当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」というミッションのもと、経営学・社会システム論・行動経済学・心理学等の学術的成果を取り入れた当社グループの基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を用いて、多くの組織と個人の変革をサポートしております。当中間連結会計期間の日本経済は、雇用・所得環境の改善に伴い、緩やかな景気回復が見られました。しかし、米国の関税政策をはじめとする政治動向に伴う世界経済への影響や、不安定な国際情勢による地政学的リスクの存在により、その先行きは依然として不透明な状況です。こうした経済状況において、企業が変化に適応するための人的資本経営推進のニーズ、具体的には、従業員エンゲージメント(会社と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の向上や人材確保・育成のニーズはますます高まっていると認識しております。
このような経営環境下、当社グループの売上収益は19,937百万円(前年同期比110.7%)、売上総利益は10,990百万円(同111.1%)、営業利益は3,163百万円(同118.5%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は1,799百万円(同107.3%)となりました。利益率の高いコンサル・クラウド事業と、オープンワーク株式会社(以下、「オープンワーク」という。)を含む人材紹介事業を中心に伸長した結果、売上収益、売上総利益、及び営業利益は前年同期比で大幅に増加、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比で増加しました。いずれも想定通りに進捗しております。
当社グループのセグメント区分と事業区分は次のとおりであり、当中間連結会計期間におけるセグメント・事業別の概況は以下のとおりであります。なお、当中間連結会計期間より、コンサル・クラウド事業とIR支援事業において事業内容を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
《組織開発Division》
組織開発Divisionでは、個人から選ばれる組織(モチベーションカンパニー)創りを支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を適用し、従業員・応募者・顧客・株主等の企業を取り巻くステークホルダーとのエンゲージメント向上を支援するサービスを提供しております。
当該セグメントでは、当中間連結会計期間における売上収益は7,652百万円(同112.4%)、セグメント利益は5,327百万円(同108.5%)となりました。当中間連結会計期間における事業別の概況は以下のとおりであります。
(コンサル・クラウド事業)
当該事業は、企業に対してコンサルティングとクラウドサービスを提供することにより、診断・変革を通じた人的資本経営の実践を支援しております。具体的には、独自の診断フレームに基づいた組織課題の診断と、採用・育成・制度・風土といった組織人事の全領域における変革ソリューションをワンストップで提供しております。クラウドサービスについては、人材力やエンゲージメント向上等、組織人事の課題解決を支援するHRTech(人材×テクノロジー)である「モチベーションクラウド」を展開しております。
当該事業における当中間連結会計期間の売上収益は6,417百万円(同113.5%)、売上総利益は4,773百万円(同111.2%)となりました。
当中間連結会計期間においては、「モチベーションクラウド」が大幅成長を実現した結果、売上収益、売上総利益ともに前年同期比で大幅に増加しました。コンサルティングについては、既存顧客を中心に人的資本経営の総合支援に注力した結果、売上収益は前年同期比で増加、顧客単価は想定通り向上いたしました。引き続き、顧客深耕による単価向上に加えて、生産性向上によるキャパシティ拡大に注力してまいります。
(IR支援事業)
当該事業は、企業に対して、紙・WEB・映像メディア・イベントの企画制作サービスを提供することにより、主に人的資本経営の公表を支援しております。具体的には、イベント・メディアを通じたインナーブランディング支援、株主・投資家向けの統合報告書・株主通信等の任意開示資料の制作、決算説明会の集客・動画配信等の映像メディア制作を行っております。
当該事業における当中間連結会計期間の売上収益は1,401百万円(同102.5%)、売上総利益は651百万円(同88.6%)となりました。売上収益が前年同期比で増加した一方で、イベント案件の割合が増加したことで売上総利益率が減少した結果、売上総利益は前年同期比で大幅に減少しました。
当該事業は現在、顧客基盤の拡大並びにIRサービスの拡充を推進しております。2025年4月のジャパンストラテジックファイナンス株式会社の完全子会社化に続いて、2025年8月1日付でChorus Call Asia株式会社(以下、「CCA」という。)を完全子会社化いたしました。同社は2022年にIR・SR支援を手掛けるイー・アソシエイツ株式会社を買収しており、音声・映像通信技術を活用したIR説明会、株主総会の企画や運営、配信サービスの提供とDX化推進を支援しております。ジャパンストラテジックファイナンス株式会社が中小型の国内上場企業群において確固たるシェアを築いている一方で、CCAは、JPX400に採用されている大手の国内上場企業群において高いシェアを有しております。今後は双方の顧客基盤を共有し、新たなクロスセルやシナジーを創出することで、IR説明会の企画運営サービスにおけるシェアの一層の拡大を目指してまいります。なお、CCAの業績につきましては、2025年12月期第3四半期連結会計期間から連結対象となる予定です。
《個人開発Division》
個人開発Divisionでは、組織から選ばれる個人(アイカンパニー)創りを支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」をキャリアスクール・学習塾のビジネスに適用し、小学生から社会人までを対象に、目標設定から個人の課題把握、学習プランの策定・実行に至るサービスをワンストップで提供しております。
当該セグメントの当中間連結会計期間における売上収益は3,086百万円(同96.0%)、セグメント利益は1,472百万円(同100.1%)となりました。当中間連結会計期間における事業別の概況は以下のとおりであります。
(キャリアスクール事業)
当該事業は、大学生・社会人に対して、IT・語学等のスキル開発講座や資格取得講座を提供することにより、キャリアアップを支援しております。具体的には、パソコンスクールの「AVIVA」、資格スクールの「DAIEI」、外国語スクールの「ロゼッタストーン・ラーニングセンター」、「ロゼッタストーン Premium Club」及び「ハミングバード」の5つのサービスを提供しております。
当該事業における当中間連結会計期間の売上収益は2,684百万円(同94.6%)、売上総利益は1,297百万円(同98.3%)となりました。
当中間連結会計期間においては、教室における新規入会に苦戦した結果、売上収益、売上総利益ともに前年同期比で減少しました。一方で、注力サービスであるオンライン講座の売上高は332百万円(同123.1%)と、大幅に伸長しました。今後は、「挫折させない手厚いサポート」という強みをベースに、フランチャイズ契約によるコワーキングスペースでのオンライン受講等、引き続きオンラインにおけるサービス拡大に注力してまいります。また、個人の働き方の改善ニーズを踏まえた生成AI等の講座開発等、多様なニーズへの対応を進めてまいります。
(学習塾事業)
当該事業は、小・中・高校生に対して、学習塾という形で教育機会を提供することにより、学力向上と社会で活躍するためのスキル獲得を支援しております。具体的には、中学受験を目指す小学生を対象にした個別指導学習塾「SS-1」と、中高生向けの学習塾「モチベーションアカデミア」の2つの進学塾を、通学・オンラインの形態にて展開しております。
当該事業における当中間連結会計期間の売上収益は402百万円(同106.6%)、売上総利益は174百万円(同115.6%)となりました。
当中間連結会計期間においては、在籍者数と顧客単価がいずれも想定通り増加した結果、売上収益は前年同期比で増加、売上総利益は前年同期比で大幅に増加しました。引き続き、入会率や小学生向けの学習塾「SS-1」から中高生向けの学習塾「モチベーションアカデミア」への接続率を向上させるとともに、オンライン授業による学びの機会を通塾可能地域にとどまらない幅広い層に提供することで、継続的な成長を実現してまいります。
《マッチングDivision》
マッチングDivisionでは、組織と個人をつなぐ機会提供としてALT(Assistant Language Teacher)配置事業と人材紹介事業を展開しております。当社グループの基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を適用し、企業や自治体が求めるスキル要件にとどまらず、データをもとに個人の特性とのマッチングを可能にする「フィッティング」も行うことで、定着率の高いマッチングを実現しております。
当該セグメントの当中間連結会計期間における売上収益は9,624百万円(同115.2%)、セグメント利益は4,573百万円(同118.6%)となりました。当中間連結会計期間における事業別の概況は以下のとおりであります。
(ALT配置事業)
当該事業は、自治体に対して、日本で働きたい外国籍人材とのエンゲージメントの高いマッチング機会を提供することにより、質の高い英語教育を支援しております。具体的には、全国の小・中・高等学校へのALTの派遣及び英語指導の請負をサービスとして提供しております。本事業は、顧客との信頼関係や実績が重視されるため参入障壁が非常に高く、当社グループは民間企業で圧倒的No.1のシェアを確立しております。
当該事業における当中間連結会計期間の売上収益は7,059百万円(同110.8%)、売上総利益は2,088百万円(同109.9%)となりました。
当中間連結会計期間においては、ALT配置人数が想定通り増加した結果、売上収益は前年同期比で大幅に増加、売上総利益は前年同期比で増加しました。引き続き、質の高いALTの派遣という強みを活かすとともに、オンライン化やICTの活用も進めることで、さらなるシェアの拡大を目指してまいります。
(人材紹介事業)
当該事業では、求職者と企業に対して、就職・転職のための情報プラットフォームやエンゲージメントの高いマッチング機会を提供することにより、求職者と企業のフィッティングを支援しております。具体的には、国内最大級の社員クチコミ数を有する情報プラットフォーム「OpenWork」をはじめ、大学生を対象とした人材紹介等幅広いマッチング機会を提供しております。
当該事業における当中間連結会計期間の売上収益は2,590百万円(同129.1%)、売上総利益は2,511百万円(同127.1%)となりました。
当中間連結会計期間においては、特に成長率の高いオープンワークにて、登録ユーザー数、社員クチコミ・評価スコア数を着実に積上げております。中でもダイレクトリクルーティングサービス「OpenWorkリクルーティング」は、累計Web履歴書登録数(社会人・学生)が引き続き堅調に増加し、約151万件まで増加しました。既存顧客の採用活動の活性化、求人数の増加等の取り組みの結果、求人企業の採用活動、求職者からの応募も活発に行われ、当該サービスの売上収益は1,553百万円(同136.2%)となりました。
今後も引き続き、組織開発Divisionとのシナジーを拡大しながら、フィッティング支援を加速してまいります。
《ベンチャー・インキュベーション》
当社グループでは、各Divisionの他に、ベンチャー・インキュベーションを展開しております。ベンチャー・インキュベーションでは、出資に加え、当社グループの組織人事コンサルティングのノウハウ等を提供し、上場を目指す成長ベンチャー企業を組織面からも支援しております。出資先の主な選定基準は、「“モチベーションカンパニー”創りへの共感」「株式上場を目指していること」の2点です。なお、ベンチャー・インキュベーションにて発生した売却益等は、要約中間連結財政状態計算書の利益剰余金、又は要約中間連結損益計算書のその他の収益・その他の費用に計上いたします。
これまで12件のイグジットに成功しておりますが、引き続き投資先企業に対する支援を通じて、モチベーションカンパニー創り、及び人的資本経営の浸透を加速させてまいります。
(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,461百万円増加し、34,639百万円となりました。これは主として、営業債権及びその他の債権が890百万円、のれんが416百万円増加したこと等によるものです。
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ361百万円増加し、19,154百万円となりました。これは主として、営業債務及びその他の債務が389百万円減少した一方で、有利子負債及びその他の金融負債が730百万円増加したこと等によるものです。
当中間連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,100百万円増加し、15,485百万円となりました。これは主として、剰余金の配当により減少した一方で、親会社の所有者に帰属する中間利益を計上したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間において、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は97百万円増加し、当中間連結会計期間末の残高は8,704百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において、営業活動により獲得した資金は前年同期より403百万円減少し、1,863百万円となりました。これは主として、税引前中間利益が前年同期に比べ570百万円増加したことにより資金が増加した一方で、営業債務及びその他の債務の増減が前年同期に比べ489百万円減少、前年同期に発生した法人所得税の還付額が無かったことにより資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において、投資活動により使用した資金は769百万円となりました(前年同期は10百万円の獲得)。これは主として、投資有価証券の取得による支出が前年同期に比べ265百万円減少したことにより資金が増加した一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が415百万円発生したこと、投資有価証券の売却による収入が前年同期に比べ871百万円減少したことにより資金が減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において、財務活動により使用した資金は前年同期より1,160百万円減少し、980百万円となりました。これは主として、長期借入れによる収入が前年同期に比べ3,390百万円減少したこと、非支配持分からの子会社持分取得による支出が455百万円発生したことにより資金が減少した一方で、短期借入金の純増減額が前年同期に比べ3,798百万円増加、前年同期に発生した自己株式の取得による支出が無かったことにより資金が増加したこと等によるものです。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において締結した経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
(株式交換契約)
当社は2025年5月22日開催の取締役会決議に基づき、Unipos株式会社(以下、「Unipos」という。)との間で、両社が培ってきたノウハウやネットワークなどの経営資源を相互に活用することで、さらなる中長期的な企業価値の向上を目指し、Uniposの完全子会社化に向けた株式交換契約を同日付で締結いたしました(以下、「本株式交換」という。)。なお、本株式交換は2025年8月1日を効力発生日として手続きを完了しております。
本株式交換の概要は、以下のとおりであります。
(1) 株式交換の内容
当社を株式交換完全親会社、Uniposを株式交換完全子会社とする株式交換であります。
(2) 株式交換の日(効力発生日)
2025年8月1日
(3) 本株式交換の方式
当社を株式交換完全親会社、Uniposを株式交換完全子会社とする株式交換であります。なお、当社については、会社法第796条第2項本文の規定に基づく簡易株式交換の手続により、株主総会の承認を受けずに、Uniposについては、2025年6月27日開催の2025年3月期定時株主総会及び普通株式に係る種類株主総会において本株式交換契約の承認を受けた上で、2025年8月1日を効力発生日として、本株式交換を実施いたしました。また、本株式交換の効力発生日に先立ち、2025年7月1日には、当社がSansan株式会社より同社が保有するUniposのA種優先株式3,800株及び普通株式366,200株を取得する株式譲渡を実行しており、本株式交換は本株式譲渡の実行を条件として実行されました。
(4) 株式交換比率
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当社 (株式交換完全親会社) |
Unipos (株式交換完全子会社) |
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本株式交換に係る割当比率 |
1 |
0.35 |
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本株式交換により交付する株式数 |
当社株式:4,437,028 株 |
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(5) 株式交換比率の算定根拠
株式交換比率の算定にあたって、当社は山田コンサルティンググループ株式会社(以下、「山田コンサル」という。)をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、TMI総合法律事務所をリーガル・アドバイザーとして、それぞれ選定し、Uniposは、株式会社AGSコンサルティング(以下、「AGSコンサルティング」という。)をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業をリーガル・アドバイザーとして、それぞれ選定しました。
山田コンサルは、当社については市場株価基準法、Uniposについては市場株価基準法及びDCF法による分析を行い、これらを総合的に勘案して株式交換比率を算定しました。
AGSコンサルティングは、当社については市場株価基準法、Uniposについては市場株価基準法及びDCF法による分析を行い、これらを総合的に勘案して株式交換比率を算定しました。
これらの算定結果を参考に当事者間で協議し株式交換比率を決定しました。
(6) 株式交換完全親会社となる会社の概要
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資本金 |
1,380百万円(2025年6月30日現在) |
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事業の内容 |
組織開発Division(コンサル・クラウド事業、IR支援事業) 個人開発Division(キャリアスクール事業、学習塾事業) マッチングDivision(ALT配置事業、人材紹介事業) ベンチャー・インキュベーション |