下記「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。
当年度中、当社及びその子会社(総称して「当グループ」)は、ブルサ・セキュリティーズのメイン・マーケット上場規則(「上場規則」)及びコーポレート・ガバナンスに関するマレーシアン・コード(「本規範」)の方針及び実施規定を遵守するために、当グループの内部統制とリスク管理のシステムの改善を引き続き行った。
本項では、2017年4月にマレーシア証券委員会(「SC」)が発行した本規範に対する当社の実施状況および2021年6月30日に終了した会計年度における遵守状況を詳細に説明している。2021年4月28日、SCは本規範の改訂版を発行した。企業は、2021年12月31日に終了する会計年度から改訂版の本規範の適用を報告することを要求されており、当社は2022年6月30日に終了する会計年度の年次報告書より開始する。
取締役会は、取締役会が株主の投資及び当グループの資産の保護を目的とした安定したリスク管理及び内部統制システムの維持につき全責任を有していること、並びにかかる統制が重大な過失、詐欺又は損失が発生するリスクに対して合理的ではあるが完全ではない保証を提供するに止まるものであることを認識している。
取締役会の責任
取締役会は、株主の投資及び当グループの資産を保護するための適切な統制環境の枠組みの確立を含む、安定したリスク管理及び内部統制のシステムの維持、並びに当該システムの適切性と完全性の審査につき最終的な責任を負っている。内部統制のシステムは財務の管理だけでなく、業務及び法令遵守の管理並びにリスク管理などをカバーしている。しかしながら、取締役会は、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムの審査が共同で行われる継続的なプロセスであり、事業目的の達成に失敗するリスクを排除するものではなく、むしろかかるリスクを管理し、詐欺行為及びエラーの可能性を最小限にするためのシステムであると考えている。したがって、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムは、重大な誤表示、詐欺及び損失に対する、合理的ではあるものの、絶対的ではない保証を提供するに止まる。
取締役会は、当年度について、当グループのリスク管理及び内部統制(財務その他も含めて)が当グループの効率的かつ効果的な事業活動、財務情報の信頼性及び透明性、並びに法令及び規則の遵守を合理的に保証するものであると考えている。
当グループの内部統制の主な特徴
取締役会は、継続的な監視及び統制活動の効率性の審査の手続を含む、安定した内部統制構造の維持、並びに当グループ及びその従業員の行動の統治に専心している。当グループの内部統制システムの主な内容の概略は、以下のとおりである。
・承認手続
当グループは、承認手続を明確に定義し、説明責任を明確に定め、取締役会及び上席経営陣内で承認、許可及び管理に関する厳格な手続を有している。承認レベル、職務分掌及びその他の統制手続などの責任のレベルは、株主の最善の利益に鑑みた効率的かつ独立した管理を促すために当グループ内に通知されている。
・権限レベル
当グループは大規模な入札、設備投資プロジェクト、買収及び事業の処分並びにその他の大規模な取引に関して、会長、取締役社長、常勤取締役に対して権限レベルを委任している。一定の限度額を超える資本及び収益に関する承認は、取締役会がこれを決定する。その他の投資に関する判断は、権限の範囲に従って承認される。総合的な評価及び監視手続は、すべての大規模な投資に関する決定に適用される。企業への融資及び投資資金の拠出の要件、外貨及び金利リスク管理、投資、保険並びに署名権者の指名等を含む主な財務に関する事項の決定については、取締役の承認が必要である。
・財務成績
中間財務成績は、ブルサ・セキュリティーズに開示する前に、監査委員会が審査し、監査委員会の提言に基づき取締役会が承認する。年次財務成績及び当グループの事業の状況の分析は、外部の監査人による審査と監査を受けた後に株主に開示される。
・内部の法令遵守
当グループは、主な従業員が年間目標の達成を評価するべく内部で審査する経営陣のレビュー及び報告を通じて内部の財務管理の遵守を監視している。内部の方針や手続の更新は、リスクの変化、又は経営上の欠陥部分の是正、並びに当グループに関連する法令及び規則の遵守要件の変化を反映するために行われる。内部監査は、手続の遵守の監視及び精査を行い、提供された財務情報の整合性を評価するため、特定の期間について体系的に取り決められる。
当グループの内部統制の主な手続
内部統制のシステムの適切性と整合性を審査するために取締役会が定めた主な手続は、以下のとおりである。
・内部監査機能
当グループの内部監査機能は、その内部監査部門(「YTLIA」)により提供される。YTLIAは、経営陣が導入した内部統制システムの効率性及び有効性につき保証を提供し、監査委員会に直接報告を行う。また、YTLIAは、当社の上場子会社であるYTLパワー・インターナショナル及びマラヤン・セメント・バーハッド並びにそれぞれの企業グループの業務を遂行しており、これらの上場子会社の監査委員会にこれらに関連する事項を直接報告している。
YTLIAは、監査対象とする活動から独立して運営されており、内部統制システムの効率性と有効性と重大なリスクに重点を置いて実施された監査の結果につき、監査委員会に対して定期的に報告を行う。監査委員会は、YTLIAが提起した重大な課題及び事項につき審査及び評価を行い、経営陣によって適切かつ迅速な是正策が講じられることを保証する。
当年度中のいずれの脆弱性又は問題も、当社の年次報告書で開示を要求される、該当する方針若しくは手続、上場規則又は推奨される業界の慣行に対する違反には当たらなかった。
英国に拠点を置くウェセックス・ウォーター・リミテッド・グループ(「ウェセックス・ウォーター」)の会社は、上記の内部監査の対象には含まれていない。ウェセックス・ウォーターの事業は、同社の規制当局であり、政府機関である水道事業管理庁(Ofwatとして知られる)の厳格な財務及び業務管理の対象となっており、その規制ライセンスによっても管理されている。ウェセックス・ウォーター・サービシズ・リミテッド(「WWSL」)は、独自の内部監査部門を有している。内部監査部門はWWSLの監査委員会に報告し、内部監査委員会は優良な財務慣行の維持とこれらの慣行の整合性を保つための管理を監督する責任を有している。同部門は、年次財務諸表を審査し、取締役会と外部の監査人とのコミュニケーション・ラインを提供する。同部門には、その権限及び義務に関する正式な調査範囲があり、調査結果はウェセックス・ウォーター・カンパニーの親会社であり、当社の登録された子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッド(「YTLパワー」)の監査委員会に報告される。
同様に、YTLパワーの子会社であり、シンガポールに拠点を置くYTLパワーセラヤ・プライベート・リミテッド・グループ(「YTLパワーセラヤ」)のグループ会社はYTLIAの対象に含まれていない。YTLパワーセラヤの事業は、同社の規制当局であり、シンガポールの通商産業大臣の法定機関であるエネルギー市場監督庁(EMA)の厳格な財務及び業務管理の対象となっている。YTLパワーセラヤは内部監査を著名な専門会社に委託し、当該専門会社は社内の監査委員会に報告しており、その調査結果はワイ・ティー・エル・パワーの監査委員会にも報告される。YTLパワーセラヤは、内部統制及びシステムを、財務諸表の整合性と信頼性を合理的に保証できる内容に維持する義務がある。
内部統制のシステムは、事業環境の変化に伴い、今後も審査、改善又は更新されていく。取締役会はYTLIAによる評価により、内部統制システムの継続性と効果を定期的に確認する。取締役会は、現在の内部統制システムが当グループの利益を守るために有効なシステムであると考えている。
・執行理事会/上席経営陣会議
当グループは、会長、取締役社長、常勤取締役と部門長/シニア・マネージャーから構成される執行理事会/上席経営陣会議を定期的に開催している。この会議の目的は、緊急を要する事由について審議し、決定し、財政及び財務に関する重要事項を検討、特定、協議及び解決し、当グループの財務状況を監視することである。また、新しい金融情勢や懸念される事項が早期に明らかにされ、迅速に対処することを確保する役割も果たしている。ここでの決定事項は、すべての関係する従業員レベルに直ちに効率的に伝えることができる。これらの会議を通じて、執行理事会/経営陣は関係する事業部門における業務上又は財務上の重大なリスクを特定することができる。
・現場の視察
取締役社長、常勤取締役は、生産現場や事業部門、不動産開発の現場へ赴き、様々なレベルの従業員と対話し、協議し、実行された戦略の有効性を直接評価する。現場の視察は、効率的な運営のために、透明性が高く、開かれたコミュニケーション経路が経営陣及び各取締役社長、常勤取締役によって維持されることを保証する目的で行われている。
当グループのリスク管理体制の主な特徴及び手続
当グループの安定した財務プロファイルは、事業活動の中で発生するリスクを軽減するための内部統制及びリスク管理のシステムの結果である。これは当グループの規制資産取得及びノンリコース・ベースでの融資獲得の戦略に象徴されている。これらには、ワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッドの完全子会社、ウェセックス・ウォーター及びYTLパワーセラヤ、エレクトラネット・プロプライエタリー・リミテッド(「エレクトラネット」)、PTジャワ・パワー及びアタラット・パワー・カンパニーPSC(「APCO」)に対する持分が含まれる。これらの資産は事業コストと収益の流れが非常に予測しやすい、という共通点があり、これにより安定した、予測可能なキャッシュ・フロー及び利益が生み出され、それぞれの市場における安定した規制環境により更に強化されている。
当グループの事業活動のすべての分野は何らかのリスクを伴うことを取締役会は認識している。当グループは、経営陣が定義されたパラメーター及び基準に従ってリスク管理を行うための有効なリスク管理システムの維持を保証するよう努めており、株主価値の向上のために当グループの事業の収益性を促進している。
取締役会は当グループのリスク管理体制について全責任を負っている。当グループが直面する重大なリスクの特定、分析及び管理は上席経営陣が各事業レベルで行い、これらの調査結果を評価分析し、取締役会に報告する場合には監査委員会がこれを行うなど、あらゆるレベルで行われる継続的なプロセスである。同時に、YTLIAはYTLIAの中間監査において、当グループが直面する重大なリスクの特定及び分析を行い、その結果を監査委員会に報告する。当年度中、取締役会のリスク管理体制における機能は、内部統制システムの適切性と全体性を保証するために経営会議に取締役社長、常勤取締役が参加することにより実行された。当グループの事業に影響を与える重大なリスクの特定及び分析のプロセスの検討と更新、並びにこれらのリスクを管理するための方針及び手続に重点が置かれている。
当グループの事業活動は、市場リスク(為替リスク、金利リスク及び価格リスク)、信用リスク、流動性リスク及びキャピタル・リスクなど、様々な金融リスクを伴う。当グループ全体の金融リスクの管理の目的は、当グループが株主価値を創造することを保証することである。当グループは金融市場の予測不可能性に焦点を合わせ、財務業績に与える悪影響の可能性を最小限に抑えることを目標としている。金融リスク管理は定期的なリスク評価、内部統制システム及び当グループの金融リスク管理方針に従って実施されている。取締役会はこれらのリスクを定期的に評価し、適切な管理環境体制について承認を行う。当グループのリスク管理の詳細については、「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載する。
経営陣は、当グループ内でのリスク意識を高め、各自の担当事業に該当する重大なリスクの特定及び分析を行い、適切な内部統制手続の設定と運営の義務がある。これらのリスクは、継続的に評価され、リスク管理の不備、情報システムの故障、競争、自然災害及び規制など社内外のリスクに関するものが含まれる。重大なリスクに影響を与える事業の重大な変化及び外部の環境については、リスクを抑制するためのアクション・プランの策定の中で取締役会に対して経営陣が報告する。
システム改善の必要性がある場合には、取締役会は監査委員会及び内部監査人の推奨する内容を検討する。
取締役会は今後も各事業分野において直面する事業、営業及び財務リスクの特定、評価及び管理を行い、また定期的に戦略を見直して、リスクが軽減され、管理されているかを確認し、当局が発行するガイドラインを遵守する。これは、当グループが株主持分及び株主価値を保護し、向上させるために常に変化し続ける事業環境に効率的に反応できることを確実にするためである。
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績等の概要
① 事業実績
2021年度及び2020年度の当グループの主な事業部門別の売上高及び税引前利益は以下のとおりである。
(監査済)
|
|
2020年度 |
2021年度 |
||
|
売上高 |
百万マレーシア・リンギット(百万円) |
百万マレーシア・リンギット(百万円) |
||
|
建設部門 |
2,316.0 (62,509) |
12.08% |
1,514.5 (40,876) |
8.77% |
|
情報技術及び電子商取引関連部門 |
3.5 (94) |
0.01% |
3.2 (86) |
0.02% |
|
ホテル経営部門 |
1,121.7 (30,275) |
5.85% |
420.7 (11,355) |
2.44% |
|
セメント・建材事業部門 |
4,095.2 (110,529) |
21.35% |
4,093.5 (110,484) |
23.70% |
|
運用サービス部門及びその他 |
371.7 (10,032) |
1.94% |
299.8 (8,092) |
1.74% |
|
不動産投資開発部門 |
995.2 (26,860) |
5.19% |
366.6 (9,895) |
2.12% |
|
公共事業部門 |
10,275.1 (277,325) |
53.58% |
10,572.1 (285,341) |
61.21% |
|
合計 |
19,178.4 (517,625) |
100.00% |
17,270.4 (466,128) |
100.00% |
|
税引前利益 |
百万マレーシア・リンギット(百万円) |
百万マレーシア・リンギット(百万円) |
||
|
建設部門 |
194.7 (5,255) |
46.43% |
217.5 (5,870) |
34.43% |
|
情報技術及び電子商取引関連部門 |
0.0 (0) |
0.00% |
-2.2 (-59) |
-0.35% |
|
ホテル経営部門 |
96.6 (2,607) |
23.04% |
-153.6 (-4,146) |
-24.31% |
|
セメント・建材事業部門 |
-2.4 (-65) |
-0.57% |
562.9 (15,193) |
89.09% |
|
運用サービス部門及びその他 |
179.6 (4,847) |
42.83% |
-240.2 (-6,483) |
-38.02% |
|
不動産投資開発部門 |
-282.8 (-7,633) |
-67.44% |
-380.3 (-10,264) |
-60.19% |
|
公共事業部門 |
233.6 (6,305) |
55.71% |
627.7 (16,942) |
99.35% |
|
合計 |
419.3 (11,317) |
100.00% |
631.8 (17,052) |
100.00% |
② 概況
当社は、進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより困難に直面したにもかかわらず、堅調な営業実績に牽引されて2021年度も引き続き好業績を収め、各事業部門の基本的な財務回復力の強さを示した。
マレーシア経済は、国内総生産(GDP)が2019年の4.3%の成長に対し、2020年には5.6%縮小した。これは、外部からの悪影響の波及及びCOVID-19パンデミックを抑制するための厳しい国内封じ込め措置の発動による輸出、生産及び内需が広範囲にわたって低迷したことによるものである。マレーシア経済は、内需の改善及び堅調な輸出実績に支えられて、2021年第1四半期のGDPは0.5%の減少に留まり、第2四半期は、16.1%の成長を記録した(出典:マレーシア財務省、マレーシア国立銀行最新情報及び報告書)。
一方、当グループが事業を展開する他の主要国において、英国の2020年のGDP成長率は9.8%の減少を記録し、2021年の第1四半期及び第2四半期の経済成長率はそれぞれ約1.6%縮小、約4.8%成長を記録した。シンガポール経済は2020年に5.4%縮小したが、2021年の第1四半期及び第2四半期にそれぞれ1.5%、14.7%の成長を記録した(出典:マレーシア財務省、シンガポール通商産業省、英国国家統計局最新情報及び報告書)。
当年度の初めには、パンデミックへの収束に少しずつ前向きな兆しが見られたが、その後の数か月間に感染力の高いデルタ株が世界各地で急速に拡大したため、各国政府は、国境管理並びに移動及び不要不急のサービスの提供の制限を再び実施及び/又は強化した。
当社の主力である公益事業部門は、電力、上下水道及び通信といった必要不可欠なサービスを提供していることから、引き続き好調に推移したほか、シンガポールの商業向けインフラ事業が継続的に好転したことにより強化された。
当社は、昨年着手したシンガポールのトゥアスプリング・プライベート・リミテッド(「トゥアスプリング」)の発電所及び関連資産の買収案の完了に向けて引き続き取り組んでいる。当該買収の完了時には、シンガポールの発電網の中で最も技術的に進んだ発電所の一つであるトゥアスプリングが当社の既存事業に統合され、当社の発電能力を強化し、公益事業ポートフォリオ全体のシナジー効果を高めることができる。
当社のセメント部門は、着実な業務改善及び中国でのセメント事業の売却により好調な業績を達成した。当社のセメント事業の最適化も順調に進んでおり、上場子会社であるMCBの傘下で、セメント事業及び生コンクリート事業の合理化を進めている。これにより、事業を合理化し、当社の物流、販売、マーケティングネットワークの効率を最大化する。当該処理は、2019年にMCBの株式の過半数を取得したことに続き、収益性を強化し、価値を向上するための自然な流れである。
世界的な観光・ホスピタリティ産業がパンデミックの影響を最も強く受けていることから、リテール顧客向け事業(当社のホテル経営を含む。)は、引き続きパンデミックに関連した規制の影響を受けている。
国内の不動産市場も慎重な消費者心理の影響を受けており、当社の不動産開発活動にはより慎重なアプローチが必要である。2021年4月、従業員積立基金(EPF)の子会社であるクワサ・ランド・センドリアン・バーハッド(「クワサ・ランド」)がマスターディベロッパーを務めるクワサ・ダマンサラ・グリーンタウンシップの一部を開発する契約を締結した。この12.7エーカーの開発では、未来志向型住宅並びに美しい公園及び造園、生き生きとした自然の屋外空間等、当社独自のグリーンの美学を特徴としている。
過去2年間の変動の中で見てきたとおり、当社の活動及び地域的な事業の多様性は、規制対象の公益事業に注力する戦略と相まって、引き続きうまく機能し、当グループに対する昨今の世界的な出来事の影響を和らげ、株主に継続して利益を提供することを可能にしている。当社は、1985年にブルサ・セキュリティーズに上場して以来、株主に対する配当を継続して実施しており、今年で37年連続の配当実績となった。当社の取締役会は、2021年度について、1株あたり2.5センの中間配当を宣言した。これは、当社の市場価格である1株あたり64センに基づくと、約3.8%の利回りに相当する。
当社は、2021年の主要事業子会社の堅調な業績が今後の好業績につながると考える。当社の最大の事業拠点であるマレーシア、英国及びシンガポールでは、ワクチン接種プログラムが順調に進展し、パンデミックを封じ込め、正常な日常に戻すために必要とされる高い接種率に近づいている又は達成している。
パンデミック対策の見通しは依然として不透明であることに加えて、新たな変異株の出現という永続的な問題により、当社の各事業部門は、すべての利害関係者の利益のために、事業を継続して機能させ、遂行できるように、変化する要件にうまく適応することが求められている。
当社及び当グループの当年度の収益は、前年度の19.2億マレーシア・リンギットに対し17.3億マレーシア・リンギットであり、税引前利益は、前年度の419.3百万マレーシア・リンギットに対し、当年度は631.8百万マレーシア・リンギットであった。
当社は、2021年10月12日を基準日として、1株あたり2.5センとする当年度に係る中間配当を宣言した。
当年度において、当グループが事業を展開する国では、進行中のCOVID-19パンデミックに対応するため、様々なレベルの制限措置が継続された。マレーシアでは、国内での感染率の上昇を受けて、2021年6月1日にマレーシア全域における活動制限令(「MCO」)が発動された。
しかし、必要不可欠なサービスを提供する当グループの公益部門は、順調に稼働し続けており、すべての部門が新たな事業要件に正常に適応し、好調な業績を達成した。
当社グループの電力事業部門の商業向けインフラ事業は、販売電力量の増加及び燃料油価格の上昇により、2021年は堅調な業績回復を記録した。上下水道事業では、5年間の規制期間における価格改定により税引前利益は減少したが、非規制事業の成長により増収となった。
セメント・建材産業事業の売上高は、コンクリート部門の需要減少により、わずかに減少となった。売上高が減少した一方で、中国におけるセメント事業の売却益及びセメント部門の販売価格・数量の増加に加え、財務費用の減少により、税引前利益は大幅に増加した。
建設部門では、工事の進捗が遅れたことにより減収となったが、契約費用の減少により税引前利益が増加した。
不動産投資開発部門の収益は、主に、シンガポールにおけるSGREITの業績が連結対象外となったこと及び完成案件の販売数が減少したことにより減少した。同部門は、ワイ・ティー・エル・ウェストウッド・プライベート・リミテッド(現オーチャード・ウェストウッド・プロパティーズ・プライベート・リミテッド)(「ウェストウッド・プロパティーズ」)が発行したベンダーノートの減損損失及びYTLホスピタリティREITが計上した外貨建借入金の未実現為替利益の減少により、税引前損失を計上した。これは、SGREITの利益分配の増加及び英国における当グループのブラバゾン開発に関連する投資不動産の公正価値の増加により一部相殺された。ホテル経営部門では、世界的なパンデミック規制による大きな影響を引き続き受けた。当年度において、当グループのホスピタリティ事業が展開されているほとんどの地域では、外国人旅行者に対して国境が依然として閉鎖されており、セミナー、ミーティング等のイベントも制限されている。
一方、運用サービス部門及びその他は、主に受取利息の減少により減収となり、昨年計上したSGREITの認識中止に伴い一時的な利益がなくなったことにより税引前損失を計上した。情報技術及び電子商取引関連部門では、パンデミック規制の影響を受けたコンテンツ及びデジタル・メディア事業が減収となり、投資の公正価値の評価損及び現金預金からの受取利息が減少したことにより税引前損失を計上した。
2021年の当グループの行動は、順調に前進する基盤を固めた。2021年6月15日、COVID-19危機からの4段階にわたる出口戦略であるマレーシア政府の国家回復計画が発表され、当該計画の下で行われる行動は、中長期的にマレーシア経済の回復をもたらすことが期待されている。マレーシアにおいても、また世界経済全体においても、ワクチン接種率の上昇は、経済回復のために進行中のパンデミックの封じ込めに成功していることを示す有望な指標である。
公益事業部門は、既存の商業向けインフラ事業を補完する強力な新資産として、シンガポールのトゥアスプリングの買収完了に向けて取り組んでいる。当グループが45%所有するオイル・シェール火力発電プロジェクトが進行中のヨルダンでは、当年度もヨルダン政府によるパンデミック規制が継続されたため、商業運転の開始時期を延期し、当年度末に開始する予定である。
当グループは、2019年にMCBの過半数株式を取得することから始まった、国内のセメント大手となることを目指し、セメント・建材事業部門の合理化を目的とする戦略的資産計画を、今年大きく進展させた。当グループの専門知識及び経験を活かした運営、物流、流通及びマーケティングの改善は大きな成果を上げ、同部門は前進するための態勢が整っている。
当グループは、事業活動の基本的な強さ及び主要市場の堅調な動きを確信しており、必要不可欠な公益事業、インフラ需要、都市化による住宅需要、観光・ホスピタリティ需要の回復等の主要な成長要因が、長期的に需要の成長を支え続けると確信している。
③ 2021年度と2020年度との比較
1 売上高
当グループの当年度の売上高は、前年度の19,178.4百万マレーシア・リンギットに対して、1,908.0百万マレーシア・リンギット、すなわち9.9%減少し、17,270.4百万マレーシア・リンギットとなった。収益増加となった公益事業部門を除き、主にCOVID-19パンデミックの影響により、すべての報告部門において収益減少となった。
2 税引前利益
当年度の当グループの税引前利益は、前年度の419.3百万マレーシア・リンギットから631.8百万マレーシア・リンギットに増加した。これは50.7%の増加に相当し、主に建設部門、セメント及び建材産業部門並びに公益事業部門(建設部門並びに運用サービス部門及びその他を除く。)における収益増加によるものであった。
3 当グループへの課税
当年度の当グループへの課税は、前年度の414.6百万マレーシア・リンギットに対して959.2百万マレーシア・リンギットに増加した。税額の増加は、主に2023年4月1日から適用される英国の法人税率が19%から25%に引き上げられたことによるものであった。
4 少数株主持分
少数株主持分は、前年度の193.9百万マレーシア・リンギットから当年度の40.3百万マレーシア・リンギットヘと79.2%減少した。これは主にYTLパワーグループからの収益減少によるものである。
5 税引後利益及び少数株主持分
当グループは、前年度の収益189.2百万マレーシア・リンギットに対し、当年度において367.7百万マレーシア・リンギットの税引前損失及び少数株主持分を計上した。これは主に、YTLパワーグループが、英国における法人税率が19%から25%に引き上げられたことを受けて、繰延税金費用を計上したことによるものである。
(2) 生産、受注及び販売の状況
(1)「業績等の概要」を参照のこと。
(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
本項には、将来予想に関する記述が含まれているが、これは当該事業年度終了時点での当社の予測又は見積りに基づくものである。
目標及び戦略
当グループは、株主価値を最大限にし、長期的に実行可能かつ持続可能な堅固な事業を構築及び運営することを目標に、規制された公益事業資産及びセメント、建設、不動産開発及びホテル経営のコア・コンピテンシーに関連するその他の事業に注力しながら、国内外における未開発地域の開発及び戦略的買収を通じて自らの収益基盤の地理的多様化及び拡大を追求している。
また、当グループは、その収益の大部分を利権・認可に基づく規制された様々な公益事業資産の運営から得ており、これにより、当グループは、マレーシア国内外において、安定した利益をあげ、不安定な経済及び変化する事業状況から生じる下方リスクを軽減することができている。
当グループの戦略の主な要素は、以下で構成されている。
・ 特に、規制された公益事業の分野における未開発地域の開発及びマレーシア国内外における戦略的買収を通じた当グループの収益基盤の多様化及び拡大 当グループは、長期の利権に基づき運営している規制された資産及びそのコア・コンピテンシーに関連するその他の事業を取得する戦略を追求している。当グループの規制された公益事業は、継続的な成長を示しており、その資産のうち規制された資産の価値は時間の経過とともに増大している。かかる分野における当グループの既存の海外事業は、引き続き安定した利益を生んでおり、海外での買収は、所得の流れを多様化し、当グループが各国及び各業界に固有のリスクを回避できるようにしている。
・ 当グループの中核事業の成長及び強化 事業を成長させるための当グループの戦略は、当グループのコア・コンピテンシーである専門性を活用することである。特に、(発電市場及び売電市場における)発電事業、上下水道事業、商業向けインフラ事業、通信、建設契約、不動産開発及び投資、セメントその他の工業製品及び必需品の製造、ホテル開発及び経営(レストランの経営を含む。)、インターネット事業に関するコンサルタント・サービス及びアドバイザリー・サービス、インターネットに基づく教育ソリューション及びサービスの提供の分野において専門知識を活用することを試みている。
当該戦略を実行するにあたり、当グループは、事業の長期的な持続可能性及び実行可能性を確保するために、ガバナンス、コンプライアンス及び事業の経済的・環境的・社会的影響の管理に重点を置いている。
・ 当グループの資本構造の継続的な最適化 当グループは、デット・ファイナンス及びエクイティ・ファイナンスの組み合わせを最適化し、買収の機会に投資するための内部資金及び外部金融の利用可能性を確保することにより、バランスの取れた財政構造を維持している。当グループの成長戦略の重要な要素は、その買収及び未開発地域事業の負債要素を、ノンリコースの融資で賄う慣行である。これにより、当グループが、会社から独立した単体の有効な事業にのみ投資を行うことが保証されている。
・ 当グループの事業収益を最大化し、顧客基盤を拡大するための運営効率の向上 当グループは、そのセメント工場及び発電所が、平均して、それぞれの業界の最高効率水準の範囲内で運営されていると確信しており、新しい技術、生産技術及び情報技術の適用を通じて、可能な限り運営効率を一層高めている。
財務業績の評価
当グループの財務業績
当グループは、前年度の19,178.4百万マレーシア・リンギットの収益に対して、当年度は17,270.4百万マレーシア・リンギットの収益を計上した。当年度の税引前利益は、前年度の419.3百万マレーシア・リンギットから631.8百万マレーシア・リンギットに増加した。
COVID-19パンデミックの発生により、当グループが事業を展開している国々では、ウイルスの蔓延を防ぐためにさまざまなレベル規制を実施している。マレーシアでは、全国でCOVID-19の感染者数が増加したことを受けて、2021年6月1日にマレーシア全域におけるMCOが発動された。COVID-19パンデミックは、当年度の当グループの業績に直接的な影響を及ぼしおり、その詳細は以下のとおりである。
当グループの海外事業は、当グループの収益及び非流動資産のそれぞれについて、前年度の61%及び72%に対して、当年度は約66%及び74%を占めており、引き続き当グループの収益及び非流動資産の最大の割合を占めている。
部門別の財務業績


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部門別収益 |
部門別税引前利益/(損失) |
||
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2021年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2020年度 |
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百万マレーシア・リンギット |
|||
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公益事業部門 |
10,572.1 |
10,275.1 |
627.7 |
233.6 |
|
セメント及び建材産業部門 |
4,093.5 |
4,095.2 |
562.9 |
(2.4) |
|
建設部門 |
1,514.5 |
2,316.0 |
217.5 |
194.7 |
|
不動産投資開発部門 |
366.6 |
995.2 |
(380.3) |
(282.8) |
|
ホテル経営部門 |
420.7 |
1,121.7 |
(153.6) |
96.6 |
|
運用サービス部門及びその他 |
299.8 |
371.7 |
(240.2) |
179.6 |
|
情報技術及び電子商取引関連部門 |
3.2 |
3.5 |
(2.2) |
- |
|
|
17,270.4 |
19,178.4 |
631.8 |
419.3 |
公益事業部門
公益事業部門は、前年度の10,275.1百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は10,572.1百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の233.6百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して627.7百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。
収益及び税引前利益の増加は、商業向けインフラ事業及び通信事業部門の増益を主因とする。
公益事業部門は、引き続き当グループ最大の事業部門であり、収益及び税引前利益のそれぞれについて、前年度の54%及び56%に対して、当年度は61%及び99%を占めている。
セメント及び建材産業部門
セメント及び建材産業部門は、前年度の4,095.2百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は4,093.5百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の2.4百万マレーシア・リンギットの税引前損失に対して、当年度は562.9百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。
収益は、コンクリート事業の需要が減少したことにより、わずかに減少した。一方、税引前利益は、中国のセメント事業の売却益、セメント事業の販売価格及び販売量の増加並びに財務費用の減少により増加した。
当年度について、セメント及び建材産業部門は、当グループで第二位の事業部門であり、収益について、前年度の21%に対して、当年度は24%を占めている。
建設部門
建設部門は、前年度の2,316.0百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は1,514.5百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の194.7百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は217.5百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。
収益の減少は、建設工事の進捗が遅れたことを主因とする。一方、税引前利益の増加は、契約費用の減少を主因とする。
不動産投資開発部門
不動産投資開発部門は、前年度の995.2百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は366.6百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の282.8百万マレーシア・リンギットの税引前損失に対して、当年度は380.3百万マレーシア・リンギットの税引前損失をそれぞれ計上した。
収益の減少は、SGREITの業績が連結対象外となったこと並びにフェネル・プロジェクト及び3オーチャード・バイ・ザ・パーク・プロジェクトの売上げが減少したことを主因とする。一方、税引前損失の増加は、ウェストウッド・プロパティーズが発行したベンダーノートの減損損失及びYTLホスピタリティREITが計上した外貨建借入金の未実現為替利益の減少を主因とするが、SGREITの利益配分の増加及び当グループの英国におけるプロジェクトが計上した投資不動産の公正価値の評価益により一部相殺された。
ホテル経営部門
不動産投資開発部門は、前年度の1,121.7百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は420.7百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の96.6百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は153.6百万マレーシア・リンギットの税引前損失をそれぞれ計上した。
同部門は、COVID-19パンデミックによる未だかつてない混乱の結果、非常に厳しい状況の中で大きな影響を受けた。ホスピタリティ事業が展開されているほとんどの地域では、外国人旅行者に対する国境の閉鎖が行われ、セミナー、会議等のビジネスも制限された。
運用サービス部門及びその他
運用サービス部門及びその他は、前年度の371.7百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は299.8百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の179.6百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は240.2百万マレーシア・リンギットの税引前損失をそれぞれ計上した。
収益の減少は、YTLパワーの受取利息の減少を主因とする。一方、税引前損失の増加は、SGREITのの認識中止に伴い一時的利益がなかったことを主因とする。
情報技術及び電子商取引関連部門
情報技術及び電子商取引関連部門は、前年度の3.5百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は3.2百万マレーシア・リンギットの収益を、前年度の0.04百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は2.2百万マレーシア・リンギットの税引前損失をそれぞれ計上した。
収益の減少は、COVID-19パンデミックの影響によりコンテンツ及びデジタル・メディア部門の売上げの減少を主因とする。一方、税引前損失は、投資の公正価値の評価損、現金預金による受取利息の減少及び生じた収益の減少を主因とする。
各部門の状況
公益事業部門
(契約)発電事業
・YTLPG
YTLPGは、1993年にライセンスを取得し、マレーシア初のIPP(独立系発電事業者)となり、2015年9月30日に契約期間が満了となった21年間の電力売買契約に基づき事業を営んでいた。その後、YTLPGは、マレーシア・エネルギー委員会が募る短期発電容量の入札に基づき、パカ発電所から電力供給を行うプロジェクトを受注した。
パカ発電所からの電力供給は、2021年6月30日までの3年10ヶ月の間(当初の落札期間の2年10ヶ月から12ヶ月の期間延長)、585メガワットの電力供給を行うことについて、YTLPGとテナガ・ナショナル・バーハッドの間で締結された新たな電力売買契約(「PPA」)に基づき2017年9月1日に再開された。発電所の運営管理(「O&M」)は、当社の完全子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・サービシズ・センドリアン・バーハッド(「YTLPS」)が行っている。
パカ発電所は、当年度中、PPAに基づくすべての性能保証を引き続き充足し、0.892ギガワット時の正味発電出力を生成した。当年度中、発電所の2基の発電機、GB1及びGB2はそれぞれ、96.08%及び99.28%の信頼度因子並びに27.56%及び12.71%の負荷因子を実現した。負荷因子の低下は、COVID-19パンデミック規制により、電力需要が30%以上減少したことを主因とする。
PPAは、2021年6月30日に無事完了した。
・APCO
APCOは、ヨルダン・ハシミテ王国において、554メガワットの山元オイル・シェール火力発電プロジェクトを展開している。
APCOは、ヨルダンの国有事業会社である国営電力会社(「NEPCO」)との間で、発電所の電気容量及びエネルギー全体について、NEPCOが契約期間を(プロジェクトの2基目の設備の商業運転開始日から)40年に延長する選択権付きの30年間(3年半の建設期間を含む。)の電力売買契約を締結した。
第1基は2020年半ばに、第2基は2020年第4四半期に、それぞれ営業運転を開始する予定で工事が開始された。しかし、世界的なCOVID-19パンデミックに伴い、ヨルダン政府が外出・移動を制限したため当該工事が遅れており、両基の商業運転が2021年後半になる見込みである。APCOは、NEPCOとのPPAにおいて不可抗力条項を発動したが、COVID-19パンデミックの影響は継続しているため、当該条項は引き続き有効である。
554メガワットのオイル・シェール火力発電所は、運転開始時には、発電総量の約15%に相当する、ヨルダン原産のオイル・シェール資源を活用するヨルダン初の発電所となる。これは、ヨルダン国内の発電に用いる石油製品の輸入を縮小し、また、その開発は、ヨルダン政府が掲げるエネルギー自立促進の達成に向けての重要な布石である。
APCOは、YTLパワー(45%)、中国の広東能源集団(45%)及びエストニアのエスティ・エネルギアAS(10%)に間接的に所有されている。
(商業向け)インフラ事業
YTLパワーは、スチーム・タービン式発電設備、コンバインド・サイクル式発電設備及び熱併給コンバインド・サイクル式発電設備から成る3,100メガワットの認可発電総量を有するシンガポールのエネルギー会社であるYTLパワーセラヤの持分を100%保有している。YTLパワーセラヤは、シンガポールの石油、ガス及び石油化学製品の拠点であるジュロン島に所在し、発電及び電力の小売りのほか、ユーティリティの供給(スチーム、天然ガス及び水)、石油貯蔵タンクのリース並びに石油取引及びバンカリングから成る他の商業向けインフラ事業の運営をも中核事業とする総合エネルギー会社である。
当年度において、YTLパワーセラヤは、8.766ギガワット時の電力を販売したが、発電量の市場占有率は、前年度に比べ9.2%増加し、約17%となった。シンガポールでは、2020年6月1日にCOVID-19対策の「サーキット・ブレーカー」措置を終了し、経済を段階的に再開させたことで、当年度のシンガポールにおける電力需要は増加した。
COVID-19により専門家等の人的資源及び資源の確保が厳しく制約される中、当グループでは、コンバインド・サイクル式及び熱併給式の発電設備の全般及び定期的な整備点検を予定どおり完了する等、継続して大きな成果を挙げた。これらの発電設備全体のパフォーマンスは、信頼性及び稼働率の増加により、前年と比べそれぞれ1.0%及び4.6%の大幅な改善が見られた。
当グループは、エネルギー効率の向上及び持続可能性の向上に努め、シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)が実施する「発電会社向けエネルギー効率化助成金」に参加した。当該プロジェクトでは、YTLパワーセラヤのコージェネレーション発電所のボイラー給水ポンプに可変速度ドライブ(VSD)を設置し、発電所の性能を最適化する。完了時には、年間約6,800メガワット時の電力消費量の削減が見込まれる。これは、シンガポールの一般家庭約1,300世帯の1年間の電力消費量に相当する。
パンデミック時の従業員の健康及び精神面のサポートは、昨年度の最優先事項であった。同部門では、発電所の従業員を対象とした年1回の健康診断及び聴力検査に加え、パンデミック中に従業員が経験する可能性のある問題に対処することを目的とした一連のプログラム及びイニシアチブを展開した。
YTLパワーセラヤでは、数多くのオンライン及びオンサイトでのセミナー、ワークショップ、社内の商業・技術の専門家によるシェア・アンド・ラーン・セッションズ、さらには職業訓練等を通して、各部門の学習ロードマップを作成し、学習及び開発に引き続き注力した。また、発電所レベルでは、経験豊富な技術者を配置し、技術的なエンジニアリングトレーニングの開発及び実施に注力することで、組織的な能力開発をさらに強化し、退職するエンジニアによる技術的スキルの移転を確実に行った。
電力小売事業
YTLパワーセラヤの電力小売事業者であるジェネコは、小売電力市場(商業・工業部門の競合可能な消費者で構成される。)の約13.8%を占め、当年度の売上高は、前年度と比べ8.4%増加し、7,134ギガワット時となった。
ジェネコは、当年度において、顧客向けの持続可能なエネルギーソリューションの包括的なパッケージに着手した。これには、各ソーラーパネル設置パートナーと協力して、商業用及び工業用の顧客向けに屋上ソーラーパネル設置サービスを提供したほか、当該顧客グループが電気料金プランに組み込む再生可能なソーラーエネルギーのレベル(1.0%、5.0%又は10.0%)を選択できるビズサニー・プラン(BizSunny Plan)が含まれる。
また、ジェネコは、一般家庭の顧客向けにパワー・エコ・トータル・ソリューション(Power Eco Total Solution)を開始した。当該ソリューションは、当該顧客が電力消費において100%カーボンニュートラルを実現するための3つの要素で構成される。それは、ジェネコと協力して屋上にソーラーパネルを設置し、ソーラーパネルへの投資資金を調達するために競争的融資を受け、電力消費のバランスをとるために炭素クレジット(CC)又はグリーン電力証書(REC)を購入することである。これらのカスタマイズされたエネルギー・オプションは、シンガポール・グリーンプラン2030と同様に、持続可能なエネルギーの未来に向けたジェネコの継続的な取組みを強調している。
燃料管理事業
当グループの燃料管理部門であるペトロセラヤ・プライベート・リミテッドは、石油業界及びCOVID-19パンデミックが直面する困難にもかかわらず、辛うじて安定した業績を収めた。同部門は、当年度において、7.48百万メートルトンの燃料石油及びディーゼル燃料を取り扱った。一方、ターミナルに停泊した燃料船及び貨物船の隻数は、前年度の656隻に対し、当年度は552隻となり、停泊所の平均利用率の低下は、主にパンデミックに起因する厳しい経済状況によるものである。
バンカー燃料の硫黄分を0.5%に制限するIMO2020(国際海事機関)が発足して以来、同部門では、HSFO(高硫黄燃料油)及びLSFO(低硫黄燃料油)の両方を扱ってきた。LSFO(硫黄分0.5%未満の燃料油)は、ごくわずかな混入でも規格外になってしまうため、燃料の取扱いには細心の注意を払う必要があった。
COVID-19の影響により、シンガポール海事港湾庁は、非接触運用に関するより厳しい要件を導入した。これらの課題にもかかわらず、同部門は当該要件を克服し、運航に遅れをきたすことなく対応した。経済的混乱が続いていることを踏まえ、同部門では、タンクのリース及び燃料管理の活動の強化並びに突堤及び石油ターミナル業務の最適化を引き続き検討する。
技術関連事業
YTLパワーセラヤのデジタル変革を支援するため、技術部門は、当年度において、分析・自動化・デジタル化の3つの主要分野に注力した。これには、ビジネスプロセス及びワークフローの合理化が含まれており、これらの90%以上を様々なビジネスグループと協力してマッピングを行い、事業の可視性を高めることができた。この成果を文書化することで、プロセスの制度が可能となり、全社的な取組みと一貫性をもって業務効率の向上を実現する。
年間を通じて実施された様々な取組みにより、より強固なデジタル文化が形成され、円滑なプロセス・ワークフローにより生産性が向上した。また、様々なビジネスグループがデジタル化に対応することで、従業員は十分な情報を得た上で意思決定を行う能力を身につけることができた。今後も従業員及び組織の能力を高め、データを実用的な見識に返還するための知識を従業員に提供するとともに、プロセスの自動化により高い生産性及び効率性を実現することを目指して、3つの主要分野での取組みを強化していく。
上下水道事業
英国では、YTLパワーは、英国南西部の約10,000平方キロメートルに及ぶ地理的地域(ドーセット、サマセット、ブリストル、ウィルトシャーの大部分並びにグロスターシャー及びハンプシャーの一部を含む。)で2.8百万人の顧客を相手にしている地域の上下水道事業であるウェセックス・ウォーターの株式持分を100%保有している。ウェセックス・ウォーターは、英国の水道業界の経済規制当局である水道事業規制局(通称:Ofwat)に規制されており、英国政府の任命書に基づき、英国南西部の営業地域からの上水の供給及び下水の処理を許諾されている。
ウェセックス・ウォーターは、COVID-19によってもたらされた課題により、優れた顧客サービスを提供することがこれまで以上に重要になった。同部門では、パンデミックによって経済的な影響を受けた者及び保護又は助けを必要としている者に対して特別な支援を行い、4,000件以上に支払猶予を与え、進行中のパンデミックに関連した柔軟なプランを2,000件以上設定した。
同部門は、追加の制服洗濯の費用を賄うために、国民医療保険(NHS)労働者を対象に従量制料金に50ポンドのリベートを開始し、14,500人以上の顧客を支援したほか、COVID-19からの安全性を確保し、地域社会につながり及び支援を提供し続けるために、コミュニティ・プログラムの実施状況を見直した。
ウェセックス・ウォーターは、下水道部門において顧客サービスでトップレベルの実績を維持しており、Ofwatの顧客満足度測定(C-Mex)において上下水道会社の中で1位を誇る。英国の水消費者の意見を代弁する独立機関である水道顧客審議会(CCW)は、ウェセックス・ウォーターがすべての上下水道会社の中で苦情件数が依然として最も少なく、顧客の78%が同社のサービスをコストパフォーマンスが良い又は非常に良いと評価していることを確認した。
ウェセックス・ウォーターは、2021年に新たな顧客フィードバック戦略を導入した。当該戦略は、より多くの意見を集約し、不満のある顧客を迅速に特定し、継続的な改善を図ることを目的としており、トラストパイロットによると94%の顧客が満足し、87%が同社に5つ星の評価をつけている。
ウェセックス・ウォーターは、2021年もカスタマー・サービス・エクセレンス賞を受賞し、英国インスティテュート・オブ・カスタマーサービスのサービスマークにおいて引き続き殊勲を立てた(当該レベルの認定は、15社のうちわずか1社のみが取得できる。)。同部門は、2025年までに当該インスティテュート・オブ・カスタマーサービスが実施する調査で、英国のサービス提供会社の上位20位に入ることを目標としている。
ウェセックス・ウォーター財団は、人々を団結させ、より強固なコミュニティを構築するプロジェクトに資金を提供するために、2020年に設立された。当該ウェセックス・ウォーター財団は、事業地域全体のコミュニティ財団と協力して、地域社会の様々なグループを既に支援しており、日常業務及び特定プログラムにおいて、顧客及び利害関係者と幅広く携わってきた。
ウェセックス・ウォーターの的確な支援プログラム(タップ)では、顧客が定期的な料金を支払い、債務を返済できるように、各種スキーム及び低価格の料金設定を通じて経済的な支援を続けている。15,000人以上の顧客がアシスト料金で最大90%の割引を受けており、22,000人以上の低所得の年金受給者が60ポンド以上の割引を受けている。ウェセックス・ウォーターは、顧客に最高品質の飲料水を供給することに尽力しており、飲料水基準に対する同部門の遵守率は非常に高く、99.9%以上の検査で必要な基準を満たしている。2020年、ウェセックス・ウォーターは、英国環境庁の年間環境パフォーマンス評価において「一流(leading)」の評価を受け、同社のウォーターリサイクルセンターからの排水は、同庁の品質許可に99.1%適合していると評価された。
同部門で現在進行中の最大の下水道プロジェクトは、ブリストル西部に全長6.5kmのトンネルを建設することである。当該トンネルは、この地域の大規模な不動産開発のほか、トリム川への雨水越流を防ぐことに対応する。
ウェセックス・ウォーターの2020年から2021年の温室効果ガスの正味排出量は、二酸化炭素換算で109,000トンに減少し、10年間減少傾向にあり、1997年の報告開始以来、同社において最も低い運営上の二酸化炭素年間排出量となった。これは、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギー発電及び英国のグリッド電力における二酸化炭素排出量の急速な減少の相乗作用により達成された。2020-2021年の電力使用量は前年比で減少し、同部門の電力需要の28%は、事業所内における再生可能エネルギー発電によるものであった。
電気通信事業
YTLパワーは、国家全域に及ぶ4G LTE無線ブロードバンド・プラットフォームのYESを所有及び運用するワイ・ティー・エル・コミュニケーションズ・センドリアン・バーハッド(「YTLコミュニケーションズ」)の株式持分を60%保有している。マレーシアがパンデミックと闘った2021年は激動の一年となった一方で、YTLコミュニケーションズは、マレーシアの人々のためにデータを民主化するアドボカシー活動を強化し、比較的若い会社でありながら地域の通信業界を主導した。2021年のYESの重要な目標は、戦略的なパートナーシップを構築し、進行中の取組みをレベルアップさせることであり、デジタル経済が益々進む中で、あらゆる職業・地位の人々が生き残るだけでなく、成功することを支援することである。
2020年3月のMCOの発動を受けてYTL財団と共同で結成された「ラーン・フロム・ホーム」の取組みは、2021年の教育現場にさらなる影響を与えた。18万台の携帯電話及び40万枚のSIMカードが、国立学校の学生、B40[訳注:所得層で下位40%に相当する世帯]家庭の子供及び大学生に無償提供されたほか、YTL財団は、4月に全国教職連盟(NUTP)と提携し、データ容量40GBの無料SIMカードを23万人の教育者に提供した。
YTLコミュニケーションズは、長期にわたるロックダウンの影響を受けて、8月に「ラーン・フロム・ホーム」の取組みを延長することを発表した。これにより、B40家庭は、既存の12か月プランが終了する2022年8月31日まで、毎月5GBの無料データを利用できるようになった。
YTLコミュニケーションズは、5月に、政府による「ジャリンガン・プリハーティン(Jaringan Prihatin)」の取組みに賛同し、800万のB40の個人及び家庭に無料のスマートフォン、1年間のデータ通信、フロッグプレイ学習プラットフォームへの無料アクセス及びショッピーとの提携によるキャッシュバッククーポンを提供した。YESのプリハーティン・プランは、無条件で利用できる点で、競合他社とは一線を画した。B40の個人は、「頭金・契約金・支払金なし」で契約することができ、ひいては、安心して学び、働き、ビジネスを構築することに集中することができた。政府と協力することで、「ラーン・フロム・ホーム」プログラムの効果をさらに高め、B40グループに長期的な安心感をもたらした。
パンデミックにおける電子商取引ブームにより、YESは、マレーシアのNo.1プラットフォームであるショッピーと提携する道を開き、オンライン市場に参入した最初で唯一の通信会社となった。2020年12月にYESのKasi Upキャンペーンの一環として開始された「YESデータバック」の取組みでは、ショッピーで50マレーシア・リンギットの買い物をするごとに5GBの無料データを提供した。
YTLコミュニケーションズは、消費者に付加価値を提供し、その価値を高めるという目的に忠実であり続けるために、全国的なMCOが発動されたわずか1か月に、1.5億GBのデータを提供することを発表した。人々が必要とするデータを提供することで、YESも加入者数を伸ばすことができた。これらの新たな取組みにより、YESは新規加入者を獲得し、当年度末の当グループ全体の加入者数は236万人に達した。
データの力でマレーシアの人々の生活を豊かにすることを使命とするブランドとして、経済情勢及び人々のニーズに敏感であり続けることは、その使命の一つに過ぎない。YTLコミュニケーションズの機敏かつ積極的な取組みは、切迫感と相まって、十分なサービスを受けていない地域に有意義な影響を与え続け、デジタル時代のニューノーマルにおいて誰一人取り残さないことを保証する。
セメント及び建材産業部門
マレーシア事業
YTLセメント・グループは、MCBの株式の過半数を取得したことにより、マレーシア事業を拡大した。YTLセメント・グループは現在、マレーシアを代表する建築資材グループとして、顧客にエンド・ツー・エンドの建築ソリューションを提供している。半島マレーシア全体に、5基の一体型セメント工場、70基の生コンクリートコンバッチ工場、16か所の採石場、2基のドライミックス・モルタル工場、2基の研磨基地、2基のセメント・ターミナルから成る最も包括的なネットワークを保有している。これらの施設は、YTLセメント・グループが顧客にサービスを提供できるように道路、鉄道及び海路で結ばれている。
コンストラクション・デベロップメント・ラボラトリー(CDL)は、マレーシアを代表する建築資材の研究開発センターであり、刻々と変化する建設ニーズに対応する革新及び製品開発に注力している。
シンガポール事業
当グループのシンガポール事業は、2019年のジュロン・セメント・リミテッド(「ジュロン・セメント」)(旧ホルシム(シンガポール)リミテッド)の取得により拡大した。ジュロン・セメントは、2つのセメント・ターミナル設備及び1つのドライミックス・モルタル工場を運営しており、セメント及びドライミックス・モルタルを含む建材の供給に携わっている。YTLセメント・グループは、現在、シンガポールの大手セメント供給業者となっている。当グループのセメント・ターミナルは、国内最大の貯蔵、混合及び出荷能力を備えている。
ベトナム事業
フィコ・タイ・ニン・セメント・ジョイント・ストック・カンパニー(「Fico-YTL」)は、ベトナム南部に3基ある一体型セメント工場のうちの1基であり、ホーチミン及びメコンデルタ地域への主要なセメント供給業者である。Fico-YTLは、優れた製品範囲及びコスト管理の取組みにより、好調な業績を達成し、当年度においても安定した収益性を維持した。1基の一体型セメント工場及び2基の研磨基地は、年間2.3百万トンのセメント生産能力を有する。
ミャンマー事業
当グループのセメント研磨工場は、ミャンマーのティラワ経済特区に位置する。ヤンゴンの深海港に隣接するその戦略的な位置を活かし、ミャンマーの商業ハブ及び周辺地域にサービスを提供している。同工場は、大規模なインフラ開発をはじめとするミャンマーの建設ニーズを支えている。
建設部門
当年度において、ゲマス-ジョホールバル間の電化鉄道線の建設が継続して実施された。SPYTLは、合弁事業のパートナーであるSIPPレイル・センドリアン・バーハッドと共に、ゲマスからジョホールバルまでの電化複線化プロジェクトの設計、建設、供給、設置、完成、検査、試運転及び保守管理を行う現地の下請業者に任命された。
当該プロジェクトは、COVID-19の感染拡大を抑制することを目的として、2020年3月に初めて発動され2021年まで継続した一連のMCOに伴い、工事の中断が発生したが、計画どおり進捗している。また、当該プロジェクトの予算超過は生じていない。
ゲマスとジョホールバルを結ぶ鉄道は、世界的な鉄道インフラを整備するためのマレーシアの構想の新たな重要な要素となることが予想される。約197キロメートルの複線路線、駅、電気車両、車庫、陸橋、鉄道信号橋、電化システム及び信号システムで構成される新しい鉄道は、完成時には、ゲマスとジョホールバル間の移動時間をわずか90分に短縮する。
同プロジェクトは、移動時間の短縮及び交通渋滞の緩和を目的とする、マレーシア運輸省の電化複線化プロジェクト(「EDTP」)の重要な部分である。EDTPにおける電気機関車の使用は、陸上輸送又は空輸に比べ、短縮された移動時間及び削減された燃料費により、サービスの頻度及び有効性を高めることで、地方の事業、配送サービス及び貨物サービスに利益をもたらすことが予想される。同プロジェクトは、危険廃棄物を排出せず、燃料消費量を削減する電気機関車の使用から生じる環境面の利益ももたらすことになる。また、クアラルンプールのブリックフィールズにあるジャラン・トゥン・サンバンザン通り沿いには、30階建てのオフィスビル(ショップ及びフードコートを含む。)を建設中であり、2022年に完成予定である。
SPYTLは、2021年4月、EPFの完全子会社であるクワサ・ランドとの間で、クワサ・ダマンサラに予定総額が2億マレーシア・リンギットの住宅プロジェクトを開発する契約を締結した。
クワサ・ランドは、クワサ・ダマンサラのマスターディベロッパーを務める。クワサ・ダマンサラは、将来的に住宅・商業・複合用途プロジェクトで構成される、包括的かつ一体感のあるグリーンタウンシップである。その戦略的立地は、スバン空港、クワサ・セントラル駅及びクワサ・ダマンサラ駅等の主要交通インフラ並びに4つの高速道路網によって支えられている。
クワサ・ダマンサラ・タウンシップのR2-1区画である12.7エーカーの開発地には、1.28エーカーのセントラルパーク及び2.71エーカーのリニアパークをはじめとする緑豊かな空間に囲まれた、1.5階建てのタウンハウス及び3階建ての土地付きテラスハウスが建設される。
当該住宅は、建築面積が1,200平方フィートから2,300平方フィートであり、当グループの美学に従いつつ、開発において緑を大切にした、モダンかつミニマルなデザインが特徴である。
一方、クアラルンプールのブリックフィールズに位置するジャラン・トゥン・サンバンサン地区では、店舗及びフードコートを併設した30階建てのオフィスビルの建設が予定どおり進んでおり、2022年の完成を目指している。当該プロジェクトは、当社の完全子会社であるアラー・アサス・センドリアン・バーハッドが、ペルバダナン・アセット・ケレタピ(レイルウェイ・アセッツ・コーポレーション(RAC))との民営化契約に基づいて実施する。
不動産投資開発部門
不動産開発
・スントゥル開発
YTL L&Dの完全子会社であるSRSBは、スントゥル西部に位置するスントゥル・ワークスの保全及び再利用を行い、新時代のブティック・オフィスに生まれ変わらせた。これは、現在進行中のスントゥルの都市再生において、スントゥル西部の保全及び再活性化の取組みに沿ったものである。
スントゥル・ワークスは、英国統治時代に鉄道事務所が置かれたコロニアル様式の老朽化した100年前の建物を、歴史的建造物としての価値を維持しつつ、現代のニーズに合わせて改修したものである。見事に修復された建物は、クアラルンプール市の遺産に指定された仕事及び余暇を楽しむ目的地として、スントゥルの鉄道遺産に貢献している。
現在進行中のプロジェクトには、スントゥル東部の「d」シリーズ商業施設であるd2、d5及びd8があり、従来の労働環境及び生活環境の限界を超えるような最先端の建築物を備えている。全体的な開発コンセプトは、都市化されたダウンタウン地区に活気及び刺激を吹き込むために、小規模事務所、商業、小売、レジャー、プレイスメイキングの要素を盛り込み、スントゥル東部の幅広い多様性を捉えている。
・プチョン開発
チューリップス・プチョン・プロジェクトは、YTL L&Dの完全子会社であるパカタン・ペラクビナ・センドリアン・バーハッドが請け負っている。当該プロジェクトは、セランゴール州の「ルマー・セランゴルク(Rumah Selangorku)」という住宅スキームに基づいて構想されており、地域住民の居住ニーズを満たす良質な住宅を手頃な価格で提供することを目的としている。
チューリップスには、標準的な敷地面積20フィート×60フィートの2階建てリンクハウスが98戸あり、プチョンのエッジ湖に隣接している。
また、クラリティ・アット・レイク・エッジも進行しており、手付かずの湖を見下ろすのどかな環境の中に、34階の居住階を有す2つの高層タワーが建つサービス付きアパートメントである。
・タマン・パカタン・ジャヤ、イポー開発
イポーのタマン・パカタン・ジャヤにおける開発は、YTL L&Dの完全子会社であるPYPセンドリアン・バーハッドが請け負っている。2019年に完成したカメリアは完売し、竣工適法証明書[訳注:Certificate of Completion and Complianceの略。日本でいう建築確認済証のこと。]と共に住宅購入者に無事引き渡された。同団地は、敷地面積20フィート×75フィートの2階建てリンクハウス108戸で構成される。
進行中のプロジェクトであるオリーブ・グローヴは、2階建てのモダンなリンクハウスに、クラブハウス及びライフスタイル施設を併設した、門及び警備付きの団地である。当該プロジェクトでは、標準的な敷地面積20フィート×75フィートに、380戸の広々とした住宅がすべて緑豊かな環境の中に建設される。
・クワサ・ダマンサラ開発
SPYTLは、当年度において、クワサ・ダマンサラ・タウンシップのマスターディベロッパーであるクワサ・ランドとの間で、クワサ・ダマンサラに予定開発総額が2億マレーシア・リンギットの住宅プロジェクトを開発する契約を締結した。
当該開発地は、スバン空港、クワサ・セントラル駅、クワサ・ダマンサラ駅等の主要交通インフラ及び4つの高速道路網に近接した戦略的な立地にあり、1.5階建てのタウンハウス及び3階建ての土地付きテラスハウスが建設される。また、開発において緑を大切にする方針の下、居住者は、開放的かつ広々とした居住空間を楽しみつつ、周辺の公園及び緑地の素晴らしい景色を眺めながら、手入れの行き届いた屋外の散歩道及びジョギングコースを利用することができる。
・3オーチャード・バイ・ザ・パーク開発
YTL L&Dは、2021年6月28日に、3オーチャード・バイ・ザ・パークの開発を請け負っていたYTLウェストウッド・プロパティーズの全持分を売却した。その結果、YTLウェストウッド・プロパティーズは、当グループの一部ではなくなった。
・ブラバゾン開発
ブリストル北部のフィルトン飛行場の跡地は、コンゴルド誕生の地として歴史が色濃く残っている。ワイ・ティー・エル・ランド・アンド・プロパティ(UK)リミテッドは、この歴史的な地域のランドマークを、現代の都市生活の新たな基準となる活気に満ちた新地区ブラバゾンに変えようとしている。
ブラバゾンは、旧飛行場のレガシーである大志及び偉業に恥じないよう設計され、かつ、都市総合計画に基づいた複合施設である。ブラバゾンは、当グループ初の英国不動産開発プロジェクトであり、2015年に380エーカーの利用されなくなった工業用地を購入している。
ブラバゾンは、ブリストル北部の世界有数のエンジニアリング、航空宇宙、テクノロジー企業の集積地の中心に位置し、2万人以上の高度熟練従業員がブラバゾンから1.5マイル以内で働いている。ブリストルの有名大学はいずれもすぐ近くにあり、生産年齢人口の50%以上が学位レベルの教育を受けている都市である。
ブラバゾンは、ブリストルで最も交通の便が良い新地区となる。2024年に開通予定の鉄道駅からブリストル・テンプル・ミーズ駅まで15分足らずであり、ブリストル・パークウェイ駅からロンドンのパディントン駅までもわずか70分である。また、専用のメトロバス並びに遊歩道及び自転車専用道路といった道路網により、ブラバゾンは、市の中心部及び年間1300万人が訪れる地域最大のショッピング複合施設であるクリブス・コーズウェイの両方にアクセス可能である。
ブラバゾンは、この素晴らしい戦略的立地において、先駆的なビジネスである、地域のエコシステム及び才能ある人々を次のレベルに引き上げるための空間・つながり・機会を提供する。
この新たな都市コミュニティでは、革新的な職場、最先端の研究センター、高度な製造施設から歩いてすぐの場所に、建築学的に設計された住宅を備えている。住民、訪問者、従業員の誰もが、個人商店を見て回り、新しいレストランを発見し、又はこの地域で50年間に建設された中で最大規模の新しい都市型公共公園でくつろぐことができる。
そして、その中心となるのが、コンコルドが製造された航空機格納庫の跡地に建設される、17,080人が収容できる新しいYTLアリーナ・ブリストル(音楽及びライブエンターテインメントの会場として、ブリストルを世界的に有名にするスーパーソニック施設)である。2020年3月に計画認可を取得し、2024年のオープンに向けて詳細設計が進められている。
ブラバゾンでは、2019年9月に、1ベッドルーム及び2ベッドルームのアパートメント並びに2ベッドルーム、3ベッドルーム及び4ベッドルームの住宅302戸の第1期工事が開始された。世界的に有名な地元の建築家フェイルデン・クレッグ・ブラッドリー氏が設計した特徴的な住宅は、広々とした部屋、特大の窓、2階分の高さを誇る天井を備えているものもあり、すでに多くの賞を受賞している。
当該住宅の第1期販売前の2020年、ブラバゾンは、ハウジング・デザイン・アワーズの最終選考に残った。英国王立公認不動産鑑定士協会(RICS)、英国王立建築家協会(RIBA)、英国王立都市計画協会(RTPI)をはじめとする主要な5つの不動産専門機関が後援するハウジング・デザイン・アワーズは、英国の住宅開発において最も権威のある賞の一つである。
ブラバゾンは、地元でもSWインサイダー、ブリストル・ライフ、ブリストル・プロパティ・アワーズにノミネートされ、2021年秋に受賞者が発表される予定である。このような品質へのこだわりにより、ブラバゾンは、すでに達成した販売率及び売上高の両方において、市場の新たな記録を打ち立てている。
不動産投資
SGREITは、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、日本及び中国で小売店舗及びオフィス不動産を所有している。SGREITの運用会社であるSGREITマネジメント・リミテッドは、当グループの完全子会社である。SGREITの不動産ポートフォリオには、シンガポールのニー・アン・シティ及びウィスマ・アトリアの株式、オーストラリアのデービット・ジョーンズ・ビルディング、プラザ・アーケード及びマイヤー・センター、マレーシアのスターヒル・ギャラリー及びロット10ショッピング・センター内の区画、東京のブティック型の商業施設並びに中国の商業施設が含まれる。
SGREITの不動産ポートフォリオは、2021年6月30日現在、29.6億シンガポール・ドルと査定され、昨年以降、比較的安定している。当該REITの不動産あたりの配当は、前年度の0.0296シンガポール・ドルに対し、当年度は0.0395シンガポール・ドルであった。
ホテル経営部門
YTLホテルグループ
ここ一年、世界はパンデミックの継続的な課題に直面し続けており、観光業及びホスピタリティ産業は最も深刻な影響を受けている。国際的な国境の閉鎖、ロックダウン、制限等が年間を通じて行われ、経営に深刻な影響を与えている。すべての国で、COVID-19の影響を軽減するための予防接種プログラムの展開に重点が置かれている。ワクチン接種率の上昇に伴い、トラベルバブルが形成され、いくつかの国境を越えた移動が可能になり、将来への期待が高まっている。
YTLホテルグループは、パンデミックによる商業上の影響を軽減するための対策に注力しており、業務の合理化及び従業員の再配置を行うと共に、ロックダウンとロックダウンの合間に生じる機会を迅速に活用できるよう柔軟な姿勢を保っている。規制が緩和されれば、たまっていた需要が一気に回復することが期待されるため、YTLホテルグループは、企業の先行予約及びレジャー旅行に向けて、既存及び新規の顧客を積極的に獲得するよう努めている。マレーシアの2021年は、感染率の上昇により、数回にわたりロックダウンが発生し、年初には緊急事態宣言が出される等、厳しい年となった。パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート及びキャメロン・ハイランズ・リゾート並びにケナン及びクアンタンのACホテルは、2回目のロックダウンが実施された第2四半期までは、良好なステイケーション事業を展開することができた。ザ・リッツカールトン・クアラルンプールは終始営業を続け、クアラルンプール市内のホテルにあるいくつかのレストランでは、ホームデリバリー及びテイクアウトが飲食業の勢いを維持するうえで大きな役割を果たした。
先日政府が4段階の国家回復計画を導入したこと及びマレーシア国内の高いワクチン接種率により、今後の見通しは明るくなった。当該計画の各段階への移行に伴い規制が緩和されることで、国内旅行及び宿泊需要は回復することが期待される。
英国は、パンデミックにより大打撃を受けた国の一つであり、2021年初頭には、世界で最も高いワクチン接種率を誇っていた。英国全域における3度目のロックダウンは2021年5月に終了し、7月にはすべての制限措置が解除された。ザ・ゲインズボロ・バース・スパは、2020年7月に、半分の棚卸資産で営業を再開して以来非常に順調であり、日常的に高い利用率を維持している。
ザ・ゲインズボロ・タウンハウスは、パンデミックの期間中、クロス・バスを独占的に利用できることでも人気を博した。
2021年第2四半期には、英国のワクチン接種プログラムが成功し、経済も徐々に開放され、ザ・グラスハウス・エジンバラ及びモンキー・アイランド・エステートの営業が再開し、スコットアンドのグラスハウス及びブレイのアイランド・テイクオーバーズで行われた多くの結婚式では、ゲストが島全体を独占的に使用できる等、イベント開催も好調である。ザ・アカデミー・ホテルは、8月10日に、スレッドニードルズ・ホテルは9月16日に営業を再開した。
ザ・ハーグ・マリオット・ホテルは、パンデミックの深刻な影響を受け続けており、政府のガイドラインの変更、旅行制限及びロックダウンにより、すべての大規模な都市イベント及びミーティングがキャンセルされた。同ホテルは、全期間を通して営業を継続し、国内レジャー市場を中心に、宿泊者のニーズに答えるために必要な営業の変更及び新たな予約経路の開拓を行った。ヨーロッパでは、多くの国でロックダウンが解除され、旅行及び入国の要件が緩和された。ザ・ハーグ・マリオット・ホテルは、夏場、海沿いというロケーションを活かしたサービスを提供した。
ニセコビレッジでは、海外旅行者が制限されているため、YTLホテルズは国内からの滞在者のために営業を続けた。日本政府の景気刺激策「Go To トラベル」キャンペーンにより旅行料金が大幅に割引されたことで、ニセコビレッジは、例年冬期休暇を海外で過ごすことが多い国内旅行者に向けた新たな市場を開拓した。リッツ・カールトン・リザーブである東山ニセコビレッジは、予定どおり2020年12月に開業した。同ホテルはその後、米国トラベル+レジャーの「イット・リスト2021-ザ・ベスト・ニュー・ホテルズ・イン・ザ・ワールド」、コンドナスト・トラベラーUKの「ザ・ホット・リスト2021-ザ・ベスト・ニュー・ホテルズ・イン・ザ・ワールド」、ロブ・レポートの「ベスト・オブ・ザ・ベスト」、タイム誌の「ワールド・グレイテスト・プレイシズ」及びデスティンアジアン誌の「ザ・リュクス・リスト2021:ベスト・ニュー・ホテルズ・イン・アジア-パシフィック」等に選出され、数々の賞を受賞している。
タイ政府は、プーケット・サンドボックス・プログラムに続いて、サムイ・プラス制度による旅行手配を導入し、同国の観光産業を再開し始めた。当該制度により、ワクチン接種を完了した国内外の旅行者は、検疫隔離免除で訪れることができる。ザ・スリン・プーケットは2021年7月1日に、ザ・リッツ・カールトン、コ・サムイは2021年7月15日に営業を再開した。両ホテルは、健康安全基準プラス(SHA+)ホテルとして認定されている。
YTL REIT
当年度のYTL REITの投資ポートフォリオは、4,719.0百万マレーシア・リンギットであり、昨年度の4,537.5百万マレーシア・リンギットと比較して181.5百万マレーシア・リンギット(4.0%)増加した。これは、オーストラリアのシドニー・ハーバー・マリオット及びブリスベン・マリオット並びに日本のヒルトンニセコビレッジの評価額が増加したことを主因とする。
YTL REITの1口あたりの純資産価値は、前年度の1.500マレーシア・リンギットに対し、当年度は1.587マレーシア・リンギットに増加した。
マレーシアのポートフォリオ
YTL REITのマレーシアにおけるポートフォリオは、5つ星のホテル及びラグジュアリーリゾートから、半島マレーシアの主要都市中心部のビジネスホテルまで、10の資産から構成されている。YTL REITは、当該ホテルについて定期建物賃貸借契約を締結しているため、この収益構造から安定した収益を享受している。
YTL REITの国内ポートフォリオは、クアラルンプールのゴールデン・トライアングル商業地区に位置する高級ホテルである、JWマリオット・ホテル・クアラルンプール、ザ・リッツ・カールトン・クアラルンプール(客室棟及びスイート棟)、マジェスティック・ホテル・クアラルンプール、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート、キャメロン・ハイランズ・リゾート並びにクアラルンプール、クアンタン及びペナンで経営しているACホテルで構成される。
本年度において、COVID-19パンデミックの影響により、ホスピタリティ・観光産業は最も被害を受けた経済セクターの一つであり、世界各国の政府において渡航制限、移動規制及びロックダウンが継続して実施されている。国境管理は当年度も継続されており、国際観光に大きく依存しているマレーシアのホスピタリティ産業に深刻な影響を与えている。
パンデミックが世界のホスピタリティ産業に与えた前例のない世界的な影響は、不可抗力事由に似ている。国際的には、各国政府がテナントを救済するための法律を導入している。また、不動産所有者(マレーシアにおける一部の上場不動産投資信託を含む。)は、壊滅的な影響に鑑み、テナントの事業運営を維持するために賃料免除を認めている。その目的は、このような困難な時期においても賃貸料のキャッシュ・フローを継続して生み出すことができるように、賃貸借契約を維持し、不動産を占有し続けることである。
最低限の収益による賃借人の数か月の営業損失を受けて、また、ホスピタリティ部門への継続的な影響を考慮して、YTL REITのマレーシアにおけるホテルに対して賃貸繰延プログラムが承認された。同プログラムは、2020年7月1日から2022年6月30日までの24か月間、賃料を50%減額し、元の賃料と減額された賃料の差額を、賃料調整後7年以内又は既存の賃貸借における残存期間のいずれか早い方で、時差をつけて支払うものである。同プログラムは、差額が時間をかけてYTL REITに支払われるため、賃料は免除されない。また、(賃料免除とは異なり)当該支払いは、今後の事業年度においてYTL REITの投資主の利益となる分配可能所得を増加させるものである。
州をまたぐ移動が許可されていた期間は、国内旅行が回復したため、リゾート施設の稼働率は高くなった。世界的なワクチン接種の実施によりパンデミックが収束し、ビジネス及びレジャー目的の旅行が回復した際に、YTL REITのポートフォリオが競争力を維持し向上するために、現在、いくつかの施設でメンテナンス及びアップグレード等の整備工事が計画又は実施されている。
国際ポートフォリオ-日本
YTL REITの日本におけるポートフォリオは、北海道のヒルトンニセコビレッジ及びザ・グリーン・リーフで構成され、当該ホテルは、定期建物賃貸借契約に基づき運営されているため、YTL REITには一定の収益が確保されている。当年度においても、COVID-19の流行により、訪日外国人旅行者数は引き続き減少した。ほとんどの国で入国禁止措置が取られたため、ニセコ地域も同様に規制の影響を受けた。したがって、ヒルトンニセコビレッジにおいても(マレーシアのホテルと同じ条件で)賃貸繰延プログラムが承認された。
ニセコリゾート地区への悪影響は、従来冬場に見られた強い需要を踏まえると、ワクチン接種率の増加及びCOVID-19を抑制するためのその他政策の効果が出始めることで、将来的に軽減される見込みである。ニセコリゾート地区のホスピタリティ市場を活性化するためには、政府の「Go To トラベル」キャンペーン等の経済政策も鍵になると期待されている。
国際ポートフォリオ-オーストラリア
YTL REITのオーストラリアにおけるポートフォリオは、シドニー・ハーバー・マリオット、ブリスベン・マリオット及びメルボルン・マリオットで構成される。YTL REITは、当該ホテルの運営により様々な収入源から利益を得ている。オーストラリアでは、国内外で最も厳しい渡航制限が実施されているため、当年度も引き続きパンデミックの影響を受けた。
シドニー・ハーバー・マリオットは、ニューサウスウェールズ州政府と隔離施設契約を締結したため、同ホテルは、利益を上げて営業を続けることができた。シドニー・ハーバー・マリオットは、サーキュラーキーの中心に位置し、ハーバー・ブリッジ及びシドニー・オペラ・ハウス等の象徴的なランドマークを見下ろす595室の5つ星ホテルである。
メルボルン・マリオットは、ビクトリア州政府により海外からの帰国者用隔離ホテルに選定されたため、当年度は周期的に営業を継続した。メルボルン・マリオットは、市内の劇場街に近く、バークス通り及びコリンズ通りのショッピングエリア、チャイナタウン、メルボルン博物館、王立展示館からも数分の距離にある。
また、ブリスベン・マリオットも、クイーンズランド州政府により海外からの帰国者用隔離ホテルとして選定されたため、パンデミックの間も営業を続けることができ、事業の収益性を維持することができた。ブリスベン・マリオットは、ブリスベンのビジネス中心街及びフォーティテュード・ヴァリー中心地の中間に位置し、ブリスベン川沿いのショッピング及びリバーサイド・ダイニング並びに市内の企業及び文化施設にも近接している。
運用サービス部門及びその他
ERL
ワイ・ティー・エル・エクスプレス・レールリンク・センドリアン・バーハッド(「ERL」)では、COVID-19パンデミックが発生した昨年度の第1四半期以降、空港の旅客輸送量の減少に伴い、利用者数が大幅に減少した。MCOが全面的に発動されると、落込みの厳しさはさらに悪化した。しかし、2020年6月に回復活動制限令(「RMCO」)が開始され、観光・芸術・文化省及び地元航空会社も様々なキャンペーンで国内旅行を促進されるようになり、業績も好転した。
当年度は、条件付MCOが徐々にRMCOの段階に移行されたため、それに伴い渡航制限も緩和される期待を持って始まった。しかし、2021年1月中旬には急速に状況が悪化し、より厳しいMCOが発動した。3月から4月には状況が改善したが、状況の好転は長続きしなかったため、5月にMCOが再び発動された。ERLの列車サービスは、ERLがすべての利用者にサービスを提供し、長期的に持続可能であることを保証するために、全面的なロックダウンが実施された2021年6月4日以降、一時的に停止している。
多くの課題に直面し、COVID-19の感染が再拡大する中で、ERLは、短期及び長期のマーケティング及び販売計画に引き続き注力した。当該計画では、まず国内市場に焦点を当て、次に国境が開放され次第、国外市場、キャッシュレスソリューション及び顧客維持に重点的に取り組む。
ERLでは、最高水準の安全及び衛生を確保するために、洗浄、消毒及び殺菌の厳格な訓練を引き続き行っている。
クアラルンプール国際空港(「KLIA」)エクスプレスアプリが、エクスプレスマイルズ・ロイヤルティ・プログラムと共に新たに導入された。当該取組みは、顧客のキャッシュレス化を促進し、テクノロジーを駆使してユーザー体験を向上させ、新たなロイヤルティ・プログラムで特典を付与することを目的としている。当該アプリではQRコードを採用しており、顧客に印刷した乗車券ではなく、モバイル機器を使用することを促している。これにより、紙の使用量を削減できるだけでなく、改札口でQRコードを直接読み取ることで、より早く乗車できるというメリットもある。
ERLはデジタル化を進め、KLIAトランジット・コンセッション・フェア及びトラベルカード・ユーザーをマイカード(「MyKad」)プラットフォームに切り替えた。利用者は、MyKadの登録、アクティベーション及びリロードを行った後、電車の改札口で直接使用することができる。MyKadへの切替えは、2021年5月1日に行われた。また、ERLは、TNGデジタル・センドリアン・バーハッド及びバンク・イスラム・マレーシア・バーハッドとのパートナーシップを継続し、割引キャンペーンを2021年12月31日まで延長した。TNGイーウォレットでの15%割引は、2021年4月から新しいアプリとウェブサイトを通じてオンラインでも利用できるようになった。バンク・イスラム・ビサカード-1の15%割引は、改札口での非接触型取引に適用される。
ERLでは、MyKad及びイーウォレットを利用することで、政府が推進するGoキャッシュレスのイニシアチブに沿った円滑なユーザー体験を提供すること、また、Goキャッシュレスの実装及び運用効率を向上することを目指している。TNGイーウォレット以外にも、アリペイ、ブースト、グラブペイ、メイバンクQRペイ及びユニオンペイのQRコードを利用して、窓口及びオンラインで鉄道乗車券を購入することができる。2021年5月1日からは、ERLでも窓口でショッピーペイが利用できるようになった。
ERLは、航空会社、オンライン旅行代理店(「OTA」)、イーウォレット・プロバイダー、電子商取引及び企業間電子商取引(B2B)/卸売販売業者プラットフォームと引き続き提携し、KLIAエクスプレスの販売チャンネルをグローバルに拡大し、プラットフォーム及び通信チャネルを介してより幅広い閲覧者層へと拡大している。現在は、39のパートナー(航空会社3社、OTA、旅行情報収集サイト及び技術プロバイダー28社、電子商取引プラットフォーム2社、イーウォレット・プロバイダー6社)が参加している。
YTLPS
YTLPSは、YTLPGが所有する、当グループの発電所の運営管理業者である。YTLPGの発電所に関する21年間の電力売買契約は、2015年9月に期間満了を迎えた。その後、YTLPGは、マレーシア・エネルギー委員会が募る短期発電容量の入札に基づき、パカ発電所から電力供給を行うプロジェクトを獲得した。
2017年5月、YTLPG及びテナガ・ナショナル・バーハッドは、パカ発電所からの585メガワットの電力供給に関して、契約期間を3年10ヶ月とする新たな電力売買契約を締結し、供給は、2017年9月1日に開始した。PPAは、2021年6月末に無事完了した。
エレクトラネット
エレクトラネットは、200年間の賃貸借に基づき、南オーストラリア全域の高電圧送電システムを所有・運営しており、地方の発電所及び州間の電源から遠方の大都市及び地域(産業にかかわる、大規模かつ直接つながりのある顧客を含む。)に送電している。南オーストラリアの送電網は、オーストラリア最大規模の地域的送電システムであり、合計20万平方キロメートルをカバーする97の高圧変電所及び周囲約5,900キロメートルの送電線で構成されている。
エレクトラネットは、現在5年の規制期間において4年目を迎えている。現行の規制期間にわたって、オーストラリア・エネルギー規制当局(「AER」)から、規制対象の送電網に関して約16億豪ドルの収益を回復する許可を得た。エレクトラネットは現在、次の規制期間に向けた暫定的な収益案に関して、消費者諮問グループ及びAERとの協議を行っている。最終的な収益案は、2022年1月にAERに提出される予定である。
オーストラリアのエネルギー供給は、二酸化炭素排出量削減の未来に移行し、南オーストラリアは、かかるエネルギー転換の第一線におり、エネルギー需要に対し、断続的再生可能エネルギーに関して世界トップレベルにあることから、システムの安全性及び信頼性は、極めて重要である。エレクトラネットは、電気料金の引下げ及びシステム・セキュリティの改善を支援しながら、かかるエネルギー転換をサポートするオプションを探究している。エレクトラネットは、以下のプロジェクトで規制当局の全面的な承認を無事得ることができた。
・南オーストラリアとニューサウスウェールズ間の新しい大容量インターコネクタを構築すること。計画中の920キロメートル、330キロボルトの送電線は、全国電力市場においてエネルギー資源をより効率良く共有することにより、顧客に経済的利益をもたらす予定である。当該プロジェクトはプロジェクト・エネルギーコネクトと呼ばれ、ニューサウスウェールズの送電網の管理者兼運営者であるトランスグリッドと共同で実施される。エレクトラネットは南オーストラリア州のインフラ構築を、トランスグリッドはニューサウスウェールズ州のインフラ構築をそれぞれ担当する。
・非同期発電に係る既存の上限を引き上げ、南オーストラリアの送電システムのために十分なレベルのシステム強度、システム慣性及び電圧制御を備えた進行中のシステムの安全性を確保するために、大型の同期コンデンサー4機を設置すること。同期コンデンサーは、試運転の最終段階にあり、現在2機が試運転中で、残りのコンデンサーは、2021年末までに完全に運転される予定である。
・南オーストラリアに位置するエア半島の町及びコミュニティの信頼性を高めるために、新しい送電線を建設すること。建設作業は、2021年に開始される見込みである。当該プロジェクトはEPリンクと呼ばれ、ダウナーを主契約者として進められている。2021年初頭に建設工事が開始され、通電は2022年末の予定である。
エレクトラネットは、2020年10月に、これまで請け負った中で最も大きな受託収益プロジェクトであるプロミネント・ヒル/アッパー・ノース接続のプロジェクトの建設を完了し、通電した。同プロジェクトでは、300キロメートルに及ぶ132キロボルト及び275キロボルトの送電線並びに約100メガワットの電力をOZミネラルズのカラパテナ及びプロミネント鉱区に接続及び供給する2つの変電所を建設した。カラパテナ鉱区は、2019年半ばに通電するようになり、プロミネント・ヒルはこれに次いで2020年末に通電した。
また、エレクトラネットは、潜在的に競合可能な収益投資機会(新たな送電インフラの建設、所有及び運営を含む。)を探究するための態勢を整えている。
ジャワ・パワー
ジャワ・パワーの1,220メガワットの発電所は、30年間の電力売買契約に基づき、インドネシアの国有公共事業会社であるPLNに対して電力を供給している。YTLパワーの子会社であるPT ワイ・ティー・エル・ジャワ・ティムールは、30年契約に基づき、ジャワ・パワーの運営管理を行っている。
ジャワ・パワーは、2020年12月31日までの1年間については、85.2%の平均稼働率を、2021年6月30日までの6か月間については、91.8%の稼働率を達成した。同発電所は、その唯一のオフテイカーであるPLNに対して、前年度の8,029ギガワット時に対し、当年度中に7,263ギガワット時の発電を実施した。
情報技術及び電子商取引関連部門
2019年度中、同部門は、非常に競争の激しい分野において広告主を惹きつけるために、中核となるコンテンツ及びデジタル・メディア事業の開発を続け、一体型のアウト・オブ・ホーム(「OOH」)デジタル・ネットワークを改良した。また、同部門は、アウトドア・マーケティング上のニーズに応えるために、OOHデジタル・メディア・ソリューションを提供し、名高いブランドをターゲットにしている。
同部門は、専有のコンテンツ・マネジメント・ソリューション及びコンテンツ生産の改良を順調に進め、ビンタン・ウォークでのデジタル・ナローキャスト・メディアネットワーク及びブキッ・ビンタンにある象徴的なLEDキューブの「ザ・キューブ」で広告配信を行った。ロット10ショッピング・センター等、その他のショッピング及び商業地域におけるデジタル・ネットワークや、KLIAとKLIA2の低コストキャリア・ターミナルの間を運行するクアラルンプール・エクスプレス・レール・リンク(KLIAエクスプレス及びKLIAトランジット)の車内等を通じたサービスも提供されている。
資金の流動性及び資本の財源については、「(1) 業績等の概要」及び「第6 1財務書類 (7) 財務書類に対する注記」を参照のこと。
(1) 2021年度当初から本報告書の日付までの間に当社と他企業との合併又は合併の契約はなかった。
(2) 2021年度当初から本報告書の日付までの間に、当社の事業に重大な影響を与えるような、当社による事業の全部又は重要な部分の譲渡、又は他企業の事業の全部又は大部分の取得はなく、また、当該期間中、当社は上記に関連する契約は一切締結しなかった。
(3) 当社の事業の全部又は重要な一部分を賃貸若しくは預託する契約、別の当事者と当社の営業利益及び損失を共有する契約、若しくは当社の事業に重大な影響を与える技術協力若しくはこれに類する契約の締結はなかった。
該当なし。