文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「Exploring Everything」というスローガンの下、私たちの収益の源泉となるまだ見ぬ宝物である、革新的なアイデア、未来を照らす技術シーズ、自社および他社による有形無形の製品、そして、これらを見つけ、生み出すタレントなどテクノロジーに関わる全てを探し続けることで、社会の進歩に貢献することを新たな経営基本方針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
当社最大の強みである大手製造業中心の顧客基盤を活かし、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供することを中長期的な経営戦略として、これまでの組込みソフトウェア開発・販売会社から、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として、取り組んでおります。
今後も成長が見込まれる自動車関連分野、IoT・AI関連分野を中心とした多様な分野において、強みである通信ネットワークやセキュリティ、高速起動などの自社開発の技術・製品のみならず、多数のユニークかつ先進性のある海外ソフトウェア製品との連携による新しい付加価値製品も合わせてタイムリーに市場投入することに加え、新たに取り組みを開始したB2B Tech Biz Platform「HEXAGON」を推進するとともに、株式会社エイムおよび株式会社グレープシステムのエンジニアリングサービスと連携しながら、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供できるよう事業規模と収益の拡大を追求いたします。
そして、3カ年中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の下、
・M&A、資本提携の積極的な推進
・組込みソフトウェア開発・販売会社から、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として事業領域の拡大による成長の実現
・HEXAGON(B2B Tech Biz Platform)の実現
・QuickBootの技術課題解決及び海外展開の強化
・成長分野で安定的な収益が見込めるツール製品への注力
などにより、計画3年目にあたる2025年3月期は売上高4,022,300千円、営業利益40,000千円を目指してまいります。
(3) 対処すべき課題
① 主力事業である組込みソフトウェア事業に関する課題
当社は、電気・電子機器向けに半導体を活用して機器を開発するために必要な組込みソフトウェア事業を、主たる事業として取り組んでおります。
当事業は、自社製品の開発、海外製品の販売、受託開発という3つの事業ポートフォリオで構成されております。
自社製品の開発は、開発力に加え、販売力のある製品企画の強化、海外製品の販売は、製品ラインアップの強化、受託開発に関しては開発力の強化が必要となります。
また、組込みソフトウェア分野は、単に製品の販売にとどまらず、顧客の機器で動作するための開発業務が必要となり、この体制を強化することで、販売機会を増やすことが可能となります。
これに対しては、中途採用を中心とした経験者の採用を中心に対応、また、M&Aによる人材・事業機会の獲得により、強化してまいりました。
特に、2023年10月の株式会社グレープシステム子会社化により、受託開発を中心としたエンジニア人材を確保することが出来ました。
今後は、グループ全体の技術力強化と、引き続き採用やM&Aに取組み、開発力・製品企画力の強化に取り組んでまいります。
② 事業ポートフォリオに関する課題
当社は、これまで組込みソフトウェア事業を中心に取り組んでまいりましたが、2023年4月に、データアナリティクス事業として、IT系のパッケージソフトウェアを販売する株式会社ライトストーンを子会社化いたしました。これにより、従来の組込みソフトウェア分野だけでなく、IT分野にも拡げることで、これまでの組込みソフトウェア分野における販売に影響を及ぼす事象が発生した際にも、一定のリスク分散が実現しました。
今後も、組込みソフトウェアを主たる事業として取り組みつつ、関連するIT分野に拡げるかたちで、事業ポートフォリオの強化に取り組んで参ります。
③ 企業グループとしての運営に関する課題
当社は、2024年3月期に、2社のM&Aを実現した結果、2023年3月期に比べ、2025年3月期の売上計画値が2倍、110名から194名と従業員数も大幅に増加、業容が急激に拡大しております。
企業グループとしての連携や管理部門の強化、特に買収した企業のPMI(Post Merger Integration)、内部統制の強化、コストの最適化に取り組む必要があります。
これに対しては、子会社である株式会社エイムの吸収合併や、グループ内の拠点集約により、コミュニケーションの円滑化やコスト最適化など、グループ全体の運営効率化を進めてまいります。
④ 販売体制の強化
当社取扱製品・サービスは、技術的難易度や専門性が高い製品・サービスが多く、顧客との技術的なコミュニケーションが販売における重要なポイントとなります。
また近年、ワークスタイル・事業機会は変化しており、営業活動やマーケティング活動の手法もこの変化に対応したアプローチが必要となっております。
これに対しては、顧客データに基づいたデジタルマーケティング施策を強化し、顧客ニーズを掘り起こし、当社取扱製品・サービスの強みを訴求することにより、新規引合いの獲得を推進しております。また、情報システムの整備による効率的な営業活動環境の整備、営業部門の人員増により、案件や顧客の確保を実現してまいります。
⑤ 品質マネジメントの強化
インターネットやIoTの普及に伴い、さまざまな電気・電子機器がネットワークに繋がることで、サイバー攻撃のリスクが深刻な問題となってきました。
このため、電子・電気機器製造・開発における適切な品質マネジメント及びサイバーセキュリティ対策を講ずることが必要とされています。
当社も、顧客の製品・サービス開発に使用するソフトウェア製品・サービスを提供していることから同様の対策が求められ、取引条件に含まれるようになってきております。
これに対しては、品質保証体制及びサイバーセキュリティ対策体制を整備・強化し、顧客の取引条件に合致するようにつとめてまいります。
⑥ ガバナンスの強化
積極的なM&A等により事業規模が拡大しつつある当社グループが、継続的、健全かつ効率的に成長するためには、ガバナンスの強化が重要な課題であります。
そのために、社外取締役を複数名体制とし、社外の目と知見による取締役会の監督を実施しております。引き続き、この体制を維持するとともに、内部管理体制の面でも、財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、内部監査による定期的なモニタリングの実施等に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、
加えて、今後はサステナビリティに関する取り組み方針などを検討する「サステナビリティ委員会(仮称)」の設置を検討しております。委員会における社内体制につきましては現時点では策定段階ではありますが、最高責任者を代表取締役社長、執行責任者を担当役員と想定し、各種ポリシーや目標、施策の検討・立案を進めていく方針です。委員会の活動内容については、年に1回以上取締役会あてに報告を行い、取締役会によるサステナビリティへの取り組みを監督できる体制構築を想定しています。
(2)戦略
当社グループは、2022年6月に新ビジョンを策定し、スローガンを「Exploring Everything」と定めました。革新的なアイデア、未来を照らす技術シーズ、自社および他社による有形無形の製品、それらを生み出すタレントなどがすべて宝物であり、収益の源泉と認識し、まだ見ぬ宝物を探し続けることで社会の進歩に貢献することを目指しております。
特にサステナビリティに関する戦略については、今後設置予定のサステナビリティ委員会にて、短期、中期及び長期にわたって、経営方針・経営戦略に影響を与える可能性のあるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための具体的な取組みを検討していく方針です。
また、2023年4月に株式会社ライトストーン社、同年10月に株式会社グレープシステムを連結子会社として新たに当社グループに迎え、順次、経営統合プロセスを進めている段階となっております。今後、当社グループ全体における中長期的なサステナビリティ関連に係る取組みについても、順次検討を進める方針です。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社新ビジョンに照らし、当社グループで働く仲間には、それぞれの人生の大切な時間を費やす「場所」や「時間」を大切にし、かかわるすべての人とともに成長することで、それぞれの人生を素晴らしいものにしてほしいと考えています。
そのため、勤務形態に関しても、職種やスキルに応じて異なりますが、それぞれの状況に応じた出社と在宅勤務の取組や、出退勤時間の選択など、フレキシブルな環境を整えており、また毎年社員を選抜し、当社グループ新ビジョンの浸透活動等も積極的に行っております。
人材育成に関しては、部門長、マネージャー職に関して、それぞれの役職に応じた研修を実施しており、また、当社は、中途採用社員で構成されているため、担当者向けには、今後、各自の業務、スキルアップに必要な研修を個別に選択して受講できる体制を整備し、従業員一人ひとりが意欲をもって成長できる環境の整備推進に努めています。
今後については、サステナビリティ委員会の中で、人材育成や社内環境に関する方針などについて詳細な審議検討を行う予定としております。
(4)リスク管理
サステナビリティに関連するリスク管理について、今後は設置予定のサステナビリティ委員会において、委員会内にて報告討議の上、適宜、取締役会へ報告、審議検討を行っていく想定です。リスクと機会を管理するためのプロセスとして、最高責任者は、優先順位の高いリスクと機会についてのサステナビリティ委員会での審議結果をもとに、それぞれについて対応担当部署又は担当者を指定し、その対応策の策定を可能にする体制構築を想定しています。同時に、指定された担当部署あるいは担当者が策定する対応策は、その内容に応じて、サステナビリティ委員会や取締役会などの会議体において審議の上、全社のリスク管理を行っていく想定です。
当社では、前述の方針に基づき、サステナビリティ関連に関する取組み、及び人材の育成・強化に関する取組みを通じて、成長戦略の実現及び企業価値向上に繋げてまいりますが、具体的な指標及び目標については、今後設置予定のサステナビリティ委員会の枠組みの中で審議・検討を行っていく予定となっており記載を省略しております。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる、主な事項を記載しております。
また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 技術の陳腐化について
当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を多様な分野に展開しておりますが、これらの技術革新のスピードは速く、製品の高機能化も進んでおります。
当社グループといたしましては、技術の進展に鋭意対応していく方針ですが、当社グループが想定していない新技術の台頭、普及により事業環境が急変した場合、必ずしも迅速に対応できない可能性があります。
また、競合他社が当社グループを上回る技術を開発した場合には、当社グループの技術が陳腐化する可能性があります。これらの状況に迅速に対応するため、多額の研究開発費用が発生する可能性もあります。
上記のような事象が発生した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 競争の激化について
当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を取り扱っております。近年は、LinuxやAndroid、FreeRTOS等の無償で利用できるソフトウェアプラットフォームが拡大し、また半導体メーカーが半導体デバイスと一緒に開発に必要なソフトウェアを組み合わせて包括的に提供する傾向にあり、特にミドルウェア製品群は、これらとの競争が激化しております。当社グループは、今後も競争力の維持強化に必要な製品ラインアップの強化、無償のソフトウェアでは得られない品質保証、技術サポートの提供や、脆弱性へのリスク対応等による差別化を図ることで競争力の維持強化に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりますが、優位に競争が進められず、当該市場で十分なシェアを獲得できない場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新規事業について
当社グループでは事業拡大を行う上で、当社グループ独自の技術やノウハウを活かした新規事業や製品を提供することが必要であると認識しております。このため、新規事業や製品への投資については、その市場性等について十分な検証を行った上で投資の意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた投資回収を実現できない可能性があります。
また、新規事業や新規サービス・製品の立ち上げには、一時的に追加の人材採用、研究開発等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外事業展開について
当社グループは今後グローバルな事業展開を予定しておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律や規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、競合企業の存在や知的財産権の取扱方法の違い、為替変動等の要因により、事業展開及びその成果が当初予測と異なる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社グループは自社開発したソフトウェアについて著作権を有しておりますが、第三者が当社グループの著作権を侵害することなく、当社グループのソフトウェアと同様の機能を実現した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、当該第三者が特許権を取得した場合、当社グループが損害賠償義務を負担する可能性があります。加えて、当社グループが特定分野でのソフトウェア開発業務遂行のため、他社よりソフトウェアのソースコード開示を受けることがまれにありますが、この場合、当該ソースコードの開示を理由に当該成果物以外の当社グループ著作物に対する著作権侵害の訴訟等を受けるおそれがあります。
⑥ ソフトウェアの不具合による顧客の損失について
当社グループのソフトウェアの不具合による顧客の損失については、契約上、当社グループの損害賠償額の上限を当社グループが収受した契約対価に限定するように努めておりますが、このような事態が発生した場合、直接的に売上高の取消による損失が発生するのみならず、信用失墜により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ DTLAからの高度機密情報の提供について
当社グループは、DTCPのライセンス管理団体であるDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)に加盟し、同団体からDTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DTLAとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。
⑧ DCPからの高度機密情報の提供について
当社グループは、HDCPのライセンス管理団体であるDCP(Digital Content Protection)に加盟し、同団体からHDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DCPとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。
⑨ ライセンス契約について
当社グループは、顧客との間で、当社グループソフトウェアを搭載した半導体・製品等の販売本数に応じて製造ロイヤルティを収受する契約を締結しております。従って、当社グループの売上高は、顧客の半導体・製品等の販売本数に影響を受けることとなります。顧客の半導体・製品等の販売が好調であった場合、予想外の収益を計上できる可能性がありますが、一方、顧客の新製品の発売時期が遅延した場合や当初の販売見込みを下回った場合、顧客の販売戦略に変更が生じた場合等においては、当社グループの収益が低下する可能性があります。
⑩ 仕入先との契約更新に係るリスク
ソフトウェアディストリビューション事業及びデータアナリティクス事業では、国外のソフトウェアベンダーの製品の輸入販売を行い、最先端の技術・製品等を有する海外のソフトウェアベンダーを仕入先としております。それらの仕入先とは、販売代理店契約等を締結し、良好な関係を維持しておりますが、仕入先が第三者からの買収や、代理店政策の見直しがあった場合は、商権に変更が生じる等、業績に影響を与える可能性があります。
⑪ 契約更新に係るリスク
株式会社エイムは、米国Gracenote社の音楽データベースに関するライセンス契約を締結し、一定の収益を計上しております。しかしながら、相手先企業の経営方針の変更等、当社がコントロールし得ない何らかの事情によりこの契約が更新されなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 経済状況・市場動向が影響するリスク
ⅰ)自動車業界の動向が影響するリスク
当社の事業収益のうち、自動車業界関連が約60%と大部分を占めています。そのため、自動車の販売台数が減少した場合には、車載情報端末を中心とした製造ロイヤルティ収益に影響を及ぼす可能性があります。
また、自動車関連企業が収益減少のために開発投資へリソースを割かない場合、ソフトウェア開発支援ツール、各ソフトウェア開発キット及び関連する開発委託業務に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ)経済全般の停滞が影響するリスク
景気低迷による顧客の機器生産台数の低迷により、製造ロイヤルティ収益へ影響を及ぼす可能性があります。
また、収益低下懸念による費用圧縮に伴う新規開発投資の抑制により、ソフトウェア開発支援ツール、SDK及び関連する開発委託業務へ影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ911,444千円増加し、3,732,456千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ887,937千円増加し、1,399,034千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23,507千円増加し、2,333,422千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高3,478,999千円(前期比79.5%増)、営業利益71,568千円(前期は84,102千円の損失)、経常利益87,649千円(前期は76,179千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益32,900千円(前期は148,179千円の損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントとして従来の3事業に「データアナリティクス事業」を加え、4つのセグメントに変更いたしました。
「ソフトウェアプロダクト事業」は、組込みネットワークソフトウェア及びセキュリティ関連ソフトウェア製品並びにリアルタイムOS関連製品、データベース製品、高速起動製品等の主に自社開発によるデバイス組込み用ソフトウェアの開発及び販売等に関するセグメントであります。
「ソフトウェアディストリビューション事業」は、海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発に関するセグメントであります。
「ソフトウェアサービス事業」は、組込みソフトウェア等の受託を中心とした各種ソフトウェアの設計、開発、及びデータコンテンツのライセンス販売等に関するセグメントであります。
「データアナリティクス事業」は、株式会社ライトストーンにおける、統計・数値データ解析ソフトウェアの販売等に関するセグメントであります。
セグメント及び分野別の売上内訳及び事業状況は、以下のとおりです。
|
セグメント |
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
増減率 (%) |
||||
|
|
|
売上高(注) (千円) |
売上割合 (%) |
売上高(注) (千円) |
売上割合 (%) |
||
|
従前の セグメント |
グレープ システム |
||||||
|
ソフトウェアプロダクト事業 |
612,113 |
77,337 |
689,450 |
19.8 |
619,344 |
32.0 |
11.3 |
|
ソフトウェアディストリビューション事業 |
1,136,573 |
105,934 |
1,242,507 |
35.7 |
1,006,846 |
51.9 |
23.4 |
|
ソフトウェアサービス事業 |
319,245 |
344,384 |
663,629 |
19.1 |
312,098 |
16.1 |
112.6 |
|
データアナリティクス事業 |
883,414 |
- |
883,414 |
25.4 |
- |
- |
- |
|
合計 |
2,951,345 |
527,654 |
3,478,999 |
100.0 |
1,938,288 |
100.0 |
79.5 |
(注)売上高は、セグメント間取引を消去しております。
■ソフトウェアプロダクト事業
当事業は、高速起動製品における国内外の車載機器関連および海外民生機器の既存顧客からのロイヤルティ売上、また、データベース製品における産業機器の既存顧客からのロイヤルティ売上を中心に、売上高689,450千円(前期比11.3%増)、セグメント利益17,414千円(前期は23,338千円の損失)となりました。
■ソフトウェアディストリビューション事業
当事業は、BIOS、Bluetooth、ネットワークマネジメント等の海外製品における既存顧客からのロイヤルティおよび受託開発売上、また、セキュリティ検証ツール・サービスの新規顧客への販売を中心に、売上高1,242,507千円(前期比23.4%増)、セグメント損失14,826千円(前期は93,045千円の損失)となりました。
■ソフトウェアサービス事業
当事業は、既存顧客からの各種受託開発売上、データコンテンツ「YOMI」に関する車載機器向けを中心としたライセンス売上に加え、グレープシステム子会社化により、売上高663,629千円(前期比112.6%増)、セグメント利益41,936千円(前期比29.9%増)となりました。
■データアナリティクス事業
当事業は、教育機関の既存顧客からのパッケージソフト売上を中心に、売上高883,414千円、セグメント利益27,043千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,401,217千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は188,198千円(前期は87,283千円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は11,719千円(前期は104,306千円の減少)となりました。その主な要因は、投資有価証券の売却による収入及び定期預金の払戻しによる収入、並びに子会社株式の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は318,873千円(前期において、財務活動による資金の変動はありません)となりました。その主な要因は、借入金の返済による支出であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
ソフトウェアプロダクト事業 |
120,085 |
8.5% |
|
ソフトウェアディストリビューション事業 |
229,609 |
18.6% |
|
ソフトウェアサービス事業 |
519,710 |
271.4% |
|
データアナリティクス事業 |
2,872 |
- |
|
合計 |
872,275 |
96.4% |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ソフトウェアプロダクト事業 |
120,085 |
8.3% |
- |
△100.0% |
|
ソフトウェアディストリビュー ション事業 |
237,410 |
7.1% |
8,605 |
△69.7% |
|
ソフトウェアサービス事業 |
562,703 |
238.7% |
- |
△100.0% |
|
データアナリティクス事業 |
2,872 |
- |
59,907 |
- |
|
合計 |
923,070 |
85.1% |
68,512 |
15.2% |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
ソフトウェアプロダクト事業 |
689,450 |
11.3 |
|
ソフトウェアディストリビューション事業 |
1,242,507 |
23.4 |
|
ソフトウェアサービス事業 |
663,629 |
112.6 |
|
データアナリティクス事業 |
883,414 |
- |
|
合計 |
3,478,999 |
79.5 |
(注)セグメント間取引を消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、2,650,345千円(前期比410,658千円増)となりました。その主な要因は、現金及び預金、受取手形及び売掛金の増加、並びに有価証券の減少であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、1,082,111千円(前期比500,786千円増)となりました。その主な要因は、のれんの増加であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、964,634千円(前期比582,898千円増)となりました。その主な要因は、買掛金及び短期借入金の増加であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、434,400千円(前期比305,039千円増)となりました。その主な要因は、退職給付に係る負債の増加であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、2,333,422千円(前期比23,507千円増)となりました。その主な要因は、利益剰余金の増加であります。
この結果、自己資本比率は62.5%となりました。
2)経営成績
■ソフトウェアプロダクト事業
当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。
・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応、海外展開への先行投資
・拡大する車載エンタテインメント需要とEV化に伴うセキュリティニーズに対応したソフトウェアの提供
・IoT製品の脆弱性に対する懸念の高まりに応えるための取組この結果、高速起動製品における国内外の車載機器関連および海外民生機器の既存顧客からのロイヤルティ売上、また、データベース製品における産業機器の既存顧客からのロイヤルティ売上を中心に、売上高・セグメント利益ともに前期を上回る結果となりました。
翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。
・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応の継続、海外市場への積極的な展開
・グループ全体での車載AV案件対応へ体制構築
・RTOSをベースにコネクティビティとセキュリティをワンストップで提供するパッケージの製品化による販売強化
・IoT機器市場で動きの活発なスマートエネルギー関連にフォーカスした提案活動
■ソフトウェアディストリビューション事業
当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。
・ソフトウェア品質向上支援ツールの販売強化継続、エー・アンド・デイ社と共同開発した新製品「GSIL」、重点分野とするIoTセキュリティ関連ツール製品「beSTORM」とこれを活用した「IoTセキュリティ検証サービス」販売への注力
・近年獲得した商材、開発製品の販売の加速
・ソフトウェア品質やサイバーセキュリティへの顧客懸念と市場動向を把握し、ツールによる解決策を提案
この結果、売上・利益ともに前期を上回る結果となりました。
翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。
・需要が堅調なソフトウェア検証・開発支援ツールの販売体制・製品ラインアップ強化
・将来の販売の軸となる新商材の獲得と、より収益性の高い商材への注力
■ソフトウェアサービス事業
当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。
・米Gracenote社との密な連携による既存収益の継続的確保と、協業提案による新たな取り組み
・車載機器のCD再生機能搭載率低下による「YOMI」ライセンスの減少を補うためのストリーミングメディアなど新たな分野へのアプローチや受託開発案件の強化
・既存顧客・パートナー案件に加え、グループの製品・顧客関連のエンジニアリングサービス案件を軸に、グループ全体でのシナジー実現
この結果、既存顧客からの受託開発売上が好調であったことに加え、株式会社グレープシステム子会社化により、売上は前期比で大幅に増加した一方で、同社の損失計上によりセグメント利益は前期比で微増となりました。
■データアナリティクス事業
当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。
・主力ソフトウェア製品(Origin、Stata)を中心とした教育機関、政府研究機関、企業の調査部門への販売
・デジタルマーケティングによるインバウンドセールス強化
・既存顧客への販促強化による、サブスクリプション年間使用料)、メンテナンスの更新率向上
この結果、教育機関を中心にパッケージソフト売上を計上、第1四半期に官庁向けの大口受注があったことも寄与し、売上・セグメント利益ともに計画値を大きく上回りました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。
(売上高)
当連結会計年度における連結売上高合計は3,478,999千円(前年同期比79.5%増)となりました。
詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価2,040,833千円(前年同期比89.2%増)、販売費及び一般管理費1,366,599千円(同44.8%増)を計上いたしました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、給料及び手当603,049千円(同30.4%増)、支払手数料124,384千円(同5.5%減)であります。
(経常利益)
経常利益87,649千円(前年同期は76,179千円の損失)を計上いたしました。
これは、主に営業利益71,568千円(前年同期は84,102千円の損失)、為替差益12,998千円(前年同期比166.4%増)を計上したためであります。
(特別利益)
特別利益41,605千円(前年同期において、特別利益の計上はありません)を計上いたしました。
これは、投資有価証券売却益41,605千円を計上したためであります。
(特別損失)
特別損失700千円(前年同期比97.8%減)を計上いたしました。
これは、固定資産除却損700千円を計上したためであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税40,842千円、法人税等調整額(損)54,811千円の計上により、法人税等合計95,654千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は32,900千円(前年同期は148,179千円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資産の流動性
資金の流動性につきましては、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、M&A等の成長戦略及び財務の健全性強化のための内部留保の積上げと、株主の皆様への利益還元の拡充とのバランスを考慮することを基本としております。成長戦略に伴うM&Aや投資のための所要資金につきましては、グループ内での営業活動による自己資金で調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1) 米国Gracenote社とのライセンス契約
2000年より、株式会社エイムは米国Gracenote社のオフィシャルデベロップメントパートナーとして、Gracenote SDKの共同開発及びGracenote社の日本国内の顧客への開発サポートを内容としたパートナー契約を締結しております。
(2) DTLA加盟契約
2006年5月9日に、当社はDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)との間で加盟契約を締結し、DTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。
加盟料として年間当たり14千米ドルを支払っております。
なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。
(3) 株式会社村田製作所との間における資本・業務提携に関する合意書
2012年12月11日に、当社は株式会社村田製作所との間で、デジタル家電、白物家電、ヘルスケア製品、自動車、ネットワーク対応センサー等、今後さらに幅広い機器に採用が期待される、近距離無線関連の両社の製品及びサービスに関して、相互の顧客・潜在顧客に対する共同提案・販売促進活動及び技術・市場動向等に対する共同での検討活動を行うことで合意しております。
(4) DCP加盟契約
2013年4月15日に、当社はDCP(Digital Content Protection)との間で加盟契約を締結し、HDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。
加盟料として年間当たり15千米ドルを支払っております。
なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。
(5) 株式譲渡契約
2023年9月7日開催の取締役会において、当社は株式会社グレープシステムの発行済株式の全株式を取得し、連結子会社化することについて決議し、同日に株式譲渡契約を締結、2023年10月2日に株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(6) 合併契約
当社及び当社の100%子会社である株式会社エイムは、2024年5月21日開催の取締役会において、2024年8月1日を効力発生日として両社の合併を決議し、当社を吸収合併存続会社、株式会社エイムを吸収合併消滅会社とする吸収合併に係る合併契約を締結いたしました。
なお、本合併は、両社の株主総会の承認を条件としており、2024年6月27日の当社の株主総会で承認可決されています。
詳細は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社グループは、ソフトウェアプロダクト事業、ソフトウェアディストリビューション事業、ソフトウェアサービス事業及びデータアナリティクス事業の4つのセグメントに区分しておりますので、研究開発活動につきましては、各セグメントについて記載しております。
(1) 概要
当社の社名ユビキタスが表現しているように、いたるところにネットワークに接続された機器(ネットワーク端末)が存在するユビキタス・ネットワーク社会にするためには、ネットワーク機能が「小さく、軽く、速い」ことが求められます。また、昨今ではIoT(モノのインターネット)という言葉の普及とともに、あらゆるモノがインターネットにつながり始めており、単純なネットワーク機能だけでなく、機器のセキュリティ強化のための技術や、データ管理の要素、機器自体の起動時間の短縮等、様々なソフトウェアでの性能要求が高まってきております。これらの要求に応えるため、当社では様々な研究開発活動を行っております。
(2) 当連結会計年度における研究開発活動の成果
① ソフトウェアプロダクト事業
当連結会計年度は、コネクティビティ&セキュリティ分野におきましては、組込みシステム設計を効率化・簡素化する包括的なソフトウェアパッケージとして、2022年にリリースした「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」の派生製品開発を行い、販売を開始いたしました。また、IoT機器向けにスマートホームのグローバル共通規格であるMatterと既に国内市場で普及が進んでいるECHONET Liteを接続するためのブリッジ機能を開発し、当社の組込み環境向けECHONET Lite対応ソフトウェア開発キット「Ubiquitous ECHONET Lite SDK」に搭載しました。高速起動分野におきましては、Qualcomm SA8155P自動車プラットフォームへの「Ubiquitous QuickBoot」への実装に関する技術開発を行いました。
② ソフトウェアディストリビューション事業
当連結会計年度は、株式会社エー・アンド・デイと共同で開発した、PCベースの車載ECUソフトウェア開発用シミュレーター「GSIL」の製品開発を、顧客要望対応を主として行いました。また、セキュリティ検証サービスにおける顧客要望対応の一環として、Bluetooth Low Energy用の検証ソフトウェアを開発して、サービスへの利用を開始しました。
③ ソフトウェアサービス事業
該当事項はありません。
④ データアナリティスク事業
該当事項はありません。
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、