第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「All for wonderful life」というスローガンの下、私たちの収益の源泉となるまだ見ぬ宝物である、革新的なアイデア、未来を照らす技術シーズ、自社および他社による有形無形の製品、そして、これらを見つけ、生み出すタレントなどテクノロジーに関わる全てを探し続けることで、社会の進歩に貢献することを新たな経営基本方針としております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標

 当社グループは、新たな中期経営計画を策定し、2025年6月26日に「中期経営計画(2026-2028年度)」を公表しております。

 当社グループにおける事業環境は、100年に一度の変革期に顧客や事業・社会環境が大きく変化し、テクノロジー・インフラが加速度的に進化する状況において、「製造業顧客を基盤」として、新たなユビキタスAIにBIG Changeを目指しております。

 この中期経営計画においては、オーガニック領域(既存事業による売上成長)、インオーガニック領域(連続的M&Aによる売上成長)による成長を目指し、オーガニック領域においては、毎年5%成長を見込むとともに、安定的な成長キャッシュフロー創出を目指します。インオーガニック領域においては、年度ごとの目標設定は行わず、M&Aによる売上成長を見込んでおります。

 これらの結果、2028年3月期に、オーガニック+インオーガニックで売上高50億円以上、CAGR10%程度の成長を目指しております。

 

 オーガニック領域は、Operational Excellence(生産性向上)、Sales Enablement(営業力強化)、Group Synergy(アップセル/クロスセル)、Steady Growth(安定成長)による重点施策を推進することで、High Profitability(高収益化)の実現を目指し、未来への投資資金の創出を図ってまいります。

 

 インオーガニック領域は、次なる飛躍的成長に向け、戦略的に補充・拡充すべき事業領域(IoT関連事業、Big Data/AI関連事業、IT関連)について、案件ごとにバリュエーションやシナジーを考慮しながら、積極的に連続的M&Aを実行してまいります。

 

 財務戦略は、企業価値の最大化に向けて、次の重点施策を推し進めてまいります。

・既存事業の収益性及びキャッシュフロー基盤を強化しつつ、成長性の高い領域及びM&Aへ再投資。

・健全なバランスシートを梃に、次の成長に向けた積極的ファイナンス戦略と成長投資実行を目指す。

・本中期経営計画は「基盤整備の3年」として、会社体制整備のための大幅な支出なども見込む。

・「売上高」及び「EBITDA(調整後営業利益)」を重要収益指標として経営・財務戦略を推進していく。

・下期、特に2月及び3月に集中して売上・利益が計上される収益サイクルから、より平準化され安定的な売上・利益計上サイクル構築の実現を目指す。

 

 以上、オーガニック及びインオーガニックによる成長戦略、並びに財務戦略を組み合わせ、CAGR10%程度の成長を実現しつつ、「中期経営計画(2026–2028年度)」の定量目標達成と、その後の事業成長を加速させる次フェーズ(High Growth Phase)への円滑な移行を図ってまいります。

 

(3)対処すべき課題

① 当社グループのソフトウェア分野における事業強化に関する課題

 当社グループは、メーカー、商社、受託開発のバランスの取れた事業ポートフォリオを展開し、主要顧客である電子・電気機器を製造・開発する大手企業の企画・開発・設計部門から学術・政府機関まで、幅広く強固な顧客基盤を有しています。

 当社グループのソフトウェア分野における事業は、製品・サービス別に自社製品の開発・販売、海外製品の販売、統計・数値データ解析ソフトウェアの販売及び受託開発という4つの事業ポートフォリオで構成されております。

 自社製品の開発については、開発力に加え、販売力のある製品企画の強化、海外製品の販売及び統計・数値データ解析ソフトウェアの販売については、製品ラインアップの強化、受託開発については、開発力の強化が必要となります。

 加えて、販売機会を増やすため、単に製品の販売にとどまらず、常に変化する顧客のニーズを把握し、対応するための開発業務が必要となり、この体制を強化する必要があります。

 これに対しては、経験者の中途採用による技術力向上、さらにM&Aによる人材・事業機会の獲得及び強化により、当社グループ全体の技術力強化と、開発力・製品企画力の強化に取り組んでまいります。

 

② 企業グループとしての運営に関する課題

 当社は、2024年3月期にM&Aを2社、2025年3月期に子会社の吸収合併を実現した結果、事業規模及び従業員数が増加し、急激に業容が拡大しております。

 企業グループとしての連携や管理部門の強化、特に買収した企業のPMI(Post Merger Integration)、内部管理体制の強化、コストの最適化に取り組む必要があります。

 これに対しては、グループ経営の管理機能の強化及び管理部門人材の採用並びにグループ人事制度の構築等により、コミュニケーションの円滑化やコストの最適化など、グループ全体の運営効率化を進めてまいります。

 

③ 販売体制の強化に関する課題

 当社グループが取扱う製品・サービスは、技術的難易度や専門性が高い製品・サービスが多く、顧客との技術的なコミュニケーションが販売における重要なポイントとなります。

 また近年、ワークスタイル・事業機会は変化しており、営業活動やマーケティング活動の手法もこの変化に対応したアプローチが必要となっております。

 これに対しては、顧客データに基づいたデジタルマーケティング施策を強化し、顧客ニーズを掘り起こし、当社グループが取扱う製品・サービスの強みを訴求することにより、新規引合いの獲得を推進してまいります。加えて、情報システムの整備による効率的な営業活動環境の整備、営業部門の人員増により、案件や顧客の確保を実現してまいります。

 

④ 品質マネジメントの強化に関する課題

 インターネットやIoTの普及に伴い、さまざまな電気・電子機器がネットワークに繋がることで、サイバー攻撃のリスクが深刻な問題となってきました。

 このため、電子・電気機器製造・開発における適切な品質マネジメント及びサイバーセキュリティ対策を講ずることが必要とされています。

 当社グループも、顧客の製品・サービス開発に使用するソフトウェア製品・サービスを提供していることから同様の対策が求められ、取引条件に含まれるようになってきております。

 これに対しては、品質保証体制及びサイバーセキュリティ対策体制を整備・強化し、顧客の取引条件に合致するようにつとめてまいります。

 

⑤ ガバナンスの強化に関する課題

 積極的なM&A等により事業規模が拡大している当社グループが、継続的、健全かつ効率的に成長するためには、ガバナンスの強化が重要な課題であります。

 これに対しては、社外取締役を複数名体制とし、社外の目と知見による取締役会の監督を実施しております。引き続き、この体制を維持するとともに、内部管理体制の面でも、財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、内部監査による定期的なモニタリングの実施等に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、2024年12月に次のとおり、「サステナビリティ方針」を策定しました。

 

・サステナビリティ方針

 「最良なソフトウェアテクノロジーを、あらゆるところに」のミッションのもと社会を進化させ、全てのステークホルダーの皆さまが、豊かな未来を築いていくことに貢献します。その実現に向けて、私たちは多様な専門性を持った人材・組織を育み、未来の社会を見据えた広い視野で世界を見つめ、持続可能な社会の実現に貢献し続けます。

 そのために、第一に従業員、そしてお客様、お取引先、エンドユーザーの皆さまなど、全てのステークホルダーを尊重するとともに、より良い未来を協創していきます。また、気候変動などの地球環境問題に対しても、事業をとおしたカーボンニュートラルに向けた取組みによってリスクの抑制を行い、持続可能な社会の発展に向けて貢献してまいります。

 

・マテリアリティ

 当社グループのサステナビリティを推進するために必要な「人材」「技術」「革新」「信頼」「安全」の5つのマテリアリティを特定しました。

 

人材:当社グループは、事業の成長と革新の原動力は「人材」にあると考えています。高度な専門性を持つエンジニアやスタッフを育成し、全員が各自の才能を最大限に発揮できる環境づくりを推進します。これにより、絶えず変化するテクノロジー分野において持続可能な成長と新たな価値創造を実現し、また当社に関わる全ての人々の幸せを実現していきます。

 

技術:当社グループは、業界トップクラスのソフトウェアテクノロジーを基盤とし、独自の技術力でネットワークや組込みソフトウェアの分野で革新的な製品を提供しています。技術の卓越性は、顧客のニーズに応えるだけでなく、業界全体の標準を引き上げ、社会の発展に貢献していきます。

 

革新:常に「革新」を追求する姿勢が、当社グループのビジネスモデルの核です。新たな技術シーズの発掘や、既存の枠組みを超える発想により、従来にないソリューションを創出します。これにより、当社グループは環境変化に柔軟に対応し、新たなビジネスチャンスを切り拓いていきます。

 

信頼:信頼は、すべてのステークホルダーとの持続的な関係構築の基盤です。当社グループは、透明性の高い経営と堅牢なセキュリティ対策を通じ、顧客・パートナー・社会からの信頼を獲得することに注力しています。

 

安全:急速にデジタル化が進む現代社会では、「安全」が最も重要なマテリアリティの一つです。当社グループは、最新のサイバーセキュリティ技術やリスク管理体制を導入することで、情報漏洩やシステム障害などのリスクを低減し、安心して利用いただける製品・サービスの提供に努めています。

 

① ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視・管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続を行うために、2024年度より代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しました。サステナビリティ委員会は、取締役会の監督・指示のもと、事業に係わるサステナビリティを巡る課題への対応やリスク管理などを行い、また、年1回以上、取締役会に報告・諮問をすることで経営の実効性を確保しております。

 

 当社グループは、コーポレート・ガバナンスを、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの体制で企業活動を行っております。経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、企業価値の継続的向上と社会からの信頼獲得のために企業活動を規律する枠組みであると考えております。社会にとって価値ある企業となるために、今後もコーポレート・ガバナンスの維持・強化を図ってまいります。

 

② リスク管理

 当社グループは、経営に関わる全てのリスク管理を、取締役会の監督のもと、包括的に実施しております。各種リスクに対しては、現行のリスク管理プロセスに基づき、適切な対策の協議・決定しております。

 なお、サステナビリティに関するリスクについては、現時点では具体的なリスク特定や評価はまだ確立されておりませんが、マテリアリティの特定及びリスク評価のプロセスを整備してまいります。そのため、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程については、サステナビリティ委員会において検討してまいります。

 

③ 戦略

 当社グループは、サステナビリティ方針とそれを受けたガバナンス体制のもと、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進しており、次の点を重点的な取組みとして推進してまいります。

・中長期事業計画にサステナビリティの視点を織り込むことで、グループ全体が一体となった取組み体制を構築する。

・マテリアリティの特定を通じ、事業に係るサステナビリティ上のリスクと機会を継続的に分析し、取組みの優先順位を明確にしたうえで、これらの分析結果を踏まえた具体的な施策を経営レベルの取組みとして本格化させる。

 これらの取組みにより、当社グループは、持続可能な社会の実現に一層寄与してまいります

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、サステナビリティ関連の指標及び目標について、サステナビリティ委員会において、審議・検討を進めており、段階的に設定していく方針であります。

 また、2050年カーボンニュートラル達成に向けてエネルギー使用量の削減に取り組んでいます。その一貫である事業の最適化のための拠点統廃合により、2024年度の温室効果ガス削減量は83tCO2と2021年度比28%の削減となりました。

 

 

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2024年度/

2021年度

Scope1

0tCO2e

0tCO2e

0tCO2e

0tCO2e

-

Scope2

110.22tCO2e

89.28tCO2e

85.64tCO2e

83.00tCO2e

72%

Scope1 + 2

115.73tCO2e

94.78tCO2e

85.64tCO2e

83.00tCO2e

72%

 

(2)人的資本(人材の多様性を含む)に関する「戦略」並びに「指標及び目標」について

①「戦略」

 当社グループは、次のとおり、人的資本に関する人材育成の方針を掲げ、これらの基本理念と戦略実現を担うことになるあるべき人材を定義し、人材育成に取り組んでおります。

 

<人材育成の方針>

・基本理念

『この場、この時が、素晴らしい人生へとつながるように。All for wonderful life』

 

・Principles

 自社だけでなく、かかわるすべての人たちの利益を考えて行動する。

・Grow Together

 広い視野で世界を見つめ、テクノロジーへの好奇心をもちつづける。

・Curious about Technology

 自分なりでいい。挑戦を楽しみ、挑戦に拍手をおくる。

・Embrace challenge

 専門性をもった者同士が互いを尊重し、助けあい、高めあう。

・Be professional

 人にはもちろん、仕事や技術に対しても誠実に向きあう。

 

②「指標及び目標」

・当該方針に関する指標の内容

(当社グループにおける人事制度統一と人材流動の活性化)

 当社グループは、M&Aによって当社グループに編入した子会社も含め、順次、人事制度の統一をしております。

 また、目標管理と業績評価制度については、段階的に当社グループとしての統一を図っており、当社グループとして、一本化された人事制度を設けることで、当社グループ内の人事異動を容易にし、柔軟かつ最適な人材配置を行っております。これにより、当社グループにおける人的資本の最適化を図っております。

 

(人的資本の定量化と施策の検証)

 当社グループは、当社及び各子会社における人的資本の状況を、サーベイによって同一の尺度で定量化し、各組織の人材における資質・能力の特徴を把握するとともに、人事制度の設計や、人事施策の投入に活用できる環境を整えております。毎年度の測定により、人材の成長度や、施策の有効性について検証しております。

 

(エンゲージメントの向上)

 ワークエンゲージメントや組織エンゲージメントを数値化し、仕事のやりがい高めるワークエンゲージメントと、当社グループへの帰属意識を高める組織エンゲージメントの測定をしております。ワークエンゲージメントは、主として業績向上に関係する指標であり、組織エンゲージメントは定着率向上・採用強化の指標となります。

 これらにより、多様な人材が活躍できる環境評価にも活用し、毎年重点項目を決めて改善に取り組んでおります。

 

・当該指標を用いた目標及び実績

 当社グループは、理念体系及び戦略の実行力を要素分解し、等級制度に紐づけることで、あるべき人材への成長度を評価する仕組みとしており、エンゲージメントの向上を図るため、2024年においては、ワークエンゲージメントの目標は3.50(平均値3.00を上回る高い水準を目指した目標)としており、実施した結果、平均3.61となりました。組織エンゲージメントの目標は3.50(平均値3.00を上回る高い水準を目指した目標)としており、実施した結果、平均3.35となりました。ワークエンゲージメントは目標を上回っておりますが、組織エンゲージメントは改善の余地があります。これらのデータをもとに、適切な施策を行ってまいります。

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる、主な事項を記載しております。

 また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 技術の陳腐化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を多様な分野に展開しておりますが、これらの技術革新のスピードは速く、製品の高機能化も進んでおります。

当社グループといたしましては、技術の進展に鋭意対応していく方針ですが、当社グループが想定していない新技術の台頭、普及により事業環境が急変した場合、必ずしも迅速に対応できない可能性があります。

また、競合他社が当社グループを上回る技術を開発した場合には、当社グループの技術が陳腐化する可能性があります。これらの状況に迅速に対応するため、多額の研究開発費用が発生する可能性もあります。

上記のような事象が発生した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競争の激化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を取り扱っております。近年は、LinuxやAndroid、FreeRTOS等の無償で利用できるソフトウェアプラットフォームが拡大し、また半導体メーカーが半導体デバイスと一緒に開発に必要なソフトウェアを組み合わせて包括的に提供する傾向にあり、特にミドルウェア製品群は、これらとの競争が激化しております。当社グループは、今後も競争力の維持強化に必要な製品ラインアップの強化、無償のソフトウェアでは得られない品質保証、技術サポートの提供や、脆弱性へのリスク対応等による差別化を図ることで競争力の維持強化に向けたさまざまな取組みを進めてまいりますが、優位に競争が進められず、当該市場で十分なシェアを獲得できない場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新規事業について

当社グループでは事業拡大を行う上で、当社グループ独自の技術やノウハウを活かした新規事業や製品を提供することが必要であると認識しております。このため、新規事業や製品への投資については、その市場性等について十分な検証を行った上で投資の意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた投資回収を実現できない可能性があります。

また、新規事業や新規サービス・製品の立ち上げには、一時的に追加の人材採用、研究開発等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 海外事業展開について

当社グループは今後グローバルな事業展開を予定しておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律や規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、競合企業の存在や知的財産権の取扱方法の違い、為替変動等の要因により、事業展開及びその成果が当初予測と異なる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 知的財産権について

当社グループは自社開発したソフトウェアについて著作権を有しておりますが、第三者が当社グループの著作権を侵害することなく、当社グループのソフトウェアと同様の機能を実現した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、当該第三者が特許権を取得した場合、当社グループが損害賠償義務を負担する可能性があります。加えて、当社グループが特定分野でのソフトウェア開発業務遂行のため、他社よりソフトウェアのソースコード開示を受けることがまれにありますが、この場合、当該ソースコードの開示を理由に当該成果物以外の当社グループ著作物に対する著作権侵害の訴訟等を受けるおそれがあります。

 

⑥ ソフトウェアの不具合による顧客の損失について

当社グループのソフトウェアの不具合による顧客の損失については、契約上、当社グループの損害賠償額の上限を当社グループが収受した契約対価に限定するように努めておりますが、このような事態が発生した場合、直接的に売上高の取消による損失が発生するのみならず、信用失墜により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ DTLAからの高度機密情報の提供について

当社グループは、DTCPのライセンス管理団体であるDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)に加盟し、同団体からDTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DTLAとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

 

⑧ DCPからの高度機密情報の提供について

当社グループは、HDCPのライセンス管理団体であるDCP(Digital Content Protection)に加盟し、同団体からHDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DCPとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

 

⑨ ライセンス契約について

当社グループは、顧客との間で、当社グループソフトウェアを搭載した半導体・製品等の販売本数に応じて製造ロイヤルティを収受する契約を締結しております。従って、当社グループの売上高は、顧客の半導体・製品等の販売本数に影響を受けることとなります。顧客の半導体・製品等の販売が好調であった場合、予想外の収益を計上できる可能性がありますが、一方、顧客の新製品の発売時期が遅延した場合や当初の販売見込みを下回った場合、顧客の販売戦略に変更が生じた場合等においては、当社グループの収益が低下する可能性があります。

 

⑩ 仕入先との契約更新に係るリスク

ソフトウェアディストリビューション事業及びデータアナリティクス事業では、国外のソフトウェアベンダーの製品の輸入販売を行い、最先端の技術・製品等を有する海外のソフトウェアベンダーを仕入先としております。それらの仕入先とは、販売代理店契約等を締結し、良好な関係を維持しておりますが、仕入先が第三者からの買収や、代理店政策の見直しがあった場合は、商権に変更が生じる等、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 契約更新に係るリスク

米国Gracenote社の音楽データベースに関するライセンス契約を締結し、一定の収益を計上しております。しかしながら、相手先企業の経営方針の変更等、当社がコントロールし得ない何らかの事情によりこの契約が更新されなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 経済状況・市場動向が影響するリスク

ⅰ)自動車業界の動向が影響するリスク

 当社グループの事業収益は自動車業界関連が大部分を占めています。そのため、自動車の販売台数が減少した場合には、車載情報端末を中心とした製造ロイヤルティ収益に影響を及ぼす可能性があります。

 また、自動車関連企業が収益減少のために開発投資へリソースを割かない場合、ソフトウェア開発支援ツール、各ソフトウェア開発キット及び関連する開発委託業務に影響を及ぼす可能性があります。

ⅱ)経済全般の停滞が影響するリスク

 景気低迷による顧客の機器生産台数の低迷により、製造ロイヤルティ収益へ影響を及ぼす可能性があります。

 また、収益低下懸念による費用圧縮に伴う新規開発投資の抑制により、ソフトウェア開発支援ツール、SDK及び関連する開発委託業務へ影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ281,980千円減少し、3,450,476千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ344,606千円減少し、1,054,428千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ62,626千円増加し、2,396,048千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の業績は、売上高4,138,789千円(前期比19.0%増)、営業利益96,498千円(前期比34.8%増)、経常利益92,889千円(前期比6.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益91,084千円(前期比176.8%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次の通りです。

 当社グループの報告セグメントは、製品・サービス別のセグメントから構成されており、「ソフトウェアプロダクト事業」、「ソフトウェアディストリビューション事業」、「ソフトウェアサービス事業」及び「データアナリティクス事業」の4つを報告セグメントとしております。

 

・「ソフトウェアプロダクト事業」は、組込みネットワークソフトウェア及びセキュリティ関連ソフトウェア製品並びにリアルタイムOS関連製品、データベース製品、高速起動製品等の主に自社開発によるデバイス組込み用ソフトウェアの開発及び販売等に関するセグメントであります。

・「ソフトウェアディストリビューション事業」は、海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発に関するセグメントであります。

・「ソフトウェアサービス事業」は、組込みソフトウェア等の受託を中心とした各種ソフトウェアの設計、開発、及びデータコンテンツのライセンス販売等に関するセグメントであります。

・「データアナリティクス事業」は、株式会社ライトストーンにおける、統計・数値データ解析ソフトウェアの販売等に関するセグメントであります。

 

セグメント及び分野別の売上内訳及び事業状況は、以下のとおりです。

セグメント

当連結会計年度

前連結会計年度

増減率

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

ソフトウェアプロダクト事業

899,457

21.7

689,450

19.8

30.5

ソフトウェアディストリビューション事業

1,318,589

31.9

1,242,507

35.7

6.1

ソフトウェアサービス事業

1,005,769

24.3

663,629

19.1

51.6

データアナリティクス事業

914,973

22.1

883,414

25.4

3.6

合計

4,138,789

100.0

3,478,999

100.0

19.0

(注)売上高は、セグメント間取引を消去しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,341,054千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は137,876千円(前期は188,198千円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益による資金の増加であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、増加した資金は千23,157円(前期は11,719千円の増加)となりました。その主な要因は、定期預金の払戻しによる収入によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、減少した資金は220,915千円(前期は318,873千円の減少)となりました。その主な要因は、短期借入金の返済による支出であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

111,010

△7.6%

ソフトウェアディストリビューション事業

247,735

7.9%

ソフトウェアサービス事業

883,973

70.1%

データアナリティクス事業

3,350

16.6%

合計

1,246,068

42.9%

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

2.ソフトウェアサービス事業の増加要因については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績」内の「ソフトウェアサービス事業」をご参照ください。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

124,096

3.3%

13,593

-

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

240,388

1.3%

1,800

△79.1%

ソフトウェアサービス事業

861,957

53.2%

15,685

-

データアナリティクス事業

3,350

16.6%

14,805

△75.3%

合計

1,229,791

33.2%

45,883

△33.0%

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

2.ソフトウェアサービス事業の増加要因については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績」内の「ソフトウェアサービス事業」をご参照ください。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

899,457

30.5

ソフトウェアディストリビューション事業

1,318,589

6.1

ソフトウェアサービス事業

1,005,769

51.6

データアナリティクス事業

914,973

3.6

合計

4,138,789

19.0

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

2.ソフトウェアサービス事業の増加要因については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績」内の「ソフトウェアサービス事業」をご参照ください。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、2,513,353千円(前期比136,992千円減)となりました。その主な要因は、現金及び預金の減少であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、937,123千円(前期比144,988千円減)となりました。その主な要因は、のれんの減少であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、730,717千円(前期比233,918千円減)となりました。その主な要因は、短期借入金の減少であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、323,712千円(前期比110,688千円減)となりました。その主な要因は、役員退職慰労引当金の減少であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、2,396,048千円(前期比62,626千円増)となりました。その主な要因は、利益剰余金の増加であります。

 この結果、自己資本比率は69.4%となりました。

 

b.経営成績

・ソフトウェアプロダクト事業

 当事業は、高速起動製品における国内外の車載機器関連及び海外民生機器の既存顧客からのロイヤルティ売上、また、セキュリティ製品及びデータベース製品における産業機器の既存顧客からのロイヤルティ売上、さらに、音声コードUni-Voice(ユニボイス)製品の印刷関連の既存顧客からのロイヤルティ売上を中心に、売上高899,457千円(前期比30.5%増)、セグメント損失28,115千円(前期は17,414千円の利益)となりました。

 セグメント売上高の増加要因は、グレープシステム社のロイヤルティ売上の増加によるものです。セグメント損失の増加要因は、自社製品の売上及び利益減少並びにセグメント共通コスト増加の影響によるものです。

 

・ソフトウェアディストリビューション事業

 当事業は、BIOS、Bluetooth、ソフトウェア解析・開発効率化ツール及びネットワークマネジメント等の海外製品における既存顧客からのロイヤルティ及び受託開発売上、また、セキュリティ検証ツール・サービスの既存及び新規顧客へのライセンス販売並びに受託開発売上を中心に、売上高1,318,589千円(前期比6.1%増)、セグメント損失45,730千円(前期は14,826千円の損失)となりました。

 セグメント売上高の増加要因は、既存顧客からのロイヤルティ及び受託開発、既存顧客向けライセンス売上の前倒しに加えて、グレープシステム社取扱い海外製品の売上分の追加により、売上高が対前年同期比で増加したことによるものです。セグメント損失の増加要因は、セグメント共通コスト増加の影響によるものです。

 

・ソフトウェアサービス事業

 当事業は、既存顧客からの各種受託開発売上、データコンテンツ「YOMI」に関する車載機器向けを中心としたライセンス売上に加え、2023年10月に子会社化したグレープシステム社の受託開発売上が当連結会計年度では通期で寄与したことなどにより、売上高1,005,769千円(前期比51.6%増)、セグメント利益118,600千円(前期比182.8%増)となりました。

 

・データアナリティクス事業

 当事業は、一般企業及び教育機関へのデータ解析ソフト、画像解析ソフトの販売増により、売上高914,973千円(前期比3.6%増)、セグメント利益51,743千円(前期比91.3%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。

(売上高)

 当連結会計年度における連結売上高合計は4,138,789千円(前年同期比19.0%増)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価2,416,827千円(前年同期比18.4%増)、販売費及び一般管理費1,625,464千円(同18.9%増)を計上いたしました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、給料及び手当676,204千円(同12.1%増)、支払手数料239,986千円(同92.9%増)であります。

(経常利益)

 経常利益92,889千円(前年同期比6.0%増)を計上いたしました。これは、主に営業利益96,498千円(前年同期比34.8%増)、為替差損3,073千円(前年同期は為替差益12,998千円)を計上したためであります。

(特別利益)

 特別利益45,686千円(前年同期比9.8%増)を計上いたしました。これは、主に役員退職慰労引当金戻入額45,465千円を計上したためであります。

(特別損失)

 特別損失18,037千円(前年同期は700千円)を計上いたしました。これは、主に投資有価証券評価損15,152千円を計上したためであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税、住民税及び事業税39,052千円、法人税等調整額△9,599千円の計上により、法人税等合計29,453千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は91,084千円(前年同期比176.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 資金の流動性につきましては、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、M&A等の成長戦略及び財務の健全性強化のための内部留保の積上げと、株主の皆様への利益還元の拡充とのバランスを考慮することを基本としております。成長戦略に伴うM&Aや投資のための所要資金につきましては、グループ内での営業活動による自己資金で調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

5【重要な契約等】

(1) 米国Gracenote社とのライセンス契約

 2000年より、米国Gracenote社のオフィシャルデベロップメントパートナーとして、Gracenote SDKの共同開発及びGracenote社の日本国内の顧客への開発サポートを内容としたパートナー契約を締結しております。

(2) DTLA加盟契約

 2006年5月9日に、当社はDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)との間で加盟契約を締結し、DTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。

 加盟料として年間当たり14千米ドルを支払っております。

 なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

(3) 株式会社村田製作所との間における資本・業務提携に関する合意書

2012年12月11日に、当社は株式会社村田製作所との間で、デジタル家電、白物家電、ヘルスケア製品、自動車、ネットワーク対応センサー等、今後さらに幅広い機器に採用が期待される、近距離無線関連の両社の製品及びサービスに関して、相互の顧客・潜在顧客に対する共同提案・販売促進活動及び技術・市場動向等に対する共同での検討活動を行うことで合意しております。

(4) DCP加盟契約

 2013年4月15日に、当社はDCP(Digital Content Protection)との間で加盟契約を締結し、HDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。

 加盟料として年間当たり15千米ドルを支払っております。

 なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

 

(5) 合併契約

 当社及び当社の100%子会社である株式会社エイムは、2024年5月21日開催の取締役会において、2024年8月1日を効力発生日として両社の合併を決議し、当社を吸収合併存続会社、株式会社エイムを吸収合併消滅会社とする吸収合併に係る合併契約を締結いたしました。

 なお、本合併は、2024年6月27日の当社の株主総会で承認可決され、2024年8月1日付で実行しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ソフトウェアプロダクト事業、ソフトウェアディストリビューション事業、ソフトウェアサービス事業及びデータアナリティクス事業の4つのセグメントに区分しておりますので、研究開発活動につきましては、各セグメントについて記載しております。

 

(1) 概要

 当社の社名ユビキタスが表現しているように、いたるところにネットワークに接続された機器(ネットワーク端末)が存在するユビキタス・ネットワーク社会にするためには、ネットワーク機能が「小さく、軽く、速い」ことが求められます。また、昨今ではIoT(モノのインターネット)という言葉の普及とともに、あらゆるモノがインターネットにつながり始めており、単純なネットワーク機能だけでなく、機器のセキュリティ強化のための技術や、データ管理の要素、機器自体の起動時間の短縮等、様々なソフトウェアでの性能要求が高まってきております。これらの要求に応えるため、当社では様々な研究開発活動を行っております。

(2) 当連結会計年度における研究開発活動の成果

① ソフトウェアプロダクト事業

 当連結会計年度は、コネクティビティ&セキュリティ分野におきましては、組込みシステム設計を効率化・簡素化する包括的なソフトウェアパッケージとして、2022年にリリースした「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」の派生製品開発を行い、販売を開始いたしました。また、IoT機器向けにスマートホームのグローバル共通規格であるMatterと既に国内市場で普及が進んでいるECHONET Liteを接続するためのブリッジ機能を開発し、当社の組込み環境向けECHONET Lite対応ソフトウェア開発キット「Ubiquitous ECHONET Lite SDK」に搭載しました。

 

② ソフトウェアディストリビューション事業

 当連結会計年度は、株式会社エー・アンド・デイと共同で開発した、PCベースの車載ECUソフトウェア開発用シミュレーター「GSIL」の製品開発を、顧客要望対応を主として行いました。また、セキュリティ検証サービスにおける顧客要望対応として、Bluetooth, USBとTCP/IPの検証用ソフトウェアの技術開発を行いました。

 

③ ソフトウェアサービス事業
 該当事項はありません。

 

④ データアナリティスク事業

 該当事項はありません。

 

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、53,981千円となりました。