当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「最先端テクノロジーと創造力で、産業の変革をリードします。」をミッションとして掲げ、ITの発展に寄与すべく前例のない技術開発にも果敢に挑戦し、社員の成長と顧客の価値創造の実現により、社会貢献に努めてまいります。
(2)経営戦略等
生成AI技術の著しい進化は様々な業界に革命的な変化をもたらし、単なる自動化を超え、予測分析、パーソナライズされた顧客体験、複雑なデータ処理が可能となり、その適用範囲と影響力が飛躍的に拡大しております。このような状況の下、先端技術・テクノロジーを駆使するICTソリューション事業では、顧客ビジネスへの深い理解を必要とするコンサルティング力の強化や保有するデータの分析、課題抽出から解決策の提案により、多くの新しいサービスの創出を支援してまいりました。引き続きIT投資需要は継続していくことが見込まれますが、業界の競争が激化する中で大手SIerが提供する標準的なソリューションに加え、より柔軟で迅速に対応できるサービスを提供することで差別化を図ってまいります。今後もXRデバイス、生成AI等の先端技術を活用した開発案件の実績を積み重ね、テックファームの強みとして広くアピールすることで新規顧客の獲得に繋げ安定的な収益の確保に努めてまいります。また、あらゆる業種でエンジニアの需要が高まり採用競争が続いていますが、会社のブランディング強化による知名度の向上やキャリアに応じた教育制度を整備し、技術力の底上げと組織全体のパフォーマンス向上を図ってまいります。
自社サービス提供型ビジネスであるクロスボーダー流通プラットフォーム事業では、「Find More Japan -日本再発見を加速する」をミッションとして、ITと最新の流通技術を組み合わせ、アジアと日本をつなぐ越境流通プラットフォームの展開を目指しております。
海外販路開拓をサポートする「コネクトアジア」は中小生産者から大手食品メーカーまで幅広く関心をいただき取引社数を増やし、今後も地方自治体・経済団体や金融機関との連携を進めてまいります。主要販売市場であるシンガポールでは、直営店舗を開設し、連携する小売店も含めた顧客とのタッチポイントをさらに増やすことで、集積される流通データの分析に基づく将来の予測を、日本の顧客候補及びシンガポールの小売店に対して提供してまいります。
そして、グループとして売上高100億円を目指す過程において、開発リソースを強化するエンジニアの増強や、クロスボーダー流通プラットフォーム事業に続くデジタル投資によるイノベーションが見込める領域においてはM&A、資本業務提携を検討し、事業規模の拡大、収益構造の変革に取り組んでまいります。
以上により、2025年6月期の連結業績につきましては、売上高5,800百万円、営業利益400百万円、経常利益390百万円、親会社株主に帰属する当期純利益230百万円を見込んでおります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性と継続的成長を実現することを経営目標と認識し、売上高成長率及び売上高営業利益率を重視しております。また、事業の成長加速のためM&Aを積極的に検討する方針であり、その場合、のれんの償却額が増加する可能性があるためEBITDA(※)を経営指標としております。
※ EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額
(4)経営環境
日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、サービス、インバウンド消費の急回復が続いております。一方、欧米のインフレが長期化しており、大幅な円安による原材料価格の高騰、中国の経済成長の鈍化や地政学的リスクの高まりなど、外部環境の不確実性が企業収益や国内消費に与える影響が懸念されております。
当社グループが属する情報サービス業界におきましては、ChatGPTに代表される生成AI技術やテクノロジーの急速な進化により、様々な業種で戦略の転換や新たな事業創出などIT投資需要の拡大が見込まれる一方、高い技術を持つエンジニアを様々な産業で奪い合う構図は、人件費、採用コスト増、開発パートナーの単価上昇となるため、それらを吸収できる付加価値の高いサービスを提供し、顧客満足を高めていく必要があります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき課題は、以下のとおりです。
① 先端技術の習得
あらゆる産業分野において、先端技術を活用したDXが進み、今後も拡大していくものと予測されております。当社グループは、市場ニーズに的確に応えることが出来る技術力を習得し保持するため、ICTソリューション事業において先端技術、特にAIとXR(VR/AR/MR等)のスマートデバイス連動を活用した案件を増やしていくことが重要と捉えております。また、パートナー企業とのアライアンス等による、新技術の研究・実証実験に努め、お客さまのITパートナーとして、生産性の向上やビジネスの発展に貢献してまいります。
② 人材の確保と育成
当社グループが、中長期的に成長していくためには、先端技術や大型案件を担えるエンジニアの育成が重要な課題であると認識しております。このような課題に対処するため、会社のブランディング強化による知名度の向上やキャリアに応じた教育制度を整備し、技術力の底上げと組織全体のパフォーマンス向上を図ってまいります。また、当社グループは「働き方の多様性」を尊重しており、リモートワーク、時短勤務を制度化することで社員の定着率を高めると共に、国内遠隔地を対象としたフルリモート採用を進め、優秀なエンジニアの確保を強化してまいります。
③ 事業領域の拡大
売上高の多くを占めるICTソリューション事業は受託開発型の事業モデルとなっているため、強固な経営基盤と持続的な成長を可能とする多極的な事業構造に転換していく必要があります。当社グループは創業以来ICTを活用し、その知見とノウハウを融合し発展させることで、先見的な自社ソリューションの開発、事業化を推進してまいりました。クロスボーダー流通プラットフォーム事業はその一つであり、日本国内の生産者、流通会社のアジアマーケット進出を容易にする越境流通プラットフォームの構築を進めております。その他、自社ソリューション提供型事業は、カジノ向け決済ソリューション、住宅リフォームの2つの分野があり、前者では日本版IR進出を目指す企業との連携を模索しており、後者では中小工務店向けに生産性向上を支援するパッケージソフトを展開しております。これらにつきましても、ICTソリューション事業で蓄積した技術、知見を応用することで早期の収益化を目指し、事業領域を拡大してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティに関する考え方>
当社グループは「最先端テクノロジーと創造力で、産業の変革をリードします。」のミッションを掲げ、ICTソリューション事業を柱とし顧客企業におけるDX推進の共創パートナーとして事業成長に取り組んでおります。「ITの力を、社会に役立てる」という志を大切に、持続可能な社会の実現に真摯に取り組み、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指しております。
(1)ガバナンス
当社グループにおける、サステナビリティ関連のリスク及び機会を把握・管理するためのガバナンス体制は、
(2)戦略
当社グループが、社員にとって「働きがいのある職場」となるよう、「エンゲージメント」と「ウェルビーイング」の向上を図り、心理的安全性の高い組織風土を醸成する環境づくりに努めております。また、「働き方の多様性」を尊重しており、スキルアップのための資格補助や教育研修制度を整え、事業の源泉であるエンジニア人材が能力を最大限に発揮できる仕組みを確立してまいります。
(社内環境整備に関する取り組み)
フルリモート・時短勤務の制度化
遠隔地・育児・介護中のフルリモート勤務制度の導入
性別・年齢問わず最長90日間の妊活休暇制度の導入
育児・介護・病気療養・リスキリング等で活用できる最長60日間の失効年次有給休暇積立制度
(人材育成に関する取り組み)
新卒社員入社研修・階層別キャリア研修の充実
キャリアパスと連動した能力開発、育成プログラムの作成運用
全社員対象のキャリア申告制度の導入
称賛する文化の浸透と従業員エンゲージメントメントを高めるピアボーナス制度の導入
(人材の多様性確保のための取り組み)
ポテンシャル(新卒)、キャリア(中途)採用ともに通年採用の実施
「地域」「ジェンダー」「学歴・職歴」「国籍」不問の「フリー採用」の実施
(3)リスク管理
リスクマネジメント体制
当社グループは、グループ経営に関する様々なリスクを審議するため、主要なリスクの状況について、定期的にモニタリング、評価・分析し、グループ各社に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会へ報告する体制を整えております。詳細につきましては、
(4)指標及び目標
当社グループは
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項につきましては、特段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが想定される範囲で記載したものであり、当社株式への投資に関するリスクすべてを網羅するものではありません。
(1)事業環境の変化について (発生可能性:中、影響度:大)
当社グループの経営成績は、国内外の経済情勢や顧客企業のIT投資動向、各種法規制や税制・会計基準の変更等に影響を受けます。また、情報サービス業界では、顧客ニーズの多様化や技術進化が著しいことに加えて、新規事業会社の参入や他社との競合等から価格競争が激化する可能性があります。今後、急速な顧客ニーズの変化や技術革新への対応が遅れた場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらの変化に対応すべく優秀な人材の確保や最新技術に関する研究開発等に努め、グループの事業基盤、収益力の強化を図っております。
(2)特定事業への依存度について (発生可能性:中、影響度:中)
当社グループは、クロスボーダー流通プラットフォーム事業の拡大に注力しているものの、依然として、ICTソリューション事業の売上高が高い割合を占めております。今後も、ICTソリューション事業は大型案件・先端技術案件に注力し高収益化を目指していく予定ですが、事業環境の変化等により当該事業に大規模な減衰が生じた場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、クロスボーダー流通プラットフォーム事業の拡大及びICTの知見とノウハウを活用した先見的な自社ソリューションの開発、事業化を積極的に推進しております。
(3)研究開発及び投資について (発生可能性:高、影響度:中)
当社グループは、新技術の研究・実証実験、商品競争力の強化及び事業拡大に向けた新製品・新規サービスの発掘育成等、中長期的な成長に向けた投資を継続的に行っております。これら戦略的投資に対して、事前に投資効果やリスク等を十分検討したうえで実行しておりますが、市場環境の変化や期待していた投資成果が創出できなかった場合、当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループのリスク軽減を図るため、IT技術の動向等を勘案し、所要変動に応じた段階的な投資を行っております。また、当社グループ単独ではリスクの高い大きなプロジェクトとなる場合には、有力企業との提携等も視野に入れながら活動しております。
(4)プロジェクト管理について (発生可能性:高、影響度:大)
当社グループは、先端技術を基盤とした高付加価値ソリューションの提供や業界特化型プラットフォームのサービスの提案設計から開発、運用保守の提供を行っており、近年は大型案件が増加しております。これらの受託開発案件では、採算性等を十分検討して受注活動を行っておりますが、不採算プロジェクトの発生を完全に防止できる保証はなく、特に大型案件については、緻密なプロジェクト管理が求められており、予め定めた期日までに作業を完了できなかった場合には損害賠償が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、顧客とのコミュニケーションの濃密化、プロジェクト規模に応じたレビューの実施、プロジェクトマネジメントスキルの向上等に努め、見積精度の向上とリスク管理の徹底、品質管理体制の拡充強化を進めております。
(5)情報セキュリティについて (発生可能性:高、影響度:大)
当社グループは、事業活動を通じて顧客の機密情報や個人情報を取り扱う機会があります。また、社内日常業務を遂行する過程においても、役員及び従業員、取引先企業の役職員に関する個人情報に接する機会があります。これら機密情報が何らかの理由で外部に漏洩した場合、当社グループの信用低下や顧客への損害賠償請求の支払い等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、情報セキュリティ委員会を設置し、全社的な基本方針・マニュアルの周知徹底、情報セキュリティ維持のための監視活動及び諸施策を検討、実施していることに加え、顧客の機密情報や個人情報を取り扱うセグメントにおいて情報セキュリティに関する公的認証を取得しております。さらに、万が一の事態に備え、専門事業者賠償責任保険にも加入しております。
(6)システム障害について (発生可能性:高、影響度:中)
当社グループが提供しているサービスに係るサーバ機器や各種サービスが、自然災害やコンピュータウイルスのネットワーク侵入等による障害を完全に排除できる保証はなく、万が一、当社グループの設備、ネットワークに障害が発生し、長期間にわたりシステムが停止する等の事態が生じた場合、当社グループの信用低下や顧客への損害賠償請求の支払い等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、信頼性の高い外部データセンターを利用し、安全性及び安定性が確保できるシステム運用体制の構築、定期的なバックアップや稼働状況の監視、システム開発時に行うリスク要因のレビューレベルの強化、品質管理体制の拡充強化に努めております。万が一、障害が発生した際には、社内関連部門への迅速な情報展開及び対応ができる体制を構築しております。
(7)人材の確保及び育成について (発生可能性:高、影響度:大)
当社グループが中長期的に成長していくためには、先端技術や大型案件を担える優秀な人材の確保と継続的な人材の育成が必要不可欠であります。しかしながら、優秀な人材の確保及び育成が当社グループの目論見どおりに進まなかった場合や、人材流出や生産性が低下した場合、当社グループの中長期的な成長性、事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、会社のブランディング強化による知名度の向上やキャリアに応じた教育制度を整備し、技術力の底上げと組織全体のパフォーマンス向上を図ってまいります。また、スキルアップのための資格補助、教育研修制度等の環境整備を行い、能力を最大限に発揮できる仕組みを構築するとともに、職場環境の充実及び社内コミュニケーションの強化に努め、人材の流出を防止するための施策を講じております。
(8)法的規制等について (発生可能性:高、影響度:大)
当社グループは、事業を遂行していくうえで、各種の法令及び規制等の適用を受けておりますが、現状においては、当社グループの事業の発展を大きく阻害する要因となるような法的規制はないものと認識しております。しかしながら、今後予期せぬ法令等の制定、既存の法令等の解釈の変更がされた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、コンプライアンス経営の確立に努め、契約書のリーガルチェック、全社員向け研修等を通じて法的規制を遵守する体制を強化しております。また、当社グループの事業に関連する法令等の整備が行われる可能性が発生した場合は、顧問弁護士等の専門家と連携し速やかに対応する方針であります。
(9)知的財産権について (発生可能性:中、影響度:中)
当社グループは、知的財産権を重視し必要な知的財産権の取得を進めるとともに、事業活動に際しては第三者の権利を侵害しないよう最大限の注意を払っております。しかしながら、当社グループの事業活動に関係する第三者の知的財産権の現況を全て把握することは非常に困難であり、当社グループが認識していない第三者の知的財産権が既に存在していた場合、あるいは今後新たに権利取得がなされた場合には、当該第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受けるおそれがあります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、自社で開発したシステムやサービスに係る特許権、商標権等の知的財産権を取得する等、自社の知的財産の保護を図るとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう事前調査の徹底、当社グループ内での教育及び啓蒙活動を実施しております。
(10)災害・感染症等について (発生可能性:低、影響度:大)
地震、火災等の自然災害やテロ、感染症の流行(パンデミック)等に見舞われ、当社グループにおいて人的被害又は物理的被害が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、地震や感染症等による事業継続リスクに対応するため、事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直し・改善を実施しております。また、災害発生時に備え、安否確認システムの構築、防災訓練を計画的に実施する等、リスクの低減を図っております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、サービス、インバウンド消費の急回復が続いております。一方、欧米のインフレが長期化しており、大幅な円安による原材料価格の高騰、中国の経済成長の鈍化や地政学的リスクの高まりなど、外部環境の不確実性が企業収益や国内消費に与える影響が懸念されております。
当社グループが属する情報サービス業界におきましては、ChatGPTに代表される生成AI技術やテクノロジーの急速な進化により、様々な業種で戦略の転換や新たな事業創出などIT投資需要の拡大が見込まれております。
当社グループは「最先端テクノロジーと創造力で、産業の変革をリードします。」をミッションとして掲げ、先端技術を基盤とした高付加価値ソリューションや業界特化型プラットフォームのサービス提案設計から開発、運用保守まで、ワンストップの支援体制を整え、顧客企業におけるDX推進の共創パートナーとして事業成長に取り組んでおります。また、創業以来、独立系のソフトウエア会社として様々な業種で蓄積したICTの知見とノウハウを活用し、デジタル化の活用によって事業の発展がより見込める産業にイノベーションを起こすことでITを通した社会貢献に努め、グループの事業基盤、収益力の強化を目指しております。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は5,072,509千円(前年同期比12.1%減)、営業利益は239,255千円(前年同期比38.1%増)、経常利益は261,000千円(前年同期比40.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は155,914千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失48,707千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「農水産物輸出ソリューション」は化粧品、雑貨等の取扱い割合の増加や、海外消費者の反応や需要に関するデータの分析等、ITと最新の流通技術を組み合わせた独自の流通プラットフォームを展開していくことを明瞭にするため、セグメントの名称を「クロスボーダー流通プラットフォーム」に変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。前連結会計年度との比較・分析は、変更後の名称により行っております。
(ICTソリューション事業)
ICTソリューション事業においては、前連結会計年度の売上高が一部大型開発案件の早期検収の影響により想定以上に伸びていたことや、当該案件の計画変更に伴う開発体制の見直しにより減収となりましたが、プロジェクト進捗のモニタリングや品質チェック等、安定化に向けた取り組みの効果が現れており採算は改善しております。また、エンジニアの採用が順調に進んだ結果、社内リソースでの対応が増え外注費の抑制に繋がっております。引き続き大型案件に対応できる品質基準を定着させ、新たな案件受注のための体制づくりを進めてまいります。
注力分野である先端技術では、XR(クロスリアリティ)デバイスを活用した案件が伸長しております。XR技術に特化した専門展であるXR総合展への出展やプロトタイプ開発を通じた外部への情報発信により、さらなる新規顧客の獲得強化を図ってまいります。また、Web3.0時代の到来により、リアルとデジタルを繋ぐサービスの重要性が高まる中、AIを駆使した最先端技術で3Dを生成し、顧客が展開するメタバースやECサイトなどのバーチャル空間での活用を支援してまいります。
上記により、当連結会計年度のICTソリューション事業の売上高は4,763,214千円(前年同期比12.3%減)、セグメント利益は789,256千円(前年同期比2.6%減)となりました。
(クロスボーダー流通プラットフォーム事業)
クロスボーダー流通プラットフォーム事業においては、ITと最新の流通技術を組み合わせ、アジアと日本をつなぐ越境流通プラットフォームの展開を目指しております。海外販路開拓支援サービス「コネクトアジア」では地方公共団体や地方銀行と連携し、東南アジアでの事業展開を目指す日本国内の生産者・食品メーカーとの商談を進めております。プラットフォームサービスの利用企業数は着実に増加しておりますが、東南アジア側での進出受け皿となる拠点作りが遅れ、流通量を大きく伸ばすことは出来ませんでした。
当連結会計年度では、顧客商材の体験・ショールームとしての機能を担う拠点として、シンガポール最大の繁華街、オーチャードロードに直営店舗をオープンし、店舗のブランディング含め基盤作りへの投資を進めております。販売に加え、試食・試飲イベントの開催を実施し、より多くの顧客とのタッチポイントを創出することでデータ収集を進めるほか、集めたデータの分析及びその活用、テスト販売・商談後のフォローアップなど、シンガポールの顧客ニーズに合わせた商材の提案を行い「コネクトアジア」のリピート率を高めてまいります。
上記により、当連結会計年度のクロスボーダー流通プラットフォーム事業の売上高は309,294千円(前年同期比9.6%減)、セグメント損失は58,102千円(前年同期はセグメント損失50,761千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ17,840千円増加し、2,338,579千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、6,857千円(前連結会計年度は263,224千円の収入)となりました。
この主な内訳は、税金等調整前当期純利益254,861千円による資金の増加、損害補償損失引当金の減少額130,100千円、売上債権及び契約資産の増加額102,784千円、法人税等の支払額23,379千円による資金の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、48,884千円(前連結会計年度は495,339千円の支出)となりました。
この主な内訳は、有価証券の売却による収入100,000千円による資金の増加、投資有価証券の取得による支出41,369千円による資金の減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、46,657千円(前連結会計年度は560,978千円の収入)となりました。
この主な内訳は、配当金の支払額35,357千円による資金の減少であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ICTソリューション |
3,365,059 |
82.5 |
|
クロスボーダー流通プラットフォーム |
174,091 |
78.2 |
|
合計 |
3,539,150 |
82.3 |
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
ICTソリューション |
5,377,395 |
94.1 |
2,029,600 |
143.4 |
|
クロスボーダー流通プラットフォーム |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
5,377,395 |
94.1 |
2,029,600 |
143.4 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 クロスボーダー流通プラットフォーム事業については、受注生産を行っていないため、受注実績の記載をしておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ICTソリューション |
4,763,214 |
87.7 |
|
クロスボーダー流通プラットフォーム |
309,294 |
90.4 |
|
合計 |
5,072,509 |
87.9 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
㈱サプライズクルー |
1,730,131 |
30.0 |
843,510 |
16.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に対して697,806千円減少し、5,072,509千円となりました。
この主な要因は、ICTソリューション事業における一部大型開発案件の計画変更による影響であります。詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業損益)
売上原価は、前連結会計年度に対して762,545千円減少し、3,539,150千円となりました。この主な要因は、ICTソリューション事業において、大型案件の安定化に向けた取り組みが進んだことや、社内エンジニアの稼働が増えたことで外注費が抑制されたことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、概ね前年並みとなり1,294,103千円となりました。この結果、営業利益は、前連結会計年度に対して66,003千円増加し、239,255千円となり、売上高に対する営業利益率は4.7%(前連結会計年度は3.0%)となりました。
(営業外損益、経常損益)
営業外収益は、前連結会計年度に対して12,421千円増加し、30,547千円となりました。この主な要因は、クロスボーダー流通プラットフォーム事業における為替差益によるものであります。また、営業外費用は、支払利息等により前連結会計年度に対して3,430千円増加し、8,801千円となりました。
この結果、経常利益は、前連結会計年度に対して74,994千円増加し、261,000千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
税金等調整前当期純利益は254,861千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失67,092千円)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は155,914千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失48,707千円)となりました。
b. 財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ49,180千円増加し、3,620,683千円となりました。この主な要因は、有価証券が99,490千円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が102,265千円、その他流動資産が28,967千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ21,055千円減少し、439,234千円となりました。この主な要因は、投資その他の資産が26,231千円減少したことによるものであります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ4,431千円増加し、5,447千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ32,556千円増加し、4,065,365千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ577,347千円減少し、1,258,306千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が21,277千円、賞与引当金が23,046千円増加したものの、1年内償還予定の社債が500,000千円、損害補償損失引当金が130,100千円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ500,421千円増加し、531,296千円となりました。この主な要因は、社債が500,000千円増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ76,926千円減少し、1,789,603千円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ109,483千円増加し、2,275,762千円となりました。この主な要因は、配当金の支払があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が120,483千円増加したことによるものであります。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入やソフトウエア開発に係る人件費支出、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要で主なものは、設備投資及び当社事業戦略に沿った提携先や当社事業との相乗効果が見込まれる事業会社への出資または取得(M&A)によるものであります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金にて対応していく予定でありますが、M&A等の自己資金のみでは賄えない資金需要については、新株の発行や金融機関からの借入等の資金調達方法を検討する方針です。
e. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性と継続的成長を実現することを経営目標と認識し、売上高成長率及び売上高営業利益率を重視しております。また、事業の成長加速のためM&Aを積極的に検討する方針であり、その場合、のれんの償却額が増加する可能性があるためEBITDA(※)を経営指標としております。
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区分 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
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売上高成長率(%) |
4.6 |
△12.1 |
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売上高営業利益率(%) |
3.0 |
4.7 |
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EBITDA(千円)※ |
185,084 |
249,150 |
※EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額
コミットメントライン契約及び当座貸越契約の締結について
当社は、今後の更なる事業拡大と企業価値向上に向け、機動的かつ安定的な資金調達枠を確保することで、新たなM&A等に伴う手元資金の減少を防ぎ、財務基盤の安定を図ることを目的として、以下のとおり、コミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
① コミットメントライン契約
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金融機関名 |
借入極度額 |
契約締結日 |
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株式会社りそな銀行 |
8億円 |
2019年5月29日 (2023年12月13日 延長契約) |
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株式会社三井住友銀行 |
3億円 |
2019年6月25日 (2024年6月27日 再契約) |
② 当座貸越契約
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金融機関名 |
借入極度額 |
契約締結日 |
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株式会社りそな銀行 |
3億円 |
2019年5月31日 (2023年12月27日 再契約) |
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株式会社三井住友銀行 |
6億円 |
2019年6月26日 (2024年6月26日 延長契約) |
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株式会社みずほ銀行 |
3億円 |
2019年5月28日 (1年ごと自動更新) |
当社グループは、新技術を駆使し顧客の価値創造の実現に貢献できるシステムの研究開発を積極的に進めております。なお、当連結会計年度の研究開発活動は、ICTソリューション事業において、3D配信プラットフォーム、5G、XR×ドローンをテーマとした新サービスの実証実験及び試作開発等を行い、総額