(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、高水準の企業収益や雇用情勢の改善等により、全体としては緩やかな回復基調が続きました。
当社グループの属する情報サービス産業は、期中に公表された日銀短観におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)がいずれも前年度比増加を示す等、デジタル経営志向の強まり等を反映した企業のIT投資動向を受け、当連結会計年度の事業環境については好調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは、現在遂行中の第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)に基づくグループ経営方針のもと、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しました。
当連結会計年度の業績は、売上高393,398百万円(前期比2.8%増)、営業利益27,019百万円(同10.6%増)、経常利益27,092百万円(同10.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16,306百万円(同28.6%増)となりました。
売上高については、IT投資動向が強まりを見せる分野において顧客ニーズを的確に捉えたこと等が牽引し、前期を上回りました。
利益面については、増収効果や収益性向上に向けた取組みの成果のほか、不採算案件による影響額が減少したこと等により、前期を上回りました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
①ITインフラストラクチャーサービス
当連結会計年度の売上高は126,581百万円(前期比0.5%増)、営業利益は10,158百万円(同13.8%増)となりました。公共系大型案件の寄与等によるデータセンター事業の堅調な推移やBPO事業の拡大に加え、効率化施策の推進によるコスト削減等により、前期比増収増益となりました。
②金融ITサービス
当連結会計年度の売上高は84,051百万円(前期比5.7%増)、営業利益は3,626百万円(同7.9%増)となりました。
クレジットカード系を中心とした顧客の決済関連分野におけるIT投資拡大の動きを捉えた事業拡大等により、前期比増収増益となりました。
③産業ITサービス
当連結会計年度の売上高は189,409百万円(前期比5.2%増)、営業利益は12,496百万円(同25.3%増)となりました。
電力・ガスシステム改革に伴うエネルギー系顧客の活発なIT投資の継続や公共系大型案件の寄与、顧客の成長戦略に沿ったIT投資拡大の動きを捉えた事業拡大とともに、不採算案件の抑制を含む収益性向上に向けた取組みの進展等により、前期比増収増益となりました。
④その他
当連結会計年度の売上高は11,885百万円(前期比26.2%減)、営業利益は1,084百万円(同59.1%減)となりました。主に、グループ組織再編に伴う影響により、前期比減収減益となりました。
当社グループは、前連結会計年度から第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)を遂行しています。当連結会計年度においては、中期経営計画の基本コンセプトに基づくグループ経営方針を以下のとおりと定め、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進しました。
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第3次中期経営計画 基本コンセプト |
平成29年3月期 グループ経営方針 |
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利益重視 |
ROE等の経営指標を導入し、企業価値向上を図る |
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ITブレイン (付加価値ビジネス拡大) |
顧客のデジタル経営に資する付加価値ビジネスの拡大 |
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ポートフォリオ経営 |
事業持株会社体制を活かしたグループ全体最適の追求 |
このような中、当社グループは、グループ全体最適及び事業ポートフォリオ経営の実現に向けて、平成28年7月に、「TISインテックグループ」として新たな一歩を踏み出しました。当社が完全子会社であるTIS株式会社を吸収合併した上で、当社商号を「ITホールディングス株式会社」から「TIS株式会社」に変更するとともに、グループブランドの統一も実施しました。
これにより、これまでの純粋持株会社体制による分権的なガバナンス体制から、中核事業会社の求心力をベースとして、グループ全体最適を第一とするガバナンス体制への方向転換を図り、外部環境や戦略変更に応じてスピーディに経営資源の最適配置やグループフォーメーションの見直しが遂行できる体制への変革を進めました。
① 利益重視
当連結会計年度では、期初に掲げた連結業績予想を達成することができました。これは第2四半期に不採算案件が発生したものの、顧客ニーズを的確に捉えた営業活動による増収効果と、各種取り組みにより、収益力が改善できたことによります。また、親会社株主に帰属する当期純利益(160億円)、ROE(8%)については、第3次中期経営計画で掲げた目標から一年前倒しで計画を達成することができました。これは、同経営計画で実行してきた施策が奏功してきたことと認識し、施策のさらなる推進を図ります。
当社グループの重要な経営課題の一つである不採算案件の抑制に関しては、既存制度の強化、見直し、現場のリスク監理力やプロジェクトマネジメント力の向上に向けた教育研修の強化等の継続推進に加えて、TISインテックグループ生産革新委員会を設置し、客観的なチェック機能の強化と抑制施策の実効性を担保しています。こうした取り組みの成果は徐々に上がってきており、引き続きグループ一丸となって不採算案件の抑制に努めます。
また、資産効率の向上の観点では、昨年度に引き続き、非上場株式を含む政策保有株式の整理や、遊休資産の圧縮を進めました。
② ITブレイン(付加価値ビジネス拡大)
当社グループは、視点を市場・顧客におき、グループ一丸となり、「顧客のデジタル経営に資するグループ」を目標とし、現有経営リソースの最大価値を発揮できる体制構築を推進しています。
当社グループは、Fintech、IoT、AI、ロボティクス等の新たな技術の進展や業界の潮流への対応は顧客のデジタル経営に資するために必須であると認識し、新たな強みとし付加価値ビジネスの拡大を推進するため積極的に取り組んでいます。
この一環として、従前からEC(Electronic Commerce)分野における共同事業の推進を目的として資本提携関係にある株式会社デジタルガレージとの協業を強化し、同社をはじめとする3社が設立したオープンイノベーション型の研究開発組織「DGLab」へ技術開発パートナーとして参画するとともに、Fintech関連事業の開発等に向けた戦略技術開発会社「株式会社DG Technologies」を共同で設立しました。なお、当社は、今回の協業強化にあたり、IT面における戦略パートナーとしての関係をより一層強固にする目的で株式会社デジタルガレージの株式保有比率を高めています。また、インターネットで多数の参加者が取引記録を共有し、相互に監視する「ブロックチェーン技術」の応用に向け、同技術に関心が高い企業や団体への実証実験の提案を目指して「富山ブロックチェーン研究会」を設立しました。ロボティクス関連分野においては、スマートウォッチを用いたモーション認識技術を活用し、ソフトバンクロボティクス株式会社が開発・提供する人型ロボット「Pepper」にプレゼンテーションを自動実行させるシステムの開発や台車型移動ロボットによる遠隔地視察システムを開発しました。
加えて、オープンイノベーションによるベンチャー企業との事業シナジーを通じた新たな付加価値の提供を目的として戦略的投資活動も推進しています。AI関連分野の株式会社エルブズへのシードマネーの出資や決済関連分野のQUADRAC株式会社との資本・業務提携、「コーポレートベンチャーキャピタル」制度による積極的かつスピーディなIT関連ベンチャー企業への投資実行とともに、オープンイノベーションのための多面的なコミュニケーションとコラボレーションの促進を目的とした新たなビジネス創造の拠点「bit&innovation」を新設しました。
③ ポートフォリオ経営
当社グループは、これまでにも特長ある強み・成長エンジンの先鋭化の一環として、グループ内のBPO事業、国保関連事業、電力・ガス関連事業及び海外事業の集約を実施してきました。
当社グループが重視する事業ポートフォリオの一つであるグローバルビジネスの拡大に向けて、資本・業務提携関係にあるタイの上場企業MFEC Public Company Limitedの株式をさらなる協業促進を目的として追加取得し、持分法適用会社としました。また、同社の子会社であり、主に銀行・保険会社等の金融機関向けモバイルアプリケーションの開発に強みを持つタイのリーディングカンパニー「PromptNow Co., Ltd.」を当社の連結子会社とするとともに、資本・業務提携関係にあるインドネシアの上場企業であるPT Anabatic Technologiesの株式を追加取得し、当社グループの強みである決済ソリューションの海外展開を推進しています。また、日本市場で高まっているセキュリティ対策を統合的に提供し、セキュリティビジネスを拡大するため、シンガポール大手通信会社Singapore Telecommunications Limitedとマネージドセキュリティサービスにおける戦略的提携契約を締結しました。これを受けて、同社子会社で北米最大級のセキュリティベンダーの一つであるTrustwave Holdings, Inc.が提供するマネージドセキュリティサービスの日本市場での展開を開始しました。
なお、当社の株主還元の基本方針に沿い、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、第1四半期において、計834,900株(取得価額の総額2,099百万円)の自己株式を取得しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて22,920百万円減少し、当連結会計年度末には25,730百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は18,952百万円(前年同期は25,496百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益24,840百万円に、資金の増加として、減価償却費11,801百万円などがあった一方で、資金の減少として、売上債権の増加7,852百万円、法人税等の支払額15,041百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は23,488百万円(前年同期は8,688百万円の獲得)となりました。これは主に、資金の増加として、投資有価証券の売却及び償還による収入3,506百万円などがあった一方で、資金の減少として、有形固定資産の取得による支出9,533百万円、投資有価証券の取得による支出7,548百万円、無形固定資産の取得による支出7,115百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は18,327百万円(前年同期は14,979百万円の使用)となりました。これは主に、資金の増加として、長期借入れによる収入10,905百万円などがあった一方で、資金の減少として、長期借入金の返済による支出23,021百万円、配当金の支払額2,945百万円、自己株式の取得による支出2,106百万円などがあったことによるものです。
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、アウトソーシング・ネットワーク及びソフトウェア開発についてのみ記載しております。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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ITインフラストラクチャーサービス(百万円) |
101,771 |
96.0 |
|
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金融ITサービス(百万円) |
80,555 |
101.2 |
|
|
産業ITサービス(百万円) |
173,130 |
100.4 |
|
|
報告セグメント計(百万円) |
355,457 |
99.3 |
|
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
|
合計(百万円) |
355,457 |
99.3 |
|
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
金融ITサービス |
75,361 |
102.0 |
25,547 |
99.0 |
|
産業ITサービス |
132,946 |
99.6 |
39,204 |
88.8 |
|
合計 |
208,307 |
100.5 |
64,751 |
92.6 |
(注)1.ITインフラストラクチャーサービスは継続業務でありますので、金融ITサービス、産業ITサービスについてのみ記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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ITインフラストラクチャーサービス(百万円) |
123,547 |
99.9 |
|
金融ITサービス(百万円) |
83,792 |
106.1 |
|
産業ITサービス(百万円) |
180,245 |
104.2 |
|
報告セグメント計(百万円) |
387,585 |
103.2 |
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その他(百万円) |
5,813 |
82.1 |
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合計(百万円) |
393,398 |
102.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)経営方針
当社グループでは、企業の礎である経営理念を以下のとおり設定し、公表しています。
(経営理念)
TISインテックグループは、ITを通じた様々なサービスの提供によりリーディング企業グループにふさわしい企業市民となり、お客様、社員とその家族、株主などすべてのステークホルダーから評価いただける企業価値の向上を目指します。
私たちは、グループの企業と社員が共に高く新しい目標にチャレンジする活力ある企業カルチャーを醸成し成長を続けます。
私たちは、グループ力を結集し優れた技術力と品質により、常に最適をお客様に提供いたします。
私たちは、高い企業モラルを堅持し、社会的責任を果たしていきます。
(2)経営戦略等
当社グループではこの先10年を見据え、目指すべき企業像として新たなグループビジョンを定めました。
グループビジョンをTISインテックグループの全員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践することで、TISインテックグループが目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指してまいります。
(グループビジョン)
①目指す企業像
「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現します。顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指します。
②戦略ドメイン
目指す企業像を実現すべく、4つの戦略ドメインを定義しました。
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ストラテジック パートナーシップビジネス |
業界トップクラスの顧客に対して、業界に関する先見性と他社が追随できないビジネス・知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う。 |
|
ITオファリングサービス |
当社グループに蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディーに提供する。 |
|
ビジネスファンクション サービス |
当社グループに蓄積した業界・業務に関する知見を組み合わせ、先進技術を活用することにより、顧客バリューチェーンのビジネス機能群を、先回りしてサービスとして提供する。 |
|
フロンティア 市場創造ビジネス |
当社グループが保有する技術・業務ノウハウ、顧客基盤を活かして、社会・業界の新たなニーズに応える新市場/ビジネスモデルを創造し、自らが事業主体となってビジネスを展開する。 |
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。
目標とする経営像の1つに、利益重視の経営(稼ぐ力の強化)を掲げ、具体的な指標として「営業利益率」「当期純利益率」を改善していくことによって「ROE」の向上を図ってまいります。
(4)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、世界経済の先行きには不透明感はあるものの、顧客のデジタル経営への志向が強く、IT投資ニーズが引き続き拡大することが期待されます。AI、IoT、ブロックチェーン等に代表される技術革新を活用したビジネス分野は、日本においても投資は急拡大しており、引き続き投資拡大が続くと想定されます。このような経営環境を背景とし、事業環境は引き続き堅調に推移することが期待されます。
一方で、事業環境が活況な中においては、先端IT技術を有している高付加IT人材の確保が一層難しくなることが想定されており、加えて、社会的な課題である長時間労働など、働き方を変えていくことを、重要な環境変化と認識しております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループのさらなる企業価値向上のために対処すべき課題は、第3次中期経営計画の基本コンセプトである「利益重視」、「ITブレイン(付加価値ビジネス拡大)」、「ポートフォリオ経営」の各種施策の深耕に加え、それを支えるものとして、「現場活力の創出」「経営管理の高度化」「一体感ある企業文化の醸成」であると認識しております。
「利益重視」については、不採算案件の極小化を進めるべく、主要グループ会社を構成メンバーとする生産革新委員会を組成し、顧客提案段階での審査精度の向上、プロジェクトのモニタリング機能の強化等に着手しました。これらの取り組みを徹底し、利益率向上、生産性向上を図ることで、更なる利益の追求を目指します。
「ITブレイン(付加価値ビジネス拡大)」については、各種プラットフォーム事業を推進し、既存分野での提供サービスの拡充を図りましたが、いまだ期待する水準を実現できていません。今後は未開拓の分野向けに新サービスの展開も検討していきます。また、IoTやAIなど先端技術と関係の深い分野では、研究活動と具体的な事業との結びつけが必要であり、当該事業向けの組織を立ち上げ、ビジネス面にあわせ人材の強化も図ります。また、これらのサービス型事業の進展のためには、市場ニーズに適合したタイムリーな先行投資が不可欠であり、投資案件の管理強化を図りながら、精度の高い投資判断を行っていきます。
「ポートフォリオ経営」については、これまでもグループ各社の国内外の事業の集約を推進してきました。ポートフォリオ経営の目的は、グループとしての戦略重点分野を定義し、グループ会社間の事業連携を加速させ、それぞれの事業分野でトップレベルとなることです。単なる事業集約で終わることのないように、事業ポートフォリオ最適化のため、継続的にグループ内の事業統合・再編を推進します。BPO事業分野においては、複数のエリアに点在する事業拠点を集約し、収益性の改善を図ります。また、ITインフラ分野においてはグループ各社が保有するデータセンター間ネットワークを統合し、コスト抑制だけでなく相互のサービスを活用出来る環境作りを推進します。
当社グループは前述に加え、以下の課題にも精力的に取り組みます。
「現場活力の創出」については、当社の持続的な成長のためには、従業員の働きがいを高め、更なる現場活力の創出が最も重要と認識しています。そのため、在宅勤務の適用拡大など多様な勤務制度の整備、業務効率化を推進するITインフラの整備や、サテライトオフィスの設置、フリーアドレスオフィスの試行、積極的な教育投資等を推進してきました。経営トップのリーダーシップのもと、従業員の就業意欲の向上、女性の活躍促進をはじめとする多様な人材が能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を強力に推進します。
「経営管理の高度化」については、新たなグループガバナンスの確立に向けて、独立社外取締役を2名から3名に増員し、当社グループの経営に対し様々な経験・知見にもとづく多角的な助言を得られる体制を整えました。また、平成29年度からは、事業持株会社へ移行した成果をより具現化するため、当社の各事業ユニットとグループ各社の人事面・事業面での連携を強化・促進しており、これらの取り組みを継続し、定着させることでより一層グループガバナンスを強化します。
「一体感ある企業文化の醸成」については、事業持株会社体制への移行を機に、当社グループの10年後を見据えた新たなグループビジョンを設定しました。グループビジョンでは、2026年の企業像を「Create Exciting Future」~先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現する~と定めました。このグループビジョンを当社グループの全役職員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践するため、様々な浸透策を推進します。平成30年度から始まる第4次中期経営計画においては、このグループビジョンにもとづき、当社グループが目指す姿の実現に向け、各種施策に精力的に取り組んでいきます。
当社グループの事業(経営成績と財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 価格競争、競争激化について
情報サービス産業では事業間の競争が激しく、他業種からの新規参入などが進んでいることに加え、顧客がIT投資を抑制する傾向があり、価格競争が激化する可能性があります。当社グループでは、提供する情報サービスの高付加価値化等により競合他社との差別化を図るとともに、生産性向上に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の価格競争が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(2) 法制度、コンプライアンスについて
当社グループは、国内外の法令や規制の適用の下に、各種事業活動を展開しております。これらの展開にあたっては、当社グループはグループCSR基本方針に基づき、コンプライアンス体制を構築し、法令遵守の徹底に取り組んでおります。しかしながら、法令違反等が発生した場合、また新たな法規制が追加された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を受ける可能性があります。
(3) 海外事業について
当社グループは成長戦略の一環として、ASEANを中心とした海外市場の拡大を進めています。海外事業は、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) システム開発について
当社グループは顧客企業の各種情報システムや受託開発業務を行っております。昨今の大型化、短納期化するシステムの開発においては、計画通りの品質を確保できない場合や開発期間内に完了しないことにより、費用が想定以上に増大化する可能性があります。また、システム開発にあたっては、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のために多くの会社に業務の一部を委託していますが、生産性や品質が期待に満たないおそれがあります。これらにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(5) システム運用について
当社グループはデータセンター等の大型IT設備を用いて、24時間365日稼働のアウトソーシング事業やクラウドサービス等を行っております。その事業展開にあたっては、初期の設備投資から、安定的に維持、運用するための継続的な設備投資まで多額の資金を要します。また、需要の低迷により、稼働状況が著しく低水準で推移した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム運用業務においては、顧客企業のシステムの事故や障害等により損害が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドの低下、損害に対する賠償請求支払等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(6) 情報セキュリティについて
当社グループでは、システム開発から運用段階に至るまで、顧客企業が有する個人情報や顧客企業のシステム技術情報等の各種機密情報を知りうる場合があります。TISインテックグループ情報セキュリティ方針に基づき、情報の適切な管理に努めておりますが、コンピュータウィルス、不正アクセス等の理由により、これらの機密情報の漏洩や改竄などが発生した場合、顧客企業等から損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材について
当社グループの事業は人材に大きく依存しており、顧客に専門的で高付加価値を提供する優秀な人材の確保、育成に大きく影響されます。こうした優秀な人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 技術革新について
情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループでは情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進め、その対応を強化しております。しかしながら、広範な領域において、技術革新が急速に進展し、その対応が適切でなかった場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産権について
当社グループが事業を遂行するうえで、必要となる技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、国内外において各種の商標を登録しております。一方で当社グループでは第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社グループの事業が他社の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があります。いずれの場合も、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 自然災害について
当社グループでは、データセンター等の大型IT設備を用いて、アウトソーシング事業やクラウドサービスを行っております。データセンターの施設は各種災害に対して、様々な設備環境を整備しております。しかし、想定を超える長期の停電や大規模自然災害、国際紛争、テロ及び重大な犯罪行為等により、データセンターの円滑な稼働が阻害されるような事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 保有有価証券について
当社グループでは、取引先との長期的・安定的な関係の構築や営業推進などを目的として株式を、また資金運用を目的として債券を保有しています。これらの有価証券については、発行体の財政状態や業績動向、格付状況などを把握し安全性を十分確認していますが、株式相場の著しい変動などが生じた場合、会計上の損失など、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの属する情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化への迅速な対応が競争力の維持・向上を図る上で重要な課題です。
当社グループでは、当社及び株式会社インテックが中心となり、下記領域における先端的な研究開発に取り組んでおります。なお、当社グループにおける研究開発活動は、その多くが個別の事業セグメントに特化するものではなく、事業横断的な技術を発掘するものです。
(1) ソフトウェア生産技術
グループ全体のサービス品質と生産性の向上を目指し、グループ各社とも積極的かつ継続的に取り組んでおります。
当社では、保守要員の確保が難しいCOBOLの大規模アプリケーションを、技術者の確保が容易なJavaに移行する際、COBOLからJavaへの変換を容易に実現できるソフトウェア「Xenlon~神龍 Migrator C2J」を開発し、運用コストの低減や運用継続性の担保を実現しました。
株式会社インテックでは、世界最先端のアジャイル開発チームといわれるアメリカPivotal Labsのソフトウェア開発技術を習得し、社内普及のための準備を行いました。具体的には、特定プロジェクトを題材に、標準化ツールの検討/整備を行いました。
(2) クラウド技術
クラウドサービスがコモディティー化する一方で、クラウドサービスを支える基盤技術が進化してきており、当社グループでも研究開発を行ってきました。
当社では、SDx(Software Defined Anything)の技術を用いた研究開発に取り組んでおり、ネットワークの設定変更時や運用時において、人の介入を減らす仕組みの研究開発を実施し、莫大なネットワークリソースを保有しているお客様での実証実験も計画しています。また、電気通信大学との共同研究では、データ量の肥大化やネットワーク利用の増加に伴い、ネットワーク負荷の軽減を目的として、キャッシュの分散配置技術を活用したクラウド間の通信量の削減を実現するべく研究開発を実施しています。
株式会社インテックでは、「日本学術振興会産学協力研究委員会インターネット第163委員会」の「地域間インタークラウド分科会」に参加し、大阪大学・広島大学・金沢大学等と、異なる組織に散在するコンピュータ資源を利用したグローバルな広域分散計算環境の利活用を推進するための研究開発を行っています。また、産学連携の研究会である「トランスペアレントクラウドコンソーシアム」(Tクラウド研究会)の活動に参加し、デバイスとクラウドが透過的に連携することによる、新たなサービスモデルの実現を目指した研究開発を推進しています。本研究会での活動は、スマートシティやコネクテッドカーなどの新たな価値を生むクラウドソリューション開発に貢献しています。
(3) スマートフォン・タブレット端末関連技術
モバイル環境についても、継続して研究開発に取り組んでいます。
株式会社インテックでは、横浜国立大学地球環境未来都市研究会のメンバーとして、ESRIジャパン、日立製作所などと協力してi-LOP(位置情報統合プラットフォーム)を利用した来街者の屋内外シームレスな位置情報取得と、屋内3Dマッピングの実証実験を横浜みなとみらい地区で行いました。
また製造業向けには、腕時計型デバイス(スマートウオッチ)を付けることで、手の動きを感知して、工場などタッチ入力の難しい現場で入力作業を行う「モーション認識技術」の確立を進めています。組み立て作業などのミスの即時検知など入力以外の応用検討も行っています。複数の検証希望を頂き、商品化にむけた共同研究や実証実験に取り組んでいます。
(4) ビッグデータ、IoT関連技術
近年、IoTが脚光を浴び、あらゆる機器から送出される大量のデータを如何に効率的に処理するかが課題となっています。
当社では、大阪大学サイバーメディアセンターと共同で、「IoT資源の共有プラットフォームに関する研究」を開始しました。この共通プラットフォームは、センサーや計算資源・サービスなどの様々なIoTリソースを保持・提供する「IoT資源の所有者」と、そのIoT資源を活用してサービスを企画する「サービス提供者」を結び付ける参加型プラットフォームです。この共通プラットフォームのプロトタイプの開発を実施し、あわせてサービス化の実現性、セキュリティや、ネットワーク要件が適合性も研究を通じて検証しています。
株式会社インテックでは、生産現場で発生するさまざまなデータを収集・分析することで、稼働率や歩留まりの改善といった生産性向上に向けた支援や、設備異常の兆候の検知による予兆保全サービス実現に向けた支援に向け、ビッグデータ処理や機械学習の応用研究に取り組んでいます。
また、多くの製造業が参加するIVI(Industrial Value chain Initiative)では、故障予知、生産性向上、品質管理などのテーマの実証実験に参加しデータ解析を行いました。
(5) 人工知能、ロボット関連技術
ディープラーニングにより人工知能が大きく進化するとともに、人間型ロボットが普及し、ロボット用ソフトウェアがオープンソースで提供されるに至り、多くの企業がこの分野に参入しています。当者グループでは、ロボット技術そのものだけでなく、人工知能やIoT、クラウド技術と組み合わせた研究開発の取り組みを行っています。
当社では、大阪大学石黒研究室とスタートアップ企業の株式会社エルブズと共同で、「AIと人の対話シナリオに関する研究」を実施しています。この研究では、「人間がロボットやエージェントと社会環境を含めどのように係わっていけるか」や「人間がロボットやエージェントとコミュニケーションを円滑に行えるか」の検証を行います。その検証結果をエルブズ社のコミュニケーションツール「社会性エージェント」に実装することで、ある自治体の協力の元、実証実験にて検証を行っています。
対話サービス関連では、お客様との実証実験結果を踏まえエンタープライズ顧客向けに、自動応答できるチャットボットを簡単に構築でき、対応履歴データを使い応答の継続的な改善・学習ができるSaaS型のプラットフォーム「DialogPlay」のベータ版を開発・公開しました。
また、ロボティクス関連では、自律移動型ロボット開発ベンチャーのSEQSENSE株式会社の自律移動型ロボットと当社のクラウド及びAIに関する技術を組み合せることで、社会課題を解決する新たなソリューションやサービスの研究開発を開始しました。更に、当社オリジナルの自律移動型ロボット(Jellibo)のプロトタイプを作成し、某レジャー施設で、「パブリックスペースでの人とロボットの付き合い方」を検証し評価しました。結果、ロボットと人間の共存する上での課題を洗い出し解決する策を検討しています。
コミュニケーションロボット関連では、個性を学習するパートナーロボット「unibo(ユニボ)」を開発しているベンチャー企業のユニロボット株式会社と共同で、高齢者向けサービスや教育、店舗サービスなどの分野において、「unibo」をインターフェースとしたパーソナルAIエンジンと既存システムと連携させたソリューションの提供を目指す研究を実施しています。
株式会社インテックでは、VR(Virtual Reality)と自動走行でリアルタイムに遠隔地の体験ができる台車ロボットシステムや、サービスロボット「Pepper」にスマートウォッチを用いたモーション認識技術を応用した自動プレゼンテーションシステムを開発し、Japan Robot Week 2016で公開しました。
さらに、定形作業の業務処理自動化を行うRPA(Robotic Process Automation)分野で、非定型作業の自動化やチャットボット、サービスロボットとの連携などの付加価値をつける応用研究を始めました。
(6) ブロックチェーン技術
金融業界を中心に、新しい台帳システム技術であるブロックチェーンが、国内外で注目されています。そのブロックチェーンを実際のビジネスで適用できないかの検証を進めています。
当社では、東京大学大学院の次世代個人認証技術の大規模実証実験「MITHRA Project(ミスラ プロジェクト)」に参画し、本実証実験のデータ収集・管理に使用される実証実験サーバーに関して、ブロックチェーン技術を適用する独自の技術検証を行っています。また、株式会社デジタルガレージと共同で、FinTech関連事業の開発などに向けた戦略技術開発会社「DG Technologies」を設立し、ブロックチェーン技術を活用したFinTech関連の技術開発を実施しています。
株式会社インテックでは、富山ブロックチェーン研究会を主催し、ブロックチェーン関係者との人的ネットワークを築きました。また、ブロックチェーンのオープンソースソフトウェアであるHyper ledger プロジェクト「Iroha(いろは)」に開発パートナーとして参画し、コミュニティへ貢献しています。
(7) MR(Mixed Reality)技術
近年、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を組み合わせた複合現実(MR)の技術が話題になってきています。近い将来、このMRの技術がICTにおいて、ひとつのインターフェースとして成熟していくことが予測されています。当社では、エンタープライズシステムとMR技術を融合した新たなUI(User interface)やUX(User experience)の実現に関する検証を開始しました。これによりパソコンやタブレット、あるいはスマートフォンに代わる新しいデバイスとの親和性などを検証していきます。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,178百万円となっております。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載したとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおり、売上高は393,398百万円、営業利益は27,019百万円、経常利益は27,092百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は16,306百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 経営戦略の現状と見通し
システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、営業活動において18,952百万円の増加、投資活動において23,488百万円の減少、財務活動において18,327百万円の減少となりました。この結果、当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度末に比べて22,920百万円減少し、25,730百万円となりました。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループでは、企業の礎である経営理念を以下のとおり定めています。
≪経営理念≫
TISインテックグループは、ITを通じた様々なサービスの提供によりリーディング企業グループにふさわしい企業市民となり、お客様、社員とその家族、株主などすべてのステークホルダーから評価いただける企業価値の向上を目指します。
私たちは、グループの企業と社員が共に高く新しい目標にチャレンジする活力ある企業カルチャーを醸成し成長を続けます。
私たちは、グループ力を結集し優れた技術力と品質により、常に最適をお客様に提供いたします。
私たちは、高い企業モラルを堅持し、社会的責任を果たしていきます。
この理念をグループ全員で共有し、当社グループが目指す理想の実現を図ります。
この経営理念の実現に向けて、グループビジョン、中期経営計画の方針に基づき活動していきます。