第3 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。

 

2 【事業等のリスク】

当年度中、当社及びその子会社(総称して「当グループ」)は、ブルサ・セキュリティーズのメイン・マーケット上場規則(「上場規則」)及びコーポレート・ガバナンスに関するマレーシアン・コード(「本規範」)の方針及び実施規定を遵守するために、当グループの内部統制とリスク管理のシステムの改善を引き続き行った。

取締役会は、取締役会が株主の投資及び当グループの資産の保護を目的とした安定したリスク管理及び内部統制システムの維持につき全責任を有していること、並びにかかる統制が重大な過失、詐欺又は損失が発生するリスクに対して合理的ではあるが完全ではない保証を提供するに止まるものであることを認識している。

 

取締役会の責任

取締役会は、株主の投資及び当グループの資産を保護するための適切な統制環境の枠組みの確立を含む、安定したリスク管理及び内部統制のシステムの維持、並びに当該システムの適切性と完全性の審査につき最終的な責任を負っている。内部統制のシステムは財務の管理だけでなく、業務及び法令遵守の管理並びにリスク管理などをカバーしている。しかしながら、取締役会は、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムの審査が共同で行われる継続的なプロセスであり、事業目的の達成に失敗するリスクを排除するものではなく、むしろかかるリスクを管理し、詐欺行為及びエラーの可能性を最小限にするためのシステムであると考えている。したがって、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムは、重大な誤表示、詐欺及び損失に対する、合理的ではあるものの、絶対的ではない保証を提供するに止まる。

取締役会は、当年度について、当グループのリスク管理及び内部統制(財務その他も含めて)が当グループの効率的かつ効果的な事業活動、財務情報の信頼性及び透明性、並びに法令及び規則の遵守を合理的に保証するものであると考えている。

 

当グループの内部統制の主な特徴

取締役会は、継続的な監視及び統制活動の効率性の審査の手続を含む、安定した内部統制構造の維持、並びに当グループ及びその従業員の行動の統治に専心している。当グループの内部統制システムの主な内容の概略は、以下のとおりである。

 

・承認手続

当グループは、承認手続を明確に定義し、説明責任を明確に定め、取締役会及び上席経営陣内で承認、許可及び管理に関する厳格な手続を有している。承認レベル、職務分掌及びその他の統制手続などの責任のレベルは、株主の最善の利益に鑑みた効率的かつ独立した管理を促すために当グループ内に通知されている。

 

・権限レベル

当グループは大規模な入札、設備投資プロジェクト、買収及び事業の処分並びにその他の大規模な取引に関して、会長、取締役社長、常勤取締役に対して権限レベルを委任している。一定の限度額を超える資本及び収益に関する承認は、取締役会がこれを決定する。その他の投資に関する判断は、権限の範囲に従って承認される。総合的な評価及び監視手続は、すべての大規模な投資に関する決定に適用される。企業への融資及び投資資金の拠出の要件、外貨及び金利リスク管理、投資、保険並びに署名権者の指名等を含む主な財務に関する事項の決定については、取締役の承認が必要である。

 

・財務成績

中間財務成績は、ブルサ・セキュリティーズに開示する前に、監査委員会が審査し、監査委員会の提言に基づき取締役会が承認する。年次財務成績及び当グループの事業の状況の分析は、外部の監査人による審査と監査を受けた後に株主に開示される。

 

・内部の法令遵守

当グループは、主な従業員が年間目標の達成を評価するべく内部で審査する経営陣のレビュー及び報告を通じて内部の財務管理の遵守を監視している。内部の方針や手続の更新は、リスクの変化、又は経営上の欠陥部分の是正、並びに当グループに関連する法令及び規則の遵守要件の変化を反映するために行われる。内部監査は、手続の遵守の監視及び精査を行い、提供された財務情報の整合性を評価するため、特定の期間について体系的に取り決められる。

 

当グループの内部統制の主な手続

内部統制のシステムの適切性と整合性を審査するために取締役会が定めた主な手続は、以下のとおりである。

 

・内部監査機能

当グループの内部監査機能は、その内部監査部門(「YTLIA」)により提供される。YTLIAは、経営陣が導入した内部統制システムの効率性及び有効性につき保証を提供し、監査委員会に直接報告を行う。また、YTLIAは、当社の上場子会社であるYTLパワー・インターナショナル及びマラヤン・セメント・バーハッド並びにそれぞれの企業グループの業務を遂行しており、これらの上場子会社の監査委員会にこれらに関連する事項を直接報告している。

YTLIAは、監査対象とする活動から独立して運営されており、内部統制システムの有効性と重大なリスクに重点を置いて実施された監査の結果につき、監査委員会に対して定期的に報告を行う。監査委員会は、YTLIAが提起した重大な課題及び事項につき審査及び評価を行い、経営陣によって適切かつ迅速な是正策が講じられることを保証する。

当年度中のいずれの脆弱性又は問題も、当社の年次報告書で開示を要求される、該当する方針若しくは手続、上場規則又は推奨される業界の慣行に対する違反には当たらなかった。

英国に拠点を置くウェセックス・ウォーター・リミテッド・グループ(「ウェセックス・ウォーター」)の会社は、上記の内部監査の対象には含まれていない。ウェセックス・ウォーターの事業は、同社の規制当局であり、政府機関である水道事業管理庁(Ofwatとして知られる)の厳格な財務及び業務管理の対象となっており、その規制ライセンスによっても管理されている。ウェセックス・ウォーター・サービシズ・リミテッド(「WWSL」)は、独自の内部監査部門を有している。内部監査部門はWWSLの監査委員会に報告し、内部監査委員会は優良な財務慣行の維持とこれらの慣行の整合性を保つための管理を監督する責任を有している。同部門は、年次財務諸表を審査し、取締役会と外部の監査人とのコミュニケーション・ラインを提供する。同部門には、その権限及び義務に関する正式な調査範囲があり、調査結果はウェセックス・ウォーター・カンパニーの親会社であり、当社の登録された子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッド(「YTLパワー」)の監査委員会に報告される。

同様に、YTLパワーの子会社であり、シンガポールに拠点を置くYTLパワーセラヤ・プライベート・リミテッド・グループ(「YTLパワーセラヤ」)のグループ会社はYTLIAの対象に含まれていない。YTLパワーセラヤの事業は、同社の規制当局であり、シンガポールの通商産業大臣の法定機関であるエネルギー市場監督庁(EMA)の厳格な財務及び業務管理の対象となっている。YTLパワーセラヤは内部監査を著名な専門会社に委託し、当該専門会社は社内の監査委員会に報告しており、その調査結果はワイ・ティー・エル・パワーの監査委員会にも報告される。YTLパワーセラヤは、内部統制及びシステムを、財務諸表の整合性と信頼性を合理的に保証できる内容に維持する義務がある。

内部統制のシステムは、事業環境の変化に伴い、今後も審査、改善又は更新されていく。取締役会はYTLIAによる評価により、内部統制システムの継続性と効果を定期的に確認する。取締役会は、現在の内部統制システムが当グループの利益を守るために有効なシステムであると考えている。

 

・執行理事会/上席経営陣会議

当グループは、会長、取締役社長、常勤取締役と部門長/シニア・マネージャーから構成される執行理事会/上席経営陣会議を定期的に開催している。この会議の目的は、緊急を要する事由について審議し、決定し、財政及び財務に関する重要事項を検討、特定、協議及び解決し、当グループの財務状況を監視することである。また、新しい金融情勢や懸念される事項が早期に明らかにされ、迅速に対処することを確保する役割も果たしている。ここでの決定事項は、すべての関係する従業員レベルに直ちに効率的に伝えることができる。これらの会議を通じて、執行理事会/経営陣は関係する事業部門における業務上又は財務上の重大なリスクを特定することができる。

 

・現場の視察

取締役社長、常勤取締役は、生産現場や事業部門、不動産開発の現場へ赴き、様々なレベルの従業員と対話し、協議し、実行された戦略の有効性を直接評価する。現場の視察は、効率的な運営のために、透明性が高く、開かれたコミュニケーション経路が経営陣及び各取締役社長、常勤取締役によって維持されることを保証する目的で行われている。

 

当グループのリスク管理体制の主な特徴及び手続

当グループの安定した財務プロファイルは、事業活動の中で発生するリスクを軽減するための内部統制及びリスク管理のシステムの結果である。これは当グループの規制資産取得及びノンリコース・ベースでの融資獲得の戦略に象徴されている。これらには、ワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッドの完全子会社、ウェセックス・ウォーター及びYTLパワーセラヤ、エレクトラネット・プロプライエタリー・リミテッド(「エレクトラネット」)、PTジャワ・パワー及びアタラット・パワー・カンパニーPSC(「APCO」)に対する持分が含まれる。これらの資産は事業コストと収益の流れが非常に予測しやすい、という共通点があり、これにより安定した、予測可能なキャッシュ・フロー及び利益が生み出され、それぞれの市場における安定した規制環境により更に強化されている。

当グループの事業活動のすべての分野は何らかのリスクを伴うことを取締役会は認識している。当グループは、経営陣が定義されたパラメーター及び基準に従ってリスク管理を行うための有効なリスク管理システムの維持を保証するよう努めており、株主価値の向上のために当グループの事業の収益性を促進している。

取締役会は当グループのリスク管理体制について全責任を負っている。当グループが直面する重大なリスクの特定、分析及び管理は上席経営陣が各事業レベルで行い、これらの調査結果を評価分析し、取締役会に報告する場合には監査委員会がこれを行うなど、あらゆるレベルで行われる継続的なプロセスである。同時に、YTLIAはYTLIAの中間監査において、当グループが直面する重大なリスクの特定及び分析を行い、その結果を監査委員会に報告する。当年度中、取締役会のリスク管理体制における機能は、内部統制システムの適切性と全体性を保証するために経営会議に取締役社長、常勤取締役が参加することにより実行された。当グループの事業に影響を与える重大なリスクの特定及び分析のプロセスの検討と更新、並びにこれらのリスクを管理するための方針及び手続に重点が置かれている。

当グループの事業活動は、市場リスク(為替リスク、金利リスク及び価格リスク)、信用リスク、流動性リスク及びキャピタル・リスクなど、様々な金融リスクを伴う。当グループ全体の金融リスクの管理の目的は、当グループが株主価値を創造することを保証することである。当グループは金融市場の予測不可能性に焦点を合わせ、財務業績に与える悪影響の可能性を最小限に抑えることを目標としている。金融リスク管理は定期的なリスク評価、内部統制システム及び当グループの金融リスク管理方針に従って実施されている。取締役会はこれらのリスクを定期的に評価し、適切な管理環境体制について承認を行う。当グループのリスク管理の詳細については、「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載する。

経営陣は、当グループ内でのリスク意識を高め、各自の担当事業に該当する重大なリスクの特定及び分析を行い、適切な内部統制手続の設定と運営の義務がある。これらのリスクは、継続的に評価され、リスク管理の不備、情報システムの故障、競争、自然災害及び規制など社内外のリスクに関するものが含まれる。重大なリスクに影響を与える事業の重大な変化及び外部の環境については、リスクを抑制するためのアクション・プランの策定の中で取締役会に対して経営陣が報告する。

システム改善の必要性がある場合には、取締役会は監査委員会及び内部監査人の推奨する内容を検討する。

取締役会は今後も各事業分野において直面する事業、営業及び財務リスクの特定、評価及び管理を行い、また定期的に戦略を見直して、リスクが軽減され、管理されているかを確認し、当局が発行するガイドラインを遵守する。これは、当グループが株主持分及び株主価値を保護し、向上させるために常に変化し続ける事業環境に効率的に反応できることを確実にするためである。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

① 事業実績

2020年度及び2019年度の当グループの主な事業部門別の売上高及び税引前利益は以下のとおりである。

(監査済)

 

2019年度

2020年度

売上高

百万マレーシア・リンギット(百万円)

百万マレーシア・リンギット(百万円)

建設部門

1,219.5

(31,231)

6.76%

2,316.0

(59,313)

12.08%

情報技術及び電子商取引関連部門

3.8

(97)

0.02%

3.5

(90)

0.01%

ホテル経営部門

1,223.4

(31,331)

6.78%

1,121.7

(28,727)

5.85%

セメント製造及び販売部門

2,674.3

(68,489)

14.82%

4,095.2

(104,878)

21.35%

運用サービス部門及びその他

456.0

(11,678)

2.53%

371.7

(9,519)

1.94%

不動産投資開発部門

1,103.3

(28,256)

6.11%

995.2

(25,487)

5.19%

公共事業部門

11,367.2

(291,114)

62.98%

10,275.1

(263,145)

53.58%

合計

18,047.5

(462,196)

100.00%

19,178.4

(491,159)

100.00%

税引前利益

百万マレーシア・リンギット(百万円)

百万マレーシア・リンギット(百万円)

建設部門

80.5

(2,062)

7.76%

194.7

(4,986)

46.43%

情報技術及び電子商取引関連部門

2.6

(67)

0.25%

0.0

(0)

0.00%

ホテル経営部門

176.6

(4,523)

17.04%

96.6

(2,474)

23.04%

セメント製造及び販売部門

145.4

(3,724)

14.03%

-2.4

(-61)

-0.57%

運用サービス部門及びその他

14.9

(382)

1.44%

179.6

(4,600)

42.83%

不動産投資開発部門

-8.8

(-225)

-0.85%

-282.8

(-7,243)

-67.44%

公共事業部門

625.3

(16,014)

60.33%

233.6

(5,982)

55.71%

合計

1,036.5

(26,545)

100.00%

419.3

(10,738)

100.00%

 

② 概況

当社及び当グループは、主に建設部門及びセメント部門により、2020年度について前年度に比べ6%増加の192億マレーシア・リンギットの高い収益を計上した。公正価値の変動、減損及び在庫評価損の218.6百万マレーシア・リンギットによる損失を除外した後、当年度において、税引前利益637.9百万マレーシア・リンギットを計上した。

 

マレーシア経済は、外需及び投資活動の減退並びに商品部門の供給停止の影響を受け、2018年の4.7%に比べて、2019年は4.3%の低い国内総生産(GDP)成長率を記録した。マレーシア経済は、外的条件の弱さによる需給ショックの同時発生及びCOVID-19のパンデミックを封じ込めるために実施された厳しい措置の結果、2020年第1四半期は0.7%、第2四半期は17.1%縮小した。(出典:マレーシア財務省、マレーシア国立銀行最新情報及び報告書)。

 

一方、当グループが事業を展開する他の主要国において、英国の2019年のGDP成長率は約1.5%であり、2020年の第1四半期及び第2四半期の経済成長率はそれぞれ約2.2%、約20.4%縮小した。シンガポール経済は2019年に0.7%の成長を記録したが、2020年の第1四半期及び第2四半期にそれぞれ0.3%、13.2%の縮小を記録した(出典:マレーシア財務省、シンガポール通商産業省、英国国家統計局最新情報及び報告書)。

 

COVID-19のパンデミックの発生により、どの国家又は産業も、国境封鎖、活動制限令の発動、不要不急のサービスの提供の世界的な制限を余儀なくされた。当社の事業の一部の運営は、当年度の最終4か月間(2020年3月から6月)における最も厳しい措置の導入に伴い、様々な局面において阻まれた。

 

しかし、公共事業部門は当社を支える砦であり、すべての事業が水・電気・通信等の必要不可欠なサービスを提供しているため、制限期間中も事業を継続していた。セメント・建設事業も比較的早期に復旧し、国内旅行客を中心にホテル事業も回復してきている。

 

当社は、株主が引き続き安定して配当利回りを得られるようにする一方で、当グループが既存事業を最適に運営し、かつ、将来の投資に向けて柔軟性及び選択肢を拡大できるようにするため、キャッシュを保全し、2020年10月28日を権利日として、30株に対して1株の株式配当を宣言した。これは、年間平均株価0.89マレーシア・リンギットに基づく配当利回りの約3.3%に相当する。当社には、一貫した配当実績があり、1985年のブルサ・セキュリティーズへの上場以来、36年連続で株主に対する配当を宣言している。

 

地理的な多様化及び収益基盤の拡大を中心とし、必要不可欠なサービスを提供する規制された公共事業資産並びにセメント及び建設等の他の中核事業に注力するという当グループの展開する長期的な成長・発展戦略により、予測不可能な世界的事象に直面した際にも、当グループが制限された状況においても円滑に機能し、必要な保護及び安定を当グループに提供することで、今年度も好業績をあげた。

 

当社は、先行き不透明な時代において当グループを強化してきた慎重な財務管理に継続して取り組んでいく。当社の財務構造は、事業の独立した実行可能性を保証するリング・フェンス、ノンリコース・ベースで資金準備を維持し、買収資金を調達するという当社の長年の方針により、引き続き保護される。当社の規制された資産は、かかる財務構造を一層強化しており、事業活動からの配当の流入に加えて、時間の経過とともに増加する資産価値をもたらし、設備投資を最適化している。

 

当社は、当社株主に対する利益還元、当グループのバックボーンを形成する従業員の生活を保護し、世界に通用する製品及びサービスを競争力のある価格で顧客に提供し、当社が事業を展開している地域社会を発展させるために、これまでの実績をさらに向上させ、長期にわたり持続可能な投機的事業を確立していく。

 

③ 2020年度と2019年度との比較

1 売上高

当グループの当年度の売上高は、前年度の18,047.5百万マレーシア・リンギットに対して、1,130.9百万マレーシア・リンギット、すなわち6.3%増加し、19,178.4百万マレーシア・リンギットとなった。収益の増加は主に建設部門並びにセメント製造及び販売部門によるものである。

 

2 税引前利益

当年度の当グループの税引前利益は、前年度の1,036.5百万マレーシア・リンギットから419.3百万マレーシア・リンギットに減少した。これは59.5%の減少に相当し、主にすべての部門(建設部門並びに運用サービス部門及びその他を除く。)における収益減少によるものであった。

 

3 当グループへの課税

当年度の当グループへの課税は、前年度の315.2百万マレーシア・リンギットに対して414.6百万マレーシア・リンギットに増加した。税額の増加は、主に英国の法人税率を17%に引き下げる以前の法律が廃止され、2020年から2021年に係る当該税率が19%のままであることによるものであった。

 

4 少数株主持分

少数株主持分は、前年度の478.8百万マレーシア・リンギットから当年度の193.9百万マレーシア・リンギットヘと59.5%減少した。これは主にYTL REIT、SGREIT、及びYTLパワーグループからの収益減少によるものである。

 

5 税引後利益及び少数株主持分

当グループは、前年度の収益242.6百万マレーシア・リンギットに対し、当年度において189.2百万マレーシア・リンギットの税引前損失及び少数株主持分を計上した。これは主に、すべての部門における収益減少によるものであるが、建設部門において業績が改善したこと、並びに運用サービス部門及びその他においてSGREITの非連結化に係る一時的利益が計上されたことにより一部相殺された。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

(1)「業績等の概要」を参照のこと。

 

(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項には、将来予想に関する記述が含まれているが、これは当該事業年度終了時点での当社の予測又は見積りに基づくものである。

 

2020年初頭に発生したCOVID-19のパンデミック以降、世界中の企業がこれまでにない経営上の課題に直面し、当グループが事業を展開する国々では、さまざまな活動制限令が実施され、不要不急のサービスの運営が制限されていた。

 

しかし、当グループは、必要不可欠なサービスを提供する公共事業部門を運営するため、制限期間中も運営を継続していた。建設部門及びセメント部門は許可に従い段階的に再開され、事業は正常化したが、当グループの不動産部門及びホテル部門は、ホスピタリティ産業、小売業及び不動産業に対するパンデミック規制の影響を受け、回復が遅れている。

 

2020年度の当グループの収益は、前年度の18.0億マレーシア・リンギットに対し19.2億マレーシア・リンギットであり、税引前利益は、前年度の1,036.5百万マレーシア・リンギットに対し、当年度は419.3百万マレーシア・リンギットであった。

 

当社は、2020年10月28日を基準日として、30株の当社普通株式に対し1株の自己株式を配当することにより、当年度に係る株式配当を宣言した。

 

当グループの主要な公共事業部門において、英国の上下水道事業の収益の増加は、様々な気象条件に伴う供給量の変動によるものであったが、産業規制当局が設定した価格の下落により一部相殺された。税引前利益が減少した主な要因は、パンデミックの影響による顧客に対する売掛金の減損に係る引当金の増加及び価格の下落である。しかし、当該減損が認識された場合、英国の規制制度は、将来の関税に対して当該金額を回収することを認めている。

 

シンガポールにおける商業向けインフラ事業部門は、燃料油価格の下落及び販売電力量の減少により収益が減少したものの、燃料油の販売の増加により一部相殺され、税引前損失は、主に前年に認識された売掛金の減損に係る一時費用がなかったことに加えて、財務費用の減少並びに小売り及びタンクのリースに係る利幅の増加により縮小した。

 

マレーシアの契約発電部門の業績は、現行の買電契約に基づくパカ発電所からの供給により、安定的に推移した。一方、電気通信事業は、プロジェクト収入の減少により減収となり、税引前損失が増加した。

 

また、南オーストラリアの送電網を保有・運営するエレクトラネットの33.5%の持分及びインドネシアの1,220メガワット石炭火力発電所を保有するPTジャワ・パワーの20%の実効持分を含む、公共事業部門の少数株主投資も引き続き順調に推移した。

 

セメント製造及び販売部門は、主に当グループが2019年半ばに買収したMCBに起因して得た収益が増加した一方、税引前損失は、売掛金の減損に係る引当金の増加及びMCBの買収に関連した財務費用の増加が主因であった。

 

一方、当年度における建設部門は、現在工事中のゲマス-ジョホールバル間の電化鉄道の工事を中心とした建設工事の大幅な進展により、税引前利益の増加を実現した。

 

不動産投資開発部門では、SGREITの非連結化及び完成案件の販売減少に伴い減収となった。また、3オーチャード・バイ・ザ・パークに関連する完成住戸の販売減少及び適格証明書の延長手数料の減少並びにSGREITにおける投資不動産の公正価値損失の負担により、税引前損失が増加した。

 

ホテル事業部門の業績は、COVID-19のパンデミックに伴い厳しい状況及び混乱が生じたことにより、大きく影響を受けている。当グループの接客事業が展開されている国では、国境の封鎖及び集会の規模の制限をはじめ様々な措置が講じられ、MICE(会議・研修・セミナー、報奨旅行、学術会議・国際会議、展示会・イベント)活動に大きな影響を及ぼした。

 

当グループの運用サービス部門及びその他の収益は、主に当グループが事業を展開する多くの法域において金利が低下したことに伴う投資及び受取利息の減少が主因となり、減少した。税引前利益は、主にSGREITの連結除外に伴う一時的利益により増加した。

 

情報技術及び電子商取引関連事業は、継続的なパンデミックの影響を受け、コンテンツ及びデジタル・メディア部門の売上が減少したことにより、売上高は減少した。

 

新規開発及び成長機会

当グループは、2020年3月、シンガポールのトゥアスプリング・ピー・ティー・イー・リミテッドの発電所及び関連資産を総額331.45百万シンガポール・ドルで取得する契約を締結した。

 

完成後は既存事業に統合し、シンガポールでの発電能力を強化する。

 

ヨルダンでは、当グループが45%の持分を保有するAPCOが、554メガワットのオイル・シェール火力発電プロジェクトの建設を引き続き推進させた。

 

しかし、パンデミック発生後にヨルダン政府が課した外出・移動の制限により、プロジェクトは遅延した。APCOは、電力売買契約の下で不可抗力条項を発動したが、これは現在も有効である。

 

インドネシアの国有電気事業会社との間で30年間の電力売買契約を締結しており、当社が80%の持分を保有するインドネシアにおける2660メガワットの石炭火力発電プロジェクトについても、融資組成の完了に向けた取組みを継続した。

 

英国では、ブリストルのブラバゾンで年間278戸の住宅の最初の開発に着工した。ブラバゾンは、周辺に商業地及び住宅地が混在する新しい地区で、当グループとして英国の不動産部門への初進出となる。当グループは、ブリストルを事業地域の一部とするウェセックス・ウォーターを買収して以来、2002年以降バース近郊に本社を置くため、この地域に深く精通している。

 

また、ブラバゾン格納庫におけるYTLアリーナ計画も今年承認され、マンチェスター、ロンドンに次ぐ英国第3位の規模となる17,080人収容のライブエンターテインメント会場となる。

 

当社は、現在進行中のCOVID-19のパンデミックの影響を緩和するために多大な労力を費やし、事業への影響を最適に管理し、価値ある成長機会を追求するために積極的に開発に取り組んできた。厳しい見通しにもかかわらず、当グループは、各部門の事業が本質的に必要不可欠であることから、業績が回復力を維持することを見込んでおり、すべての事業部門に係るリスク及び影響に引き続き注視していく。

 

目標及び戦略

当グループは、株主価値を最大限にし、長期的に実行可能かつ持続可能な堅固な事業を構築及び運営することを目標に、規制された公共事業資産及びセメント、建設、不動産開発及びホテル経営のコア・コンピテンシーに関連するその他の事業に注力しながら、国内外における未開発地域の開発及び戦略的買収を通じて自らの収益基盤の地理的多様化及び拡大を追求している。

 

また、当グループは、その収益の大部分を利権・認可に基づく規制された様々な公共事業資産の運営から得ており、これにより、当グループは、マレーシア国内外において、安定した利益をあげ、不安定な経済及び変化する事業状況から生じる下方リスクを軽減することができている。

 

当グループの戦略の主な要素は、以下で構成されている。

 

・ 特に、規制された公共事業の分野における未開発地域の開発及びマレーシア国内外における戦略的買収を通じた当グループの収益基盤の多様化及び拡大 当グループは、長期の利権に基づき運営している規制された資産及びそのコア・コンピテンシーに関連するその他の事業を取得する戦略を追求している。当グループの規制された公共事業は、継続的な成長を示しており、その資産のうち規制された資産の価値は時間の経過とともに増大している。かかる分野における当グループの既存の海外事業は、引き続き安定した利益を生んでおり、海外での買収は、所得の流れを多様化し、当グループが各国及び各業界に固有のリスクを回避できるようにしている。

 

・ 当グループの中核事業の成長及び強化 事業を成長させるための当グループの戦略は、当グループのコア・コンピテンシーである専門性を活用することである。特に、(発電市場及び売電市場における)発電事業、上下水道事業、商業向けインフラ事業、通信、建設契約、不動産開発及び投資、セメントその他の工業製品及び必需品の製造、ホテル開発及び経営(レストランの経営を含む。)、インターネット事業に関するコンサルタント・サービス、インキュベーション・サービス及びアドバイザリー・サービス、インターネットに基づく教育ソリューション及びサービスの提供の分野において専門知識を活用することを試みている。

当該戦略を実行するにあたり、当グループは、事業の長期的な持続可能性及び実行可能性を確保するために、ガバナンス、コンプライアンス及び事業の経済的・環境的・社会的影響の管理に重点を置いている。

 

・ 当グループの資本構造の継続的な最適化 当グループは、デット・ファイナンス及びエクイティ・ファイナンスの組み合わせを最適化し、買収の機会に投資するための内部資金及び外部金融の利用可能性を確保することにより、バランスの取れた財政構造を維持している。当グループの成長戦略の重要な要素は、その買収及び未開発地域事業の負債要素を、ノンリコースの融資で賄う慣行である。これにより、当グループが、単体で商業的に実現可能な事業にのみ投資を行うことが保証されている。

 

・ 当グループの事業収益を最大化し、顧客基盤を拡大するための運営効率の向上 当グループは、そのセメント工場及び発電所が、平均して、それぞれの業界の最高効率水準の範囲内で運営されていると確信しており、新しい技術、生産技術及び情報技術の適用を通じて、可能な限り運営効率を一層高めている。

 

財務業績の評価

 

当グループの財務業績

当グループは、前年度の18,047.5百万マレーシア・リンギットの収益に対して、当年度は19,178.4百万マレーシア・リンギットの収益を計上した。収益の増加は、主に建設部門セメント製造及び貿易部門によるものであった。

 

当グループは、前年度に計上された1,036.5百万マレーシア・リンギットに対して、当年度について、419.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益を計上した。

 

また、2020年6月30日現在の繰延税金残高の再測定により、一時繰延税金費用として162.4百万マレーシア・リンギットが確認され、当年度の税引後利益が4.7百万マレーシア・リンギット減少する要因となった。これらの費用は、英国の法人税率を17%に引き下げた以前の法律が廃止された後、2020年から2021年にかけて当該法人税率が17%から19%に上昇したことによるものである。

 

当グループの海外事業は、当グループの収益及び非流動資産のそれぞれについて、前年度の68.1%及び78.8%に対して、当年度は約61.3%及び71.8%を占めており、引き続き当グループの収益及び非流動資産の最大の割合を占めている。

 

部門別の財務業績

 

 

 

 

 

部門別収益

部門別税引前利益/(損失)

 

2020年度

2019年度

2020年度

2019年度

 

百万マレーシア・リンギット

公共事業部門

10,275.1

11,367.2

233.6

625.3

セメント製造及び販売部門

4,095.2

2,674.3

(2.4)

145.4

建設部門

2,316.0

1,219.5

194.7

80.5

不動産投資開発部門

995.2

1,103.3

(282.8)

(8.8)

ホテル経営部門

1,121.7

1,223.4

96.6

176.6

運用サービス部門及びその他

371.7

456.0

179.6

14.9

情報技術及び電子商取引関連部門

3.5

3.8

2.6

 

19,178.4

18,047.5

419.3

1,036.5

 

公共事業部門

公共事業部門は、前年度の11,367.2百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は10,275.1百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の625.3百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して233.6百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

収益及び利益の減少は、商業向けインフラ事業の増益により一部相殺されるが、上下水道事業の減益及び通信事業部門の損失を主因とする。

 

公共事業部門は、引き続き当グループ最大の事業部門であり、収益及び税引前利益のそれぞれについて、前年度の63.0%及び60.3%に対して、当年度は53.6%及び55.7%を占めている。

 

セメント製造及び販売部門

セメント製造及び販売部門は、前年度の2,674.3百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は4,095.2百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の145.4百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は2.4百万マレーシア・リンギットの税引前損失をそれぞれ計上した。

 

収益の増加は、MCBの統合を主因とする。一方、税引前損失は、MCB買収に伴う売掛金の減損に係る引当金の増加及び財務費用の増加を主因とする。

 

当年度について、セメント製造及び販売部門は、当グループで第二位の事業部門であり、収益について、前年度の14.8%に対して、当年度は21.4%を占めている。

 

各部門の状況

 

公共事業部門(契約)発電事業

・YTLPG

YTLPGは、1994年、マレーシア初のIPP(独立系発電事業者)となり、2015年9月30日に契約期間が満了となった21年間の電力売買契約に基づき事業を営んでいた。その後、YTLPGは、マレーシア・エネルギー委員会が募る短期発電容量の入札に基づき、パカ発電所から電力供給を行うプロジェクトを受注した。

 

パカ発電所からの電力供給は、2021年6月30日までの3年10ヶ月の間(当初の落札期間の2年10ヶ月から12ヶ月の期間延長)、585メガワットの電力供給を行うことについて、YTLPGとテナガ・ナショナル・バーハッドの間で締結された新たな電力売買契約(「PPA」)に基づき2017年9月1日に再開された。発電所の運営管理(「O&M」)は、当社の完全子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・サービシズ・センドリアン・バーハッド(「YTLPS」)が行っている。

 

パカ発電所は、当年度中、PPAに基づくすべての性能保証を引き続き充足し、2,146ギガワット時の正味発電出力を生成した。当年度中、発電所の2基の発電機、GB1及びGB2はそれぞれ、98.91%及び99.84%の信頼度因子並びに53.14%及び38.27%の負荷因子を実現した。

 

・タンジュン・ジャティ・パワー

当グループは、インドネシアのジャワ島における2×660メガワットの石炭火力発電プロジェクト、タンジュン・ジャティAの開発を手掛ける独立系発電事業者であるタンジュン・ジャティ・パワーの株式持分を80%保有している。

 

タンジュン・ジャティ・パワーは、インドネシアの国有電気事業会社であるPT PLN(ペセロ)(「PLN」)との間に、(発電所の商業運転開始日に開始する)30年間の電力売買契約を有しており、その第2修正・更改版が2018年3月に締結された。2020年2月、タンジュン・ジャティ・パワーは、インドネシア財務省から事業実現性保証書(Business Viability Guarantee Letter)を取得し、融資の組成完了に向けて進行中である。

 

・APCO

YTLパワーは、ヨルダン・ハシミテ王国において、554メガワットの山元オイル・シェール火力発電プロジェクトを展開しているAPCOの株式持分を45%保有している。

 

APCOは、ヨルダンの国有事業会社である国営電力会社(「NEPCO」)との間で、発電所の電気容量及びエネルギー全体について、NEPCOが契約期間を(プロジェクトの2基目の設備の商業運転開始日から)40年に延長する選択権付きの30年間(3年半の建設期間を含む。)の電力売買契約を締結した。

 

第1基は今年半ばに、第2基は今年第4四半期に、それぞれ営業運転を開始する予定で工事が開始された。

 

しかし、世界的なCOVID-19のパンデミックに伴い、ヨルダン政府が外出・移動を制限したため、当該工事は延期された。APCOは、NEPCOとの電力購入契約において不可抗力条項を発動したが、COVID-19の影響は継続しているため、当該条項は引き続き有効である。

 

554メガワットのオイル・シェール火力発電所は、運転開始時には、発電総量の約15%に相当する、ヨルダン原産のオイル・シェール資源を活用するヨルダン初の発電所となる。これは、ヨルダン国内の発電に用いる石油製品の輸入を縮小し、また、その開発は、ヨルダン政府が掲げるエネルギー自立促進の達成に向けての重要な布石である。

 

APCOは、YTLパワー(45%)、中国の広東能源集団(45%)及びエストニアのエスティ・エネルギアAS(10%)に間接的に所有されている。

 

(商業向け)インフラ事業

TLパワーは、スチーム・タービン式発電設備、コンバインド・サイクル式発電設備及び熱併給コンバインド・サイクル式発電設備から成る3,100メガワットの認可発電総量を有するシンガポールのエネルギー会社であるYTLパワーセラヤの持分を100%保有している。YTLパワーセラヤは、シンガポールの石油、ガス及び石油化学製品の拠点であるジュロン島に所在し、発電及び電力の小売りのほか、ユーティリティの供給(スチーム、天然ガス及び水)、石油貯蔵タンクのリース並びに石油取引及びバンカリングから成る他の商業向けインフラ事業の運営をも中核事業とする総合エネルギー会社である。

 

2020年度において、YTLパワーセラヤは、8,028ギガワット時の電力を販売したが、発電量の市場占有率は、前年度に比べ2.5%減少した。卸電力市場では、発電能力の供給過剰による競争激化に加え、今年4月7日から6月1日まで、COVID-19のパンデミックに対応した「サーキット・ブレーカー」措置を講じた。感染の普及を抑えるために不要不急なサービスを提供する公共施設及び職場が閉鎖され、シンガポールにおける電力需要は減少した。

 

同部門が達成した成果としては、コンバインド・サイクル式及び熱併給式の発電設備の全般及び定期的な整備点検が予定どおり完了したことが挙げられる。これらの発電設備全体のパフォーマンスは、信頼性及び稼働率の増加により、前年と比べそれぞれ0.7%及び1.4%の大幅な改善が見られた。信頼性の向上は、今後も発電設備が高い信頼性で運転できるようにするための主眼である。

 

当グループは、品質、環境及び安全衛生並びにサイバー・セキュリティー管理システムについて高い水準を維持することに引き続き重点を置き、当年度において、ISO9001、ISO14001、ISO45001及びISO27001の各認証も無事更新された。

 

YTLパワーセラヤの小売部門のGenecoは、小売電力市場(商業・工業部門の競合可能な消費者で構成される。)の約13.3%(システムの総需要に対する小売量の割合に基づいて計算される。)を占め、2020年度の売上高は、6,581ギガワット時となった。

 

Genecoは、小売電力事業に加えて、ガス及び蒸気の供給を含む多様な製品を誇り、商業及び産業分野の顧客に包括的なビジネスソリューションを提供している。総合エネルギー小売業者は、当グループの収益源を補完する新たなビジネスチャンスを引き続き模索する。

 

プラウ・セラヤ発電所における当グループ初の太陽光発電プロジェクトでは、100%地域で発電された太陽光電力を提供したほか、Genecoでは住宅・企業顧客に再生可能エネルギー証書(REC)を発行し、環境への貢献を支援している。Genecoは、認証カーボンユニット(VCU)製品とともに、グリーン・エネルギーの利用を検証し、顧客に代わって温室効果ガス排出量を相殺することができる。Genecoを持続可能なエネルギー供給者として選択した住宅・企業・法人の顧客数は、グリーン・エネルギー・オプションの開始以来、着実に増加している。Genecoは、単なる小売電力事業者ではなく、常に業界の動向及び最新のエネルギーソリューションを顧客に提供する方法を模索し、顧客に優れたサービス及び価値を提供することに継続して取り組んでいく。

 

同部門の通商及び燃料管理部門であるペトロセラヤ・プライベート・リミテッドは、石油業界及びCOVID-19パンデミックが直面する困難にもかかわらず、辛うじて安定した業績を収めた。同社は、7.67百万メートルトンの燃料石油及びディーゼル燃料を取り扱った。ターミナルに停泊した燃料船及び貨物船の隻数は、前年度の1,086隻に対し、当年度は656隻となり、停泊所の平均利用率は、33.2%となった。

 

これらの各数値の低下は、主に、困難な経済状況に起因するものである。今後当グループは、業績を強化するため、タンクのリース及び燃料管理の活動の強化に引き続き注力するほか、突堤及び石油ターミナル業務の最適化も吟味する。

 

今年、YTLパワーセラヤは新しいプラットフォームへの移行計画を実行し、スタッフ間の連携及びデジタル化をより手厚くサポートし、組織内でのデジタル化及びオンライン上の連携を促進してきた。2020年3月31日に稼働した新しいプラットフォームは、デジタルプラットフォームの採用に向けたスタッフの貢献も促し、発電データの一元化されたライブラリである発電技術情報ライブラリ(GENTIL)の創設を可能にした。

 

同部門は、今後、デジタル化及び自動化並びにサイバー・セキュリティーに係る分野にも注力し、従業員の採用を拡大していく。また、企業のバリューチェーンの連携を強化するためのデータ分析技術も重要な焦点であり(各種グループを通じて開発される。)、従業員がより多くの情報に基づいたビジネス上の意思決定をより効率的かつ正確に行うことを可能にする。

 

上下水道事業

英国では、YTLパワーは、英国南西部の約10,000平方キロメートルに及ぶ地理的地域(ドーセット、サマセット、ブリストル、ウィルトシャーの大部分並びにグロスターシャー及びハンプシャーの一部を含む。)で2.8百万人の顧客を相手にしている地域の上下水道事業であるウェセックス・ウォーターの株式持分を100%保有している。ウェセックス・ウォーターは、英国の水道業界の経済規制当局である水道事業規制局(通称:Ofwat)に規制されており、英国政府の任命書に基づき、英国南西部の営業地域からの上水の供給及び下水の処理を許諾されている。

 

当年度、ウェセックス・ウォーターは、Ofwatの新しい顧客満足度測定(C-MeX)調査において上下水道会社の中で第2位となり、顧客サービス分野で再びトップの成績を収めた。同部門は、英国政府からの最優秀顧客サービス賞、インクルーシブ・サービスの提供に関する英国規格(BS 18477)、キープ・ミー・ポーステッド賞及びラウダー・ザン・ワーズのチャーターマークを保持するとともに、英国インスティテュート・オブ・カスタマーサービスのサービスマークにおいて引き続き殊勲を立てた。

 

COVID-19危機を通じて、ウェセックス・ウォーターは、制服をより頻繁に洗濯するよう要求された1万人以上の国民医療保険(NHS)労働者にリベートを提供することに加え、顧客に対する通常業務のサービスを続け、困窮している人々を支援した。また、同社は、自社の戦略として、経済的に不安定な立場にある顧客に、サービスを提供する努力を取り続けた結果、債務について支援を受けている低所得顧客は9%増加し、プライオリティー・サービスの登録者も67%増加した。

 

ウェセックス・ウォーターは、上下水道会社の中で苦情件数が依然として最も少なく、当年度は請求額に関する苦情が4%減少し、苦情の95%を初回で解決した。同部門では、顧客が同社のサービスに、有名企業のサービスと同様に満足していることを確認するにあたり、英国インスティテュート・オブ・カスタマー・サービスの調査において、2025年までに英国サービス提供会社の上位20社に入ることを目標としている。法人顧客は、2016年から2017年以来、上下水道サービスの小売業者を選択できるようになり、現在22の小売業者がウェセックス・ウォーターの営業地域で活動している。同社の卸売サービスチームは、小売業者及び顧客体験の向上に引き続き注力している。市場開放以来、同社の業績基準及び市場実績基準はいずれにおいても改善しており、現在では94%を超える水準に達している。

 

ウェセックス・ウォーターは、英国環境庁の年間環境パフォーマンス評価(EPA)において、「一流(leading)」と評価され、汚染事故が76件に減少し、自己申告の事故件数が全事故件数の85%に増加した。当年度、海水浴場の96%は、厳格な環境基準に合格したが、海水浴場2箇所(ウェストン・スーパー・マール・アップヒル・スリップウェイ及びバーナム・ジェッティ)は、引き続き基準に満たない水質と評価された。

 

ウェセックス・ウォーターは、顧客に高品質の飲料水を供給することに引き続き取り組んでおり、2019年の飲料水基準の全体の遵守率は99.97%であった。

 

2019年度から2020年度の水圧容量以外の問題による内部浸水被害件数は146件であり、当部門が目標としていた207件を下回った。英国では2月に記録的な大雨に見舞われ、秋には観測史上5番目に雨量が多かったにもかかわらず、水圧容量の不足により内部浸水が発生したのは2件のみであった。このように、ウェセックス・ウォーターの業績は、業界で最高水準を維持している。西ブリストルでは、既存の洪水問題に対処し、新たな開発に対応するために、60百万ポンドをかけて、を提供する全長14キロメートルのトンネルであるトリム下水道の建設工事が開始された。当該工事は、2023年に完了する予定である。

 

同社は過去5年間で、下水道管路網の貯水容量の増加及びカニングストンのウォーターリサイクルセンターでの高度処理(紫外線殺菌)等、当該地域の改善に39百万ポンドを投資した。

 

ウェセックス・ウォーターの持続可能性目標の一つは、2030年までに運営上の炭素排出量について実質ゼロを達成することである。2019年から2020年の温室効果ガスの正味排出量は、二酸化炭素換算で117,000トンに減少し、10年前に遡る減少傾向を続け、1997年の報告開始以来、同社において最も低い運営上の二酸化炭素年間排出量となった。これは、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギー発電及び英国のグリッド電力における二酸化炭素排出量の急速な減少の相乗作用により達成された。

 

電気通信事業

YTLパワーは、国家全域に及ぶ4G LTE無線ブロードバンド・プラットフォームのYESを所有及び運用するYTL Commsの株式持分を60%保有している。2010年末にYESを立ち上げて以来、YTL Commsは、マレーシアの電気通信業界において革新リーダーとして潮流を生みだしており、マレーシアにおいて最初で唯一のピュアIP及びピュア4Gネットワークとして確固たる基盤を築くことから開始した。YESネットワークは、最速の4Gアクセシビリティ及び全国民にとって最も手頃な価格にすることで、均等な機会を提供し、すべてのマレーシア国民をデジタル経済の新時代に導いた。

 

マレーシア政府が発表したナショナル・デジタル・ネットワーク(JENDELA)は、国の通信標準を引き上げるための国家インフラ計画であり、YTL Commsの展望及びマレーシアの業界を牽引する独自の役割を実証した。JENDELAの下での重要な指令は、2021年末までに3Gネットワークを終了することである。他の通信事業者は3Gネットワークの廃止に伴う業務に忙しくなる中、YTL Commsの未来対応型YESネットワークは、国内で唯一のピュア4G通信事業者として、より良い接続性及び今日のデジタル化のニーズの国内における高まりに応える態勢にある。

 

COVID-19の発生は、世界中の人々の生活を混乱させた。感染の拡大を阻止するための活動制限令 (「MCO」)の発動を受け、YTL Commsは直ちにYTL財団と協力し、全国民が自宅に留まり、自宅から学ぶことを支援する初の試みであるCSRプログラムを立ち上げた。低所得世帯の多くは、子どものためのデバイスさえ持っていないというフィードバックに基づき、同部門は、直ちにプログラムの新たな段階に進み、自国の貧窮者を支援するために、無料のデータ及び電話サービスを備えた無料のスマートフォンを提供した。

 

CSRプログラムの「ラーン・フロム・ホーム」は絶大な注目を集め、若いユーザーの次世代全体の生活を向上させた。YTL Commsは、これまでに100,000台以上の無料4Gスマートフォンを提供し、YESネットワークを利用した一流のデジタル学習環境を提供してきた。

 

同部門は、YTL Commsを7年連続で手頃な価格帯の業界リーダーの地位につけ、18か月連続で申込みベースで2桁台の純益の増加を記録した。

 

YTL CommsのピュアIP及びピュア4Gネットワークの強さは、エンタープライズ・ビジネスにおいてさらに重要な意味を持っている。デジタル化のペースが加速する中、YTL Commsは、次世代のモノのインターネット・オブ・シングス(IoT)ソリューションを全国的に普及させるための完全なソリューション提供能力を備えたエンド・ツー・エンド・サービスのプロバイダーとして、独自の地位を築いている。高度に拡張可能で、かつ、安全なプライベートクラウドは、社内のデバイス・エンジニアリング及びシステム開発並びに統合能力と共に、ミッションクリティカルなIoTソリューションにとって不可欠である。同部門は、第4次産業革命時代に地元企業が勝ち抜くことを支援するために、マレーシアの盟主としての地位を確立することに注力する。

 

YTL Commsは、「イエスと言えば驚くべきことが起こる」(Amazing Things Happen When You Say Yes)という信念を常に掲げてきたブランドとして、今後も農村部及び都市部のコミュニティ間の情報格差を解消する橋渡しとして重要な役割を果たし、マレーシアの本格的なデジタル経済への移行においても主導的な役割を果たしていく。

 

セメント製造及び販売部門

マレーシア事業

YTLセメント・グループは、MCBの株式の過半数を取得したことにより、マレーシア事業を拡大した。YTLセメント・グループは現在、マレーシアを代表する建築資材グループとして、顧客にエンド・ツー・エンドの建築ソリューションを提供している。半島マレーシア全体に、5基の一体型セメント工場、100基の生コンクリートコンバッチ工場、16か所の採石場、2基のドライミックス工場、2基の研磨基地、2基のセメント・ターミナルから成る最も包括的なネットワークを保有している。これらの施設は、顧客にサービスを提供できるように道路、鉄道及び海路で結ばれている。

 

当グループのコンストラクション・デベロップメント・ラボラトリー(CDL)は、マレーシアを代表する建築資材の研究開発センターであり、刻々と変化する建設ニーズに対応する革新及び製品開発に注力している。

 

シンガポール事業

当グループのシンガポール事業は、2019年のジュロン・セメント・リミテッド(「ジュロン・セメント」)(旧ホルシム(シンガポール)リミテッド)の取得により拡大した。ジュロン・セメントは、2つのセメント・ターミナル設備及び1つのドライミックス・モルタル工場を運営しており、セメント及びドライミックス・モルタルを含む建材の供給に携わっている。YTLセメント・グループは、現在、シンガポールの大手セメント供給業者となっている。当グループのセメント・ターミナルは、国内最大の貯蔵、混合及び出荷能力を備えている。

 

ベトナム事業

フィコ・タイ・ニン・セメント・ジョイント・ストック・カンパニー(「Fico-YTL」)は、ベトナム南部に3基ある一体型セメント工場のうちの1基であり、ホーチミン及びメコンデルタ地域への主要なセメント供給業者である。Fico-YTLは、優れた製品力及びコスト管理の取組みにより、好調な業績を達成し、当年度においても安定した収益性を維持した。1基の一体型セメント工場及び2基の研磨基地は、年間2.3百万トンのセメント生産能力を有する。

 

中国事業

中国における当グループの工場は、杭州市場の大手供給業者の一つである。かかる地域において、最も環境に優しく持続可能な工場の1つである。

 

ミャンマー事業

当グループのセメント研磨工場は、ミャンマーのティラワ経済特区に位置する。ヤンゴンの深海港に隣接するその戦略的な位置を活かし、ミャンマーの商業ハブ及び周辺地域にサービスを提供している。同工場は、大規模なインフラ開発をはじめとするミャンマーの建設ニーズを支えている。

 

建設部門

当年度において、ゲマス-ジョホールバル間の電化鉄道線の工事が継続して実施された。SPYTLは、合弁事業のパートナーであるSIPPレイル・センドリアン・バーハッドと共に、ゲマスからジョホールバルまでの電化複線化プロジェクトの設計、建設、供給、設置、完成、検査、試運転及び保守管理を行う現地の下請業者に任命された。

 

なお、COVID-19の普及の抑制を目的として2020年3月18日に発動されたMCOに伴う工事の中止により、当該プロジェクトの完成日は2022年10月まで1年間延長されたが、予算超過は生じていない。

 

ゲマスとジョホールバルを結ぶ鉄道プロジェクトに参加するすべての当事者(11社のSIPP-YTLジョイントベンチャーの下請業者及びコンサルタントを含む。)は、それぞれの選挙区のジョホール議員及び国会議員と協力し、パンデミックの発生により影響を受けたB40グループのための資金を調達するために参加し、困窮者に対して資金、食料品、何千枚ものマスクの配布を支援した。

 

恵まれない人々及び医療従事者の約1万人に食事が提供されたほか、未亡人及び退職者で構成されるジョホール州警察コミュニティの200人に必需品及び食料品が提供され、路上及びプロジェクトの現場近くで勤務中の警察官に軽食及びイフタール食が提供された。また、SPYTLは、YTL財団と協力し、ジョホール州の病院で使用するための3つの人工呼吸器をヤヤサン・スルタン・イブラヒム・ジョホールに寄贈した。

 

ゲマスとジョホールバルを結ぶ鉄道は、世界的な鉄道インフラを整備するためのマレーシアの構想の新たな重要な要素となることが予想される。197キロメートルの複線路線、駅、電気車両、車庫、陸橋、鉄道信号橋、電化システム及び信号システムで構成される新しい鉄道は、完成時には、ゲマスとジョホールバル間の移動時間をわずか90分に短縮する。

 

同プロジェクトは、移動時間の短縮及び交通渋滞の緩和を目的とする、マレーシア運輸省の電化複線化プロジェクト(「EDTP」)の重要な部分である。EDTPにおける電気機関車の使用は、陸上輸送又は空輸に比べ、短縮された移動時間及び削減された燃料費により、サービスの頻度及び有効性を高めることで、地方の事業、配送サービス及び貨物サービスに利益をもたらすことが予想される。同プロジェクトは、危険廃棄物を排出せず、燃料消費量を削減する電気機関車の使用から生じる環境面の利益ももたらすことになる。また、クアラルンプールのブリックフィールズにあるジャラン・トゥン・サンバンザン通り沿いには、30階建てのオフィスビル(ショップ及びフードコートを含む。)を建設中であり、2022年に完成予定である。

 

不動産投資開発部門

不動産開発

・スントゥル

スントゥルの都市再生は、YTL L&Dの完全子会社であるスントゥル・ラヤ・センドリアン・バーハッドが、クアラルンプールのスントゥルにおける294エーカーの自由保有開発地区を対象とするスントゥル・マスタープランに基づき請け負っている。

 

当グループは、スントゥルの豊かな歴史、天然資源及び既存のインフラを最大限に保護するとともに、新規開発による機会を最大限に活用するよう努めてきた。遺産を活用することで、当グループは、優れた建築・建設ソリューションだけでなく、独自のスキル及び専門知識を必要とする建設に関わる保護において、革新的なコンセプトを創造し、経験を豊かにする貴重な機会を得ている。

 

国内の不動産市場は依然として弱気であったが、COVID-19のパンデミックの発生によりさらに悪化したため、当グループは、当年度において も、スントゥル特有の遺産の保護に重点を置いた刺激的な広告要素によって、スントゥルの魅力及び活気を一層高めることに引き続き注力した。

 

また、当グループは、当年度中、スントゥル・ワークスの事業を順調に前進させた。スントゥル・ワークスでは、かつて英国の鉄道本社であった壮大な植民地時代の構造を修復及び再開発している。スントゥル・ワークスは、緑豊かな公園に囲まれた新旧を並置するデザインを通じて、都市生活者のために全く新しい就労経験を生み出すことを目的としている。

 

4階建てのビルは、延床面積が約40,000平方フィートで、企業及び地域の事務所、並びに、スタートアップ企業の起業家及びコワーキング・スペースの経営者に適した自然遺産のブティック・オフィスに再利用されている。スントゥル・ワークスの手を加えていない素朴な雰囲気は、若い労働者、特に新奇性及び他に類を見ないオフィス環境からインスピレーションを得たいミレニアル世代にとって理想的な環境である。

 

また、これらのプロジェクトは、スントゥルの居住適性及び接続性を一層高めることになるMRT線2の下に開業予定のスントゥル・ウェスト駅からだけでなく、スントゥルKTMコミューター駅に隣接し、スントゥル駅及びスントゥル・ティムールLRT駅の徒歩圏内にあるという点で、スントゥルの優れた鉄道連絡網から恩恵を受けることになることが予想される。

 

進行中のプロジェクトには、スントゥル・イーストのd5、d2及びd8商業開発が含まれる。

 

・カメリア

カメリアは、YTL L&Dの完全子会社であるPYPセンドリアン・バーハッドが請け負っている。カメリアは、パカタン・ジャヤ・イポーの緑豊かな地区に位置する安らぎの2階建て現代住宅である。同住宅は、若年夫婦や育ち盛りの子供のいる家族のニーズを完璧に満たすものである。広く、綿密に設計された住居は、その至るところまで良質な生活空間であり、現代生活の本質を捉えている。

 

同開発は、108戸のテラスホームを構成している。標準的な区画面積は、20フィート×75フィートであり、5フィートの裏庭がある同開発は、2019年末に完成している。

 

・3オーチャード・バイ・ザ・パーク

当グループの3オーチャード・バイ・ザ・パーク・プロジェクトは、YTL L&Dの完全子会社であるYTLウェストウッド・プロパティーズ・プライベート・リミテッドが請け負っている。

 

当グループは、当年度においても、有名なオーチャード大通りのブティック型の自由保有権付高級マンションに係る販売促進に努めた。

 

有名な10区にあり、世界的に有名なオーチャード大通りのショッピング街に隣接する3オーチャード・バイ・ザ・パークは、77戸の自由保有高級住宅が申し分なく集結している。3オーチャード・バイ・ザ・パークは、近く開業予定のオーチャード大通りMRT駅の隣に位置し、シンガポール植物園から徒歩圏内である。同住宅は、セントレジス、フォーシーズンズ、リージェント・シンガポール等の国際的に有名なホテル及びカムデン・メディカル・センター、グレンイーグルス・ホスピタルを含む医療センターにも近接している。

 

シンガポールの優秀な不動産業者及び市の発展のために設定した業界基準を表彰するジ・エッジプロップ・シンガポール・エクセレンス・アワーズ2019において、3オーチャード・バイ・ザ・パークは、6つの賞を受賞した。YTL L&Dは、数々の部門(デザイン・エクセレンス・アワード(デベロッパー・アーキテクト)、ピープルズ・チョイス・アワード、トップ・ディベロップメント・アワード、トップ・ラグジュアリー・デベロップメント・アワード、トップ・ブティック・デベロップメント・アワード)で最優秀賞を受賞し、授賞式におけるトップ受賞者の一社であった。

 

・ブラバゾン

英国のブリストルに位置するブラバゾン開発は、YTLパワーの完全子会社であるワイ・ティー・エル・デベロップメンツ(UK)リミテッドが請け負っている。

 

フィルトン空港の跡地に位置する同開発は、354エーカーの商工業地域に広がり、完成時には、住宅地、オフィス地、多目的のタウン・センター、新しい学校、医師・歯科医の診療所、レクリエーション用のスペース、スポーツ及びレジャー施設、コミュニティー・センター及び学生用住居が含まれる予定である。

 

2019年9月にブラバゾン開発の第一段階として278の新しい住宅地の建設が着工された。世界的に有名な地元の建築家フェイルデン・クレッグ・ブラッドリー氏が設計した1ベッドルーム及び2ベッドルームのアパートメント並びに2ベッドルーム、3ベッドルーム及び4ベッドルームの住宅には、広々とした部屋、特大の窓、2階分の高さを誇る天井を備えているものもある。

 

同プロジェクトは、英国で最も権威のある住宅開発賞である2020ハウジング・デザイン・アワーズの最終選考に残り、英国王立公認不動産鑑定士協会(RICS)、英国王立建築家協会(RIBA)、英国王立都市計画協会(RTPI)、英国景観協会、公認建築技術者協会をはじめとする主要な不動産専門機関から支持を受けている。

 

また、2020年3月には、フィルトン飛行場のブラバゾン格納庫に設置される最大17,080人収容できるYTLアリーナの建設を進めるために必要な承認を取得した。2023年に完成予定のYTLアリーナは、ブリストルが世界的なライブ音楽やエンターテイメントのステージとして、英国で3番目に大きなアリーナになることが期待されている。

 

YTLアリーナは、M4及びM5の高速道路並びにブリストル・テンプル・ミーズ駅から車で10分以内の場所にあり、ロンドンまで1時間10分である。ブラバゾン開発では、新しい主要な輸送インフラでブリストルと接続される予定であり、ブラバゾンの新しい鉄道駅とブリストル・テンプル・ミーズを結ぶ一方で、メトロバスのルートとしてクリブス・コーズウェイ及び市の中心部に接続し、新しい歩道及び自転車専用道路も提供する。

 

不動産投資

当グループは、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、日本及び中国で小売店舗やオフィス不動産を所有しているSGREITの実効持分を36.74%保有している。SGREITの運用会社であるSGREITマネジメント・リミテッドは、当グループの完全子会社である。SGREITの不動産ポートフォリオには、シンガポールのニー・アン・シティ及びウィスマ・アトリアの株式、オーストラリアのデービット・ジョーンズ・ビルディング、プラザ・アーケード及びマイヤー・センター、マレーシアのスターヒル・ギャラリー及びロット10ショッピング・センター内の区画、東京のブティック型の商業施設並びに中国の商業施設が含まれる。

 

SGREITの不動産ポートフォリオは、2020年6月30日現在、29.4億シンガポール・ドルと査定され、2019年6月30日時点の30.6億シンガポール・ドルに比べ減少したが、主因は、COVID-19のパンデミックの影響に伴う小売部門の弱い見通しを踏まえた、パッシング・レント及びマーケット・レントの減少にある。当該REITの不動産あたりの配当は、前年度の0.0448シンガポール・ドルに対し、当年度は0.0296シンガポール・ドルであった。

 

ホテル経営部門

今年、世界的なCOVID-19のパンデミックが発生した後、世界中のホスピタリティ及び観光産業部門は、MICE活動に深刻な影響を与えた外出制限、国境の閉鎖及び物理的距離の確保等の措置をはじめ、前例のない課題に直面した。

 

YTLホテルグループは、戦略的な計画を通じて、パンデミックの商業的影響を軽減するための緩和策を講じてきた。不要不急な設備投資の遅延を含め、当グループの事業においてコスト管理手続が実施された。閉館中のホテルからリゾート及び他のホテルにスタッフを再配置する等、経費を効率化した。パンデミックの影響は、政府の各種支援策によりある程度軽減された。

 

リッツ・カールトン・クアラルンプールは、MCOの発動中も営業し、当ホテルが誇るサービスを宿泊者に継続して提供した。当グループのマレーシアにおけるホテルの多くは、法規制の変化及びCOVID-19への新たな対応により非常に厳しい状況の中、回復のためのMCOを受けて営業を再開した。国境が封鎖されていたため、国内旅行者の獲得を目的とした各種プロモーション及びパッケージが展開された。パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート及びキャメロン・ハイランズ・リゾートは、6月以降、順調な稼働率を記録しており、政府の規制の範囲内でほぼ稼働している。サバ州の状況が注視されており、ガヤ・アイランド・リゾートは閉鎖されたままである。

 

ザ・リッツ・カールトン・クアラルンプール、ホテル・ストライプス・クアラルンプール、ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプール及びACホテル・クアラルンプールは、週末のステイケーションの予約が好調である。食品・飲料事業は、新規制の範囲内で戻り始めている。世界的な航空規制の影響を受けているため、コーポレート市場の回復はさらに遅れる見込みである。

 

ACホテル・クアンタンの事業は通常に戻りつつある一方、ACホテル・ペナンは週末のステイケーションで利益を得ている。JWマリオット・クアラルンプールは、今年12月の新しいスターヒル・ダイニングの開店に合わせて再開する予定である。今後も課題は山積しているが、当グループは、引き続き柔軟性を維持し、用心深さを維持しつつもも楽観的な姿勢を崩さない構えである。

 

ゲインズバラ・バス・スパ、ザ・グラスハウス・ホテル・エジンバラ、モンキー・アイランド・エステート、スレッドニードレス、ザ・アカデミー・イン・ロンドン等のすべての英国ホテルは、ロックダウン前において好調な稼働率及び売上を示していた。英国は、パンデミックにより大打撃を受けた国の一つであり、依然として不安定な状況が続いているため、上記ホテルは閉鎖されたままである(ゲインズバラ・バス・スパを除く。)。

 

ゲインズバラ・バス・スパ及びテルマエ・バス・スパは営業を再開し、現在当局によって課されている営業制限の下で許容されている最大稼働力に近い状態で順調に営業している。オランダに位置するザ・ハーグ・マリオット・ホテルは、3月にオランダ政府が発動した規制措置の影響を受けた。7月に近隣諸国からの旅行制限が解除されたため、ホテルは営業を続け、沿岸部の立地も追い風となり、国内のステイケーション事業及びドイツからの観光客が大幅に増加した。

 

ニセコビレッジでは、日本国内初のリッツ・カールトン・リザーブである東山ニセコビレッジが2020年12月にオープンする予定である。50室の客室を擁する同リゾート施設は、ニセコビレッジのニセコアンヌプリ麓に位置し、羊蹄山及びその周辺の山脈を一望することができ、YTLホテルズがニセコビレッジに展開する5番目の宿泊施設になる。ラグジュアリーな付帯施設には、2つの特色あるレストラン及び1つのラウンジのほか、スパ、温泉、フィットネスセンター等を備えている。

 

オーストラリアの不動産業績は、COVID-19のパンデミックの影響を受けたが、これは、国内外において外出規制が実施されたこと、主要イベントのキャンセル及びウイルスの拡散を阻止するための国内出張禁止措置が実施されたことが主因である。シドニー・ハーバー・マリオット、ブリスベン・マリオット、メルボルン・マリオット、ザ・ウェスティン・パースは、連邦政府及び州政府による不要不急なビジネスのロックダウンにより、3月に打撃を受けた。しかし、ホテルが政府の強制検疫プログラムに参加したことで、ホテルの占有率及び収益が改善した。また、ホテルの人件費についても、オーストラリア連邦政府のジョブキーパー政策により補助金を受給した。

 

運用サービス部門及びその他

ERL

ワイ・ティー・エル・エクスプレス・レールリンク・センドリアン・バーハッド(ERL)は、クアラルンプール国際空港(KLIA)及びクアラルンプール国際空港2(KLIA2)とKLセントラル駅を結ぶ高速鉄道、KLIAエクスプレスを所有及び運行している。

 

ERLは、2019年7月に1億人目の乗客を迎えたが、MCO及び関連規制の発動により、2020年3月以降、乗客数に影響を受けた。乗客数は、2020年8月31日現在、106.8百万人である。

 

同部門は、2020年4月に「3Cの意識(3C Awareness)」キャンペーンを実施し、安全な距離感を保ち、個人の衛生状態を良好に保ち、キャッシュレス決済を使用することを、乗客に再認識させ奨励するようにした。すべての乗客及びスタッフにフェイスマスクの着用を義務化し、温度検査を実施するほか、すべての列車において有益な安全ビデオを放映し、意識啓発を図っている。

 

ERLは、過去2年間において、多くの決済オプションを提供することにより、公共交通機関でのキャッシュレス・イニシアチブを引き続き牽引した。オンラインでの発券に加え、改札での非接触型カード、キオスクでのセルフ発券並びに窓口及びオンラインでのイーウォレットを使用することができる。窓口では、グラブペイ、ブースト、その他多くのイーウォレットが利用可能であり、改札口では、タッチアンドゴー(Touch'n Go)、ビザ、マスターカード、アメックス、ユニオンペイ、JCB等の非接触型カードも利用可能である。

 

2020年6月時点において、全サービスにおけるキャッシュレス取引の利用率は約56%に達しており、2020年12月までに60%に拡大することを目標としている。

 

ERLは、航空会社、オンライン旅行代理店(「OTA」)、イーウォレット・プロバイダー、電子商取引及び企業間電子商取引(B2B)/卸売販売業者プラットフォームと引き続き提携し、KLIAエクスプレスの販売チャンネルをグローバルに拡大し、プラットフォーム及び通信チャネルを介してより幅広い閲覧者層へと拡大している。現在は、35のパートナー(航空会社5社、OTA 24社、電子商取引プラットフォーム3社、イーウォレット・プロバイダー2社、情報収集サイト1社)が参加している。

 

当年度において、ERLは、ビジット・マレーシア2020キャンペーンを推進するためマレーシア政府観光局と協力し、2020年3月のMCO発動後に政府が当該キャンペーンを中止するまで、30百万人の外国人旅行客数を達成するという政府の目標を支援した。

 

2020年6月に国が回復期に入ると、ERLは、利用者数の回復を促進するために国内観光に焦点を移した。現在は、マレーシア政府観光局、観光・芸術・文化省と引き続き連携し、デジタル及びソーシャルメディアプラットフォームを活用した啓発活動を実施し、鉄道輸送に重点を置いた地域の観光地化及び魅力度の向上を図っている。

 

ERLは、そのサービスについて賞を獲得し続けており、2019年11月、オーストリア、ウィーンで開催されたグローバル・エアレール・アワーズにおいて、B2B販売チャンネルの拡大に尽力したことが評価され、パートナーシップ・オブ・ザ・イヤー・アワードを受賞した。

 

YTLPS

YTLPSは、YTLPGが所有する、当グループの発電所の運営管理業者である。YTLPGの発電所に関する21年間の電力売買契約は、2015年9月に期間満了を迎えた。その後、YTLPGは、マレーシア・エネルギー委員会が募る短期発電容量の入札に基づき、パカ発電所から電力供給を行うプロジェクトを獲得した。

 

2017年5月、YTLPG及びテナガ・ナショナル・バーハッドは、パカ発電所からの585メガワットの電力供給に関して、契約期間を3年10ヶ月とする新たな電力売買契約を締結し、供給は、2017年9月1日に開始した。

 

エレクトラネット

エレクトラネットは、200年間の利権に基づき、南オーストラリア全域の高電圧送電システムを所有・運営しており、地方の発電所及び州間の電源から遠方の大都市及び地域(産業にかかわる、大規模かつ直接つながりのある顧客を含む。)に送電している。送電網は、オーストラリア最大規模の地域的送電システムであり、合計20万平方キロメートルをカバーする97の高圧変電所及び周囲約5,650キロメートルの送電線で構成されている。

 

エレクトラネットは、2018年から2023年までの規制期間の3年目を迎えている。2018年4月30日、現行の5年の規制期間にわたって、オーストラリア・エネルギー規制当局から、規制対象の送電網に関して16億オーストラリア・ドルの収益を回復する許可を得た。

 

オーストラリアのエネルギー供給は、二酸化炭素排出量削減の未来に移行し、南オーストラリアは、かかるエネルギー転換の第一線におり、エネルギー需要に対し、断続的再生可能エネルギーに関して世界トップレベルにあることから、システムの安全性及び信頼性は、極めて重要である。エレクトラネットは、電気料金の引下げ及びシステム・セキュリティの改善を支援しながら、かかるエネルギー転換をサポートするオプションを探究している。現行のプロジェクト(規制当局の承認を得ている最中のものも含む。)には、以下が含まれる。

 

・南オーストラリアとニューサウスウェールズ間の新しい大容量インターコネクタを構築すること。計画中の920キロメートル、330キロボルトの送電線は、全国電力市場においてエネルギー資源をより効率良く共有することにより、顧客に経済的利益をもたらす予定である。24億オーストラリア・ドルのプロジェクトであるプロジェクト・エネルギーコネクトは、ニューサウスウェールズの送電網の管理者兼運営者であるトランスグリッドと共同で提供されることになる。

 

・非同期発電に係る既存の上限を引き上げ、南オーストラリアの送電システムのために十分なレベルのシステム強度、システム慣性及び電圧制御を備えた進行中のシステムの安全性を確保するために、大型の同期コンデンサー4機を設置すること。同期コンデンサーは、2020年及び2021年中に設置され、2021年末までに完全に運転される予定である。

 

・南オーストラリアの西海岸に位置するエア半島の顧客の信頼性を高めるために、新しい送電線を建設すること。建設作業は、2021年に開始される見込みである。

 

エレクトラネットは、現在、これまで請け負った中で最も大きな受託収益プロジェクトであるプロミネント・ヒル/アッパー・ノース接続のプロジェクトを請け負っている。同プロジェクトには、300キロメートルに及ぶ132キロボルト及び275キロボルトの送電線並びに約100メガワットの電力をOZミネラルズのカラパテナ及びプロミネント鉱区に接続及び供給する2つの変電所の建設が含まれる。カラパテナ鉱区は、2019年半ばに通電するようになり、プロミネント・ヒルはこれに次いで2020年末に通電する予定である。

 

エレクトラネットは、潜在的に競合可能な収益投資機会(新たな送電インフラの建設、所有及び運営を含む。)を探究するための態勢を整えている。

 

ジャワ・パワー

ジャワ・パワーの1,220メガワットの発電所は、30年間の電力売買契約に基づき、インドネシアの国有公共事業会社であるPLNに対して電力を供給している。YTLパワーの完全子会社であるPT ワイ・ティー・エル・ジャワ・ティムールは、30年契約に基づき、ジャワ・パワーの運営管理を行っている。

 

ジャワ・パワーは、2019年12月31日までの1年間については、84.5%の平均稼働率を、2020年6月30日までの6ヶ月間については、88.8%の稼働率を達成した。同発電所は、その唯一のオフテイカーであるPLNに対して、前年度の8,748ギガワット時に対し、当年度中に8,029ギガワット時の発電を実施した。

 

情報技術及び電子商取引関連部門

2019年度中、同部門は、非常に競争の激しい分野において広告主を惹きつけるために、中核となるコンテンツ及びデジタル・メディア事業の開発を続け、一体型のアウト・オブ・ホーム(「OOH」)デジタル・ネットワークを改良した。また、同部門は、アウトドア・マーケティング上のニーズに応えるために、OOHデジタル・メディア・ソリューションを提供し、名高いブランドをターゲットにしている。

 

同部門は、専有のコンテンツ・マネジメント・ソリューション及びコンテンツ生産の改良を順調に進め、ビンタン・ウォークでのデジタル・ナローキャスト・メディアネットワーク及びブキッ・ビンタンにある象徴的なLEDキューブの「ザ・キューブ」で広告配信を行った。ロット10ショッピング・センター等、その他のショッピング及び商業地域におけるデジタル・ネットワークや、KLIAとKLIA2の低コストキャリア・ターミナルの間を運行するクアラルンプール・エクスプレス・レール・リンク(KLIAエクスプレス及びKLIAトランジット)の車内等を通じたサービスも提供されている。

 

資金の流動性及び資本の財源については、「(1) 業績等の概要」及び「第6 1財務書類 (7) 財務書類に対する注記」を参照のこと。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 2020年度当初から本書の日付までの間に当社と他企業との合併又は合併の契約はなかった。

(2) 2020年度当初から本書の日付までの間に、当社の事業に重大な影響を与えるような、当社による事業の全部又は重要な部分の譲渡、又は他企業の事業の全部又は大部分の取得はなく、また、当該期間中、当社は上記に関連する契約は一切締結しなかった。

(3) 当社の事業の全部又は重要な一部分を賃貸若しくは預託する契約、別の当事者と当社の営業利益及び損失を共有する契約、若しくは当社の事業に重大な影響を与える技術協力若しくはこれに類する契約の締結はなかった。

 

5【研究開発活動】

該当なし。