第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、垂直統合型でグローバルに展開するライフサイエンス企業として、より多くの分野のより多くの患者の皆様に、先進的な治療法や医薬品を届けることを第一の目標に掲げております。当社グループは、利益性、着実な臨床開発並びに先進的な創薬活動の三つを基本的な経営方針としております。これらの基本方針の元で、当社グループは外部環境の変化に対応し、来るべき機会をうまく捉え、更には当社株主の皆様に対し利益還元出来るようになるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、医薬品及び医療機器の研究開発投資を効率よく管理しながら、収益源を多様化させることに重点を置いて、持続的な成長を続けることを目指しております。当社グループでは医薬品事業と医療機器事業という事業特性も成長ステージも異なる事業を展開しており、目標とする経営指標はそれぞれ異なります。

 医薬品事業においては、既に上市済みである製品の市場拡大が優先事項であると共に、当社グループ内の前臨床及び臨床開発パイプラインに対する投資コストを効率よく管理するという観点から、売上収益と研究開発費を重要な経営指標としております。

 医療機器事業においては、ターゲット市場における当社グループの競争力を測る観点から、その利益率を重要な経営指標としております。

 

(3)経営戦略等

 医薬品の開発は、その多くの開発候補が各国の規制当局からの承認を受けることができないため、開発のリスクが高いという特徴を持っています。また、医薬品の開発には多額のコストと長い期間が必要であると同時に、厳しい競争と当局の監督管理にも直面します。このような状況と、当社グループの人員・資金・設備が比較的小規模である点を考慮し、競争の厳しい当業界におけるリスクの軽減と成功確率の向上のために、以下の戦略を着実に実行いたします。

 

① 基本戦略
 中国において、垂直統合により一貫して事業展開を行っていることからくるコスト優位性を梃
米国における事業拡大も目指します。医薬品及び医療機器事業を通じ、地理的・事業的に分散された収益を確保することで、リスクを軽減し、クロスボーダー・ライセンス・アウト、提携及び共同開発契約を通じて相乗効果を実現させ、グローバルに収益源の更なる拡大を図ります。

 

② 新薬開発戦略

 患者のニーズが最も緊急である分野における画期的医薬品の開発に焦点を当て、「ファスト・トラック」制度(新薬優先審査制度)と小規模臨床試験制度を活用しつつ、より適切なコストでこのような緊急の医療ニーズを充足することを目指します。当社グループは(a)中国における研究開発基盤を活用し、まだ治療法が確立されていない疾患向けに新薬開発を目指す、(b)より多くの患者の方々を治療するために当該医薬品の適応症拡大を図ると同時に、当該疾患の治療方法について中国の大手病院や重要なオピニオン・リーダーの間で強力なネットワークを構築する、(c)直接販売、ライセンス・アウト、提携等を通して、当該医薬品の世界市場への拡大を図る、という3つのステップを研究開発における戦略に据えております。

 

 持続的な収益の確保
 
当社グループは、連結子会社の北京コンチネントによる主力医薬品アイスーリュイの売上成長加速を継続させ、創薬活動を通じて新規化合物を開発してそれらを販売またはライセンス・アウトし、米国及びグローバル市場において医療機器事業を成長させることで、連結収益の増大及び多様化を目指します。

 

(4)対処すべき課題

① 研究開発への持続的投資を通した成長の実現

 バイオ創薬企業として、当社グループは創薬及び臨床開発活動に継続的に投資を行わなければなりません。新規化合物の探索や、それらをうまく臨床開発していかなければ、当社グループの製品が陳腐化したとき、当社グループは将来の収益や市場シェアを失ってしまいます。当社グループは、利益への影響を最小限にするため、研究開発プロジェクトを厳選して投資決定しております。しかしながら、当社グループ全体として、将来のために、中国及び米国において相当の研究開発投資は継続していかねばならないと考えております。

 

② 資金調達の多様化と安定化

 当社グループは、有望な新規開発化合物の研究開発への投資を続け着実な企業価値の向上を図ります。ビジネス基盤と研究開発活動を強化すべく資金調達を多様化・安定化するため、新たな資金調達先との関係構築や更なる資金調達の機会獲得を追求し続けます。

 

③ コーポレートガバナンスの強化
 当社グループは日本、中国、米国を中心として多国籍に事業を展開しており、経営陣の目標の一つとして、各国の規制に対応した効果的なコーポレートガバナンス体制の発展と強化に取り組んでいます。当社グループは、全社の統一性と透明性を高め、株主の皆様からより深い信頼を獲得すべく、コーポレートガバナンスをより一層向上させる所存です。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループにおいて、事業展開に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。なお、リスク要因に該当しないと思われる事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。また、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。以下の記載は、本株式への投資に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。

 本項中の記載内容については、特に断りがない限り2018年12月31日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)医薬品の開発リスクについて

 当社グループが売上収益を創出し、将来的に黒字化出来るかどうかは、臨床試験段階にある当社グループの医薬品候補化合物の開発が成功裏に完了し、必要な政府機関の承認を取得し、かつ上市できるかどうかに左右されます。当社グループは、既存の医薬品候補化合物の開発に相当の人的・財務的資源を投入しておりますが、これらの候補化合物が医薬品として上市されるまでには今後も多額の投資が必要と考えております。しかしながら、当社グループの既存の医薬品候補化合物及び当社グループが今後発見、またはライセンス・イン或いは買収により導入する新規化合物が承認を得られる保証はなく、さらには政府機関の政策、規制または承認を取得するために必要な臨床試験データの内容等が当該臨床開発期間中に変更となったり、申請対象国によって異なったりする可能性があります。

 

(2)グローバルな事業展開に伴うリスクについて

 当社グループの収益の大半を占める連結子会社である北京コンチネントとBABは、それぞれ中国及び米国に拠点があるため、当社グループの事業活動は、グローバル展開に伴うカントリーリスク、為替リスクまたは政治的リスクの影響を受ける可能性があります。中国及び米国の医薬品産業は政府の厳格な監督管理下での規制を受けており、当社グループの活動は両政府が公布する法律等に従います。これら両国の政策、規制、法律等に変化が生じた場合には、当社グループの経営戦略や事業活動に制約が加えられる可能性があります。

 

(3)競合について

 当社グループは市場競争環境の下で事業を行っておりますが、将来の技術発展や製薬業界における継続的な新薬開発により当社グループの既存製品の陳腐化或いは競争力低下を招いた結果、現在或いは将来の競合他社と有効に競争できなくなる可能性があります。当社グループが競合他社に劣後した結果、売上収益の減少、販売価格の低迷及びシェアの低下等が起こり、それらは当社グループの経営成績と利益率に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。従って、当社グループの今後の発展は、既存製品の改良及び新規性がありかつ価格競争力のある製品を開発し、それらが絶えず変化する市場において受け入れられるかどうかに大きく左右されます。

 

(4)法的規制について

 当社グループの医薬品等の研究開発活動は、それらを行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けております。例えば、当社グループの研究及び製造施設は中国にあり、このことは当社グループの中国における開発、販売並びに承認申請等において利点となっていると考えておりますが、中国の製薬産業は政府の厳格な監督下にあり、また、様々な監督官庁による監理監督を受けます。加えて、中国における医薬品の製造、流通、販売、医療行為や医療機器産業も刻々と変化する制度の下で政府の厳格な監理監督を受けております。

 

(5)事業体制について

① 小規模組織であること

 海外製薬企業や国営製薬企業等、当社の競合他社の多くは、研究開発、薬事、製造及び販売に関して当社グループと比べかなり大規模な人的・財務的資源を有しております。現在当社グループの製品が販売されている分野、当社グループが現在医薬品候補化合物の開発を進めている分野、或いは当社グループの既存製品の適応症拡大を進めている分野において、それら競合他社が研究開発を推進する可能性があります。また、競合他社により、新薬候補化合物の発見、開発、買収或いは上市が当社グループと比べ迅速に行われかつ多大なる成功を収める可能性があります。製薬業界において合併や共同開発アライアンスといった大規模な合従連衡が起こり、急速に市場シェアを獲得する可能性もあります。当社グループが競合他社と有効に競争出来なかったり、業界の構造変化に対応出来なかったりした場合、当社グループの経営成績及び利益性に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 

② 特定人物への依存

 取締役代表執行役社長兼CEOであるイン・ルオ、取締役代表執行役CFOであるトーマス・イーストリング及び取締役執行役佐藤博之は、当社グループの事業を推進する最高責任者として、経営戦略の策定、研究開発や事業開発の推進において重要な役割を果たしております。当社グループの経営は、前述3名を中心としたマネジメントに依存しており、現在の経営陣が継続して当社グループの事業を運営できない場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 人材の確保について

 当社グループは人材の獲得に関し、他の製薬企業、大学及び研究機関と競合関係にあります。優秀な人材は限られていることから、当社グループは幹部職員や主要な研究員が流出した際に適切に補充出来ない可能性があります。過剰な人材獲得競争が起こり当社グループの人件費が上昇することになった場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社の事業成長及び成功の一つの要因は、これらの人員の継続的な貢献と優秀な人材の更なる獲得にあると考えております。もし適切な人材の確保が行えない場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権について

① 当社グループが保有する知的財産権について

 当社グループの製品に関して特許その他の知的財産権を保護するための措置を取ったにもかかわらず、当該知的財産権に関し異議を申し立てられたり無効とされたりする可能性があります。誠実義務に従って誠意をもって特許出願を行ったにもかかわらず、訴訟を提起され、それらが法的に無効或いは実施不能であるという主張がなされる可能性は予測不可能であります。当社の知的財産権が侵害された場合、当社の個別製品、製品群或いは事業全体に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 知的財産に関する訴訟及びクレーム等の対応に係るリスクについて

 当社グループの商業的成功は当社製品が他者の知的財産権を侵害することなく開発、製造、販売されることに依存しております。しかしながら、当社グループの製品又は医薬品候補化合物が、今後将来に渡って如何なる他者の特許或いは知的財産権をも侵害しないことを保証することは困難であります。第三者により、当社グループまたは当社グループが補償することに同意した他の当事者に対して訴訟が提起される可能性があり、そのような訴訟は既存の知的財産のみならず将来発生する知的財産についても発生する可能性があります。特許侵害、企業秘密の不正流用その他の知的財産権の侵害申し立てに対する弁護には、その結果如何に関わらず、多大なる費用及び時間を要する可能性があります。

 

③ 機密情報に係る対応について

 企業秘密、ノウハウその他機密情報等の知的財産を保護するため、当社グループは従業員と秘密保持契約を締結しております。加えて、研究開発職員とも個別に秘密保持契約を締結しております。当該秘密保持契約書は入念に起草されており、当社グループは知的財産保護に関し必要な措置を講じておりますが、当社グループ従業員または第三者により当社グループの機密情報が無断で公開されないことを保証するのは困難であります。

 

(7)製造物責任のリスクについて

 当社グループの製品及びその製造プロセスは、所定の品質基準を満たすことが求められます。当社グループは、製品に関する品質問題発生を予防するため、品質管理マネジメント体制及び標準手順書を確立しております。しかしながら、そのような品質管理体制をもってしても、間違い、不具合、故障といった事象を完全に取り除くことは困難であります。品質上の不具合は、幾つもの要因の結果、検知も是正もされない可能性がありますが、それらの多くは当社の管理不能な要因であります(製造設備の故障、品質管理担当者によるヒューマンエラー又は不正行為、第三者の不正行為、原料の品質問題等)。加えて、当社グループにおいて将来製造能力を拡大した場合、当社グループの既存の設備と新設備とで製品の品質を等しく保つことを保証できない可能性があり、当該品質問題解決のために相当の費用が発生する可能性があります。

 

(8)製造並びに安定供給に関するリスクについて

 当社グループの製造設備は、幾つもの要因の結果、その安定稼働が阻害される可能性がありますが、それらの多くは当社グループの管理不能な要因であります(自然災害、停電、燃料不足、設備の破壊、テロリズム、戦争、製造許可その他許可の取消し、当社グループの製造設備が存在する土地に関する中国政府計画の変更その他の規制変更等)。当社グループの設備の稼働が阻害された結果、他者との契約の不履行又は当社グループの製品に対する市場の需要を満たすことが出来なくなること等により、当社グループ事業、売上収益及び利益性に悪影響が及ぶ可能性があります。

 当社グループの製品の製造及び製剤において必要な原材料の中には、単一の第三者供給元から仕入れているものがあります。監督官庁による規制、当該供給元の財務状況悪化、想定外の需要発生或いは労働争議といったいかなる理由にせよ、当該単一供給元がそれらの原材料の生産を中止或いは休止したり、当社グループに供給が出来なくなったりした場合、当社グループは当該原材料を不特定の期間入手出来ない可能性があります。これらの事象は当社グループの製品の供給能力に悪影響を及ぼし、当社グループの当該製品の売上収益及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)新株予約権等について

 当社グループは、ストックオプション制度を採用しております。この制度は当社グループの役員や従業員に対して、業績向上に対する意欲を持たせるものとして有効な制度であると認識しておりますが、それらの新株予約権が行使された場合、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。しかしながら、基本的な財務計画は潜在株ベースで進めておりますので大きな問題にはならないと考えております。一方、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施していくことは必須のものであると認識しております。

 

(10)提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況

 該当事項はありません。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  ①経営成績の状況

 当社は日本に本社を置き、主に中国及び米国の子会社において医薬品事業と医療機器事業を行うグローバル製薬企業です。

 当連結会計年度において、当社グループは、世界有数のバイオ製薬企業を目指し、収益性、着実な臨床開発及び革新的な創薬研究に基づいた戦略を実行し、その結果、これらの戦略において多数の重要な成果が実現されました。まず、特発性肺線維症(IPF)患者様全体数の内、アイスーリュイを実際に使用される患者様層の深化及び拡大に成功したことで、中国市場におけるアイスーリュイが大幅な成長を続け、過去最高の売上を達成することができました。また、当社グループが開発している次世代の抗線維症薬候補品F351については、中国における第2相臨床試験及び米国における第1相臨床試験において、治験上の重要な進展を得ることができました。さらに、将来への投資の為に、当社グループは、創薬技術の変革をもたらす可能性のある創薬ベンチャーであるCullgen Inc. (Cullgen)を設立し、わずか10カ月足らずの間に有望な新規化合物を見い出すことに成功しています。

 当連結会計年度の経営成績は以下のとおりです。

 

連結経営成績概要

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

売上収益

2,648,451

5,018,944

2,370,493

売上総利益

2,153,463

4,170,670

2,017,207

営業利益

154,212

568,600

414,387

当期利益

28,205

192,173

163,968

 

売上収益及び売上総利益

 当連結会計年度において、売上収益は前年同期比約89.5%増加の5,018,944千円となりました。利益率も堅調に推移し、当連結会計年度の売上総利益は、前年同期比約93.7%増加の4,170,670千円となりました。前年同期に比べたこの増加は、北京コンチネント薬業有限公司(北京コンチネント)におけるアイスーリュイの売上の大幅な増加傾向が維持されたことと、当連結会計年度においてBerkeley Advanced Biomaterials LLC(BAB)の業績を通期で取り込んだことによるものです。

 

営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の154,212千円の利益と比べ、414,387千円増加し、568,600千円の利益となりました。当社グループは、当連結会計年度において過去最高の営業利益を達成しましたが、これは、グループの核となる事業分野の売上収益の増加と利益率向上の両立を目指した戦略的目標が反映されたものです。

 

当期利益

 当連結会計年度の当期利益は、当第4四半期連結会計期間において、金融費用でご報告しております円高による深刻な為替差損が発生したにもかかわらず、前連結会計年度と比べ163,968千円増加し、過去最高の192,173千円の利益となりました。

 

 

販売費及び一般管理費の明細、研究開発費

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

販売費及び一般管理費

△1,740,122

△2,998,963

△1,258,840

人件費

△792,354

△1,355,786

△563,432

研究開発費

△268,569

△530,246

△261,677

 

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,258,840千円増加し、2,998,963千円となりました。これは、主に、アイスーリュイの販売関連費用に加え、BABの費用を通期で取り込んだことと、Cullgenの費用が追加されたことによるものです。研究開発費が前年同期に比べ増加したのは、主として、中国及び米国における臨床試験が進展したことと、新しく設立された当社子会社であるCullgenにおける創薬研究活動の拡大によるものです。

 

金融収益、金融費用及び持分法による投資利益(損失)

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

金融収益

51,121

21,978

△29,142

金融費用

△34,299

△225,882

△191,583

持分法による投資利益(△損失)

△33,905

33,905

 

金融収益

 当連結会計年度の金融収益は、前連結会計年度の51,121千円と比べて、29,142千円減少し、21,978千円となりました。

 

金融費用

 当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度の34,299千円と比べて、191,583千円増加し、225,882千円となりました。この増加は、主として、現金支出を伴わない為替差損によるもので、外貨建ての資産及び負債の評価替えにより生じた正味の為替差損は、当連結会計年度において186,761千円となりました。

 

持分法による投資利益(損失)

 当連結会計年度の持分法による投資損益の該当はありません。前連結会計年度には33,905千円の損失を計上しましたが、これは、IriSys, LLCへの投資からの損失が発生したためです。

 

② セグメント情報

医薬品事業

 当連結会計年度の医薬品事業における売上収益は、前連結会計年度と比べて1,308,847千円増加し、3,214,310千円となりました。セグメント利益は、前連結会計年度の19,343千円の損失から34,093千円改善し、14,750千円の利益となりました。

 

医療機器事業

 当連結会計年度の医療機器事業における売上収益は1,843,933千円となり、セグメント利益は542,328千円となりました。

 

 生産、受注及び販売の実績

生産実績

 当社グループの業務は業務の性質上、生産として把握することが困難である為、記載を省略しております。

 

受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

至 2018年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

医薬品事業

3,214,310

68.7

医療機器事業

1,804,633

142.9

合計

5,018,944

89.5

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

セグメント

前連結会計年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

至 2018年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Sinopharm Group Co., Ltd.

医薬品事業

893,875

33.8

1,372,757

27.4

Shang Yao Kang Dele (Shanghai) Pharmaceutical Co.,Ltd.

医薬品事業

128,210

4.8

311,668

6.2

Beijing Keyuan Xinhai Pharmaceutical Co., Ltd.

医薬品事業

245,498

9.2

305,498

6.1

K2M, Inc.

医療機器事業

95,078

3.6

322,477

6.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積り及び判断を行っております。また、実際の結果は見積りによる不確実性がある為、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財諸表、連結財務諸表注記 4.重要な会計方針」に記載しております。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況、2 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。

 

資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.当期の財政状態の概況

 

連結財政状態

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

資産合計

15,676,746

17,100,806

1,424,060

負債合計

5,764,941

7,092,869

1,327,928

資本合計

9,911,805

10,007,936

96,130

 

資産合計

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,424,060千円増加し、17,100,806千円となりました。これは、主として、北京コンチネントの新工場建設による有形固定資産の増加及び株式の発行による現金及び現金同等物の増加によるものです。

 

負債合計

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,327,928千円増加し、7,092,869千円となりました。これは、主として、10億円の無担保ローン借り入れによる借入金の増加によるものです。

 

資本合計

 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて、96,130千円増加し、10,007,936千円となりました。これは、主として、株式の発行及び当期利益の増加によるものです。

 

b.当期のキャッシュ・フローの概況

 

連結キャッシュ・フロー

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

△476,605

621,230

1,097,836

投資活動によるキャッシュ・フロー

△6,749,797

△1,107,574

5,642,222

財務活動によるキャッシュ・フロー

8,805,235

1,208,357

△7,596,878

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の476,605千円の支出と比べて1,097,836千円増加し、621,230千円となりました。主な収入は、税引前利益であります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、前連結会計年度の6,749,797千円の支出と比べて5,642,222千円減少し、1,107,574千円となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出であります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の8,805,235千円の収入と比べて7,596,878千円減少し、1,208,357千円となりました。主な収入は、株式の発行による収入及び長期借入による収入であります。

 

c.財務政策

当社グループの核となる事業は医薬品開発であります。しかしながら、他の創薬ベンチャー企業とは異なり、当社グループは自社の知的財産権を第三者にライセンス・アウトすることでマイルストーン収益やロイヤルティー収入を得るということはせず、むしろ自社グループ内にて当該医薬品候補化合物の収益化を成功させることに目を向けており、中国市場においてはアイスーリュイにてそれを成し遂げております。これにより、当社グループは、十分なキャッシュ・フローを創出し、利益を得ることと、将来の売上収益獲得のために当社グループの医薬品開発パイプラインに継続的な投資を行うこととの両方を実現させるという経営戦略を遂行できるようになりました。このためには、研究開発費と売上利益とのバランスを慎重に保つという厳しい財務政策が必要とされます。

当社グループは主として、上記戦略遂行によって生み出された内部留保資金を当社グループの事業運営に活用しますが、当社経営陣は、医薬品開発のリスク及び将来の金融市場混乱の可能性を予見できないことを依然として認識しております。従いまして、当社グループの事業継続を確かなものにし、また、新たな事業機会が訪れた際に先手を打てるに十分な資金を保有しておくため、場合によっては外部資金調達に取り組むことがあります。そのような外部資金調達を行う場合においても、当社への出資拡大に伴う希薄化を最小限に抑えると共に、当社グループの成長を支援して頂ける長期安定投資家の探索に努める方針であります。

当連結会計年度において予定している設備投資に係る資金需要の主なものは「第3 設備の状況、3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

前連結会計年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

至 2018年12月31日)

(のれんの償却停止)

当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。

この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が141,743千円減少しております。

(のれんの償却停止)

当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。

この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が320,470千円減少しております。

(非支配持分に係る売建プット・オプションの会計処理)

日本基準で認識されなかった非支配持分の所有者に付与している子会社持分の売建プット・オプションについて、IFRSでは金融負債として認識するとともに非支配持分との差額を資本剰余金から減額しております。

当初認識後の変動については資本剰余金に認識しております。そのため、当連結会計年度の連結財務諸表において、その他の金融負債(流動)が、337,567千円増加、その他の金融負債(非流動)が3,323,426千円増加し、資本剰余金が2,816,390千円減少、その他の包括利益累計額が19,322千円増加し、非支配持分が863,926千円減少しております。

 

(非支配持分に係る売建プット・オプションの会計処理)

日本基準で認識されなかった非支配持分の所有者に付与している子会社持分の売建プット・オプションについて、IFRSでは金融負債として認識するとともに非支配持分との差額を資本剰余金から減額しております。

当初認識後の変動については資本剰余金に認識しております。そのため、当連結会計年度の連結財務諸表において、その他の金融負債(流動)が994,854千円増加、その他の金融負債(非流動)が2,809,086千円増加し、資本剰余金が3,028,027千円減少、その他の包括利益累計額が6,554千円増加し、非支配持分が782,468千円減少しております。

 

 

 

4【経営上の重要な契約等】

契約会社名

相手先の名称

相手先の所在地

契約品目

契約内容

契約締結日

契約期間

株式会社ジーエヌアイグループ(当社)

イーピーエス株式会社

日本

技術

中国及び日本における医薬品候補品F351の共同事業

2010年7月30日

2010年7月30日~

株式会社ジーエヌアイグループ(当社)、

上海ジェノミクス有限公司(当社100%子会社)

北京コンチネント薬業有限公司

中国

製造販売

IPF治療薬・アイスーリュイの製造販売(製造販売許可取得後)

2011年7月13日

2011年7月13日~

株式会社ジーエヌアイグループ(当社)

AFT Pharmaceuticals Limited

ニュージーランド

独占販売

IPF治療薬の独占販売(製造販売許可取得後)

(注)1

2013年12月6日

2013年12月6日~2023年12月5日

(注)1. 本契約の対象領域は、オーストラリア、ニュージーランド、アセアン諸国、香港、ロシア、CIS諸国であります。

 

5【研究開発活動】

(1)創薬活動

 当社グループの創薬活動はCullgenを中心に展開されておりますが、Cullgenは、新しい創薬基盤技術であるuSMITE™(ユビキチン化を介した低分子標的タンパク質分解誘導技術)を活用した、がん、炎症性疾患及び自己免疫疾患の新たな治療における革新的な新規化合物の研究開発を行う目的で設立されました。その試みのため、当社グループは、ユビキチン分野の優れた専門家であるノースカロライナ大学生化学・生物物理学ウィリアム・R・ケナン講座教授のYue Xiong博士と、マウント・サイナイ医科大学薬理科学教授のJian Jin博士を共同創業者に迎え、さらに中国と米国において第一線級の研究者チームを構築しました。

 

 Cullgenは、カリフォルニア州サンディエゴに本社を構え、Cullgen (Shanghai), Inc.においてその研究施設を保有しています。Cullgenは、独自の創薬基盤技術を活用した治療法の存在しない疾患治療のための画期的な新規化合物の合成を目指しております。低分子医薬品は、一般的には、タンパク質の活性部位に作用し、その活動を阻害するよう設計されていますが、Cullgenは、従来創薬ターゲットにできなかった酵素やタンパク質の除去を可能とするべく、タンパク質等の活性部位への阻害を越えた医薬品デザインの拡大を目指しています。Cullgenは、その設立以来、uSMITE™を利用した癌領域の新規化合物を多数見い出しており、その技術と開発戦略を証明しています。

 

(2)臨床試験

① アイスーリュイ〔中国語:艾思瑞®、英語:Etuary®

a.放射線性肺炎(RP)

 当社グループは、アイスーリュイの2番目の適応症として、RP治療薬の第3相臨床試験前パイロット試験を実施しております。これは、反復投与、多施設でのオープン試験を行うもので、2018年12月末現在、10の施設で11人の被験者登録が行われています。被験者登録は、2019年末までに終了する見込みです。

 

b.糖尿病腎症(DN)

 DNは、Ⅰ型糖尿病又はⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。統計によれば、中国では、糖尿病の有病者が9,240万人に達すると報告されており、Ⅰ型又はⅡ型糖尿病患者の20~30%が腎疾患を引き起こすとされています。2016年8月、当社グループは、国家薬品監督管理局(NMPA)(旧 CFDA)より、DN治療薬のIND申請に対する承認を取得し、DNに関し第2相臨床試験を直ちに開始することが認められました。当第2相臨床試験は、治験実施予定施設の改築完了をもって開始する予定ですが、その時期は2019年前半を見込んでおります。

 

c.結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)

 CTD-ILDとは、結合組織疾患(CTD)を持つ患者様の肺に、炎症及び線維症、又はいずれか一方の症状を引き起こす状態のことを指しますが、2016年9月、当社グループは、アイスーリュイの4番目の適応症としてのCTD-ILD治療薬のIND申請に対する承認をNMPAより取得しました。同承認により、当社グループは、CTD-ILDの2つの適応症である全身性強皮症(強皮症)及び皮膚筋炎(DM)に関し、第3相臨床試験を直ちに開始することが認められました。2018年6月、当社グループは、強皮症とDMに関する第3相臨床試験において、最初の患者様が被験者登録されたことを発表いたしました。本試験は無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、52週の試験です。強皮症に関しては144名、DMに関しては152名の被験者が参加する予定で、2018年12月末現在、強皮症に関しては5人、DMに関しては15人の被験者登録が行われています。

 

② F351(肝線維症等治療薬)

 F351は、当社グループの開発パイプラインの中でも重要な創薬候補化合物で、臨床開発活動を世界の主要医薬品市場で展開する当社戦略に必要不可欠なものです。F351は、アイスーリュイの誘導体である新規開発化合物であり、肝星細胞の増殖及び内臓の線維化に重要な役割を果たすTGF-β伝達経路の両方の阻害剤です。当社グループは中国、日本、豪州、カナダ、米国及び欧州各国を含む主要な国でのF351の特許権を保有しております。

 

a.中国

 当社グループは、中国において、F351の肝線維症治療薬としての第2相臨床試験を行っておりまが,これは、慢性B型肝炎ウイルス感染による肝線維症の治療におけるF351の安全性及び有効性を検証するもので、中国全土の三級甲の13の病院が参加し、無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、反復投与、多施設での試験を行うものです。2018年12月末日現在、複数の施設で、177人の被験者登録が行われています。2018年9月、当社グループは、中国におけるF351の肝線維症を適応症とする第2相臨床試験を審査する独立データモニタリング委員会(IDMC)より、これまでの試験において良好な結果が認められたことから、本試験に対する新規被験者登録を停止すべきとの勧告を受領しました。また、IDMCは、本試験終了前に、まだ52週間の経過観察期間が残っている36名の被験者については試験を継続するよう勧告しております。同委員会の勧告に従い、当社グループは、中国における当第2相臨床試験を2019年夏頃に終了し、その後、当試験の最終結果は国際学会の場で発表される予定です。その一方で、当社グループは、この重要な医薬候補品の承認に至る過程で必要だとNMPAからアドバイスされた内容に従って、患者様を用いた生物学的同等性データ及び薬物動態データを準備しております。

 

b.米国

 2018年7月、肝疾患を対象に実施されていたF351の米国における第1相臨床試験に関し、全ての被験者群(4群、総数48名)の登録が完了となりました。2018年12月、当社グループは当臨床試験の治験報告書を受領いたしました。全ての被験者群において、深刻な副作用は見られなかったことが再度確認されました。F351は、アジア人以外の人種においても充分な忍容性を示し、薬物動態試験においては、アジア人以外の人種に対し、以前中国において行われた第1相臨床試験結果と比べわずかな違いしか示しませんでした。

 

③ タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)

 タミバロテンは、APL治療薬です。APLは、急性骨髄白血病の一種で、前骨髄球が「がん化」する白血病です。共同開発者である東光薬品工業株式会社と当社子会社のGNI-EPS (HONG KONG) HOLDINGS LIMITEDは、2015年10月に、アムノレイク®錠2mg(一般名:タミバロテン)を、輸入薬としてNMPAに登録申請を行いました。その後、書類審査や治験施設においてのGCP適応審査などが行われ、総合審査前の段階にあります。

 

④ F573(急性肝不全・慢性肝不全急性時(ACLF)治療薬)

 急性肝不全・ACLF治療薬F573は、アイスーリュイ及びF351に続く3つ目の新規開発化合物で、当社グループは、2011年7月にNMPAにIND申請を提出しました。F573は、ジペプチド化合物で、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝硬変に起因する重症肝炎と関連した、細胞死や炎症反応をもたらす酵素の一種であるカスパーゼを阻害する可能性を持つものです。2018年4月、当社グループは、NMPAより、F573の急性肝不全・ACLF治療薬としてのIND申請に対する承認を取得しました。本承認は、第1相臨床試験の結果が良好であった場合、第2相臨床試験も行うことができる内容となっており、当社グループは、第1相臨床試験開始に当たって、治験施設の選定を含めた準備を行っております。

 

⑤ その他

 以上のパイプラインの他、2015年12月には、当社の連結子会社である北京コンチネントが、酪酸ヒドロコルチゾンの温度により制御されるフォーム製剤(外用薬)のIND申請を北京市食品薬品監督管理局(北京FDA)に提出し、受理されております。当フォーム製剤は、湿疹、乾癬、接触性皮膚炎等の外用薬として、北京コンチネントとGENEPHARM Biotech Corp.(台湾企業)により共同開発されたものです。当初提出したフォーム製剤に関するIND申請に一部データが不足していたため、北京コンチネントは、再提出に向けた当該データの準備を行っております。

 

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、全体では530,246千円となりました。医薬品事業の研究開発部門に所属する人員は2018年12月31日現在35名で、主に中国で研究活動を行っております。