第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「ITの発展」に寄与すべく前例のない技術開発にも果敢に挑戦し、蓄積した技術やノウハウを「技術サービス」へと昇華させ、「社員の成長」と共に「顧客の価値創造」の実現により、社会貢献に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

ICTソリューション事業においては、進行中の大型案件はプロジェクトマネジメント体制を強化し、早期に収束させるべく注力してまいります。また、今後の大型案件受注を見据え、パートナーを管理する組織の再編や開発リソースを提供するパートナー企業との連携強化等、適切な人材配置を可能にするための施策を講じてまいります。一方、注力分野である先端技術(5G、VR/AR/MR等のスマートデバイス連動、AI、画像/音声認識)を活用した案件は、コロナ禍で一時的に先送りする傾向も見られましたが、大企業を中心に再び活発化しており、これら先進性の高い案件を積極的に増やし、売上の拡大と利益率の向上を目指します。また、社長直轄の人材獲得専門チームの施策により、エンジニアの中途採用実績は前年同期比約2倍となるなど着実に成果をあげており、リテンション、教育研修の充実とあわせて人材投資を進め組織力の向上を図ります。そして、M&Aの積極的な活用やダイレクト採用手法の強化等を通じて、さらなる人材確保を進めてまいります。

農水産物輸出ソリューション事業においては、当連結会計年度よりスタートした「コネクトアジア」は中小生産者から大手食品メーカーまで幅広く関心をいただき、順調なスタートを切りました。今後は原材料の規制確認や通関手続きなど複雑な輸出関連業務をすべて代行し、現地のマーケティングや中長期的なブランディングまで一貫してサポートできるサービス体制の確立に取り組みます。日本政府が掲げる2030年までに農林水産物・食品の輸出額5兆円という目標を追い風にシンガポールからスタートし、マレーシア、香港、台湾へのサービス展開に向けて準備を進める予定です。当事業が目指すビジネスモデルは、輸出手続き・現地販売の自動化によって日本国内生産者が簡単に販路を持つことが可能となることに加え、海外消費者の反応や需要に関するデータを取得、分析できるプラットフォームを提供することで、利用企業からの手数料収入により収益化を図ることであり、今後も実現へ向けた投資を継続してまいります。

また、事業間シナジーやヘルスケア分野等のデジタル投資によるイノベーションが見込める領域においてはM&A、資本業務提携を検討し、事業規模の拡大、収益構造の変革に取り組んでまいります。

以上により、2023年6月期の連結業績につきましては、売上高6,200百万円、営業利益200百万円、経常利益190百万円、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円を見込んでおります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、収益性と継続的成長を実現することを経営目標と認識し、売上高成長率及び売上高営業利益率を重視しております。また、事業の成長加速のためM&Aを積極的に検討する方針であり、その場合、のれんの償却額が増加する可能性があるためEBITDA(※)を経営指標としております。

※  EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額

 

(4)経営環境

新型コロナウイルスの感染動向に左右される状況が継続しておりますが、ロシアによるウクライナ侵攻や資源価格の高騰、円安による物価高は深刻となり、世界経済の混乱、日本経済への悪影響が懸念されております。

一方、コロナ禍をきっかけとした新たな価値観、ライフスタイルの急激な変化は、企業のビジネスモデルの変革を促し、DXを支援する情報サービス業界の追い風となると認識しておりますが、高い技術を持つエンジニアを様々な産業で奪い合う構図は、人件費、採用コスト増、開発パートナーの単価上昇となるため、それらを吸収できる付加価値の高いサービスを提供し、顧客満足を高めていく必要があります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが優先的に対処すべき課題は、以下のとおりです。

① 先端技術の習得

あらゆる産業分野において人材リソース不足、非効率といった共通する課題が浮き彫りとなり、デジタル化の推進が拡大していくものと予測されております。当社グループは、市場ニーズに的確に応えることができる技術力を習得し保持するため、ICTソリューション事業において先端技術(5G、VR/AR/MR等のスマートデバイス連動、AI、画像/音声認識)を活用した案件を増やしていくことが重要と捉えております。また、パートナー企業とのアライアンス等による新技術の研究・実証実験に努め、お客さまのITパートナーとして生産性の向上やビジネスの発展に貢献してまいります。

 

② 人材の確保と育成

当社グループが中長期的に成長していくためには、優秀なエンジニアの確保と育成が重要な課題であると認識しております。このような課題に対処するため、通年採用、完全オンライン面接による採用機会の拡大や、米国のグループ会社を拠点としたグローバル採用を進め、国籍に捉われない幅広い人材の獲得に努めております。新型コロナウイルス感染症拡大以降は海外渡航を控えているため、ASEAN、シリコンバレーを中心とした海外エンジニアを確保するための現地採用イベントを中断しておりますが、リモートワークに対応できる勤務体制の構築により、従来地理的に採用対象とすることができなかった地域の優秀なエンジニアにアクセスが可能となりました。これらグローバル採用、遠隔地人材の定着と戦力化も重要な課題となっております。

また、当社グループは「働き方の多様性」を尊重しており、リモートワーク、時短勤務を制度化することで職場環境の充実に力を入れると共に、スキルアップのための資格補助、オンライン学習プラットフォームを活用した教育研修制度を整え、能力を最大限に発揮できる仕組みを確立してまいります。

 

③ 事業領域の拡大

売上高の多くを占めるICTソリューション事業は受注型の事業モデルとなっているため、強固な経営基盤と持続的な成長を可能とする多極的な事業構造に転換していく必要があります。当社グループは創業以来ICTを活用し、その知見とノウハウを融合し発展させることで、先見的な自社ソリューションの開発、事業化を推進してまいりました。農水産物輸出ソリューション事業は、日本とアジアをデジタルでつなぎ、日本国内の生産者、流通会社のアジアマーケット進出を容易にするプラットフォームの構築を進め、当社が自ら取り組む「産業向けDX」の一つとして位置づけております。その他、当社グループが取り組む「産業向けDX」は、カジノ向け決済ソリューション、住宅リフォームの2つの分野があり、前者では新型コロナウイルス収束後の日本版IR施設成立を目指す企業との連携を模索しており、後者では中小工務店向けに生産性向上を支援するパッケージソフトを展開しております。これらにつきましても、ICTソリューション事業で蓄積した技術、知見を応用することで早期の収益化を目指し、事業領域を拡大してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項につきましては、特段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが想定される範囲で記載したものであり、当社株式への投資に関するリスクすべてを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境の変化について (発生可能性:中、影響度:大)

当社グループの経営成績は、国内外の経済情勢や顧客企業のIT投資動向、各種法規制や税制・会計基準の変更等に影響を受けます。また、情報サービス業界では、顧客ニーズの多様化や技術進化が著しいことに加えて、新規事業会社の参入や他社との競合等から価格競争が激化する可能性があります。今後、急速な顧客ニーズの変化や技術革新への対応が遅れた場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらの変化に対応すべく優秀な人材の確保や最新技術に関する研究開発等に努め、先端技術を基盤とした高付加価値ソリューションの提供と業界特化型プラットフォームの上流工程(サービスの提案設計、要件定義等)から開発、運用保守、グロースハック(データ活用、分析等)までのワンストップの支援体制の構築、自社サービスへのデジタル投資等、他社との差別化に努めております。

 

(2)特定事業への依存度について (発生可能性:中、影響度:中)

当社グループは、農水産物輸出ソリューション事業の拡大に注力しているものの、依然として、ICTソリューション事業の売上高が高い割合を占めております。今後、ICTソリューション事業以外の十分な売上拡大の前に、ICTソリューション事業に大規模な減衰が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループは、農水産物輸出ソリューション事業及び新規事業の拡大を積極的に推進していきます。

 

(3)研究開発及び投資について (発生可能性:高、影響度:中)

当社グループは、新技術の研究・実証実験、商品競争力の強化及び事業拡大に向けた新製品・新規サービスの発掘育成等、中長期的な成長に向けた投資を継続的に行っております。これら戦略的投資に対して、事前に投資効果やリスク等を十分検討したうえで実行しておりますが、市場環境の変化や期待していた投資成果が創出できなかった場合、当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループのリスク軽減を図るため、IT技術の動向等を勘案し、所要変動に応じた段階的な投資を行っております。また、当社グループ単独ではリスクの高い大きなプロジェクトとなる場合には、有力企業との提携等も視野に入れながら活動しております。

 

(4)プロジェクト管理について (発生可能性:高、影響度:大)

当社グループは、顧客ニーズに対応したシステム開発や運用保守、システムサービスの提供を行っております。これらのプロジェクトでは、採算性等を十分検討して受注活動を行っておりますが、不採算プロジェクトの発生を完全に防止できる保証はなく、プロジェクトの規模によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、顧客とのコミュニケーションの濃密化、リスク要因のレビューレベルの強化、一定規模以上のプロジェクトに対するレビューの実施、プロジェクトマネジメントスキルの向上等に努め、見積精度の向上とリスク管理の徹底、品質管理体制の拡充強化を進めております。

 

(5)情報セキュリティについて (発生可能性:高、影響度:大)

当社グループは、事業活動を通じて顧客の機密情報や個人情報を取り扱う機会があります。また、社内日常業務を遂行する過程においても、役員及び従業員、取引先企業の役職員に関する個人情報に接する機会があります。これら機密情報が何らかの理由で外部に漏洩した場合、当社グループの信用低下や顧客への損害賠償請求の支払い等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、情報セキュリティ委員会を設置し、全社的な基本方針・マニュアルの周知徹底、情報セキュリティ維持のための監視活動及び諸施策を検討、実施していることに加え、顧客の機密情報や個人情報を取り扱うセグメントにおいて情報セキュリティに関する公的認証を取得しております。さらに、万が一の事態に備え、専門事業者賠償責任保険にも加入しております。

 

(6)システム障害について (発生可能性:高、影響度:中)

当社グループが提供しているサービスに係るサーバ機器や各種サービスが、自然災害やコンピュータウイルスのネットワーク侵入等による障害を完全に排除できる保証はなく、万が一、当社グループの設備、ネットワークに障害が発生し、長期間にわたりシステムが停止する等の事態が生じた場合、当社グループの信用低下や顧客への損害賠償請求の支払い等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、信頼性の高い外部データセンターを利用し、安全性及び安定性が確保できるシステム運用体制の構築、定期的なバックアップや稼働状況の監視、システム開発時に行うリスク要因のレビューレベルの強化、品質管理体制の拡充強化に努めております。万が一、障害が発生した際には、社内関連部門への迅速な情報展開及び対応ができる体制を構築しております。

 

(7)人材の確保及び育成について (発生可能性:高、影響度:大)

当社グループが中長期的に成長していくためには、優秀な人材の確保と継続的な人材の育成が必要不可欠であります。しかしながら、優秀な人材の確保及び育成が当社グループの目論見どおりに進まなかった場合や、人材流出や生産性が低下した場合、当社グループの中長期的な成長性、事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、積極的な採用活動、スキルアップのための教育環境の整備を行うとともに、職場環境の充実及び社内コミュニケーションの強化に努め、人材の流出を防止するための施策を講じております。

 

(8)法的規制等について (発生可能性:高、影響度:大)

当社グループは、事業を遂行していくうえで、各種の法令及び規制等の適用を受けておりますが、現状においては、当社グループの事業の発展を大きく阻害する要因となるような法的規制はないものと認識しております。しかしながら、今後予期せぬ法令等の制定、既存の法令等の解釈の変更がされた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権について (発生可能性:中、影響度:中)

当社グループは、知的財産権を重視し必要な知的財産権の取得を進めるとともに、事業活動に際しては第三者の権利を侵害しないよう最大限の注意を払っております。しかしながら、当社グループの事業活動に関係する第三者の知的財産権の現況を全て把握することは非常に困難であり、当社グループが認識していない第三者の知的財産権が既に存在していた場合、あるいは今後新たに権利取得がなされた場合には、当該第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受けるおそれがあります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、自社で開発したシステムやサービスに係る特許権、商標権等の知的財産権を取得する等、自社の知的財産の保護を図るとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう事前調査の徹底、当社グループ内での教育及び啓蒙活動を実施しております。

 

(10)災害・感染症等について (発生可能性:低、影響度:大)

地震、火災等の自然災害やテロ、感染症の流行(パンデミック)等に見舞われ、当社グループにおいて人的被害又は物理的被害が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、地震や感染症等による事業継続リスクに対応するため、事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直し・改善を実施しております。また、災害発生時に備え、安否確認システムの構築、防災訓練を計画的に実施する等、リスクの低減を図っております。

 

(11)新型コロナウイルス感染症に伴う影響について (発生可能性:高、影響度:大)

当社グループの新型コロナウイルス感染症対策は、政府・地域の法令や指導に従い社員の安全確保と事業遂行のバランスを考慮しながら、テレワークやWeb会議の活用等、まん延防止等重点措置の発令による影響や各種自粛による影響を受けにくい事業運営体制を構築しております。しかしながら、感染症の影響が想定を超える事態に拡大長期化した場合、お客様の事業状況によってはIT投資の抑制や削減を行う可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、一方では、従来以上に企業のデジタル活用の必要性は増加しており、デジタル化のニーズが顕在化する可能性があります。当社グループは、市場の動向及びお客様のニーズに寄り添いながら、様々な業種で蓄積したICTの知見と技術力を最大限活用し、受注の拡大に取り組んでいきます。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前年同期比を記載しておりません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染動向に左右される状況が継続しておりますが、まん延防止等重点措置の解除による人流の増加がプラス材料となり持ち直し傾向がみられました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻、資源価格の高騰、円安による物価高は深刻となり、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属する情報サービス業界におきましては、顧客企業の属する業界によっては、事業環境の一時的な悪化により、予定していた投資額を抑制する動きがみられるものの、感染症予防を契機としたリモートワークの拡大に加え、パラダイムシフトとも言うべき働き方の変化により、中長期的にはデジタル技術を活用した課題解決や新たな事業創出などデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速していくと見込まれます。

当社グループはICTソリューション事業を柱とし、先端技術を基盤とした高付加価値ソリューションや業界特化型プラットフォームのサービスの提案設計から、開発、運用保守までワンストップの支援体制を整え、顧客企業におけるDX推進の共創パートナーとして事業成長に取り組んでおります。また、創業以来、独立系のソフトウエア会社として様々な業種で蓄積したICTの知見とノウハウを活用し、農水産物輸出ソリューション事業を始めとした、デジタル化が遅れている産業にイノベーションを起こすことでITを通した社会貢献に努め、グループの事業基盤、収益力の強化を目指しております。

当連結会計年度の経営成績は、売上高は5,519,060千円、営業損失は237,305千円、経常損失は206,566千円、親会社株主に帰属する当期純損失は168,804千円となりました。

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

なお、当社グループは、前連結会計年度において、連結子会社であった株式会社EBE(以下「EBE」という。)の株式の大半を譲渡し、連結の範囲から除外したため、当連結会計年度より「自動車アフターマーケット」事業を報告セグメントから除外しております。

 

(ICTソリューション事業)

ICTソリューション事業においては、売上高は前連結会計年度に急伸したメディア向け開発案件が継続伸長し過去最高となりました。ターゲットとする業界の深耕が進んだこと、またto C向けに益々広がるデジタル化、開発規模拡大の流れを捉え、さらなる大型案件の受注獲得に注力してきたことによるものです。また、DX需要も底堅く、教育ICT支援や物流業界向けの新規開発案件の受注も寄与しております。このように事業環境は全体的に良好に推移した中、案件の拡大に伴い開発体制の強化を進める過程において、一部の大型案件で開発要員の増強、プロジェクト管理の見直し等、規模に合わせたオペレーション体制構築への投資が必要となり、第3四半期連結会計期間末において受注損失引当金72,600千円を計上しました。しかしながら、開発上の不具合や、その改修作業が想定以上に発生し、当連結会計年度末の時点で改めてスケジュールを見直した結果、110,800千円を追加計上することといたしました。

上記により、当連結会計年度のICTソリューション事業の売上高は5,167,115千円、セグメント利益は388,824千円となりました。

 

 

(農水産物輸出ソリューション事業)

農水産物輸出ソリューション事業においては、売上高は収益認識会計基準適用に伴い代理人取引と判定される商品売上の収益認識を総額から純額へと変更した影響により表示上減収となりましたが、流通量は増加しております。シンガポールでは渡航制限が緩和されコロナ前の状況に戻りつつありますが、燃料高による輸送コストの増加傾向は顕著であるため、案件、商材ごとの採算を重視し収益の改善に取り組んでおります。

当事業では、これまでITを活用した農水産物流通プラットフォームの基盤強化に向けた投資として、「Tokyo Fresh Biz」、「Ginza Sweets」等の越境ECサイト開設と、販路(リアル・越境EC)の多様化を通じて取引データの蓄積を進めてまいりました。こうした取り組みのノウハウ・ネットワークを、独自の商材を持ちアジア進出を目指す日本国内の中小生産者・卸売事業者向けにソリューションとして提供する、海外販路開拓支援サービス「コネクトアジア」をスタートしました。その一環として、日本全国の地域に眠る銘品を発掘し、輸出に繋げる「日本縦断銘品発掘キャラバン」を開始し、プラットフォームの価値向上を図ってまいります。

上記により、当連結会計年度の農水産物輸出ソリューション事業の売上高は351,944千円、セグメント損失は64,222千円となりました。

なお、前連結会計年度は当事業に属する株式会社We Agriの決算期変更により、2020年4月1日から2021年6月30日までの15ヶ月間を連結しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ66,282千円増加し、1,981,852千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、75,340千円(前連結会計年度は33,221千円の支出)となりました。

この主な内訳は、受注損失引当金の増加額183,400千円、その他125,055千円、法人税等の還付額89,621千円による資金の増加、税金等調整前当期純損失207,763千円、法人税等の支払額198,539千円による資金の減少であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、3,597千円(前連結会計年度は19,237千円の支出)となりました。

この主な内訳は、投資有価証券の売却による収入11,000千円による資金の増加、投資有価証券の取得による支出8,231千円による資金の減少であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、34,985千円(前連結会計年度は39,351千円の支出)となりました。

この主な内訳は、配当金の支払額34,978千円による資金の減少であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

ICTソリューション

4,188,690

農水産物輸出ソリューション

247,460

合計

4,436,151

(注)1 金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

ICTソリューション

5,064,081

102.0

1,131,806

91.7

農水産物輸出ソリューション

合計

5,064,081

102.0

1,131,806

91.7

(注)1  金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  自社プロダクト等のサービス提供及び農水産物の輸出販売等については、受注生産を行っていないため、受注実績の記載をしておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ICTソリューション

5,167,115

農水産物輸出ソリューション

351,944

合計

5,519,060

(注)1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しております。このため、前年同期比については記載しておりません。

3  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱NTTドコモ

861,923

14.4

636,597

11.5

㈱サプライズクルー

693,719

11.6

1,265,358

22.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

(売上高)

売上高は5,519,060千円となりました。

この主な要因は、前連結会計年度において自動車アフターマーケット事業の連結子会社であったEBEの連結除外による影響であります。詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業損益)

売上原価は4,436,151千円となりました。この主な要因は、ICTソリューション事業において、大型案件に対応するための開発ノウハウ蓄積、パートナー含めた体制強化により売上原価が増加したものであります。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に対して303,577千円減少し、1,320,214千円となりました。この主な要因は、自動車アフターマーケット事業の連結子会社であったEBEの連結除外や、農水産物輸出ソリューション事業において、輸送手段、ルートを精査するなど、採算重視の取組みを強化したことによるものであります。この結果、営業損失は237,305千円(前連結会計年度は営業利益177,723千円)となり、売上高に対する営業利益率は△4.3%(前連結会計年度は3.0%)となりました。

 

(営業外損益、経常損益)

営業外収益は、前連結会計年度に対して6,765千円減少し、36,268千円となりました。この主な要因は、農水産物輸出ソリューション事業における助成金収入の減少によるものであります。また、営業外費用は、前連結会計年度に対して592千円減少し、5,528千円となりました。

この結果、経常損失は206,566千円(前連結会計年度は経常利益214,636千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

税金等調整前当期純損失は207,763千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失174,262千円)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は168,804千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失538,739千円)となりました。

 

b. 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ14,975千円増加し、3,264,087千円となりました。この主な要因は、流動資産その他が30,266千円減少したものの、現金及び預金が66,282千円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ29,881千円増加し、425,910千円となりました。この主な要因は、投資その他の資産が44,915千円増加したことによるものであります。

繰延資産は、前連結会計年度末に比べ1,107千円減少し、2,123千円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ43,749千円増加し、3,692,121千円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ229,343千円増加し、922,626千円となりました。この主な要因は、受注損失引当金が183,400千円増加したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,912千円減少し、528,722千円となりました。この主な要因は、長期借入金が4,640千円減少したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ225,431千円増加し、1,451,349千円となりました。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ181,681千円減少し、2,240,771千円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が168,804千円、配当金の支払により資本剰余金が35,255千円減少したことによるものであります。なお、減資及び欠損填補を行った結果、利益剰余金が935,684千円増加し、資本金が823,260千円、資本剰余金が112,423千円減少しておりますが、純資産合計に変動はありません。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入やソフトウエア開発に係る人件費支出、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要で主なものは、設備投資及び当社事業戦略に沿った提携先や当社事業との相乗効果が見込まれる事業会社への出資または取得(M&A)によるものであります。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金にて対応していく予定でありますが、M&A等の自己資金のみでは賄えない資金需要については、新株の発行や金融機関からの借入等の資金調達方法を検討する方針です。

 

e. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、収益性と継続的成長を実現することを経営目標と認識し、売上高成長率及び売上高営業利益率を重視しております。また、事業の成長加速のためM&Aを積極的に検討する方針であり、その場合、のれんの償却額が増加する可能性があるためEBITDA(※)を経営指標としております。

なお、当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しております。このため、当連結会計年度の売上高成長率については記載しておりません。

 

区分

前連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

売上高成長率(%)

△4.9

売上高営業利益率(%)

3.0

△4.3

EBITDA(千円)※

227,439

△215,034

※EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額

 

4【経営上の重要な契約等】

コミットメントライン契約及び当座貸越契約の締結について

当社は、今後の更なる事業拡大と企業価値向上に向け、機動的かつ安定的な資金調達枠を確保することで、新たなM&A等に伴う手元資金の減少を防ぎ、財務基盤の安定を図ることを目的として、以下のとおり、コミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。

① コミットメントライン契約

金融機関名

借入極度額

契約締結日

株式会社りそな銀行

8億円

2019年5月29日

(2021年12月16日 延長契約)

株式会社三井住友銀行

3億円

2019年6月25日

(2022年6月24日 再契約)

② 当座貸越契約

金融機関名

借入極度額

契約締結日

株式会社りそな銀行

3億円

2019年5月31日

(1年ごと自動更新)

株式会社三井住友銀行

6億円

2019年6月26日

(2022年6月22日 延長契約)

株式会社みずほ銀行

3億円

2019年5月28日

(1年ごと自動更新)

 

5【研究開発活動】

当社グループは、新技術を駆使し顧客の価値創造の実現に貢献できるシステムの研究開発を積極的に進めております。なお、当連結会計年度の研究開発活動は、ICTソリューション事業において、3D配信プラットフォーム、5G、XR×ドローンをテーマとした新サービスの実証実験及び試作開発等を行い、総額7,680千円の投資を実施いたしました。