第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、多国籍ヘルスケア企業として、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズ)を満たす技術・製品の開発、市場開拓・上市、製造・販売を通して、世界中の患者の皆様に希望をお届けすることをミッションとしております。当社グループの経営における基本方針は、革新的な創薬への継続的な投資および当社グループ全体の収益性拡大です。これらの基本方針の下で、当社グループは外部環境の変化に対応し、来るべき機会を的確に捉え、株主の皆様に対し利益を還元できるようになるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、医薬品及び医療機器(生体材料)の研究開発投資を効率よく管理しながら、収益源を多様化させることに重点を置いて、持続的な成長を続けることを目指しております。この観点から目標とする経営指標を売上収益の伸びと研究開発費の売上収益対比としております。当社グループでは医薬品事業と医療機器(生体材料)事業という事業特性も成長ステージも異なる事業を展開しており、目標とする経営指標はそれぞれ異なります。

 

医薬品事業:

(a)新薬の導入及び適応症の拡大などによる20-40%の売上収益の伸びを目指します。

(b)医薬品候補のパイプラインを拡充することにより医薬品開発への投資を拡大いたします。

(c)研究開発費を売上収益対比20%以内とするように管理し、収益性を維持いたします。

医療機器(生体材料)事業:

新製品導入及び美容領域の手術等への事業展開により適正な売上収益の伸びを実現し、適正な利益の確保を維持いたします。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、医薬品事業における革新的な創薬活動への投資と製造販売の強化、医療機器(生体材料)事業の拡大を軸に、上記経営方針を満たして参ります。

 医薬品や医療機器の開発は、その多くの開発候補が各国の規制当局からの承認を受けることができないため、開発のリスクが高いという特徴を持っています。また、医薬品および医療機器の開発には多額のコストと長い期間が必要であると同時に、厳しい競争と当局の監督管理にも直面します。このような状況と、当社グループの人員・資金・設備が比較的小規模である点を考慮し、競争の厳しい当業界におけるリスクの軽減と成功確率の向上のために、以下の戦略を着実に実行いたします。

 

① 基本戦略
 中国において、垂直統合により一貫して事業展開を行っていることによるコスト優位性を元に、米国における事業拡大も目指します。医薬品及び医療機器(生体材料)事業を通じ、地理的・事業的に分散された収益を確保することで、リスクを軽減し、クロスボーダー・ライセンス・アウト、提携及び共同開発契約を通じて相乗効果を実現させ、グローバルに収益源の更なる拡大を図ります。グローバル化においては、サプライチェーンの寸断リスクや地政学的リスクが存在しますが(「2 事業等のリスク」参照)、グローバルに多様化されたビジネスのメリットは数多くあります。当社グループのように、世界最大の経済圏一つだけでなく上位三つの経済圏全てで複数の事業をグローバルに展開することにより、サプライチェーンの回復力が向上する、多様な人財を惹きつけ、更にそれらの人財間で様々なアイデアを交換する機会が生じる、異なる通貨間のやり取りが自然とヘッジの役割を果たすなどの効果が見込めます。そのおかげで、たった一つの国または地域で事業を展開している企業に比べ、その一か所での障害が全事業に影響を与えるリスクを軽減することができます。

 

② 新薬開発戦略

 患者のニーズが最も緊急である分野における画期的医薬品の開発に焦点を当て、「ファスト・トラック」制度(新薬優先審査制度)と小規模臨床試験制度を活用しつつ、より適切なコストでこのような緊急の医療ニーズを充足することを目指します。当社グループは(a)中国における研究開発基盤を活用し、まだ治療法が確立されていない疾患向けに新薬開発を目指す、(b)より多くの患者の方々を治療するために当該医薬品の適応症拡大を図ると同時に、当該疾患の治療方法について中国の大手病院や重要なオピニオン・リーダーの間で強力なネットワークを構築する、(c)直接販売、ライセンス・アウト、提携等を通して、当該医薬品の世界市場への拡大を図る、という3つのステップを研究開発における戦略に据えております。

 

③ 持続的な収益の確保
 当社グループは、連結子会社の中国の北京コンチネント薬業有限公司(以下、北京コンチネントという。)の主力医薬品アイスーリュイの製造・販売・マーケティングを強化するとともに、その適応症の更なる拡大を通じて、売上収益の継続的な拡大を目指しております。また、北京コンチネントおよび米国のCullgen Inc.(以下、Cullgenという。)における創薬活動を基に、その核となる知的財産権を当社グループ内に確保しつつ、成果物である新規化合物や創薬技術を販売またはライセンス・アウトすることにより、創薬事業の収益化を図ります。更に、米国のBerkeley Advanced Biomedicals LLC(以下、BABという。)の医療機器(生体材料)事業を引き続き推進するとともに、蓄積した生体材料技術とブランドを美容分野へ応用することで、医療機器事業の収益拡大を目指します。これらの施策を通じ、当社グループ全体の連結売上収益の増大及び多様化を目指します。

 

④ 事業投資

 当社グループは、医薬品及び医療機器(生体材料)事業を通じて培ったノウハウを基に、当社グループと相乗効果が期待できる革新的な企業に対して、適切な時期に戦略的な投資を行います。

 

⑤ 日本における事業の拡大

 当社グループは、これまで米国と中国という経済規模がそれぞれ世界第1位と第2位の国で事業を着実に拡大して参りました。これまで当社グループ本社は日本で上場しているものの、持株会社としての機能のみを保持しておりました。今後、当社グループ事業の第3の柱を経済規模が世界第3位の日本で確立すべく、M&Aや事業提携を含めた事業拡大の方策を積極的に模索いたします。

 

⑥ ESGに代表される非財務価値の向上
 当社グループは世界のアンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ)を満たし、患者の皆様に新たな希望をお届けすることをミッションとして日々事業に励んでおります。従いまして、当社グループの事業活動そのものがESG(環境、社会、ガバナンス)に関する課題を解決することに直結していると考えております。中国におきましては、北京コンチネントがアイスーリュイをNPOに寄付するなど、社会面での貢献も積極的に推進し、また、環境面でも、工場の有害排出物を抑制するための環境保護向け支出を継続的に行っております。さらに、当社グループ全体で、ダイバーシティを高めるべく、取締役、経営幹部、管理職、実務レベルの各層において、女性の登用を積極的に進めております。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 研究開発への持続的投資による成長の実現
 バイオ創薬企業として、当社グループは創薬及び臨床開発活動に継続的に投資を行わなければなりません。新規化合物の探索や臨床開発を常に推進していかなければ、当社グループの製品の陳腐化した時、収益機会や市場シェアを失うことになります。当社グループは、利益への影響を最小限にするため、研究開発プロジェクトを厳選し、投資決定しております。

 

② 資金調達の多様化と安定化
 当社グループは、有望な新規開発化合物の研究開発への投資を続け、着実な企業価値の向上を図ります。ビジネス基盤と研究開発活動を強化するため、新たな資金調達先との関係構築、グループ会社の上場やCBIOとの取引のような新たなストラクチャーの模索等を通じ、資金調達手段をグローバルに多様化・安定化させることを目指してまいります。

 

③ グループ会社の連携による企業価値の向上
 当社グループは、日本の東京に本社を置き、世界2大医薬品市場である中国及び米国の子会社を通じて、収益源及び研究開発活動の多様化を実現しています。このグローバル戦略は、財務の安定性と研究開発業務全般にわたるシナジー効果をもたらします。当社グループは、研究開発における主要子会社間の連携強化による生産性の向上とコスト削減に注力していくとともに、ステークホルダーの皆様の利益のために、コーポレート・ガバナンスを強化することで、企業価値の更なる向上を目指して参ります。

 

④ 内部管理体制の強化

 効率性、透明性に富み、説明責任を全うしうる健全な当社グループ運営を行うにあたっては、内部管理体制の強化が必須であると認識しております。このため、有能な人材の確保・育成や情報システムの高度化等ひいてはコーポレートガバナンスの強化を通じて、更なる健全な当社グループ運営を目指し、内部管理体制の強化を図ってまいります。

 

⑤ データ管理について

 当社グループは、常に変化し続けるデータローカライゼーションおよび国境を越えたデータ転送の規制に関して、日本の親会社レベルおよび子会社レベルの両方で、特許およびその他の知的財産のデータが確実に保護されるように注意を払っています。さらに、子会社レベルでは、事業を行うそれぞれの国の関連規則および規制の下で求められる、絶えず変化するローカルデータ管理および情報共有プロトコルに準拠するよう努めています。従って、当社グループは、現在日本では従業員以外の個人情報を取り扱っていませんが、個人情報保護法(APPI、2020年6月に改正され、2022年4月に発効)の第28条などの重要な規制の変更を注意深く見守り、定期的に手順や業務の更新を図っております。この目的のため、2022年に知的財産データおよびその他のリスク管理の目的でMaterial Information Manager(MIM)を任命し、事業運営の上で重要なデータの処理と保管方法を全面的に見直すことで、ネットワークとサーバーインフラストラクチャが陳腐化するリスクを軽減しました。このアップグレードの一環として、当社はデータおよびクラウドサービスプロバイダーを使用して、堅牢なバックアップストレージを確立しております。

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループにおいて、事業展開に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。なお、リスク要因に該当しないと思われる事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。また、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める責任がございますが、投資家の皆様におかれましては、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われますようお願いいたします。以下の記載は、本株式への投資に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。

 本項中の記載内容については、特に断りがない限り2022年12月31日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)医薬品の開発リスク

 当社グループが売上収益を創出し、継続して黒字を達成出来るかどうかは、臨床試験段階にある当社グループの医薬品候補化合物の開発が成功裏に完了し、必要な政府機関の承認を取得し、かつ、上市できるかどうかに左右されます。当社グループは、既存の医薬品候補化合物の開発に相当の人的・財務的資源を投入しておりますが、これらの候補化合物が医薬品として上市されるまでには今後も多額の投資が必要と考えております。しかしながら、当社グループの既存の医薬品候補化合物及び当社グループが今後発見、またはライセンス・イン或いは買収により導入する新規化合物が政府機関の承認を得られる保証はなく、さらには政府機関の政策、規制または承認を取得するために必要な臨床試験データの内容等が当該臨床開発期間中に変更となったり、申請対象国によって異なったりする可能性があります。

 

(2)グローバルな事業展開に伴うリスク

 当社グループの収益の大半を占める連結子会社である北京コンチネントとBABは、それぞれ中国及び米国に拠点があるため、当社グループの事業活動は、グローバル展開に伴うカントリーリスク、為替リスクまたは政治的リスクの影響を受ける可能性があります。中国及び米国の医薬品産業は政府の厳格な管理監督下での規制を受けており、当社グループの活動は両政府が公布する法律等に従います。これら両国の政策、規制、法律等に変化が生じた場合には、当社グループの経営戦略や事業活動に制約が加えられる可能性があります。また、種々の理由による国際的なサプライ・チェーンの混乱等により、医薬品や医療機器(生体材料)の製造、販売、流通、医療行為に制約が加えられる可能性があります。

 

(3)競合に関するリスク

 当社グループは市場競争環境の下で事業を行っておりますが、将来の技術発展や製薬業界における継続的な新薬開発により当社グループの既存製品の陳腐化或いは競争力低下を招いた結果、現在或いは将来の競合他社と有効に競争できなくなる可能性があります。当社グループの創薬の研究開発が競合他社に劣後していると判明した場合、売上収益の減少、販売価格の低迷及びシェアの低下等が起こり、それらが当社グループの経営成績と利益率に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。従って、当社グループの今後の発展は、既存製品の改良及び新規性がありかつ価格競争力のある製品を開発し、それらが絶えず変化する市場において受け入れられるかどうかに大きく左右されます。

 

(4)法的規制に関するリスク

①訴訟リスク

 当連結会計年度末時点では、当社グループは訴訟の対象となっておりませんが、将来、当社グループが訴訟、その他の法的手続き、または、当局による調査の対象となる可能性があります。多額の金銭的補償が命じられた場合や当社グループに不利な決定がなされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

②規制リスク

 当社グループの医薬品の研究開発活動は、それらを行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けております。例えば、当社グループの研究及び製造施設は中国にあり、このことは当社グループの中国における開発、販売並びに承認申請等において利点となっていると考えておりますが、中国の製薬産業は政府の厳格な管理監督下にあり、また、様々な監督官庁による監理監督を受けます。加えて、中国における医薬品の製造、流通、販売、医療行為や医療機器産業も刻々と変化する制度の下で政府の厳格な監理監督を受けており、制度が変化した場合には、当社グループの事業活動に制約が加えられる可能性があります。

 

(5)知的財産権に関するリスク

 当社グループの製品に関して、特許その他の知的財産権を保護するための措置を取ったにもかかわらず、当該知的財産権に関し異議を申し立てられたり無効とされたりする可能性があります。特許侵害や、企業機密の漏洩、その他の知的財産権の侵害に関して係争することは、結果の良し悪しに限らず非常に費用がかかります。従って、当社グループでは、誠実義務に従って、細心の注意を払いながら特許出願を行います。しかしながら、訴訟を提起され、それらが法的に無効或いは実施不能であるという主張がなされる可能性は予測不可能であります。当社の知的財産権が侵害された場合、当社の個別製品、製品群或いは事業全体に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)製造物責任のリスク

 当社グループの製品及びその製造プロセスは、所定の品質基準を満たすことが求められます。当社グループは、製品に関する品質問題発生を予防するため、品質管理マネジメント体制及び標準手順書を確立しております。しかしながら、そのような品質管理体制をもってしても、間違い、不具合、故障といった事象を完全に取り除くことは困難であります。品質上の不具合は、幾つもの要因の結果、検知も是正もされない可能性がありますが、それらの多くは当社の管理不能な要因です(製造設備の故障、品質管理担当者によるヒューマンエラー又は不正行為、第三者の不正行為、原料の品質問題等)。加えて、当社グループにおいて将来製造能力を拡大した場合、当社グループの既存の設備と新設備とで製品の品質を等しく保つことを保証できない可能性があり、当該品質問題解決のために相当の費用が発生する可能性があります。

 

(7) 新型コロナウイルスなどの感染症に関するリスク

① 創薬の研究開発における影響

 当社グループは、パンデミック発生時に限らず、在宅勤務も極力可能にするための情報インフラを構築し、維持しておりますが、創薬の研究開発の多くは研究所にて行う必要があり、感染症が蔓延して出勤が困難になることにより、研究開発に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 臨床試験における影響

 新型コロナウイルスのようなパンデミックが発生した場合、臨床試験を行う医療機関や医師がパンデミック対応にリソースが優先的に割かれるため、パンデミックに直接関係ない新薬の臨床試験のスケジュールに悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 通常の事業活動に与える影響

 新型コロナウイルスのようなパンデミックが発生した場合、パンデミックを引き起こしている感染症以外の病気のための通院や治療が抑制され、パンデミック以外の病気向けの薬の処方が減ることにより、当社の医薬品の売上収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、生体材料事業においては、生体材料を使用する手術のキャンセルや延期などにより、生体材料の売上収益の目標の達成に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人的資本に関するリスク

① キーパーソンへの依存

 当社グループは、最高経営責任者(CEO)のイン・ルオ博士ほか経営陣のリーダーシップによって率いられております。特にルオ博士は、当社の企業戦略および研究開発戦略の考案と実行において重要な役割を果たしております。さらに、グループの東京本社は小規模であり、日常業務を少数の主要な従業員に依存しております。ルオ博士をはじめとする経営陣や主要な人員の貢献・サービスが失われると、当社の事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人財の獲得と保持

 当社グループは、事業を展開している主要な地域において、他の製薬会社や大学・研究機関と人財採用の面で競合しております。有能な人財の数が限られているため、損失が発生した場合、当社グループは上級スタッフおよび主要な研究者を十分に置き換えることができない可能性があります。過度な人財獲得競争により、当社グループの人件費が上昇した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした人財の継続的な貢献と、優秀な人財のさらなる獲得が、事業の成長と成功の要因の一つであると考えております。適切な人財を確保できない場合、当社の事業、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) その他のリスク

① サイバーセキュリティ

 当社グループは事業をグローバルに展開しており、ハッカー、マルウェア、ウイルスおよびその他のサイバー脅威を含む悪意のある攻撃者からの脅威に直面しております。その結果、当社グループおよびお客様、従業員、取引先の様々な機密情報が違法に公開・収集・監視・悪用・消去されると、当社の業務の中断、財務上の損失、評判の低下、法的および規制上の罰則などの悪影響をもたらす可能性があります。ファイアウォールや多要素認証など、サイバー攻撃から保護するためのさまざまな対策を実施していますが、これらの対策はすべてのサイバー攻撃を防ぐのに効果的ではない可能性があり、将来、システムがそのような攻撃を受けないことを保証することはできません。さらに、サイバーセキュリティ違反やその他のセキュリティインシデントを是正するために多大なリソースを費やす必要が生じる場合があります。サイバー脅威が進化し続けるにつれて、セキュリティ対策を強化したり、新しい脅威や新たな脅威から保護するために追加のコストを負担したりする必要が出て来る可能性があります。

 

② データ管理

 当社グループは、研究・開発において多大なデータを取り扱っています。このデータが不正確であったり、完全性に欠けていると、誤った判断や誤った結論を導くリスクがあります。また、多数の人々の個人情報を保有しているため、不正なアクセスや攻撃を受けるリスクがあります。それらのデータの保全には万全の注意を払っておりますが、データの漏洩や盗難、サイバー攻撃などによるデータの改ざんや破壊が発生する可能性があります。更に、当社グループはグローバルに事業を展開しているため、事業基盤のある各地域のデータ管理に関する様々な規制に対応する必要がありますが、これらの規制は流動的であるため、規制が変更された場合などに、対応するための体制整備が間に合わない可能性があります。

 

③ 根拠のない噂と虚偽の情報

 当社グループの事業は、特にソーシャルメディアやその他のインターネットベースのプラットフォームを通じて広まった噂、虚偽の情報および誤解を招く発言から生じるリスクにさらされています。これらの噂や虚偽の情報は、根拠のないものや真実でないものであっても、急速に広まり、当社の事業、財政状態および経営成績に重大な影響を与える可能性があります。このような風説や虚偽の情報が広まると、株価の下落、評判の失墜、顧客の信頼の喪失などの悪影響が生じる可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当社グループは、当社とその子会社および関連会社で構成され、2つの主要な子会社、北京コンチネント及びBABが売上収益及び利益の獲得に貢献しております。加えて、当社グループには、がん領域の研究開発に特化したCullgenおよび、東京証券取引所グロース市場上場企業としてグループ全体で欠かせない戦略立案と財務・経営管理などを行う東京本社という2つのコストセンターも存在いたします。他の小規模の子会社は、戦略的に成長する可能性を秘めております。医薬品事業セグメントは、主に北京コンチネント、Cullgen、上海リーフ国際貿易有限公司(以下「Reef」)、上海ジェノミクス有限公司(以下「SG」)、上海ジェノミクステクノロジー有限公司(以下「SGT」)であります。医療機器事業セグメントでは、BABに加えて、日本での販路を求める海外医療機器製品メーカーを顧客とする、第一種医療機器製造販売業許可を有し医療機器選任製造販売業者(DMAH)および治験国内管理人(ICC)サービスを提供するマイクレン・ヘルスケア株式会社への投資を行い、その議決権の60%を獲得しております。当社グループの連結財務数値は、投資による収益または損失、税金費用、為替レートおよび現金収支を伴わない会計上の項目によっても大きく影響を受けます。また、各子会社に対する当社の出資比率によっても親会社の所有者に帰属する当期利益が大きく変化いたします。

 

 当連結会計年度の医薬品事業セグメントにおける当社グループの売上収益は、年初に想定していたよりもペースが遅れたものの、近年の中国における最も困難なパンデミックに直面する中で成長を続けました。医薬品事業セグメントからの当社グループの売上収益は、前年同期比37.6%増の14,991,354千円となりました。これには、北京コンチネントの売上収益688,600千人民元(前年同期比18.8%増加)が含まれます。北京コンチネントの営業および当期利益は、それぞれ189,500千人民元と151,600千人民元と、これまでの最高を更新いたしました。

 

 一方で、北京コンチネントは良好な業績を達成したものの、当社グループ全体の営業利益に関しては、主に以下の要因により前年同期比で減少しております。香港証券取引所への上場を中断し、米国のCatalyst Biosciences,Inc.(以下「CBIO」)との取引を優先することを決定する前に発生した20,400千人民元(395,300千円)の一過性の上場準備費用、Cullgenにおける、標的タンパク質分解(「TPD」)誘導プラットフォームを活用した、がん及び炎症性疾患における将来のパイプラインを構築するための(複数のIND1)を可能にする研究を含む)研究開発費用の大幅な増加、また、中国での新型コロナウイルスパンデミック中の頻繁なロックダウンによる販売費の上昇などであります。

1)医薬品の臨床試験を管理する公的機関からの臨床試験承認の申請

 

 加えて、当連結会計年度において世界的にバイオテクノロジーセクターに打撃を与えた市況により、非上場企業のCellCarta(旧Reveal)の当社グループ持分における240万ドル(51.3%の減少)の評価損、上場企業のSocietal(旧Recro Pharma)の当社グループ持分における25万ドル(12.9%の減少)の評価損を計上いたしました。

 この結果、医薬品事業セグメント全体(北京コンチネント、Cullgen、Reef、SGT、SGを含む)のセグメント利益は前年同期比56.1%減の431,488千円となりました。北京コンチネントにおいては、上記の一過性の上場準備費用を除くと、営業利益は209百万人民元となります。

 

 医療機器事業セグメントも米国で着実な成長基調に戻り、前年同期比31.4%増の2,521,361千円という過去最高を更新する売上収益を達成いたしました。セグメント利益は、米国での高いインフレ率が多少影響したものの、前年同期比47.5%増の946,450千円となりました。同セグメントの売上収益は、2023年度も増加し続けるものと想定しております。

 

 グループ全体の戦略立案と財務・経営管理を行う東京本社においては、主に、M&A活動のためのプロフェッショナル・サービス費用が発生、また、経営機能の強化のため管理職クラス人財の追加採用による人件費の増加により、販売費及び一般管理費用が増加いたしました。

 

 この結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は、前年同期比37.3%増の17,418,966千円と過去最高を更新したものの、営業利益は前年同期比15.2%減の1,377,939千円と減益になりました。また、税引前利益は、前年同期比30.6%減の767,887千円となりました。その主な要因は、Cullgenの過去の資金調達に関連する640万ドルの現金支出を伴わない利息費用などであります。

 

 CBIOとの取引の一環としてF351の中国外の知的財産権をCBIOに譲渡した取引につきましては、監査法人と協議した結果、国際財務報告基準上、2022年12月末時点で当社グループが保有するCBIO普通株式6,266,521株の価値に相当する432,271千円をその他の収益に計上いたしました。他方、当社グループの税務アドバイザーからは、買い手、売り手がともに合意した経済価値3,500万ドルが税務上の収益とみなされるとの助言を頂いております。なお、最近はバイオテクノロジーセクターへの投資は回復傾向が見られるようになっておりますが、その動向は2023年度以降の当社グループの損益に重要な影響を与えるため、今後も市況については引き続き注視してまいります。

 当期損失は868,252千円(前年同期は当期利益55,242千円)となりました。法人所得税費用は1,636,139千円となり、税引前利益767,887千円に比して高額となりました。その理由は、北京コンチネント、BAB及びその他の収益性の高い子会社で発生した所得がそれぞれ課税される一方、Cullgenや東京本社のようなコストセンターで発生した費用については、繰延税金資産の将来の回収可能性が見込めないために繰延税金資産を認識できないことによります。

 

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比63.5%減の388,825千円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益が当期利益よりも増加しているのは、主に上記のCullgenの損失がCullgenの当社グループ以外の株主に配分されるため、当社に帰属する分の損失のみが、親会社の所有者に帰属する当期利益に計上されるためであります。当連結会計年度における当社グループの持分は、収益性の高い北京コンチネント(55.97%)やBAB(100%)に比べ、研究開発先行型のCullgen(28.31%)においては相対的に低いことにご留意ください。

 

 北京コンチネントは、中国で事業を展開している他の全ての企業と同様に、頻繁なロックダウンと、ゼロコロナ政策の突然の終了に続くその後数か月の感染急拡大の影響を受けておりますが、北京コンチネントの当連結会計年度の売上収益は、現地通貨ベースで前年同期比19%の成長を達成し、当期利益は151.6百万人民元に達しました。なお、F351の臨床試験については、中国全土における新型コロナウイルス蔓延の影響により、2023年半ばまでに患者登録を完了するという当初のスケジュールから3か月ほど遅れております。北京コンチネントは新型コロナウイルス蔓延の状況を慎重に注視しており、臨床試験サイトを増やすなど、混乱が落ち着いた後に挽回するための対策を検討しております。なお、北京コンチネントは香港証券取引所への上場計画を中断いたしました。従いまして、これまで資産化された上場準備費用17.0百万人民元を費用化したことにご留意ください。

 

 BABは、当連結会計年度も米国で着実に成長いたしました。売上収益は現地通貨ベースで前年同期比で10.4%の成長を達成し、当社グループに確実な現金収入をもたらし続けております。BABにとって、2023年度は、骨代替物の原料をさまざまな美容用途に適用する、国際的な事業拡大に着手する重要な年であると考えております。

 

 また、当社グループは、上海睿星医療器材有限公司/Shanghai Ruixing Medical Equipment Co., Ltd.(以下「睿星」、ルイシンと読みます)に130万ドルを投資することを決定いたしました。睿星は、BABの骨充填剤プラットフォームを利用して、皮膚フィラーを専門としており、当社グループとしても、2023年度に生体材料プラットフォームの用途拡大に取り組むことに注力してまいります。なお、睿星は、今年社名をOsderma Medicalに変更する予定になっております。

 

 日本におきましては、2022年10月7日及び12月1日に開示いたしましたとおり、当社は360,000千円を投資し、EPSホールディングス株式会社の子会社である株式会社EPメディエイト100%所有でありましたマイクレン・ヘルスケア株式会社(以下「マイクレン」)の60%の株式を取得して、医療機器事業セグメントを更に拡大いたしました。10名の従業員と約30の顧客を抱えるマイクレンは、日本での販路を求める海外医療機器製品メーカー向けに、医療機器選任製造販売業者(DMAH)および治験国内管理人(ICC)サービスを提供しております。マイクレンの業績は、2023年度から当社グループの連結財務諸表に反映されます。

 

 Cullgenへの投資は、当社グループの標的タンパク質分解誘導技術の最先端プラットフォームへの投資を代表しており、当社グループの長期的な展望において、最も重要な投資であると考えております。Cullgenは、2022年、上海でのロックダウンがピークに達したまさにその時に、TRK分解薬を使用した抗がん剤候補の最初のINDを提出いたしました。TRK分解薬の第Ⅰ相臨床試験の最初の被験者の登録は、2023年第1四半期を見込んでおります。他の複数のIND待ちプログラムも進行中です。当連結会計年度において、Cullgenは研究開発投資を米国で13.6%、中国で33.2%増加いたしました(いずれも現地通貨ベースでの前年同期)。なお、円安の際には、Cullgenによる研究開発費の増加は当社グループの連結業績により大きな影響を与えることにご留意ください。Cullgenへの投資からリターンを得るために、当社グループは、将来的にCullgenの上場を目指します。

 

 2022年12月27日に開示いたしましたとおり、当社グループは、米国ナスダック市場に上場しているバイオテクノロジー企業であるCBIOと戦略的な取引を行うことにいたしました。CBIOのプラットフォームを活用するこの取引により、中国で確立した臨床研究および創薬のプラットフォームを活用しながら、米国での線維症治療薬開発を推進する基盤を作ることができました。この取引に関するより詳しい情報は、2022年12月27日の適時開示および2022年12月30日、および2023年1月18日に開示いたしましたQ&Aをご覧ください。

 

② 販売費及び一般管理費ならびに研究開発費

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

販売費及び一般管理費

△7,958,654

△10,965,656

△3,007,001

人件費

△2,983,245

△3,636,074

△652,829

研究開発費

△2,015,875

△2,545,455

△529,580

 

販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、10,965,656千円となり、前連結会計年度に比べ37.8%増加しました。販売費及び一般管理費の増加は、主に販売・マーケティング費用の増加、CBIOとの取引に関連する法務費用の増加、北京コンチネントの上場準備費用の費用化、東京本社での各種投資やM&A取引に関するプロフェッショナル・サービス費用などによります。

 

研究開発費

当連結会計年度の円ベースの研究開発費は、次の臨床試験に向けて準備を進めているCullgenで増加したことにより、2,545,455千円、26.3%増となりました。北京コンチネントの研究開発費は、主に新型コロナウイルス蔓延の影響により、前年比で減少しました。

 

③ 金融収益及び金融費用

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

金融収益

129,960

259,835

129,875

金融費用

△647,898

△869,887

△221,989

 

金融収益

当連結会計年度の金融収益は、259,835千円、99.9%増となりました。主に円安による為替差益によります。

 

金融費用

  当連結会計年度の金融費用は、869,887千円、34.3%増となりました。これは、主にCullgenの財務活動に係る現金支出を伴わない利息費用です。

 

④ セグメント情報

医薬品事業

 様々な困難にも関わらず、当社グループの主要子会社である北京コンチネントが、中国での主力医薬品であるアイスーリュイが現地通貨ベースでの成長を達成したことで、中国での売上収益は引き続き好調に成長いたしました。その結果、当連結会計年度の医薬品事業の売上収益とセグメント利益は、それぞれ14,991,354千円(前年同期比37.6%増)、431,488千円(前年同期比56.1%減)となりました。セグメント利益の減少は、研究開発費の増加、営業体制やマーケティング活動の強化、CBIOとの取引に関連する一時費用および北京コンチネントにおけるこれまでに資産化された上場準備費用の費用化によるものです。

 

医療機器事業

 医療機器セグメントも業績は好調でした。米国社会が新型コロナウイルス・パンデミックから通常の状態に戻ったことにより当連結会計年度の医療機器事業の売上収益とセグメント収益は、それぞれ2,521,361千円(前年同期比31.4%増)、946,450千円(前年同期比47.5%増)となりました。

 

⑤ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

 当社グループの業務は業務の性質上、生産として把握することが困難である為、記載を省略しております。

 

受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

医薬品事業

14,991,354

37.6

医療機器事業

2,427,611

35.2

合計

17,418,966

37.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

セグメント

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Sinopharm

医薬品事業

4,727,420

37.3

4,596,597

26.4

(注) 相手先は企業グループ毎にまとめて記載しております。

    SinopharmはSinopharm Holdings Co., Ltd.、Sinopharm Holding Henan Co., Ltd.、Sinopharm holdings Shandong Co., Ltd.、Sinopharm Holdings Shanxi Co., Ltd.等を含みます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度における経営指標の実績は次のとおりです。売上収益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ⑤生産、受注及び販売の実績」に記載しております。

また、研究開発費については、その活動を「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しております。

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上収益合計

12,690,246

17,418,966

研究開発費

2,015,875

2,545,455

売上収益対比

15.9%

14.6%

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積り及び判断を行っております。また、実際の結果は見積りによる不確実性がある為、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」および「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況、2 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.当期の財政状態の概況

 

連結財政状態

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

資産合計

30,296,980

33,906,981

3,610,001

負債合計

11,030,734

14,096,013

3,065,279

資本合計

19,266,246

19,810,968

544,722

 

資産合計

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,610,001千円増加し、33,906,981千円となりました。この増加は、主に有形固定資産の取得、資産化した研究開発費の増加、円安によるのれんの増加、事業活動の活発化による運転資本の増加などによります。

 

負債合計

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,065,279千円増加し、14,096,013千円となりました。これは、主として、Cullgenの財務活動に係る現金支出を伴わない未払費用の計上によるものです。

 

資本合計

 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて544,722千円増加し、19,810,968千円となりました。これは、主として利益剰余金の増加および在外営業活動体の換算差額によるものです。

 

b.当期のキャッシュ・フローの概況

 

連結キャッシュ・フロー

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

552,268

393,320

△158,947

投資活動によるキャッシュ・フロー

△260,639

△4,116,163

△3,855,523

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,853,211

△646,327

△3,499,538

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて158,947千円減少し、393,320千円となりました。主な要因は、マーケティング及び研究開発費の増加と北京コンチネントの売上収益拡大による法人税等の支払の増加によるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて3,855,523千円減少し、4,116,163千円の支出となりました。主な支出は、固定資産および無形資産の取得と、北京コンチネントにおける長期性預金の取得によるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて3,499,538千円減少し、646,327千円の支出となりました。これは、前連結会計年度の前半に複数の資金調達活動を行ったものの、当連結会計年度にはそのような資金調達活動を行わなかったためです。

 

c.財務政策

当社グループの核となる事業は医薬品開発であります。当社グループでは、自社グループ内にて当該医薬品候補化合物の収益化を成功させることを目指しており、中国市場においてはアイスーリュイにて実際に達成しております。これにより、当社グループは、十分なキャッシュ・フローを創出し、利益を得ることと、将来の売上収益獲得のために当社グループの医薬品開発パイプラインに継続的な投資を行うこととの両方を実現させるという経営戦略を遂行できるようになりました。このためには、研究開発費と売上利益とのバランスを慎重に保つという厳しい財務政策が必要とされます。

当社グループは主として、上記戦略遂行によって生み出された内部留保資金を当社グループの事業運営に活用しますが、当社経営陣は、医薬品開発のリスク及び将来の金融市場混乱の可能性を予見できないことを依然として認識しております。従いまして、当社グループの事業継続を確かなものにし、また、新たな事業機会が訪れた際に先手を打てるに十分な資金を保有しておくため、場合によっては外部資金調達に取り組むことがあります。そのような外部資金調達を行う場合においても、当社への出資拡大に伴う希薄化を最小限に抑えるとともに、当社グループの成長を支援して頂ける長期安定投資家の探索に努める方針であります。

当連結会計年度において予定している設備投資に係る資金需要の主なものは「第3 設備の状況、3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)当社グループが保有していたF351の中国以外の権利をCBIOに譲渡する契約

契約名

Asset Purchase Agreement

相手方の名称

Catalyst Biosciences, Inc.

契約締結日

2022年12月27日

契約期間

特に定めなし

契約内容

当社グループが保有していたF351の中華人民共和国以外の権利をCBIOに35,000千米ドルの経済価値にて譲渡し、その対価としてCBIOが新たに発行する、発行済株式80.46%に相当する普通株式と議決権を持たない優先株式を当社グループが受領する。

 

(2)北京コンチネントをCBIOの連結子会社とし、CBIOを当社の連結子会社とする取引

契約名

Business Combination Agreement

相手方の名称

Catalyst Biosciences, Inc.

契約締結日

2022年12月27日

契約期間

特に定めなし

契約内容

将来的に、当社グループが保有する北京コンチネント株式をCBIOに現物出資し、その対価としてCBIO株式を当社グループが受領することにより、CBIOが北京コンチネントの発行済株式の過半数を保有すると共に、当社の完全連結子会社であるGNI USA, Inc.がCBIOの株式を85.18%取得する。

 

 

5【研究開発活動】

 

(1)研究活動

当社グループの創薬研究では、Cullgenを中心に、新しい自社創薬基盤技術であるuSMITE™(ユビキチン化を介した標的タンパク質分解誘導に関する独自技術)を活用した、革新的な新規開発候補化合物(NCE)の開発を目指しています。Cullgenは、がん、痛みおよび自己免疫疾患に対する酵素及び非酵素タンパク質を標的とした複数の新規化合物を含む創薬パイプラインの拡充のための研究開発を進めております。Cullgenの新しいE3リガンドの開発は、標的タンパク質分解誘導薬開発の将来を担う技術で、毒性の低減、薬剤耐性の緩和、組織・腫瘍・細胞内コンパートメントに対する選択性の提供、基質範囲の拡大を実現させる新規開発候補化合物創出の可能性があると考えられております。

 

(2)開発活動

① アイスーリュイ〔中国語:艾思瑞®、英語:ETUARY®(一般名:ピルフェニドン)〕-北京コンチネント

a.糖尿病腎症(DKD)

 アイスーリュイの3番目の適応症であるDKDは、Ⅰ型糖尿病またはⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。中国では2021年時点で1億3千万人以上が糖尿病に脅かされており、このうち23%ほどが糖尿病腎症を伴っていると言われております。北京コンチネントは、次フェーズ臨床試験の規制上の方向性を決めるため、クラス2会議(臨床試験に関する技術的な会議)の申請を中国のCDE(Center for Drug Evaluation、医薬品評価センター)に提出いたしました。北京コンチネントは、これまで第Ⅰ相臨床試験を完了いたしました。そのデータを元に、中国CDEと今後の進め方を協議しております。

 

b.結合組織疾患(CTD-ILD)を伴う間質性肺疾患

 2016年9月、北京コンチネントは、SSc-ILDおよびDM-ILDの治療に対するアイスーリュイの4番目の適応症としてのIND(Investigational New Drug、臨床試験開始申請)の承認をNMPA(National Medical Products Administration、中国国家薬品監督管理局)より、取得いたしました。この承認により、全身性硬化症(強皮症、SSc-ILD)と皮膚筋炎(DM-ILD)の2つの適応症について、直接第Ⅲ相臨床試験に移行することが承認され、2018年6月にこれらの適応症に対する第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。CTD-ILDの臨床試験も、中国における新型コロナウイルス蔓延の影響を受けており、症例の集積が若干遅れております。

 

c.じん肺治療薬(Pneumoconiosis,PD)

 2019年5月、北京コンチネントは、アイスーリュイの5番目の適応症として、じん肺治療薬のIND申請に対する承認をNMPAより取得しました。じん肺は、肺に炎症や瘢痕化(線維化)を引き起こす慢性的な疾患で、吸い込まれた粉塵や微粒子が、肺の細胞に蓄積することによって引き起こされます。北京コンチネントは、2022年1月にアイスーリュイのじん肺適応のための第Ⅲ相臨床試験開始の承認を倫理委員会から取得し、2022年6月に第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。2022年後半まで被験者の登録は順調に進んでおりますが、その後の中国における新型コロナウイルス蔓延の影響を注視しております。

 

② F351(肝線維症等治療薬)-北京コンチネント

 F351(一般名:ヒドロニドン)は肝繊維症向け治療薬候補として、北京コンチネントの医薬品ポートフォリオにおける重要な創薬候補化合物であり、他の世界の主要医薬品市場へ臨床開発活動を拡大する戦略の重要な部分を占めております。F351は、アイスーリュイの誘導体である新規化合物であり、内臓の線維化に重要な役割を果たす肝星細胞の増殖及び、TGF-β伝達経路を阻害します。

 F351の権利は、中国においては北京コンチネントが保持しておりますが、日本、豪州、カナダ、米国及び欧州各国を含む中国以外におけるF351の権利は、CBIOに譲渡いたしました。

 2020年8月、当社は肝線維症の候補薬であるF351の中国における第Ⅱ相臨床試験のトップラインデータの良好な結果について発表しました。この試験は、中国における慢性ウイルス性B型肝炎患者の肝線維症に対するF351の安全性と有効性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ・コントロール、多施設、用量逓増試験で、プラセボと比較して52週の治療評価期間で肝線維症の病理学的なスコアが統計的に有意に改善するという主要評価項目を満たしました。

 なお、中国のCDEとの協議を経て、2021年3月にF351はNMPAより肝線維症の画期的治療薬として申請することが認められました。これにより、F351についてのCDEとの協議が優先的、かつ、その協議結果を生かした臨床試験を進めることが可能となっております。その後、2021年7月29日に中国において第Ⅲ相臨床試験許可申請承認がされ、2022年1月に第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。2022年第3四半期までは順調に進捗しておりましたが、その後2022年末にかけて中国における新型コロナウイルスの流行を受け、被験者の登録は予定よりも若干遅れておりますが、北京コンチネントにおきましては、試験を行う施設を増やす等の対策を検討しております。

 F351のNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に起因する肝線維症に対する米国における第Ⅱ相臨床試験については、CBIOが遂行していく予定です。

 

③ タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)

 タミバロテンは、前骨髄球が「がん化」する急性骨髄性白血病の一種であるAPLの治療薬です。共同開発者の東光薬品工業株式会社および当社グループのGNI Hong Kong Limitedは、2015年10月に輸入医薬品としてタミバロテンをNMPAに登録申請いたしましたが、一旦却下されました。ただし、NMPAは臨床試験の継続による再申請の可能性も示しておりますので、当社グループは中国での再申請に向け、今後の進め方を東光薬品工業株式会社と協議しております。

 

④ F573(急性肝不全・慢性肝不全急性時(ACLF)治療薬)-北京コンチネント

 F573はアイスーリュイ及びF351に次ぐ3番目の創薬候補化合物として、カスパーゼを強く阻害する可能性を持つジペプチド化合物であり、急性肝不全(ALF)や慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)に関連して発生するアポトーシスや炎症反応に効果が期待される化合物です。F573は、2022年1月20日に第Ⅰ相臨床試験の最初の被験者への投与が行われましたが、第Ⅰ相臨床試験は順調に進んで参りました。北京コンチネントは、第Ⅱ相臨床試験の準備をしておりますが、2022年末からの中国における新型コロナウイルス流行を受け、臨床試験の開始が想定より遅れております。状況が好転し、臨床試験が開始できましたら、適宜日本でも進捗を報告させて頂きます。

 

⑤ CG001419(TRK分解薬)-Cullgen

 当社グループから2022年8月9日に「連結子会社CullgenのTRK分解剤に関するIND申請承認のお知らせ」で開示いたしましたとおり、Cullgenは中国のNMPAから固形がん治療用途でのTRK分解剤であるCG001419のIND承認を取得いたしました。CG001419は、神経栄養性チロシン受容体キナーゼ(NTRK)融合遺伝子陽性およびTRK過剰発現のがん(非小細胞肺がんや乳がん、膵臓がんを含む多くの固形がんに見られる)の治療に使用される、業界初の選択的かつ強力な標的タンパク質分解誘導作用を持つ経口剤です。Cullgenは、中国の医師や病院と緊密に協力しながら中国での第Ⅰ相臨床試験の準備を進めておりますが、2022年末からの中国における新型コロナウイルス流行を受け、臨床試験の開始が想定より遅れております。状況が好転し、臨床試験が開始できましたら、適宜日本でも進捗を報告させて頂きます。また、米国食品医薬品局(FDA)との臨床試験前の協議は継続しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、全体では2,545,455千円となりました。