第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「Exploring Everything」というスローガンの下、私たちの収益の源泉となるまだ見ぬ宝物である、革新的なアイデア、未来を照らす技術シーズ、自社および他社による有形無形の製品、そして、これらを見つけ、生み出すタレントなどテクノロジーに関わる全てを探し続けることで、社会の進歩に貢献することを新たな経営基本方針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標

当社最大の強みである大手製造業中心の顧客基盤を活かし、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供することを中長期的な経営戦略として、これまでの組込みソフトウェア開発・販売会社から、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として、取り組んでおります。

今後も成長が見込まれる自動車関連分野、IoT・AI関連分野を中心とした多様な分野において、強みである通信ネットワークやセキュリティ、高速起動などの自社開発の技術・製品のみならず、多数のユニークかつ先進性のある海外ソフトウェア製品との連携による新しい付加価値製品も合わせてタイムリーに市場投入することに加え、新たに取り組みを開始したビジネスプラットフォーム「HEXAGON」を推進するとともに、株式会社エイムのエンジニアリングサービスと連携しながら、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供できるよう事業規模と収益の拡大を追求いたします。

そして、3カ年中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の下、

・M&A、資本提携の積極的な推進

・組込みソフトウェア開発・販売会社から、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として事業領域の拡大による成長の実現

・HEXAGON(ビジネスプラットフォーム)の実現

・QuickBootの技術課題解決及び海外展開の強化

・成長分野で安定的な収益が見込めるツール製品への注力

などにより、計画2年目にあたる2024年3月期は売上高2,912,000千円、営業利益20,000千円、2025年3月期は売上高3,100,000千円、営業利益40,000千円を目指してまいります。

 

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(3) 対処すべき課題

① 成長市場において競争力を有する技術、製品に関する課題

当社では、多様な分野にさまざまな製品を展開しておりますが、特に「車載機器分野」「IoT・AI関連分野」といった成長市場においては、新たに登場する先進技術や常に変化する顧客ニーズに対応できるよう、取扱製品の継続的な強化と顧客ニーズの把握が課題となります。

これに対しては、ソフトウェアプロダクト事業における自社製品の機能強化、ソフトウェアディストリビューション事業における新規取扱製品の拡充、これらの製品の組み合わせることで付加価値を高める提案を推進しております。また、長年の実績から構築した、大手製造業を中心とした豊富かつ幅広い取引先とのネットワークや保有するマーケティング情報を有効活用した効率的な製品開発、取扱製品の獲得、販売活動を行います。さらに、IT関連も含めた国内のベンチャー・スタートアップ企業や学術系機関が保有する、製造業顧客が必要とする製品や技術・サービス等を幅広く取り扱うことで、更なる成長を実現してまいります。あわせて、M&A、業務提携等による新たな事業機会を積極的に獲得し、当社の技術、製品ラインアップの強化を図ってまいります。

② 事業ポートフォリオに関する課題

当社では、当社製品を採用した顧客製品の出荷量に応じたロイヤルティ売上を利益成長の源泉と位置付けており、成長性のある市場に対して複数の製品を継続して提供しておりますが、当社製品の採用から顧客製品の開発・量産製造までに時間を要するものが多く、その間の先行投資が嵩むことが課題となっておりました。

これに対しては、ソフトウェアサービス事業によるエンジニアリングサービス機能、データコンテンツのライセンス販売に加え、ソフトウェアディストリビューション事業による海外メーカーの組込みソフトウェア製品の輸入販売、技術サポート提供を行うことにより、従来の先行投資が必要ながら収益性の高い事業と、比較的短期的な収益確保が見込める事業のバランスが取れた事業ポートフォリオを形成し、グループとしてこの課題に対処してまいりました。

今後は、それぞれの事業の強化と各事業の密接な連携、海外メーカーとの関係を生かした当社製品の海外市場への販売展開を実現します。さらに、これまでの組込みソフトウェアを中心とした取り組みだけでなく、ベンチャー・スタートアップ企業や学術系機関との連携により当社顧客である製造業顧客が必要とするIT商材等を幅広く取扱うことに加え、2023年4月1日にグループ会社となった株式会社ライトストーンのデータアナリティクス事業では、同社が有する従来と異なる新たな顧客層に対してパッケージ製品を継続販売することで、事業基盤の安定と収益拡大を目指してまいります。

③ 販売体制の強化

新型コロナウイルス感染症による事業活動への制約は緩和されましたが、これによるワークスタイル・事業機会の変化は継続しており、営業活動やマーケティング活動の手法もこの変化に対応したアプローチが必要となっております。

これに対しては、引き続き、Webコンテンツやインターネットメディアを始めとしたデジタルマーケティングによる販促施策の強化、情報システムの整備による効率的な営業活動環境の整備、営業部門の人員増により、案件や顧客の確保を実現してまいります。

④ 品質マネジメントの強化

インターネットやIoTの普及に伴い、さまざまな電気・電子機器がネットワークに繋がることで、サイバー攻撃のリスクが深刻な問題となってきました。

このため、電子・電気機器製造・開発における適切な品質マネジメント及びサイバーセキュリティ対策を講ずることが必要とされています。

当社も、顧客の製品・サービス開発に使用するソフトウェア製品・サービスを提供していることから同様の対策が求められ、取引条件に含まれるようになってきております。

これに対しては、品質保証体制及びサイバーセキュリティ対策体制を整備・強化し、顧客の取引条件に合致するようにつとめてまいります。

⑤ 体制強化と効率化

当社で取り扱う製品の販売活動を効率的かつ集中的に行うとともに、競争力のある自社製品の開発を実現するための優秀な人材の採用、グループ間での連携、人員の最適配置による効率的な事業体制の構築が必要となります。

⑥ ガバナンスの強化

積極的なM&A等により事業規模が拡大しつつある当社グループが、継続的に、健全かつ効率的に成長するためには、ガバナンスの強化が重要な課題であります。

そのために、社外取締役を複数名体制とし、社外の目と知見による取締役会の監督を実施しております。引き続き、この体制を維持するとともに、内部管理体制の面でも、財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、内部監査による定期的なモニタリングの実施等に取り組んでまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社グループは、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの体制で企業活動を行っております。当社グループは、コーポレート・ガバナンスを、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、企業価値の継続的向上と社会からの信頼獲得のために企業活動を規律する枠組みであると考えております。社会にとって価値ある企業となるために、今後もコーポレート・ガバナンスの維持・強化を図ってまいります。

(2)戦略

 人材の確保及び労働環境に関しましては、年齢・性別・国籍を問わず、「エンジニアスキルを生かして新たなソフトウェア製品を開発したい」「語学力を生かして海外の優れたソフトウェア製品・サービスを発掘して日本市場で広めたい」等の想いを持たれている方を対象に幅広く採用活動を行っており、職種やスキルに応じて勤務体系は異なりますが、それぞれの状況に応じた出社と在宅勤務の組み合わせや出退勤時間の選択など、フレキシブルな環境を整えております。人材の育成に関しましては、2022年6月に公表いたしましたビジョンに則り、当社グループで働く仲間には、それぞれの人生の大切な時間を費やす「場所」や「時間」を大切にし、関わる全ての人と共に成長することで、それぞれの人生をより素晴らしいものにして欲しいと考え、毎年、数名の社員を選抜し、ビジョンの浸透活動を行っております。また、全従業員に対して、インサイダー取引禁止や情報セキュリティ等上場企業として必要である講習を年1回以上受講させております。

(3)リスク管理

 当社グループ全体のコンプライアンス及びリスク管理につきましては、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであり、必要に応じて、専門家の助言・指導を受けております。

(4)指標及び目標

 人材の確保及び労働環境について、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの体制で労働条件等の整備の検討を行っておりますが、指標等の設定を行っておりません。今後においては、適切な指標を設定し、その進捗管理に努めることで人材の育成・確保、社内環境整備についての改善に取り組むことを目指してまいります。

3【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる、主な事項を記載しております。

また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 技術の陳腐化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を多様な分野に展開しておりますが、これらの技術革新のスピードは速く、製品の高機能化も進んでおります。

当社グループといたしましては、技術の進展に鋭意対応していく方針ですが、当社グループが想定していない新技術の開発、普及により事業環境が急変した場合、必ずしも迅速に対応できない可能性があります。

また、競合他社が当社グループを上回る技術を開発した場合には、当社グループの技術が陳腐化する可能性があります。これらの状況に迅速に対応するため、多額の研究開発費用が発生する可能性もあります。

上記のような事象が発生した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 競争の激化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を取り扱っております。近年は、LinuxやAndroid、FreeRTOS等の無償で利用できるソフトウェアプラットフォームが拡大し、また半導体メーカーが半導体と一緒に開発に必要なソフトウェアを組み合わせて包括的に提供する傾向にあり、特にミドルウェア製品群は、これらとの競争が激化しております。当社グループは、今後も競争力の維持強化に必要な製品ラインアップの強化、無償のソフトウェアでは得られない品質保証、技術サポートの提供や、脆弱性へのリスク対応等による差別化を図ることで競争力の維持強化に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりますが、優位に競争が進められず、当該市場で十分なシェアを獲得できない場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

③ 新規事業について

当社グループでは事業拡大を行う上で、当社グループ独自の技術やノウハウを活かした新規事業や製品を提供することが必要であると認識しております。このため、新規事業や製品への投資については、その市場性等について十分な検証を行った上で投資の意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた投資回収を実現できない可能性があります。

また、新規事業や新規サービス・製品の立ち上げには、一時的に追加の人材採用、研究開発等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 海外事業展開について

当社グループは今後グローバルな事業展開を予定しておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律や規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、競合企業の存在や知的財産権の取扱方法の違い、為替変動等の要因により、事業展開及びその成果が当初予測と異なる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 知的財産権について

当社グループは自社開発したソフトウェアについて著作権を有しておりますが、第三者が当社グループの著作権を侵害することなく、当社グループのソフトウェアと同様の機能を実現した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、当該第三者が特許権を取得した場合、当社グループが損害賠償義務を負担する可能性があります。加えて、当社グループが特定分野でのソフトウェア開発業務遂行のため、他社よりソフトウェアのソースコード開示を受けることがまれにありますが、この場合、当該ソースコードの開示を理由に当該成果物以外の当社グループ著作物に対する著作権侵害の訴訟等を受けるおそれがあります。

⑥ ソフトウェアの不具合による顧客の損失について

当社グループのソフトウェアの不具合による顧客の損失については、契約上、当社グループの損害賠償額の上限を当社グループが収受した契約対価に限定するように努めておりますが、このような事態が発生した場合、直接的に売上高の取消による損失が発生するのみならず、信用失墜により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ DTLAからの高度機密情報の提供について

当社グループは、DTCPのライセンス管理団体であるDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)に加盟し、同団体からDTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DTLAとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

⑧ DCPからの高度機密情報の提供について

当社グループは、HDCPのライセンス管理団体であるDCP(Digital Content Protection)に加盟し、同団体からHDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DCPとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

⑨ ライセンス契約について

当社グループは、顧客との間で、当社グループソフトウェアを搭載した半導体・製品等の販売本数に応じて製造ロイヤルティを収受する契約を締結しております。従って、当社グループの売上高は、顧客の半導体・製品等の販売本数に影響を受けることとなります。顧客の半導体・製品等の販売が好調であった場合、予想外の収益を計上できる可能性がありますが、一方、顧客の新製品の発売時期が遅延した場合や当初の販売見込みを下回った場合、顧客の販売戦略に変更が生じた場合等においては、当社グループの収益が低下する可能性があります。

⑩ 仕入先との契約更新に係るリスク

ディストリビューション事業及びデータアナリティクス事業では、国外のソフトウェアベンダーの製品の輸入販売を行い、最先端の技術・製品等を有する海外のソフトウェアベンダーを仕入先としております。それらの仕入先とは、販売代理店契約等を締結し、良好な関係を維持しておりますが、仕入先が第三者からの買収や、代理店政策の見直しがあった場合は、商権に変更が生じる等、業績に影響を与える可能性があります。

⑪ 契約更新に係るリスク

株式会社エイムは、米国Gracenote社の音楽データベースに関するライセンス契約を締結し、一定の収益を計上しております。しかしながら、相手先企業の経営方針の変更等、当社がコントロールし得ない何らかの事情によりこの契約が更新されなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 経済状況・市場動向が影響するリスク

ⅰ)自動車業界の動向が影響するリスク

 当社の事業収益のうち、自動車業界関連が約60%と大部分を占めています。そのため、自動車の販売台数が減少した場合には、車載情報端末を中心とした製造ロイヤルティ収益に影響を及ぼす可能性があります。

また、自動車関連企業が収益減少のために開発投資へリソースを割かない場合、ソフトウェア開発支援ツール、各ソフトウェア開発キット及び関連する開発委託業務に影響を及ぼす可能性があります。

ⅱ)経済全般の停滞が影響するリスク

 景気低迷による顧客の機器生産台数の低迷により、製造ロイヤルティ収益へ影響を及ぼす可能性があります。

また、収益低下懸念による費用圧縮に伴う新規開発投資の抑制により、ソフトウェア開発支援ツール、SDK及び関連する開発委託業務へ影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ153,935千円減少し、2,821,012千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ21,361千円減少し、511,097千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ132,574千円減少し、2,309,915千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高1,938,288千円(前期比5.8%減)、営業損失84,102千円(前期は77,630千円の利益)、経常損失76,179千円(前期は90,943千円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失148,179千円(前期は39,696千円の損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

「ソフトウェアプロダクト事業」は、組込みネットワークソフトウェア及びセキュリティ関連ソフトウェア製品並びにリアルタイムOS関連製品、データベース製品、高速起動製品等の主に自社開発によるデバイス組込み用ソフトウェアの開発及び販売等に関するセグメントであります。

「ソフトウェアディストリビューション事業」は、海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発に関するセグメントであります。

「ソフトウェアサービス事業」は、株式会社エイムにおける、組込みソフトウェア等の受託を中心とした各種ソフトウェアの設計、開発、及びデータコンテンツのライセンス販売等に関するセグメントであります。

 

セグメント及び分野別の売上内訳及び事業状況は、以下のとおりです。

セグメント

当連結会計年度

前連結会計年度

増減率

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

ソフトウェアプロダクト事業

619,344

32.0

689,900

33.5

△10.2

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

1,006,846

51.9

977,438

47.5

3.0

ソフトウェアサービス事業

312,098

16.1

390,827

19.0

△20.1

合計

1,938,288

100.0

2,058,165

100.0

△5.8

(注)売上高は、セグメント間取引を消去しております。

 

■ソフトウェアプロダクト事業

当事業の売上高は619,344千円(前期比10.2%減)、セグメント損失は23,338千円(前期は136,155千円の利益)となり、売上・利益ともに前期を大きく下回る結果となりました。これは、前年第2四半期においてセキュリティ関連製品の大口案件で売上・利益を計上したこと、及びデータベース関連製品の既存顧客がコロナ禍で製品の生産に大きな影響を受けたこと、並びに組織再編により当事業における当期の人件費が増加したことによるものであります。

コネクティビティ、セキュリティ&リアルタイムOS関連製品では、車載機器関連及びホームエナジーマネジメントシステム関連の既存顧客、産業機器及び医療機器関連の新規顧客からの契約時一時金売上を計上いたしました。また、半導体メーカーとの協業取り組みの一環として、受託開発売上を計上いたしました。

高速起動製品では、国内外の車載機器関連、海外民生機器の既存顧客からのロイヤルティ売上を計上いたしました。引き続き、カーナビゲーションシステム等車載向け機器を中心に、複数社との間で大・中規模の開発案件を実施しております。

データベース製品では、産業機器等の既存顧客からのロイヤルティ売上等を計上いたしました。

 

2022年5月、Linux/Android高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot」の同年4月末時点での累計出荷ライセンス数が全世界で6,000万本を突破したことを発表いたしました。

同年6月、マルチコア向け商用リアルタイムOS「TOPPERS-Pro/FMP3」が、ルネサスエレクトロニクス株式会社の最新マイクロプロセッサRZ/T2Mグループに対応し、販売開始したことを発表いたしました。

同月、組込みシステムを構成するリアルタイムOS、ネットワークスタック及びアプリケーション等のミドルウェアを動作確認済みのパッケージにした新製品「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」の提供を開始したことを発表いたしました。

同年11月、ルネサスエレクトロニクス株式会社のRAファミリMCUに対応した、短期間でセキュアかつスマートなIoT機器を開発するためのオールインワンソフトウェアパッケージの提供を開始したことを発表いたしました。

2023年3月、組込み開発者向けに、次世代通信プロトコル「Ubiquitous QUIC」の提供を開始したことを発表いたしました。

 

■ソフトウェアディストリビューション事業

当事業の売上高は1,006,846千円(前期比3.0%増)、セグメント損失は93,045千円(前期は141,872千円の損失)となり、売上・利益ともに前期を上回る結果となりました。

BIOS製品「InsydeH2OⓇ」(「EFI/UEFI」仕様を実装したC言語ベースBIOS)、ワイヤレス製品「Blue SDK」(Bluetoothプロトコルスタック)のロイヤルティ売上、ソフトウェア品質向上支援ツール製品「CodeSonar」(ソフトウェア静的解析ツール)のライセンス売上、ネットワークマネジメント製品「ConfD」(オンデバイスネットワーク機器管理用ソフトウェア)のロイヤルティ売上、サイバーセキュリティ対策製品「beSTORM X」(IoTセキュリティ検証ツール&サービス)等の多数の取扱い製品において、新規・既存顧客からのライセンスロイヤルティ売上等を計上いたしました。

 

当連結会計年度においては、新たに7社9製品の新規取扱を開始しました。

 

■ソフトウェアサービス事業

当事業の売上高は312,098千円(前期比20.1%減)、セグメント利益は32,282千円(前期比61.3%減)となり、前期を大きく下回る結果となりました。

ソフトウェアサービス事業では、既存顧客との各種受託開発売上、データコンテンツ「YOMI」に関する車載機器向けを中心としたライセンス使用料売上等を計上いたしました。コロナ禍のサプライチェーンへの影響による受託開発案件の期ずれ及び失注に伴い受託開発の売上が減少、また車載機器関連のCD再生機能搭載モデルの出荷減少に伴いライセンス使用料の売上が減少となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,514,932千円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、減少した資金は87,283千円(前期は221,543千円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少や未払消費税等の減少であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は104,306千円(前期は149,187千円の減少)となりました。その主な要因は、資産除去債務の履行による支出や有形固定資産の取得による支出であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の変動はありませんでした(前期も同様)。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

110,658

81.1

ソフトウェアディストリビューション事業

193,640

63.9

ソフトウェアサービス事業

139,917

△39.0

合計

444,215

8.8

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

110,889

81.4

1,300

0.0

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

221,677

89.2

28,390

4631.7

ソフトウェアサービス事業

166,147

△21.1

29,800

6108.3

合計

498,714

28.3

59,490

5408.3

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

619,344

△10.2

ソフトウェアディストリビューション事業

1,006,846

3.0

ソフトウェアサービス事業

312,098

△20.1

合計

1,938,288

△5.8

 (注)セグメント間取引を消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、2,239,687千円(前期比189,217千円減)となりました。その主な要因は、有価証券の減少であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、581,325千円(前期比35,282千円増)となりました。その主な要因は、建物や工具、器具及び備品の増加であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、381,736千円(前期比66,405千円減)となりました。その主な要因は、資産除去債務の減少であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、129,361千円(前期比45,044千円増)となりました。その要因は、繰延税金負債の増加であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、2,309,915千円(前期比132,574千円減)となりました。その主な要因は、利益剰余金の減少であります。

 この結果、自己資本比率は81.9%となりました。

 

2)経営成績

■ソフトウェアプロダクト事業

当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応、海外展開への先行投資

・車載AV案件対応への人的リソース拡充

・コネクティビティ及びRTOSの価値を最大化するパッケージの販売

・IoTセキュリティ向け検証ツールとの連携による顧客デマンドの創出

この結果、前年第2四半期においてセキュリティ関連製品の大口案件で売上・利益を計上したこと、及びデータベース関連製品の既存顧客がコロナ禍で製品の生産に大きな影響を受けたこと、並びに組織再編により当事業における当期の人件費が増加したことにより、売上・利益ともに前期を大きく下回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。

・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応の継続、海外市場への積極的な展開

・グループ全体での車載AV案件対応へ体制構築

・RTOSをベースにコネクティビティとセキュリティをワンストップで提供するパッケージの製品化による販売強化

・IoT機器市場で動きの活発なスマートエネルギー関連にフォーカスした提案活動

 

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■ソフトウェアディストリビューション事業

当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・ソフトウェア品質向上支援ツールの販売強化継続、エー・アンド・デイ社と共同開発した新製品「GSIL」、重点分野とするIoTセキュリティ関連製品「beSTORM X」とこれを活用した「IoTセキュリティ検証サービス」販売への注力

・近年獲得した商材、開発製品の販売の加速

・ソフトウェア品質やサイバーセキュリティへの顧客懸念と市場動向を把握し、ツールによる解決策を提案

この結果、売上・利益ともに前期を上回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。

・需要が堅調なソフトウェア検証・開発支援ツールの販売体制・製品ラインアップ強化

・将来の販売の軸となる新商材の獲得と、より収益性の高い商材への注力

 

 

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■ソフトウェアサービス事業

当連結会計年度は、特に次の2つの項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・車載機器メーカーを中心とした受託開発・音楽関連データコンテンツライセンス取引の継続

・Web・スマートデバイス向けから組込みまで幅広い範囲の対応により、安定した顧客との取引と、グループ連携による受託開発案件の獲得

この結果、コロナ禍のサプライチェーンへの影響による受託開発案件の期ずれ及び失注に伴い受託開発の売上が減少、また車載機器関連のCD再生機能搭載モデルの出荷減少に伴いライセンス使用料の売上が減少となり、売上・利益ともに前期を大きく下回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、受託開発案件の収益性強化と車載機器以外の安定顧客確保に注力しつつ、規模拡大に向け、M&A等も含めた開発人員確保の施策を検討してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。

 

(売上高)

当連結会計年度における連結売上高合計は1,938,288千円(前年同期比5.8%減)となりました。

詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価1,078,571千円(前年同期比0.9%増)、販売費及び一般管理費943,819千円(同3.6%増)を計上いたしました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、給料及び手当462,462千円(同0.8%増)、支払手数料131,617千円(同28.7%増)であります。

(経常利益)

経常損失76,179千円(前年同期は90,943千円の利益)を計上いたしました。

これは、主に営業損失84,102千円(前年同期は77,630千円の利益)、為替差益4,879千円(前年同期比52.8%減)を計上したためであります。

(特別損失)

特別損失32,210千円(前年同期比54.3%減)を計上しました。

 これは、主に投資有価証券評価損30,359千円を計上したためであります。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

法人税、住民税及び事業税10,793千円、法人税等調整額(損)28,996千円の計上により、法人税等合計39,789千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は148,179千円(前年同期は39,696千円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

・資本の財源及び資産の流動性

 資金の流動性につきましては、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、M&A等の成長戦略及び財務の健全性強化のための内部留保の積上げと、株主の皆様への利益還元の拡充とのバランスを考慮することを基本としております。成長戦略に伴うM&Aや投資のための所要資金につきましては、グループ内での営業活動による自己資金で調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

(1) 米国Gracenote社とのライセンス契約

 2000年より、株式会社エイムは米国Gracenote社のオフィシャルデベロップメントパートナーとして、Gracenote SDKの共同開発及びGracenote社の日本国内の顧客への開発サポートを内容としたパートナー契約を締結しております。

(2) DTLA加盟契約

 2006年5月9日に、当社はDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)との間で加盟契約を締結し、DTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。

 加盟料として年間当たり14千米ドルを支払っております。

 なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

(3) 株式会社村田製作所との間における資本・業務提携に関する合意書

2012年12月11日に、当社は株式会社村田製作所との間で、デジタル家電、白物家電、ヘルスケア製品、自動車、ネットワーク対応センサー等、今後さらに幅広い機器に採用が期待される、近距離無線関連の両社の製品及びサービスに関して、相互の顧客・潜在顧客に対する共同提案・販売促進活動及び技術・市場動向等に対する共同での検討活動を行うことで合意しております。

(4) DCP加盟契約

 2013年4月15日に、当社はDCP(Digital Content Protection)との間で加盟契約を締結し、HDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。

 加盟料として年間当たり15千米ドルを支払っております。

 なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

(5) 株式譲渡契約

 2023年3月1日開催の取締役会において、当社は株式会社ライトストーンの発行済株式の全株式を取得し、連結子会社化することについて決議し、同日に株式譲渡契約を締結、2023年4月1日に株式を取得いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ソフトウェアプロダクト事業、ソフトウェアディストリビューション事業及びソフトウェアサービス事業の3つのセグメントに区分しておりますので、研究開発活動につきましては、各セグメントについて記載しております。

 

(1) 概要

 当社の社名ユビキタスが表現しているように、いたるところにネットワークに接続された機器(ネットワーク端末)が存在するユビキタス・ネットワーク社会にするためには、ネットワーク機能が「小さく、軽く、速い」ことが求められます。また、昨今ではIoT(モノのインターネット)という言葉の普及とともに、あらゆるモノがインターネットにつながり始めており、単純なネットワーク機能だけでなく、機器のセキュリティ強化のための技術や、データ管理の要素、機器自体の起動時間の短縮等、様々なソフトウェアでの性能要求が高まってきております。これらの要求に応えるため、当社では様々な研究開発活動を行っております。

(2) 当連結会計年度における研究開発活動の成果

① ソフトウェアプロダクト事業

 当連結会計年度は、コネクティビティ&セキュリティ分野におきましては、組込みシステム設計を効率化・簡素化する包括的なソフトウェアパッケージとして、OS、ネットワーク、セキュリティなどの移植・開発作業を不要にする「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」の製品開発を行い、販売を開始いたしました。また、IoT機器向けに次世代トランスポートプロトコルQUICに対応した「Ubiquitous QUIC」に関する技術開発を行い、製品販売を開始いたしました。

 

② ソフトウェアディストリビューション事業

 当連結会計年度は、株式会社エー・アンド・デイと共同で開発した、PCベースの車載ECUソフトウェア開発用シミュレーター「GSIL」の製品開発を、顧客要望対応を主として行いました。

 

③ ソフトウェアサービス事業
 該当事項はありません。

 

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、37,309千円となりました。