(1)業績
当社グループは、日本、中国及び米国を中心に、アジア及び世界で線維症関連治療薬の研究開発、製造及び販売事業を展開するグローバル製薬企業です。当社の主な収益源は、中国で上市した特発性肺線維症(IPF)治療薬であるアイスーリュイ〔中国語:艾思瑞®、英語:Etuary®(一般名:ピルフェニドン)〕の売上収益です。当社グループが保有する複数の開発パイプラインは、肺、腎臓、肝臓の線維症の革新的な治療薬を中核とし、肝硬変・慢性肝不全急性化(ACLF)及び急性前骨髄球性白血病(APL)を含む治療薬に集中しています。当社は、中国において臨床試験を実施しておりますが、米国市場での追加的な臨床試験プログラムも開始する予定です。当連結会計年度の経営成績、財務状態及び研究開発活動は以下のとおりです。
当連結会計年度において、当社では、売上収益の成長、臨床開発やグループ体制における重要な成果を収めるなど、ビジネス戦略に大きな進展が見られました。アイスーリュイは記録的な売上高を達成して、これまで以上の数のIPF患者の方々にアイスーリュイをお届けするとともに、当連結会計年度において実施した直接販売体制の有効性が実証されました。臨床試験活動においても、新たな適応症の承認を得たことで一層拡大しましたが、これは将来的な技術革新と医薬品開発に対する当社のコミットメントを表しています。更に、当社は、当連結会計年度において、主要子会社への追加的な出資を行うことで持分を増加し、また、開発パイプラインへの出資及び製造能力の拡大のための出資などで、グループ体制を強化しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益1,306,931千円、営業損失276,361千円、当期損失465,694千円となりました。
連結経営成績の前期比及び分析については、「第一部 企業情報、第2 事業の状況、7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(2)経営成績に関する分析」に記載のとおりです。
(2)パイプライン別の開発の状況
■アイスーリュイ
当社グループで最初に登録した医薬品で、中国において現在販売されている唯一の特発性肺線維症(IPF)治療薬です。現在、当社の連結子会社である北京コンチネント薬業有限公司(北京コンチネント)を通じて中国市場で販売を行っております。当社グループでは、アイスーリュイの患者層を拡大する方針に沿って、新たな適応症の拡大を図っておりますが、これらの新たな適応症には、放射線性肺炎(RP)及び糖尿病腎症(DN)、結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)などがあります。
① 販売の状況
当第3四半期連結会計期間から、当社は、アイスーリュイの販売活動について、販売代理店を活用する体制から自社人員の専任営業チームによる直販体制に移行しました。直販体制の実施を通じて、当社の連結子会社である北京コンチネント薬業有限公司(北京コンチネント)は、売上収益成長率の上昇と、中国市場のIPF患者及び医師に対するサポートを向上することが出来ました。この新しい方針の下、当連結会計年度のアイスーリュイの売上収益は1,117百万円となり、日本円ベースの売上収益は前連結会計年度比約42.3%の増加となりました。一方、人民元ベースでは、前連結会計年度比約65.0%の増加となりました。また、当第4四半期連結会計期間(2016年10月~12月)のアイスーリュイの売上収益は、売上成長率の上昇傾向を維持し、当第3四半期連結会計期間(2016年7月~9月)と比べ約87.5%増加の429百万円となりました。
アイスーリュイ 売上収益推移(2016年1月~2016年12月)
(単位:百万円)
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当第1四半期 連結会計期間 |
当第2四半期 連結会計期間 |
当第3四半期 連結会計期間 |
当第4四半期 連結会計期間 |
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売上収益 |
265 |
193 |
229 |
429 |
当連結会計年度には、中国ベスーン基金の患者助成プログラムを通して、アイスーリュイ生産量の約14.8%がIPF患者の方々へ配布されました。中国ベスーン基金運営委員会により運営される当プログラムは、IPFに苦しむ経済的に恵まれない患者の方々のニーズに応えるという当社グループの社会的責任の一環であり、経済的に恵まれないIPF患者の方々へアイスーリュイを提供するものです。
中国外でのアイスーリュイの販売に関しては、2016年5月、当社グループのライセンス契約の相手先であるAFT Pharmaceuticals Limitedが、Fibroleve®(アイスーリュイを有効成分とする医薬品)としての登録申請をマレーシアにおいて行いました。
② 研究開発
■アイスーリュイ
特発性肺線維症(IPF)
2016年8月、北京コンチネントは、中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)より、特発性肺線維症(IPF)治療薬としてのアイスーリュイ(中国語:艾思瑞®)の200mgカプセルの製造販売許可を新たに取得しました。新たに承認されたアイスーリュイの200mgカプセルは、用量当たりのカプセル数を減らすことにより、患者の方々が、用法に従いかつ便利に服薬できるようにするとともに、医師が薬剤を処方する際の投与量に2つの選択肢、即ち、1日当たりの服用カプセル数が最大18カプセルか9カプセルかの選択肢を与えるものです。
放射線性肺炎(RP)
当社グループは、アイスーリュイの追加適応症である放射線性肺炎(RP)治療薬の、第3相臨床試験前パイロット試験を実施しております。これは、多回投与、多施設での試験を行うもので、当適応症の治験組み入れ基準が厳格であることから、2016年12月末現在の組み入れ患者総数は7人となっております。
糖尿病腎症(DN)
当社グループは、2016年8月、アイスーリュイの3番目の適応症である糖尿病腎症(DN)治療薬の治験許可(IND)申請に対する承認をCFDAより取得しました。DNは、Ⅰ型糖尿病又はⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。統計によれば、中国では、糖尿病の有病者が9,240万人に達すると報告されていて、Ⅰ型又はⅡ型糖尿病患者の20~30%が腎疾患を引き起こすとされています。(詳細については、2016年8月17日及び18日の適時開示資料をご参照ください。)同承認により、当社は、DNに関し、第2相臨床試験を直ちに開始することが認められていますが、これにより、既承認薬であるアイスーリュイの新たな適応症に注力し、加速度的な新薬開発を行うという当社の戦略の有効性が実証されました。第2相臨床試験の開始は、2017年の第2四半期を見込んでおります。
結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)
2016年9月、当社グループは、アイスーリュイの4番目の適応症である結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)治療薬としてのIND申請に対して、CFDAより、第3相臨床試験から直ちに開始できる承認を取得しました。CTD-ILDは、結合組織疾患(CTD)を持つ患者の肺が、炎症及び線維症、又はいずれか一方の症状を引き起こす状態のことを指します。結合組織疾患(CTD)は、全ての体細胞の支持構造体である結合組織の障害で、その典型的な症状は、肺などの体内の複数の臓器や組織の炎症と傷跡です。間質性肺疾患(ILD)は、CTDに伴う最も重篤な肺の合併症で、重篤な症状や死に至る疾病です。アイスーリュイに対するIND承認は、CTD-ILDの2つの適応症に関するもので、これらは全身性強皮症(強皮症)及び皮膚筋炎(DM)です。中国におけるCTD-ILDの患者数は明瞭ではありませんが、間質性肺疾患(ILD)患者のある集団内で、CTD-ILD又は未分化組織結合病間質性肺疾患(UCTD-ILD)の患者数は特発性肺線維症(IPF)患者数の2倍近くとの報告があります。即ち、CTD-ILD又はUCTD-ILDの有病率は、IPFより高いことを示しております。(詳細については、2016年9月8日の適時開示資料をご参照ください。)CTD-ILDに関する第3相臨床試験の開始は、2017年の第2四半期を見込んでおります。
■F351(肝線維症等治療薬)
F351(一般名:ヒドロニドン)は、当社グループのパイプラインの中でも重要な創薬候補化合物で、臨床開発活動を世界の主要医薬品市場で展開する当社戦略に必要不可欠なものです。F351は、アイスーリュイの誘導体である新規創薬候補化合物です。内臓の線維化に重要な役割を果たす肝星細胞の増殖及びTGF-β伝達経路の両方の阻害剤で、当社の連結子会社である上海ジェノミクス有限公司(上海ジェノミクス)における多様な動物試験において、肝線維症及び腎線維症に対して顕著な有効性を示しました。当社グループは中国、日本、豪州、カナダ、米国、欧州各国を含む主要な国でのF351の特許権を保有しております。
中国 - 当社グループは、中国において、F351の肝線維症治療薬としての第2相臨床試験を行っておりますが、これは、慢性B型肝炎ウイルス感染による肝線維症の治療におけるF351の安全性及び有効性を検証するもので、中国全土のクラスAAAの13の病院が参加し、最大240人の被験者に対して、無作為、二重盲検、プラセボ、多回投与、多施設での試験を行うものです。2016年12月末日現在、15の施設で、106人の被験者登録が行われていますが、治験終了は、2017年中を目途としております。
米国 - 2016年3月、当社グループは、肝線維症治療薬としてのF351の米国におけるIND申請を米国食品医薬品局(FDA)に対して行いました。その後、2016年5月3日にはFDAから通知を受領し、追加的に、米国GLP基準に準拠した最低8日間の毒性試験結果の提出を要請されました。2016年7月には、当社は、米国GLP基準に準拠した試験を第三者に委託しました。同試験が終了次第、試験結果をまとめた補足資料を、IND申請の補完資料として、2017年上半期中に提出する予定です。
■タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)
タミバロテンは、急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬です。APLは、急性骨髄白血病の一種で、前骨髄球が「がん化」する白血病です。タミバロテンは、白血病が有するPML/RARαという異常分子に特異的に働く分子標的薬で、抗がん剤治療とは異なり、白血病細胞を破壊するのではなく、より成熟した細胞に分化させることで治療効果を発揮します。また、タミバロテンは、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)耐性を獲得し、トレチノインに反応しなくなったAPL症例に対しても効果があることが期待されております。
東光薬品工業株式会社と当社子会社のGNI-EPS (HONG KONG) HOLDINGS LIMITEDは、2015年10月に、アムノレイ
ク®錠2mg(一般名:タミバロテン)を、輸入薬として、CFDAに登録申請を行いました。輸入薬登録は、CFDAによる評価・検討の進捗にもよりますが、申請から1~2年ほどで承認される見込みです。当社は、CFDAの承認を取得次第、アムノレイク®の販売・流通を行うことができるように、2017年中頃には準備を行う予定です。
■F573(急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬)
急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬F573は、アイスーリュイ及びF351に続く3つ目の新薬候補化合物で、当社グループは、2011年7月にCFDAにIND申請書を提出しております。F573は、ジペプチド化合物で、細胞死や炎症反応をもたらす酵素の一種であるカスパーゼを阻害する可能性を持つものです。大規模な肝細胞死は、多くの場合、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝硬変に起因する重症肝炎と関連して発生しますが、中国では、B型肝炎ウイルスに起因する肝疾患の患者が、世界的に見ても多く存在しています。この治療法としては、現存する抗ウイルス剤による治療以外の選択肢は限られており、最終手段である肝臓移植は、大変高額な治療であります。
F573 は、米国企業EpiCept Corporation(現Immune Pharmaceuticals, Inc.)からライセンスの供与を受けたものであり、当社グループは、アジアにおいては、中国、日本、豪州及びニュージーランド他の権利を保有し、更には、その他の地域の権利も取得できる優先権も保有しております。当連結会計年度において、当社は、CFDAの薬品審評センター(CDE:Center for Drug Evaluation)からのF573に関する質問に対応しており、現在、IND申請に対する決定を待っている状況です。
■その他
以上のパイプラインの他、2015年12月には、当社の連結子会社である北京コンチネントが、酪酸ヒドロコルチゾンの温度により制御されるフォーム製剤(外用薬)のIND申請書を北京市食品薬品監督管理局に提出し、受理されております。当フォーム製剤は、湿疹、乾癬、接触性皮膚炎等の外用薬として、北京コンチネントとGENEPHARM Biotech Corp.(台湾企業)により共同開発されたものです。当社では、当フォーム製剤が承認されれば、これは中国で初めての温度により制御されるフォーム製剤となると期待しております。
(3)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローについては、「第一部 企業情報、第2 事業の状況、7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(3)財政状態に関する分析」に記載のとおりです。
(4)並行開示情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
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前連結会計年度 (自 2015年1月1日 至 2015年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2016年1月1日 至 2016年12月31日) |
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(のれんの償却停止) 当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。 この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が11,920千円減少しております。 |
(のれんの償却停止) 当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。 この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が10,365千円減少しております。 |
(1)生産実績
当社グループの業務は業務の性質上、生産として把握することが困難である為、記載を省略しております。
(2)受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2016年1月1日 至 2016年12月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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日本 |
19,263 |
△17.8 |
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中国 |
1,287,668 |
+29.6 |
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合計 |
1,306,931 |
+28.6 |
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2015年1月1日 至 2015年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2016年1月1日 至 2016年12月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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Sinopharm Group Co., Ltd. |
544,240 |
53.5 |
793,264 |
60.7 |
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Beijing Keyuan Xinhai Pharmaceutical Co., Ltd. |
168,505 |
16.6 |
174,106 |
13.3 |
当社グループにとっての対処すべき課題としては、以下のように考えております。
(1)研究開発への持続的投資を通した成長の実現
当社グループの主力医薬品である特発性肺線維症治療薬アイスーリュイへの規制当局による保護は、2019年に期限切れを迎えます。よって、アイスーリュイの持続的及び加速度的な増収を今後も維持するため、放射線性肺炎(RP)、糖尿病腎症(DN)、結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)等の新たな適応症拡大に向けた継続的な先行投資が重要となります。これらの先行投資が、将来的にはF351及びF573を含む当社パイプライン中の創薬候補化合物の一層の開発を実現するための自己資金につながると考えております。
(2)資金調達の多様化と安定化
当社は、有望な創薬候補化合物の研究開発への投資を続け着実な企業価値の向上を図ります。ビジネス基盤と研究開発活動を強化すべく資金調達を多様化・安定化するため、新たな資金調達先との関係構築や更なる資金調達の機会獲得を追求し続けます。
(3)コーポレートガバナンスの強化
当社では、公開会社として上場10周年を迎えることもあり、経営陣の目標の一つとして、継続的なガバナンス体制の発展と強化に取り組んでいます。当社は、全社の統一性と透明性を高め、株主の皆様からより深い信頼を獲得すべく、コーポレートガバナンスをより一層向上させる所存です。
当社グループにおいて、事業展開に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。なお、リスク要因に該当しないと思われる事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。また、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。以下の記載は、本株式への投資に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
本項中の記載内容については、特に断りがない限り2016年12月31日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)医薬品の開発リスクについて
当社グループでは、欧米のバイオ企業や製薬会社と共同研究開発を行うことにより、欧米の手法と中国の臨床開発を組み合わせて医薬品の開発を行っております。中国では日本、米国、欧州に比べ直接経費等が経済的で開発コストを抑えることができ、コスト効率に優れた開発活動が可能であります。しかしながら、医薬品の開発には多額の開発コストと長期の開発期間を要し、さらに製造承認は、当該国政府機関の許可に基づくため、その承認時期は不確定要素を含むものであります。そのため、当社グループが希望しているとおりに医薬品の生産及び販売が行われる保証はなく、当社グループの経営計画はこれらの進捗状況の影響を受けることになります。
当社グループの主要3品目は、アイスーリュイ、F351、F573ですが、そのうち、アイスーリュイは1970年代に開発された物質であり、日本においては、同化合物を開発した塩野義製薬株式会社が特発性肺線維症治療薬「ピレスパ錠200mg」の製造販売承認を2008年10月16日付けで取得しております。続いて、欧州では米インタミューン社が特発性肺線維症治療薬「Esbriet」の製造販売承認を2011年3月3日付けで取得しました。その後、2011年9月22日に中国において当社グループがアイスーリュイに関する新薬承認を取得しました。
アイスーリュイに関するその他適用症の臨床開発におけるリスクは、新規化合物に比べ低いと考えておりますが、いかなる医薬品にも共通するリスクとして有効性及び安全性の2点について問題が生じる可能性があります。
また、F351は前臨床試験において安全性を確認しておりますが、新規化合物であり有効性及び安全性の観点について問題が生じる可能性は前述のとおりです。
さらに、F573(急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬)は新薬治験許可(IND)申請中であり、今後、有効性及び安全性について問題が生じた場合、臨床試験に進めない可能性があります。また、前述以外の事業リスクとして、治験に参加頂く患者を集めることが予定期間では達成できず、治験期間が延長される可能性もあります。
なお、新薬承認(製造承認等を含む)を取得出来なければ開発コストは回収できず、また承認を取得できたとしても、何らかの製造販売上の問題によって、当社グループの経営計画上想定されている目標売上を確保できない可能性もあります。
(2)中国で事業を行うリスクについて
当社グループの活動において、連結子会社(GNI-EPS Pharmaceuticals, Inc.及び北京コンチネント薬業有限公司等)の事業の影響が大きいため、当社グループは中国で事業を行っているという特有のリスクの影響を受ける可能性があります。
中国政府は、中国経済に影響を及ぼす経済政策や産業政策に関わる権限を有しております。中国の医薬品産業は中国政府の厳しい監督管理下での規制を受けており、中国における当社グループの活動は中国政府が公布する法律等に従います。これら中国の政策、規制、法律等に変化が生じた場合には、当社グループの経営戦略や事業活動に制約が加えられる可能性があります。
加えて、中国における種々のカントリー・リスクも、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合について
当社グループが開発を進めている肝線維症治療薬(F351)について、直接競合する創薬候補物の存在は確認しておりません。アイスーリュイは日本、米国、欧州において特発性肺線維症(IPF)を適応症とする競合品が存在しますが、当社グループのアイスーリュイは基本的に中国市場での製造販売を計画しておりますので、それらとは直接の競合状態とはならないと考えております。
(4)法的規制について
当社グループは、現在、医薬品等の研究開発及び製造販売を行っております。これらの活動を行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けております。例えば、中国においては当該国の薬品生産監督管理弁法及び関連法規の規制を受けることとなります。この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保を目的としており、その製造販売には個別商品ごとに所轄官公庁の承認または許可が必要となります。当社グループの事業は、現時点における中国でのあらゆる法令に適合していると考えております。しかし、現行の中国の法令の解釈、適用及び運用には多くの不確定要素があることは否めず、さらに新たな法令の影響は現時点では予測不能であります。従って当社グループの事業は、中国当局の現行の法令に関する見解が当社と異なる場合や、中国当局が制定する新たな法令により、影響を受ける可能性はあります。
(5)事業体制について
① 小規模組織であること
当社グループは2008年に実行した企業再編の結果、2016年12月31日現在、取締役7名及び社員数7名(但し、子会社の従業員は合計176名であります。)の小規模組織であり、また社歴も浅いため、経営陣や従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や急に人材が社外流出した場合、代替要員の不在、事務引継手続の遅滞などによって業務に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、組織的な経営基盤の強化を行っておりますが、今後、当社グループの業容が拡大した場合、現状のままでは適切かつ十分な人的・組織的対応が出来なくなる恐れがあるため企業内容の充実に合わせて、今後、人員の増強や社内管理体制の一層の充実を図っていく必要があります。
② 特定人物への依存
取締役代表執行役社長兼CEOであるイン・ルオ、取締役代表執行役CFOであるトーマス・イーストリング及び取締役執行役佐藤博之は、事業経験豊かな社外取締役4名と共に、当社グループの事業を推進する最高責任者として、経営戦略の策定、研究開発や事業開発の推進において重要な役割を果たしております。
しかしながら、当社グループの経営は、前述3名を中心としたマネジメントに依存しており、現在の経営陣が継続して当社グループの事業を運営できない場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材の確保について
当社グループは研究開発型企業であり、競争力の維持のために、専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保は必須であると考えております。しかしながら、計画どおりの人材の確保が行えず、あるいは当社グループの人材が社外に流出する等の場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権について
① 当社グループが保有する知的財産権について
当社グループは研究開発活動において様々な特許等の知的財産権を保有しています。しかしながら、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発が他社によってなされた場合や、当社グループの出願した特許申請が成立しないような場合にも、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産に関する訴訟及びクレーム等の対応に係るリスクについて
当連結会計年度末において、当社グループの事業に関連した特許等の知的財産権に関して、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。当社グループは現在、早期の特許出願を優先する方針をとっており、特許出願後において事業展開上の重要性等を考慮しつつ必要な調査等の対応を実施しております。現時点においては、他社が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。もとより、当社グループのような研究開発型企業において、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間で法的紛争に巻き込まれた場合には、弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を講じていく方針でありますが、法的紛争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 職務発明に係る社内対応について
2005年4月1日に施行された特許法の法改正に伴い、職務発明の取扱いにおいて、労使間の協議による納得性、基準の明示性、当事者の運用の納得性が重視されることとなりました。これを受けて、当社グループでは経営陣と研究開発部門とが協議の上、知的財産管理規程を作成し運用しております。しかしながら、将来かかる対価の相当性につき紛争が発生した場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)製造物責任のリスクについて
医薬品の設計、開発及び製造には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループは、将来開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社グループの業務及び財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、たとえかかる請求が認められなかったとしても、製造物責任請求が与えるネガティブなイメージにより、当社グループ及び当社グループの医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
(8)製造並びに安定供給に関するリスクについて
当社グループの製造施設等において、技術的・規制上の問題もしくは自然災害・火災などの要因により生産活動の停滞・遅滞もしくは操業停止などが起こった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(9)新株予約権等について
当社グループは、ストックオプション制度を採用しております。この制度は当社グループの役員や従業員に対して、業績向上に対する意欲を持たせるものとして有効な制度であると認識しておりますが、それらの新株予約権が行使された場合、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。しかしながら、基本的な財務計画は潜在株ベースで進めておりますので大きな問題にはならないと考えております。一方、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施していくことは必須のものであると認識しております。
(10)提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況
該当事項はありません。
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契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先の所在地 |
契約品目 |
契約内容 |
契約締結日 |
契約期間 |
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株式会社ジーエヌアイグループ(当社) |
イーピーエス株式会社 |
日本 |
技術 |
中国における医薬品候補品F351の共同開発 |
2010年7月30日 |
2010年7月30日~ |
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株式会社ジーエヌアイグループ(当社)、 上海ジェノミクス有限公司(当社100%子会社) |
北京コンチネント薬業有限公司 |
中国 |
製造販売 |
IPF治療薬・艾思瑞®(アイスーリュイ)の製造販売(製造販売許可取得後) |
2011年7月13日 |
2011年7月13日~ |
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株式会社ジーエヌアイグループ(当社) |
AFT Pharmaceuticals Limited |
ニュージーランド |
独占販売 |
IPF治療薬の独占販売(製造販売許可取得後)(注) |
2013年12月6日 |
2013年12月6日~2023年12月5日 |
(注) 本契約の対象領域は、オーストラリア、ニュージーランド、アセアン諸国、香港、ロシア、CIS諸国であります。
当社グループは、研究開発の重点疾患領域を肺、肝臓、腎臓の線維症等を中心としております。当社グループでは、研究開発活動の対象を、徐々に創薬プロセスの上流から、より焦点を絞った創薬候補物の発見・開発という下流へと移してきております。こうした具体的かつ医薬品開発に直結する創薬研究により、今後新しい創薬候補物を輩出して行くものと期待されます。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は274,271千円となりました。研究開発部門に所属する人員は2016年12月31日現在27名で、中国で研究活動を行っております。
研究開発活動の具体的な内容は、「第一部 企業情報、第2 事業の状況、1 業績等の概要」に記載のとおりです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積り及び判断を行っております。また、実際の結果は見積りによる不確実性がある為、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財政諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
(2)経営成績に関する分析
① 当連結会計年度の経営成績
連結経営成績概要
(単位:千円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
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売上収益 |
1,016,670 |
1,306,931 |
290,261 |
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売上総利益 |
775,724 |
1,117,250 |
341,526 |
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営業利益(△損失) |
△633,165 |
△276,361 |
356,803 |
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当期利益(△損失) |
△668,557 |
△465,694 |
202,862 |
売上収益及び売上総利益
当連結会計年度において、売上収益及び売上総利益はいずれも増加しました。当連結会計年度の売上収益合計は、日本円ベースでは、前連結会計年度比約28.6%増加の1,306,931千円となりました。一方、当社の主要子会社が事業を行う通貨である人民元ベースでは、前連結会計年度比約50.0%の増加となりました。これは、主に、当社の重要な医薬品であるアイスーリュイ及びその他の売上が増加したためです。当連結会計年度における売上総利益は改善し、前連結会計年度比約44.0%増加の1,117,250千円となりました。
営業利益(損失)
当連結会計年度の営業損失は、前連結会計年度の633,165千円の損失と比べ、356,803千円改善し、276,361千円の損失となりました。営業利益の改善は、当社経営陣が、販売費及び一般管理費、研究開発費を慎重に管理する一方で、売上収益及び売上総利益を増加させるよう注力した結果です。
販売費及び一般管理費の明細、研究開発費
(単位:千円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
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販売費及び一般管理費 |
△1,049,659 |
△1,118,970 |
△69,310 |
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人件費 |
△296,353 |
△376,062 |
△79,709 |
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その他の支払手数料 |
△412,740 |
△359,442 |
53,298 |
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研究開発費 |
△379,102 |
△274,271 |
104,830 |
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ69,310千円増加し、1,118,970千円となりました。これは、主に、アイスーリュイの売上収益成長率の増加と直接販売体制に伴って、人件費及びその他の販売関連費用が比例的に増加したためです。研究開発費は、前連結会計年度と比べ減少し、274,271千円となりました。これは、アイスーリュイの適応症である放射線性肺炎の第3相臨床試験前パイロット試験の患者組み入れが、予想よりも緩やかであったことによるものです。
当期利益(損失)
当連結会計年度の当期損失は、前連結会計年度の668,557千円の損失と比べ、202,862千円減少し、465,694千円の損失となりました。これは、主として、売上総利益の増加による営業損失の減少があったためです。
金融収益、金融費用及び持分法による投資利益(損失)
(単位:千円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
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金融収益 |
27,802 |
19,008 |
△8,793 |
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金融費用 |
△44,283 |
△128,346 |
△84,062 |
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持分法による投資利益(△損失) |
△19,976 |
318 |
20,295 |
金融収益
当連結会計年度の金融収益は、前連結会計年度の27,802千円と比べて、8,793千円減少し、19,008千円となりました。これは、当連結会計年度において、外貨建て預金が減少した結果、利子所得が減少したためです。
金融費用
当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度の44,283千円と比べて、84,062千円増加し、128,346千円となりました。この増加は、主として、円高による流動資産の評価替えにより生じた、現金支出を伴わない為替差損108,437千円によるものです。
持分法による投資利益(損失)
当連結会計年度の持分法による投資利益は、前連結会計年度の19,976千円の損失と比べて、20,295千円改善し、318千円となりました。これは、当社の提携先である米国のIriSys, LLCが当連結会計年度において黒字化を達成したためです。
円の為替レート変動が当社業績に与える影響について
当連結会計年度を通して、日本円に対する関連通貨の為替変動が大きく、当社グループの中核となる事業経営に与える影響は殆どない一方、連結損益計算書及び連結財政状態計算書については、程度に差はあるものの影響を及ぼしました。当社の資産及び負債の算出に使用された、当社子会社が事業活動を行う通貨である人民元及び米ドルの日本円に対する前連結会計年度末と当連結会計年度末における為替レートは、以下の表のとおりです。当社の資産及び負債の大半は人民元建てであるため、日本円の人民元に対する8.7%の円高による影響の一部は、当連結会計年度の金融費用の為替差損として表示されています。
連結損益計算書については、当連結会計年度の平均為替レートを利用しておりますが、以下の2つ目の表のとおり、年間を通した著しい日本円の為替変動が影響しています。過去12ヵ月における円の変動の影響は、前連結会計年度の為替レートを使用した場合と比べ、約218百万円の減収、約77百万円の損失の増加となっております。
当連結会計年度における為替変動(前連結会計年度比)
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過去12ヵ月の変動 (期末レート) |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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円/米ドル |
0.06円安 |
4.12円高 |
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円/中国元 |
0.99円高 |
1.60円高 |
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期中平均レート |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
変動 |
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円/米ドル |
120.99円 |
110.30円 |
10.69円高 (8.8%) |
|
円/中国元 |
19.21円 |
16.56円 |
2.65円高 (13.8%) |
② 地域別セグメント情報
日本 - 当連結会計年度の日本における売上収益は、前連結会計年度と比べて4,181千円減少し、19,263千円となりました。セグメント損失は、前連結会計年度と比べて2,888千円改善し、312,030千円となりました。
中国 - 当連結会計年度の中国における売上収益は、前連結会計年度と比べて294,442千円増加し、1,287,668千円となりました。セグメント利益は、前連結会計年度と比べて341,594千円改善し、54,337千円となりました。
米国 - 当連結会計年度の米国におけるセグメント損失は、前連結会計年度の30,638千円に対し、18,792千円となりました。
(3)財政状態に関する分析
連結財政状態
(単位:千円)
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前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
差額 |
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資産合計 |
6,385,579 |
5,818,798 |
△566,780 |
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負債合計 |
1,257,723 |
1,285,729 |
28,005 |
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資本合計 |
5,127,855 |
4,533,069 |
△594,786 |
資産合計
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて566,780千円減少し、5,818,798千円となりました。これは、主として、現金及び現金同等物並びに非流動資産の減少によるものです。
負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて28,005千円増加し、1,285,729千円となりました。これは、流動負債の増加を反映したことによるものです。
資本合計
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて594,786千円減少し、4,533,069千円となりました。これは、主として、利益剰余金の減少によるものです。
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
△382,203 |
△518,714 |
△136,510 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△1,253,550 |
134,240 |
1,387,790 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
231,416 |
△2,013 |
△233,430 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの支出は、前連結会計年度の382,203千円と比べて136,510千円増加し、518,714千円となりました。主な支出は、税引前損失385,380千円並びに営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少206,116千円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の1,253,550千円の支出と比べて1,387,790千円増加し、134,240千円となりました。主な収入は、満期に伴う定期預金の払戻による収入の219,500千円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、前連結会計年度の231,416千円の収入と比べて233,430千円増加し、2,013千円となりました。主な支出は、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出72,748千円であります。