当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
(基本理念)
当社グループでは、グループ共通の価値観として、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を策定し、公表しています。「OUR PHILOSOPHY」は、グループの経営、企業活動、役員や社員などの構成員において、大切にする考え方やあり方を幅広く明確化しており、当社グループのすべての営みはこの「OUR PHILOSOPHY」を軸に行われます。当社グループは、社会に対して果たすべき役割として、「デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつける」存在を目指してまいります。
また、当社グループではグループビジョンを定めており、TISインテックグループの全員で共有し、一人ひとりが日常業務の中で実践することで、TISインテックグループが目指す理想の実現及び更なる企業価値の向上を目指してまいります。
(グループビジョン)
①目指す企業像
「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現します。顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指します。
②戦略ドメイン
目指す企業像を実現すべく、4つの戦略ドメインを定義しました。
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ストラテジックパートナーシップビジネス |
業界トップクラスの顧客に対して、業界に関する先見性と他社が追随できないビジネス・知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う。 |
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ITオファリングサービス |
当社グループに蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディーに提供する。 |
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ビジネスファンクションサービス |
当社グループに蓄積した業界・業務に関する知見を組み合わせ、先進技術を活用することにより、顧客バリューチェーンのビジネス機能群を、先回りしてサービスとして提供する。 |
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フロンティア市場創造ビジネス |
当社グループが保有する技術・業務ノウハウ、顧客基盤を活かして、社会・業界の新たなニーズに応える新市場/ビジネスモデルを創造し、自らが事業主体となってビジネスを展開する。 |
(2)経営戦略等
市場環境において、企業の成長や競争力強化のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)といわれるデジタル技術を活用した業務プロセスの変革やビジネスモデルの変革に対しての活動が今まで以上に拡大しています。この状況に対して、グローバルのITプラットフォーマーやコンサルティングファームの躍進など、IT市場における競争は大きく変動しております。
当社グループはIT業界のリーディングカンパニーとして、豊かな未来社会実現の一翼を担う企業グループを目指し、中期経営計画(2021-2023)を策定しました。本中期経営計画では「Be a Digital Mover 2023」をスローガンに、グループビジョン2026の達成に向けた成長加速のため、DX提供価値の向上を基軸とした、事業構造転換の実現に取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、DX提供価値の向上を基軸とした事業構造転換にて事業の継続的な拡大と企業価値のさらなる向上を目指しております。中期経営計画(2021-2023)では「売上高5,000億円」「営業利益(営業利益率)580億円(11.6%)」「EPS(1株当たり当期純利益)の年平均成長率10%超」「戦略ドメイン比率60%」「社会課題解決型サービス事業売上高500億円」を掲げています。
(4)経営環境
新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和され、新たな労働環境が浸透する中で、先行きについては、世界経済の不透明化に伴う供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクなど、多くの事柄を注視する必要があります。
このような中、当社グループは国内市場においてはペイメント領域を中心に、事業の重要な企業インフラを構築し、かつ安定的に支え、柔軟な対応によりスピーディなサービス提供の遂行を通じて成長してきました。また、更に事業を飛躍的に加速させる力となりうるのが、グローバルでのバリューチェーン連携だと認識し、海外のスピード感を取り入れ、日本における当社グループの強みを組み合わせることで、グローバルにおける競争力と当社の優位性のあるポジションを確立してまいりました。
当社グループが更なる持続的な成長を実現するためには、国内の既存事業領域における優位性をより高め、加えて社会課題解決につながる新規事業の創生と開拓が必要と認識しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、全方位のステークホルダーとの価値交換を通じて、継続的な事業拡大と持続可能な社会の実現を目指し、当社グループのミッションである「デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつける」を体現すべく、顧客や社会のデジタル化に向けた課題に対する戦略立案から解決策の実行まで一気通貫の価値提供を目指し、さらには社会課題解決の実現を目指してまいります。
実現に向けて注力すべき取組みとして、「DX提供価値の向上」「グローバル事業の拡大」「人材の先鋭化・多様化」「経営マネジメントの高度化」の4つを設定しています。
①DX提供価値の向上
DX領域に関しては、国内トップレベルのペイメント領域をはじめ、データアナリティクス、AI・ロボティクス、ヘルスケア、エネルギーマネジメントなどグループに培われた強みを中心として、お客様の業務プロセス改革やインフラ改革、さらにはビジネス自体の革新まで、事業パートナーとしてお客様の事業の成長を支え、その期待に応えるDX提供価値を向上してまいります。このDX提供価値の向上に必要な取り組みとして「ステークホルダーとの共創促進」「DXコンサルティング機能強化」「ITデリバリーの強化」を設定しています。
ステークホルダーとの共創促進においては、業種・業界において豊富なノウハウと経営基盤をお持ちの企業と、当社グループで培ってきた業務ノウハウやデリバリー力を強固に組み合わせて、展開力を強化し事業を推進してまいります。
また、社会課題、経営課題に応える構想力として、DXを推進展開するための戦略立案や課題形成に上流領域のコンサルティング機能が重要ととらえ、戦略的な経営資源配置と人材育成を推進してまいります。
そして、それらを実現するためのソリューションを提供する実装力については、スピーディーな対応とコストの最適化に継続的に取り組んでまいります。
②グローバル経営の深化と拡張
「ASEANトップクラスのIT企業連合体」の組成(FY2026におけるグローバル事業の連結売上高1,000億円)を目指し、「チャネル」と「テクノロジー」という2つを軸とした戦略的投資によるアライアンスを最大限活用するとともに、それぞれの持つ強みを融合させた事業展開とASEANを面でカバーできる連携力の構築・強化による事業領域拡大を推進しています。こうした中、連結子会社であるMFEC Public Company Limitedは、タイ国内エンタープライズ向けITソリューション提供のリーディングプレイヤーである地位を活かし、タイ国内事業は好調に進展しています。また、当社とのソリューションクロスセル及び金融を中心とした日系深耕の強化も進んでおり、共同での大型案件の受注といった実績も出始めています。また、東南アジア最大のデジタルペイメントプラットフォームを展開するGrab Holdings Inc.をはじめとした海外企業との戦略的パートナーシップ関係では、当社海外事業会社間の協業が本格化しており、東南アジアおよび日本でのデジタルペイメントのインフラ強化や新たな決済技術の開発にも共同で取り組んでいます。引き続き、ASEAN各国のパートナーとのアライアンスを強化し、最先端技術や破壊的テクノロジーを活用することで、グローバルでITオファリングサービス、フロンティア市場創造ビジネスを拡大してまいります。
また、全世界においてコンサルティングとテクノロジーの融合が進み、従来のITプレイヤーにとっては競合として脅威となりつつあることを踏まえ、「コンサルティング」を新たな軸として追加し、バリューチェーンの拡充による「コンサルティング+IT」プレイヤーとしてのプレゼンスとケイパビリティを強化するとともに、Next ASEANの開拓にも注力し、グローバル事業の展開を加速させてまいります。
③人材の先鋭化・多様化
社員と会社の価値交換性の継続的な高度化を実現するために、個の多様化と先鋭化に着目した人材戦略を推進してまいります。多様な個が活躍できる環境・組織風土の整備、新たな労働環境を見据えた次世代の働き方改革の推進、人材データベースのデジタル化による人材ポートフォリオマネジメントの高度化などを通して、社員のエンゲージメント向上に取り組んでまいります。またコンサルティング、グローバル、サービスビジネスなど、先鋭人材の戦略的な確保と育成に努めるとともに、最適配置を進めてまいります。
当社では以前より人材を最重要の経営資本として、人材に対する先行投資を積極的に推進してきました。現中期経営計画における人材戦略では「働く意義」「働く環境」「報酬」の3つの軸で社員エンゲージメントを高める人材投資を進めており、2023年4月から導入する新人事制度によって「働く意義」と「報酬」の改革をさらに推し進めます。新人事制度では、報酬・評価・等級制度を全面的に刷新し、会社と社員と社会の高付加価値化の善循環を生みだすことで当社のさらなる成長と、成長を実現する内外の優秀人材の確保に努めてまいります。
④経営マネジメントの高度化
当社は、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を確固たる軸として、事業活動を通じた社会課題の解決と社会要請に対応した経営高度化によるステークホルダーとの価値交換性の向上を図り、持続可能な社会への貢献と持続的な企業価値向上の両立を目指すサステナビリティ経営を推進しています。
<TISインテックグループの目指すサステナビリティ経営の全体像>
これまで、当社グループはコーポレートサステナビリティ委員会の設置、マテリアリティの特定、解決を目指す4つの社会課題の特定など、サステナビリティ経営の高度化に向けた実行体制を整えるとともに、コーポレート・サステナビリティ基本方針に基づき喫緊の重要な社会課題として優先度の高いテーマである人権や環境に関する取り組みを進めてまいりました。今後はこうした取り組みを継続することに加えて、当社グループの直接的な企業活動のみならず、バリューチェーン全体で当社グループの企業活動を見つめ直していくことが重要な課題であると認識しており、サステナビリティ経営のさらなる深化を通じてサステナビリティ先進企業としてのプレゼンスの確立を目指すべく、マネジメント体制を強化してまいります。
また、不確実性の高まる環境の中においても持続的な成長を実現するために、経営基盤の整備・強化を継続的に推進してまいります。セグメントオーナーを設置して権限と責任の所在を明確化し、グループ各社の強みを活かした成長戦略の実現を推進するとともに、資本コストを意識した事業マネジメントや国内外の企業のM&Aを通じた事業ポートフォリオの入れ替えによる最適なグループフォーメーションの追求、グループ間接業務のシェアード化を含む本社機能のさらなる高度化・効率化に取り組んでいます。加えて、将来の成長に資する成長投資(ソフトウェア投資、人材投資、研究開発投資、M&A・出資等)を積極的に実行していく中で適正リターンを獲得するための投資マネジメントの高度化も推進してまいります。
同時に、企業価値向上と認知度向上への取り組みの一環として、テレビCMや広告媒体への記事掲載等の戦略的なブランド活動も継続してまいります。現時点においても当社グループの認知度向上やそれに応じた効果が社員の働きがいや採用面で得られる等、成果は着実に表れ始めていますが、今後もコーポレートブランドをベースとしたサービスブランドの訴求強化等を目的として引き続き取り組んでまいります。
(1) 戦略
当社グループは、社会の動向やステークホルダーからの期待、当社グループらしさを踏まえた企業成長等への重要性の観点から、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。このマテリアリティを基礎として、中期経営計画を策定し、中期経営計画の達成を通じてその実現に取り組んでまいります。
<TISインテックグループのマテリアリティ>
(2) ガバナンス
当社のサステナビリティ経営体制は、コーポレートサステナビリティ委員会を通して、潮流を捉え、サステナビリティに関する課題を議論し、注力すべき課題の選定と対応の方向性が取締役会にて示されます。この課題設定と方向性は、経営会議等を通じて執行側に示され、執行側にてその企画や計画を経営会議で審議した後、取締役会を通じて策定されます。またその執行も、取締役会を通じてモニタリング、監督されます。
コーポレートサステナビリティ委員会は、コーポレートサステナビリティの最高責任者(議長)、取締役、監査役、コーポレートサステナビリティ推進責任者、企画本部長、企画部長により構成されます。
<TISインテックグループのサステナビリティー経営体制>
(3) リスク管理
サステナビリティ関連リスクは、サステナビリティ推進の専任部署が常に情報を収集し、全社のリスク管理プロセスおよび、コーポレートサステナビリティ委員会を通じて半年に一度リスク評価を行っています。
さらに、ステークホルダーの期待や影響度、当社グループらしさやグループの成長への寄与の観点から、マテリアリティの特定の基礎となる課題の重要性マトリクスを作成しており、毎年1回コーポレートサステナビリティ委員会にて状況と課題の有無を確認します。
(4) 指標と目標
当社グループでは、事業を通じて社会課題解決に貢献していき、社会要請に応える経営高度化を推進することでステークホルダーとの価値交換性を向上してまいります。この推進状況をマネジメントすべく、当社グループではステークホルダーとの価値交換性に経済指標を加えた形で指標値を定めており、以下の定量および定性指標を設定しております。
(5) サステナビリティに関する重要なテーマへの対応方針
本テーマについても本章記載の「ガバナンスとリスク管理」の枠組みにて実効性を確保しているため、以下に戦略と方針、および指標と目標について記載いたします。
①人材の多様性、および社内環境整備に関する方針
生産人口の減少や労働市場の流動化が進み、変化する社会において、高度IT技術者や経験豊富な人材を保有することが重要と考えています。多様な人材が自律的なキャリアを描き、高い活力とエンゲージメントをもって、新たな価値創造を行える環境を作ることによって、当社グループの競争力の維持拡大と、社会課題解決に向けたグループ総合力を高めてまいります。
a.戦略と方針
「ジェンダー」「国籍」「職歴や経験」「障害の有無」「年齢」「性的指向性・性自認」「価値観や働き方」他の違いに関わらず、いきいきと活躍できる風土醸成のため、積極的な登用、育成、制度・インフラを整備し、多様な個性を持った人材が意見の多様性を活かし、新たな価値を創造する状態を目指してまいります。
(イ)多様性の確保に向けた人材育成方針
多様な人材が活躍する「働きがいのある職場」を目指し、組織マネジメントの高度化を促進します。また、一人ひとりの社員が多様な経験から学び、成長を支援するため、積極的な教育投資や成長支援制度の整備を行っています。
(ロ)多様性の確保に向けた社内環境整備方針
社員一人ひとりの働く意識、生活環境、業務環境の違いに注目し、多様な人材が自律したプロフェッショナルとしての能力を最大限に発揮できる職場環境を目指します。働き方改革を推進し、「多様な働くニーズ」に応えるオフィスやインフラ、人事制度・ルールなど、柔軟に働くための環境整備を進めます。
b.指標と目標
[指標の定義]
働きがい満足度:全社員への意識調査において、問「総合的にみて、“働きがいのある会社”だと言える」に対し、肯定的な回答をした社員の割合
女性管理職比率:管理職(正社員)に占める女性従業員の割合
アブセンティズム:(休業者数(フィジカル+メンタル)-復職者数 - 退職者数)/ 期末在籍社員数*100により算出
学習日数/人:従業員一人当たりの年間学習研修日数の平均値
※開示の範囲:働きがい満足度はTIS及びインテック 、女性管理職比率、アブセンティズム、学習日数/人はグループ国内主要7社
②気候変動への対応方針
当社グループは、グループ基本理念であるOUR PHILOSOPHYに基づき「コーポレート・サステナビリティ基本方針」を策定し、その項目の一つとして「地球環境の保全」を定めています。
地球環境問題の中でも、とりわけ重要度が増している気候変動への対応について、事業活動からの温室効果ガス排出削減、事業活動を通じた気候変動対応の推進の両面から取り組みを進め、当社グループの社会的責任を果たすとともに、社会との協働の機会獲得を目指します。
a.戦略と方針
(イ)カーボンニュートラル宣言
脱炭素社会の実現に向け、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に取り組み、2040年度までに当社グループ自らの温室効果ガス排出量のカーボンニュートラル、および2050年度までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量のネットゼロの実現を目指します。
当社グループは、地球環境問題の中でもとりわけ重要度が増している気候変動への対応に向け、その原因とされる温室効果ガスの排出量削減の重要性を認識し、脱炭素に向けて取り組んできました。そして、当社グループにおいて最大量の電力を使用するデータセンター運営において、2023年4月より主要4データセンターの全使用電力に再生可能エネルギー由来の電力を使用していくことを決定しています。
(ロ)気候変動のリスクと財務影響及び機会
当社グループは、2021年6月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しており、TCFDの求めている基礎項目について情報開示しております。
気候関連リスクとその財務影響については、IEA 等の科学的根拠等に基づき、4℃シナリオと1.5℃シナリオを用いて、2050年までを考慮したシナリオ分析を実施し、評価しております。
<気候関連のリスクと財務影響>
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No. |
リスク分類 |
短期 |
中期 |
長期 |
2030年 |
財務影響 |
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1 |
GHG削減結果に関連したリスク |
- |
移行リスク(規制) ・エネルギー価格の上昇 ・地域条例による規制 |
移行リスク(評判) ・GHG削減達成できないことによる社会的信頼の低下や顧客離れ 移行リスク(規制) ・炭素税によるコスト増 |
8,010百万円 ~ 8,810百万円 |
カーボンニュートラルの達成など厳しいGHG削減目標の達成により損失を回避できる可能性のある金額 |
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2 |
GHG削減方法に関連したリスク |
- |
移行リスク(市場) ・再エネ購入コスト |
移行リスク(市場) ・GHG削減や再エネ購入のコスト増 |
203百万円 |
GHG排出削減の過程で追加で必要となり得る費用 |
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3 |
物理的影響リスク |
- |
物理リスク(急性) ・異常気象によるリスク増 |
物理リスク(慢性) ・気温上昇に伴うコスト増 |
20百万円 |
気候変動の物理的影響下で生じる可能性のある追加費用 |
<気候関連の機会>
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No. |
機会 |
時期 |
気候変動対応に伴い増加するニーズと対象 |
当社及び当社グループの対応 |
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1 |
低・脱炭素化に対応のデータセンター及びクラウドサービス提供機会の増大 |
短期 ~ 長期 |
各企業においてはオンプレミス・クラウドともにエネルギー効率の高いHWの利用や活用する電源が再エネ由来のものを使用する企業が増える。特に、RE100やTCFDで削減目標などを設定している企業から需要が拡大すると想定される。 |
TIGデータセンターの再エネ比率/エネルギー効率を高めていくことで、DCサービスの提供機会を拡大する。 現在の目標として、DCの再エネ比率を2030年度中に100%とすることを掲げている。 (TIS-DCでは、環境配慮型データセンターへの統合も併せ、再エネ導入比率を2025年度に100%とすることを目指す) |
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2 |
電力会社の環境改善や電力インフラ再設計でのシステム更改ニーズの増大 |
短期 ~ 中期 |
日本の40%を占める発電所を中心としたエネルギー転換部門におけるGHG排出量を減らすべく、火力発電中心の社会から水力・風力・太陽光を中心とした再エネへの転換が急務。合わせて、分散化電源社会に合わせた送電・配電のネットワーク網の再構築・改修の需要が増えてくると考えられる。 |
30年来に渡るエネルギー会社との取引で培った業務ノウハウをもとに、エネルギー会社の発電・送電・配電のDX化や法制度変更に基づくシステム更改などを通じて、電力インフラやエネルギー会社の脱炭素化を間接的に実施中。 |
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3 |
気候変動に関する新しいニーズに対応したITサービス/ソリューション提供機会の増大 |
短期 ~ 長期 |
節エネ・創エネの代表格ともいえるVPPやエネルギー効率を自動的に制御するAI・IoT技術の利活用。更に見えない電源を見える化する各種ITサービスや気候変動リスクに対応したレジリエンスサービス等のニーズが増えてくると想定される。 |
当社の今後の強みとすべく、先行投資型開発やステークホルダーとの協業・共創により、デジタル技術を駆使した各種ITサービスを展開・企画開発中。VPPソリューションや企業向け非財務情報参照・点検サービスなどを展開、環境価値取引移転実証等新技術のビジネス実装にも積極的に取り組みを進める。 |
b.指標と目標
当社グループでは、気候関連リスクを管理するために、温室効果ガス排出量の削減を目標としております。気候関連のリスク評価にあたっては、温室効果ガス(GHG)排出量(SBT1.5℃認定を取得)、財務影響を指標として用い、気候関連の機会を評価する際には、市場規模、売り上げ等を参考値として用いております。
Scope 1 + 2 :2040年度に2019年度比で100%削減
Scope 1 + 2 + 3:2050年度までにネットゼロを実現
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。
なお、当社グループでは、「リスク」を「当社及びグループの経営理念、経営目標、経営戦略の達成を阻害するおそれのある経済的損失、事業の中断・停滞・停止や信用・ブランドイメージの失墜をもたらす要因」と定義するとともに、リスク管理規程に基づき、グループ全体のリスクを戦略リスク、財務リスク、ハザードリスク、オペレーショナルリスクに分類しています。
いずれのリスクも当社グループのリスク管理評価方法に基づき、リスク発生頻度と損害影響度の観点から総合的に勘案したものですが、個々の事象や案件の内容により、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容と影響度は異なるため、具体的な記載をすることは困難であることから、経営成績等に与える影響の詳細の記載を省略しています。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、グループのリスクを適切に認識し、損失発生の未然防止に努めるため、リスク管理規程を制定しており、この規程に則り、グループ全体のリスク管理を統括するリスク管理担当役員を任命するとともに、リスク管理統括部門を設置し、リスク管理体制の整備を推進しています。また、リスク管理に関するグループ全体のリスク管理方針の策定・リスク対策実施状況の確認等を定期的に行うとともに、グループ会社において重大なリスクが顕在化したときには、対策本部を設置し、被害を最小限に抑制するための適切な措置を講ずることとしています。
また、リスク管理体制の整備の状況として、内部統制システムに関する基本方針及び各種規程等に基づき、グループ全体の内部統制の維持・向上に係る各種施策の推進を図るとともに、内部統制システムの整備及び運用状況のモニタリングを実施し、グループ内部統制委員会にて審議の上、取締役会に審議結果を報告するプロセスを整備しています。
<リスクアセスメントプロセス>
グループの重点管理対象リスクに基づいて各グループ会社社長が作成したリスク方針(トップリスクダイレクション・重大リスク)と各部門で特定されているリスクの双方を評価します。その評価はグループ内部統制委員会においてグループ全体のリスクに係る課題の確認、改善施策の進捗状況として年2回審議され、取締役会へ報告されます。この報告に対する取締役会の指示は、グループ全体の内部統制システムの強化及び改善に反映されます。
<リスク管理プロセス図>
(1)戦略リスク
①人材について
当社グループにおいて、人材は最も重要な経営資源であり、当社グループの事業伸長は顧客に専門的で高付加価値のソリューションを提供する優秀な人材の確保、育成に大きく影響されることから、優秀な人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。このため、当社グループでは事業や事業戦略実現に向けた構造転換をけん引する特定人材及び各事業領域で継続的に強化が必要な注力人材について、現状の状況を踏まえ、拡充すべき目標を人材ポートフォリオとして可視化し、人材獲得・成長を目的とした投資を強化しております。事業に合わせた人材戦略の実効性を高めるため、事業経営トップとビジネスや組織の課題を共有し、事業環境や課題に合わせた現場における人材獲得、育成、配置、組織風土改革、事業戦略の実現を支援する「HRビジネスパートナー機能」を強化するとともに、実行状況を把握・分析し、その遂行をサポートする「HRDX基盤の整備」を推進しています。あわせて、働き方改革・働きがい向上を目的として、多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、資格取得支援、キャリア形成支援、研修制度の体系化のほか、教育日数を目標化する等、人材の育成に注力しております。
②市場の変化について
当社グループのビジネスドメインの変化や社会が変化していく中で、社会が必要とする技術やサービスが大きく変化することが予想されます。そのため今後必要となっていく技術シードの把握が遅れ当社グループの技術やサービスの陳腐化が生じ、競争力が低下するおそれがあります。その変化に適切な対応をとることができず、当社グループの有する技術・ノウハウ等が陳腐化し、顧客の期待する高品質のサービスを提供できなくなる、または想定を超える価格競争に取り込まれる等、技術による競争優位性を失った場合当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、経営計画等において継続的に環境分析を実施して市場ニーズを把握し、提供するサービスの高付加価値化等による競合他社との差別化や情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進めており、テクノロジーポートフォリオより開発競争力の持続的向上につながるコア技術の選定、研究開発の推進及び成果の展開を図るとともに、生産性の革新活動とDX提供価値の向上、不採算案件の抑制や生産性の革新活動等対応を強化しております。
③投資について
当社グループでは、主として、事業伸長や先端技術の獲得を目的にベンチャーを含む国内外の企業への資本・業務提携に伴う出資、またはM&Aの実行、24時間365日稼働のアウトソーシング事業やクラウドサービス事業を展開するために用いるデータセンター等の大型IT設備に対する投資(初期構築のための設備投資及び安定的な維持・運用のための継続的な設備投資)及びサービス型事業推進のためのソフトウェアに対する投資を行っております。こうした投資は、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果や資金回収が得られない場合または資産が陳腐化した場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。また、出資・M&A直後の企業先による不祥事・システム障害等が生じた場合、当社グループの信用・ブランドイメージの失墜や訴訟などの影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、投資案件の内容により、取締役会、CVC投資委員会及び投資委員会等において、事業計画に基づく十分な検討を行った上で投資の意思決定をしており、また、投資実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施しております。加えて、大規模な資本提携先やM&Aを実施した企業に対しては、事業活動におけるリスクを事前に検証・検討した上で、必要な対応施策を継続的に打つとともに、役員派遣を行う等により状況が素早く把握できるように努めています。
④海外事業について
海外事業は、グローバル経済や為替の動向、投資や競争等に関する法的規制、商習慣、労使関係等、様々な要因の影響を受ける可能性があります。これらの要因の影響が予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。
当社グループは成長戦略の一環として、ASEANを中心とした海外事業の拡大のため、現地企業との資本・業務提携やM&Aを進めております。この出資の実施にあたっては、対象となる企業の業績や財政状態について詳細な審査を行っており、出資後は事業推進部門と経営企画部門が一体となってモニタリングを実施して定期的に当社の取締役会等において報告を行っております。
また、事業会社への人材派遣に加えて、当社においても専門組織である「グローバル財務企画室」を中心に海外子会社・関連会社に対するガバナンス強化の取り組みを進めております。
⑤海外事業について
海外事業は、グローバル経済や為替の動向、投資や競争等に関する法的規制、商習慣、労使関係等、様々な要因の影響を受ける可能性があります。これらの要因の影響が予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。
当社グループは成長戦略の一環として、ASEANを中心とした海外事業の拡大のため、現地企業との資本・業務提携やM&Aを進めております。この出資の実施にあたっては、対象となる企業の業績や財政状態について詳細な審査を行っており、出資後は事業推進部門と経営企画部門が一体となってモニタリングを実施して定期的に当社の取締役会等において報告を行っております。
また、事業会社への人材派遣に加えて、当社においても専門組織である「グローバル財務企画室」を中心に海外子会社・関連会社に対するガバナンス強化の取り組みを進めております。
⑥人権の尊重について
当社グループは自らの事業活動において、直接または間接的に特定のステークホルダーに負の影響を与える可能性があります。これらの事象が発生し明らかになることで当社グループの評判や信用を損失し、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
当社グループは2011年6月に国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、当社グループの人権方針を制定しております。さらに、本方針に沿って、人権デューデリジェンスを推進することで、当社グループの事業活動が社会に与える負の影響を早期に把握・是正に向けた適切な対応をとることを目指しております。2022年度は、前年度特定した当社グループの事業に関係の深い潜在的人権リスクについて、その特定プロセスと詳細分析内容・対応方針を公開しました。今後、特定されたリスクについてより詳細な分析と対応を進めてまいります。
⑦地政学リスクについて
戦争・内乱、政変・革命・テロ・暴動等により、国際社会の圧力、為替の動向、貿易問題、調達コストへの影響などが新たに発生した場合、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。
このような事象が生じた際には、速やかに当社グループへの影響を認識し、それぞれのリスクによる、損失発生の未然防止に努める活動を速やかに実施いたします。また、これにより事業継続に障害が生じるおそれが考えられる場合には適宜BCP計画に基づいた対策を実施いたします。2022年度は、海外駐在員の危機対応とオフショア取引が遮断した際の対応について検討しています。
⑧レピュテーショナルリスクについて
リスクが適切に管理できず社会に負の影響を及ぼした場合、または他社が社会におよぼした負の影響と当社の関連性が想起された場合、信用・ブランドイメージの失墜による事業の中断・停滞・停止や、顧客・ビジネスパートナーの剥落などの影響が生じる可能性があります。このリスクは、特に当社の事業の拡大や知名度の向上と比例して大きくなり、また速やかな管理が行えなかった場合にはグループの子会社で生じた事案でもグループ全体に波及する可能性があると考えています。そこで、当社グループではこのリスクに対して速やかに対応できるよう、グループ横断のエスカレーションシステムを構築し、危機発生時の対応マニュアルを準備しています。
(2)財務リスク
①保有有価証券について
当社グループでは、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合に限り、取引先との安定的な提携関係・協力関係を通じた事業機会の継続的創出などを目的としてその企業の株式を保有します。また、短期の余資運用を目的として債券を保有することがあります。こうした有価証券は時価の著しい変動や発行体の経営状況の悪化等が生じた場合、会計上の損失処理を行う等により、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。
このため、保有有価証券については、発行体の財政状態や業績動向、格付状況等を把握し安全性を十分確認するとともに、保有継続の合理性を定期的に検証し、保有意義が希薄と判断した株式については、縮減を進めることを基本方針としています。
(3)ハザードリスク
①パンデミック(感染症・伝染病の世界的な大流行)について
パンデミックにより国内外問わず、行動制限が課せられるなど、当社グループの社員やビジネスパートナー企業の生産活動に大きな影響が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、パンデミック発生時には、WHO(世界保健機構)や日本政府等の対応を適切に把握するとともに、事業継続計画に基づき、各事業所、データセンター等での衛生対策の強化や感染症発生地域への業務渡航の自粛等の対策を発生レベルに応じて講じています。また、在宅勤務を可能とする環境整備等を進め在宅勤務を前提とした業務手順で当社グループの重要事項の機関決定を含む業務を実施しています。
②自然災害について
地球温暖化の進行によって、洪水を含む自然災害が従来と異なる場所や頻度で発生する可能性が高まっている中、大規模自然災害やそれに伴う想定を超える長期の停電等により、当社グループが事業展開しているデータセンター等の大型IT設備を用いたアウトソーシング事業やクラウドサービス事業に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、事業継続計画に基づき、各データセンターにおいて各種災害に対して様々な設備環境を整備するとともに、旧来型のデータセンターを順次閉鎖し、免震構造、堅牢な防災設備、非常用自家発電機、燃料備蓄及び優先供給契約締結をはじめとした信頼性の高い電気設備を備えた最新鋭のデータセンターへの集約を進めています。さらに、BCP計画を作成しそれに基づき、備蓄品設置や訓練、出勤困難時への影響軽減のためのリモートワーク体制の確立及び業務フローのペーパーレス化等を推進して事業継続力を高めています。
(4)オペレーショナルリスク
①システム開発について
当社グループは、顧客企業の各種情報システムに関する受託開発や保守等のシステム開発を中核事業の一つとして展開しております。システム開発が高度化・複雑化・短納期化する中、計画通りの品質を確保できない場合または開発期間内に完了しない場合にはプロジェクト完遂のための追加対応に伴って費用が想定を大きく上回るほか、顧客からの損害賠償請求等により、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、ISO9001に基づく独自の品質マネジメントシステム「Trinity」に基づき、専任組織による提案審査やプロジェクト工程に応じたレビューを徹底し、継続的な品質管理の高度化や生産性の向上に取り組むとともに、グループ品質執行会議を通じた品質強化及び生産革新施策のグループ全体での徹底及び階層別教育の充実化等を通じた管理能力や技術力向上を図っております。
また、システム開発にあたっては、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のために国内外のビジネスパートナー企業に業務の一部を委託しています。その生産性や品質が期待に満たない場合には円滑なプロジェクト運営が実現できなくなり、当社グループの事業及び業績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、ビジネスパートナー企業との定期的な会合・アンケート等による状況の把握や関係強化を図り、国内外で優良なビジネスパートナー企業の確保等に努めています。
②システム運用について
当社グループでは、データセンター等の大型IT設備を用いて、アウトソーシング事業やクラウドサービス事業を中核事業の一つとして展開しております。そのシステム運用においては、オペレーション上の人的ミスや機器・設備の故障等によって障害が発生し、顧客と合意した水準でのサービスの提供が実現できない場合、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)をベースにした保守・運用のフレームワークに基づき、継続的なシステム運用品質の改善を行うとともに、障害発生状況の確認・早期検知、障害削減や障害予防に向けた対策の整備・強化に努めています。
③情報セキュリティについて
当社グループでは、システム開発から運用に至るまで幅広く事業を展開する過程で、顧客企業が有する個人情報や顧客企業のシステム技術情報等の各種機密情報を取り扱う場合があります。これらの機密情報の漏洩や改竄等が発生した場合、顧客企業等から損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。また、インターネットが社会インフラとして定着し、あらゆる情報が瞬時に広まりやすい現在、利用者の裾野が広がり利便性が増す一方で、サイバー攻撃等の外部からの不正アクセスによる事故やシステム障害のリスクが高まっています。このような事態に適切に対応できなかった場合、顧客等からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜等の事態を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、グループ情報セキュリティ方針に基づき情報セキュリティマネジメントシステムを確立し、運営することで情報の適切な管理を行うとともに、社員への教育・研修を通じて意識向上に努めています。また、グループ情報セキュリティ推進規程に基づき、グループ全体の情報セキュリティ管理レベルの確認、評価、改善施策の推進を図るとともに、情報セキュリティに関する問題発生時には調査委員会を設置し、原因究明、対策の実施、再発防止策の推進等を含む問題解決に向けた責任体制等を整備しています。今期は、SOC(Security Operation Center)、SIEM(Security Information and Event Management)を更改し、ゼロトラスト環境の全社・グループ展開を推進しました。
当社グループが取り扱う個人情報について、個人情報保護法、個人番号及び特定個人情報取扱規程に基づき、グループレベルの管理体制を構築するとともに社員への教育・研修を通じて個人情報保護の重要性の認識を徹底した上で顧客情報の管理強化を図る等、適切な運用に努めています。また、在宅勤務の本格実施によるワークプレイスの多様化に対してゼロトラストを導入したセキュリティ対策を実施しています。なお、当社グループでは、当社をはじめとして、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)やプライバシーマークを取得しています。
また、サイバー攻撃等に対しては、グループ全体でのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)体制を定義し、グループセキュリティ推進会議にて情報共有を実施するとともに、インシデントを早期に検知し、緊急対応を迅速かつ正確に行う為の組織内CSIRTとして「TIS-CSIRT」を運営しています。さらに、最新の攻撃手法やインシデントの発生状況等、セキュリティに関する広範な情報収集・情報分析・情報発信をはじめ、通信監視、緊急対応、外部連携を実施しています。
④法制度、コンプライアンスについて
当社グループは、様々な国内外の関係法令や規制の下で事業活動を展開しております。法令違反等が発生した場合、また新たな法規制が追加された場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。また、差別やハラスメントが生じた際、生産性低下・コスト増大および社員のエンゲージメントの低下が生じた場合には当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループでは、コーポレート・サステナビリティ基本方針及びグループコンプライアンス宣言に基づき、コンプライアンス体制を構築し、雇用形態によらない全従業員への教育及び法令遵守の徹底に取り組み、公正な事業活動に努めています。コンプライアンス規程に基づき、グループ全体のコンプライアンス上の重要な問題を審議し、再発防止策の決定、防止策の推進状況管理などを通じて、グループ全体への浸透を図っております。中でも、情報サービス産業の取引構造に起因した重要課題である請負・派遣適正化に関しては、個別のリスク管理体制を構築するとともに、グループガイドライン策定や自主点検チェックリストの活用等を通じて適切な運用に努めています。また、違法行為を未然防止するとともに、違法行為を早期に発見是正する施策としてグループ内部通報制度の導入、通報・相談窓口の設置によりグループ全体の法令遵守意識を高めております。また、差別やハラスメントを防止するため、良好な人間関係の構築、円滑なコミュニケーションの確立を目的とした教育、啓蒙活動を実施するとともに万が一生じた際には公正かつ厳正な対処をいたします。
⑤知的財産権について
当社グループは事業を展開する上で必要となる技術、ライセンス、ビジネスモデル及び各種商標等の知的財産権について、当該権利を保有する他者の知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っております。しかしながら、当社グループの事業が他社の知的財産権を侵害したとして、差止請求や損害賠償請求等を受ける可能性があり、その場合には当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。このため、当社グループでは、知的財産権に対する体制の整備・強化を図るとともに、社員への教育・研修を通じて意識向上に努めています。なお、当社が保有する知的財産権については、重要な経営資源としてその保護に努めています。
⑥気候変動について
気候変動への対策・対応として、温室効果ガス排出量を削減する「緩和」と、気候変動の悪影響を軽減する「適応」の両面において、企業が課せられる取り組み・責務が徐々に強くなってきており、その結果、事業活動・企業活動における再生可能エネルギーの利用推進の要請が高まっています。そのため、再生可能エネルギーの需要変動により、当社グループのエネルギーコストに著しい影響を及ぼした場合、また、当社グループの再生可能エネルギーへの移行が遅延した場合、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループではTCFDへ賛同するとともに、賛同した枠組みに沿ったアセスメントを今後継続的に実施し、その結果を対外開示していくことで、気候変動の緩和のための取り組みの説明を果たしてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりとなります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあり、持ち直しの動きがみられました。先行きについては、世界的に金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れによる我が国の景気の下押しリスク、物価上昇、供給面での制約及び金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
当社グループの属する情報サービス産業においては、期中に公表された日銀短観におけるソフトウエア投資計画(金融機関を含む全産業)がいずれも前期比増を示す等、DX技術を活用した業務プロセスやビジネスモデルの変革がグローバルで進展する中で、IT投資需要の更なる増加が期待されています。
このような状況の中、当社グループは、「グループビジョン2026」の達成に向けた更なる成長のため、現在遂行中の中期経営計画(2021-2023)に基づき、DX提供価値の向上を基軸とした事業構造転換の加速に引き続き取り組んでいます。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14,321百万円減少の462,320百万円(前連結会計年度末476,642百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ9,421百万円増加の268,682百万円(前連結会計年度末259,261百万円)となりました。これは主に売上高の増加により受取手形、売掛金及び契約資産が20,126百万円増加し、借入金の返済及び自己株式の取得等により現金及び預金が19,518百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ23,743百万円減少の193,637百万円(前連結会計年度末217,381百万円)となりました。これは主に政策保有株式の縮減等により投資有価証券が24,024百万円減少したこと等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ20,555百万円減少の153,094百万円(前連結会計年度末173,649百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ22,057百万円減少の117,179百万円(前連結会計年度末139,236百万円)となりました。これは主に短期借入金が23,239百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,502百万円増加の35,914百万円(前連結会計年度末34,412百万円)となりました。これは主に長期借入金が1,839百万円増加したこと等によるものです。
なお、有利子負債合計としては、前連結会計年度末に比べ21,489百万円減少の16,043百万円(前連結会計年度末37,533百万円)となり、有利子負債比率も3.5%(前連結会計年度末比4.4ポイント減)となりました。
(純資産合計)
純資産は、前連結会計年度末に比べ6,233百万円増加の309,226百万円(前連結会計年度末302,993百万円)となりました。これは主に利益剰余金が44,006百万円増加した一方、資本剰余金が自己株式の消却に伴って24,498百万円減少したこと及び政策保有株式の縮減等に伴うその他有価証券評価差額金の減少13,090百万円等によるものです。
なお、利益剰余金の増加は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加55,461百万円と配当金支払いによる減少11,451百万円の結果です。また、自己株式は4,496百万円増加しましたが、取得により30,005百万円増加した一方で上述のとおり消却により24,498百万円減少した結果によるものです。本消却は、資本構成の適正化を図る一環として取得した約245億円相当の自己株式(6,715,483株、消却前の発行済株式総数に対する割合2.7%)について当社方針及び将来の株式の希薄化懸念を払拭すること等を勘案し、2023年2月28日に当初の予定通り実施したものです。
セグメント別の財政状態は以下のとおりです。
イ.オファリングサービス
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて8,746百万円減少し、146,642百万円となりました。
ロ.BPM
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて69百万円増加し、12,767百万円となりました。
ハ.金融IT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて6,366百万円減少し、85,625百万円となりました。
ニ.産業IT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて14,057百万円減少し、72,178百万円となりました。
ホ.広域ITソリューション
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて12,811百万円増加し、110,902百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高508,400百万円(前期比5.4%増)、営業利益62,328百万円(同13.9%増)、経常利益63,204百万円(同13.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益55,461百万円(同40.5%増)となりました。
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(単位:百万円) |
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|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前期比 |
|
売上高 |
482,547 |
508,400 |
+5.4% |
|
売上原価 |
353,699 |
366,668 |
+3.7% |
|
売上総利益 |
128,848 |
141,732 |
+10.0% |
|
売上総利益率 |
26.7% |
27.9% |
+1.2P |
|
販売費及び一般管理費 |
74,108 |
79,403 |
+7.1% |
|
営業利益 |
54,739 |
62,328 |
+13.9% |
|
営業利益率 |
11.3% |
12.3% |
+1.0P |
|
経常利益 |
55,710 |
63,204 |
+13.5% |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
39,462 |
55,461 |
+40.5% |
売上高については、顧客のデジタル変革需要をはじめとするIT投資ニーズへの的確な対応による事業拡大により、前期を上回りました。営業利益については、増収に伴う増益分に加え、高付加価値ビジネスの提供、生産性・品質向上施策の推進等により売上総利益率が27.9%(前期比1.2ポイント増)に向上したことが、構造転換推進のための先行投資コストや処遇改善をはじめとする将来成長に資する投資を中心とした販売費及び一般管理費の増加を吸収し、前期比増益となり、営業利益率は12.3%(同1.0ポイント増)となりました。経常利益については、営業利益の増加により前期比増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、経常利益の増加に加えて特別損益が大きく改善したことから、前期を大きく上回りました。なお、当連結会計年度における特別利益は投資有価証券売却益及び子会社売却益等で22,040百万円(同10,747百万円増)、特別損失は出資金評価損や減損損失等で3,752百万円(同1,769百万円減)を計上しました。
<営業利益要因別増減分析(前期比)>
セグメント別の状況は以下の通りです。当社グループは、更なる構造転換の推進に向け、グループ全体でのマネジメント体制を変更したことに伴い、当連結会計年度からセグメント区分を変更しています。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでおり、前期比(数値)は前期の数値を変更後のセグメントに組み替えたものを用いています。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前期比 |
|
|
オファリング サービス |
売上高 |
103,167 |
111,752 |
+8.3% |
|
営業利益 |
4,692 |
6,426 |
+36.9% |
|
|
営業利益率 |
4.5% |
5.8% |
+1.3P |
|
|
BPM |
売上高 |
42,951 |
43,255 |
+0.7% |
|
営業利益 |
4,991 |
5,123 |
+2.6% |
|
|
営業利益率 |
11.6% |
11.8% |
+0.2P |
|
|
金融IT |
売上高 |
91,651 |
101,184 |
+10.4% |
|
営業利益 |
12,355 |
13,896 |
+12.5% |
|
|
営業利益率 |
13.5% |
13.7% |
+0.2P |
|
|
産業IT |
売上高 |
108,751 |
113,632 |
+4.5% |
|
営業利益 |
15,356 |
16,728 |
+8.9% |
|
|
営業利益率 |
14.1% |
14.7% |
+0.6P |
|
|
広域IT ソリューション |
売上高 |
156,231 |
160,010 |
+2.4% |
|
営業利益 |
16,492 |
19,343 |
+17.3% |
|
|
営業利益率 |
10.6% |
12.1% |
+1.5P |
|
|
その他 |
売上高 |
6,369 |
8,957 |
+40.6% |
|
営業利益 |
770 |
878 |
+13.9% |
|
|
営業利益率 |
12.1% |
9.8% |
△2.3P |
|
イ.オファリングサービス
当社グループに蓄積したベストプラクティスに基づくサービスを自社投資により構築し、知識集約型ITサービスを提供しています。
当連結会計年度の売上高は111,752百万円(前期比8.3%増)、営業利益は6,426百万円(同36.9%増)となりました。海外事業が売上高伸長に寄与するとともに、決済や基盤系のIT投資拡大の動きに加えて生産性・品質向上施策の推進等を通じた収益性改善等により前期比増収増益となり、営業利益率は5.8%(同1.3ポイント増)となりました。
ロ.BPM
ビジネスプロセスに関する課題をIT技術、業務ノウハウ、人材などで高度化・効率化・アウトソーシングを実現・提供しています。
当連結会計年度の売上高は43,255百万円(前期比0.7%増)、営業利益は5,123百万円(同2.6%増)となりました。既存のデータエントリー業務は苦戦も、デジタル化ニーズの高まりを背景として安定的に推移し、前期比増収増益となり、営業利益率は11.8%(同0.2ポイント増)となりました。
ハ.金融IT
金融業界に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業・IT戦略を共に検討・推進し、事業推進を支援しています。
当連結会計年度の売上高は101,184百万円(前期比10.4%増)、営業利益は13,896百万円(同12.5%増)となりました。クレジットカード系の根幹先顧客及び公共系金融機関の大型案件が牽引し、前期比増収増益となり、営業利益率は13.7%(同0.2ポイント増)となりました。
ニ.産業IT
金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業・IT戦略を共に検討・推進し、事業推進を支援しています。
当連結会計年度の売上高は113,632百万円(前期比4.5%増)、営業利益は16,728百万円(同8.9%増)となりました。製造業やエネルギー系の根幹先顧客を中心としたIT投資拡大の動きに加え、生産性・品質向上施策の推進等を通じた収益性改善により、前期比増収増益となり、営業利益率は14.7%(同0.6ポイント増)となりました。
ホ.広域ITソリューション
ITのプロフェッショナルサービスを地域や顧客サイトを含み、広範に提供し、そのノウハウをソリューションとして蓄積・展開して、課題解決や事業推進を支援しています。
当連結会計年度の売上高は160,010百万円(前期比2.4%増)、営業利益は19,343百万円(同17.3%増)となりました。ソリューション展開の進展に加えて採算性を重視した事業活動の推進等により前連結会計年度中にグループ外へ株式譲渡した企業(中央システム株式会社)の業績除外を打ち返したことから、前期比増収増益となり、営業利益率は12.1%(同1.5ポイント増)となりました。
ヘ.その他
各種ITサービスを提供する上での付随的な事業等で構成されています。
当連結会計年度の売上高は8,957百万円(前期比40.6%増)、営業利益は878百万円(同13.9%増)となり、営業利益率は9.8%(同2.3ポイント減)となりました。主に、2022年4月1日を効力発生日として、グループのシェアードサービス事業を当社からTISビジネスサービス株式会社に継承する吸収分割を行ったことによる影響です。
前述の通り、当社グループは、前連結会計年度から「グループビジョン2026」の達成に向けたセカンドステップとなる中期経営計画(2021-2023)を遂行しています。「Be a Digital Mover 2023」をスローガンに、戦略ドメインへの事業の集中を推進するとともに、DX提供価値の向上を基軸とした事業構造転換の加速に引き続き取り組んでいます。
注)戦略ドメイン:「グループビジョン2026」で目指す、2026年に当社グループの中心となっているべき4つの事業領域
中期経営計画(2021-2023)の2年目となる当連結会計年度は、以下のグループ経営方針に基づき、各種施策に精力的に取り組みました。
<2023年3月期 グループ経営方針>
イ.サステナビリティ経営による社会提供価値と企業価値の長期成長戦略推進
ロ.DX組織能力と投資の強化による付加価値向上の加速
ハ.事業構造転換の促進と中長期的な資産・資本効率の向上施策推進
ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進とガバナンスの確立
ホ.人材の先鋭化と多様化へ向けた人材投資の一層の拡充
グループ経営方針における主な課題や取組み状況は以下の通りです。なお、これらの取組みの結果、中期経営計画(2021-2023)で定めた重要な経営指標のうち主要なものについて、1年前倒しで達成いたしました。詳細については、P.36「第2.事業の状況 4.経営者による財政状況、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。
イ.サステナビリティ経営による社会提供価値と企業価値の長期成長戦略推進
事業を通じた社会課題解決を促進すると共に、環境・人権・人的資本等のESG高度化や本社機能の高度化・効率化による経営基盤の整備を継続的に推進することとしています。コーポレート・サステナビリティ基本方針に基づき、喫緊の重要な社会課題として優先度の高いテーマである人権や環境に関する取り組みを継続して進めています。このうち、人権問題に関しては、前連結会計年度に人権リスクアセスメントを実施し、潜在的人権リスクを抽出するとともに、今後優先して対応すべき国、事業及びライツホルダー(人権の負の影響を受ける可能性のある対象者)を明らかにしました。これを受けて、当連結会計年度においては、自社に加えて、業務委託先や機器調達先の労働問題に起因する人権リスクの把握と救済の仕組み作り、当社グループのサービスにおける目的外利用の整備等の対応を順次進めていくことにしています。また、環境問題に関しては、脱炭素社会の実現に向け、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に取り組み、2040年度までに当社グループ自らの温室効果ガス排出量のカーボンニュートラル、及び2050年度までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量のネットゼロの実現を目指していくこととしました。特に、当社グループにおいて最大量の電力を使用するデータセンター運営においては、2023年4月より主要4データセンターの全使用電力に再生可能エネルギー由来の電力を使用していくことを決定し、準備を進めています。
加えて、当社グループの地域社会への貢献のあり方の一つとして、事業ではカバーできない3つの領域(将来のユーザーを支援する活動、社会にデジタル技術の恩恵を広める活動及び社会のデジタル技術による負の影響を軽減する活動)を対象に、企業版ふるさと納税の活用やNPOと協働するプロジェクトの発足等を開始しています。
また、サステナビリティ先進企業としてのプレゼンスの確立を目指していく中、2023年4月以降、コーポレートサステナビリティ委員会の位置づけや構成を変更しています。新たなコーポレートサステナビリティ委員会は、社外取締役を含む全取締役を中心に構成され、サステナビリティ経営を実践する上での潮流を捉え、課題の議論を通じて対応の方向性と目標を示すことを目的としています。
なお、こうしたコーポレートサステナビリティに関する取り組みが着実に進展した結果、2022年6月には「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に初選定されました。
また、当社グループのブランド理解及び価値向上を目指す一環として、オウンドメディア「TIS INTEC Group MAGAZINE」を立ち上げ、ブランドメッセージである「ITで、社会の願い叶えよう。」をメインテーマとして、様々な領域で社会課題解決を目指す当社グループの具体的な取り組み内容や将来展望を紹介しています。
本社機能の高度化・効率化による経営基盤の整備の観点においては、従前から取り組んでいる「本社系機能高度化プロジェクト“G20”」の適用範囲を拡大するとともに、間接業務のシェアード化と更なる高度化に取り組む一環として、TISビジネスサービス株式会社を中心とした体制を通じて、グループ全体のバックオフィス業務のシェアードサービス化及びDX化を推進しています。
ロ.DX組織能力と投資の強化による付加価値向上の加速
中長期な付加価値向上の源泉となる人材、R&D、ソフトウエアへの一層の投資強化に加え、戦略ドメイン伸長を目的としたM&Aを継続的に推進することとしています。
ステークホルダーとの接点であるフロントラインの更なる強化にあたり、特に顧客に対してはDXを推進するための戦略立案や課題形成など上流領域のコンサルティング機能を強化することが必要であることから、データ分析・AIのコンサルティングに強みを有する連結子会社である澪標アナリティクス株式会社との連携強化を継続しています。また、2022年9月にエンタープライズ向け業務システムのUI(注1)/UX(注2)デザインコンサルティングから事業会社向けのデザインシステムの構築・運用支援などを手掛けるFixel株式会社を子会社化するとともに、お客様のプロダクトやサービスのデザイン、事業の課題抽出からアイデア出し・コンセプト開発などを支援するDXデザインの専門チームを立ち上げました。同社をグループに加えることで、同社の優秀なデザインコンサルティング力と当社の顧客対応力・システム構築力の融合によりDX提供価値を強化していきます。今後もこうした戦略的な経営資源配置と人材育成を通じて、DXコンサルタントを更に増員し、顧客のDX推進に対する価値提供体制の拡充に注力してまいります。
当社グループの強みである決済領域においては、「クレジットカードプロセッシングサービス」(注3)がサービスインしたほか、デジタル口座、モバイルウォレット、サービス連携、セキュリティ、データ利活用というデジタル化する決済に求められる要素をカバーする等、決済領域全般における事業展開を進めています。加えて、2022年3月に国際ブランドプリペイド決済サービスを提供する株式会社ULTRAを連結子会社化し、同社の有する決済のフロントエンド機能と当社グループが従来から有する決済のバックエンド機能構築の強みと合わせ、決済機能の一気通貫での組み込みを可能とする等、「Embedded Finance」の事業展開の準備も進めています。引き続き、キャッシュレス社会の進展に応じて成長が見込まれる決済領域に対し、リテール決済ソリューションのトータルブランド「PAYCIERGE」全体のサービスラインナップの拡充による面展開及び事業規模の拡大を通じて、キャッシュレス決済の更なる普及に貢献してまいります。
今後も当社グループでは、DXを3つの領域で捉え、よりよい社会を実現していく「社会DX」、お客様の事業を革新していく「事業DX」、そして当社グループ自身を進化させていく「内部DX」を相互に強く影響しあう一つの連なりとして、統合的な視点で取り組み、新たな価値の好循環を生んでいくことを目指してまいります。
また、2023年3月には現在賃借中のシステム運用業務及び自社ブランドのクラウドサービス提供の中核拠点である施設について、不動産信託受益権を分割取得することを決定しました。本決定は、当社の事業を支える基盤として必要となる大規模かつ希少性の高い施設については長期安定的な事業継続性を確保する観点から所有することを基本方針としている中で、賃借中の当該施設を所有に切り替える機会を得たこと、賃借から所有に切り替えることでの経済合理性及び大規模な投資の実行が可能である現在の当社財政状態等を総合的に勘案した結果、当社グループの中長期的な企業価値向上に資すると判断したものです。
注1)User Interface/ユーザーインタフェース。ユーザーがPCとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み。
注2)User Experience/ユーザーエクスペリエンス。サービスなどによって得られるユーザー体験。
注3)クレジットカードのイシュイング業務に必要な環境をトータルで提供するサービス。現在クレジットカード業界で求められている「顧客志向の高度化」「オープンイノベーションへの柔軟性」「高い収益性」といった要件に応え、オリジナル性の高いシステムとカード商品を開発・提供。提供形式がSaaS型のため、導入時にかかる費用を抑制しながら必要な機能・サービスの利用が可能。
ハ.事業構造転換の促進と中長期的な資産・資本効率の向上施策推進
構造転換の進捗に伴う経営の安定性向上と、それを踏まえた中長期的な資産・資本効率の向上への取り組みを推進することとしています。
更なる経営マネジメントの実効性向上を目指して、資本コストを意識した事業マネジメントの導入、グループフォーメーションマネジメントの推進、国内外の企業のM&Aによる事業拡大や事業ポートフォリオの入れ替えを推進しています。また、更なる構造転換の推進と実効性向上に向け、当連結会計年度からグループ全体でビジネスモデルに応じたマネジメント体制をとることとし、これに合わせてセグメント区分を変更しました。各セグメントには、セグメントオーナーを設置して権限と責任の所在を明確化し、グループ各社の強みを活かした成長戦略の実現を推進してまいります。
2023年3月には、税理士事務所及びその顧問先企業向けに会計/税務パッケージ等を提供する日本ICS株式会社(以下、「日本ICS」という)の全株式を取得することを決定し、2023年4月に当社の連結子会社としました。中期経営計画(2021-2023)において構造転換に向けた諸施策を推進する中、戦略ドメインの一つであるITオファリングサービス(注1)の成長を加速させるためには、税理士事務所とその顧問先企業をメインターゲットに、財務会計パッケージおよび関連サービスの提供を事業として展開する日本ICSをグループに迎え入れ、同社のビジネスモデル及び顧客基盤を獲得することが重要であると判断したものです。日本ICSの顧客層である中堅・中小企業や税理士事務所に向けた会計/税務パッケージおよび関連サービスの機能強化や、新技術適用による税理士業務の効率化や確実性向上の実現、当社の顧客層である金融機関と連携した取引先向けのIT化・DX推進を実現する中堅・中小企業向けソリューションの提供等、顧客基盤の拡大や新たなビジネススキームの実現を目指してまいります。一方、当社のデジタルウォレットサービスを拡大することを目的として2020年1月に連結子会社化したSequent Software Inc.に関しては、海外市場における事業展開の状況等を踏まえてペイメント事業とは別の事業を志向する方針が同社の少数株主より提案されたことを受けて検討した結果、同社の有するペイメント事業に関する知的財産及びソフトウエアを当社が取得した上で当社保有の全株式をグループ外へ譲渡しました。
こうした中、戦略ドメインへの経営資源の集中による構造転換の着実な進展とそれに伴う利益成長やキャッシュ創出力の向上等の収益基盤の強化、経営の質が転換してきていることを踏まえ、資本構成の適正化を図る一環として、総還元性向45%に基づく株主還元を目的とした約55億円相当と合わせて総額約300億円(8,223,000株)の自己株式の取得を2022年12月までに完了しました。このうち、資本構成の適正化を図る一環として取得した約245億円相当の自己株式(6,715,483株、消却前の発行済株式総数に対する割合2.7%)については、当社方針および将来の株式の希薄化懸念を払拭すること等を勘案し、2023年2月28日に当初の予定通り消却しました。一方、株主還元の観点から取得した自己株式(約55億円相当)については、原則として発行済株式総数の5%を上限として保有し、5%を超過する保有分については消却するという当社の自己株式保有等に関する方針に沿って対応する予定です。
また、当社グループは、資産効率化及び財務体質の向上の観点から政策保有株式の縮減に努めており、前期末には543億円を計上していた政策保有株式は当期末には276億円となりました。これにより、政策保有株式の貸借対照表計上額の連結純資産に対する比率は8.9%となり、目標としていた10%水準への引き下げの早期実現を達成しました。
注1)当社グループに蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディに提供する事業領域。
ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進とガバナンスの確立
事業戦略に基づく出資先との関係強化や共同事業の展開による更なる市場の深耕を図るとともに、グローバルパートナーシップ網を拡充することとしています。
この一環として、2022年3月に持分法適用会社としたインドネシアのPT Aino Indonesia(以下、「AINO」という)とは、協業を加速させています。すでに、スマートフォンを前提とした東南アジア向け交通決済パッケージ「Acasia」の共同開発や次世代交通サービスとしてのMaaS(Mobility as a Service)についての共同事例研究等の成果が認められたこともあり、AINOがJATeLコンソーシアム(注1)メンバーの中核企業としてインドネシア・ジャカルタ市における同国初の統合交通決済基盤「JakLingko」(注2)の案件受注に貢献するとともに、「Acasia」が「JakLingko」のバックエンドシステムとして採用されるに至っています。2022年6月には当社と資本・業務提携関係にある東南アジア最大の配車サービス「Grab」と連携したMaaSサービスが追加されました。今後は東南アジアの交通決済のデジタル化支援に加え、Park and Rideやデータ利活用等ビジネス領域の拡張を図ってまいります。
また、2022年7月には、自動運転EV(電気自動車)向けの共通シャシーを開発する中国の貴州翰凱斯智能技術有限会社(HanKaiSi Intelligent Technology Co., Ltd.)と資本・業務提携しました。自動車のEV化や自動運転技術の進歩に伴い自動車産業が大きく転換し、ソフトウエアの重要性が高まる中において、同社との提携を通じてMaaS、スマートシティ領域等における新たなITサービスの創出を目指してまいります。
さらに、「ASEANトップクラスのIT企業連合体」の実現をより確かなものとするため、これまでのチャネル・テクノロジーに加えて、コンサルティングを新たな軸として追加し、グローバルにおける「コンサルティング+IT」プレイヤーとしてのプレゼンスとケイパビリティを強化していくこととしました。2022年11月には、インド地場企業としては大手の経営コンサルティング企業であるVector Consulting Groupと資本・業務提携契約を締結し、2023年1月に持分法適用会社化が完了しました。全世界においてコンサルティングとテクノロジーの融合が進む中、同社の持つ経営コンサルティング領域におけるノウハウを活用することで、当社グループのインド、日本、ASEAN地域、および中国のお客様に対するITサービスの高付加価値化の実現を目指してまいります。
一方で、上述のSequent Software Inc.の当社保有全株式の譲渡のほか、タイのMFEC Public Company Limitedが同社連結子会社の株式を譲渡して業績貢献の高い領域への再投資に注力する等、海外における事業構造転換の加速に向けた取組みも進めています。
注1)PT Jatelindo Perkasa Abadi、AINO、Thales、Lykoの4社で結成したPT JAKARTA LINGKO INDONESIAの案件に入札することを目的として結成された共同事業体。
注2)ジャカルタに存在する4つの公共交通機関の運賃体系を統合し、1つのアプリで公共交通機関からRidehailing(アプリを使った配車サービス)を跨って利用できるサービス。出発地から公共交通機関の乗車まで、公共交通機関の降車から目的地までの交通手段も含めたルート検索、予約、チケット購入及び利用が可能。
ホ.人材の先鋭化と多様化へ向けた人材投資の一層の拡充
付加価値向上を目指し、報酬や教育投資の向上、キャリア採用を含めた積極的な採用活動を継続することとしています。
多様な個が活躍できる環境・組織風土の整備、新たな労働環境を見据えた次世代の働き方改革の推進、人材データベースのデジタル化による人材ポートフォリオマネジメントの高度化、HRビジネスパートナーの本格稼働を通じて、社員のエンゲージメント向上や自律的なキャリア開発の支援等の取り組みを進めています。また、構造転換をさらに加速するため、コンサルティング、グローバル、サービスビジネス等、先鋭人材の戦略的な確保と育成とともに人材の最適配置に努めています。
また、当社グループでは、グループダイバーシティ&インクルージョン方針のもと、グループ推進体制を構築し、「健康経営」を推進しています。グループで働く一人ひとりの人生の質の向上を目指し、「心身の健康」「働きがいの向上」「生活力の向上」を実現する施策を推進しています。こうした取組みの結果、当社、株式会社インテックをはじめとした計4社は、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023」に認定され、当社と株式会社インテックは「健康経営優良法人2023~ホワイト500~」にも認定されました。
さらに、当社グループでは、グループビジョン2026の実現に向けた「構造転換」を果たすため、デジタル技術を駆使し、ステークホルダーとの共創を通した社会課題解決を推進することを現中期経営計画の目標として掲げ、それを担う最重要の経営資本である人材の成長による付加価値向上に注力しています。当社では、以前より「働く意義」「働く環境」「報酬」の3つの軸で社員エンゲージメントを高める人材投資を進めてまいりましたが、「働く意義」と「報酬」の改革をさらに推し進めるため、2023年4月より、報酬・評価・等級制度等を全面的に刷新した新人事制度を導入しました。報酬制度では、特に事業を牽引する高度人材と若手層へ重点的に投資し、最大17%、平均では6%アップとなる基本給の引き上げをはじめとして、グループ全体で処遇改善に向けた取組みを推進しています。これにより、2024年3月期には前期比50億円規模の人件費増を見込んでいますが、当社グループの持続的成長に不可欠な人的資本に対する先行投資と位置付けています。こうした施策を引き続き実施することにより、従業員が能動的に考え動き、期待を上回る高いパフォーマンスを発揮することを促し、付加価値向上に繋げることで「人材の成長による企業競争力の向上を通じた企業成長の加速」を目指します。
今後も、グループ全体で人材の価値を高めるために積極的な投資を行い、会社と社員と社会の高付加価値化の善循環を生みだすことで、当社グループのさらなる成長と企業価値を向上し、より豊かな社会の実現を目指してまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて19,514百万円減少し、当連結会計年度末には94,306百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は33,634百万円(前期比22,492百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益81,492百万円(同20,010百万円増)に、資金の増加として、非資金損益項目である減価償却費15,700百万円(同616百万円増)などがあった一方、資金の減少として、法人税等の支払額29,712百万円(同15,349百万円増)、売上高の増加により売上債権及び契約資産の増加額18,792百万円(同20,510百万円増)、投資有価証券売却益18,313百万円(同13,435百万円増)などがあったことによるものです。
なお、法人税等の支払額の増加は当社が資本・業務提携を通じて株式を保有する海外企業が前連結会計年度中に米国市場で株式を上場したことに伴い、税務上の株式譲渡益が生じた影響も一因となっています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は11,300百万円(前期比14,725百万円増)となりました。これは主に、資金の増加として、政策保有株式の縮減等による投資有価証券の売却及び償還による収入23,685百万円(同16,558百万円増)などがあった一方で、資金の減少として、無形固定資産の取得による支出6,045百万円(同186百万円減)、有形固定資産の取得による支出4,337百万円(同4,710百万円減)などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は64,573百万円(前期比42,624百万円増)となりました。これは主に、資金の増加として、短期借入金の純増加額10,399百万円(同9,078百万円増)などがあった一方で、資金の減少として、長期借入金の返済による支出35,450百万円(同28,437百万円増)、自己株式の取得による支出30,005百万円(同25,171百万円増)、配当金の支払額11,451百万円(同2,123百万円増)などがあったことによるものです。
なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは44,935百万円の黒字(前期比7,766百万円減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、アウトソーシング業務・クラウドサービス及びソフトウエア開発についてのみ記載しております。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
オファリングサービス(百万円) |
99,057 |
101.4 |
|
BPM(百万円) |
40,796 |
31.6 |
|
金融IT(百万円) |
98,081 |
175.6 |
|
産業IT(百万円) |
114,569 |
231.0 |
|
広域ITソリューション(百万円) |
155,839 |
106.0 |
|
報告セグメント計(百万円) |
508,344 |
106.1 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
508,344 |
106.1 |
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
オファリングサービス |
100,617 |
104.8 |
33,199 |
107.9 |
|
BPM |
39,904 |
95.2 |
7,449 |
87.6 |
|
金融IT |
108,841 |
120.0 |
48,799 |
123.9 |
|
産業IT |
113,115 |
99.0 |
38,064 |
100.5 |
|
広域ITソリューション |
161,477 |
105.9 |
52,861 |
117.7 |
|
合計 |
523,956 |
105.8 |
180,373 |
111.7 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
オファリングサービス(百万円) |
99,132 |
108.2 |
|
BPM(百万円) |
40,958 |
100.9 |
|
金融IT(百万円) |
99,432 |
110.5 |
|
産業IT(百万円) |
112,916 |
105.6 |
|
広域ITソリューション(百万円) |
153,531 |
101.9 |
|
報告セグメント計(百万円) |
505,971 |
105.4 |
|
その他(百万円) |
2,429 |
89.4 |
|
合計(百万円) |
508,400 |
105.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりであります。
また、当社グループは、資産効率化及び財務体質の向上の観点から政策保有株式の縮減に努めており、前期末には543億円を計上していた政策保有株式は当期末には276億円となりました。これにより、政策保有株式の貸借対照表計上額の連結純資産に対する比率は8.9%となり、目標としていた10%水準への引き下げの早期実現を達成しました。
さらに、資本構成の適正化を図る一環として約245億円相当の自己株式を取得し、当社方針及び将来の株式の希薄化懸念を払拭すること等を勘案して消却を実施しております。
自己資本比率は64.2%となり、積極的な成長投資を可能とする財務健全性を堅持しています。
なお、当連結会計年度末の現金及び預金は保有方針である月商の2ヶ月程度を上回る状況にありますが、今後の資金需要等を考慮すれば適正な水準であると考えています。キャッシュアロケーションに関しては、構造転換の着実な進展による利益成長及び政策保有株式の縮減を加速させたことでキャッシュ創出力が当初想定よりも強まっており、これを受けて、投資・株主還元の強化に加えて資本構成適正化や財務健全性に向けた財務施策を積極的に実行することができています。今後もこうした善循環を推進することで経営の質の転換を進めてまいりたいと考えています。
b.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりであります。
中期経営計画の基本方針に沿って、構造転換のための積極的な成長投資を進める中においても収益性を向上させる取り組みを推進することができていると考えています。具体的には、構造転換推進のための先行投資コストの増加17.2億円や処遇改善に伴う人材投資コストの増加51.5億円をはじめとする将来成長に資する投資がある中においても、高付加価値ビジネスの提供や生産性向上施策等を推進した結果、売上総利益率は前期比1.2ポイント増の27.9%に向上し、これが牽引する形で営業利益は同 13.9%増の623.2億円、営業利益率は同1.0ポイント増の12.3%となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は554.6億円(同40.5%増)と前期を大きく上回りましたが、主に資産効率化及び財務体質の向上の観点から進めた政策保有株式の縮減や海外における事業構造転換を目的とした連結子会社株式の譲渡に伴って特別利益を計上したことによるものです。
c.経営成績等に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2.事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおりであります。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載したとおり、当社グループでは、事業規模・収益性および資本効率性を重視した経営指標を設定し、これらの拡大を目指しています。中期経営計画(2021-2023)では、「売上高5,000億円」「営業利益(営業利益率)580億円(11.6%)」「EPS(1株当たり当期純利益)の年平均成長率10%超」「戦略ドメイン比率60%」「社会課題解決型サービス事業売上高500億円」を掲げています。
当連結会計年度は、中期経営計画における重要な経営指標のうち主要なもの(売上高、営業利益及び営業利益率)について1年前倒しで達成する等、戦略ドメインへの経営資源の集中による構造転換は着実に進展しており、継続的な利益成長やキャッシュ創出力向上という成果につながっていると認識しています。
また、自己資本当期純利益率(ROE)については、中期経営計画(2021-2023)において事業収益力の向上に伴う当期純利益率の向上を牽引役として12.5%~13%を目標としており、長期的には構造転換を進めることで、安定的に15%を実現できる企業への成長を目指しています。
当連結会計年度は、事業収益力の向上に加えて特別利益の計上による親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な増加とともに、当社グループの経営の質が転換してきていることを踏まえて実施した資本構成の適正化を図る一環としての自己株式取得(約245億円相当)が奏功したことにより、自己資本当期純利益率は18.8%に向上しました。なお、特別利益の計上を除いた事業活動をベースとして算出した場合においても、自己資本当期純利益率水準は中期経営計画の目標を上回る状況にあると認識しています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
事業から創出されるキャッシュおよび政策保有株式をはじめとする非事業資産の資産最適化等に伴うキャッシュをベースに積極的な成長投資と株主還元の強化の両立を目指す中期経営計画(2021-2023)における財務投資戦略及びキャッシュアロケーションの考え方に基づいて、当連結会計年度においては営業活動によるキャッシュ・フローの大幅な増加に加え、政策保有株式の縮減およびグループの事業ポートフォリオ見直しによるキャッシュを創出し、3年間で約1,000億円を想定する成長投資の一部を構成する固定資産の取得による支出に充当しました。
当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、449億円の黒字となりました。前期に比べて77億円減少しておりますが、成長投資による構造転換が進捗し、利益成長及び安定的なキャッシュ創出力は高い水準を維持しているものと考えております。
b.資本の財源及び資金の流動性
イ.資金需要
当社グループの資金需要について、営業活動においては、人件費・外注費及び材料費などの支払いに充当する運転資金が主な内容になります。投資活動においては中期経営計画の3年間で約1,000億円を想定する投資戦略に基づき、DX提供価値の向上や新技術獲得のためのM&Aやソフトウエア開発投資、R&Dや人材育成などへの成長投資を実施しております。この成長投資の一環として、2023年4月に日本ICS株式会社の連結子会社化を実施しており、225億円の株式取得資金を自己資金及び借入金により充当しております。その他、働き方改革を推進するため経常的な設備の更新、増設等を目的とした設備投資を実施しております。
ロ.財務政策
自己資本当期純利益率(ROE)については、事業収益力の向上に伴う当期純利益率の向上を牽引役として12.5%~13%を中期経営計画(2021-2023)における目標とし、長期的には構造転換を進めることで、安定的に15%を実現できる企業への成長を目指しています。
当連結会計年度のROEについては、前連結会計年度の14.0%から4.8ポイント上昇の18.8%となり、中期経営計画の目標水準を上回りました。これは、経常利益の増加に加えて特別損益が大きく改善したことで当期純利益率が10.9%(前期比2.7ポイント増)となったことに加えて、資本構成適正化を目的とした自己株式の取得(約245億円相当)が主要因です。なお、一過性の特別損益等を除いた場合でも中期経営計画の目標水準を上回っていると認識しています。
なお、当社グループは、必要となる資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施することを基本とし、現金及び預金は月商の2ヶ月程度を保有する方針としております。借入金、社債等の調達については、調達コストの抑制の観点から格付「A」の維持を考慮して実施する前提としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループでは、新規事業創出および中長期の事業成長、競争力強化を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響が落ち着きを見せ始める中、2022年11月にOpenAI社が大規模言語モデルを応用したChatGPTをリリースしました。その後わずか2か月で、全世界で1億人ユーザーを突破し、テレビや新聞などで話題となる日々が続いております。このように、先端技術を用いたソリューションが求められる中、経営環境や技術競争環境は劇的に変化しています。社会ニーズをとらえ、社会課題解決につながるテクノロジーをビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端技術トレンドを幅広く分析し、最先端技術を応用するために、次に掲げる3つの領域の研究開発に注力しております。
(1) 将来の新規事業の核となるコア技術を中心とした研究開発
(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発
(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発
(1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発
2021年度より進めておりますコア技術戦略として、「XR*1研究」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子及び古典コンピュータによる大規模処理」および「Data Labeling for AI」を引き続き重点テーマとして研究開発を行っております。それぞれ新規事業などにおける差別化技術として研究開発を行い、要素技術を国内外の大学や研究機関との産学連携にて進めております。
「XR研究」では、社会実装に向けた新しい遠隔コミュニケーション技術の具体化をテーマに、東京大学および東京都市大学と共同研究を進めており、この共同研究により得られた知見を用いて、実写観光メタバースアプリ「BURALIT」および決済完結型バーチャルショップを構築できる「XR Pay」をリリースしております。2022年度は、京都府京都市、福島県喜多方市、大阪府高槻市、滋賀県東近江市などにおいて実証実験を実施しました。
「Multi-Level Edge Computing研究」では、テレワークが急激に普及する中、また、将来メタバース空間において相互的にコミュニケーションを行うことなどを考えると、ネットワーク上に画像等の大容量の通信が必要となってきます。その際に必要な要素技術について、電気通信大学の複数の研究者とともに課題解決型共同研究を行っております。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、次世代のIoTシステムにおける情報フォーマットを定義することで、ヘルスケア分野などにおいて貢献していきます。
「量子及び古典コンピュータによる大規模処理」では、大阪大学および九州大学と共同研究を行い、新規アルゴリズムFQAOA*2を開発し、NISQ*3と呼ばれるエラーの多い小規模な量子コンピュータにおけるエラー抑制技術において成果を上げており、組み合わせ最適化問題に対する新たな計算手法を提案し、近い将来での量子コンピュータへの実装において貢献を行いました。また、量子コンピュータを扱える人材育成のためのカリキュラムについて検討しております。
(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発
当社グループでは、長期トレンドに基づき、解決に貢献する社会課題として「金融包摂」「都市への集中・地方の衰退」「低脱炭素化」「健康問題」と定め、中長期な中核事業化を目指し、積極的に取り組む事業分野として金融、製造、物流、電子政府、エネルギー、医療・ヘルスケアなどを特定し、新たな価値創出を目指しております。特に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)における要素技術の研究開発に取り組んでおります。2022年度には、本人確認業務の利便性を向上のため、「マイナンバーカード本人確認サービス」を提供開始しました。
金融、電子政府分野等では、地域課題解決型デジタル地域通貨サービスを開始しており、金融包摂および地域活性化において貢献しております。また、スマートシティにおけるデータ連携基盤の整備をサポートし、地域の行政運営や市民への情報開示で貢献しております。
エネルギー分野では、Web3.0*4技術やNFT*5を活用して地域の森林資源の循環利用を活性化するプログラム「WOOD DEAM DECK」をつくり、地域の森林資源を活かして経済循環と環境保全を両立するエコシステムの構築を目指しております。
医療・ヘルスケア分野では、地域医療情報連携サービス「ヘルスケアパスポート」の機能を拡張し、臨床結果や服薬記録などを簡単に閲覧できるようになっております。また、PHR*6サービス産業の健全な発展を通じて国民の健康増進や豊かで幸福な生活(Well-being)に貢献することを目的とする「PHRサービス事業協会(仮称)」の設立検討に参画しております。
(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発
ソフトウエア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、アジャイル開発*7、UI/UXデザイン、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当連結会計年度は、昨年度に整備したクロスプラットフォーム*8に対応したフレームワークを活用したモバイルアプリケーション開発のノウハウ(処理方式に関するガイドや実装サンプルなど)や、新規事業開発におけるエンジニアリングの最適化につながるノウハウ(ガイド)を用い、モバイルエンジニアの教育および実プロジェクト(モバイル開発、新規事業開発)での実践に注力しました。
また、高い生産性、堅牢性を武器とするJavaアプリケーションフレームワークであるNablarch(ナブラーク)で培ったノウハウをSpring Frameworkでも活用できるよう、Nablarch向けの設計標準・サンプルをSpring Framework向けに整備、公開致しました。
*1 XR(Extended Reality)
VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称
*2 FQAOA(Fermionic Quantum Approximate Optimization Algorithm)
QAOAは、量子近似最適化アルゴリズムと呼ばれ、量子ゲート方式による組合せ最適化問題の解を求めるためのアルゴリズム。FQAOAは、QAOAをベースにした新規アルゴリズム
*3 NISQ(Quantum Approximate Optimization Algorithm)
エラー訂正機能のない、ノイジーな中規模量子コンピュータのこと
*4 Web3.0
ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータを分散管理することで、特定の管理者を介さずデータやコンテンツなどのやり取りを可能にする、ボーダレスなサービスを展開できる分散型インターネットの概念
*5 NFT(Non-Fungible Token)
暗号資産(仮想通貨)と同じく、ブロックチェーン上で発行および取引される、偽造不可の鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ
*6 PHR(Personal Health Record)
生涯にわたる個人の保健医療情報(健診(検診)情報、予防接種歴、薬剤情報、検査結果等診療関連情報及び個人が自ら日々測定するバイタル等)
*7 アジャイル開発
システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。
*8 クロスプラットフォーム
Android/iOS向けアプリケーションを1つのソースコードで開発できることを指す。