第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間における世界経済は、中東情勢の悪化や、米国トランプ政権による関税引き上げなど、不確実性が高い状態が続いたものの全体としては底堅く推移いたしました。我が国においても、関税政策等による先行き不透明感が見られたものの、企業業績はおおむね安定した成長を保ち、訪日外国人旅行者数も引き続き高水準を維持しました。当社が属するバイオテクノロジーセクター及び東証グロース市場につきましては、2025年4月以降プライム市場とスタンダード市場のパフォーマンスを上回り、外需株から内需株にシフトしたことや東証グロース市場の上場維持基準を引き上げる方針を発表したことが追い風となりました。

 

このような状況下において、株式会社ジーエヌアイグループ(以下「当社」)及びその関係会社(以下合わせて「当社グループ」)は、グローバル中堅製薬企業となることを目指し、引き続き革新的な医薬品の研究開発、製造、販売に取り組んでおります。

 

製薬及び創薬事業におきまして、当社グループの主要子会社であるGyre Pharmaceuticals Co., Ltd.(北京コンチネント)(以下「GYRE Pharmaceuticals」)は希少疾患分野(オーファンドラッグ)において、中国にて開発を進めていた慢性肝疾患(CLD)による血小板減少症と慢性特発性血小板減少症(ITP)の治療薬であるContiva(アバトロンボパグマレイン酸塩錠)を2025年3月に販売を開始いたしました。また、全身性硬化症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)と進行性線維性間質性肺疾患(PF-ILD)の適応症をもつEtorel(ニンテダニブエシル酸塩ソフトカプセル)の製造販売に関する権利を2024年5月に取得し、2025年6月より販売を開始いたしました。GYRE Pharmaceuticalsは2025年6月までの3か月においてContivaとEtorelの売上はそれぞれ226百万円、242百万円となりました。ContivaとEtorelは今後も売上高の成長を見込んでおります。このほか、開発パイプラインとして、エーザイ株式会社よりライセンス供与された肺動脈性肺高血圧症(PAH)を対象としたF230の第1相臨床試験を2025年6月より開始しております。加えて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象としたF528は2026年にIND申請を予定しております。

2024年10月、GYRE Pharmaceuticalsは次期製品の有力な候補であるB型肝炎起因の肝線維症を適応としたF351の第3相臨床試験を中国にて完了し、2025年5月に第3相臨床試験の結果を発表いたしました。新薬承認申請(NDA)は2025年第3四半期に行う予定です。更に、米国ナスダック市場に上場する当社子会社のGyre Therapeutics,Inc.(以下「GYRE」)は、MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)起因の肝線維症を適応症とする治療薬の開発を進めており、現在GYREは本適応における第2相臨床試験を米国で開始するため米国規制当局への相談を含めた社内検討を行っております。GYREは現在の業績と市場見通しに基づき、2025年度通期の売上見通しを1億1,800万~1億2,800万ドル(約17,110百万円〜18,560百万円)と据え置いております。なお、通期の想定為替レートは1米ドル=145円としております。

 

2024年11月、米国及び中国を中心に革新的な新薬の研究開発を行っている米国子会社Cullgen Inc.(以下「Cullgen」)は、リバースマージャーによって米国ナスダック市場の上場会社となることを発表いたしました。上場した際には、GYREに続く2社目となります。

Cullgenは独自の標的タンパク質分解誘導技術プラットフォームuSMITE™(ubiquitin-mediated, small molecule induced target elimination)を活用した創薬に引き続き邁進しております。アステラス製薬株式会社(以下「アステラス製薬」)と革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及びオプション契約を締結しており、本戦略的提携におけるアステラス製薬との共同研究を進めております。

同社初のTRK分解剤の抗がん剤候補としてCG001419(開発番号)の臨床試験を中国にて進め、第1/2相臨床試験を開始しており、また、追加適応症として急性及び慢性疼痛を対象とした第1相臨床試験を2025年1月にオーストラリアにて開始いたしました。更に、中国及び米国で開発を進めている悪性血液腫瘍(白血病)治療薬である CG009301(開発番号)の第1相臨床試験を2025年4月より開始しております。他の複数のプログラムにつきましても、臨床試験開始を目指して研究開発を進めております。

 

医療機器事業に関しましては、メドテック(生体材料)事業において、Berkeley Advanced Biomaterials LLC(以下「BAB」)とBerkeley Biologics LLC(以下「BB」)を中心にBBは皮膚由来製品であるAccellodermや骨由来製品であるD-fiber等の製品開発を行うと同時に胎盤由来製品の大口受注を獲得しており、引き続き売上収益及び利益は好調に推移しております。

 

当社は2025年7月23日の取締役会の決議において海外募集による新株式発行を行い、差引手取概算額12,147百万円の資金調達を実施しました。この調達資金の使途に関しましては、F351の上市に向け今後の売上成長を見込む製薬事業を展開するGYRE Pharmaceuticalsの創業者及びファンドが保有する株式の取得に4,859百万円、さらなる需要増加が見込まれる医療機器事業を中心に事業拡大を目的とした国内外企業の買収資金として6,074百万円、及び、当社グループ内企業へ残額約1,214百万円の投融資資金に充当します。上記の資金使途は当社グループの成長を促すものであり、企業価値向上に寄与するものと考えております。

 

①セグメント別の経営成績

医薬品事業

当中間連結会計期間の医薬品事業セグメントの売上収益とセグメント損失は、それぞれ8,194,668千円(前年同期比10.4%減)、1,682,462千円(前中間連結会計期間は1,086,200千円のセグメント利益)となりました。この医薬品事業セグメントの売上収益減少は、主にGYRE Pharmaceuticalsの主力製品であるアイスーリュイの売上収益減少によるものです。このセグメント利益の大幅な減少は、売上収益減少、Cullgenのリバースマージャー関連費用及び臨床試験の進展による開発費用の増加等の他、主に下記に記載しております前中間連結会計期間におけるGNI USAとの関係会社長期貸付金精算に伴う為替換算差額累積額の戻入益1,264,843千円の配分によるものです。

 

医療機器事業

当中間連結会計期間の医療機器事業セグメントの売上収益とセグメント利益は、BBの売上収益が好調に推移したため、それぞれ4,057,658千円(前年同期比56.7%増)、502,923千円(前年同期比25.6%減)となりました。このセグメント利益の減少は、主に下記に記載しております前中間連結会計期間におけるGNI USAとの関係会社長期貸付金精算に伴う為替換算差額累積額の戻入益358,057千円の配分によるものです。当該配分額の影響を除くと、医療機器事業自体のセグメント利益は順調な伸長となりました。

 

前中間連結会計期間におけるGNI USAとの間の関係会社長期貸付金に係るその他の収益の計上

 GNI USAとの間の関係会社長期貸付金精算に伴う為替換算差額累積額の戻入益1,622,900千円(2024年1月18日適時開示しております。)について、下記のとおり医薬品事業及び医療機器事業への売上収益に基づく配分を行っております。

医薬品事業 :1,264,843千円

医療機器事業:  358,057千円

合計    : 1,622,900千円

 

②販売費及び一般管理費並びに研究開発費

(単位:千円)

 

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

差額

販売費及び一般管理費

△7,117,436

△7,995,729

△878,293

人件費

△2,717,379

△2,862,212

△144,833

研究開発費

△1,419,327

△1,596,527

△177,200

 

当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、7,995,729千円(前年同期比12.3%増)となりました。この販売費及び一般管理費の増加は、主にCullgenの上場関連費用によるものです。

当中間連結会計期間の研究開発費は、1,596,527千円(前年同期比12.5%増)となりました。この研究開発費の増加は、主にCullgenにおける臨床試験前と臨床試験の進展によるものです。

 

③金融収益及び金融費用

(単位:千円)

 

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

差額

金融収益

371,879

539,301

167,422

金融費用

△1,343,366

△794,831

548,534

 

金融収益

当中間連結会計期間の金融収益は、539,301千円(前年同期比45.0%増)となりました。この金融収益の増加は、主に為替差益の増加によるものです。

金融費用

当中間連結会計期間の金融費用は、794,831千円(前年同期比40.8%減)となりました。この金融費用の減少は、主に為替差損の減少によるものです。

 

(2)財政状態に関する分析

連結財政状態

(単位:千円)

 

前連結会計年度

当中間連結会計期間

差額

資産合計

71,942,909

67,722,176

△4,220,733

負債合計

32,229,009

29,408,573

△2,820,435

資本合計

39,713,900

38,313,602

△1,400,298

 

資産合計

 当中間連結会計期間末における資産合計は、67,722,176千円(前連結会計年度末比5.9%減)となりました。この資産の減少は、主にその他の金融資産(流動)の減少によるものです。

 

負債合計

 当中間連結会計期間末における負債合計は、29,408,573千円(前連結会計年度末比8.8%減)となりました。この負債の減少は、主に短期借入金の減少によるものです。

 

資本合計

 当中間連結会計期間末における資本合計は、38,313,602千円(前連結会計年度末比3.5%減)となりました。この資本の減少は、主にその他の資本の構成要素の減少によるものです。

 

連結キャッシュ・フロー

(単位:千円)

 

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,467,673

△931,711

535,961

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,522,132

632,116

6,154,248

財務活動によるキャッシュ・フロー

△185,598

1,409,490

1,595,088

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、931,711千円の支出(前中間連結会計期間は、1,467,673千円の支出)となりました。これは主に、法人所得税の支払額の減少によるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、632,116千円の収入(前中間連結会計期間は、5,522,132千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金・敷金の減少による収入によるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,409,490千円の収入(前中間連結会計期間は、185,598千円の支出)となりました。これは主に、非支配持分からの払込による収入によるものです。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 

〔創薬研究活動〕

 当社グループの創薬研究では、Cullgenを中心に革新的な新規開発候補化合物(NCE)の開発を目指しております。Cullgenは、がん、疼痛、及び自己免疫疾患に対する酵素及び非酵素タンパク質を標的とした複数の新規化合物を含む創薬パイプラインの拡充のための研究開発を進めております。

 2023年6月に、Cullgenはアステラス製薬と、革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及びオプション契約を締結いたしました。本戦略的提携において、両社は新規E3リガンドを活用したCullgen独自の技術プラットフォームuSMITE™とアステラス製薬の創薬及び商業化能力を融合し、複数の標的タンパク質分解誘導剤の創出を目指します。Cullgenとアステラス製薬は臨床開発対象の化合物を見出すための共同研究を行い、アステラス製薬は見出された分解剤の開発及び商業化を担います。乳がんやその他の固形がんを対象として、アステラス製薬が同定したリードプログラムである細胞周期タンパク質に対する分解誘導剤候補化合物も含むアステラス製薬との共同研究を進めております。

 

〔開発活動〕

■アイスーリュイ〔中国語:艾思瑞®、英語:ETUARY®(一般名:ピルフェニドン)〕-GYRE Pharmaceuticals

 GYRE Pharmaceuticalsは、アイスーリュイの適応を以下の疾患に拡大する臨床試験を進めております。

 

・糖尿病腎症(DKD):第1相完了、今後の進め方を中国当局と継続協議中

・結合組織疾患(CTD-ILD)を伴う間質性肺疾患(全身性硬化症(強皮症、SSc-ILD)と皮膚筋炎(DM-ILD)):

 第3相臨床試験継続中

・じん肺治療薬(Pneumoconiosis,PD):第3相臨床試験継続中

・免疫関連肺炎(CIP)の有無にかかわらない放射線誘発性肺障害(RILI):

 2025年下半期にアダプティブ・デザイン第2/3相臨床試験を開始予定

 

■F351(一般名:ヒドロニドン)-GYRE Pharmaceuticals及びGYRE

 F351は肝線維症向け治療薬候補として、当社グループの医薬品ポートフォリオにおける重要な新薬候補であり、

世界の主要医薬品市場への参入に向けた戦略において非常に重要なものとなります。F351は、ブロックバスター(一般的に年間売上高が10億ドルを超えるとされる医薬品)と期待される新薬候補です。

 GYRE Pharmaceuticalsは2024年10月、中国におけるB型慢性肝炎に起因する肝線維症患者を対象とした第3相臨床試験を完了し、新薬承認申請(NDA)を2025年第3四半期に行う予定です。

 GYREは、F351のMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)に伴う肝線維症の第2相臨床試験を米国で開始するため米国規制当局への相談を含めた社内検討を行っております。

 

■F573(急性肝不全(ALF)・慢性肝不全の急性増悪(ACLF)治療薬)-GYRE Pharmaceuticals

 急性肝不全(ALF)や慢性肝不全の急性増悪(ACLF)の治療薬として、F573の第2相臨床試験を中国にて実施しており、2026年12月末までに完了する予定です。

 

■F230(肺動脈性肺高血圧症治療薬)-GYRE Pharmaceuticals

 F230は、肺動脈性肺高血圧症の治療薬です。2024年5月に、GYRE Pharmaceuticalsは中国においてINDの承認を受け、2025年6月に第1相臨床試験を開始いたしました。

 

■F528(慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬)-GYRE Pharmaceuticals

 F528は、複数の炎症性サイトカインを抑制する新規の抗炎症剤であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の進行を軽減する可能性のある新薬候補として中国にて2026年にIND申請を予定しております。

 

■CG001419(TRK分解剤)-Cullgen

 CG001419は、業界初の選択的かつ強力な標的タンパク質分解誘導剤を活用した経口剤として開発を進めております。2023年7月に、同社初となる第1/2相臨床試験を中国にて開始いたしました。また、2025年1月に急性及び慢性疼痛を対象とした第1相臨床試験をオーストラリアにて開始いたしました。

 

■CG009301(悪性血液腫瘍(白血病)治療薬)-Cullgen

 CG009301は、GSPT1タンパク質を標的とした新規の分解薬であり、2024年10月に国家薬品監督管理局(NMPA)によりINDが承認され、2025年4月に第1相臨床試験を開始いたしました。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。