第3 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。

 

2 【事業等のリスク】

当年度中、当社及びその子会社(総称して「当グループ」)は、ブルサ・セキュリティーズのメイン・マーケット上場規則(「上場規則」)及びコーポレート・ガバナンスに関するマレーシアン・コード(「本規範」)の方針及び実施規定を遵守するために、当グループの内部統制とリスク管理のシステムの改善を引き続き行った。

取締役会は、取締役会が株主の投資及び当グループの資産の保護を目的とした安定したリスク管理及び内部統制システムの維持につき全責任を有していること、並びにかかる統制が重大な過失、詐欺又は損失が発生するリスクに対して合理的ではあるが完全ではない保証を提供するに止まるものであることを認識している。

 

取締役会の責任

取締役会は、株主の投資及び当グループの資産を保護するための適切な統制環境の枠組みの確立を含む、安定したリスク管理及び内部統制のシステムの維持、並びに当該システムの適切性と完全性の審査につき最終的な責任を負っている。内部統制のシステムは財務の管理だけでなく、業務及び法令遵守の管理並びにリスク管理などをカバーしている。しかしながら、取締役会は、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムの審査が共同で行われる継続的なプロセスであり、事業目的の達成に失敗するリスクを排除するものではなく、むしろかかるリスクを管理し、詐欺行為及びエラーの可能性を最小限にするためのシステムであると考えている。したがって、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムは、重大な誤表示、詐欺及び損失に対する、合理的ではあるものの、絶対的ではない保証を提供するに止まる。

取締役会は、当年度について、当グループのリスク管理及び内部統制(財務その他も含めて)が当グループの効率的かつ効果的な事業活動、財務情報の信頼性及び透明性、並びに法令及び規則の遵守を合理的に保証するものであると考えている。

 

当グループの内部統制の主な特徴

取締役会は、継続的な監視及び統制活動の効率性の審査の手続を含む、安定した内部統制構造の維持、並びに当グループ及びその従業員の行動の統治に専心している。当グループの内部統制システムの主な内容の概略は、以下のとおりである。

 

・承認手続

当グループは、承認手続を明確に定義し、説明責任を明確に定め、取締役会及び上席経営陣内で承認、許可及び管理に関する厳格な手続を有している。承認レベル、職務分掌及びその他の統制手続などの責任のレベルは、株主の最善の利益に鑑みた効率的かつ独立した管理を促すために当グループ内に通知されている。

 

・権限レベル

当グループは大規模な入札、設備投資プロジェクト、買収及び事業の処分並びにその他の大規模な取引に関して、会長、取締役社長、常勤取締役に対して権限レベルを委任している。一定の限度額を超える資本及び収益に関する承認は、取締役会がこれを決定する。その他の投資に関する判断は、権限の範囲に従って承認される。総合的な評価及び監視手続は、すべての大規模な投資に関する決定に適用される。企業への融資及び投資資金の拠出の要件、外貨及び金利リスク管理、投資、保険並びに署名権者の指名等を含む主な財務に関する事項の決定については、取締役の承認が必要である。

 

・財務成績

中間財務成績は、ブルサ・セキュリティーズに開示する前に、監査委員会が審査し、監査委員会の提言に基づき取締役会が承認する。年次財務成績及び当グループの事業の状況の分析は、外部の監査人による審査と監査を受けた後に株主に開示される。

 

・内部の法令遵守

当グループは、主な従業員が年間目標の達成を評価するべく内部で審査する経営陣のレビュー及び報告を通じて内部の財務管理の遵守を監視している。内部の方針や手続の更新は、リスクの変化、又は経営上の欠陥部分の是正、並びに当グループに関連する法令及び規則の遵守要件の変化を反映するために行われる。内部監査は、手続の遵守の監視及び精査を行い、提供された財務情報の整合性を評価するため、特定の期間について体系的に取り決められる。

 

当グループの内部統制の主な手続

内部統制のシステムの適切性と整合性を審査するために取締役会が定めた主な手続は、以下のとおりである。

 

・内部監査機能

当グループの内部監査機能は、その内部監査部門(「YTLIA」)により提供される。YTLIAは、経営陣が導入した内部統制システムの効率性及び有効性につき保証を提供し、監査委員会に直接報告を行う。

YTLIAは、監査対象とする活動から独立して運営されており、内部統制システムの有効性と重大なリスクに重点を置いて実施された監査の結果につき、監査委員会に対して定期的に報告を行う。監査委員会は、YTLIAが提起した重大な課題及び事項につき審査及び評価を行い、経営陣によって適切かつ迅速な是正策が講じられることを保証する。

当年度中のいずれの脆弱性又は問題も、当社の年次報告書で開示を要求される、該当する方針若しくは手続、上場規則又は推奨される業界の慣行に対する違反には当たらなかった。

英国に拠点を置くウェセックス・ウォーター・リミテッド・グループ(「ウェセックス・ウォーター」)の会社は、上記の内部監査の対象には含まれていない。ウェセックス・ウォーターの事業は、同社の規制当局であり、政府機関である水道事業管理庁(Ofwatとして知られる)の厳格な財務及び業務管理の対象となっており、その規制ライセンスによっても管理されている。ウェセックス・ウォーター・サービシズ・リミテッド(「WWSL」)は、独自の内部監査部門を有している。内部監査部門はWWSLの監査委員会に報告し、内部監査委員会は優良な財務慣行の維持とこれらの慣行の整合性を保つための管理を監督する責任を有している。同部門は、年次財務諸表を審査し、取締役会と外部の監査人とのコミュニケーション・ラインを提供する。同部門には、その権限及び義務に関する正式な調査範囲があり、調査結果はウェセックス・ウォーター・カンパニーの親会社であり、当社の登録された子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッド(「YTLパワー」)の監査委員会に報告される。

同様に、YTLパワーの子会社であり、シンガポールに拠点を置くYTLパワーセラヤ・プライベート・リミテッド・グループ(「YTLパワーセラヤ」)のグループ会社はYTLIAの対象に含まれていない。YTLパワーセラヤの事業は、同社の規制当局であり、シンガポールの通商産業大臣の法定機関であるエネルギー市場監督庁(EMA)の厳格な財務及び業務管理の対象となっている。YTLパワーセラヤは内部監査を著名な専門会社に委託し、当該専門会社は社内の監査委員会に報告しており、その調査結果はワイ・ティー・エル・パワーの監査委員会にも報告される。YTLパワーセラヤは、内部統制及びシステムを、財務諸表の整合性と信頼性を合理的に保証できる内容に維持する義務がある。

内部統制のシステムは、事業環境の変化に伴い、今後も審査、改善又は更新されていく。取締役会はYTLIAによる評価により、内部統制システムの継続性と効果を定期的に確認する。取締役会は、現在の内部統制システムが当グループの利益を守るために有効なシステムであると考えている。

 

・上席経営陣会議

当グループは、会長、取締役社長、常勤取締役と部門長から構成される上席経営陣会議を定期的に開催している。この会議の目的は、緊急を要する事由について審議し、決定することである。ここでの決定事項は、すべての関係する従業員レベルに直ちに効率的に伝えることができる。これらの会議を通じて、経営陣は関係する事業部門における業務上又は財務上の重大なリスクを特定することができる。

 

・財務会議

当グループの経営陣会議は、財務及び資金に関する重要な問題を審査、特定、議論及び解決し、当グループの財務状況を監視するために招集される。これらの会議は、財務に関する新たな状況又は懸念点が早い時点で明確化され、これらに迅速に対処することができるようにするため、定期的に開催される。この会議のメンバーは、少なくとも当グループの会長、取締役社長、常勤取締役及び上席経営陣から構成される。

 

・現場の視察

取締役社長、常勤取締役は、生産現場や事業部門、不動産開発の現場へ赴き、様々なレベルの従業員と対話し、協議し、実行された戦略の有効性を直接評価する。現場の視察は、効率的な運営のために、透明性が高く、開かれたコミュニケーション経路が経営陣及び各取締役社長、常勤取締役によって維持されることを保証する目的で行われている。

 

当グループのリスク管理体制の主な特徴及び手続

当グループの安定した財務プロファイルは、事業活動の中で発生するリスクを軽減するための内部統制及びリスク管理のシステムの結果である。これは当グループの規制資産取得及びノンリコース・ベースでの融資獲得の戦略に象徴されている。これらには、ワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッドの完全子会社、ウェセックス・ウォーター及びYTLパワーセラヤ、エレクトラネット・プロプライエタリー・リミテッド、PTジャワ・パワー及びアタラット・パワー・カンパニーPSC(「APCO」)に対する持分が含まれる。これらの資産は事業コストと収益の流れが非常に予測しやすい、という共通点があり、これにより安定した、予測可能なキャッシュ・フロー及び利益が生み出され、それぞれの市場における安定した規制環境により更に強化されている。

当グループの事業活動のすべての分野は何らかのリスクを伴うことを取締役会は認識している。当グループは、経営陣が定義されたパラメーター及び基準に従ってリスク管理を行うための有効なリスク管理システムの維持を保証するよう努めており、株主価値の向上のために当グループの事業の収益性を促進している。

取締役会は当グループのリスク管理体制について全責任を負っている。当グループが直面する重大なリスクの特定、分析及び管理は上席経営陣が各事業レベルで行い、これらの調査結果を評価分析し、取締役会に報告する場合には監査委員会がこれを行うなど、あらゆるレベルで行われる継続的なプロセスである。同時に、YTLIAはYTLIAの中間監査において、当グループが直面する重大なリスクの特定及び分析を行い、その結果を監査委員会に報告する。当年度中、取締役会のリスク管理体制における機能は、内部統制システムの適切性と全体性を保証するために経営会議に取締役社長、常勤取締役が参加することにより実行された。当グループの事業に影響を与える重大なリスクの特定及び分析のプロセスの検討と更新、並びにこれらのリスクを管理するための方針及び手続に重点が置かれている。

当グループの事業活動は、市場リスク(為替リスク、金利リスク及び価格リスク)、信用リスク、流動性リスク及びキャピタル・リスクなど、様々な金融リスクを伴う。当グループ全体の金融リスクの管理の目的は、当グループが株主価値を創造することを保証することである。当グループは金融市場の予測不可能性に焦点を合わせ、財務業績に与える悪影響の可能性を最小限に抑えることを目標としている。金融リスク管理は定期的なリスク評価、内部統制システム及び当グループの金融リスク管理方針に従って実施されている。取締役会はこれらのリスクを定期的に評価し、適切な管理環境体制について承認を行う。当グループのリスク管理の詳細については、「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載する。

経営陣は、当グループ内でのリスク意識を高め、各自の担当事業に該当する重大なリスクの特定及び分析を行い、適切な内部統制手続の設定と運営の義務がある。これらのリスクは、継続的に評価され、リスク管理の不備、情報システムの故障、競争、自然災害及び規制など社内外のリスクに関するものが含まれる。重大なリスクに影響を与える事業の重大な変化及び外部の環境については、リスクを抑制するためのアクション・プランの策定の中で取締役会に対して経営陣が報告する。

システム改善の必要性がある場合には、取締役会は監査委員会及び内部監査人の推奨する内容を検討する。

取締役会は今後も各事業分野において直面する事業、営業及び財務リスクの特定、評価及び管理を行い、また定期的に戦略を見直して、リスクが軽減され、管理されているかを確認し、当局が発行するガイドラインを遵守する。これは、当グループが株主持分及び株主価値を保護し、向上させるために常に変化し続ける事業環境に効率的に反応できることを確実にするためである。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

① 事業実績

2019年度及び2018年度の当グループの主な事業部門別の売上高及び税引前利益は以下のとおりである。

(監査済)

 

2018年度

2019年度

売上高

百万マレーシア・リンギット(百万円)

百万マレーシア・リンギット(百万円)

建設部門

386.5

(10,146)

2.43%

1,219.5

(32,012)

6.76%

情報技術及び電子商取引関連部門

4.4

(116)

0.03%

3.8

(100)

0.02%

ホテル経営部門

1,097.3

(28,804)

6.91%

1,223.4

(32,114)

6.78%

セメント製造及び販売部門

2,618.7

(68,741)

16.48%

2,674.3

(70,200)

14.82%

運用サービス部門及びその他

501.6

(13,167)

3.16%

456.0

(11,970)

2.53%

不動産投資開発部門

992.1

(26,043)

6.24%

1,103.3

(28,962)

6.11%

公共事業部門

10,289.5

(270,099)

64.75%

11,367.2

(298,389)

62.98%

合計

15,890.1

(417,115)

100.00%

18,047.5

(473,747)

100.00%

税引前利益

百万マレーシア・リンギット(百万円)

百万マレーシア・リンギット(百万円)

建設部門

40.3

(1,058)

3.02%

80.5

(2,113)

7.76%

情報技術及び電子商取引関連部門

2.3

(60)

0.17%

2.6

(68)

0.25%

ホテル経営部門

7.2

(189)

0.54%

93.9

(2,465)

9.06%

セメント製造及び販売部門

174.1

(4,570)

13.04%

145.4

(3,817)

14.03%

運用サービス部門及びその他

-284.2

(-7,460)

-21.28%

14.9

(391)

1.44%

不動産投資開発部門

341.3

(8,959)

25.55%

73.9

(1,940)

7.13%

公共事業部門

1,054.7

(27,686)

78.96%

625.3

(16,414)

60.33%

合計

1,335.7

(35,062)

100.00%

1,036.5

(27,208)

100.00%

 

② 概況

当社及び当グループは、前年度の158.9億マレーシア・リンギットに比べ、2019年度について180.5億マレーシア・リンギットの高い収益を計上したが、2019年度の税引前利益は、前年度の13.4億マレーシア・リンギットに対して、10.4億マレーシア・リンギットとなった。

 

当社は、2019年度について、普通株式1株につき4.0センの中間配当を発表したが、その利回りは、2019年度の平均株価である1株あたり1.15マレーシア・リンギットに基づけば、約3.5%に相当する。当社には、一貫した配当実績があり、1985年のブルサ・セキュリティーズへの上場以来、35年連続で株主に対する配当を宣言している。

 

マレーシア経済は、当度中の国内外の課題の影響を受け、2017年の5.9%に比べて、2018年は4.7%の低い国内総生産(GDP)成長率を記録した。マレーシア経済は、内需の堅調な拡大に支えられ、2019年の第1四半期及び第2四半期には、4.5%及び4.9%のGDP成長率を記録した。一方、当グループが事業を営むその他の主要経済圏である、英国では、2018年には約1.4%の成長率を記録し、2019年の第1四半期及び第2四半期には、それぞれ0.5%及び-0.2%の予想成長率であった。シンガポールでは、2018年には3.2%の成長率を記録し、2019年の第1四半期及び第2四半期には、それぞれ約1.1%及び0.1%の成長率を記録した(出典:マレーシア財務省、マレーシア国立銀行、シンガポール通商産業省、英国国家統計局最新情報及び報告書)。

 

当社の公共事業部門は、引き続き当グループ最大の部門であり、当年度の収益の約63%及び税引前利益の約60%を占めている。当社のシンガポールにおける商業向けインフラ事業を担うYTLパワーセラヤは、公共事業部門において最も資本効率が良い優良会社の一つとしての長い実績があり、同部門は、電力卸売市場の課題に対して公共事業の多様化を推し進めるほか、運営効率の強化を図るためにあらゆる努力を続けた。シンガポールの電力市場は、依然として過剰発電の問題に直面しているものの、同業他社の近年の動向及び企業再編活動は、電力市場の企業が統合されることにより、価格に安定をもたらされる兆しがあることを示している。

 

一方、英国における当社グループの上下水道事業は、当社グループの大手上下水道会社としての地位を維持した。同事業が規制上の指標を大きく上回って達成し続けていることは、向上し続ける高い質のサービス、高品質の水、健康及び環境を改善するための環境対策を優良な価格で全ての顧客に提供しようとする努力に起因するものである。

 

当グループのマレーシアにおける受託発電部門の業績は、2017年9月に開始され、2021年6月まで続く予定の現電力売買契約に基づくパカ発電所からの電力供給により安定した状態を維持した。かかる分野において、当社は、マレーシア初の独立系発電事業者として、1994年まで遡る実績を確立しており、現電力売買契約により、発電所が引き続き最適な効率で稼働することが保証されている。

 

当年度、当社のモバイル・ブロードバンド・ネットワーク部門は、Facebookと共に製作されたギガビット・ワイヤレス・ネットワークであるTerragraphのアジア初の試験を請け負った。同ネットワークは、ファイバーと同水準の急速な接続を可能にするために、既存のインフラを利用する技術上の進歩である。同ネットワークは、新たなファイバーを敷設する時間及び費用を短縮・削減し、ひいては高速モバイル・ネットワークの発展の未来を示すものである。Terragraphの試験装置は、ペナンのジョージタウンの50の著名なランドマークに公共施設向けの無料WiFiを提供することに成功しており、これにより、利用者は、160メガビットの平均ダウンリンク速度を有する、世界に通用する公共WiFiサービスを享受することができる。

 

当グループは、4G/LTEの国内展開を主導し、新技術の開発及び展開を通じて市場革新を引き続き牽引しており、同部門は、マレーシア通信マルチメディア委員会による700メガヘルツの低帯域幅の将来の割当てに併せて拡大を続けることのできる位置にある。

 

ヨルダンでは、当社が45%の持分を有している合弁会社が請け負う、554メガワットのオイル・シェール火力発電プロジェクトの建設が順調に進捗し、当社が80%の持分を保有しているインドネシアのジャワ島における1,320メガワットの石炭火力発電プロジェクト、タンジュン・ジャティAプロジェクトについても、融資の組成の完了に向けた取組みを続けた。

 

南オーストラリアの送電系統及びインドネシアのジャワ島の石炭火力発電所への同部門の投資も、引き続き順調に進捗した。

 

当社のセメント部門は、国内産業において進行中の激しい競争からの圧力にもかかわらず、当年度は好調であった。2019年5月、YTLセメント・バーハッドは、ラファージュ・マレーシア・バーハッドの株式持分の51%を取得し、ラファージュ・マレーシア・バーハッドは、残余株式の義務的買取提案後、2019年9月26日にマラヤン・セメント・バーハッド(MCB)に改称された。提案が締め切られた時点で、YTLセメントは、MCBの持分の76.98%を保有していた。買収によって、地元企業から国有企業に成長した大手セメント会社としての当グループの地位は強化され、あらゆる種類のセメント製品を顧客に提供し、費用効果を改善するために規模の経済を最大限に高め、当グループが提供するセメント製品の範囲を刷新及び拡大するために当社の研究開発能力の一層の発展を図るための能力が高められた。

 

建設部門では、世界的な鉄道インフラの整備を目指すというマレーシアの構想上、重要の要素の1つとなることが予想されるゲマスからジョホールバルまでの電化複線鉄道プロジェクトの作業が予定通り順調に進捗している。

 

マレーシア及びシンガポール両国の不動産市場が低調のままであったことから、当社は、当年度、3オーチャード・バイ・ザ・パーク及びザ・フェンネルにおける既存の住宅開発の販売及びスントゥル地区の再建を一層充実させるための資産改善構想に重点的に取り組んだ。2002年に開始され、それ以来、段階的に実行されてきた当グループのスントゥル・マスタープランは、スントゥル地区全体を改良し、スントゥル地区の資産価値及び魅力を高め、かつ、居住環境を大幅に改善した。

 

113年の歴史を持ち、200,000平方フィートの敷地に歴史的な鉄道倉庫及び作業場が広がるスントゥル駅が、前年度9月から段階的に開発されている。当社は、当年度初めには、複数のコワーキング・スペースやブティック・オフィスの集まりを特色とするスントゥル・ワークスの開発を開始した。当社の目標はニューヨークのミートパッキングディストリクトや上海の新天地など、大都市の著名な歴史的名所から着想を得て、小売店、飲食物のアウトレット、コワーキング・スペースを集約し、芸術や刺激的なイベントの場としても使用させることで、スントゥルをクアラルンプールにおける誰もが訪れる目的地に一変させることである。

 

コーポレート部門では、2019年6月、当社は、YTL L&DのICULSの株主及び保有者に対し、任意の株式交換募集(本件株式交換募集)を提案した。当該提案の終了日である2019年10月7日において、当社は、YTL L&D株式の90.45%及びICULSの91.04%を保有している。このため、YTL L&D株式及びICULSは、2019年10月7日の提案のクロージング日から5営業日経過後に該当する2019年10月15日から、ブルサ・セキュリティーズでの取引を停止されている。

 

オーストラリアのザ・ウェスティン・パースを取得したことにより、当社のホテル部門は、当年度、拡大した。パースのビジネスの中心街に位置する、この5つ星ホテルは、エリザベス・キーやオプタス・スタジアムなどのランドマークから徒歩圏内にあり、市の主要なショッピング・レストラン街に隣接している。

 

世界最大規模の経済国の貿易政策及び財政政策に対する不安にさらされ、世界的な経済の展望としては、依然として低調であり、当社の主要な市場の一部については、厳しい営業状況が続くことが予想される。当グループには広範な国際事業もある一方、その主要な事業は、英国南東部の上下水道やシンガポールの電力など、地域住民に不可欠な公共事業を提供しているため、各国家の経済政策の影響を直に受ける。

 

当社は、引き続き、当グループの長期の発展及び見通しを重視しており、10年以上の長期にわたり収益を生み出す投資を実行する。かかる戦略によって、当グループは、世界中の国際的な公共事業、ホテル及びホスピタリティ資産、セメント及び建材市場、建設及び不動産開発にわたって、強い専門領域を築き上げることができている。当社の長きにわたる取組みは、継続性及び安定性を確保し、ひいては当社の資産のパフォーマンス及び成功を牽引し、当社の事業が、困難な営業状況の循環を上手く乗り越えることを可能ならしめている。

 

③ 2019年度と2018年度との比較

1 売上高

当グループの当年度の売上高は、前年度の15,890.1百万マレーシア・リンギットに対して、2,157.4百万マレーシア・リンギット、すなわち13.6%増加し、18,047.5百万マレーシア・リンギットとなった。収益の増加は主に公共事業部門、建設部門、ホテル経営部門及び不動産投資開発部門によるものである。

 

2 税引前利益

当グループの税引前利益は、前年度の1,335.7百万マレーシア・リンギットから1,036.5百万マレーシア・リンギットに減少した。これは22.4%の減少に相当し、主に小売非燃料利益率及び付随利益率の低下、権利確定契約水準及び利益率の低下、ファイナンス・コストの増加並びに公益事業部門により計上された未解決の訴訟に関する裁判所の判決後の債権の減損及び不動産投資開発部門による土地処分からの一時的な利益の不存在に関する引当金によるものであった。

 

3 法人税等

当年度の法人税は、前年度の364.9百万マレーシア・リンギットに対して315.2百万マレーシア・リンギットと減少した。法人税の減少は、主に子会社の損失計上によるものであった。

 

4 少数株主持分損益

少数株主持分損益は、前年度の629.9百万マレーシア・リンギットから当年度の478.8百万マレーシア・リンギットヘと24.0%減少した。これは主にYTL REIT、SGREIT、及びYTLパワーグループからの収益減少によるものである。

 

5 税引後利益及び少数株主持分

上記の結果、当グループの税引後利益及び少数株主持分損益は、前年度の341.0百万マレーシア・リンギットから242.6百万マレーシア・リンギットヘと98.4百万マレーシア・リンギット、すなわち28.9%減少した。純利益の減少は、主に公共事業部門及び不動産投資開発部門の利益が減少したことによるものである。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

(1)「業績等の概要」を参照のこと。

 

(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項には、将来予想に関する記述が含まれているが、これは当該事業年度終了時点での当社の予測又は見積りに基づくものである。

 

目標及び戦略

当グループは、株主価値を最大限にし、長期的に実行可能かつ持続可能な堅固な事業を構築及び運営することを目標に、規制された公共事業資産及びセメント、建設、不動産開発及びホテル経営のコア・コンピテンシーに関連するその他の事業に注力しながら、国内外における未開発地域の開発及び戦略的買収を通じて自らの収益基盤の地理的多様化及び拡大を追求している。

 

また、当グループは、その収益の大部分を利権・認可に基づく規制された様々な公共事業資産の運営から得ており、これにより、当グループは、マレーシア国内外において、安定した利益をあげ、不安定な経済及び変化する事業状況から生じる下方リスクを軽減することができている。

 

当グループの戦略の主な要素は、以下で構成されている。

 

・ 特に、規制された公共事業の分野における未開発地域の開発及び海外における戦略的買収を通じた当グループの収益基盤の多様化及び拡大 当グループは、長期の利権に基づき運営している規制された資産及びそのコア・コンピテンシーに関連するその他の事業を取得する戦略を追求している。当グループの規制された公共事業は、継続的な成長を示しており、その資産のうち規制された資産の価値は時間の経過とともに増大している。かかる分野における当グループの既存の海外事業は、引き続き安定した利益を生んでおり、海外での買収は、所得の流れを多様化し、当グループが各国及び各業界に固有のリスクを回避できるようにしている。

 

・ 当グループのマレーシア国内の中核事業の成長及び強化 マレーシア国内の事業を成長させるための当グループの戦略は、当グループのコア・コンピテンシーである専門性を活用することである。特に、(発電市場及び売電市場における)発電事業、上下水道事業、商業向けインフラ事業、通信、建設契約、不動産開発及び投資、セメントその他の工業製品及び必需品の製造、ホテル開発及び経営(レストランの経営を含む。)、インターネット事業に関するコンサルタント・サービス、インキュベーション・サービス及びアドバイザリー・サービス、インターネットに基づく教育ソリューション及びサービスの提供の分野において専門知識を活用することを試みている。

 

・ 当グループの資本構造の継続的な最適化 当グループは、デット・ファイナンス及びエクイティ・ファイナンスの組み合わせを最適化し、買収の機会に投資するための内部資金及び外部金融の利用可能性を確保することにより、バランスの取れた財政構造を維持している。当グループの成長戦略の重要な要素は、その買収及び未開発地域事業の負債要素を、ノンリコースの融資で賄う慣行である。これにより、当グループが、単体で商業的に実現可能な事業にのみ投資を行うことが保証されている。

 

・ 当グループの事業収益を最大化し、顧客基盤を拡大するための運営効率の向上 当グループは、そのセメント工場及び発電所が、平均して、それぞれの業界の最高効率水準の範囲内で運営されていると確信しており、新しい技術、生産技術及び情報技術の適用を通じて、可能な限り運営効率を一層高めている。

 

財務業績の評価

 

当グループの財務業績

当グループは、前年度の15,890.1百万マレーシア・リンギットの収益に対して、当年度は18,047.5百万マレーシア・リンギットの収益を計上した。収益の増加は、主に公共事業部門、建設部門、ホテル経営部門及び不動産投資開発部門によるものであった。

 

当グループは、当年度について、1,036.5百万マレーシア・リンギットの税引前利益を計上した。これは、前年度に計上された1,335.7百万マレーシア・リンギットに対して、22.4%の減少に相当する。

 

当グループの海外事業は、当グループの収益及び非流動資産のそれぞれについて、前年度の69.9%及び77.1%に対して、当年度は約68.1%及び78.8%を占めており、引き続き当グループの収益及び非流動資産の最大の割合を占めている。

 

部門別の財務業績

 

 

 

部門別収益

部門別税引前利益/(損失)

 

2019年度

2018年度

2019年度

2018年度

 

百万マレーシア・リンギット

公共事業部門

11,367.2

10,289.5

625.3

1,054.7

セメント製造及び販売部門

2,674.3

2,618.7

145.4

174.2

建設部門

1,219.5

386.5

80.5

40.3

不動産投資開発部門

1,103.3

992.1

73.9

341.3

ホテル経営部門

1,223.4

1,097.3

93.9

7.2

運用サービス部門及びその他

456.0

501.6

14.9

(284.3)

情報技術及び電子商取引関連部門

3.8

4.4

2.6

2.3

 

18,047.5

15,890.1

1,036.5

1,335.7

 

 

公共事業部門

公共事業部門は、前年度の10,289.5百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は11,367.2百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の1,054.7百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して625.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益の増加は、商業向けインフラ事業部門で販売された電力量の増加及びモバイル・ブロードバンド・ネットワーク部門における事業収益の増加を主因とする。一方、税引前利益の減少は、小売等の利益の減少、成約率及び利益率の低下、財務費用の増加並びに商業向けインフラ事業により計上された係争中の訴訟に関する裁判所の決定を反映した売掛金の減損に係る引当金のほか、上下水道部門において前年度に認識された年金の一時金がなかったことを主因とする。

 

公共事業部門は、引き続き当グループ最大の事業部門であり、収益及び税引前利益のそれぞれについて、前年度の64.8%及び79.0%に対して、当年度は63.0%及び60.3%を占めている。

 

セメント製造及び販売部門

セメント製造及び販売部門は、前年度の2,618.7百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は2,674.3百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の174.2百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は145.4百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益の増加は、MCBの統合を主因とする。一方、税引前利益の減少は、財務費用の増加を主因とするが、関連会社の持分利益の増加により一部相殺された。

 

当年度について、セメント製造及び販売部門は、当グループで第二位の事業部門であり、収益及び税引前利益のそれぞれについて、前年度の16.5%及び13.0%に対して、当年度は14.8%及び14.0%を占めている。

 

建設部門

建設部門は、前年度の386.5百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は1,219.5百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の40.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は80.5百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

当年度の収益及び税引前利益の増加は、建設工事の著しい増加によるものであった。

 

不動産投資開発部門

不動産投資開発部門は、前年度の992.1百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は1,103.3百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の341.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は73.9百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益の増加は、主にYTLウェストウッド・プロパティーズ・プライベート・リミテッド及びスントゥル・ラヤ・センドリアン・バーハッドがそれぞれ請け負った3オーチャード・バイ・ザ・パーク及びザ・フェンネル事業において完成した不動産の販売によるものであった。しかしながら、税引前利益の減少は、高速鉄道事業に供する目的で、YTL L&Dの完全子会社であるウダバカット・ビナ・センドリアン・バーハッドの土地がペンタドビア・タナー・クアラルンプールに取得された後の、ウダバカット・ビナ・センドリアン・バーハッドによる埋立処分から生じる一時的利益がなかったこと、3オーチャード・バイ・ザ・パークのうち完成済みの住戸の棚卸資産の評価減及びスターヒル・グローバルREITにより計上された投資資産の公正価格が下落したこと及び、YTL REITにより計上された外国通貨建ての借入金に係る未実現為替差益が減少したことを主因とする。

 

ホテル経営部門

ホテル経営部門は、前年度の1,097.3百万マレーシア・リンギットの収益に対して、当年度は1,223.4百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の7.2百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は93.9百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益及び税引前利益の増加は、主にオランダのザ・ハーグ・マリオット及びオーストラリアのザ・ウェスティン・パースの統合、JWマリオット・ホテル・クアラルンプールの改装後の好調な業績及び収益認識前の会社間の為替収益が寄与した。

 

運用サービス部門及びその他

運用サービス部門及びその他は、前年度の501.6百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は456.0百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の284.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は14.9百万マレーシア・リンギットの低い税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益の減少は、発生した技術サービス、利益及び分配所得の減少によるものであった。しかしながら、税引前利益は、運営費の減少並びに投資商品、デリバティブ及び投資資産に係る公正価値利益に起因して著しく増加したが、関連会社の持分利益の減少により一部相殺された。

 

情報技術及び電子商取引関連部門

情報技術及び電子商取引関連部門は、前年度の4.4百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は3.8百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の2.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して当年度は2.6百万マレーシア・リンギットの高い税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益の減少は、主にコンテンツ及びデジタル・メディア部門により計上された低い収益によるものであった一方、税引前利益は、主に受取利息の増加及び一般管理費の減少により増加した。

 

各部門の状況

 

公共事業部門

(契約)発電事業

・YTLPG

YTLPGは、1994年、マレーシア初のIPP(独立系発電事業者)となり、2015年9月30日に契約期間が満了となった21年間の電力売買契約に基づき事業を営んでいた。その後、YTLPGは、マレーシア・エネルギー委員会が募る短期発電容量の入札に基づき、パカ発電所から電力供給を行うプロジェクトを受注した。

 

パカ発電所からの電力供給は、2021年6月30日までの3年10ヶ月の間(当初の落札期間の2年10ヶ月から12ヶ月の期間延長)、585メガワットの電力供給を行うことについて、YTLPGとテナガ・ナショナル・バーハッドの間で締結された新たな電力売買契約(「PPA」)に基づき2017年9月1日に再開された。発電所の運営管理(「O&M」)は、当社の完全子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・サービシズ・センドリアン・バーハッドが行っている。

 

パカ発電所は、2019年度中、PPAに基づくすべての性能保証を引き続き充足し、3,021ギガワット時の正味発電出力を生成した。2019年度中、発電所の2基の発電機、GB1及びGB2はそれぞれ、97.26%及び99.40%の信頼度因子並びに67.72%及び69.39%の負荷因子を実現した。

 

・タンジュン・ジャティ・パワー

当グループは、インドネシアのジャワ島における2×660メガワットの石炭火力発電プロジェクト、タンジュン・ジャティAの開発を手掛ける独立系発電事業者であるタンジュン・ジャティ・パワーの株式持分を80%保有している。

 

タンジュン・ジャティ・パワーは、インドネシアの国有電気事業会社であるPT PLN(ペセロ)(「PLN」)との間に、(発電所の商業運転開始日に開始する)30年間の電力売買契約を有しており、その第2修正・更改版が2018年3月に締結された。同プロジェクトは、現在開発段階にあり、融資の組成完了に向けて進行中である。

 

・APCO

YTLパワーは、ヨルダン・ハシミテ王国において、554メガワットの山元オイル・シェール火力発電プロジェクトを展開しているAPCOの株式持分を45%保有している。

 

APCOは、ヨルダンの国有事業会社である国営電力会社(「NEPCO」)との間で、発電所の電気容量及びエネルギー全体について、NEPCOが契約期間を(プロジェクトの2基目の設備の商業運転開始日から)40年に延長する選択権付きの30年間(3年半の建設期間を含む。)の電力売買契約を締結した。プロジェクトは、2017年3月に融資の組成を完了し、EPC契約の請負業者に対し、建設を開始する旨の着工通知が交付された。

 

当グループは、2019年度中、発電所の建設、開坑及び付帯するインフラ工事を大幅に進捗させ、2020年半ばに運転開始が予定されている1基目の設備についても予定通りである。

 

554メガワットのオイル・シェール火力発電所は、運転開始時には、発電総量の約15%に相当する、ヨルダン原産のオイル・シェール資源を活用するヨルダン初の発電所となる。これは、ヨルダン国内の発電に用いる石油製品の輸入を縮小し、また、その開発は、ヨルダン政府が掲げるエネルギー自立促進の達成に向けての重要な布石である。

 

APCOは、YTLパワー(45%)、中国の広東能源集団(旧称:粤電集団)(45%)及びエストニアのエスティ・エネルギアAS(10%)に間接的に所有されている。

 

(商業向け)インフラ事業

TLパワーは、スチーム・タービン式発電設備、コンバインド・サイクル式発電設備及び熱併給コンバインド・サイクル式発電設備から成る3,100メガワットの認可発電総量を有するシンガポールのエネルギー会社であるYTLパワーセラヤの持分を100%保有している。YTLパワーセラヤは、シンガポールの石油、ガス及び石油化学製品の拠点であるジュロン島に所在し、発電及び電力の小売りのほか、ユーティリティの供給(スチーム、天然ガス及び水)、石油貯蔵タンクのリース並びに石油取引及びバンカリングから成る他の商業向けインフラ事業の運営をも中核事業とする総合エネルギー会社である。

 

卸電力市場では、引き続き、発電容量の供給過剰による激しい競争が見られた。2019年度において、YTLパワーセラヤは、8,496ギガワット時の電力を販売したが、発電量の市場占有率は、前年度の17.0%に比べ16.3%までわずかに減少した。

 

発電所の信頼性を維持することを重視したことで、同部門のコンバインド・サイクル式及び熱併給式の発電設備の全般及び定期的な整備点検が予定通り完了した。また、YTLパワーセラヤは、当年度中、発電所内に位置する最大1メガワットの太陽光発電プロジェクトに初めて進出した。

 

同部門は、品質、環境及び安全衛生並びにサイバー・セキュリティー管理システムについて高い水準を維持することに引き続き重点を置き、ISO9001、ISO14001、OHSAS18001及びISO27001の各認証も無事更新された。

 

YTLパワーセラヤの小売部門のGenecoの小売電力市場全体(商業・工業部門の競合可能な消費者で構成される。)の占有率は、17.0%となり、2019年度の売上高は、5,976ギガワット時となった。

 

2019年5月に電力市場が完全に自由化されたが、Genecoは、最初の目標である10万の住宅用顧客の獲得を同月において達成した。これは、顧客が、発電及び小売電力業界における同部門の評判及び経験に寄せる信頼を示している。

 

また、Genecoは、ComCrop、Cultivate Central、Repair Kopitiam、Foodbankど、環境保護に取り組む多くの企業と共同し、地域の環境保護コミュニティにおける熱心なリーダー達との共同体を築いた。Genecoは、主力の持続可能な社会を提案するChangeMakersSGというプログラムを通じて、各社と共に、シンガポール国民を刺激してより持続可能なライフスタイルに移行うするよう働きかけることを目指している。

 

商業部門では、Genecoは、業界の動向及び最新のエネルギー・ソリューションについて顧客への周知を徹底するため、引き続き市場開発及び奉仕活動を並行して実施している。

 

同部門の通商及び燃料管理部門であるペトロセラヤ・プライベート・リミテッドは、世界的な経済状況を反映した石油業界が直面する困難にもかかわらず、辛うじて安定した業績を収めた。同社は、12.26百万メートルトンの燃料石油及びディーゼル燃料を取り扱った。ターミナルに停泊した燃料船及び貨物船の隻数は、前年度の1,319隻に対し、当年度は1,086隻となり、停泊所の平均利用率は、50%を超えた。

 

これらの各数値の低下は、主に、困難な経済状況に起因するものであり、同部門は、突堤及び石油ターミナルの業績を強化するため、タンクのリース及び燃料管理の活動の強化に引き続き注力するほか、突堤及び石油ターミナル業務の最適化も吟味する。

 

電力市場の完全な自由化に伴う電力ビジネスの需要の拡大により、YTLパワーセラヤは、競争上の優位性を維持し、顧客体験を充実させ、かつ、事業効率を改善するために、クラウド・コンピューティング及び域外での可能性を実施し始めた。

 

企業の業務における技術革新が続いているところ、同部門は、ビジネスプロセスの自動化に加え、サイバー・セキュリティー及びデータ・セキュリティーの強化が重要であると考えている。これ以外に講じられた措置としては、当社のサプライチェーン・マネジメント及び発電所システムの信頼性を守りながら、組織内のサイバー・リテラシーを確保し、サイバー・レジリエンスを強化することが挙げられる。

 

チームは、今後も引き続き、組織内の業務プロセスのデジタル化の取組みを拡充し、業務プロセスの効率及びデータの透明性を向上させる予定である。また、チームは、業務関連の意思決定を合理化する一環としてビッグデータ分析の探究を継続し、より機敏かつ迅速な対応により消費者中心の組織になるというYTLパワーセラヤの戦略を達成するための要因となることを目指している。

 

上下水道事業

英国では、YTLパワーは、英国南西部の約10,000平方キロメートルに及ぶ地理的地域(ドーセット、サマセット、ブリストル、ウィルトシャーの大部分並びにグロスターシャー及びハンプシャーの一部を含む。)で2.8百万人の顧客を相手にしている地域の上下水道事業であるウェセックス・ウォーターの株式持分を100%保有している。ウェセックス・ウォーターは、英国の水道業界の経済規制当局である水道事業規制局(通称:Ofwat)に規制されており、英国政府の任命書に基づき、英国南西部の営業地域からの上水の供給及び下水の処理を許諾されている。

 

当年度、ウェセックス・ウォーターは、上下水道会社として、Ofwatのサービス・インセンティブ基準(「SIM」)の上位を維持し続け、満足度調査及び苦情処理のいずれについても一貫して好調な成績を収め、SIMに関して、当年度は、履行義務目標を超えた。当年度は、OfwatのSIMの最後の年であり、当社は、直近5年間について、首位を目指している。ウェセックス・ウォーターは、履行義務の大半に関してその目標を達成又は目標を超えており、そのうち4つについては、アウトパフォーマンス報酬をもたらす予定である。

 

2018年9月、水道消費者協議会は、ウェセックス・ウォーターについて、上下水道会社の中で引き続き苦情件数が最も低く、不必要な連絡及び請求額に関する苦情について、それぞれ2.7%及び4%の減少を達成し、苦情の95%を初回で解決したことを確認した。

 

また、同部門は、英国政府からの最優秀顧客サービス賞、インクルーシブ・サービスの提供に関する英国規格(BS 18477)、キープ・ミー・ポーステッド賞及びラウダー・ザン・ワーズのチャーターマークを保持した。

 

ウェセックス・ウォーターは、顧客サービスに関して一層の努力を行うことの正当性を固く信じており、会社独自のフィードバック調査によると、満足度、初回問い合わせ時の解決率、従業員の対応並びに知識及び努力について、顧客は、引き続き、同社を高く評価している。顧客の96%が、ウェセックス・ウォーターのサービスを「とても良い」又は「良い」と評価している。

 

また、ウェセックス・ウォーターは、自社の戦略として、経済的に不安定な立場にある顧客に、サービスを提供する努力を取り続けた結果、債務について支援を受けている低所得顧客は15%増加し、プライオリティー・サービスの登録者も15%増加した。

 

同社の革新的な戦略である「Your Say, Your Future」は前年度も継続され、同部門は事業計画をまとめ、水質対策に関して顧客との間でグループ・ディスカッションを実施し、支払額を上回る水準のサービスを享受できている大規模なオンライン調査が行われた。

 

ウェセックス・ウォーターの営業地域における各学校の6年生及び大学生により構成されるヤング・ピープルズ・パネルは、3年目を終了した。前年度のパネルは、下水道システムに関心を持つよう若者に働きかけるための革新的なキャンペーンの立案を行い、当年度のパネルは、地域社会を巻き込み、水道水を飲むよう若者に働きかけること及び独自の補水戦略の開発・促進への取組みに注力した。

 

市場実績の枠組みに対する卸売業者としてのウェセックス・ウォーターの業績は堅調であり、同部門は現在、2019年から2020年までの期間中に、業績をさらに伸ばす方法を検討している。

 

ウェセックス・ウォーターは、記録的な水準で投資を続け、自己資産及びそれを支えるサービスの維持及び改善に245百万英ポンドを超える投資を行った。2018年度は、異常降雨はあまり発生しなかったものの、同部門は、気候変動に対応し、相当数の新規住宅開発を請け負う計画の一環として、ブリストル北部の新しい主要な下水道への投資を続けた。

 

25百万英ポンドのフローム・バレーの補助下水道の最終段階は、前年度に完了し、現在は、ヤーテからの流水を、ブリストル北部を回ってエイボンマウスにある同部門の水循環センターに流入するように方向転換することができるようになった。同時に、トライムの補助下水道の設計作業及び協議も軌道に乗っている。2022年から2023年までの期間中に完了する予定のかかる60百万英ポンドの投資は、ブリストル西部に追加の貯水及び送水容量を備え、新たな開発を促進することが見込まれる。

 

また、同部門は、2020年までにその地域一帯の排水管のモニタリングを行うプログラムを展開しており、現在、事象の持続期間対応型の監視カメラを、目標の498を優に超える665の排水管に設置している。

 

ウェセックス・ウォーターは、顧客に高品質の飲料水を供給することに引き続き取り組んでおり、2018年の飲料水基準の全体の遵守率は99.96%と、目標とする100%にわずかに届かなかった。同社は、全員一致の国家環境計画を完了し、放出の許可及び汚泥基準について遵守率100%を達成した結果、英国環境庁の年間環境性能評価において「良」と評価された。

 

当年度、ウェセックス・ウォーターの海水浴場の96%は、厳格な環境基準に合格したが、同部門は、100%の志望目標に向けて努力を続けている。海水浴場2箇所(ウェストン・メイン及びバーナム・ジェッティ)は、基準に満たない水質と評価された。その大部分は、同部門の支配の及ばない範囲であったが、ウェセックス・ウォーターは、ブリッジウォーターに位置するウェスト・キー駐車場及びコリー・レーンのそれぞれに、2,500立方メートルの地下貯水槽及び5,000立方メートルの貯水槽を建設することを含め、海水浴場の水質に役立つ計画を2018年から2019年までに完了した。

 

ウェセックス・ウォーターの長期持続可能性目標の一つは、その業務において、カーボン・ニュートラルであることである。2018年から2019年の温室効果ガスの正味排出量は、二酸化炭素換算で118キロトンに減少し、10年前に遡る減少傾向を続け、1997年の報告開始以来、最も低い営業用の二酸化炭素年間排出量となった。

 

同部門は、自宅訪問による節水プログラムを提供し続け、顧客の節水に手を貸すため、水漏れを起こしている顧客の配管5,000本近くを無料で修理することに加え、節水装置の設置、配管の簡単な漏水修理及び個々の行動に合わせた助言を行うために、6,000回を超える顧客訪問を行った。

 

モバイル・ブロードバンド・ネットワーク

YTLパワーは、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)からのマレーシアにおける2.3ギガヘルツの無線ブロードバンド・ネットワークの運用許可に基づき、国家全域に及ぶ4G LTE無線ブロードバンド・プラットフォームのYESを所有及び運用するYTL Commsの株式持分を60%保有している。YESは、国家全域に及ぶコンバージド4G LTEネットワークであり、音声サービス付きの高速モバイル・インターネットを提供している。

 

同ネットワークは、2010年11月に販売及び商業的な運用を開始した。YTL Commsは、現在、マレーシア半島及びサバ州の全域で、人口85%の普及率に到達するオール4G LTE提供領域をもたらす5,000超の基地局を有しており、また、2016年には、国家全域における4G LTEネットワークを開始し、マレーシア初のVoLTE(ボイス・オーバーLTE)サービスを提供している。また、YTL Commsは、MCMCが700メガヘルツの低帯域を割り当てる可能性を受けて、ネットワーク範囲をさらに改善し、すべての顧客の利益のために努めることを目指している。

 

ナショナル・ファイバーリゼイション・アンド・コネクティビティ・プラン(NFCP)及びマレーシア・ビジョン・バレー(MVV2.0)を促進するためのマレーシア政府の呼びかけに応えるために、そして、全サービスをアナログからデジタル化させるためのMCMCのASO(アナログ・スイッチ・オフ)エクササイズの準備の一環として、YTL Commsは、電気通信インフラ事業における市場をリードする技術の開発及び普及に努めたのに留まらず、すべての顧客に電気通信インフラサービスへのアクセスを可能ならしめるために電気通信インフラサービスのパッケージ価格の設定についても努力した。

 

2010年末のYESネットワークの開始以来、YTL Commsは、マレーシアの電気通信業界の革新の盟主としての役割を担い、初めは、マレーシアにおける最初で唯一のオールIP・オール4Gネットワークとして確固たる基礎を築き、先端技術を用いて、全国民に対し、世界に通用するインターネット及びモビリティ技術を低価格で提供するための道を拓き続けている。

 

当年度は、イノベーションが特に優れた年であり、その幕開けは、アジア初のTerragraphの試験販売であった。Terragraphとは、Facebookと共に製作されたギガビット・ワイヤレス・ネットワークであり、ペナンのジョージタウンの50の著名なランドマークに公共施設向けの無料WiFiを提供することに成功した。2019年8月現在、26,000を超えるユニークユーザーが、160メガビットの平均ダウンリンク速度を有する、世界レベルの公共WiFiサービスを享受している。かかる大容量のギガビット・ワイヤレス・ネットワークは、120の地元企業に対し、ファイバーグレードの固定無線帯域も提供し、最大50倍の速度向上をもって既存のインターネットプロバイダを凌駕した。

 

アジア初のかかる技術的進歩は、溝を掘り、ファイバーを配置するという費用及び時間を要する作業を行うことなく、既存の街路備品を利用して、ファイバー・レベルの接続性の急速な展開を可能にしている。ペナン州政府の強力な支援を得て、YTL Commsは、世界最大のTerragraphネットワークを築いた。

 

同部門は、Terragraph及び5Gなどのギガビット・ワイヤレス技術の将来に目を向けているが、YTL Commsは、ブロードバンド国家になるという国家目標を追求するにあたって、取り残される者が一人もあってはならないと確信している。かかる目的のため、YTL Commsは、銅線インフラを備えた既存建造物で生活又は就労している何百万人ものマレーシア国民が直面する課題に取り組むためにリーダーシップを発揮した。

 

YTL Commsがマレーシアに導入したGigawireは、既存の銅線インフラの配線を取り替えることなく、古い建物でもファイバー・レベルのブロードバンド・パフォーマンスを享受することを可能にする画期的な技術である。同部門が、ファイバー・レベルの速度を既存の建物でも利用できるように、GigawireをTerragraphと統合することに成功したことにより、既存のxDSLインターネット・サービスに悩む多くの世帯及び事業に適う柔軟性が相当程度まで高められた。

 

2019年7月、YTL Commsの完全子会社であるコンソーシアム・ジャリンガン・セランゴー・センドリアン・バーハッド(「KJS」)が、ヌグリ・スンビラン州の電気通信インフラ開発のための政府系企業(「SBC」)2社の1社に同州政府より任命された。KJSは、ヌグリ・スンビラン・インベストメント・センター及びムントゥリ・ベサール・インコーポレーテッド・ヌグリ・スンビランが募った競争入札を経て、17社から選出された。

 

任命されたSBCの一つとして、KJSは、6つの地方自治体及び地区を担当し、ヌグリ・スンビランにおけるすべての電気通信インフラ及び情報通信技術サービスについて、その企画、実施、モニタリング及び保守管理を行い、州の経済成長を刺激するために、高品質の高速インターネット及び費用対効果の高いモバイル機器の接続性を提供する予定である。

 

世界に通用するインターネット・モバイル・プランを最も安い価格で提供するという決意の下、真に無制限の4Gが、マレーシアで唯一のオール4Gネットワークにおいて開放される可能性を保証した上で、大衆向けに様々なモバイル・インターネットの選択肢を与えることにより、マレーシア国民全員の4Gニーズに応えるために、YESコンフェム・アンリミテッド・プランが策定された。

 

YESコンフェム・アンリミテッド・ポストペイド・プランでは、すべての顧客が、真に無制限の4Gデータ及び無制限の真のボイス・オーバーLTE(VoLTE)通話を、月額46マレーシア・リンギットより享受することができる。これは、市場で最も安いポストペイド・プランとして称賛されている。また、YESは、利用者が、1日あたりわずか1マレーシア・リンギットで無制限の4Gデータを享受することができるYESコンフェム・アンリミテッド・プリペイドを通じて、市場で最も安いプリペイド・プランを引き続き提供しており、1プランあたりわずか30マレーシア・リンギットで最大4つの無制限データのプランを組み合わせるコンフェム・ファミリー・アンリミテッド・プランも発表した。

 

YTL Commsは、マレーシア国民全員に世界に通用するインターネットを確保することを引き続き目指しており、4Gデバイス・エコシステムをマレーシアで推進するために大いに尽力している。かかる努力は報われ、世界的ブランドや部門の刺激的な新しいリーダーのフラッグシップフォンをはじめとする300を超えるスマートフォン・モデルがYESネットワークを支えている。これには、クアラルンプールでのサムスンAシリーズの世界的発売開始が含まれるが、その一翼を担うことができたことはYESにとって名誉である。

 

YTL Commsの包括的なIoT(インターネット・オブ・シングス)プラットフォームは、ミッションクリティカルなIoTソリューションにとって不可欠な高度に拡張可能で、かつ、安全なプライベートクラウドである。同部門の社内のデバイス開発及びシステム統合能力と共に、かかるプラットフォームは、リアルタイムな診断及び運転者の行動分析を提供する次世代の量販車管理のための高度なテレマティックスを可能にする。マレーシアの大手製造業者及び卸売業者の一部は、建物や町区の安全・安心を高めるための高度なビデオ分析及び人工知能のアプリケーションに加え、生産効率を高め、不正及び漏洩を一掃するために、高度な追跡・検知能力について、同部門のIoTプラットフォームを当てにしている。

 

セメント製造及び販売部門

マレーシア事業

YTLセメント・グループは、MCBの株式の過半数を取得したことにより、マレーシア事業を拡大した。MCBは、一体型のセメント工場、生コンクリートバッチ工場、ドライミックス工場及び研削所のネットワークを全国各地で運営している。MCBの事業の統合、事業の合理化、研究開発能力の統合及び主要分野での費用効率の改善の各プロセスは、進行中である。

MCBの取得後、YTLセメント・グループは、マレーシアの大手国有建材会社としての地位を強化し、建築に関する徹底したソリューションを顧客に提供する当グループの能力をさらに高めた。

 

シンガポール事業

当グループのシンガポール事業は、当年度、ホルシム(シンガポール)リミテッド(ホルシム・シンガポール)の取得により拡大した。ホルシム・シンガポールは、2つのセメント・ターミナル設備及び1つのドライミックス・モルタル工場を運営しており、セメント及びドライミックス・モルタルを含む建材の供給に携わっている。

ジュロン港に所在する当グループのセメント・ターミナル設備は、引き続き良好な業績を収めた。同ターミナルは、シンガポール最大で、国内最大の貯蔵、混合及び出荷能力を備えている。ホルシム・シンガポールが運営する追加のセメント・ターミナル設備及びMCBグループが運営する1つのセメント・ターミナル設備と併せて、YTLセメント・グループは、現在、シンガポールの大手セメント供給業者となっている。

 

ベトナム事業

フィコ・タイ・ニン・セメント・ジョイント・ストック・カンパニー(「タフィコ」)は、当年度末に子会社となった。タフィコは、タイニンに一体型の工場を有する南ベトナムの大手セメント製造業者であり、ビン・フック、ビン・ズン及びホーチミン市で研削所を運営している。同社は、南ベトナムで一体型の工場を運営する製造業者3社の一つであり、南ベトナム市場に高品質のセメントを供給している。

 

中国事業

中国における当グループの工場は、杭州市場の大手供給業者の一つとしての地位を引き続き維持している。同部門は、工場の効率性を高めるために、排出量削減プログラムやイニシアチブへの投資、代替燃料の使用及び廃棄物処理管理能力のさらなる開発を継続している。

 

ミャンマー事業

ミャンマーのティラワ経済特区に位置する当グループの新しいセメント設備は、当年度の営業開始を予定して外部委託されている。特に農村地域間の国有の道路、橋及び高速道路の改修、並びに全国で切望される手頃な住宅の建設の促進をはじめとする大規模なインフラ開発を増進するためのミャンマー政府の努力に牽引され、高品質のセメントその他建材の需要は拡大し続けた。これらのイニシアチブの鍵は、ミャンマー国内での高品質の建材調達の改善であるが、YTLセメント・グループは、かかる需要に応えることができる立場にある。

 

建設部門

インフラの分野では、ゲマス-ジョホールバル間の電化鉄道線の工事が予定通り進捗した。SPYTLは、合弁事業のパートナーであるSIPPレイル・センドリアン・バーハッドと共に、ゲマスからジョホールバルまでの電化複線化プロジェクトの設計、建設、供給、設置、完成、検査、試運転及び保守管理を行う現地の下請業者に任命された。

 

ゲマスとジョホールバルを結ぶ鉄道は、世界的な鉄道インフラを整備するためのマレーシアの構想の新たな重要な要素となることが予想される。197キロメートルの複線路線、駅、電気車両、車庫、陸橋、鉄道信号橋、電化システム及び信号システムで構成される新しい鉄道は、完成時には、ゲマスとジョホールバル間の移動時間をわずか90分に短縮する。

 

同プロジェクトは、移動時間の短縮及び交通渋滞の緩和を目的とする、マレーシア運輸省の電化複線化プロジェクト(「EDTP」)イニシアチブの重要な部分である。EDTPにおける電気機関車の使用は、陸上輸送又は空輸に比べ、短縮された移動時間及び削減された燃料費により、サービスの頻度及び有効性を高めることで、地方の事業、配送サービス及び貨物サービスに利益をもたらすことが予想される。同プロジェクトは、危険廃棄物を排出せず、燃料消費量を削減する電気機関車の使用から生じる環境面の利益ももたらすことになる。

 

ゲマス-ジョホールバル間の鉄道建設は、2018年初めに開始され、2022年までの開業に向けて、目標通り順調に進捗している。

 

当年度中、SPYTLは、ゴールデントライアングルの中心部に当グループの新たな拠点を形成することになる42階建てのオフィス用高層ビルを完成させた。最新の仕様に合わせて建設された新しいビルは、ブキット・ビンタンのザ・リッツ・カールトン、クアラルンプール及びパビリオン・モールの向かいに位置している。

 

イポーに位置する当グループのカメリア住宅開発を構成する108戸の2階建てテラスハウスの建設も、予定通り進捗している。

 

不動産投資開発部門

不動産開発

・スントゥル

スントゥルの都市再生は、YTL L&Dグループの完全子会社であるスントゥル・ラヤ・センドリアン・バーハッドが、クアラルンプールのスントゥルにおける294エーカーの自由保有開発地区を対象とするスントゥル・マスタープランに基づき請け負っている。

 

2002年にスントゥル・マスタープランが開始されて以来、YTL L&Dグループは、スントゥル地区を大幅に改修し、かつての拠点駅を市内の魅力的かつ評判の所番地に高めるための牽引役を担ってきた。

 

長年にわたって、スントゥル・ウェスト及びスントゥル・イーストの各地区の下でのスントゥルの都市再生が速度を増すに従い、都市構造への歴史的建物の融合は、再生計画並びに地域社会及び不動産への多大な利益の創造に重要な役割を果たしてきた。

 

当グループのスントゥル・イーストにおける開発の象徴たる建造物であるザ・ケイパーズ及びザ・フェンネルは、クアラルンプールの街並みを一変させ、スントゥルの遺産を補充する魅力的な現代の改造物及びスントゥル・ウェストの歴史的要素の復興としての機能を果たしている。これらには、ザ・クアラルンプール・パフォーミング・アーツ・センター(klpac)、スントゥル・セールズ・オフィス及びYTLコミュニケーションズ・センドリアン・バーハッドの4G/LTEネットワーク運用センターを収容するために転用された、1900年代初めに設立された旧線跡の倉庫や作業場が含まれる。スントゥルの豊かな歴史及び遺産は、都市再開発をものともせずに現在も堂々と立っているこれらの強固な土木構造物に根ざしている。

 

国内の不動産市場は依然として弱気であったため、当グループは、スントゥル特有の遺産の保護に重点を置いた刺激的な広告要素によって、スントゥルの魅力及び活気を一層高めることに注力した。かかる構想には、スントゥルの都市再生のマスタープランの目的を達成するための、スントゥルの豊かな歴史の保護、歴史的建物の修復及び転用並びにこれらの既存の要素の新しい状態への導入が含まれている。

 

スントゥル駅は、英国の統治下におけるマレー連合州鉄道のための中央駅、倉庫及び作業場の複合施設の一部を構成した。この駅の113年の古い歴史、そして200,000平方フィートに及ぶ規模は、その保護のきっかけとなった。2018年9月に行われたスントゥル駅のお披露目の時機は、地元の職人やデザイナーの作品や創作物の支援及び販売促進を通してマレーシア国民の創造性を祝うイベントが行われるマレーシア・デイの週末と完全に一致するように調整された。スントゥル駅は、息を吹き返し、新たな意味及び目的が注がれ、若い世代にとって拠り所のある重要な空間となった。

 

これ以来、お披露目イベントに使用された70,000平方フィートの空間は、私的なイベント、商業目的のイベント及び地域社会のイベントの主催場所として大きな評判となった。残る要素は、段階的に開発される予定である。スントゥル駅の最終的な計画は、スントゥル付近及びクアラルンプール市全体に提供されるように集約されたライフスタイルの目的地として、この駅とklpac及びスントゥル・パークを切れ目なく結びつけることである。

 

また、当グループは、当年度中、かつては英国の鉄道本社であった壮大な植民地時代の構造物の修復及び再開発を伴うスントゥル・ワークスの事業に着手した。スントゥル・ワークスは、緑豊かな公園に囲まれた新旧を並置するデザインを通じて、都市生活者のために全く新しい就労経験を生み出すことを目的としている。

 

4階建ての開発は、活気のある精力的な職場・社会空間として機能することを企図したコワーキング・スペース及びブティック・オフィスの集まりを予定している。スントゥル・パークの近くに位置するスントゥル・ワークスは、若い起業家及びスタートアップ企業のための革新的な職場環境となり、歴史的な建物内に唯一無二の現代的な職場空間を提供する予定である。

 

また、これらのプロジェクトは、スントゥルの居住適性及び接続性を一層高めることになるMRT線2の下に開業予定のスントゥル・ウェスト駅からだけでなく、スントゥルKTMコミューター駅に隣接し、スントゥル駅及びスントゥル・ティムールLRT駅の徒歩圏内にあるという点で、スントゥルの優れた鉄道連絡網から恩恵を受けることになることが予想される。

 

進行中のプロジェクトには、スントゥル・イーストのd5、d2及びd8商業開発が含まれる。

 

・カメリア

カメリアは、YTL L&Dの完全子会社であるPYPセンドリアン・バーハッドが請け負っている。カメリアは、パカタン・ジャヤ・イポーの緑豊かな地区に位置する安らぎの2階建て現代住宅である。同住宅は、若年夫婦や育ち盛りの子供のいる家族のニーズを完璧に満たすものである。広く、綿密に設計された住居は、その至るところまで良質な生活空間であり、現代生活の本質を捉えている。

 

同開発は、108戸のテラスホームを構成している。各住居は、4+1室の寝室を擁し、そのうち2つは、地下にある。標準的な区画面積は、20フィート×75フィートである。同開発は、2019年末の完成に向けて、予定通り進行している。

 

・3オーチャード・バイ・ザ・パーク

当グループの3オーチャード・バイ・ザ・パーク・プロジェクトは、YTL L&Dの完全子会社であるYTLウェストウッド・プロパティーズ・プライベート・リミテッドが請け負っている。3オーチャード・バイ・ザ・パークは、有名なオーチャード大通りのブティック型の自由保有権付高級マンションであり、2018年12月の販売開始以来、販売において弾みがあり、購入意欲も見られる。2つの寝室及び4つの寝室を構成する住戸の販売価格は、平均3,600シンガポール・ドル(ポンド毎平方フィート)となり、その購入者には、シンガポール、中国、日本、インドネシア及びマレーシアの富裕層が混在していた。5つの寝室を構成するペントハウス住戸は、4,805シンガポール・ドル(ポンド毎平方フィート)の過去最高の価格で販売された。

 

オーチャード大通りの並木道沿いの有名な10区に位置する3オーチャード・バイ・ザ・パークは、77戸の自由保有高級住宅が申し分なく集結している。オーチャード通りの世界的に有名なショッピング街にそびえ立つ3オーチャード・バイ・ザ・パークは、近く開業予定のオーチャード大通りMRT駅のすぐ隣に位置し、ユネスコ世界遺産登録地であるシンガポール植物園の徒歩圏内である。同住宅は、象徴的な高級ショッピングモール、セントレジス、フォーシーズンズやリージェント・シンガポールなどの国際的に有名なホテル及びカムデン・メディカル・センターやグレンイーグルス・ホスピタルを含む医療センターにも近接している。

 

アントニオ・チッテリオの特徴とするちょっとした上品さ及びシンプルさは、3オーチャード・バイ・ザ・パーク全体に行き渡っており、その魅力的な外観から什器備品などの内装の細部に至るまで、同開発全体を形作っている。ミラノを拠点とする総合デザイン事務所であるアントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィエルに所属する受賞歴のあるイタリア人建築家兼デザイナーのアントニオ・チッテリオは、ミラノ、バリ、ロンドン、ドバイ、北京及び上海のブルガリのホテル及びリゾートも手掛けている。

 

3オーチャード・バイ・ザ・パークは、南北向きのウッド・タワー、ウィルダネス・タワー及びウォーター・タワーにおいて、自然を展示している。2つの寝室、3つの寝室及び4つの寝室で構成される各住戸並びに5つの寝室で構成されるペントハウス2軒は、プライベートなエレベーター・ロビーから入室でき、「天空の別荘」として設計されている。各住戸は、プライベートなガーデン・テラスにそのまま通じており、ロフト付きの住戸の中には、2倍の面積を誇るリビングや庭園又はプライベート・プール付きのものもある。

 

また、住戸は、チッテリオが特別に設計したアルクリエナのライフスタイル・キッチン・システム及び木造の鏡板調の壁を備えている。中には、ミラノ及びドバイのアルマーニホテルをはじめとする世界の一流ホテル並びに私邸を飾る、ファッション界の巨匠であるジョルジオ・アルマーニのアルマーニカーザの家具を備えている住戸もある。

 

24時間体制の警備システムに加え、同開発は、インフィニティエッジ・プール、チッテリオが設計したテクノ・ジム器具付きのジム、プライベートなダイニングルーム及び屋外の食事スペースを提供している。チッテリオが全体の家具備え付けを行ったプライベートなライブラリー・ラウンジは、YTL L&Dとフード・エンポリウムの合作であるジョーンズ・ザ・グローサーの食事を居住者に提供している。また、居住者は、受賞歴のある当社のホスピタリティ部門であるYTLホテルズ・アンド・プロパティーズ・センドリアン・バーハッドによるコンシェルジュ・サービスを享受することができる。

 

3オーチャード・バイ・ザ・パークは、来るエッジプロップ・エクセレンス・アワーズ2019の5部門(デザイン・エクセレンス(住宅)、トップ・デザイン・アーキテクト、トップ・ラグジュアリー・デベロップメント(住宅)、トップ・ブティック・デベロップメント(住宅)及びピープルズ・チョイス・アワード)にノミネートされている。

 

・ブラバゾン

英国のブリストルに位置するブラバゾン開発は、YTLパワーの完全子会社であるワイ・ティー・エル・デベロップメンツ(英国)リミテッド(「YTLデベロップメンツ」)が請け負っている。

 

2019年3月、フィルトン飛行場の住宅開発の第1段階について企画許可が下り、旧フィルトン飛行場から、ノース・ブリストルにとって栄えた新たな近隣地区となるブラバゾンへの転換の節目となった。

 

第1段階となる278の新しい不動産には、魅力的な庭園及び共同スペースに設けられた高品質の家族用住宅、単身者用アパート及び手頃な不動産が含まれている。プラン全体では、2つから4つの寝室で構成される住宅127戸及び1つから2つの寝室で構成されるアパート151戸がある。住宅の中には、広々とした部屋、多くの窓及び2階分の高さを誇る天井を備えるものもある。

 

中層アパートから都会風のテラス及び広々とした家族用住宅へと多岐にわたる住宅は、多様で活気のある共同体を育成することを企図している。近隣は、網の目状の並木道にあり、魅力的な公共広場や皆が享受することのできる開かれた地域財産となる新しい緑豊かな公園であるブラバゾン・パークに近接している。屋外スペースは、すべての住宅及びアパートに開放されている。

 

企画許可が下りれば、建設は、2019年末頃に開始される予定である。住戸は、2020年には販売開始され、最初の入居者は、2021年にブラバゾンに入居する見込みである。

 

フィルトン空港の跡地に位置するブラバゾン開発は、354エーカーの商工業地域に広がり、完成時には、2,675戸の住宅、62エーカーのオフィス地、多目的のタウン・センター、新しい学校、医師・歯科医の診療所、レクリエーション用のスペース、スポーツ及びレジャー施設、売却・賃貸用の手頃な住宅、コミュニティー・センター及び学生用住居が含まれる予定である。同開発は、新しい主要な輸送インフラでブリストルと接続される予定である。ブラバゾンの新しい鉄道駅は、15分以内にブリストル・テンプル・ミーズと連絡する一方で、メトロバスのルートは、クリブス・コーズウェイ及び市の中心部に接続することになる。ブラバゾンは、新しい歩道や自転車専用道路も提供する予定である。

 

不動産投資

当グループは、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、日本及び中国で小売店舗やオフィス不動産を所有しているスターヒル・グローバルREITの実効持分を36.46%保有している。スターヒル・グローバルREITの運用会社であるワイ・ティー・エル・スターヒル・グローバルREITマネジメント・リミテッドは、当グループの完全子会社である。スターヒル・グローバルREITの不動産ポートフォリオには、シンガポールのニー・アン・シティ及びウィスマ・アトリアの株式、オーストラリアのデービット・ジョーンズ・ビルディング、プラザ・アーケード及びマイヤー・センター、マレーシアのスターヒル・ギャラリー及びロット10ショッピング・センター内の区画、東京のブティック型の商業施設並びに中国の商業施設が含まれる。

 

スターヒル・グローバルREITの不動産ポートフォリオは、2019年6月30日現在、30.6億シンガポール・ドルと査定され、2018年6月30日現在の31.2億シンガポール・ドルに比べわずかに減少した。スターヒル・グローバルREITのポートフォリオの業績は、保有する良質資産及びマスターリース及び長期リースに起因する安定した収入に支えられ、引き続き堅調であった。当該REITの不動産あたりの配当は、前年度の0.0455シンガポール・ドルに対し、当年度は0.0448シンガポール・ドルであった。

 

ホテル経営部門

YTLホテルズ・グループ

・ザ・グラスハウス・ホテル、エジンバラ

グラスハウスは、エジンバラ一流の高級ブティックホテルとしての地位を固めている。レディー・グレノーキー教会の窓を背景に収容されている新しいボードルームをはじめとする改装はゲストに歓迎され、かかるボードルームでは、既に多くのボードミーティング、ブレインストーミング・セッション及び少人数の結婚式が開催されている。同ホテルは、2019年リージョナル・スコティッシュ・ホテル・アワーズで5つの賞を授与されたが、これには、ベスト・スモール・カンファレンス・ホテル、ベスト・インティメイト・ウェディング・ホテル、ベスト・ウェディング・チーム、ベスト・ドリンクス・スペシャリスト及びオペレーショナル・マネジャー・オブ・ザ・イヤーが含まれる。

 

・スレッドニードルズ、ロンドン

オートグラフ・コレクション・ホテルのかかる高級ブティックホテルは、市内の歴史ある金融街の選りすぐりのホテルとしての地位を確立している。スレッドニードルズは、スクエアマイルの中心に位置しているため、セント・ポール大聖堂、ザ・バービカン、ロンドン博物館など多くの観光名所が徒歩圏内にあり、地下鉄のバンク駅及びモニュメント駅の近くにある。同ホテルは、1856年に設立され、「世界で最も古く、最も優れたフィッシュ・ブランド」と評された元祖ウィーラーを頷かせたマルコ・ピエール・ホワイト・ウィーラーズ・オブ・セント・ジェームス・オイスター・バー・アンド・グリル・ルームを収容している。スレッドニードルズは、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を受賞した。

 

・ザ・アカデミー、ロンドン

5棟のジョージアン・タウンハウスに50室を有するザ・アカデミーは、トッテナム・コート・ロード、大英博物館、交通の要衝であるユーストン駅、セント・パンクラス駅及びキングス・クロス駅に近接する流行のブルームズベリー地区という素晴らしい立地に恵まれている。スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールドのメンバーであるザ・アカデミーは、ニューヨークを拠点とする著名なデザイナー、アレクサンドラ・シャンパリモーにより改装され、現在及び当時の特徴が魅力的に融合されている。当年度、同ホテルは、機能的な空間としてザ・ジーニアス・ラボを増設し、ザ・コートヤード及びバーで唯一無二のミスター・マーズ・アフタヌーンティーを提供し始めた。ラオ・シー作のミスター・マー・アンド・サンの小説に着想を得たミスター・マーズ・アフターヌーン・ティーは、中国のお菓子とイギリスの伝統的な食事を巧みに融合している。ザ・アカデミーは、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を受賞している。

 

・モンキー・アイランド・エステート

YTLホテル最新の英国不動産であるモンキー・アイランド・エステートは、大きな期待に応えて、バークシャー州の歴史ある村、ブレイ・オン・テムズに開業した。テムズ川の島内7エーカーにわたって設立されたホテルは、800年の興味深い歴史を有している。YTLホテルズ及びシャンパリモー・デザインの格別の改装により、改装された不動産は、27の寝室及び3つのスイートのほか、本島に11の寝室を擁する改装された納屋の宿泊施設を有しており、エステートは、村内に6つの私邸も構えている。デザインは、時を超えた魅力及び伝統的な特徴と現代風の落ち着いた田舎の風采を並置している。スパ・ビレッジのザ・フローティング・スパは、島の岸に繋ぎ止められた特注の屋形船の船内で行われる他に類を見ないスパであり、水の力及び1197年に到来し、そこを300年間住処とした修道士に着想を得たトリートメントを提供している。モンキー・アイランド・エステート及びザ・フローティング・スパは、コンデナスト・トラベラー誌のベスト・ニュー・ブティック・スパ・ホテル9軒に選出された。また、同ホテルは、タイムズ紙のクール・ホテル・ガイドにおいて、10点中9点の評価を受けた。

 

・ゲインズボロ・バス・スパ

ゲインズボロ・バス・スパは、バス・ブリストル・アンド・サマセット・ツーリズム・アワーズにおいて、「スパ・パンパリング・アンド・ウェルビーング・エクスペリエンス・オブ・ザ・イヤー」の金賞を受賞し、国内の賞でも最終審査に残った。ゲインズボロは、引き続きコンデナスト・トラベラー誌のリーダーズ・トラベル・アワードにおいて高く評価されており、「リーダーズ・チョイス・アワード」では、英国のトップ10ホテルに選出されている。同ホテルのレストランである、ダン・ムーン・アット・ザ・ゲインズボロは、3AAロゼットを維持し、タトラー・レストライン・ガイドのトップUKレストラン100及び著名なトレンチャーマンズ・ガイドにも引き続き選出されている。ゲインズボロは、トリバゴのトップUKホテル10において、5つ星部門での選出を達成した。

 

・ミューズ・ホテル・サントロペ、フランス

ミューズ・ホテルは、魅力的なフランス南部一流の夏期滞在先としての市場での地位を保持している。ミューズは、比類なき品質のサービス及び無比のゲスト体験をゲストに提供し続けており、高いリピート率を有している。同ホテルは、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を連続して受賞している。

 

・ザ・ハーグ・マリオット・ホテル、オランダ

定評、一等地及び芸術的施設としての地位をもって、同ホテルは、引き続き、中国の李克強首相をはじめとする公式代表団を迎えている。また、同ホテルは、グローバル・アントレプレナーシップ・サミットで重要な役割を果たし、市全体のイベントのホテルの代表を担っていた。ザ・ハーグ・マリオットは、2018年のオランダのベスト・ホテルに名前が挙がり、ホテル・スペシャルズから表彰され、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を受賞した。

 

・ホテル・ストライプス・クアラルンプール

ホテル・ストライプスは、独特の雰囲気のある魅力的な現代風のホテルとしての地位を維持している。マレーシア建築家協会が主催する、建築界最高峰の賞であるPAMアワーズ2019において、同ホテルは、ビルディング・オブ・ザ・イヤーに選出され、スポーツ・アンド・レクリエーション・アワードも受賞した。トリップ・アドバイザーは、同ホテル及び同ホテル内のレストランであるブラッスリー25について、エクセレンス認証2019を授与した。ブッキング・ドット・コムは、ホテル・ストライプスにゲスト・レビュー・アワード2018を授与した。

 

・JWマリオット・クアラルンプール

JWマリオット・クアラルンプールは、現目録に、162の客室を加え、完成時には合計740の客室を備える予定である。新しい客室は、全面的な転換及びブランド再構築を行うスターヒル・ギャラリー3階分を占有する。新しいスターヒル・ギャラリーは、刺激的かつ魅力的な小売店及び食事の選択肢が一体となって利用可能であって、都心で多感覚に訴える体験を買い物客やゲストに提供するような、高級感あふれる流行を生み出す場所になる。会議スペース及び機能的なスペースの高まる需要に応え、新たな会議室が、ホテル拡張プログラムに含まれている。既存のJWエグゼクティブ・ラウンジもデザインが改められ、ゲストは、レジャー及びビジネスについて、より広いスペースを利用することができるようになる予定である。

 

HAPAプラチナム・アワーズ2018において、同ホテルは、5つ星ホテル/リゾートのベンチマーク・アチーバーのほか、モースト・アウトスタンディング・アジアン・キュイジーヌ・レストラン、モースト・アウトスタンディング・アジアン・キュイジーヌ・マスターシェフ及び上海レストランのベンチマーク・アチーバー・サービス・エクセレンスに選出された。

 

・ザ・リッツ・カールトン、クアラルンプール

クアラルンプールのザ・リッツ・カールトンは、クアラルンプールのホテルの高級部門の中で一流の地位を保持している。麗苑レストランは、全面的にデザインを改め、当年度第4四半期に完成予定である。トリップ・アドバイザーのトラベラーズ・チョイス・アワーズ2019において、同ホテルは、マレーシアにおける高級ホテル及びサービスに関してトップ25に選出された。HAPAプラチナム・アワーズ2018-2020においては、同ホテルが、モースト・アウトスタンディング・5スター・ホテル/リゾート、モースト・アウトスタンディング・ホテル/リゾート・オブ・ザ・イヤー及びモースト・アウトスタンディング・スパ・オブ・ザ・イヤーに選出された一方で、麗苑は、サービス・エクセレンスのベンチマーク・アチーバーに選出された。

 

・YTLラグジュアリー・リゾート

パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート及びガヤ・アイランド・リゾートは、マレーシアの高品質な静養地としてのそれぞれの評判を維持している。ガヤ・アイランド・リゾートは、高く評価された女優デイム・ジュディ・デンチを迎え、島内の珊瑚礁保護プログラムを特集したITVドキュメンタリー「ジュディ・デンチズ・ワイルド・ボルネオ・アドヴェンチャー」で取り上げられた。パンコール・ラウト・リゾートのダイニングのラインアップには、ホーンビル・カフェが加えられた。

 

トリップ・アドバイザーのチョイス・アワーズ2019において、パンコール・ラウト・リゾート及びタンジョン・ジャラ・リゾートは、マレーシアのトップ25ホテルに選出された一方で、パンコール・ラウト・リゾートは、サービス・ホテル、ロマンス・ホテル及びラグジュアリー・ホテルについてトップ25に選出された。ガヤ・アイランド・リゾートは、ロマンスについてトップ25に選出され、スパ・ビレッジ・ガヤ・アイランドは、2018年アジアスパ・アワーズにおいて、「デスティネーション・ホテル/リゾート・オブ・ザ・イヤー」に名を連ねた。パンコール・ラウト・リゾートは、ハーパー誌のバザール・スパ・アワーズ2019において、「モースト・リバイタライジング・エスケープ」に選出された。

 

・YTLクラシック・ホテル

ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプール、キャメロン・ハイランズ・リゾート及びザ・マジェスティック・マラッカは、それぞれの地域において市場を先導し続けている。ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプールは、会議施設にザ・カノピーを増設した。ルーフ・ガーデンに隣接する、最新かつ上品な空間であるザ・カノピーは、150人を収容し、既存の多目的室を補完する。HAPAマレーシア・アワーズ・シリーズ2018-2020において、同ホテルは、モースト・アウトスタンディング・5スター・ホテル/リゾート及びサービス・エクセレンスのベンチマーク・アチーバーに選出された一方で、コロニアル・カフェは、カジュアル・ダイニング・レストランのベンチマーク・アチーバーに選出された。

 

また、ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプールは、ブランド・ローリエート・アワーズ2018-2019において、モースト・アウトスタンディング・ラグジュアリー・ブランドに選出され、旅行者から引き続き高い評価を得て、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を5年連続で受賞し、殿堂入りを果たした。トリップ・アドバイザーのトラベラーズ・チョイス・アワーズ2019において、ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプールは、マレーシアのラグジュアリー・ホテル・トップ25に選出され、コタンゴ・レストランは、エクセレンス認証を受賞した。ザ・マジェスティック・マラッカ及びキャメロン・ハイランズ・リゾートは、ロマンス・ホテルについてトップ25に選出された。

 

・ヴィスタナ・グループ・オブ・ホテルズ

YTLホテルは、ACホテルズ・バイ・マリオット・ブランドをマレーシアに誘致するためにマリオット・インターナショナル・インクと契約を締結した。契約に基づき、クアラルンプール、ペナン及びクアンタンの3つの既存のヴィスタナ・ホテルは、戦略的な転換を経て、ACホテルズ・バイ・マリオット・ブランドの旗を掲げる予定である。ACホテルズ・バイ・マリオットは、ヨーロッパ様式から着想を得た世界中の注目に値する不動産から成る国際ポートフォリオを保有している。これらのホテルは、ACホテルズ・バイ・マリオットによる2019年12月に予定される開業時には、「ホテルへの新たな道(A New Way to Hotel)」の約束の下、国内のホスピタリティの分野で新たな基準をもたらすことになっている。

 

・ザ・リッツ・カールトン、コサムイ、タイ

コムサイのザ・リッツ・カールトンは、開業初年度において、メディアや滞在客から高い評価を得た。プライベートな入り江に位置するリゾートは、島の本質を完璧に捉えており、ブランドを特徴づける贅沢感と伝統的なタイのホスピタリティを融合させている。ゲストは、入念に企画されたウェルネス・プログラム、文化への没頭及び料理のコンセプトを通して、サムイの生活様式を体験することができる。175の高級客室及びプール・ビラのほか、本場のタイ料理から現代の西洋料理までを披露する6つのレストランがある。3,800平方メートルのスパ・ビレッジ・コサムイは、8つのトリートメント・スイート、3つのマッサージ・パビリオン、ヨガ・パビリオン、ヘルス・バー及び更衣室付きのプライベートなラッププールを提供している。当年度増設された施設には、18ホールのミニ・ゴルフコース及び東南アジアでは類のない海水プールが含まれる。

 

・ザ・スリン・プーケット、タイ

ザ・スリンは、稼働率及び収益について予算目標を達成し、好調な業績を収めている。同ホテルは、旅行者から引き続き高い評価を得て、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を5年連続で受賞し、殿堂入りを果たした。また、同ホテルは、トラベラーズ・チョイス・アワードのタイのホテル2019及びロマンス・ホテルについて、トップ25を受賞した。ワールド・ラグジュアリー・ホテル・アワーズ2018において、ザ・スリンは、ラグジュアリー・ビーチ・ホテルについて、グローバル・ウィナーに選出された。同ホテルのビーチ・レストランは、タイランド・タトラー・ベスト・レストラン2019に選出され、トリップ・アドバイザーのエクセレンス認証を受賞した。

 

・イースタン&オリエンタル・エクスプレス

イースタン&オリエンタル・エクスプレスは、待望の「ゲスト・シェフ」シリーズを開始し、そのラインアップには、ジャニス・ウォン、ルーク・マンガン、イアン・キッティチャイ及びディディエ・コルローなどの主要人物が名を連ねている。この電車は、YTLホテルと高く評価されたジュエリー・デザイナーであるチュー・イーリンとのパートナーシップにおいて、ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプールと共に重要な役割を果たしている。同氏のビンテージ・ハネムーン・カプセル・コレクションは、これら2つのラグジュアリー・スペースの旧世界の魅力から着想を得た。2019年9月、イースタン&オリエンタル・エクスプレスは、生涯の思い出となる募金集めの旅を、野生生物の慈善団体であるセイブ・ワイルド・タイガーズと協同して行う。パートナーシップを祝うため、中国のポップアーティストであるジャッキー・ツァイが、トラに着想を得た美術作品で車両2両の外観を装飾する予定である。

 

・スパ・ビレッジ・リゾート・テンボック、バリ

バリのスパ・ビレッジ・リゾート・テンボックは、この有名なインドネシア諸島の北東海岸の高品質のスパ静養地として確立している。顧客からは、サービスに対する素晴らしい評判が頻繁に寄せられている。

 

・ニセコビレッジ、北海道、日本

79の高級客室及びスイートを有する待望のホテルであるヒノデヒルズ・ニセコビレッジは、2019年12月に開業する予定である。ニセコアンヌプリの麓に位置するヒノデヒルズは、ニセコビレッジの中心の最高峰の地位にあり、その所有地には、羊蹄山の見事な景色、スキーイン・スキーアウト・アクセス、温泉付きの部屋及び多くのスキー・サービスが備わっている。また、同ホテルは、アッパー・ビレッジ・ゴンドラに便利よく隣接しており、ゲストは、リフトに手軽にアクセスでき、山の周辺を簡単に移動できるようになっている。ヒノデヒルズは、ザ・グリーンリーフ・ニセコビレッジ、ヒルトン・ニセコビレッジ及びカサラ・ニセコビレッジ・タウンハウスと並んで、ニセコビレッジの高級宿泊施設の最新のホテルである。ニセコビレッジ・ゴルフ・コースは、ワールド・ゴルフ・アワーズより、ジャパンズ・ベスト・ゴルフコース2018に選出された。

 

・ザ・ウェスティン・パース

YTLホテルズは、2018年4月、都市の「歴史的中心地」として知られる再活性化されたパースのイーストエンドに開業したザ・ウェスティン・パースを取得した。同ホテルは、368の大きな客室及びスイート並びに2,300平方メートルの集会施設(CBD最大の大宴会場を含む。)を特色とする。ザ・ウェスティン・パースは、ホテルを代表するレストランであるガルムをはじめとする魅力的な場所が混在する都市のオアシスであるハイバーニアン・プレイスに位置している。ウェスタン・オーストラリアン・アーキテクチャー・アワーズ2019において、同ホテルは、コマーシャル・アーキテクチャーについて、ロス・チザム・アワード及びギル・ニコル・アワードを受賞した。AHEADアジア・アワード2019では、ホスピタリティ、エクスペレエンス及びデザインについて、ザ・ウェスティン・パースのプレジデンシャル・スイートがスイートアワードの優勝者として発表された。

 

YTL REIT

YTL REITの投資ポートフォリオは、2018年6月30日現在の前回の評価額の4,365.1百万マレーシア・リンギットから、年間で372.6百万マレーシア・リンギット増加し、2019年6月30日現在の4,737.7百万マレーシア・リンギットと査定された。これは、主に、2018年9月にザ・グリーン・リーフ・ニセコビレッジを取得したことに起因しており、また、少額の増加であるが、JWマリオット・ホテル・クアラルンプール、クアラルンプールザ・リッツ・カールトン(ホテル・ウィング及びスイート・ウィング)及びオーストラリアのブリスベン・マリオットも要因である。

 

・マレーシア・ポートフォリオ

YTL REITは、2019年度において、マレーシア・ポートフォリオから安定した収入を受けた。YTL REITのマレーシア・ポートフォリオは、半島各地の主要都市の中心に位置する5つ星の不動産や高級リゾートからビジネス・ホテルまで、10の多様な資産により構成されている。YTL REITは、その所有不動産について定期賃貸借によるリース契約を維持・締結し、かかる収益構造によりもたらされた安定した収入による恩恵を受けている。

 

クアラルンプールにおけるゴールデントライアングルの商業地区に位置するラグジュアリー資産は、JWマリオット・ホテル・クアラルンプール、ザ・リッツ・カールトン・クアラルンプールのホテル・ウィング及びザ・リッツ・カールトン・クアラルンプールのスイート・ウィングにより構成される。一方、リゾートのポートフォリオについては、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート及びキャメロン・ハイランズ・リゾートにより構成される。また、マレーシアにおけるYTL REITのポートフォリオには、交通の中心であるKLセントラルから少し離れた場所にあるジャラン・スルタン・ヒシャムジンに戦略的に位置する、300の客室を擁する5つ星高級不動産であるザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプールが含まれる。YTL REITのマレーシア・ポートフォリオを構成する残りの資産は、クアラルンプールのクアンタン及びペナンで営業するヴィスタナ・ホテルである。

 

・日本のポートフォリオ

YTL REITは、日本では、日本の北海道に位置するヒルトン・ニセコビレッジ及びザ・グリーン・リーフを所有している。いずれも、固定リース契約に基づき運営しており、YTL REITに安定した収入をもたらしている。

 

ニセコアンヌプリの麓に位置するザ・グリーン・リーフは、YTL REITに新たに加えられたポートフォリオである。200室を擁するオールシーズン・ホテルは、世界に通用するデザイン、現地の芸術的才能及び息を飲むような景色の融合を特色とし、冬季には、スキーイン/スキーアウトのアクセスを、夏季には、様々な野外活動を探究するための便利な基地を提供する。同ホテルは、当年度中、良い稼働率を示し、YTL REITの安定した新規ポートフォリオとなっている。

 

・オーストラリア・ポートフォリオ

YTL REITのオーストラリアのポートフォリオは、シドニー・ハーバー・マリオット、ブリスベン・マリオット及びメルボルン・マリオットにより構成されており、YTL REITは、これらのホテル資産の運営に基づく多角的な収入源の恩恵を受けている。

 

シドニー・ハーバー・マリオットは、確立した地位及び提供するサービスの質によって、2019年度は良好な業績を収めた。シドニー・ハーバー・マリオットの稼働率は、2018年度は89.31%であったが、2019年度においては、91.59%まで増加した。シドニー・ハーバー・マリオットは、ハーバーブリッジ及びシドニーオペラハウスを含む象徴的なランドマークを見下ろすサーキュラーキーの中心部に位置する客室595室を擁する5つ星ホテルである。

 

客室186室を擁するメルボルン・マリオットは、2018年度の稼働率は87.09%であったが、2019年度においては85.50%の稼働率を達成した。近時、メルボルンのビクトリア地区では客室数が増加しているが、同ホテルは、安定した稼働率を達成し続けている。メルボルン・マリオットは、市内の劇場地区に程近い、バーク通りやコリンズ通りのショッピング街、チャイナタウン、メルボルン博物館及び王立展示館ビルから数分の距離に位置している。

 

263の客室及び4つのスイートで構成されるブリスベン・マリオットは、2018年度の稼働率85.06%に対し、2019年度は69.40%を記録した。これは、主に、当年度中に行われたホテルの改築の影響に起因するものである。ホテルの全面的な改装は、2018年に施され、2019年初めに完了した。更なる供給は制限されるとの予想に伴い、ブリスベン市場は、成長を見せ、進行中の主要なエンターテインメント及びインフラ・プロジェクトから恩恵を受けることが予想される。ブリスベン・マリオットは、ブリスベンの中央ビジネス地区とフォーティテュード・ヴァリーの中間に位置しており、ショッピング街やブリスベン川沿いの飲食街と市内の企業や文化施設に近接している。

 

運用サービス部門及びその他

ERL

ワイ・ティー・エル・エクスプレス・レールリンク・センドリアン・バーハッド(ERL)は、クアラルンプール国際空港(KLIA)及びクアラルンプール国際空港2(KLIA2)とKLセントラル駅を結ぶ高速鉄道、KLIAエクスプレスを所有及び運行している。

 

ERLは、2018年12月には9500万人の乗客を運び、当年度中、新しい節目を達成した。2019年7月、同サービスは、1億人目の乗客を迎えた。

 

同部門は、売上のプラットフォーム及び流通経路を拡大し、サービスの認知度及び利用可用性を高め、顧客の長距離旅行及び旅行での体験全体を促進するために、パートナーシップに関して引き続き順調に前進した。かかるパートナーシップには、8つの航空路線(マレーシア航空、エア・アジア、マリンド・エア、シンガポール航空、エミレーツ、エティハド、KLM及びルフトハンザ)、21のオンライン旅行代理店、メイバンク・エニタイム・エブリワンやブーストなどのイーウォレット提供業者、B2B/卸売業者及びその他の電子商取引プラットフォームが含まれる。

 

2019年6月、ERLは、KLホップオン・ホップオフと共に、新しいディスカバー・クアラルンプール・パッケージを開始した。特に、トランジット客及び初めて訪れる旅行者のために、都市を体験するための最短ルートを提供するかかるパッケージには、大人140マレーシア・リンギット、子供65マレーシア・リンギットの価格のKLIAエクスプレス往復券及びKLホップオン・ホップオフ・バスの周遊券が含まれる。

 

ERLは、窓口及びオンラインでのモバイル・ウォレットなど、多くの決済オプションを提供し、非接触型のカード・パートナーを増やすことにより、公共交通機関でのキャッシュレス・イニシアチブを牽引している。新しい決済オプションは、顧客の購入体験を向上させた。オンラインでの発券に加え、その他のキャッシュレス・サービスにおいては、窓口での混雑を緩和するため、改札での非接触型カード、セルフサービスのキオスクでのセルフ発券並びに窓口及びオンラインでのモバイル・ウォレットを使用することができる。

 

同サービスは、2018年7月から窓口でのグラブペイ・モバイル・ウォレット決済を、2018年10月からオンラインでのブースト・モバイル・ウォレット決済及び2018年11月から窓口でのブースト・モバイル・ウォレット決済に対応し始めた。顧客に対する即時の割引(ブーストは15%引き、グラブペイは10マレーシア・リンギット引き)のおかげで、これらのオプションの利用はより盛んになった。非接触型のカードの人気が高まるにつれ、ERLは、2019年5月以降、KLIAエクスプレス及びKLIAトランジットでのマスターカード、アメックス、JCB及びユニオンペイの非接触型カードに対応し、選択肢を拡大した。2019年6月現在、すべてのサービスにおけるキャッシュレス取引の利用は、約47%にまで上昇した。

 

ERLは、そのサービスについて賞を獲得し続けており、2018年11月、ロンドンのグローバル・エアレール・アワーズにおいて、新しいKLIAエクスプレス及びKLIAトランジット列車について、プロジェクト・オブ・ザ・イヤー・アワードを受賞した。

 

YTLPS

YTLPSは、1,212メガワットの総発電量を有し、YTLPGが所有する、当グループのトレンガヌ州のパカ発電所及びジョホール州のパシール・グダン発電所の運営管理業者である。YTLPGの発電所に関する21年間の電力売買契約は、2015年9月に期間満了を迎えた。その後、YTLPGは、マレーシア・エネルギー委員会が募る短期発電容量の入札に基づき、パカ発電所から電力供給を行うプロジェクトを獲得した。

 

2017年5月、YTLPG及びテナガ・ナショナル・バーハッドは、パカ発電所からの585メガワットの電力供給に関して、契約期間を3年10ヶ月とする新たな電力売買契約を締結し、パカ発電所からの供給は、2017年9月1日に開始した。

 

エレクトラネット

エレクトラネットは、200年間の利権に基づき、南オーストラリア全域の高電圧送電システムを所有・運営しており、地方の発電所及び州間の電源から遠方の大都市及び地域(産業にかかわる、大規模かつ直接つながりのある顧客を含む。)に送電している。送電網は、オーストラリア最大規模の地域的送電システムであり、合計20万平方キロメートルをカバーする96の高圧変電所及び周囲約5,650キロメートルの送電線で構成されている。

 

エレクトラネットは、2018年から2023年までの規制期間の2年目を迎えている。2018年4月30日、現行の5年の規制期間にわたって、オーストラリア・エネルギー規制当局から、規制対象の送電網に関して16億オーストラリア・ドルの収益を回復する許可を得た。

 

オーストラリアのエネルギー供給は、二酸化炭素排出量削減の未来に移行し、南オーストラリアは、かかるエネルギー転換の第一線におり、エネルギー需要に対し、断続的再生可能エネルギーに関して世界トップレベルにあることから、システムの安全性及び信頼性は、極めて重要である。エレクトラネットは、電気料金の引下げ及びシステム・セキュリティの改善を支援しながら、かかるエネルギー転換をサポートするオプションを探究している。現行のプロジェクト(規制当局の承認を得ている最中のものも含む。)には、以下が含まれる。

 

・南オーストラリア、ビクトリアとニューサウスウェールズ間の新しい大容量インターコネクタを構築すること。計画中の920キロメートル、330キロボルトの送電線は、全国電力市場においてエネルギー資源をより効率良く共有することにより、顧客に経済的利益をもたらす予定である。15億オーストラリア・ドルのプロジェクトであるプロジェクト・エネルギーコネクトは、ニューサウスウェールズの送電網の管理者兼運営者であるトランスグリッドと共同で提供されることになる。

 

・非同期発電に係る既存の上限を引き上げ、南オーストラリアの送電システムのために十分なレベルのシステム強度、システム慣性及び電圧制御を備えた進行中のシステムの安全性を確保するために、大型の同期コンデンサー4機を設置すること。同期コンデンサーは、2020年中に設置され、2021年初めに試験運転される予定である。

 

・エア半島の顧客の信頼性を高めるために、新しい送電線を建設すること。建設作業は、2020年8月に開始される見込みである。

 

また、同部門は、潜在的に競合可能な収益投資機会(新たな送電サービスの建設、所有及び運営を含む。)を探究するための態勢を整えている。

 

エレクトラネットは、現在、これまで請け負った中で最も大きな受託収益プロジェクトであるプロミネント・ヒル/アッパー・ノース接続のプロジェクトを請け負っている。同プロジェクトには、300キロメートルに及ぶ132キロボルト及び275キロボルトの送電線並びに約100メガワットの電力をOZミネラルズのカラパテナ及びプロミネント鉱区に接続及び供給する2つの変電所の建設が含まれる。カラパテナ鉱区は、2019年半ばに通電するようになり、プロミネント・ヒルはこれに次いで2020年末に通電する予定である。

 

ジャワ・パワー

ジャワ・パワーの1,220メガワットの発電所は、30年間の電力売買契約に基づき、インドネシアの国有公共事業会社であるPLNに対して電力を供給している。YTLパワーの完全子会社であるPT ワイ・ティー・エル・ジャワ・ティムールは、30年契約に基づき、ジャワ・パワーの運営管理を行っている。

 

ジャワ・パワーは、2018年12月31日までの1年間については、91.32%の平均稼働率を、2019年6月30日までの6ヶ月間については、89.32%の稼働率を達成した。同発電所は、その唯一のオフテイカーであるPLNに対して、前年度の7,645ギガワット時に対し、当年度中に8,748ギガワット時の発電を実施した。

 

情報技術及び電子商取引関連部門

2019年度中、同部門は、主に2.3ギガヘルツ(GHz)のWiMAX周波数帯域のライセンス供与からの収益並びにコンテンツ及びデジタル・メディア部門のデジタル・メディア広告の売上高によって、安定した業績を維持した。かかる帯域は、当グループの子会社であり、Yesのブランド名を管理するYTL Commsによって利用されている。

 

同部門は、非常に競争の激しい分野において広告主を惹きつけるために、中核となるコンテンツ及びデジタル・メディア事業の開発を続け、一体型のアウト・オブ・ホーム(「OOH」)デジタル・ネットワークを改良した。同部門は、アウトドア・マーケティング上のニーズに応えるために、OOHデジタル・メディア・ソリューションを提供し、名高いブランドをターゲットにしている。

 

同部門は、専有のコンテンツ・マネジメント・ソリューション及びコンテンツ生産の改良を続け、クアラルンプールのビンタン・ウォーク・エリアでのデジタル・ナローキャスト・メディアネットワーク及びロット10ショッピング・センターの向かいに位置する、デジタル「キューブ」で広告配信を行った。ロット10など、その他のショッピング及び商業地域におけるデジタル・ネットワークや、KLIAとKLIA2の低コストキャリア・ターミナルの間を運行するサービスを含むクアラルンプール・エクスプレス・レール・リンク(KLIAエクスプレス及びKLIAトランジット)の車内などを通じたサービスも提供されている。

 

 資金の流動性及び資本の財源については、「(1) 業績等の概要」及び「第6 1財務書類 (7) 財務書類に対する注記」を参照のこと。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 2019年度当初から本書の日付までの間に当社と他企業との合併又は合併の契約はなかった。

(2) 2019年度当初から本書の日付までの間に、当社の事業に重大な影響を与えるような、当社による事業の全部又は重要な部分の譲渡、又は他企業の事業の全部又は大部分の取得はなく、また、当該期間中、当社は上記に関連する契約は一切締結しなかった。

(3) 当社の事業の全部又は重要な一部分を賃貸若しくは預託する契約、別の当事者と当社の営業利益及び損失を共有する契約、若しくは当社の事業に重大な影響を与える技術協力若しくはこれに類する契約の締結はなかった。

 

5【研究開発活動】

該当なし。