第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループでは、企業の礎である経営理念を以下のとおり設定し、公表しています。

(経営理念)

TISインテックグループは、ITを通じた様々なサービスの提供によりリーディング企業グループにふさわしい企業市民となり、お客様、社員とその家族、株主などすべてのステークホルダーから評価いただける企業価値の向上を目指します。

私たちは、グループの企業と社員が共に高く新しい目標にチャレンジする活力ある企業カルチャーを醸成し成長を続けます。

私たちは、グループ力を結集し優れた技術力と品質により、常に最適をお客様に提供いたします。

私たちは、高い企業モラルを堅持し、社会的責任を果たしていきます。

 

また、当社グループは、グループ全体最適及び事業ポートフォリオ経営の実現に向けて、平成28年7月に、「TISインテックグループ」として新たな一歩を踏み出しました。

これにより、中核事業会社の求心力をベースとした、グループ全体最適を第一とするガバナンス体制となり、外部環境や戦略変更に応じてスピーディに経営資源の最適配置やグループフォーメーションの見直しが遂行できる体制への変革を進めました。

その一環として、当社グループでは平成29年5月に、この先10年を見据えた目指すべき企業像として新たなグループビジョンを定めました。このグループビジョンをTISインテックグループの全員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践することで、TISインテックグループが目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指してまいります。

 

(グループビジョン)

①目指す企業像

「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現します。顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指します。

 

②戦略ドメイン

目指す企業像を実現すべく、4つの戦略ドメインを定義しました。

 

ストラテジック

パートナーシップビジネス

業界トップクラスの顧客に対して、業界に関する先見性と他社が追随できないビジネス・知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う。

ITオファリングサービス

当社グループに蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディーに提供する。

ビジネスファンクション

サービス

当社グループに蓄積した業界・業務に関する知見を組み合わせ、先進技術を活用することにより、顧客バリューチェーンのビジネス機能群を、先回りしてサービスとして提供する。

フロンティア

市場創造ビジネス

当社グループが保有する技術・業務ノウハウ、顧客基盤を活かして、社会・業界の新たなニーズに応える新市場/ビジネスモデルを創造し、自らが事業主体となってビジネスを展開する。

 

また、事業を通じた社会課題の解決による持続的な社会発展への貢献という企業が本来有する社会的責任に対する認識をよりいっそう深め、グループとしての取り組みを強化する一環として、当社グループでは、コンプライアンスに関する基本方針を示すものとして「グループコンプライアンス宣言」をまとめ、コンプライアンスをグループ経営の最重要課題の一つと位置づけ、コンプライアンス重視を徹底した経営を推進してまいります。

(2)経営戦略等

当社グループは、第3次中期経営計画の最終年度となる平成30年3月期のグループ経営方針を以下の通りと定め、同計画の目標達成並びにグループ企業価値の向上に向けて諸施策を推進してまいりました。

 

第3次中期経営計画

基本コンセプト

平成30年3月期 グループ経営方針

利益重視

「利益重視の経営」の更なる徹底

ITブレイン

(付加価値ビジネス拡大)

成長エンジン構築のための更なる先行投資

ポートフォリオ経営

事業持株会社体制を活かしたグループ内事業連携の強力推進、

スピーディな構造改革の実行

 

グループ経営方針に基づき、顧客のIT投資ニーズへの的確な対応による事業拡大や大型案件の着実な遂行を図るとともに、生産性向上や不採算案件抑制等、収益性向上に向けた取組みを推進してまいりました。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。

目標とする経営像の1つに、利益重視の経営(稼ぐ力の強化)を掲げ、具体的な指標として「営業利益率」「当期純利益率」を改善していくことによって「ROE」の向上を図ることを目標としてまいりました。第3次中期経営計画において掲げた「ROE」は、目標の8.0%を1年前倒しで達成し、且つ、第3次中期経営計画の最終年度である当連結会計年度は9.9%と目標を大きく上回る成果となりました。

 

(4)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、世界経済の先行きには不透明感はあるものの、顧客のデジタル経営への志向が強く、IT投資ニーズが引き続き拡大することが期待されます。AI、IoT、ブロックチェーン等に代表される技術革新を活用したビジネス分野は、日本においても投資は急拡大しており、引き続き投資拡大が続くと想定されます。このような経営環境を背景とし、事業環境は引き続き堅調に推移することが期待されます。

一方で、デジタル化の急速な進展やグローバルなITプラットフォーマーの台頭などにより、事業環境が急激に変化し、これまでとまったく異なる発想が求められるようになっております。産業構造の変化や社会課題など、外部環境の変化を敏感に汲み取り、そこから当社にとっての重要課題を設定し、ビジネスの成長へと結びつけることがより必要となってきていると認識しております。

また、平成29年11月には日本経済団体連合会が「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて企業行動憲章の改定を行う等、日本企業全体がビジネスイノベーションを発揮し、事業を通しての社会課題の解決や、ダイバーシティ、働き方改革等に取り組んでいくことが求められています。当社グループの属する情報サービス産業においても、先端IT技術を有している高付加価値IT人材の確保が一層難しくなることが想定されており、加えて、社会的な課題である長時間労働の是正、多様な働き方の推進など、働き方を変えていくための職場風土・環境の整備の必要性が高まっていることが、重要な環境変化と認識しております。そのような中、当社グループも社会課題の解決をリードする企業への変革を求められていると認識しております。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループの対処すべき課題は、グループビジョン「Create Exciting Future」が目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指すため、スピード感を持って構造転換を実現し、4つの戦略ドメインを拡充していくことであると認識しております。

当社グループは、構造転換の必要性を強く意識し、「持続的な利益成長」と「社員の自己実現重視」の二つの目標を掲げてまいります。その目標達成のために必要なのが「継続的なスピードある構造転換」であり、具体的には、「コア事業への集中」「先行投資型への転換」「グローバル事業の拡大」といった基本方針に基づき各種施策を進めてまいります。

「コア事業への集中」については、従来からの当社グループの強みである、システムインテグレーションやITサービスでの得意分野や重要・重点顧客ビジネスをさらに強固なものとするために各種施策を推進してまいります。特に収益性をさらに高めるため、グループ生産革新委員会の活動を通じた各種施策による不採算案件の極小化、保守開発の生産性を高めるエンハンスメント革新活動を推進してまいります。加えて、既存事業への先端技術の組み込みや、Mode2開発で中心となるアジャイルスクラム型開発へのスキル転換など、付加価値向上、生産性改革による強みの進化を目指す施策を推進してまいります。

「先行投資型への転換」については、当社グループの事業構造そのものを転換し、スピード・柔軟性を重視し、社会課題の視点から顧客に対して先回りしたビジネスへ転換していくことを目指してまいります。具体的には、当社グループの研究機関で行っているAI、IoT、ロボット等の先端技術の研究や、出資先のベンチャー企業のノウハウと事業との連携を深め、事業創造を促進してまいります。また、顧客同士をつなぐ、顧客と社会をつなぐということを切り口に、お互いの成長を加速させる事業創造を進めてまいります。

「グローバル事業の拡大」については、これまでも特に成長著しいASEANのマーケット獲得のために各国の有力IT企業との資本・業務提携を通じた展開を加速してまいりましたが、今後もASEANでトップクラスの連合体を目指すため、当社グループの強みである決済、銀行及びERP領域をグローバルでの強みとすべく強化してまいります。また、日本市場やASEAN市場に投入するソリューションを充実させるため、欧米や中国等のIT先進国の企業との提携等を積極的に実施してまいります。

また、これら施策の実現を強力に下支えするため、「人材の高度化」「経営管理の高度化」も引き続き進めてまいります。

「人材の高度化」については、社員の自己実現を重視し多様な人財が活躍できる仕組み・風土構築を通じて働きがい向上に努めてまいります。当社グループの持続的な成長のためには、社員のQuality of Lifeの実現が最も重要な課題であると認識しております。「心身の健康」「生活力の向上」「働きがいの向上」を柱に、健康で安心して働ける会社とするとともに、社員が仕事を通して自己実現を図り、より高い成果を生み出せるよう、職場風土・環境の整備に取り組んでまいります。また、構造転換を牽引する人財像を定め、育成していくとともに、グループでの最適配置を進めてまいります。

「経営管理の高度化」については、これまでも事業持株会社体制への移行を機に、グループビジョン策定と浸透活動の推進、独立社外取締役の増員及び内部統制管理体系を整理・集約しグループ内部統制委員会に一本化するなど体制を整えてまいりました。また、2018年3月には、取締役の選任並びに報酬等について、決定プロセスの客観性及び透明性を確保するため、取締役会の諮問機関として任意の「指名委員会」及び「報酬委員会」を設置しました。事業連携面でも、スピード感のある構造転換を実現するため、当社の事業ユニットを戦略ドメインの実現に向けた組織体制へ改編し、グループ一体の連携を強化・促進することで、一層の経営ガバナンス体制の構築と整備を進めてまいります。

これらの対処すべき課題認識を踏まえ、平成30年度から始まる3カ年の中期経営計画では、「Transformation to 2020 ~グループ一体となり構造転換を実現し、社会の課題解決をリードする企業へ~」のスローガンとともに、2021年3月期に目指す重要な経営指標として「戦略ドメイン比率50%」「営業利益430億円」「営業利益率10%」「ROE12%」を定めました。これより、グループビジョン2026の達成に向けた土台構築のため、スピード感のある構造転換の実現と当社グループの企業価値向上に向け、各種施策に精力的に取り組んでまいります。

 

 

 

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業(経営成績及び財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 価格競争、競争激化について

情報サービス産業では事業者間の競争が激しく、他業種からの新規参入等も進んでいることから、価格競争が激化する可能性があります。当社グループでは、提供するサービスの高付加価値化等により競合他社との差別化を図るとともに、生産性向上にも取り組んでおります。しかしながら、想定を超える価格競争が発生した場合には、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(2) 法制度、コンプライアンスについて

当社グループは、国内外の法令や規制の下で各種事業活動を展開しております。これらの展開にあたっては、グループCSR基本方針に基づき、コンプライアンス体制を構築し、法令遵守の徹底に取り組んでおります。しかしながら、法令違反等が発生した場合、また新たな法規制が追加された場合には、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(3) 海外事業について

当社グループは成長戦略の一環として、ASEANを中心とした海外事業の拡大を進めております。海外事業は、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主幹組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。しかしながら、これらのリスクが予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(4) システム開発について

当社グループは顧客企業の各種情報システムや受託開発業務を行っております。業務の推進にあたっては、品質マネジメントシステムに基づき、専任組織による提案審査やプロジェクト工程に応じたレビューを徹底し、継続的な品質管理の高度化や生産性の向上に取り組むとともに、階層別教育を充実化することで管理能力や技術力の向上を図っております。また、グループ生産革新委員会を通じ、品質強化及び生産革新の施策をグループ全体で徹底しております。しかしながら、システム開発が高度化・複雑化・短納期化する中、顧客の要件変更への対応等によって計画通りの品質を確保できない場合や開発期間内に完了しない場合、プロジェクト完遂のための追加対応に伴って費用が想定を大きく上回る可能性があります。また、システム開発にあたっては、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のために多くの会社に業務の一部を委託しています。国内外で優良な協力会社の確保等に努めていますが、生産性や品質が期待に満たない場合には円滑なプロジェクト運営が実現できなくなる等により、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(5) システム運用について

当社グループはデータセンター等の大型IT設備を用いて、24時間365日稼働のアウトソーシング事業やクラウドサービス等を行っております。その事業展開にあたっては、初期の設備投資から、安定的に維持、運用するための継続的な設備投資まで多額の資金を要します。事業計画の進捗を管理し、資金回収を行っておりますが、想定を超える需要の低迷等により、稼働状況が著しく低水準で推移した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム運用業務においては、品質マネジメントシステムに基づき、継続的な運用品質の改善を行っておりますが、オペレーション上の人的ミスや機器・設備の故障等によって障害が発生し、顧客と合意した水準でのサービスの提供が実現できない場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(6) 投資について

当社グループでは事業伸長や先端技術の獲得を目的にベンチャーを含む国内外の企業への出資やサービス開発のためのソフトウェア投資を行っております。投資の決定にあたっては事業計画に基づき、十分な検討を行い、実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施しております。しかしながら、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果が得られず、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

(7) 情報セキュリティについて

当社グループでは、システム開発から運用段階に至るまで、顧客企業が有する個人情報や顧客企業のシステム技 術情報等の各種機密情報を知りうる場合があります。TISインテックグループ情報セキュリティ方針に基づき、情報の適切な管理に努めておりますが、コンピュータウィルス、不正アクセス等の理由により、これらの機密情報の漏洩や改竄などが発生した場合、顧客企業等から損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招き、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(8) 人材について

当社グループの事業は人材に大きく依存しており、顧客に専門的で高付加価値を提供する優秀な人材の確保、育成に大きく影響されます。当社グループでは多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、資格取得支援、研修制度の体系化のほか、教育日数を目標化する等、人材の育成に注力しております。しかしながら、優秀な人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(9) 技術革新について

情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループでは情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進め、その対応を強化しております。しかしながら、広範な領域において、技術革新が急速に進展し、その対応が適切でなかった場合は当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

当社グループが事業を遂行するうえで、必要となる技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、国内外において各種の商標を登録しております。一方で当社グループでは第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社グループの事業が他社の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があります。いずれの場合も、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(11) 自然災害について

当社グループでは、データセンター等の大型IT設備を用いて、アウトソーシング事業やクラウドサービスを行っております。データセンターの施設は各種災害に対して、様々な設備環境を整備しております。しかし、想定を超える長期の停電や大規模自然災害、国際紛争、テロ及び重大な犯罪行為等により、データセンターの円滑な稼働が阻害されるような事態が発生した場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(12) 保有有価証券について

当社グループでは、取引先との長期的・安定的な関係の構築や営業推進などを目的として株式を、また資金運用を目的として債券を保有しています。これらの有価証券については、発行体の財政状態や業績動向、格付状況などを把握し安全性を十分確認していますが、株式相場の著しい変動などが生じた場合、会計上の損失等、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりとなります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等により、緩やかな回復基調が続きました。

当社グループの属する情報サービス産業は、期中に公表された日銀短観におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)がいずれも前年度比増加を示す等、デジタル経営への志向を強める企業のIT投資動向の強まりを反映し、当連結会計年度の事業環境は好調に推移しました。

このような状況の中、当社グループは、第3次中期経営計画(平成27年度~平成29年度)に基づくグループ経営方針のもと、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けた諸施策を推進いたしました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ31,881百万円増加の369,504百万円(前連結会計年度末337,622百万円)となりました。

流動資産は、168,670百万円(前連結会計年度末152,162百万円から当連結会計年度末168,670百万円)となりました。これは主に現金及び預金が11,894百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は、200,833百万円(前連結会計年度末185,459百万円から当連結会計年度末200,833百万円)となりました。これは主に投資有価証券の時価評価の影響等(前連結会計年度末64,156百万円から当連結会計年度末78,766百万円)によるものです。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,785百万円増加の143,205百万円(前連結会計年度末138,420百万円)となりました。

流動負債は、81,312百万円(前連結会計年度末78,676百万円から当連結会計年度末81,312百万円)となりました。これは主にその他の流動負債が増加したこと等(前連結会計年度末26,532百万円から当連結会計年度末33,133百万円)による影響です。

固定負債は、61,893百万円(前連結会計年度末59,743百万円から当連結会計年度末61,893百万円)となりました。これは主に投資有価証券の時価評価等の影響により繰延税金負債が増加したこと等(前連結会計年度末2,676百万円から当連結会計年度末6,473百万円)による影響です。

 

(純資産合計)

純資産は、226,298百万円(前連結会計年度末199,202百万円から当連結会計年度末226,298百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の影響により利益剰余金が増加したこと等(前連結会計年度末90,846百万円から当連結会計年度末108,298百万円)による影響です。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の57.8%から60.0%に上昇し、自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度末の8.8%から9.9%と上昇しています。

 

セグメント別の財政状態は以下のとおりです。

 

イ.ITインフラストラクチャーサービス

セグメント資産は、BPO事業における統合効果発揮を目的とした新拠点「Biz TRUXIA(ビズトラシア)」構築等により、前連結会計年度末に比べて2,002百万円増加し、38,519百万円となりました。

ロ.金融ITサービス

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて318百万円減少し、6,404百万円となりました。

ハ.産業ITサービス

セグメント資産は、資産効率向上を目的とした不動産売却等により、前連結会計年度末に比べて1,491百万円減少し、16,826百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高405,648百万円(前期比3.1%増)、営業利益32,743百万円(同21.2%増)、経常利益32,795百万円(同21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20,620百万円(同26.5%増)となりました。

 

売上高については、IT投資動向が強まりを見せる分野において顧客ニーズを的確に捉えたこと等が牽引し、前期を上回りました。

利益面については、増収効果、不採算案件抑制を含む収益性向上に向けた取組みが、従業員の処遇改善のほか、AI等の新規事業拡大に向けた専任組織の設置や体制強化等の競争力強化に向けた販管費の増加を吸収したことにより、前期比増益となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。

 

イ.ITインフラストラクチャーサービス

当連結会計年度の売上高は131,700百万円(前期比4.0%増)、営業利益は11,743百万円(同15.6%増)となりました。公共系の大型運用案件の寄与やクラウド関連ビジネスの拡大等に伴うデータセンター事業の堅調な推移に加え、BPO事業の拡大が、事業強化のための費用増等を吸収したことから、前期比増収増益となりました。

 

ロ.金融ITサービス

当連結会計年度の売上高は92,983百万円(前期比10.6%増)、営業利益は8,042百万円(同121.8%増)となりました。クレジットカード系の大型開発案件の寄与や顧客の決済関連分野におけるIT投資拡大の動きに伴う事業拡大のほか、不採算案件の抑制効果等により、前期比増収増益となりました。

 

ハ.産業ITサービス

当連結会計年度の売上高は188,626百万円(前期比0.4%減)、営業利益は12,835百万円(同2.7%増)となりました。売上高は大型開発案件の反動減の影響はあったものの、製造業におけるERP更新需要やIT投資拡大の動き等により前期並みとなりました。営業利益は、収益性向上に向けた取組みが進展する中、AI等の新規事業拡大に向けた専任組織の設置や体制強化等、今後の競争力強化に向けた費用の増加等により、前期比小幅増にとどまりました。

 

ニ.その他

当連結会計年度の売上高は10,791百万円(前期比9.2%減)、営業利益は1,006百万円(同7.2%減)となりました。

 

前述の通り、当連結会計年度は第3次中期経営計画の最終年度であり、グループの変革を通じたさらなる成長と企業価値の向上に向けて、同計画の基本コンセプトに基づいた当連結会計年度のグループ経営方針のもと、諸施策を推進いたしました。

 

第3次中期経営計画

基本コンセプト

平成30年3月期 グループ経営方針

利益重視

「利益重視の経営」の更なる徹底

ITブレイン

(付加価値ビジネス拡大)

成長エンジン構築のための更なる先行投資

ポートフォリオ経営

事業持株会社体制を活かしたグループ内事業連携の強力推進、スピーディな構造改革の実行

 

「利益重視の経営」の更なる徹底については、大型案件の着実な推進や生産革新施策の強力な推進が重要課題であると認識し、前者については、全社的なマネジメント・モニタリングの徹底を通じて、予定通りのスケジュールで各案件を遂行し、公共系大型開発案件については完了に至りました。また、後者については、グループ生産革新委員会を通じた不採算案件に関する課題及び対策の共有に基づく施策展開や技術力強化に向けた取組み等、生産革新施策が着実に進展したことから、重要課題である不採算案件の抑制を実現しました。

 

成長エンジン構築のための更なる先行投資については、当社の強みである決済関連分野の更なる強化に向けた取組みを推進しました。この一環として、2017年9月には、QRコード決済領域とカード決済領域においてプロセシングサービスを提供する中国のFinTech企業『上海訊聯数据服務有限公司(CardInfoLink)』と、資本・業務提携を締結し、今後、同社のQRコード決済ソリューションを活用した日本・東南アジアにおけるQRコード決済事業、及び、当社の豊富な決済系システムの開発実績・ノウハウを活用した中国におけるカードプロセシング事業を共同で推進することとしました。その他、AI・IoT等、急速に進展する新技術関連分野における本格的な事業拡大に向けて、様々なソリューションの企画開発・実証実験等とともに、専任組織の設置やスタートアップ・ベンチャー企業への出資・協業を通じた体制整備を推進しました。加えて、シリコンバレーを中心とした米国のスタートアップ企業、日本の大手企業のシリコンバレー拠点や新規事業部門などと共にオープンイノベーションによる革新的な新規事業創出や先進プロダクトの日本やアジアでの早期活用を目指し、「TISインテックグループ・シリコンバレー・イノベーション・ラボ」を2017年11月に新設しました。また、2018年3月には、株式会社インテックが製造業向けソリューションの拡大強化のため、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社の株式を一部取得し、関係強化を図りました。

事業持株会社体制を活かしたグループ内事業連携の強力推進とスピーディな構造改革の実行については、グループ重点施策、協業施策の検討・推進を強力に実施しています。これまでに、グループのデータセンターを閉域ネットワークサービス「DCAN」(Datacenter and cloud services – Customer Adapted Network)に統合し、グループ各社間での相互サービス提供や利便性向上による競争力強化を実現したほか、株式会社アグレックスに事業集約してきたグループ内BPO事業について、東京都多摩地区の新拠点「Biz TRUXIA(ビズトラシア)」へ拠点集約し、サービスレベルの向上等、更なる統合効果の発揮を図ることとしました。

加えて、2016年7月の新体制移行を機に、2026年に目指す企業像を「Create Exciting Future ~先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現する~」と定めた新たなグループビジョンを策定し、2017年5月に発表しました。当社グループを取り巻く環境が大きく変化していく中、グループが一体となって、今まで培ってきたITの強みを活かしつつ、既存の枠にとらわれず事業領域を拡げていくことにより、持続的な成長の実現を目指し、4つの戦略ドメインへの転換に向けた具体的な施策等の検討を開始するとともに、経営トップによるグループ役職者以上を対象とした説明会、ビジョンブック配布、浸透研修等、グループ一体感醸成に向けた取組みを推進しました。

その他、当社グループの持続的な成長のために欠かせない経営資源である多様な人材が能力を最大限に発揮できるように、「働き方改革」にも積極的に取り組みました。当社では、「モチベーションの向上」、「職場環境の向上」、「労働環境の向上」の観点から諸施策を推進し、その効果は当連結会計年度の一人当たり教育日数の増加、月平均所定外労働時間の減少、年次有給取得率の増加にも着実に表れています。また、当社をはじめ、株式会社インテック、株式会社アグレックス及びITサービスフォース株式会社が、厚生労働大臣より女性の活躍推進に関する取り組みが優れている企業に与えられる認定マーク「えるぼし」の最高位である3段階目の認定を取得しました。

なお、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、2017年5月から7月にかけて、計908,300株(取得価額の総額2,859百万円)の自己株式の取得を実施しました。

以上の結果、当社グループは、第3次中期経営計画において掲げた全ての計数計画を大きく上回る成果となりました。また、基本コンセプトに基づく施策についても一部に課題は残ったものの、多くが着実に進展いたしました。

 

 

平成30年3月期計画値

平成30年3月期実績値

売上高

4,000億円

4,056億円

営業利益

300億円

327億円

営業利益率

7.5%

8.1%

親会社株主に帰属する

当期純利益

160億円

206億円

当期純利益率

4.0%

5.1%

自己資本当期純利益率(ROE)

8.0%

9.9%

(注)平成30年3月期計画値は、第3次中期経営計画策定時の数値。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて11,815百万円増加し、当連結会計年度末には37,545百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は36,386百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31,545百万円に、資金の増加として、減価償却費12,572百万円などがあった一方、資金の減少として、売上債権の増加1,616百万円、法人税等の支払額9,154百万円などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は14,202百万円となりました。これは主に、資金の増加として、投資有価証券の売却及び償還による収入3,579百万円などがあった一方で、資金の減少として、有形固定資産の取得による支出10,017百万円、投資有価証券の取得による支出1,553百万円、無形固定資産の取得による支出6,447百万円などがあったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は10,543百万円となりました。これは主に、資金の増加として、長期借入れによる収入14,117百万円などがあった一方で、資金の減少として、長期借入金の返済による支出16,559百万円、配当金の支払額3,258百万円、自己株式の取得による支出4,914百万円などがあったことによるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

なお、アウトソーシング・ネットワーク及びソフトウェア開発についてのみ記載しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

ITインフラストラクチャーサービス(百万円)

112,130

110.2

金融ITサービス(百万円)

92,649

115.0

産業ITサービス(百万円)

178,660

103.2

報告セグメント計(百万円)

383,439

107.9

その他(百万円)

合計(百万円)

383,439

107.9

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

金融ITサービス

84,039

111.5

28,461

111.4

産業ITサービス

135,186

101.7

39,255

100.1

合計

219,225

105.2

67,716

104.6

(注)1.ITインフラストラクチャーサービスは継続業務でありますので、金融ITサービス、産業ITサービスについてのみ記載しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

ITインフラストラクチャーサービス(百万円)

128,196

103.8

金融ITサービス(百万円)

92,650

110.6

産業ITサービス(百万円)

179,846

99.8

報告セグメント計(百万円)

400,693

103.4

その他(百万円)

4,955

85.2

合計(百万円)

405,648

103.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載したとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

イ.財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。

 

ロ.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、当社グループの事業内容とその展開状況、事業環境及び業界動向等を総合的に勘案し、以下のようなものがあります。

 

イ.システム開発について

当社グループは顧客企業の各種情報システムや受託開発業務を行っております。業務の推進にあたっては、品質マネジメントシステムに基づき、専任組織による提案審査やプロジェクト工程に応じたレビューを徹底し、継続的な品質管理の高度化や生産性の向上に取り組むとともに、階層別教育を充実化することで管理能力や技術力の向上を図っております。また、グループ生産革新委員会を通じ、品質強化及び生産革新の施策をグループ全体で徹底しております。しかしながら、システム開発が高度化・複雑化・短納期化する中、顧客の要件変更への対応等によって計画通りの品質を確保できない場合や開発期間内に完了しない場合、プロジェクト完遂のための追加対応に伴って費用が想定を大きく上回る可能性があります。また、システム開発にあたっては、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のために多くの会社に業務の一部を委託しています。国内外で優良な協力会社の確保等に努めていますが、生産性や品質が期待に満たない場合には円滑なプロジェクト運営が実現できなくなる等により、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

ロ.システム運用について

当社グループはデータセンター等の大型IT設備を用いて、24時間365日稼働のアウトソーシング事業やクラウドサービス等を行っております。その事業展開にあたっては、初期の設備投資から、安定的に維持、運用するための継続的な設備投資まで多額の資金を要します。事業計画の進捗を管理し、資金回収を行っておりますが、想定を超える需要の低迷等により、稼働状況が著しく低水準で推移した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム運用業務においては、品質マネジメントシステムに基づき、継続的な運用品質の改善を行っておりますが、オペレーション上の人的ミスや機器・設備の故障等によって障害が発生し、顧客と合意した水準でのサービスの提供が実現できない場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

 

 

ハ.投資について

当社グループでは事業伸長や先端技術の獲得を目的にベンチャーを含む国内外の企業への出資やサービス開発のためのソフトウェア投資を行っております。投資の決定にあたっては事業計画に基づき、十分な検討を行い、実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施しております。しかしながら、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果が得られず、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

ニ.人材について

当社グループの事業は人材に大きく依存しており、顧客に専門的で高付加価値を提供する優秀な人材の確保、育成に大きく影響されます。当社グループでは多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、資格取得支援、研修制度の体系化のほか、教育日数を目標化する等、人材の育成に注力しております。しかしながら、優秀な人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

ホ.技術革新について

情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループでは情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進め、その対応を強化しております。しかしながら、広範な領域において、技術革新が急速に進展し、その対応が適切でなかった場合は当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

イ.資金需要

当社グループの資金需要については、営業活動については、材料・外注費及び人件費などの運転資金が主な内容になります。投資活動については、設備投資においては、翌連結会計年度について経常的な設備の更新のための増設、改修等を目的とした投資に加え、サービス型ビジネス推進のためのソフトウェア投資の増加を予定しています。また平成30年度から始まる3カ年の中期経営計画では、先行投資やM&Aなどの成長投資を積極化させる予定です。

 

ロ.財務政策

当社グループは、必要となる資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施することを基本としております。

借入金、社債等の調達については、調達コストの抑制の観点から格付「A」の維持を考慮し、自己資本比率は50%以上を確保、D/Eレシオは0.5倍程度まで許容することを前提としております。

なお、自己株式ついては、自己株式の保有は原則として発行済株式総数の5%を上限とし、5%を超過する保有分については消却することとしています。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、2021年3月期に目指す重要な経営指標として「戦略ドメイン比率50%」、「営業利益430億円」、「営業利益率10%」、「ROE12%」を定めております。

 

e.セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループの属する情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化への迅速な対応が競争力の維持・向上を図る上で重要な課題です。

当社グループでは、次に掲げる3つの領域について研究開発を行っております。

① 人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット関連技術の検証、開発と実証実験

② 先進的なソフトウェア生産技術及びインフラストラクチャー関連技術の開発と適用

③ デジタル時代の社会、都市、企業に向けた先進技術の適用検証、開発と実証実験

 

当社グループの研究開発は、主として当社及び株式会社インテックにおける専門組織が担っているほか、AIやFinTech、ネットワーク技術等、現事業と密接に関連する技術の研究開発については、産官学連携研究から技術開発、サービス開発、事業化に至るまで、各事業を担当する組織で対応しております。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は996百万円です。

 

(1) 人工知能、ビッグデータ、ロボット関連技術

当社グループでは、業務システムの近未来的なユーザインタフェースとして、自然言語を使った利用者とシステムとの豊かなコミュニケーションを実現するために、システムが業務知識を獲得するフレームワークを実現する要素技術の研究開発を行っております。当社ではこの要素技術に関して、北陸先端科学技術大学院大学及び京都工業繊維大学との共同研究を進めております。

また、取引先である企業やその他の法人がさまざまな業務データを電子化して蓄積するとともに、社外にあるソーシャルデータやオープンデータを有効活用する時代を迎え、これらのビッグデータを分析し業務システムに組み込むための技術を開発しています。具体的には、工場における稼働率や歩留まりの改善、設備異常の兆候を検知することによる予兆保全といった領域です。特に予兆保全については、株式会社インテックにおいて、正常・異常の判断方法として広く使われているMT(マハラノビス・タグチ)法よりも高い精度で異常検知できる確率密度を使った独自の方法を開発しました。

ロボット(ロボティクス)領域につきましては、サービスロボット分野のインテグレーション関連技術獲得を目指し、大きく2つのアプローチでの研究開発を行っております。まず、これまで取り組んできた自動走行台車ロボット等のサービスロボット開発での知見に基づき、今後の開発需要が見込めるものの技術者不足や技術者育成が間に合っていないサービスロボット開発を下支えする開発支援ツールの開発に着手しました。次に、複数のロボットベンダーが提供するロボットを連携させ制御するプラットフォーム技術の研究を進めており、2020年3月期には実証実験を行う予定です。

 

(2) ソフトウェア生産技術及びインフラストラクチャー関連技術

ソフトウェア生産技術につきましては、取引先企業の事業変革に対応する業務設計やシステム開発である、いわゆるMode2への対応を拡大するため、お客様やスタートアップ企業と一体となり新規事業の創造に向けたアクセラレータプログラムの実施とアジャイル/DevOps環境の整備を実施しています。当社では、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を適用したスタートアップ企業や共同研究先の大学研究室とともに新規事業創出に向けた活動を推進しています。また、株式会社インテックでは、新規事業創造においてデザイン思考を取り入れることにより、属人的に行われてきた人間中心の考え方や機会探索型のアプローチを体系化し、AIやIoTといったデジタル技術を使用して実現性を仮説検証する取り組みを推進しています。

インフラストラクチャー関連技術においては、株式会社インテックでは、日本学術振興会産学協力研究委員会インターネット 第163委員会の地域間インタークラウド分科会に参加し、大阪大学をはじめとする全国の学術組織と共同で分散コンピュータアーキテクチャの研究を進めています。当社では、Infrastructure as Code(IaC)や仮想化技術を活用したIT基盤及び運用のテストを自動化するためのフレームワークの技術開発を進めるとともに、電気通信大学、ベトナムのホーチミン工科大学とともに分散協調キャッシュ技術に関する共同研究を開始しました。

そのほか、キーボードに頼らない新たな入力デバイスに関する研究開発も行っております。当社では眼鏡型デバイス、株式会社インテックでは腕時計型デバイス(スマートウオッチ)による入力方法の確立に向けた技術開発と適用を進めております。また、株式会社インテックでは、視覚障害者を対象としたスマートフォンによる商品認識・読み上げ技術「音声読み上げスキャナ」を開発し、視覚障害者の買い物支援等の応用に向けた実証実験を行っています。当技術に関しては、一般社団法人テレコムサービス協会のICTビジネス研究会「Challenge IoT Award 2017」においてテレコムサービス協会会長賞を受賞しました。

 

(3) デジタル時代の社会、都市、企業に貢献する先進技術

当社グループでは、中長期的なデジタル時代において、社会、都市、企業が変革するためにICTが果たす役割について、当社及び株式会社インテックでは、電気通信大学、慶應大学、東京大学、会津大学とそれぞれさまざまなテーマについて共同研究を行っています。また、当社では、将来的な決済基盤に関する研究開発の一環として、経済産業省「おもてなしプラットフォーム事業」に参画するとともに、株式会社デジタルガレージと共同設立した戦略技術開発会社DG Technologiesと連携してブロックチェーン技術の蓄積を進めています。一方、株式会社インテックでは、富山県内の企業や大学を対象とした「富山県ものづくり総合見本市」において、ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨の実証実験を行いました。