第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

(基本理念)

当社グループでは、グループ共通の価値観として、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を策定し、公表しています。「OUR PHILOSOPHY」は、グループの経営、企業活動、役員や社員などの構成員において、大切にする考え方やあり方を幅広く明確化しており、当社グループのすべての営みはこの「OUR PHILOSOPHY」を軸に行われます。当社グループは、社会に対して果たすべき役割として、「デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつける」存在を目指してまいります。

 

また、当社グループでは2017年5月に、この先10年を見据えた目指すべき企業像として新たなグループビジョンを定めました。このグループビジョンをTISインテックグループの全員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践することで、TISインテックグループが目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指してまいります。

 

(グループビジョン)

①目指す企業像

「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現します。顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指します。

②戦略ドメイン

目指す企業像を実現すべく、4つの戦略ドメインを定義しました。

 

ストラテジックパートナーシップビジネス

業界トップクラスの顧客に対して、業界に関する先見性と他社が追随できないビジネス・知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う。

ITオファリングサービス

当社グループに蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディーに提供する。

ビジネスファンクションサービス

当社グループに蓄積した業界・業務に関する知見を組み合わせ、先進技術を活用することにより、顧客バリューチェーンのビジネス機能群を、先回りしてサービスとして提供する。

フロンティア市場創造ビジネス

当社グループが保有する技術・業務ノウハウ、顧客基盤を活かして、社会・業界の新たなニーズに応える新市場/ビジネスモデルを創造し、自らが事業主体となってビジネスを展開する。

 

また、当社グループは、事業を通じた社会課題の解決による持続的な社会発展への貢献という企業が本来有する社会的責任に対する認識をよりいっそう深め、中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレートサスティナビリティに関する取組みをよりいっそう強化してまいります。その一環として、2018年7月に国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」に署名するとともに、社会の動向やステークホルダーからの期待、当社グループらしさや成長への重要性を元に、4つの重点テーマとマテリアリティ(重要課題)を特定し、優先して取り組んでいくテーマも明確化しました。当社グループはマテリアリティへの取組みを通じて、SDGsの達成に向けて貢献してまいります。

加えて、高く新しい目標にチャレンジする活力ある企業カルチャーを醸成し、グループの企業と社員が共に法令等の遵守はもとより高いモラルに基づいた誠実かつ公正な企業活動を実践し、社会的責任を果たすことを宣言した「グループCSR基本方針」に基づき、CSRを重視した経営を推進してまいります。

 

 

(2)経営戦略等

当社グループは、中期経営計画(2018-2020)の初年度となる2019年3月期のグループ経営方針を以下のとおりと定め、同計画の目標達成並びにグループ企業価値の向上に向けて諸施策を推進してまいりました。

 

中期経営計画(2018-2020)

基本方針

2019年3月期 グループ経営方針

「持続的な利益成長」

「社員の自己実現重視」

「継続的なスピードある構造転換」

・サービス型への構造転換に向けたスタートダッシュ

・新サービス創出のための積極的な先行投資

・強みの活きる領域での付加価値・生産性の向上

・ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進

・働きがい向上と人材マネジメントの高度化

 

グループ経営方針に基づき、構造転換に向けた積極的な先行投資を行いながらも、顧客のIT投資ニーズへの的確な対応による事業拡大、生産性向上や不採算案件抑制等、収益性向上に向けた取組みを推進してまいりました。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。

当社グループでは、中期経営計画(2018-2020)の基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「継続的なスピードある構造転換」を達成するために、最終年度となる2021年3月期の重要経営指標を以下の通り定め、目標としています。その初年度である2019年3月期では、すべての指標において当連結会計年度の目標を大きく上回る成果となりました。

 

中期経営計画

重要な経営指標

2021年3月期

2019年3月期

計画値

計画値

実績値

戦略ドメイン比率

50%

40%

42%

営業利益

430億円

350億円

380億円

営業利益率

10.0%

8.5%

9.0%

自己資本当期純利益率(ROE)

12.0%

10.2%

11.5%

(注)2021年3月期計画値は、中期経営計画(2018-2020)策定時の数値。

 

 

(4)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、世界経済の先行きには不透明感はあるものの、顧客のデジタル経営への志向が強く、IT投資ニーズが引き続き拡大することが期待されます。AI、IoT、ブロックチェーン等に代表される技術革新を活用したビジネス分野は、日本においても投資は急拡大しており、引き続き投資拡大が続くと想定されます。特に、日本においてはキャッシュレス決済比率が先進国の中では低水準に留まっているものの、経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」において同比率を2025年に40%へ引き上げる宣言を定めたことを受けて、今後、クレジットカードやデビットカード、QRコード決済など多様なキャッシュレス決済手段の更なる普及や、キャッシュレス社会の実現に向けた諸施策の推進などを背景にキャッシュレス決済関連市場の拡大が期待されます。加えて、あらゆる産業において、企業変革と競争力の強化のために、新たなデジタル技術とデジタルデータを活用した「デジタル・トランスフォーメーション」の重要性が高まっており、その実現に向けた戦略的なIT投資の増加も期待されます。このような経営環境を背景とし、事業環境は引き続き堅調に推移することが期待されます。

一方で、デジタル化の急速な進展やグローバルなITプラットフォーマーの台頭などにより、事業環境が急激に変化し、これまでとまったく異なる発想が求められるようになっております。産業構造の変化や社会課題など、外部環境の変化を敏感に汲み取り、そこから当社にとっての重要課題を設定し、ビジネスの成長へと結びつけることがより必要となってきていると認識しております。

また、2017年11月には日本経済団体連合会が「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて企業行動憲章の改定を行うなど、日本企業全体がビジネスイノベーションを発揮し、事業を通しての社会課題の解決や、ダイバーシティ、働き方改革等に取り組んでいくことが求められています。当社グループの属する情報サービス産業においても、先端IT技術を有している高付加価値IT人材の確保が一層難しくなることが想定されており、加えて、社会的な課題である長時間労働の是正、多様な働き方の推進など、働き方を変えていくための職場風土・環境の整備の必要性が高まっていることが、重要な環境変化と認識しております。そのような中、当社グループも社会課題の解決をリードする企業への変革を求められていると認識しております。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループの対処すべき課題は、グループビジョン「Create Exciting Future」が目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指すため、スピード感を持って構造転換を実現し、4つの戦略ドメインを拡充していくことであると認識しております。

当社グループは、構造転換の必要性を強く意識し、「持続的な利益成長」と「社員の自己実現重視」の二つの目標を掲げてまいります。その目標達成のために必要なのが「継続的なスピードある構造転換」であり、具体的には、「コア事業への集中」「先行投資型への転換」「グローバル事業の拡大」といった基本方針に基づき各種施策を進めてまいります。

「コア事業への集中」については、従来からの当社グループの強みである、システムインテグレーションやITサービスでの得意分野や重要・重点顧客ビジネスをさらに強固なものとするために各種施策を推進してまいります。既存事業の収益性を高めるため、グループ生産革新委員会の活動を通じた各種施策による不採算案件の極小化、保守開発の生産性を高めるエンハンスメント革新活動など、付加価値向上、生産性改革による強みの進化を目指す施策を推進してまいります。加えて、日本全体で将来的な人口減少、人材不足等の事業環境を前提条件に、人的リソースの増加を前提としないビジネスモデルへの構造転換を加速させることや、収益性の観点で事業ポートフォリオの見直しを引き続き進めてまいります。

「先行投資型への転換」については、当社グループの事業構造そのものを転換し、スピード・柔軟性を重視し、社会課題の視点から顧客に対して先回りしたビジネスへ転換していくことを目指してまいります。具体的には、当社グループの研究機関で行っているAI、IoT、ロボット等の先端技術の研究や、出資先のベンチャー企業のノウハウや事業との連携を深め、事業創造を促進してまいります。また、顧客同士をつなぐ、顧客と社会をつなぐということを切り口に、お互いの成長を加速させる事業創造を進めてまいります。

「グローバル事業の拡大」については、これまでも特に成長著しいASEANのマーケット獲得のために各国の有力IT企業との資本・業務提携を通じた展開を加速してまいりましたが、今後もASEANトップクラスのIT連合体を目指すため、当社グループの強みである決済、銀行及びERP領域をグローバルでの強みとすべく強化してまいります。また、欧米や中国等のIT先進国の企業との提携等を積極的に展開することで、当社グループの成長エンジンに組み込み、日本市場やASEAN市場に投入するソリューションを充実させてまいります。

また、これら施策の実現を強力に下支えするため、「人材の高度化」「経営管理の高度化」も引き続き進めてまいります。

「人材の高度化」については、社員の自己実現を重視し多様な人財が活躍できる仕組み・風土構築を通じて働きがい向上に努めてまいります。社員が仕事を通して自己実現を図り、より高い成果を生み出せるよう、職場風土・環境の整備に取り組む施策をまとめた「TIS人事本部マニフェスト」を策定し、60歳以降も処遇制度が変わらない「65歳定年制度」の導入など、各種施策を着実に実行してまいります。こうした取り組みの結果、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2019~ホワイト500~(大規模法人部門)」に当社グループの中核会社2社が認定されました。引き続き、働き方改革および健康経営を積極推進し、社員一人ひとりの成長と会社の持続的な発展を目指し、各種制度や職場環境の整備を進めてまいります。

「経営管理の高度化」については、グループ共通の価値観であるグループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」およびグループビジョンの策定と浸透活動の推進、独立社外取締役の増員と多様性の確保、「指名委員会」「報酬委員会」の設置及び内部統制管理体系を整理・集約しグループ内部統制委員会に一本化するなど、事業持株会社体制への移行を機に体制を整えてまいりました。また、グループ経営管理の高度化を実現するため、グループ基幹システムの統合等による業務効率化を行う「本社系機能高度化プロジェクト“G20”」を推進してまいります。

これらの対処すべき課題認識を踏まえ、2018年度から始まる3か年の中期経営計画では、「Transformation to 2020 ~グループ一体となり構造転換を実現し、社会の課題解決をリードする企業へ~」のスローガンとともに、2021年3月期に目指す重要な経営指標として「戦略ドメイン比率50%」「営業利益430億円」「営業利益率10%」「ROE12%」を定めました。初年度となる2019年3月期では、すべての指標において当連結会計年度の目標を大きく上回る成果となりました。これからも、「グループビジョン2026」の達成に向けた土台構築のため、スピード感のある構造転換の実現と当社グループの企業価値向上に向け、各種施策に精力的に取り組んでまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業(経営成績及び財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 競争激化、価格競争について

情報サービス産業では事業者間の競争が激しく、他業種からの新規参入等も進んでいることから、価格競争が激化する可能性があります。当社グループでは、提供するサービスの高付加価値化等により競合他社との差別化を図るとともに、生産性向上にも取り組んでおります。しかしながら、想定を超える価格競争が発生した場合には、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(2) 法制度、コンプライアンスについて

当社グループは、国内外の法令や規制の下で各種事業活動を展開しております。これらの展開にあたっては、グループCSR基本方針に基づき、コンプライアンス体制を構築し、法令遵守の徹底に取り組んでおります。しかしながら、法令違反等が発生した場合、また新たな法規制が追加された場合には、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(3) 海外事業について

当社グループは成長戦略の一環として、ASEANを中心とした海外事業の拡大を進めております。海外事業は、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主幹組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。しかしながら、これらのリスクが予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(4) システム開発について

当社グループは顧客企業の各種情報システムや受託開発業務を行っております。業務の推進にあたっては、品質マネジメントシステムに基づき、専任組織による提案審査やプロジェクト工程に応じたレビューを徹底し、継続的な品質管理の高度化や生産性の向上に取り組むとともに、階層別教育を充実化することで管理能力や技術力の向上を図っております。また、グループ生産革新委員会を通じ、品質強化及び生産革新の施策をグループ全体で徹底しております。しかしながら、システム開発が高度化・複雑化・短納期化する中、顧客の要件変更への対応等によって計画通りの品質を確保できない場合や開発期間内に完了しない場合、プロジェクト完遂のための追加対応に伴って費用が想定を大きく上回る可能性があります。また、システム開発にあたっては、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のために多くの会社に業務の一部を委託しています。国内外で優良な協力会社の確保等に努めていますが、生産性や品質が期待に満たない場合には円滑なプロジェクト運営が実現できなくなることや顧客による損害賠償リスク等により、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(5) システム運用について

当社グループはデータセンター等の大型IT設備を用いて、24時間365日稼働のアウトソーシング事業やクラウドサービス等を行っております。その事業展開にあたっては、初期の設備投資から、安定的に維持、運用するための継続的な設備投資まで多額の資金を要します。事業計画の進捗を管理し、資金回収を行っておりますが、想定を超える需要の低迷等により、稼働状況が著しく低水準で推移した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム運用業務においては、品質マネジメントシステムに基づき、継続的な運用品質の改善を行っておりますが、オペレーション上の人的ミスや機器・設備の故障等によって障害が発生し、顧客と合意した水準でのサービスの提供が実現できない場合、また想定を超えてデータセンター等の顧客利用状況の変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(6) 投資について

当社グループでは事業伸長や先端技術の獲得を目的にベンチャーを含む国内外の企業への出資やサービス開発のためのソフトウェア投資を行っております。投資の決定にあたっては事業計画に基づき、十分な検討を行い、実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施しております。しかしながら、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果が得られず、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

(7) 情報セキュリティについて

当社グループでは、システム開発から運用段階に至るまで、顧客企業が有する個人情報や顧客企業のシステム技術情報等の各種機密情報を知りうる場合があります。TISインテックグループ情報セキュリティ方針に基づき、情報の適切な管理に努めておりますが、コンピュータウィルス、不正アクセス等の理由により、これらの機密情報の漏洩や改竄などが発生した場合、顧客企業等から損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招き、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(8) 人材について

当社グループの事業は人材に大きく依存しており、顧客に専門的で高付加価値を提供する優秀な人材の確保、育成に大きく影響されます。当社グループでは多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、資格取得支援、研修制度の体系化のほか、教育日数を目標化する等、人材の育成に注力しております。しかしながら、優秀な人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(9) 技術革新について

情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループでは情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進め、その対応を強化しております。しかしながら、広範な領域において、技術革新が急速に進展し、その対応が適切でなかった場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

当社グループが事業を遂行するうえで、必要となる技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、国内外において各種の商標を登録しております。一方で当社グループでは第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社グループの事業が他社の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があります。いずれの場合も、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(11) 自然災害について

当社グループでは、データセンター等の大型IT設備を用いて、アウトソーシング事業やクラウドサービスを行っております。データセンターの施設は各種災害に対して、様々な設備環境を整備しております。しかし、想定を超える長期の停電や大規模自然災害、国際紛争、テロ及び重大な犯罪行為等により、データセンターの円滑な稼働が阻害されるような事態が発生した場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(12) 保有有価証券について

当社グループでは、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、取引先との長期的・安定的な関係の構築や、営業推進などを目的として株式を、また資金運用を目的として債券を保有しています。これらの有価証券については、発行体の財政状態や業績動向、格付状況などを把握し安全性を十分確認していますが、株式相場の著しい変動などが生じた場合、会計上の損失等、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりとなります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等により、緩やかな回復基調が続きました。

当社グループの属する情報サービス産業は、期中に公表された日銀短観におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)がいずれも前年度比増加を示す等、デジタル経営志向を強め、ITの積極活用による経営戦略実現を目指す企業のIT投資動向の強まりを反映し、当連結会計年度の事業環境は好調に推移しました。

このような状況の中、当社グループは、「グループビジョン2026」の達成に向けた土台構築のため、当連結会計年度から新たな3か年の中期経営計画を開始し、スピード感のある構造転換と企業価値向上の実現に向けて諸施策を推進しました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,702百万円増加の370,657百万円(前連結会計年度末366,954百万円)となりました。

流動資産は、176,231百万円(前連結会計年度末162,064百万円)となりました。これは主に現金及び預金が19,558百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は、194,426百万円(前連結会計年度末204,889百万円)となりました。これは主に投資有価証券が11,046百万円減少したこと等によるものであります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,407百万円減少の136,248百万円(前連結会計年度末140,655百万円)となりました。

流動負債は、91,126百万円(前連結会計年度末81,310百万円)となりました。これは主に未払法人税等が3,160百万円増加したこと等によるものであります。

固定負債は、45,121百万円(前連結会計年度末59,344百万円)となりました。これは主に長期借入金が6,984百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産合計)

純資産は、234,408百万円(前連結会計年度末226,298百万円)となりました。これは主に利益剰余金が22,405百万円増加したこと等によるものであります。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の60.4%から62.0%に上昇し、自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度末の9.9%から11.5%と上昇しています。

 

セグメント別の財政状態は以下のとおりです。

 

イ.サービスIT

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて5,422百万円増加し、66,234百万円となりました。

ロ.BPO

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて622百万円減少し、10,589百万円となりました。

ハ.金融IT

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて504百万円増加し、17,147百万円となりました。

ニ.産業IT

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて18,057百万円減少し、71,370百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高420,769百万円(前期比3.7%増)、営業利益38,043百万円(同16.2%増)、経常利益38,603百万円(同17.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益26,034百万円(同26.3%増)となりました。

売上高については、IT投資動向が強まりを見せる分野において顧客ニーズを的確に捉えたこと等が牽引し、前期を上回りました。営業利益については、増収効果に加えて、売上総利益率が22.5%(前期比1.7ポイント増)に向上したことにより売上総利益が増加し、構造転換に向けた対応強化を中心とする販売費及び一般管理費の増加を吸収したことから前期比増益となり、営業利益率は9.0%(前期比0.9ポイント増)となりました。また、経常利益については、主に営業利益の増加を背景として前期比増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、上述の要因及び特別損益の改善により前期比増益となりました。なお、当連結会計年度において、特別利益19,051百万円及び特別損失18,876百万円を計上しましたが、この主な内容は、特別利益については投資有価証券売却益17,829百万円であり、特別損失についてはデータセンター移転関連費用8,800百万円及び連結子会社の売却・整理に係る損失2,935百万円です。

なお、当社は、2018年8月に、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点等、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される「JPX日経インデックス400」の構成銘柄に選定されました。

 

セグメント別の状況は以下のとおりです。当社グループは、構造転換の推進に向けた当社マネジメント体制の変更に伴い、当連結会計年度からセグメント区分を変更しています。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでおり、前期比は前期の数値を変更後のセグメントに組み替えたものを用いています。

 

イ.サービスIT

当社グループ独自の業務・業種ノウハウを汎用化・テンプレート化した知識集約型ITサービスを提供するビジネス(初期構築・ERP等を含む。)で構成されています。

当連結会計年度の売上高は117,617百万円(前期比16.9%増)、営業利益は8,519百万円(同4.7%増)となりました。決済関連ビジネスの拡大やERP更新需要の強まり等が、事業強化のための先行投資費用増等を吸収したことから、前期比増収増益となりました。営業利益率は、事業強化のための先行投資費用増等により、7.2%(前期比0.8ポイント減)となりました。

 

ロ.BPO

豊富な業務・ITノウハウを活用し、マーケティング・販促業務や事務・契約業務等のビジネスプロセスアウトソーシングを提供するビジネスで構成されています。

当連結会計年度の売上高は36,231百万円(前期比5.3%減)、営業利益は1,843百万円(同12.6%増)となりました。売上高は概ね安定的に推移したものの、コア事業への集中の一環として一部の連結子会社についてその全株式をグループ外に譲渡した影響が大きく、前期比減収となりましたが、営業利益は取引採算性の見直し等の取組みを強化したことから、前期比増益となり、営業利益率は5.1%(前期比0.8ポイント増)となりました。

 

ハ.金融IT

金融業界に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営の支援を行うビジネスで構成されています。

当連結会計年度の売上高は106,436百万円(前期比0.2%減)、営業利益は12,797百万円(同12.9%増)となりました。売上高はクレジットカード系を中心として根幹先顧客におけるIT投資拡大の動きが堅調な中、大型開発案件の反動減の影響等により、前期比微減となりました。営業利益は高付加価値ビジネスの推進及び生産性改善等により、前期比増益となり、営業利益率は12.0%(前期比1.4ポイント増)となりました。

 

ニ.産業IT

金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営の支援を行うビジネスで構成されています。

当連結会計年度の売上高は189,595百万円(前期比7.4%増)、営業利益は14,777百万円(同28.4%増)となりました。エネルギー系をはじめとして幅広い顧客のIT投資拡大の動き等により、前期比増収増益となり、営業利益率は7.8%(前期比1.3ポイント増)となりました。

 

ホ.その他

リースなどの情報システムを提供する上での付随的な事業及びその他で構成されています。

当連結会計年度の売上高は8,982百万円(前期比16.0%減)、営業利益は961百万円(同4.8%減)となり、営業利益率は10.7%(前期比1.3ポイント増)となりました。主に、グループのシェアードサービスを担うITサービスフォース株式会社を当社に吸収合併したことに伴い、同社事業に相当する業績について計上するセグメントを第2四半期連結会計期間から変更したことによる影響です。

 

上述のとおり、当社グループは「グループビジョン2026」の達成に向けた土台構築のため、当連結会計年度から新たな3か年の中期経営計画を開始しました。5つの基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「コア事業への集中」「先行投資型への転換」「グローバル事業の拡大」のもと、スピード感のある構造転換と企業価値向上の実現を目指します。

 

新中期経営計画の初年度となる2019年3月期については、グループ経営方針に基づき、各種施策に精力的に取り組みました。

中期経営計画(2018-2020)

基本方針

2019年3月期 グループ経営方針

「持続的な利益成長」

「社員の自己実現重視」

「継続的なスピードある構造転換」

・サービス型への構造転換に向けたスタートダッシュ

・新サービス創出のための積極的な先行投資

・強みの活きる領域での付加価値・生産性の向上

・ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進

・働きがい向上と人材マネジメントの高度化

 

当連結会計年度における主な取組み状況は以下のとおりです。

 

イ.サービス型への構造転換に向けたスタートダッシュ

「クラウド&セキュリティ」のソリューション軸と「コンサルティング&マネージドサービス」のサービス軸を組み合わせたワンストップ型の付加価値提供をコンセプトとする新事業ブランド「Platform Square」を立ち上げ、クラウドとセキュリティ事業を強化することとしました。クラウド及びセキュリティ関連の全ソリューション及び各分野のスペシャリストを「Platform Square」のもとに集結し、人員を増強するとともに、サービスコンサルティングからマネージドサービスまでの多種多様なソリューションを組み合わせることにより、新規サービス創出等を通じた事業拡大を加速しています。

決済関連分野における取組みとしては、株式会社三菱UFJ銀行と共同で「トークンリクエスタ代行サービス」に取り組み、モバイル・デジタルウォレット事業者に展開していくこととしました。同サービスは、スマートフォンのみならず、ウェアラブル端末、IoT機器等の各種デバイスに決済ID情報をトークン化してセキュアに格納するサービスであり、当社の技術が採用されています。今後、株式会社三菱UFJ銀行のペイメント事業に係る専門性と当社のペイメントIT基盤構築・運用で培われた知見という両社の強みを活かして共同でサービス開発を進め、将来的には、様々なデバイスがインターネットに接続されたIoT社会において、決済時の安心を担保するセキュリティインフラの一端を担うことを目指してまいります。また、訪日外国人の日本国内における決済の利便性向上を図る取組みの一つとして、三井住友カード株式会社と提携し、銀聯の国際決済ブランドのQRコード決済である「銀聯QRコード決済」に対応した当社の決済サービス「QR×DRIVE(キューアール・ドライブ)」を共同で提供していくこととしました。この中で当社は、日本初のITプロセッシングサービス事業者として「QR×DRIVE」決済アプリを提供するほか、POSや決済端末、無人精算機等で利用可能なAPI等によるQR決済ゲートウェイサービスを提供してまいります。

 

ロ.新サービス創出のための積極的な先行投資

最先端技術の獲得とそのグローバル市場への投下の実現に向けた取組みの一つとして、企業間取引向けブロックチェーン関連技術(分散台帳技術/ Distributed Ledger Technology)において世界トップクラスの実績・ブランドを誇る米国スタートアップ企業であるR3 HoldCo LLCと資本・業務提携を行いました。また、ロボットインテグレーション(ロボティクス技術とICT技術の連携)のエンタープライズ領域におけるビジネス化を推進する目的で、ベンチャー投資制度「コーポレートベンチャーキャピタル」からのシード出資や連携を実施してきた自律移動型ロボット開発のベンチャー企業SEQSENSE株式会社に対して、追加出資を行いました。それとともに、これまでの「コーポレートベンチャーキャピタル」を通じたオープンインベーション推進の取組みを踏まえ、技術進歩がめざましく各企業から注目度の高いAI分野においては、特にスピーディな判断とベンチャー企業との密接な連携を可能とすべく、「AI特化コーポレートベンチャーキャピタル」を新設し、出資を実施しています。さらに、大手企業とスタートアップ企業とのビジネスコラボレーションを目指す「TIS共創イノベーション・コンソーシアム」を開始し、イノベーションのエコシステムの早期実現に向けた取組みを加速させています。

また、グループ全体のR&D部門の結集を通じた研究・調査機能の強化や情報発信・連携の強化、研究から事業化への円滑化や事業創造におけるエコシステムの実現を目指し、「グループラボラトリー」機能をコミュニティ型ワークスペースWeWorkに開設しました。

 

ハ.強みの活きる領域での付加価値・生産性の向上

これまでに培ってきたクレジット基幹業務システム「CreditCube」の技術・ノウハウを最大限に活用し、共通化のメリットと独自性のバランスを考慮した構造による競争力とコスト削減の両立が可能な次世代カードプロセシングサービス「CreditCube+」の提供に向けてファーストユーザーとなる企業との間でプロジェクトを開始する等、準備を進めています。また、電子決済サービス「Alipay(支付宝/アリペイ)」が鉄道改札機で直接利用できるサービスの実現に向けて沖縄都市モノレール株式会社が運行する「ゆいレール」での計6社による実証実験に参画し、決済中継センターの構築、運営、ならびに加盟店とアクワイアラとの精算業務の代行を通じて、訪日外国人旅行者の課題解決への貢献及び事業拡大機会の創出に取り組んでいます。また、株式会社インテックでは、地方銀行向けに豊富な実績を有する統合CRMソリューション「F3(エフキューブ)」をクラウド化するとともに、アンチ・マネー・ロンダリングシステムやローン自動審査サービス等のオプションサービスを新たに開発し、提供を開始する等、高付加価値化の取組みを推進しています。その他、さらなる収益力向上に向けて不採算案件の撲滅やエンハンスメント革新についての取組みを引き続き推進しており、その成果は着実に売上総利益率の向上として表れています。

 

ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進

資本・業務提携を通じた関係強化及び連携促進によるグローバル事業の展開加速の一環として、持分法適用関連会社であるインドネシア上場大手IT企業PT Anabatic Technologies Tbkが発行した転換社債型新株予約権付社債を取得しました。それとともに、今後、同社がさらなる企業成長のために推進していくQRコードやブロックチェーン等を活用した新しい決済サービス等の新規事業開発を加速させるべく、当社が主導する形で、当社の資本・業務提携先である上述のR3 HoldCo LLC及びQRコード決済ソリューションの提供等で豊富な実績を有する上海訊聯数据服務有限公司(CardInfoLink)との協業スキームの構築を推進しています。タイにおいては、同じく持分法適用関連会社であり、エンタープライズ向けITソリューション提供のリーディングプレイヤーである上場IT企業MFEC Public Company Limitedの株式を追加取得し、出資比率を高めました。また、ベトナムにおけるQR決済サービス事業等の決済関連事業を共同で推進していくため、ベトナムの大手IT企業TinhVan Technologies JSC.と資本・業務提携契約を締結しました。

 

ホ.働きがい向上と人材マネジメントの高度化

2018年4月に新設した人事本部がマニフェストを策定するとともに「働きがいの高い会社」を目指す活動方針として公開する等、「働き方改革」及び「健康経営」を通じた多様な社員一人ひとりの成長と会社の持続的な発展の実現に向けて注力しています。マニフェストでは、人事本部が担う3つの使命に沿って「評価・処遇・報酬」「働き方改革・健康経営・ダイバーシティ」「採用・育成・配置」の観点から様々な施策を掲げ、その内容に基づく各施策を順次実施しており、その一環として、当社は職種に基づく基本給・賞与、人事評価等の処遇制度が60歳以降も変わらない「65歳定年制度」の導入を決定しました。こうした健康経営に向けた取組みをグループとして推進した結果、グループの中核2社である当社及び株式会社インテックが、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2019~ホワイト500~(大規模法人部門)」に認定されました。また、当社は、社員が自律的に働く場所と時間を選べる環境を整備するためにテレワークを推進してきた結果、総務省が実施している「テレワーク先駆者百選」において、テレワークの導入・活用を進めている企業として選定されました。

 

その他、グループフォーメーションの最適化に向けて、収益性の観点から事業ポートフォリオの見直しを推進する一環として、国内においてはBPO関連の連結子会社2社(ACメディカル株式会社及び株式会社興伸)の全株式をグループ外へ譲渡し、海外においては連結子会社である天津堤愛斯海泰信息系統有限公司(中国)の全持分についてグループ外への譲渡に関する契約を締結しました。

また、本社機能の高度化・効率化推進に向けて、当社及び株式会社インテックを中心としたグループ横断的なプロジェクトを立ち上げ、多面的な検討を進めています。この一環として、グループのシェアードサービスを担うITサービスフォース株式会社を当社に吸収合併し、機能集約を図りました。また、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、2018年5月から7月にかけて、計809,100株(取得価額の総額4,209百万円)の自己株式の取得を実施しました。

 

当社は、2019年1月にグループ基本理念として新たに策定した「OUR PHILOSOPHY」を発表しました。当社グループは、「OUR PHILOSOPHY」をグループの共通の価値観としてすべての活動の基本軸として位置づけ、ゆるぎない企業活動へとつなげていくことを通じ、「デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつける」存在を目指してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて19,538百万円増加し、当連結会計年度末には57,083百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は37,558百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益38,778百万円に、資金の増加として、減価償却費12,783百万円、売上債権の減少4,809百万円などがあった一方、資金の減少として、投資有価証券売却損益17,550百万円などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は1,213百万円となりました。これは主に、資金の増加として、投資有価証券の売却及び償還による収入20,897百万円などがあった一方で、資金の減少として、有形固定資産の取得による支出6,657百万円、投資有価証券の取得による支出8,029百万円、無形固定資産の取得による支出8,160百万円などがあったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は16,773百万円となりました。これは主に、資金の増加として、長期借入れによる収入10,049百万円などがあった一方で、資金の減少として、長期借入金の返済による支出15,173百万円、配当金の支払額3,925百万円、自己株式の取得による支出4,673百万円などがあったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

なお、アウトソーシング・ネットワーク及びソフトウェア開発についてのみ記載しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

サービスIT(百万円)

96,824

111.6

BPO(百万円)

22,941

129.9

金融IT(百万円)

103,577

92.0

産業IT(百万円)

174,733

105.0

報告セグメント計(百万円)

398,077

103.8

その他(百万円)

合計(百万円)

398,077

103.8

(注)1.金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度におけるソフトウェア開発に係る受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

サービスIT

47,513

111.1

13,746

113.2

金融IT

69,173

97.5

24,572

105.4

産業IT

121,610

115.3

37.230

115.4

合計

238,298

108.7

75,549

111.6

(注)1.BPOはセグメントの特性によりソフトウェア開発がありません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

サービスIT(百万円)

104,154

111.1

BPO(百万円)

33,134

94.9

金融IT(百万円)

106,103

99.7

産業IT(百万円)

172,949

104.4

報告セグメント計(百万円)

416,342

103.9

その他(百万円)

4,427

90.4

合計(百万円)

420,769

103.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載したとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

イ.財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。

 

ロ.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、当社グループの事業内容とその展開状況、事業環境及び業界動向等を総合的に勘案し、以下のようなものがあります。

 

イ.システム開発について

 当社グループは顧客企業の各種情報システムや受託開発業務を行っております。業務の推進にあたっては、品質マネジメントシステムに基づき、専任組織による提案審査やプロジェクト工程に応じたレビューを徹底し、継続的な品質管理の高度化や生産性の向上に取り組むとともに、階層別教育を充実化することで管理能力や技術力の向上を図っております。また、グループ生産革新委員会を通じ、品質強化及び生産革新の施策をグループ全体で徹底しております。しかしながら、システム開発が高度化・複雑化・短納期化する中、顧客の要件変更への対応等によって計画通りの品質を確保できない場合や開発期間内に完了しない場合、プロジェクト完遂のための追加対応に伴って費用が想定を大きく上回る可能性があります。また、システム開発にあたっては、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のために多くの会社に業務の一部を委託しています。国内外で優良な協力会社の確保等に努めていますが、生産性や品質が期待に満たない場合には円滑なプロジェクト運営が実現できなくなることや顧客による損害賠償リスク等により、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

ロ.システム運用について

 当社グループはデータセンター等の大型IT設備を用いて、24時間365日稼働のアウトソーシング事業やクラウドサービス等を行っております。その事業展開にあたっては、初期の設備投資から、安定的に維持、運用するための継続的な設備投資まで多額の資金を要します。事業計画の進捗を管理し、資金回収を行っておりますが、想定を超える需要の低迷等により、稼働状況が著しく低水準で推移した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム運用業務においては、品質マネジメントシステムに基づき、継続的な運用品質の改善を行っておりますが、オペレーション上の人的ミスや機器・設備の故障等によって障害が発生し、顧客と合意した水準でのサービスの提供が実現できない場合、また想定を超えてデータセンター等の顧客利用状況の変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

ハ.投資について

 当社グループでは事業伸長や先端技術の獲得を目的にベンチャーを含む国内外の企業への出資やサービス開発のためのソフトウェア投資を行っております。投資の決定にあたっては事業計画に基づき、十分な検討を行い、実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施しております。しかしながら、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果が得られず、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

ニ.人材について

 当社グループの事業は人材に大きく依存しており、顧客に専門的で高付加価値を提供する優秀な人材の確保、育成に大きく影響されます。当社グループでは多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、資格取得支援、研修制度の体系化のほか、教育日数を目標化する等、人材の育成に注力しております。しかしながら、優秀な人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

ホ.技術革新について

 情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループでは情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進め、その対応を強化しております。しかしながら、広範な領域において、技術革新が急速に進展し、その対応が適切でなかった場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

イ.資金需要

 当社グループの資金需要について、営業活動においては、材料・外注費及び人件費などの運転資金が主な内容になります。投資活動においては、当連結会計年度から開始した3か年の中期経営計画の中で掲げる最大800億円想定の投資戦略に基づき、サービス型ビジネス推進のためのソフトウェア投資をはじめとする先行投資やM&A等、構造転換推進のための成長投資を積極化させる方針です。その他、経常的な設備の更新のための増設、改修等を目的とした設備投資を予定しています。

 

ロ.財務政策

 当社グループは、必要となる資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施することを基本としております。借入金、社債等の調達については、調達コストの抑制の観点から格付「A」の維持を考慮し、自己資本比率は50%以上を確保、D/Eレシオは0.5倍程度まで許容することを前提としております。

 なお、自己株式については、自己株式の保有は原則として発行済株式総数の5%を上限とし、5%を超過する保有分については消却することとしています。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 システムの複雑化・大規模化、サービス化の進展、グローバル化の流れ、更には急速に進む技術革新等、経営環境が大きく変動する中、当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指しております。

 当社グループでは、中期経営計画(2018-2020)の基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「継続的なスピードある構造転換」を達成するために、最終年度となる2021年3月期の重要経営指標を以下の通り定め、目標としています。その初年度である2019年3月期では、グループ経営方針に基づき、各種施策に精力的に取り組んだ結果、すべての指標において当連結会計年度の目標を大きく上回る成果となり、中期経営計画の目標達成に向けて順調に進捗しております。

 

中期経営計画

重要な経営指標

2021年3月期

2019年3月期

計画値

計画値

実績値

戦略ドメイン比率

50%

40%

42%

営業利益

430億円

350億円

380億円

営業利益率

10.0%

8.5%

9.0%

自己資本当期純利益率(ROE)

12.0%

10.2%

11.5%

(注)2021年3月期計画値は、中期経営計画(2018-2020)策定時の数値。

 

e.セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループでは、次に掲げる3つの領域について研究開発を行っております。

(1) Society 5.0時代の社会、都市、企業に貢献する先進技術

(2) 働き方改革を実現する人工知能(AI)、ロボティクス、複合現実(MR)

(3) 先進的なソフトウェア生産技術およびインフラストラクチャ関連技術

研究開発体制としては、主としてTIS株式会社および株式会社インテックの専任担当組織が担ってきましたが、研究開発を強化するために2018年11月に拠点を統合しました。そのほか、各社各事業組織においても、それぞれ現事業強化のための研究開発を行っています。

当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、1,003百万円です。

 

(1) Society 5.0時代の社会、都市、企業に貢献する先進技術

政府が推進するSociety 5.0では、これまで企業内・業界内で流通していたデータがあらゆる分野に流通し、利活用される社会システムが想定されています。これをうけて民間主導で設立された一般社団法人データ流通推進協議会および一般社団法人官民データ活用共通プラットフォーム協議会について、当社グループが中核企業として参画し、社会実装に向けた検証を担っています。

Society 5.0を支えるネットワークインフラストラクチャとしては、携帯電話キャリアの5G化やLPWA(Low Power Wide Area)といった技術の発展に伴い、IoT機器に対するサイバー攻撃リスクを低減するために、脆弱性に対する自動診断、機器認証、情報の保護に関する研究を行っています。

その他、地域向け仮想通貨を含むブロックチェーン技術、個人の所有する家電の情報をまとめて管理する技術、顔写真から脳波・血管年齢を算出しデータ化する技術などについて、技術開発と実証実験を行いました。

また、Society 5.0時代において、社会、都市、企業が変革するためにICTが果たす役割について、東京大学、慶應義塾大学、電気通信大学、会津大学等とそれぞれ広範なテーマについて共同研究を行っています。

 

(2) 働き方改革を実現する人工知能(AI)、ロボティクス、複合現実(MR)

労働人口が減少する過程において働き方改革による生産性の向上が求められる中、エンタープライズシステムの将来の姿として、人工知能(AI)がその中核において企業の意思決定支援を行うとともに、人に代替し、あるいは人ができないことを行うためのロボティクス、および、お互い遠隔地にいる人同士が連携することのできる複合現実(MR)が重要技術であると考えており、それぞれの技術開発を進めています。

人工知能(AI)については、金融業や製造業などの企業と共同で、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の活用についての研究と技術開発を行っています。また、昨今、自然言語処理・機械学習における課題を克服するためのツールを開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。さらに、領収書、請求書等の様々なフォーマット帳票(非定型帳票)の文字を読み込む技術の開発を進めています。また、ダイバーシティが重視される社会に向けて、人工知能の一種である物体認識技術を活用して視覚障がい者の活動を支援するアプリケーションを開発しました。

ロボティクスについては、企業におけるロボット活用市場の振興を企図し、技術開発の成果を広く公開するオープンソース・ソフトウェア戦略を採用しています。複数のロボットが連携して作業支援を行うためのプラットフォームソフトウェア、および、ロボット開発者向け開発・管理環境ユーティリティをそれぞれ開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。

複合現実(MR)は、主にゴーグル型端末を用いて、現実の情報に仮想の情報を重ね合わせて表示する技術です。エンタープライズ分野での複合現実技術の活用に向けて、互いに遠隔にいる複数の人々が体験を共有できる技術を開発し、実証実験を行いました。

 

(3) 先進的なソフトウェア生産技術およびインフラストラクチャ関連技術

ソフトウェア生産技術については、デザイン思考、プロトタイピング、アジャイル開発などの基本的な技術獲得を進めており、顧客企業との新規ビジネス共創に活用しています。

インフラストラクチャ関連技術では、分散コンピューティングアーキテクチャーの学術研究を継続しているほか、ネットワーク構成を自動収集し可視化することにより運用の自動化を実現するための技術開発を行っています。