス事業(SES事業)として、ニーズの高いオープン系を中心とした顧客システム開発の支援やエンジニア派遣を行っております。また、受託開発事業においては、新規システム開発のほか、開発後の運用保守対応や既存顧客からのシステム改修にも対応しております。

当中間連結会計期間では、SES事業において参画中のプロジェクト取引の安定した継続があった一方で、一部プロジェクト終了に伴うエンジニアの人員調整並びに中途採用活動が想定よりも緩やかに推移したことから、稼働率は92%となりました。また受託開発事業では、ASTERIA Warp*6を用いた案件の拡大が見られたものの、新規開発案件から開発後の運用保守への円滑な連携について、引き続き改善に取り組んでおります。

今後は、こうした状況を踏まえ、採用・営業活動の両面にリソースを集中投下し、事業基盤の強化を図ってまいります。特にDX支援領域で需要の高いASTERIA Warp案件は、SES事業と受託開発事業にてネクスソフトの専門性が活かせる分野であるため、重点的に取り組むことで、両事業の売上高及び利益向上に努めてまいります。

 

*6 「ASTERIA Warp」とはノーコードでのシステム間データ連携を可能にするミドルウェアです。

 

この結果、当中間連結会計期間の売上高は779百万円営業利益は39百万円となりました。

 

(暗号資産・ブロックチェーン事業)

本事業では、NCXC(ネクスコイン)を利用したサービスの向上、NCXCの流通促進、NCXC保有者の拡大を通じたNCXC経済圏の拡大を目指し、価値向上に向けた取り組みを行っております。

具体的には、NCXC GameFiプラットフォームの開発を行い、ゲーム会社とのアライアンスにより、すでに実績をあげている他社ゲームタイトルを中心に、これらを容易に「Play to Earn」型のゲームに転換することができるプラットフォームサービスの提供を目指しております。

また、2025年2月3日に取得したZEDホールディングスの株式取得に要する資金調達のため、保有する暗号資産の一部を売却しております。

 

Zaifは、暗号資産交換業者として顧客へ暗号資産の売買に係るサービスを提供しております。現在は預り残高を活用した安定収益源の創出、コスト最適化、新規暗号資産の上場の3つの施策を中心に事業を推進しております。

預り残高を活用した安定収益源の創出につきまして、Zaifは長期保有を志向するユーザーを多く抱えていることから、ユーザー志向に合致するサービスを順次提供してまいりました。具体的にはステーキング*7による報酬を暗号資産ではなく日本円で受け取ることのできるサービスを、国内取引所としては2社目として2025年6月より開始いたしました。また、2024年12月からはビットコインのステーキングを可能とするプロジェクトであるBabylonを利用した新規サービスの検討にも着手しております。

 

*7 ステーキングとはお客様が保有している暗号資産を特定のネットワークに一定期間預けることで、そのネットワークの運営に参加し、報酬(リワード)を受け取ることができる仕組みです。暗号資産建てで報酬を受け取るため、対象の暗号資産の価格が上昇することで、その分収益への貢献も期待されます。本サービスの詳細については、株式会社Zaifウェブサイト(https://zaif.jp/doc_staking)にてご覧いただけます。

 

コスト最適化につきましては、前期に引き続き恒常的に取り組みを推進しております。特にコストの割合の多くを占めるインフラ費用に関しては、前期末(2024年9月)の実績と比較し、2025年3月時点で単月ベースにおいて20%超のコスト削減に成功しております。

新規暗号資産の上場につきましては、2024年12月に三井物産デジタルコモディティーズ株式会社(以下「三井物産デジタルコモディティーズ」)が発行する金(ゴールド)と連動する暗号資産であるジパングコインを上場いたしました。また2025年5月には同じく三井物産デジタルコモディティーズが発行し、それぞれ銀とプラチナに連動する暗号資産である、ジパングコインシルバー、ジパングコインプラチナを上場いたしました。これらの暗号資産は同時にZaifサービスのコイン積立の対象通貨としても取り扱うことで、取引手数料だけでなく、積立手数料による増益への貢献が期待できます。

 

チューリンガムは、専門性の高いトークノミクス設計及びブロックチェーン開発の役割を担い、ブロックチェーンゲームにおけるトークン経済圏の構築を行っております。2025年3月には、Web3分野の最先端技術を探求する「Turingum Labs」において、Web3とBTCFi、秘匿化技術、AIの各領域への集中投資体制を構築したことを発表いたしました。さらに、2025年4月に開催される「NexTechWeek2025 第6回ブロックチェーンEXPO 春」へ出展し、今後も新たなWeb3領域のサービス創出に取り組んでまいります。

 

この結果、当中間連結会計期間の売上高は4百万円(前期は売上高0百万円)、営業利益は2百万円(前期は営業損失86百万円)となりました。

 

また、当中間連結会計期間における財政状態は、以下のとおりであります。

(資産)

資産の残高は、前連結会計年度末と比較して、92,610百万円増加し、98,551百万円となりました。

この主な要因は、現金及び預金903百万円増加し、売掛金142百万円減少したものの、預託金6,135百万円増加自己保有暗号資産342百万円増加利用者暗号資産84,021百万円増加のれん114百万円減少し、投資有価証券933百万円増加したことによります。

 

(負債)

負債の残高は、前連結会計年度末と比較して、93,906百万円増加し、95,516百万円となりました。

この主な要因は、預り金5,993百万円増加預り暗号資産84,021百万円増加、借入金*8が2,818百万円増加、繰延税金負債355百万円増加したことによります。

 

*8 1年内返済予定の長期借入金、長期借入金残高の合計です。

 

(純資産)

純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して、1,296百万円減少し、3,035百万円となりました。

この主な要因は、利益剰余金1,234百万円減少し、自己株式352百万円減少したものの、その他有価証券評価差額金297百万円増加したことによります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末と比べて903百万円増加し、2,048百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した金額は110百万円(前中間連結会計期間は139百万円の資金支出)となりました。

これは主に、資金の増加要因として減損損失1,160百万円、売上債権の減少235百万円、自己保有暗号資産の減少101百万円があり、減少要因として棚卸資産の増加154百万円があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により獲得した金額は783百万円(前中間連結会計期間は112百万円の資金支出)となりました。

これは主に、資金の増加要因として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入878百万円があり、資金の減少要因として投資有価証券の取得による支出60百万円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した金額は9百万円(前中間連結会計期間は20百万円の資金獲得)となりました。

これは主に、資金の増加要因として短期借入金の純増減額50百万円長期借入れによる収入50百万円があり、資金の減少要因として、長期借入金の返済による支出83百万円社債の償還による支出7百万円があったことによります。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、8百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 従業員数

当中間連結会計期間において、暗号資産・ブロックチェーン事業に属するZaif及びチューリンガム、ソリューション事業に属するネクスソフトの連結子会社化に伴い、当社グループの従業員数は83名増加しております。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

Ⅰ.株式譲渡契約(ZEDホールディングス)

当社は、2025年2月3日開催の取締役会の決議に基づき、株式会社ZEDホールディングスについて、株式会社カイカフィナンシャルホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木 伸)との間で、株式譲渡契約を締結し、同日付で株式会社ZEDホールディングスの発行済み株式の一部を取得し子会社化いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

Ⅱ.株式交換(ネクス)

 当社は、2025年7月8日に開催された取締役会において、当社の連結子会社である株式会社ネクス(以下「ネクス」)が株式会社CAICA DIGITAL(以下「CAICA」)を株式交換完全親会社、ネクスを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付でCAICA及びネクスは株式交換契約を締結いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

Ⅲ.株式譲渡契約(Zaif)

当社は、2025年7月11日付で当社連結子会社である株式会社Zaifの全株式を、同じく当社連結子会社である株式会社ZEDホールディングスから取得いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。